【生物】/ファング

Last-modified: 2022-12-11 (日) 19:46:10

アルファベット表記:Fang
読み:ふぁんぐ
漢字表記:吼狼類
分類:四肢乳生類牙獣目ファング亜目ファング科
危険度等級:D~C(部分的に準B級の例もあり)
生息地方・国家:九大州全域
生息域:森林部や平野部を中心に生息
発案者:tocoma110
Tag: 生物 ファング類 乳生類 危険度等級D 危険度等級C 発案:tocoma110


概要

牙獣目の中でもクァッル類と並び代表的な種族とされる乳生類。

  • 世間一般でと呼ぶ場合、基本的には本種が該当する。

クァッルと比べてスタミナに優れた特性を持っており、群れで活動することが多いことから、また異なった生態を持った種と言える。
こちらは肉髭を持たない代わりに、声帯の発達による波音詠唱の取り扱いが巧みであり、単体・群れの双方でクァッル類と比べて高い精度を誇る傾向にある。また、種によってはクァッル類に負けない強靭さや筋力を発揮する。

  • 家畜としての犬や狐の類とも祖を同じとするが、本種の方がより祖先の特性を色濃く受け継いでいる、とする説が根強い。

基本的には群生種のためクァッルと比べると小柄だが、わずかに例外的な大型種も生息している。
また、月吼えの民とは文化的に密接な関係を持つ。

 

分布

基本的には森林部・平野部にて活動を行なう。
分布範囲も極めて広く、北は畏州応州から、南は俄州華州まで生息、派生種などを含めればその分布は広い。
活動範囲も広域で、数百Km以上の範囲を群れで移動し狩りを行なうため、人里近くまで獲物を追ってきた姿などもまま見られる。

 

形態

イヌ科の中でも比較的大型。
体毛は基本的に灰褐色系統が多く、クァッルなどと比べると地味な色合いが多い。だが、中にはバンデルクァッルに近い「首回りを覆うたてがみ」を備える種もおり、そういった種の場合は鮮やかな色味であることも珍しくない。
また、自在な運動よりも走行に優れた体格を形成しているイヌ科と比べ、本種は若干クァッル類に近い特性を備えている。そのため、肩の動き方などには若干の差異があるとされる。

 

生態

大規模な群れは作らず、精々が雌雄ペア1~3組程度で活動を行なう。
種によっても社会形成の性質に差異があり、中には基本的に単独で活動し、子育てにおいてのみペアで活動する種というのも存在する。


瞬発力・敏捷性での短時間狩猟ではなく、基本的には長時間獲物を追いかけ獲物を捕らえる持久戦型。
比較的大柄な体躯を持つ種が多い中でも、やや珍しい性質と言える。
速度次第では数時間にわたって100㎞以上獲物を追いかけ殺すこともあり、それだけのスタミナを維持出来る資質を備える。一方で、敏捷性はクァッル類に負けず劣らず。筋力でこそ見劣りする種が多いが、それを群れの数でカバーする傾向にある。

その他、聴覚・嗅覚のみならず色覚のある視覚も持つ点が特徴。
色の見極めを可能とするため、多種精素を色で見極めることが出来る、数少ない犬型生物と言える。


主な食事は大型乳生類や陸鳥類。また、小動物なども食べる。
コミュニケーションにはボディランゲージと音声を混在して用いるほか、波音すらも用いての長距離間対話を行なう。これは他種でも見られるものであるが、通常の遠吠えと合わせての複合伝達を長距離間で行える生物は稀少で、本種はその代表格とも言える。

  • 群れでの活動を主とするためかコミュニケーション能力は高く、子供のころから飼いならした場合は驚くほど豊かな意思疎通表現を見せる。
    流石に人語を発することは不可能だが、月吼えの民のような先祖形態の強い種とは対話を可能とするようである。

 

能力

発達した波音声帯を備えており、それによる様々な疑似波音術を行使することで知られている。

  • 種によって使用する能力に差異があり、主に精華術に近い肉体強化系のほか、他の精素行動を妨害するタイプのもの、短音式による単純物理現象など様々。高度な術を可能とする種は、一種のブレスに近い噴射型攻撃を放てる場合も存在する。
  • 単体での行使ならず、種による唱和式詠唱も可能とするのが本種の特徴。多くの場合は単純な調律として用いられるが、緊急事態に際しては別途目的に利用されることもある。大型種が唱和式を用いる例は極めてまれで、ファング種の特異性を物語る。

 

文化的な関わり

月吼えの民にとっては自らと同じ祖先をもつ生物として、一種の同祖先生物=兄弟として認識されている。
実際にそうであるかはいまだ定かではないが、少なくとも月吼えの民とファング種は形態の類似性のみならず意思疎通を可能とすることが多く、集落によっては無数の群れと共同で生活していることも珍しくない。

  • そういった理由から月吼えの民にとっては身近でありながら特別な生物であり、大抵の場合、肌人人種よりもはるかに親密な他種であると考えられている。そのため、ファング類を敵視しやすい俄州では長らく肌人人種(特に開拓の民)とは文化的な摩擦が根強い。
  • また、他にも森弓の民の中でも特別視する傾向は強く、“森の黒い牙”氏族などからは明確に祖霊の化身として神聖視されている。

一方で、他種族も脅威として認識しつつも、その力強さは農耕民族の場合は作物を荒らす草食動物を駆除する役割を果たすこともあるため、一種の益獣・神聖な動物として見なされることも少なくない。

 

種類

以下のものは主だった種であり、これ以外にも環境固有種などが数多く存在する。

ワイルドファング

Wild Fang。最もポピュラーとされるファング種。
灰褐色を中心とした色合い*1体毛に覆われる。体長は2m未満、体高も1m弱程度。大陸北部全域に掛けて活動・生息し、大体の場合、「狼」と言えば本種とその亜種を指す。
俄州北部や爬州、華州西部では牧畜を襲うため害獣として見られやすく、一部地域では強固な対策を立てられ、場合によっては問答無用で殺されるケースもある。


最もイヌに近い形状を持つファング類であるため、見た目は非常に大型のイヌといったところ。
群れでの活動性が非常に強いこともあり、波音能力は物理現象誘引よりもコミュニケーション方面に優れている。そのため、チームワークという点では人類種などをはるかに凌駕した綿密なものを見せ、しかも想定外の事態にも即座に対応するほどの柔軟性を持つ。
そのことから、「ファングのような」という形容は非常に優れ、なおかつ逃げ場を与えない連係・関係性を意味する。


危険度等級はD。

サイレントファング

Silent Fang。別名、『狩人狼』。
鋭角なシルエットと、恐るべき隠密性を持つワイルドファング亜種。
通常のファングよりも細身で鋭角な顔つきのファング類で、持久力と共にクァッル類的な瞬発力・速度にも優れる。また肉体も柔軟に動き、するすると狭い場所なども通り抜けることが可能。

  • 大きさは一般的なファングよりやや小柄で軽量。

加えて、波音術なども絡めることで驚異的な隠密行動力を発揮する。
足裏の肉球と行動前の波音術、さらに柔軟な肉体と合わせた身のこなしで、あらゆる場所に潜む。彼らは常に陰から獲物を監視し、粘り強く好機を待って獲物を確実に仕留める。

  • 通常のファングよりも連携を重視し、軍隊的な役割が割り振られる。
    そのため、その狩猟は動物の狩りよりも人類的な制圧作戦に近いと言われている。

危険度等級はD。

クレスファング

Cres Fang。別名、『月狼』。
月に関わる名で知られる、月狼森林固有のファング。
薄く金がかった白い毛並みと、美しい三日月型の角が特徴。
未だ多くのことが不明だが、極めて高度な精術を操ることと非常に高い知能、そして用心深い性格のみが確認されている。
シルエットや大きさはワイルドファングと概ね同等。


頭部にある三日月形の角は独立した波音器官。
実質体外にある波音杖であり、ここに吼え声を響かせることで波音術を行使するという。


危険度は現状C。

ファーファング

Far Fang。別名、『長鬣狼』。
ワイルドファングより大柄な北方種。
応州爬州北部や畏州に生息する大型のファング類で、同地では熊などと並ぶ大自然の驚異として名高い。
最大の特徴はバンデルクァッル同様に後頭部・顎下からたてがみが生えていること。
これらは肉体を守る頑強性のみならず、波音の共鳴機能を備えている。加えて、その長さはさらに上を行き、背中は腰近くまで、胸元周りは胸下・肩口にいたるまでをたてがみが覆っている。当然、これらは首周りの防護にも有効に機能している。


大きさはワイルドファングよりも大柄。平均全長2mを超えている。
体色は灰褐色のみならず茶色などもおり、生息地域ごとにその姿は様変わりする。生息地方ごとに細かな差異があることから、一部学者の間では地域名を冠した形で呼ばれることも。


危険同等級はD。

シャドウファング

Shadow Fang。別名、『影狼』。
暗い体毛と赤い目を持つことが特徴のファーファング亜種。
体格などは通常ファーファングと同様だが、性格は非常に執念深くなおかつ慎重。
何日も獲物を追いかけ、忍び寄り、確実に仕留める奇襲特化型の狩猟方式をとる。その際に決して気配を悟らせない点から、ワイルドファングにおけるサイレントファングと同様の進化を遂げた種と言われることが多い。

  • 加えて、肉体の柔軟性もファーファングの中では随一。

しかし、本種の隠密能力は非常に特殊。
彼らは文字通り、「影の中に入り込む」ことで己の姿を消しているのである。
これは彼らの波音術による精術で、疑似的に自らの姿を闇と同質にすることを実現している。これは影・闇がある空間に入るという魔法的なものではなく、極めて高度な視覚・認識阻害効果による。言うなれば、「他者から影の一部であると認識される」もので、暗がりの中に潜むあるいは触れていることで影と完全同化、あるいは影が拡大している」と錯覚させるものである。
当然、音や匂いなども感じ取らせにくくし、しかも持続性が非常に高い。極めて高度な隠密系波音術である。
この能力により、彼らは様々な場所に入り込むことが出来る。

  • こうした特性は、彼らの暗い体毛に強い酷性精素適性を持つことに由来する。
    これにより精素効果を非常に長く纏うことが出来る。

危険度等級はD+。
単純な肉体性能ではなく、その隠密能力の危険性が退獣士らにも恐れられている。

パンディットファング

Pandit Fang。別名『氷銀狼』。
長い鬣を備え、かなり大柄な体躯を誇るファング。
応州爬州北部や畏州などの極寒地域にのみ生息し、その数もあまり多くない、赤眼の稀少種。


体毛は白銀に近い鮮やかな銀色で、基本的には青みがかったものが多い。
たてがみも青みを帯びた藤色と大変美しく、その毛皮は衣装から家具としてまで幅広い人気を持ち密猟があとを断たない。が、本種と遭遇する確率の少なさやその強さから、おいそれと狩れるものではないほか、本種を祖霊とする月吼えの民森弓の民も多く、彼らから妨害を受けやすい。

  • 本種のたてがみは通常種より波音能力に優れ、さらに強力な波音術を行使出来る。
    それにより、自身よりはるかに大型の擬竜類さえも狩猟することがある。使用する精術は威嚇・精術阻害が多いが、群れを率いる個体は極稀に小規模のブリリアントブレスを使用することがある。
    平均的な体長は2.5mほど、体高も1.2m強程度。群れを率いるオスはやや大型化することもある。

危険度等級はC。
非常に強力な生物ではあるが、好んで人里まで訪れることはないため後述のケルベルファングほどではない。
名前の由来は応州南部に伝わる『獣の聖女リーザ』と行動を共にした本種個体から。

ケルベルファング

Celbel Fang。別名『炎獄狼』。
パンディットファングの亜種とされる、さらなる稀少種。
概ねの外見的特徴は類似するのだが、体長は3m以上、体高も1.4m程度はあるとかなり大型。また、顎の骨格などもやや太めで力強い印象を抱かせる。
体毛も赤みを帯びたものとなっており、胴体や顔はわずかに赤みを帯びた灰色、たてがみは暗い朱色と非常に目立つ色合いをしてる。

  • その体毛は頑丈なのみならず高い耐火性を誇り、日常的な火炎に耐えうるほどの強度を持つ。
    なぜこのような性質に至ったかは諸説あるが、祖先となった生物が何らかの精素汚染による変異を起こしたため、とする説が有力。

その見た目に反さず炎にかかわる精術を操り、精術型のファイアブレスを複数の噴射形式で操る。


生息域は火竜の狩場など限定的。
その中でも目撃されることが少ないため、細かい性質は未だに解明されていない点も多い。一説には、「集落」と呼ばれる巣を共同で運営し、そこで薪を守り続けたり、焼いた肉を食するという報告もあるという。


危険度等級はC。

レクセルファング

Rexel Fang。皇帝大狼の名前で呼ばれる、全長10m越えとなる現状最大のファング。
白狼荒野にのみ生息する固有種で、白灰色の体毛に覆われて非常に屈強な体躯を持つ。毛皮はファングの中でも群を抜いて強靭で、旧式の汎龍器であれば弾丸を容易に弾いてしまうほど。爪牙も当然鋭く、筋力・顎の頑丈さも相まって獲物を骨ごと喰らうこともしばしば。
縄張り意識が強く、おまけに中型擬竜類であれば怖れることなく狙うなど、かなり攻撃性も強い。当然、よそ者への警戒心・攻撃性は強く幾人もの冒険者秘境開拓者が犠牲となっている。

  • しかし、一方で領域外への興味はそれほどないため、退獣士との接触記録は少ない。

ファングの中では最も稚拙な波音器官しかもっていないとされるが、代わりに精華術に近い心得があるようで、その高い身体能力をさらに高める秘儀を持つ様子。
また、繁殖期を除いて基本的には単独で行動することでも知られる。

  • 基本的な生活は単独であるが、狩猟時には近くに同席した相手と連携を組むこともある。
    特に大型の獲物相手に実力差を感じる場合、彼らは即席で仲間を集って狩りを行なう。その際の連携は互いをあずかり知らぬ者同士とは思えぬほど、見事なものだという。

犬型の生物としては特異個体を除けば、ヴェアルグに次ぐ巨体を持っている。ただし、生物としての質は大きく異なる。
こちらは誇りと気高さを持つ獰猛な種族であり、その矜持と知能の高さから特別視されることも多い。


危険度等級はC+だが、討伐難易度としては準B級相当の危険度を誇る。

 

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*1 黒から白まで色合いは様々。