モンスター/【ライカンスロープ】

Last-modified: 2023-06-20 (火) 21:57:17

原語は「lycanthrope」。
「(精神疾患の)狼憑きにかかった人、狼に変わった人」という意味だが、D&Dシリーズでは狼に限定されず、野生動物に変身できる人間型種族となっている。
獣に変身できる人間というとファンタジーっぽいが、2000年以降のファンタジー作品では獣の耳や尻尾が生えただけの「獣人」に存在感を奪われがち。登場してもヤラレ役のザコ程度の扱いしかされないことが多いが、Wizardryシリーズの小説『風よ。龍に届いているか』ではとあるライカンスロープが主人公側の味方として活躍する場面がある。またライトノベル『魔王と勇者の戦いの裏で~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です』では魔将ゲザリウスというワーライオンがライカンスロープの軍団を率いて主人公と攻防を繰り広げる場面がある。

ちなみに各種族は原則として、変身する動物の種族名の前に「were」という単語が付いている。この読み方は作品や媒体によって「ワー」と「ウェア」の2つがある。

クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ

ライカンスロープの各種族で共通する特徴は以下の通り。

  1. 獣に姿を変えることができる人間で、変身する種類の動物を呼び出すことができる。
  2. 動物形態では銀製の武器、魔法の武器、魔法の呪文でしか傷つかないが、人間形態では普通に負傷する。
  3. ウルフズベインによる命中を受けると、恐怖の余り逃走してしまう。
  4. 馬などのある種の動物は、ライカンスロープの匂いを嫌っており、近づくと反応を示すことがある。
  5. 動物形態による肉体を使った直接攻撃である程度以上負傷した者はライカンスローピィという特殊な病気にかかる。

「were」の表記は新和版では「ワァー」、ルールサイクロペディア版では「ワー」と表記されている。

ベーシック・ルール・セット

第4版のベーシック・ルール・セットではワァーラット(鼠)、ワァーウルフ(狼)、ワァーボアー(猪)、ワァータイガー(虎)、ワァーベア(熊)の5種族が解説されている。

ワァーラット(ワーラット)

ワーラットの項目を参照。

ワァーウルフ(ワーウルフ)

ワーウルフの項目を参照。

ワァーボアー(ワーボア)

猪人間。
中程度の知性がある。人間形態ではバーサーカーのように見える上、戦闘時でもバーサーカーとして戦う。
ヒットダイスは4+1。アライメントはカオティック。

ワァータイガー(ワータイガー)

ワータイガーの項目を参照。

ワァーベア(ワーベア)

ワーベアの項目を参照。

コンパニオン・ルール・セット

ワァーシャークのみがシャークの紹介に付属する形で解説されている。

ワァーシャーク(ワーシャーク)

ある種のライカンスローピィに疾患したマーマンなどの水棲の知的生物。
基本的な能力はマコシャークだが、暗闇の中であれば何時でもサメ形態に変身できる。ただし満月時は強制的に変身してしまう上に、血に飢えた殺戮者として泳ぎ回ることになる。

マスター・ルール・セット

ワァーバット(蝙蝠)、ワァーフォックス(狐)、ワァーシール(海豹)の3種が解説されている。また解説された以外のライカンスロープを創造する時の指針が記述されている。

ワァーバット(ワーバット)

コウモリのライカンスロープで普通の知性を持つ。攻撃手段は噛みつき1回だけだが、ライカンスローピイとは別の非魔法の病気に感染する可能性がある。飛行可能。
ヒットダイスはワァーラットと同程度で、アライメントはカオティック。その形態上、ヴァンパイアと誤認される可能性がある。

ワァーフォックス(ワーフォックス)

ワーフォックスの項目を参照。

ワァーシール(ワーシール)

アザラシのライカンスロープ。知性は普通。
ヒットダイスオグルより高い。移動速度は低いが、泳ぐ速度は速い。アライメントはカオティック。
攻撃手段は噛む1回。
上記はメスのアザラシで、オスのアザラシはより攻撃的で強い。

他のライカンスロープ

ルールブックに記載された以外のライカンスロープを創造する時の指針が書かれている。
エイやサメのような一部の軟骨質の魚類を除けば、哺乳類がライカンスロープとなり得る。
例としては、ハイエナ・ジャッカル・カワウソ・スカンク・イタチ・ビーバー・リス・バッファロー・ラクダ・カバ・ホース・サイ・アシカ・エレファントが挙げられている。

ルールサイクロペディア

ルールサイクロペディア版でも表記は「ライカンスロープ」。
ベーシック・ルール・セットからマスター・ルール・セットまでの全てのライカンスロープが入っている他、デビルスワインが含まれている。

アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ

ライカンスロープ全体についての共通事項である「概論」に1ページを割いており、以後は1ページにつき1種族が解説されている。
AD&D第2版のモンスターコンペンディウムでの「were」の日本語読みは「ウェア」となっている。
ライカンスロープ類は「真のライカンスロープ」(原語:true lycanthrope)と「感染ライカンスロープ」(原語:infected lycanthrope)の2種に大別される。
「真のライカンスロープ」は遺伝的にライカンスロープとして生まれた存在であり、月齢や時間に関係なく変身能力を発揮することができる。
また各種族はそれぞれ独自の言語を有している。
「感染ライカンスロープ」は、人間型生物が他のライカンスロープに噛みつかれることにより「ライカンスロープ病」に感染してしまった存在である。感染ライカンスロープは一定の条件の下でなら予防や治療が可能だが、満月とその前後の日の夜になると自らの意思に反して変身してしまう。この強制的な変身の際には、感染ライカンスロープは狩りと殺戮の欲望に支配されてしまう。この状態の感染ライカンスロープは、敵味方を問わず個人的に関係が深い者を攻撃対象とする。
モンスターコンペンディウムで日本語訳されたライカンスロープは以下の5種。

関連用語

ライカンスロピー】【デビル・スワイン