モンスター/プレイングガイドII

Last-modified: 2021-12-29 (水) 18:42:00

株式会社新和が発行した書籍「プレイングガイドIIに掲載されたモンスターの一覧。
元の記事はDRAGON誌138号に掲載された「THE UNGRATEFUL DEAD」。執筆者はTom Moldvay
訳語は「歓迎されざる死者たち」となっており、その題名の通り、多数のアンデッドが追加されている。
この記事に掲載されているアンデッドは、もともとは世界各地の伝承や民話などに登場するものが多い。またコンピュータゲームにも何らかの形で登場しているものもある。
特色としては、どれもが「スケルトン」、「ゾンビ」、「グール」のいずれかに分類されていることであり、亡霊のようなタイプのアンデッドは含まれていないということが挙げられる。このため、何らかの物理的な肉体を有している。

スケルトン

元となるスケルトン同様、どのタイプも外見は骸骨そのもの。

  • ブラッディボーン
    原語はBloody Bone。
    イングランドの伝承するスケルトンに似た伝承のモンスターとして解説されている。絞首台に吊るされたままの死体に似ていたり、血や肉が付着した骸骨の姿をしている。その恐るべき容姿のため、ブラッディボーンを見た者は恐怖状態に陥る可能性がある。
    ヒットダイスや能力自体はスケルトンよりも強く設定されているが、出現数は基本的にごく少数。
  • スクリロス
    原語はSkleros。
    米国での20世紀の特撮映画の巨匠の1人であるレイ・ハリーハウゼンが幾つかの作品で登場させた骸骨戦士を元ネタにしている。「スクリロス」は乾き固くなったというギリシャ語で、スケルトンという単語の基になっているらしい。
    ヒットダイスや能力はスケルトンよりやや強い程度だが、出現数は多い。このスケルトンを作り出すためには、4レベル以上になるくらいに訓練された兵士の死体を必要とする。
  • ドライボーン
    原語はDrybone。
    元ネタはウォルト・ディズニーの漫画によく登場したとされる「踊る骸骨」。頭蓋骨を取り替えたり、骨の山に崩れ落ちたり、そこから再び結合するというスケルトンになっている。
    ヒットダイスや能力は強く設定されているが、特にヒットポイントが高い。
    ある程度のダメージを被るごとに崩れて骨の山になってしまうという特性があり、崩れた状態になっても1ラウンド後には再び結合して襲い掛かってくる。倒すためには、全壊するまでダメージを与え続けなければならない。また何らかの遭遇時には骨の山の状態で待機していることがある。
  • ジェムアイズ
    原語はGem Eyes。
    魔力を込めた宝石を一対の目としてはめ込まれた骸骨。はめ込まれた宝石によって、何らかの呪文の効果を発動する能力と限定的な知性を与えられている。
    ヒットダイスや能力はスケルトンよりもかなり強く設定されているが、上記の通り呪文の効果を発動できる。本文では8つの宝石にそれぞれ1つの呪文が与えられている。
  • ショックボーン
    原語はShock Bones。
    元ネタとしては映画のフランケンシュタイン。電気エネルギーを帯びた骸骨となっている。
    電気エネルギーを帯びているため、ショックボーンの打撃には電気によるダメージを伴う。さらに、ショックボーンを攻撃した者は感電してしまい電気エネルギーによるダメージを被ることになる。感電を避けるためには、木製の武器あるいは木製の柄を持つ武器で攻撃すればよい。
    中にはアルケミスト(錬金術師)やセージ(賢者)が実験の末に作り出すことがある。

ゾンビ

元となったゾンビ同様、基本的には骸骨にまで朽ちていない死体という外見。

  • ウォーキングデッド
    原語はWalking Dead。
    より強力なソンビであり、攻撃をやめさせるためには完全にバラバラに破壊しなくてはならない。ヒットダイスが高いことで、そのしぶとさを表現しているが、ダメージが蓄積すると重要な部位を失うため、一定のダメージを受けるごとに命中判定とダメージ判定にペナルティを負っていく。
  • ハングリーデッド
    原語はhungry Dead。
    元ネタはゾンビ映画で有名なジョージ・ロメロ監督の作品に登場するゾンビ。
    生者を食べるために墓から蘇ったゾンビで、邪悪な術者により作り出された。基本的な能力は普通のゾンビと変わらないが、その魔力が集中している部位があり、その部位を破壊しない限り攻撃の効果が無い。そのため、命中判定で一定以上の出目を出さない限り、まともにダメージを与えることができないという厄介な特殊防御を有する。
    またハングリーデッドは常に不自然な飢餓を感じている。そのため死亡した生物が出た場合、ハングリーデッドはその新鮮な死体を食べようとしてしまう。ハングリーデッドは他のアンデッドは食べない。
  • コロッサス
    原語はColossus。
    元ネタはクラーク・アシュトン・スミスの小説であるアベロワーニュ物語の作品。クラシックD&DのX2モジュール「アンバー家の館」の元ネタとして一部で有名。
    多数の死体を死肉と骨に分け、それぞれを筋肉と骨格に再形成して生み出したゾンビ。小型のレサーと大型のグレーターの2種があるが、元のゾンビとは比べ物にならないレベルの怪物となっている。
  • ル・グラン・ゾンビ
    原語はLe Grand Zombi。
    le grandはフランス語で偉大なとう意味。直訳すると「偉大なるゾンビ」。
    アンデッド・ロードの1種であり、ゾンビの王とでも言うべき存在。生前は強力なマジックユーザーやクレリックだった。とどのつまり、ゾンビの姿をしたリッチ
    特徴として、この記事で紹介されているものを含むアンデッドを召喚する能力を持つ。

グール

一応、元はグールではあるが、元ネタとなった民間伝承の怪物の影響が色濃く出ている。ただし、人を喰らうという部分は共通している。

  • グーラー
    原語はGhulah。
    元ネタはアラビアとペルシャの民話集「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」に登場する中東女性のグール。
    外見は美しい女性か、恐ろしいモンスターのどちらかの姿。邪悪なアンデッドだが、ジンの親戚のような存在でもある。
    ヒットダイスはグールより高いが、攻撃回数は少ない。また一部の呪文を唱える能力を持つ。
  • バーカー
    原語はBaka。
    元ネタは、ゾンビの元になったブードゥー教の舞台となったハイチの伝承に登場するグールの1種。食人を行うことにより、魔法的な力を得るという信じた者たちによる秘密組織のメンバーが死亡した後、ゾンビと似たような儀式を通じて蘇らせたアンデッド。死体の魂は死の国で邪悪な存在と融合しており、かつての肉体を使役する者にも恩恵をもたらすとされる。しかし、新鮮な肉を供給しなくてはならない等、その扱いには注意を要する。
    基本データはグールと大差なく、攻撃回数は少ない。ただし邪悪な力を帯びているため、一部の呪文を行使する能力を持ち、相対した生者にわずかながら悪影響を与えることができる。
  • ジェロウデス
    原語はGelloudes。
    元ネタはギリシャ神話に登場する若死にした女性の幽霊ジェロで、後にギリシャ正教により幼児を死なせる悪魔とされた。また12個半の秘密の名前を持つとされており、その名に通じる複数のモンスターと関連があるとされる。主に子供を餌食にしようとするが、人食いの衝動が強くなると対象を選ばなくなる。
    外見は女性の上半身と大蛇の下半身を持つデーモンの1種で、下半身には1対の足が生えている。またドラゴンのような羽が生えており、飛行能力と水泳能力を持つ。
    ヒットダイスはグールよりやや高い程度だが、両手両足の爪で敵を捕らえて引き寄せることができる。引き寄せられた犠牲者はジェロウデスに噛みつかれて生気を吸われてしまう。なお、生気を吸われている間、犠牲者は自らが若返っていくような幻影が見える。ターンが効きにくい。
  • スピリットグール
    原語はSpirit-Ghoul。
    元ネタはエリオット・オドネルの著作「Werewolves」に登場する、死体を貪り食おうとした若く美しい女性。この若く美しい女性は降神術を行ったことで邪悪な霊に肉体を奪われてしまい、狂ったように死体を貪り喰らうようになってしまった。
    基本能力や戦闘能力はグールに近いが、スピリットグールが生者を殺してもグールやスピリットグールにはならない。また憑りついた邪霊の影響で魔法に対する抵抗力を持つ。
  • ブラックアニス
    元ネタはスコットランドの洞穴に住む鬼婆。伝承では青い顔、鋭い鉤爪を持つ、片目の老婆。荒野と死、冬の化身とされているが、元はケルト神話の大地母神アヌの悪い側面が残ったものとも言われている。
    外見は青ざめた顔と鉄の爪を持つ人食い魔女。また青黒い毛の飼い猫を連れていることがあるが、この飼い猫はサーベルトゥースタイガー(剣歯虎)より大きい。どちらも日光による悪影響を受けないが、暗闇を好むため遭遇はだいたい夜間。
    魔女らしく、知性が高い上に複数の呪文を唱えることができ、魔法抵抗力を有する。ヒットダイスは2桁に達する程度には高い。
    ブラックアニスは原典においてこそ死と密接に関連しているが、彼女らをアンデッドとして扱うかどうかはDMの設定と判断次第。
  • ウェンディゴ
    原語はWendigo。
    元ネタはカナダのネイティヴアメリカンに伝わる、冬の魔物あるいは冬の精霊で、食える人間を求めて荒野を彷徨うとされている。ウェンディゴを見た者はウェンディゴに憑りつかれてしまい、食人衝動に駆られるという。ウェンディゴもクトゥルフ神話大系に組み込まれて短編小説となっている他、TRPG「クトゥルフの呼び声」の初期ではパラグラフ型式のソロアドベンチャー「ウェンディゴへの挑戦」が刊行(翻訳販売はホビージャパン)されている。
    外見は一定していない混沌の存在であり、見た者はその内心の潜在的恐怖を呼び起こされてしまう。このためウェンディゴを見た生物は全員ST判定を2回行わねばならず、両方とも失敗するとウェンディゴに精神を支配されてしまう。また複数の種類のアンデッドを召喚が可能。ヒットダイスは非常に高く、アンデッドではあるもののターニングアンデッドは実質不可能に等しい。加えて、接近戦能力も侮れない上にサイオニクス能力を有する。
    ・・・こらそこ、「もはやグールとかあんまし関係なくね?」とか言わない。
  • カリカンツァリ
    原語はCallicatzarosで単数形。カリカンツァリはCallicantzariと綴る。ちなみにウィキペディアではカリカンジャロスとなっている。
    元ネタはギリシャの伝承に登場する生き物。生と死の境界が曖昧になる時節(ハロウィンなど)に現れるようになるとされる。
    外見は黒い皮膚ともじゃもじゃの髪、山羊の耳、赤い目と大きな頭を持つ。足は何らかの動物の形をしている。人間より大きく、悪意があり人を喰らう。
    カリカンツァリは愚鈍で破壊と貪欲な行動をとるが、稀に「グレート・カリカンツァロス」と呼ばれる上位種が出てくることがある。この上位種は高い知性を有するが、下位種の愚かな行動を抑制できるわけではない。
    カリカンツァリのヒットダイスはグールより高いが、これといった特殊能力はない。ターン可能。上位種のヒットダイスはさらに上で戦闘能力も高い。また生き物を錯乱させる魔力を有している。
    元記事の執筆者は、カリカンツァリはアンデッドと他のモンスターとの境界線上の存在だとしている。元記事では、伝承で聖職者に追い払われたり聖水で負傷する記述があることからアンデッドに分類したとしているが、実際にはDMの判断によると記述している。

関連用語

アンデッド】【スケルトン】【ゾンビ】【グール