神園 零

Last-modified: 2024-12-12 (木) 13:31:10

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通常「The Fool」
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Illustrator:小田すずか


名前神園零(かみぞの れい)
年齢19歳
職業大学生1年生
  • 2022年10月13日追加
  • SUN ep.Iマップ2(進行度1/SUN時点で65マス/累計160マス*1)課題曲「クリーパー」クリアで入手。
  • トランスフォーム*2することにより「神園 零/「The Fool」」へと名前とグラフィックが変化する。

全てを持って生まれた男。
異能を使い、街に蔓延る理不尽な悪を裁く。
そんな中、とある青年と出会う。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1ゲージブースト【SUN】×5
5×1
10×5
15×1

ゲージブースト【SUN】 [BOOST]

  • ゲージ上昇率のみのスキル。
  • 初期値からゲージ6本に到達可能。GRADE 201から7本到達も可能になる。
  • SUN初回プレイ時に入手できるスキルシードは、NEW PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
  • スキルシードは400個以上入手できるが、GRADE400で上昇率増加は打ち止めとなる
    • なお、GRADE 400到達にはSUN初回プレイ時点でGRADE 15以上である必要がある。
    効果
    ゲージ上昇UP (???.??%)
    GRADE上昇率
    ▼ゲージ6本可能(170%)
    1170.00%
    2170.10%
    3170.20%
    101180.00%
    ▲NEW PLUS引継ぎ上限
    ▼ゲージ7本可能(190%)
    201190.00%
    301200.00%
    400~209.90%
    推定データ
    n
    (1~400)
    169.90%
    +(n x 0.10%)
    シード+1+0.10%
    シード+5+0.50%
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期所有キャラ数最大GRADE上昇率
2023/11/9時点
SUN+20241194.00% (7本)
SUN32 (+12)385208.40% (7本)
~NEW+485209.90% (7本)
所有キャラ

所有キャラ

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 覚醒「正義を捻じ曲げる悪人を裁く力――そんな大きな力が、もしも僕にあれば」

 少し昔の、僕の話をしよう。

 ――幼い頃から、欲しいものなどなかった。
 政界にも太いパイプを持つ権力者である両親。見聞きするだけで内容以上の情報を理解してしまう頭脳。年齢性別問わず誰もが振り向いてしまうような容姿。
 これらを全て持って生まれた僕は、何かを欲しがる必要などなかった。
 代わりに、他者から“欲しがられた”。そして“羨まれた”。
 どんな大人でも、小学校に入って数年も経っていない幼い僕に期待し、感動し、褒め称える。
 それが当たり前のことなのだと思っていた。

 そして時は流れ。
 小中高に大学付属というエリート一貫校に通っていた僕は、順当に中等部へと進学していた。
 子供から大人へと変わりつつある多感な時期。社会への隷属を無意識にでも学び始めるそんな時期に、僕は“理不尽”というゴミのような事象に出くわす。

 ある日、1日の授業を終えて下校しようと校門に向かっていた僕は、高等部の連中に呼び止められた。
 話したことのない上級生達だったが、その顔ぶれに覚えがある。
 おおかた成金の家の見栄でこの学校に来たのだろう。本人の資質が足りずにエリートコースを諦めた愚か者達。そのくせドロップアウトするほどの勇気もない、半端者の群れだ。この学校でそのような者の存在は珍しいため、僕も存在自体は知っている。
 そんなクズ共が僕の襟を掴みながら言った。

 「お前、神園零だろ? 先輩が特別授業してやるからちょっとこいや」

 抵抗する間もなく校舎裏へと連れて行かれた僕は、有無を言わさずいきなり殴られた。
 倒れたところを蹴飛ばされ、無理やり起こされてはまた殴られる。
 チカチカする視界と、殴られた箇所に感じる燃えるような熱。
 僕は生まれて初めて、暴力というものを振るわれていた。

 「ど、どうしてこんなことをするんだ……」
 「別に。ただ学校イチ優秀な神園ぼっちゃんがムカつくから憂さ晴らしに、ってとこだ」

 クズ共の笑い声が響く。
 「おめーそりゃひでーよ」「今のセリフめっちゃワルじゃね?」などと身内ノリで盛り上がっている。
 だが、そんな理由にもなっていない理由、僕には理解できない。

 「たたでは……すまないぞ……」
 「おーおー、どんな風にすまないんだ? 先公にチクるか? それともパパママ~ってか? 神園ぼっちゃんは腰抜けでちゅねー」
 「馬鹿にするな……! クズ共が!!」

 僕の言葉にクズ共の目の色が、暗く、静かに濁っていくのが見えた。
 反撃を試みた僕の振り上げた拳を軽くいなすと、先ほどまで以上に容赦なく打撃を浴びせてくる。
 内臓が傷付いたのか、口から血を吐く。腫れたまぶたが視界を奪う。
 「死ぬかもしれない」。僕は本能でそう感じとっていた。

 僕は――非力だった。
 “全てを持って生まれた”。それはあくまでもルールに守られた世界の中で、そのつもりになっていただけのこと。
 道理に反する理不尽に対処する力を、僕は持っていなかった。
 だが、それの何がいけない?
 正しいのは僕で、間違っているのはこいつらのはずだ。
 なのに、なぜ僕がこんな痛みに耐えながらうずくまっていなくちゃいけないんだ?

 好き勝手に殴られ続けながら、ぼんやりとそんなことを考えていたが、それも霧散していく。
 意識を失いそうになる寸前、最後に僕はこう願った。

 ――力が欲しい。理不尽な世界を矯正する、絶対的な力が。

 その時だった。
 目を瞑ったまぶたの裏に、ヒトとも獣とも形容しがたい異形の姿が映しだされる。
 異形は一度だけニヤリと笑うと、僕に言った。
 「くれてやる」――と。
 声が聞こえたわけではない。だが、確かにそう言ったのがなぜだか理解できる。
 悪魔か神か。いまだにそれは分からないが、どうでもいいこと。
 僕はこの瞬間――“異能の力”を手に入れていた。

EPISODE2 正義「この世界を作り変える。俺にはそれが許されている。絶対正義の体現者である、この俺には」

 薄れゆく意識をなんとか踏みとどまらせ、僕は目を見開いた。
 極限状態で脳の感覚が鋭敏になっているのか、まるでスローモーションのように風景が流れていく。
 血走った目で僕に殴りかかろうとしている者、ポケットに手を突っ込んだまま蹴りをくれようとしている者、そばで笑っている者。
 誰もが僕を見ている。
 “僕の眼”が、クズ共を捉えている。

 視線と視線が交錯したその瞬間。
 クズ共は振り上げていた拳を下ろしたかと思うと、先ほどまでとは同じ人物と思えないほど縮こまり、小刻みに震え出した。
 顔面からは血の気が失せていき、青白い表情で僕に懇願する。

 「お、お、俺たちが悪かったよ……だから……許してくれ……」
 「今の今まで散々殴られて、はい分かりました、とでも言うと思うか?」
 「そ、そうかもしれないが……それでも許されないと……俺は……俺は……うわああぁぁぁーーーー!!!」

 クズ共は突然発狂したように奇声をあげると、転がるようにその場から逃げ出していった。
 まともな人間の様子ではない。まるで狂人のそれだ。

 「ふふ……ははは……あはははは!!」

 僕はおかしくてたまらなくなり、大声をあげて笑う。
 クズ共の姿が滑稽だったからじゃない。
 僕にもたらされた“異能の力”、その素晴らしさを理解したからだ。

 僕の力――それは、視線を交わした相手の恐怖心や罪悪感を意のままに増幅させる能力。
 この力を使えば、極限まで畏怖させることで相手を操ることや、肥大した罪悪感に耐えきれず自死させるように仕向けることもできるだろう。
 教わったわけじゃない。ただヒトが歩き、物を食べ、眠るように、本能レベルで僕は理解していた。
 自分の能力、そしてこれからやるべきことを。

 「僕は神となるべく選ばれた!! この世界を正すという使命を背負った神に!! 正義! 正義!! 絶対正義!! 世界の悪はこの僕が正してみせる!!」

 ――――それから数年後。
 とある都市の摩天楼のうちのひとつ。そびえ立つビルの屋上。
 吹き荒ぶ強風に外套をはためかせながら、絶対正義の体現者である俺は眼下に広がる夜の繁華街を見下ろしていた。
 誰もが己を立派な社会の一員であるような顔をして歩いているが、実態は違う。この街はヘドが出るほど悪が蔓延っている。
 表通りに、公園に、そして外灯の下。ありとあらゆる場所に悪は潜む。
 だが、そういった悪は国家権力の元で裁かれればそれでいい。
 俺が狙うのは、路地裏のさらに奥。
 善良な顔をして裏で手を汚す、“法で裁けぬ悪”に塗れたゴミ共だ。
 俺は毎晩そんな奴らを、“制裁”の名の下に直接罰を与えている。
 この世の中を、正しいものだけが溢れる世界に作りかえるための一歩として。
 正しいものとはどんなものかって?
 それは、絶対正義の体現者であるこの俺が決める。
 俺の下した判決に、不正解など存在しないから。

EPISODE3 遭遇「心が掴めない人間……危険な存在ではあるが、試してみる価値はある。俺にふさわしいかを」

 「――お前のようなクズが、当たり前のように生きていけるとでも思っていたのか」
 「や、やめてくれ!! お、俺は悪くない! く、来るな、俺は……!」
 「“悪くない”だと? お前はその手で何人の少女を手籠にした? 確かに彼女達は脛に傷がある。通報することもないだろう。だが、それを狙って付け入ったのはお前だ」
 「た、助け……っ! 誰か……!」
 「無駄だ。お前はすでに“俺の眼を見た”。己の罪を悔いながら、地獄の苦しみを味わうがいい」

 繁華街からほど近い路地裏。
 俺は家出をして行き場のない少女を狙うクズ野郎に“制裁”を与えていた。
 少女達は非行歴があるため被害に遭っても通報をためらう。だからこいつの犯した罪は表に出てこない。“法の前に現れない”。
 そして明日も何食わぬ顔をして表通りを歩くのだ。まるで善良な市民かのように。
 だが、そんな都合の良い人生は俺が許さない。
 こいつはすでに支配下にある。俺が少し心をいじってやれば、己の犯した罪の意識に耐えられなくなり、自ら死を選ぶだろう。
 そう考えながら、再びクズ野郎の目を覗こうとした時だった。

 「誰だ!?」

 小石でも蹴飛ばしたのか、アスファルトを何かが跳ねる音がして、俺は振り返りながら声をあげた。
 路地裏に差し込む光を背に、逆光になった若者らしきシルエットが見える。
 “制裁”の現場を目撃されてしまった俺は、咄嗟に招かれざる客の眼をまっすぐ見据えた。
 余計なトラブルは少ないほうがいい。恐怖心を増幅させ、見たことを全て忘れさせる。簡単な作業、そのはずだった。

 (こいつは一体……心が掴めない……!?)

 対象の眼から潜り込んだ心理世界、そこには誰もが影の中に、恐怖心や罪悪感といったフェーダーのようなものを必ず持っている。
 俺はそれを上げたり下げたりしてやればいいのだが、こいつの世界は異様に澄み渡っていて、それが見つからない。それどころか、波のない広大な海のように、影のひとつさえもない。
 そんなことは、この力を手に入れてから初めてのことだった。

 「お前は何者だ?」
 「そうだなあ、俺の質問に答えてくれたら教えてもいいよ」

 誰が見ても危険な状況であると察知できるはず。よほど鈍いのか、それとも図太いのか分からないが、若い男はまるで友人に話しかけるように俺に向かってそう言った。
 なんとかしてイレギュラーは排除したい。心が掴めないのなら、実力行使にでるのもやぶさかではない。
 だが、俺の使命は“悪党に罰を与える”ことだ。なるべくなら穏便に済ませたい。

 「……ここで見たことは全て忘れろ」
 「忘れるなんて無理だよ」

 ――無理か。やはり口封じとして消えてもらう。
 そう思って一歩踏み出したところで、若い男は続けて言った。

 「だって、キミすごく面白いもん!」

 ――面白い?
 確かにこいつは今、俺を面白いと評した。
 苦し紛れの虚勢ではないのは分かる。こいつはこの状況を本気で楽しんでいる。
 俺は少し興味が湧いた。むしろ俺も面白いと思った。
 この派手な格好をした若い男のことが。
 
 「面白い、か。俺の制裁を面白がるやつがいるとは」
 「制裁?」
 「忘れるのが無理ならば覚えておけ。この俺こそが絶対正義なのだと」

 口封じはしないでおこう。
 いざとなれば後からどうにでもできる。
 俺はクズ野郎と若い男をその場に残し、闇に紛れるように姿を消した。

 ――何か運命が交わる地点があるのなら、また出会う日が来る。
 だが、間を置かずその日はすぐにやってきた。
 奴は――黒須紘は、己の力で運命をねじ曲げてきたのだ。

 「ホントにすごいね。まるで超能力みたいだ!」

 数週間ほど経った夜の繁華街。
 いつものように悪人へ“制裁”を加えていると、あの日と同じ声がした。
 黒須紘と名乗った男は、この再会が偶然ではないと自らあっさりと告白する。
 俺を尾けまわし、何度も制裁現場を目撃したこと。神園零という名前を知ったこと。そして、俺の能力が黒須に効かないということまで。
 そこまで知った上で、再び俺に近づいてきた。
 ネジがぶっ飛んでいるのか危険など顧みず、たったひとつの理由だけで。

 「キミは絶対的な正義で、その力で悪者を倒す! そんなのまるでヒーローじゃないか!」

 その言葉に、俺は思わず笑みをこぼす。
 なるほど、こいつも“こちら側”の人間だということか。
 判を押したように繰り返し刷り込まれる、道徳観という名の理不尽に耐える訓練。そんなものに飼い慣らされていない、本当に必要なものを分かっている人間。
 何より、この俺に気づかれることなく尾行を繰り返していたということは、こいつが“使える奴”ということを証明している。
 無駄に馴れ合う気はない。だが利用できるものは利用させてもらう。
 そのためにはこちらもある程度手の内を明かし、信頼を得ることも必要だろう。
 気まぐれではある。だが、あくまで打算的に。
 それくらいの余裕を持ってこそ、神としてふさわしい。

 「乗れ」

 俺は車に黒須を迎えると、家に招き入れるべく走らせた。
 試してやろうじゃないか。
 俺の側に置くのに、ふさわしい資質を持っているのかを。

EPISODE4 資質「俺と同じ価値観を持った存在。黒須なら、崇高な俺の使命を共に果たせるかもしれない」

 神園家お抱えドライバーの運転で、俺は黒須を連れて自宅へと戻ってきた。
 電子ロックの正門を抜け、本邸の前に横付けする。
 黒須は「豪邸だ」と少し驚いていた様子だったが、この辺りでは珍しいものでもない。
 それに、神園家は成金風情とは違う。先祖から伝わる土地があるからそこに建てただけで、過度な装飾や調度品を好まない。
 事実、黒須を通した俺の部屋は同年代と比べても至って普通で、必要なものが置いてあるだけだ。

 黒須は俺の部屋に着くなり物珍しそうにキョロキョロしていたが、不審な点はなく至ってリラックスした様子を見せる。
 その光景に違和感を覚えて考えてみるも、俺はすぐに理由を導き出した。

 (そういえば……部屋に誰かを招き入れるのは初めてだな……)

 他人を部屋に入れることに抵抗があるわけじゃない。
 ただこれまで、その必要がなかったからそうしてこなかっただけだ。
 幼い頃はクラスメイトと遊びに出かけることもあったが、それもすぐにやめた。
 精神ステージが1段も2段も低い者と行動するのは、たとえ遊びでも苦痛でしかないと気がついたからだ。
 だから、幼稚で愚図な人間を部屋に入れるなど、これまで考えもしなかった。
 そういう意味では、俺は無意識化で黒須のことを多少なりとも認めているのかもしれない。
 こいつは俺と同じステージに立つ者だと。

 「お前と出会ったのは数週間ほど前だ。にも関わらず俺の正体を見抜き、狙っている標的を当ててみせた。改めて聞く、お前は何者だ?」

 遠回しな会話はしない。
 俺は再度確認する。黒須という男がどんな人間なのかを。

 「俺は普通の人だよ。キミみたいに特別な力なんて持ってないよ」

 ――嘘は言っていない。俺には分かる。
 そして、多少高揚している自分にも気づく。
 力など持っていないと言うが、俺の能力が通じない時点で十分特殊な体質だ。
 それに何より、こいつはたったひとりで俺を執拗に尾け回し、“能力”という秘密や本名まで暴いた。
 そんな人物が、自分のことを“普通”だと言い放つ。心から、さも当然とばかりに。
 俺は初めて出会った。
 俺と同じく高次元の存在でありながら、その環境に疑問など抱かない人間に。
 こいつは引き入れておくべきだと、そう確信する。

 「……黒須紘と言ったか。お前の洞察力、少しは役に立ちそうだ。俺の下で働くつもりはないか?」
 「なにそれ! 面白そう!」
 「では、契約成立だ。共に正義のため、悪を裁くぞ」
 「うん!」

 時刻は0時をとっくに過ぎている。
 今日は泊まっていくようにと黒須に提案し、執事に部屋を用意させている間、俺はなんとなく黒須へ提案した。

 「チェスでもしないか。なに、他意はない。ただの遊びだ」
 「いいねいいね! でもチェスなんてやったことないから、教えてくれる?」

 黒須に基本的なルールを教えながら1局打つと、初心者だというのが疑わしいほどにあっという間にルールを覚えてしまう。
 2局目からはもうすっかり雑談しながら指しあえるほどになっていた。

 「神園クンは、どうして悪い人に制裁を与えるの?」
 「……あれは過程に過ぎない。絶対正義の元に、この世界から理不尽をなくす。それが俺の使命だ」
 「理不尽をなくす……それ、すごく素敵だね。俺も考えたことあるけど、本当に行動に起こすなんて神園クンはすごいや」
 「ほう、黒須も同じことを? 興味深いな」
 「うん。俺の周りの人達は、なぜかみんな怒ったり悲しんだりするんだ。でも、その理由が分からない俺を異常だって言う。これって理不尽じゃない?」
 「ははは、そうだな。だが、黒須は異常だと言われても仕方がないのかもしれない」
 「ええっ、ひどいよ……」
 「最後まで聞け。人間は自分が持っていないものに恐怖する生き物だ。己のレベルの低さを棚に上げ、持っていない者が持っている者を勝手に恐れ糾弾する。だから奴らの眼には異常に見えるんだろう。黒須も……そして、俺もな」
 「神園クン……やっぱり君はすごいよ! 俺、君に会えて本当によかった!」
 「俺にとっても、黒須を迎え入れられたことは大きい」
 「そんなこと言われると照れちゃうなぁ……あ、これって、チェックメイトってやつ?」

 ――気づけば俺は、初心者のはずの黒須に完全に詰まされていた。
 驚きはしたが、不思議と悔しさはない。
 こいつならさもありなんと、俺は黒須という人間を理解できたような気がしていた。

EPISODE5 流説「噂が噂を呼び、人は目に見えないものを恐れ崇める。まるで己自身に、暗示をかけるかのように」

 それからの俺は、今まで以上に“制裁”の数をこなしていった。
 情報収集能力に長けた黒須がターゲットをピックアップしてくれるおかげで、これまでとは段違いに効率よく悪を裁いていく。
 だが、それだけ数をこなしたおかげで、“法で裁けない人間”が世間から消えたのか?
 答えはノーだ。
 俺達ふたりの手ではこの街が手一杯。世界はまだまだ広い。
 それに、人間の悪意というものは想像以上に根深い。昨日までの善人が何かのきっかけで悪人になることだってあり得る。

 『――次は、近頃SNSを中心にネットを騒がせている“掃除屋”についての話題です。深夜の街に現れるという連続暴行犯なのですが、警察でさえ一切手がかりが掴めていないという情報もあります。一部ではネット上の都市伝説とも言われ始めていますが、コメンテーターの九条さん、その辺りはいかがでしょうか』
 『今、犯人を神格化する人が出てきています。被害者には共通して“明るみにでていない犯罪歴”があり、私刑を与えてくれている、と信じられているようです。まあ、現代の義賊のようなものですな。真偽は定かではありませんが、私としてはいかなる理由があろうと認めませんがね』

 ソファに座って眺めていたテレビでは、“掃除屋”――つまり俺達についてのニュースが流れている。
 個人的にネーミングセンスは気に食わないが、大した問題ではない。
 俺にとって重要なのは、“法で裁けない人間に罰を与える”者の存在が知れ渡ることだから。
 人は度々、「神様が見てる」と口にする。
 悪人は正義の目に恐れ慄き、善人はこれまで以上に模範的な行動を取る。
 直接手を下さなくても、存在自体が抑止力になるのだ。
 まさに神である俺にとって、世間の動きは喜ばしいことだった。

 だがそれでも、この崇高な神の行いを理解できない者はいるらしい。
 批判は想像できた。精神ステージの低い人間は悪人以上に多いことを知っているからだ。
 だが自らの危険を顧みず、話題作りのためだけに俺達の領域に首を突っ込む者が現れることは予想していなかった。
 ある日、とある掲示板に制裁現場の目撃情報が書き込まれる。
 そこには被害者の状態、制裁方法、人間の仕業ではない特殊な能力によるものとまで、明らかに“能力について知る”者による書き込みが連投されていた。
 掲示板では論争が巻き起こったが、極め付けとばかりに、ある動画がアップされる。
 薄暗い路地。不鮮明な映像だが、映っている人物は間違いなく俺だった。

 「制裁している場面が映されていたとは! くっ、なんてことだ!」
 「うーん、顔は見えないから大丈夫だと思うけど」

 いつものように楽観的にそう言った黒須は、「ちょっと行ってくるね」と残すと街へと消えた。
 一方で事を重大視していた俺は動画への対処法を考えるも、すでに拡散の勢いは止められず頭を悩ませる。
 そして数時間後。
 まるで本当にちょっとしたおつかいにでも行っていたような態度で、黒須は拠点へと帰ってきた。
 その手に土産物をぶら下げながら。

 黒須に引きずられているのは、見覚えのない男。
 目隠しをされているが顔は赤黒く腫れ上がっていて、かなりの暴行を受けたあとだというがすぐに分かる。
 両手の指はそれぞれあらぬ方向に曲がり、自力で立つこともできず、笛の音のようなか細い息だけが聞こえる。よく見れば、目隠しに使われた布も赤く染まっている。
 そんな今にも絶命しそうな男を差し出しながら、黒須は満面の笑顔で言った。

 「俺達の動画を上げた犯人、捕まえてきたよ」

EPISODE6 転変「ためらいなど感じられない純粋な暴力……何かが変わっていくのを、俺は感じている」

 「なんでこんなことをしたんだ!」
 「こいつは俺達の動画を上げたやつだよ? 俺達のことを邪魔しようとしたやつ、正義に楯突く悪なんだ」
 「お前……」
 「神園クンが動けないなら、俺がやるしかないでしょ。だって、法で裁けない人間でしょ? こいつ」

 ――まさか。まさか黒須がこんな行動に出るとは。
 今も「何が悪いのか分からない」という表情で不思議そうにしている黒須。
 その服、その顔、その手には、男のものらしき返り血がまだ赤々しいままこびりついている。
 「法で裁けない人間だから、手を下した」と黒須は言った。
 言葉上は俺の理念と一致している。
 だが、根本的なものが違う。
 俺のやり方はあくまでも、悪人自身の恐怖心や罪悪感によって引き起こすものだ。
 結果的に心が壊れてしまうかもしれない。自死を選ぶかもしれない。
 だがそれは、自分の中に罪の意識がありながら手を汚した報いとして、“己自身が裁く”という手段を与えているだけだ。
 悪人にできる最後の罪滅ぼし。その機会を奪う事は一方的な暴力になる。
 ――そう、暴力。
 黒須がやったことは、闇雲に暴力で追い詰め、痛めつけただけ。
 殴られた者も、その傷が癒えれば忘れてしまうだろう。己の犯した罪と共に。
 それに、これではまるで――“俺達のほうが悪人みたい”じゃないか。

 「この男は俺が預かる。くっ、死なせないように治療も必要だし、監禁するならどこか部屋を用意しなければ……」
 「そのへんに捨てればいいのに。そいつは目も見えないし、声も上げられないんだよ」
 「もういい、お前は黙ってろ。俺の能力と違い、証拠が残っている可能性がある。下手なことができるか!」

 黒須は“能力を持っていない”。
 この俺でさえ動画に取られるという失態を犯したのだ。黒須が直接行動に出てしまった以上、細心の注意を払うべきだろう。
 男に治療を施さなければならないが、同時に情報が漏れるのも防がなくてはならない。
 俺は執事に軟禁場所と闇医者を手配させるよう言いつけると、ひとまず応急処置として手当てを施そうと試みた。
 だが、俺にできることは何もなかった。
 転んで擦りむいたのとはワケが違う。
 ここまで破壊された肉体に対して、医術の心得もない俺にできることなどない。

 (一体どうすれば、ここまで人間を痛めつけることができるんだ……?)

 非道な行いに嘆き悲しんでいるわけではない。
 俺はシンプルに黒須の心理が気になっていた。
 人間の脳にはストッパーがかかっている。平和な国に生きる者なら、冗談で小突くことさえためらう者もいるほど、暴力は与える側にも大きなストレスをかけるものだ。
 もしもそれがどんなに恨みがある相手だとしても、暴力はあくまで“殺しのための手段”でしかない。
 だがこの男の状態は、端的に言って“常軌を逸している”。

 「制裁の真似事をしたのは、まあいい。お前はこいつに拳を振るいながら、何を考えていた?」
 「何って……特に何も? 悪い事をしたやつに罰が下るのは当たり前のことじゃないか」
 「そうか……」
 「神園クン、なんだか変だよ」
 「ああ……今日の俺は、変なのかもしれないな」

 俺のことを変だという黒須のことが、今の俺には変に思えた。
 会話をしていてもどこかずっと噛み合っていないような気がして、軽い目眩を覚える。
 俺は以前、“持たない者は持つ者を異常だと認識する”と黒須に話した。
 “持たない者”は俺なのか、黒須なのか。
 そんなことを俺は考えていた。

EPISODE7 混沌「間違えたのなら正せばいい。いつだってそうしてきた。そのためなら、この手を汚すのも構わない」

 男を治療すると同時に軟禁下に置いてから、数日。
 今は息を潜める時だと判断した俺は、制裁を一旦止めていた。
 だが俺の説明を理解していないのか、黒須は遊びに行きたがる子供のように、しつこく制裁を行うよう駄々をこねる。

 「お前はもう知っているんだろ、あの男がどういうやつだったのか。処理を間違えれば、確実に俺達のことがバレてしまうぞ。そのうえ、妙な噂まで……」

 俺が慎重になる理由はもうひとつある。
 黒須が痛めつけた男が、界隈の動画投稿者の中でも、特に名の知れた人物だったからだ。
 生業と呼べるほど日々大量に投稿されていたSNSの更新が予告なくストップすれば、「“制裁”を加えられたのでは?」という意見が出てくるまでそう時間はかからなかった。
 それどころか、「制裁に大義名分などない。あれは無差別殺人だ」と抜かすものまで現れ始めた。

 「あんなデマは気にしなくていいのに」
 「……お前はしばらく俺の家には来るな、どこでどう繋がりが知られるかわからない。何度も言うが、余計なことはしなくていい」

 一時的に黒須と距離を置くことにした俺は、日々注意深くネットを観察する。
 すでに根拠や秩序は崩壊している。憶測やデマ、本心から怯えている者、混乱させること自体を楽しむ者。
 飛び交う情報の波がカオスの坩堝と化す中、ある日他とは一線を画す投稿が掲示板にアップされた。
 「以前のものと同一人物と思われる」、そんなコメントと共に記されたリンクの先には、一本の動画があった。
 薄暗い路地裏。メトロノームのように響く鈍い音。
 誰かがハンマーのような物で繰り返し男を殴打している。
 俺ではない。俺はあの日以来、外出さえしていない。

 「黒須……!!」

 それは、黒須による“制裁”の現場を映したものだった。
 以前俺と一緒に撮られた物とは違い、今度はおぼろげにだが顔も映ってしまっている。
 あいつは俺の忠告を聞かず、再び独断で動いていた。

 これほどまでに現場の様子が分かるセンショーショナルな動画がアップされたことで、“掃除屋”へ対する好意的な評価は消え去った。
 もはや義賊や神などと讃える者はどこにもいない。
 人ならざる能力ではない、人の手による純粋な犯罪だと、誰もが“俺を”罵っていく。

 「なぜだ……俺は、神に等しい存在だぞ……? 理不尽を無くし、絶対正義の元に本当に幸福な世界を作るはずの神が……」

 俺が積み重ねてきた神の所業を、人々は口々に偽善だと咎める。
 正しいはずの行いが非難されるという、久方ぶりに喰らう“理不尽”の味に、俺は怒りとも恐怖とも分からぬ感情で身を震わせた。
 情報は無限に拡散されていき、罵りの声は芋づる式に膨れ上がり続け、収拾をつけることなど不可能。
 このままでは、俺という存在に辿り着くのも時間の問題かもしれない。

 「俺は……どこで間違えた……?」

 口に出して己に問うが、それは儀式的なものにすぎない。
 答えはもう出ている。
 ――黒須紘。
 全てを狂わせ、そして狂っているのは――あいつだ。

EPISODE8 潮騒「一点の曇りもない純粋さ。裏を返せば、それは善悪の境界がないのだと、俺はこの身で理解した」

 黒須を消す。
 俺はそう覚悟していた。
 だが、未だ理由は分からないが、奴に俺の力は通じない。ならば策を講じるまで。
 俺はかつて“制裁”を下した者達から特に屈強な人間をピックアップすると、その心の中に入り込み、俺が支配する傀儡に仕立て上げた。
 神園家の力で人を揃えることも可能だが、それでは足がつきかねない。
 なにより、神に仕えることで己の罪を浄化できるのなら、傀儡達も本望だろう。
 あとはおびき寄せた黒須を力でねじ伏せ、始末する。
 それだけ。たったそれだけで全てが丸く収まる。
 “制裁”のやり方はいくらでもある。“かつての神”が疑われたのなら、“新たな神”として顕現しなおせばいい。
 俺の使命はまだ終わらない。
 すぐに取り戻してみせる。

 黒須は俺の呼び出しを不審に思うこともなく、喜び勇んでノコノコと現れた。
 いつものように、何もなかったかのように。

 「もう、神園クンってば遅いよ! 友達なんだから、もっと連絡くれないと!」

 怒ったフリをしながらそう冗談めいて言う黒須が鼻につく。
 俺はそれには答えず、例の動画を再生しながら端末を差し出した。

 「これはどういうことだ?」
 「あっ、これ見てくれたんだね。本当はキミが復帰したときに驚かせようと思って、内緒にしてたんだよ」

 黒須は、心の底から良い行いをしたと胸を張りながら、自信たっぷりに言った。
 俺の代わりにやっておいたのだと、褒めてくれと言わんばかりに。
 俺は黒須の言葉を聞いて、喉の奥に詰まったものが流れたように、なぜだかスッキリとした気持ちになった。
 心のどこかでは迷っていたのかもしれない。
 俺に媚びへつらうわけでもなく、対等に理解してくれる――まるで友人のような初めての存在に手にかけることを。
 だが、こいつは違う。今まさにそう確信した。
 これ以上放っておくことはできない。

 合図として俺が指を鳴らすと、大勢の男が部屋へと雪崩れ込んでくる。
 皆、プログラムで動く機械のように、ただひとつの命令だけを守るために行動する。
 「黒須紘を始末しろ」。それだけを守るために。

 「神園クン、これは?」
 「やれ」

 俺は椅子に座ったままそう言うと、男達は黒須へと襲いかかっていく。
 もっと早くこうするべきだった。
 良い機会だ、一度気分転換に旅行でも行こうか。
 そんなことを考えていた。
 これで片がつくと、タカをくくっていた。そうなるはずだった。
 なぜなら、いつだって俺の取る選択に間違いはなかったから。
 たとえ少し道から逸れても、すぐに軌道修正する。それがさらに自分を成長させてくれる。
 そうやって生きてきた。
 これからもそう生きていくはずだった。
 なのに――目の前の光景は一体なんなんだ?

 黒須は襲いかかる男達を物ともせず、次々と返り討ちにして倒していく。
 格闘技に精通しているわけでもない。ずば抜けた身体能力があるわけでもない。
 肉体を破壊するという、ただ一点において。
 黒須はあまりにも――人間を破壊することに慣れていた。

 「な、なんだ、これは……」
 「どうしたの、神園クン。どうして、そんな顔をするの?」
 「く、来るな!」
 
 こいつは何なんだ?
 俺の目の前にいる黒須という人物は、人間なのか?
 もはや俺の眼には、形容できぬ恐ろしい“ナニか”としか認識できないでいる。

 「神園クン、なんで逃げるの?」
 「ば、バケモノが! 俺に近づくな!」

 化物。異質。異常。
 定義や解釈が不安定な、ひどく曖昧な言葉。
 だが、楽しそうに笑いながら人間を壊すこいつには、そんな言葉がよく似合う。
 いつだったか黒須は、他人から理不尽にも「異常だ」と言われると話していた。
 ――理不尽なものか。
 お前は“持たない者”だ。“持たなくてはならないものを失くした”悪人だ。

 「お前は悪だ、法で裁かれるべき悪なんだ! 笑顔で平気で人を傷つけて……こんなの、異常だ!」

 血塗れの黒須は、俺の言葉に初めて笑顔を引っ込めた。
 上を向いて数秒思案すると、わざとらしく拳で手のひらを打ってから言う。

 「ああ、そっか……とっても、簡単な答えだったよ。もしかして、キミは“神園クンに似た人”なのかな。うん、きっとそうだ」

 ――なんだ? こいつは何を言っている?

 「もうダメじゃないか、神園クンに迷惑かけちゃ。俺達のことをどこで知ったのか知らないけど、邪魔するならキミも悪だね」

 ――俺が悪だと? こいつがそんなことを言うなんてあり得ない。

 「それも、これは許されない罪だ。他の誰かなら許せたけど、俺の神園クンに成り代わろうなんて、大罪だよ」

 ――成り代わるとはどういう意味だ。神園零はこの俺だぞ。

 俺がそう口にすることができていたかは定かではない。
 ぶつぶつと呟きながら近づいてくる黒須の姿に恐怖し、床を這いずり逃げるので精一杯の俺は、こいつとはまともな意思疎通さえ取れないと理解した。
 黒須紘はすでに狂っている。
 自分の思い通りにならない俺を神園零と認識することができず、あまつさえ神園を語る悪だと信じ込んでいる。
 奴にとって、それは何よりも許せないことなのだろう。
 明確な意思を向けられた俺は、その正体を察してしまう。
 これまで味わったことのない、強烈な殺意を。

 「似ているだけとはいえ、神園クンの姿の人間を制裁することになるなんて」

 言いながら、俺の首に指を立てる黒須。
 その指はすぐに気道に到達し、脳への酸素供給が断たれていくのが分かる。
 俺は朦朧としながらも、最後の賭けに出た。
 眼と眼。視線と視線。
 それが交錯した瞬間、意識の欠片が黒須の精神世界へとダイブする。

 ――かつて見た、波のない海のような黒須の世界。
 やはり恐怖心や罪悪感といったものは、どこにも見当たらない。
 なぜだ。どこに隠れているんだ。
 それとも、こいつは俺の能力を無効化するような別の能力者なのか。
 思惑するも、そんなことはあまりにも無駄で滑稽なことなのだと、すぐに気がついた。
 どうしてこんな簡単なことに気がつかなかったんだろうか。

 こいつには恐怖心や罪悪感なんて――“最初から無い”んだ。

 己の中にある悪を微塵も認めない。存在すら知らない。だから、決して汚れない。
 どこまでも純粋に、自分の正義を信じている。
 絶対正義を掲げた――俺以上に。

 現実世界の俺はすでに視界が真っ赤に染まり、首には取り返しのつかないダメージを負っている。
 もうこれ以上抵抗する手段は残されていない。手詰まりだ。
 だから最後の力を振り絞り、捨て台詞を吐く。
 まるで映画に出てくる悪党のように、思い切り憎らしく。

 「神園クンは……お前なんか嫌いだってさ」

 二度と這い上がれぬ深い深い闇に堕ちる直前。
 どこまでも静かに凪いでいた黒須の海に、初めて波がざわめき立つ――
 そんな恐ろしく、美しくもある世界の風景を、俺は見たような気がした――。


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WORLD'S END
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