ネタ/アウターワールド名シーン集

Last-modified: 2014-07-22 (火) 23:28:51

蝕む黒の霧 4;未来は黒い霧の中で定まらぬ 155-3

「黙れ!!」
 魔神の手から槍が放たれる。未来を確定する槍。
 クロキリはそれを避けようとはしない。未来が確定している以上避けるという行為に意味は無いからだ。
 そして、未来が確定している以上クロキリには弾くことも防ぐことも出来ないだろう。
 だから、クロキリは平然と立ち続ける。その表情は自らの死に場に赴く殉教者のそれに近い。

 

「(すまないな。流石に俺一人では無理だった。)」
 槍は正確にクロキリの頭を貫くように迫ってくる。

 

「(だが、逆説……)」
 そして、クロキリの頭を槍が貫こうとした瞬間。

 

「仲間がいれば無理じゃない。か。」

 

by蝕む黒の霧王 魔神との最終決戦

Hunter and Smith Online 第7章:剣聖と黒騎士 193:VS黒騎士-3

 逃げ場の一切ない致死攻撃。その光景はまさに絶望と称していいだろう。

 

「人の身では避けられないか……」
 俺は数多の攻撃が迫りくる中で思う。
 この世界はどれほど現実に近くなろうとも一つの幻想である。
 幻想であるが故に望みさえすれば如何なる者にもなれる。
 故に人の身では対処が出来ないと言うならば……

 
 

「なら、人を辞めればいい」

 

by神仕烏
迫りくる全方位からの無数の武器に対し、彼が言い放った言葉 黒騎士戦にて

Hunter and Smith Online 第7章『電子の女帝』と『D』 248:VS『D』-3

そこは何処までも続く白い空間で、そこに居た俺は右手に黒い剣を持ち、左手に盾を持っていた。
 恐らくだがこの俺は『電子の女帝』の言う所の並行世界の俺なのだろう。

 

「……」
 俺が振り返る。

 

「……」
 そして一度笑う。
 まるでこの程度の状況はまだまだ笑って流せる程度だと。
 俺が戦った化け物どもはこんなものでは無かったと。

 

「……」
 やがて俺は消え、理解する。
 あの俺の力こそが俺にインストールされた技術であり、技であり、彼こそが真の『剣聖』であると。
 そして今の俺が敗北するのは彼の名と彼に剣を与えた王の名、そして剣を作り上げた姫の名に泥を塗る事だと。

 

「まして王と姫は『D』と根源を同じくする者を打ち倒している」
 だから負けられない。
 負けるわけにはいかない。

 

 そして白い空間が明ける。

 

by神仕烏
『D』との最終決戦

南瓜の魔法使い 第138話 「南瓜とサンホロ-5」

さあ、今こそが芽生えの時だ。

 

 芽を出し、根を伸ばそう。
 大地に張り巡らされた根は大地から養分、魔力、水を、そして大地に溶け込んだ人々の残滓を俺の為に搾取する。
 芽は伸びて茎となり、茎から葉が生えて空の魔力と空気を、そして光と共に周囲に漂う思いを俺の為に収穫する。

 

 この地に溶け込む万の怨嗟も、この空に漂う億の嘆きも全て、みんな、全部、残さず集めよう。
 集めて受け入れて支配して俺の力としよう。

 

さあ!花を咲かせよう!たった一つだけの黄色い花を咲かせよう!
 花が咲いたらそこに実を為そう!大きくて甘い、栄養たっぷりな果実を!!

 

 暗く閉ざされた帳を上げたいと思った。
 だから、果実に何でも捉えられる眼となる二つの穴が開いた。

 継いだ思いを聞き届けたいと思った。
 だから、俺は色んな人の言葉を覚えた。

 かつて居た人々の生き様を語りたいと思った。
 だから、顔となった果実に良く動くもう一つの穴が開いた。

 

 継いだ思いを叶えるためには様々な事を成す必要が有った。
 だから、蔓を束ね、葉を揃え、かつての俺を思い返すように腕と手を作った。

 多くの思いを叶えるためには様々な場所に行く必要が有った。
 だから、根を引き上げて強靭な脚を作り上げた。

 今を生きる人の輪に溶け込むためには人に近い姿が必要だった。
 だから、茎を芯として人間を模した胴を作り上げた。

 

 さあ、目覚めの時が来た。
 故にオンを返そうじゃないか。

 貪欲な俺に恵みを与えてくれた大地に恩を。
 不遜な俺に施しを授けてくれた大空に恩を。
 傲慢な俺に望みを託してくれた人々に恩を。

 大地を汚し、荒らした戦火に怨を。 
 勝手な願いを人々に押し付けた王に怨を。
 空から俺たちを見下し、無慈悲に蹂躙する月に怨を。

 

 さあ、まるで母親が寝物語として子供に聞かせるお伽噺の魔法使いの様に願いを叶えようじゃないか。
 さあ、まるで神の使いとして人々を救済する天使の様に救いを与えようじゃないか。
 さあ、まるで神々が競い、化け物同士が鎬を削り合う神話の様に暴れようじゃないか。

 それこそが俺の在るべき姿なのだから!

 

byパンプキン