【生物】/ハコヴィヤ

Last-modified: 2024-03-23 (土) 17:58:06

アルファベット表記:Hakoviya
漢字表記:運遣竜(うんけんりゅう)
分類:擬竜類鎧殻飛竜型殻竜種
危険度等級:D※*1
生息地方・国家:爬州原産
生息域:秘境開拓組合各支部
発案者:tocoma110
Tag: 生物 擬竜類 鎧殻類 飛竜型 殻竜種 危険度等級D 大陸秘境開拓組合 発案:tocoma110


概要

秘境開拓組合が使役する、物資運搬用の家畜。
家畜化された擬竜類としては最も普及している種であり、長きにわたる品種改良によって地方ごとに高い適応能力を獲得するに至った。
主に開拓中継点への物資運搬を中心に、遭難者の救出や、物品・遺体の持ち帰りなど幅広い分野で活動する。


大陸秘境開拓時代では開拓者間ではありふれたものであるが、その存在が広く認知されたのは第二次魔北大戦から。

 

分布

原産は爬州南東。
熱帯地域に生息していた生物に端を発し、以降はそれを改良し様々な環境で生息している。
野生化した例は極稀で、ほとんどは各秘境開拓組合各支部で飼育されている。

 

形態

原種の外見は、百足などを彷彿とさせる。
体節からなる長い身体と、昆虫類に近い肢=『抱腕』、背面から生える巨大な翼が特徴。


頭部は微かに竜を思わせる形状。
平たくはあるが一般鎧殻類よりは竜じみた角代わりの長い触覚を備えている。この触角は精素・臭気の感知を主に行うほか、気流の変化なども感じ取る感覚器官。自由に動かし、それらの情報を検知する。
また、口部には大きなな顎腕を備えている。


胴体は甲殻によって区切られた無数の節からなる。
節ごとにかぎづめ状の足を一対備えており、地上や樹上ではこの足を駆使しても移動が可能。しかし、地上歩行は不得手であくまで補助的な機能に留まる。


この内、『主胴』のみは例外。
『主胴』とは頭部から3節程離れたところにある大き目の体節で、
ここだけは他の節とは大きさが異なり、4対の『抱腕』と呼ばれる足を備える。
この『抱腕』は先端にかぎづめがあるほか、他の足とは異なる節数があり、より調整を利かせやすくなっている。この足で彼らは物を抱えることが出来る。
見た目に反し保持力も高く、数百㎏の荷物さえ長距離を運搬可能。
また、野生の原種には毒腺があり、捕らえた相手をそのまま麻痺させ無力化した。

  • 一応歩行脚としても使えなくはない。

また、『主胴』背面には翼とブレス孔が存在する。
翼は飛膜型腕翼を彷彿とさせる形状で、多層膜による波音器官となっている。これにより空間干渉・重力中和を行ない、浮遊する。
浮遊状態に入ってからはブレス孔から空気を噴射し、推進力とする。


末端体節には飾り羽のようなものが一対存在。
これらもまた波音器官であり、浮遊の補助を行なう。


ただし、品種改良によってこれらの形質をそのまま有さない種も多い。

 

生態

肉食を主とする雑食性。
原種は自身より小ぶりな動物全般・可動緑類を捕食しており、元来は狩猟生物であったことが伺える。
『抱腕』は本来奇襲で獲物を捕らえ、

だが、家畜化されて以降は飼育用の餌を与えられることがほとんどで、自身での狩猟は任務中の緊急時等に限られる。
家畜用の餌は主に動物類の生肉・野菜・果実類。また蜜類も好むため、時々与えると非常に喜ぶ。


移動時はほとんど飛行しており、地上にいる期間は極めて短い。
基本はメスの産卵期や極度の疲労時を除き、浮遊し続ける半空棲類的な生活を営む。


無機質な見た目に反してかなり高い知能・感情表現力を持つ。
ファング類などに匹敵する判断力・記憶力を備え、さらにある程度の社会性も有する。
大きな群れは形成しないが、原種はつがいを作り10個ほどの卵を産み、子が巣立つまでは家族単位で活動する。同種に対してもある程度寛容で、場合によっては同種で雁の群れをつくり大規模移動したり、共闘することもある。
一説には同種間での情報伝達・共有も行なうとされる。

  • コミュニケーションは臭い・音を主軸に置くが、視覚面でのやり取りもある。
    そのため、よく見ると頭部も表情を作れる構造をしている。

生れて2年ほどで完熟、平均して10~15年ほどを生きる。
環境が整い、健康面を維持出来れば30年以上生きた個体も存在する。

 

能力

驚異的なスタミナと『抱腕』の筋力が最大の特徴。
原種から畜産種まで共通して、この特徴は全種が備えている。
自身と同程度の重さのある生物を『抱腕』で軽々抱え、そのまま数百kmを休みなく飛べる程度に、強靭。最大で自身の倍近い重さを数km休みなく飛べるなど、尋常ならざる膂力がある。


また前述の通り、波音器官の翼とブレス孔を備える。
前者は主に空間・重力関連の調整と干渉を行ない、これによって浮遊する。そのため他の多くの飛竜類と飛行の質が異なる。空間を搔き分けるように行なう飛翔は真竜類などにも見られる特性で、擬竜類としては破格。
ただし、出力そのものはそれほどでもない。

  • 自衛手段として、重力を高めた空間を固め叩きつける技が知られる。

外殻は擬竜類としては平均程度。
銃弾を弾ける程度に堅いが、退獣戦闘を行なえる戦闘技能者であれば撃破可能。

 

種類

原種

本種の源流の生物。
蓬色の甲殻に深緑の独特の紋様が見える。腹面・翼膜は白緑。
家畜化された種と違い人類種に対しては警戒心を抱き、攻撃的になることも多い。時と場合によっては襲い掛かってくることもあり、見慣れているからと油断すると痛い目を見る。


また、秘境開拓が進んだことで本種に類似した生物が、いくつかの秘境にも生息することが判明した。
甲殻の色・形質、翼・顎腕の形状、保有能力などに差異がある。
いずれも特別危険ではないが、普通の野生動物程度の脅威ではあるため、秘境開拓時には注意が必要。


危険度等級はD。
全長は1m~1.5m、片翼長1m程度。体重は30~45kgほど。

家畜種

家畜として品種改良されてきたものたち。
原種に近いものから、大きく形質を変えたものまで多数存在し、本種が擬竜類の中でもより真竜類に近い特徴を持った生物であることがわかる。


品種改良の賜物で、人懐こい。
命令にも従順に従うことから、ペットとしての需要も存在するほど。
流石に有する能力の危険性から簡単に認可は下りないが、これの飼育・使役を専門とする職位が存在する。また、一部の秘境開拓者はこれらを使役するスタイルを確立している。

汎用種

最も広く使われる、原種と同サイズのもの。
ただし、全体的にスマートな印象の外見になり、若干飛行速度が速い。また、甲殻の色味はより青みがかっている。
如何なる環境にも適応出来る能力を獲得しており、どんな場所へも進んでいける勇敢さと抜け目なさを持つ。また、毒腺こそないが戦闘力は通常種相応にあるため、危機を切り抜ける能力も高い。


開拓度の低い秘境では彼らを付随して調査を行なう例もある。

天翼種

青紫の甲殻に覆われた、高速飛行種。
膂力をやや犠牲にしているが、飛行速度で通常種の倍近くまでを発揮する。
汎用種と比べてもより鋭角で竜泉的な姿をしており、限りなく空棲類に近い浮遊生活を送る。逆に陸地に降りることは嫌い、強制されると機嫌を損ねてしまうなど、やや扱いにくさがある。


全長は1.2m程度、片翼長1.8mほどと、かなり翼が大きい。

剛力種

力作業や他の人間の運搬を目的とした、大型種。
赤い甲殻と太い『抱腕』は後の救助種に通じるものがあり、実際同根の存在である。
が、こちらはより頑丈性と出力に重きを置いており、人よりものものを運ぶことに特化している。特に『抱腕』は自在な方向に動かせるほか、屈強爪で掘削作業なども可能。肉体も頑丈で、ある程度の壁役も担える。
代わりに、飛行速度はやや落ちている。


全長は1.5m、片翼1m程度と原種に近いサイズ感に見えるが、実際は厚みが通常種の倍近くある。重量は100kgを超えている。

小型小隊種

平均全長50cmほどの小型種。
群れでの行動を徹底して叩き込まれ、ハコヴィヤでも随一のコンビネーションを武器とする。
とはいえ、戦闘力自体は決して高いものではなく、真価を発揮するのは分割配送やチームで重量物を運搬する時。膂力も比率だけで言えば一般種に負けず劣らずのため、数が集まれば予想外の重さの荷物も、運んでいってくれる。

護衛

危険地域へ赴くハコヴィヤ個体に付随し、その警護を担う種類。
通常2~3体が護衛対象を取り巻く形で配置され、随伴する相手を命懸けで守る。速度以上に機動力に重きを置いている。


全長は1m程度と原種の小振りなことに相当。
だが胴体は全体的に短く太く、圧縮された外見を持つ。身体の厚みもあるため、受ける印象はまるで変わる。
さらに、ブレスを増やし進化させたことで、前面に銃身状の突起物を備える。
『主胴』背面から延びるそれはまさに銃身・大砲であり、抗重力空間圧縮弾を発射し障害物を撃破する。この威力は集中砲火すれば中型擬竜類を退けるに十分な威力を発揮する。
また、警戒色の黄色と黒で彩られた甲殻は、通常種の倍以上に頑丈。


極めて強力な種であるが、それ故に飼育も難しい。
冷静なチームワークと判断力を持つが、同時に役割に以上に執着してしまうことがあり、そのバランスを教えることに苦慮するという。

緊急伝達種

緊急伝達用の最小種。
一部の秘境開拓者に貸し出されるもので、遭難・緊急時に救援を呼ぶ伝令となる。
朱い甲殻に覆われ、どこか愛くるしい丸みを帯びた姿を持つ。
全長30cmと小柄で非力ではあるが、機動性・飛行速度・反射神経のいずれも凄まじい。運べるものこそ少ないものも、届ける速さに関しては他種の追随を許さない。
また極めて強い方向感覚を持っているため、巣と認識した支部や同行していた対象の位置も強く把握・記憶する。


なお、本種を改良したものを探索用として使用する支部や秘境開拓者も存在する。

救援

赤と白の非常に目立つ甲殻と、太く力強い『抱腕』を備える、大型種。
遭難者や重症者の運搬を担う特別なハコヴィヤで、全種で最も優しく、力強く、恐れ知らずで賢い。
自身の3倍までの重さを運びうる上に、それを抱えて100㎞を休まず飛べる化け物じみたスタミナを持つ。そのくせ、『抱腕』は決して相手を傷ませない力加減を可能とし、優しく抱き留めたまま飛び進める。


育成に時間がかかることもあり、個体数はあまり多くない。
そのため、動員には相応以上の費用が掛かる。秘境開拓保険は適応外となる可能性もあるため、探索は計画的に。

重装戦種ギガタンク

秘境開拓組合研究部の恥にして、最終兵器。
別名、『鋼鉄護神』『組合マスコット』。
どこからどう見てもハコヴィヤではなく、重量二脚鎧殻類的生命体。
体型からして百足のような体節型ではなく、大きく膨れている。
その外見に違わず、ほとんどの臓器が『主胴』に集まり、残りの胴節は事実上の尻尾と化している。分厚い胴体は肉にも覆われ、鎧殻類らしさとは異質な頑丈さを誇る。
当然、甲殻の頑強度も向上。大砲の直撃を弾く。何で。


『抱腕』もまるで滅茶苦茶。

  • 最後脚が肥大化・異形化し、太く大きな獣脚じみたものとなっている。
    重量級の巨体を支えながら、時速60kmを超える歩行を実現。大腿部にはブレス孔が追加され、なんとホバークラフトが如く排気で浮力を生み出したりする。何で。
  • 中後脚が補助脚部として進化。
    後脚部を支える形で、地面に手を突くように生えている。ブレーキや方向転換の役割も果たすため、見た目以上に頑丈で剛力。
  • 中前脚は細かく動く補助腕となる。
    枝分かれした爪先を器用に動かし、物を掴んだり加工出来る。何なら、箸も使える。

最早そこに『抱腕』の面影はない。


だが、最大の変化は巨大なブレス砲と化した最前脚部。
馬鹿でかい装甲を纏い、クソ長い砲身と化した両腕部は、何を間違えたのか収束した光熱波動をぶちかます生体兵器に変わってしまった。その威力たるや、ウィルビン程度は一撃で半身を消し飛ばせるほど。
何がどうなってこんなことになった。


翼とブレス器官も進化。
翼は重力弾発射機能がオミットされ、飛翔速度も下がったが、代わりに重力・空間制御に特化。重量級のボディを高度300mに6時間維持可能な性能を獲得する。
ブレス器官は高速非常維持ではなく瞬発力を高める方向へシフト、戦闘における機動力を獲得した。


どう考えても全くの別種なのだが、これでもハコヴィヤの一種である。
何故こんなものが生まれたかを、大陸秘境開拓組合は秘匿している。が、誕生以後は大陸同盟すら巻き込む形で議論が起きたらしく、一時期は殺処分を含む様々な論争が勃発していたという。
しかし、「仲間想いで大人しく、だがいざとなれば勇敢に戦える」性質は廃棄処分とするには惜しかったようで、結果として「救助や退獣任務における最終兵器」という立ち位置を獲得、各支部の最終兵器として配備されることとなる。
それ以降はその気質を買われ、それ以外の様々な場面*2でも活躍するようになったという。何でだよ。


性格は先の通り、多くの場合極めて人懐っこい。
挙動も着ぐるみを纏った人類種のようであり、動作でも感情表現をしたがる。かわいい。


ちなみに、全種で最も蜜類を好む。
特に、生体精素を活性化するものと、蜂蜜など甘い蜜を混ぜたものを好む。そうした性質は、殻纏いの民に近いものがあるも、関連性は不明。


危険度等級換算した場合はC~C+相当。
身長は2.5~3m、ブレス砲腕を含む全長は3.5~4.8m、片翼長2.6m前後が平均。体重は4t前後。

 

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相談コメント欄


*1 家畜種によっては下回る・上回ることがある。
*2 建築や開拓支部設立時の護衛他。