内川聖一が、横浜ベイスターズから福岡ソフトバンクホークスへFA移籍した直後のシーズン開幕前に発したコメント。
横浜を出る喜びと同じ意味合いで用いられる。
経緯
2010年オフに移籍が決定して以降、内川は取材で古巣の横浜やセ・リーグに対する思いを問われた際に
・「僕自身横浜を出ていく喜びはあった」(フジテレビ「すぽると!」での発言)
・「横浜にいたら自分がダメになると思った」(日刊ゲンダイ)
・「セでは味わえなかったドーンときてガシャーンとやられる感覚」(スポニチ)
と答える。当時の横浜のあまりにも悲惨な環境からすると紛れも無い正論ではあるが、煽りと受け取られかねない物言いから横浜に加えセ・リーグファンの顰蹙を買っていた。
しかし内川の横浜批判は止まらず、開幕直前にトドメとも言える本コメントを残す。
- 王会長開幕ダッシュだ!独走Vだ!
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20110410-759220.html王会長の号令に、内川もすぐさま呼応した。「横浜の時は借金から始まっていたので」と冗談を言いながらも「勝つことの難しさは知っている。でも、やることはやってきた。ぶっちぎりでいきたいし、そうなるように全力を尽くす」と応えた。
開幕カード結果
横浜
対戦相手は中日。新戦力の森本稀哲や渡辺直人の奮闘に加え、FA移籍を確実視されながらも残留した村田修一の全力疾走などで2勝1敗(貯金1)。8年ぶりの開幕戦勝利及び11年ぶりの開幕カード勝ち越しを決める。
ソフトバンク
対戦相手はオリックス。相手エースの金子千尋が不在*1ながら1勝1敗1分(貯金0)に終わる。
上記の開幕カードをはじめシーズン序盤は横浜が例年より好調を見せ、内川の発言はブーメランとして返ってきたかに思われたが……。
シーズン最終成績
横浜は5月半ばから安定して敗戦を重ね、最終的に47勝86敗、勝率.353で定位置の6位へ沈む。
一方の内川は打率.338(429打数145安打)で首位打者を獲得し、チームは日本一を達成。
横浜の変わらぬ惨状及び、そこから脱出しチームとともに好成績を残した内川が対照的であったため、当時の横浜を象徴する用語として浸透した。
内川自身の通算貯金/借金
本発言は主にシーズン開幕~序盤を指すと思われるが、シーズン成績で見ても内川が横浜在籍の10年間で貯金を経験したのは初年度の2001年のみ。90敗(≒借金-40)以上を4回経験し、横浜時代の通算借金は-264に膨れ上がった。
2011年のソフトバンク移籍後は勝利を重ね、通算借金がどれほど減っているか、返済できるかといった話題がしばしば取り上げられた。
2020年オフの時点で-16と返済目前に迫っていたが、内川は2年連続最下位のヤクルトへ移籍。借金返済は厳しいと見られていた。
しかしヤクルトは翌年から2年連続で優勝を果たし、移籍初年度で借金完済。翌年に引退を表明し、通算貯金26でNPB選手としての現役生活を終えた*2*3。
そのためこのソフトバンク→ヤクルトの移籍の決断は神の一手とも評される。
所属チームの成績推移
年度 | 球団 | 勝 | 負 | 分 | 貯金/借金 | |
---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | 通算 | |||||
通算 | 1524 | 1498 | 101 | +26 | ||
2001 | 横浜 | 69 | 67 | 4 | +2 | +2 |
2002 | 49 | 86 | 5 | -37 | -35 | |
2003 | 45 | 94 | 1 | -49 | -84 | |
2004 | 59 | 76 | 3 | -17 | -101 | |
2005 | 69 | 70 | 7 | -1 | -102 | |
2006 | 58 | 84 | 4 | -26 | -128 | |
2007 | 71 | 72 | 1 | -1 | -129 | |
2008 | 48 | 94 | 2 | -46 | -175 | |
2009 | 51 | 93 | 0 | -42 | -217 | |
2010 | 48 | 95 | 1 | -47 | -264 | |
2011 | ソフト バンク | 88 | 46 | 10 | +42 | -222 |
2012 | 67 | 65 | 12 | +2 | -220 | |
2013 | 73 | 69 | 2 | +4 | -216 | |
2014 | 78 | 60 | 6 | +18 | -198 | |
2015 | 90 | 49 | 4 | +41 | -157 | |
2016 | 83 | 54 | 6 | +29 | -128 | |
2017 | 94 | 49 | 0 | +45 | -83 | |
2018 | 82 | 60 | 1 | +22 | -61 | |
2019 | 76 | 62 | 5 | +14 | -47 | |
2020 | 73 | 42 | 5 | +31 | -16 | |
2021 | ヤクルト | 73 | 52 | 18 | +21 | +5 |
2022 | 80 | 59 | 4 | +21 | +26 |