BBC-黒い血の狩人/登場人物

Last-modified: 2016-06-16 (木) 14:07:26

主人公

ティタン・ボースミス

「ティタン・ボースミスです。ボースミス伯爵領コンドラ山で6年間狩人をやっていました。武器は弓を使います。魔法は『発火(イグナイト)』しか使えませんが、よろしくお願いします」
主人公。本編開始時点では身長は180cm程で、黒い髪の毛に金色の目、日に焼けた肌をした18歳の青年。弓を得意としており、火・闇・妖属性の紋章魔法に適性がある。*1
細マッチョなイケメンという容姿に加えクソが付くほど真面目で礼儀正しい性格という好青年だが、少々特殊な環境で育ったせいで口下手かつ世情に疎くやや天然気味。本編開始時点では紋章魔法を学ぶ機会が無かった為に『発火(イグナイト)』以外の紋章魔法を使えなかったが、百人に一人いるかどうかレベルの弓の腕*2とハイレベルな感知能力*3・判断力*4を持ち、意識せずとも気配を消せる*5など、既に狩人としては一流と言っても過言ではない。しかもプロローグで祖父がアースボア狩りの際に「山の樹から僕が作った弓」を使っていた事からも分かるように、8歳時点で既に実用的な性能の弓を作れるほど弓職人として才能も卓越している。*6ただし本人は比較対象として学園に来る前は伝説レベルの狩人だった祖父しか知らず、*7学園に来てからも周囲にいるのがゴーリなど世界でも有数の学園の教職員を任されるに足る格上の面々ばかりな為、*8平均的な狩人が持つ能力というものを異様に高く見積もっておりそのせいで自己評価が「自活できる程度の腕前」「まだいっぱしのレベル」と極めて低い。*9
実はボースミス伯爵家の三男。幼少期は愛人の子である彼の存在を本妻から隠そうとした父親によりボースミス伯爵領コンドラ山で狩人をしている母方の祖父へ預けられていた。祖父に狩人としての技と心得を仕込まれながら二人で暮らしていたが、プロローグ時(当時8歳)に黒いドラゴンの襲撃で祖父が死亡、彼も瀕死の重傷を負ってしまった。その場に現れた「女の人」に生きたいと願った結果死は回避できたものの、その手段が人間としての器を壊すというものだった為に人間を辞めさせられている(ただし本人には自覚無し)。その影響で髭が伸びるのがめちゃくちゃ早い*10ため、朝剃っても昼過ぎには不精髭が生え、数日以上剃らない状態では初対面の人から年齢を疑われるほど人相が変わってしまったりする。
祖父の死後は伯爵家へ引き取られ、四年間屋敷で暮らしていた。その間に父親以外とは良好な関係を築いている。12歳になってからは家を出て祖父と住んでいたコンドラ山へ戻り狩人として生活していた彼だが、今でも良くしてくれてる兄たちの推薦(策略)により、オース山の麓、オースティア王国王都オースティアの近郊にある世界有数の教育機関、王立オースティア魔紋学園で狩猟用務員として働く事になった。
到着初日にメルトレスという少女と知り合った彼は、後日再会し改めて自己紹介し合った時に彼女が家名を名乗らなかった事へ疑問を抱きつつも流していた。しかしその様子を見ていたクリムから彼女はこの国の第三王女だと聞かされる。知らなかったとはいえ礼を失したかと頭を抱えた*11ものの、あえて身分を明かさなかった彼女の心情を考慮した彼は、今更他人行儀な態度を取るという掌を反すような行為をして彼女へショックを与えるよりは、このまま態度を変えずに接して自分がそれに関する被害を受けた方がいいと覚悟を決めている。
とはいえ一応立場的には一生徒とはいえ万一が起きないよう厳重な対応が必要とされる王女と、まだ採用されたばかりの新米用務員が接触する機会など普通ならばそうそうないはずなのだが……。彼女の恋心を察した(二人の関係をニヤニヤと見守る)何者か(学園長や先輩用務員)により、オース山の探索実習を行うメルトレスの引率を行う事になった。


その実習の帰路、フラッシュピーコックの金属製変異種というこの場にいないはずの魔獣と遭遇した彼は、ピーコックの攻撃からメルトレスたちを庇った事で重傷を負ってしまう。それでもピーコックの足止めを行い彼女たちを逃がす事には成功したものの、攻撃力も防御力も手数も勝る相手と正面から対峙しての射撃戦という不利な戦いを強いられた結果、更に増えた傷と出血多量により身体は動かなくなり視界もぼやけ、止めに武器まで失ってしまった。瀕死の状態になり反撃や逃走の手段をほぼ失ってもなお生き残る事を諦めず最後の一息まで手を尽くそうとしていた彼の前に、十年前にも出逢った「女の人」こと『破壊者』が現れた。彼女の力により時が止まった世界で「人のまま死ぬか、獣と成り果ててでも生きるか」の選択を突き付けられどちらも断った彼に対し、それでこそ人間であり、だからこそ助け甲斐がある、さあ抗って見せろと歓喜を露わにした彼女により彼のうちに眠っていた彼女の力の一端、『黒い獣の鵺(Black Beast Chimera)*12を強制覚醒させられた。
流石に『破壊者』の力といきなり主導権争いするのは分が悪かったようで、覚醒直後は為す術もなく獣としての本能に呑まれてしまった。衝動のままピーコックを破壊し、その近くにいたメルトレスたちを次の獲物と見定めたが、睨みあっている間にメルトレスが彼の名を呼び何度も語り掛けた事で消えかけていたティタンの意思が復活、人の理性と獣の本能のせめぎ合いの末なんとか勝利し人間の姿へ戻る事に成功した。なおこの時獣化の副作用で初めて学園へやってきた時と同じくらい髭が伸びていた。
この事件の後も今までと変わらず狩猟用務員として働いてもらう、力は力でしかないのだから自分で制御できるようになれという学園長の言葉に、自分の生きる道は狩人以外にない(闇天竜ディンプルドラゴンを狩り祖父の仇を討つ)と決意している主人公は「自身の戦闘能力の向上」と「何かしらの制御方法を見つけ出す事」という二つの課題を果たすべく更に修練を重ねている。ますます積極的になっていくメルトレスに困惑しつつ。
 

詐称(アッスーム)』魔法

人としての器を破壊され『黒き獣の鵺』となったティタンがその後も人間として生活できるよう『破壊者』により仕込まれたと思われる、ティタンの魔力を使って常時発動している妖属性上位紋章魔法に相当する魔法群。
これらの魔法を段階的に解除する事で獣の力の一端を引き出す事が出来る。ティタンによれば光に満ちた白い空間(ティタンの自我の領域)から黒い水が溜まった湖(獣の力の領域)へ歩を進めるというイメージらしい。
ただしティタンが人間で在り続けるための枷でもあるこれらの魔法を解除すれば当然身体や精神が獣側へと寄る為、獣側へ踏み込み過ぎればそのまま飲み込まれ理性無き獣と化してしまう危険性もある。
なお解除後これらの魔法を掛け直し人間へ戻ると、余剰魔力を適当に変換した結果として髭などの体毛が伸びる。*13

  • 血質詐称(アッスームレッドブラッド)
    その名の通り『赤い血を装う』、つまり存在を人間に偽装する魔法。解除時のイメージは「黒い水が溜まった湖へと足首より下だけが浸かる程度に沈み込み、手で黒い水を少しだけすくって体内に取り入れる」。
    これを解除することにより、身体が獣寄りになり魔法の維持に使われていた膨大な量の妖属性と闇属性の魔力を使えるようになる。また、何故か得物の弓も変化して細かい棘を表面に生やす(この弓がベグブレッサーの祝福塊製だからのようで、普通の素材製の矢は変化しない)。使った後は(beard)が伸びる。
    • 来たれ暗黒(カミングザダークネス)
      一瞬で舞台上を全てを埋め尽くし、光を殆ど通さず、かつ異常な長さの効果時間を有するという厨二病魔法闇属性下位紋章魔法『黒煙』のハイエンド版。魔法としては『黒煙』と同じだが、通常の『黒煙』と誤動作を起こさないように発動キーを別名にしている。効果を非常識なレベルで強化してある為に本来ならば方程式が破綻して絶対に発動しないが、『血質詐称』を解除して身から溢れ出るほどの闇属性の魔力を保有している状態のティタンが、凡百の魔獣の血よりも遥かに紋章魔法の素材として適しているであろう黒い魔獣の血を含んだチョークを以って紋章を描くことにより強引に成立させている。
       
  • 能力詐称(アッスームヒュムパラメタ)
    『人の限界を装う』、つまり身体能力を人間程度に偽装・制限する魔法。解除時のイメージは「黒い水の湖に膝下まで浸かり、体内に取り込んだ黒い水を心臓から全身へと流し込む」。
    これを解除することにより、『黒き獣の鵺』の巨体を労せず動かせるだけの筋力と、それほどの筋力を発揮しても身体に反動が返ってこない程の耐久力、そして速くなった動きに合わせられるだけの感知能力を得る。ただし『血質詐称』発動時よりも更に精神が獣側に引っ張られるため*14、長時間の発動は出来ない。使った後は後ろ髪(back hair)が伸びる。
    • 魂狩りの血矢(ブラドボーンドチェイサー)
      メルトレス達を襲撃した魔法使いに向けて、ティタンが放った矢に込められた意思魔法。対象の『不死化』を無効化*15した上で突風で引き裂く。さらに対象を操っている術を遡源することで術者の魂に致命的な一撃を与える。この通り極めて凶悪でえげつない魔法なため、即行で禁術指定された。とはいえ、『詐称』系魔法を解除したティタンの膨大な妖・闇・火属性の魔力を注ぎ込んでようやく成立するため、悪用はほぼできないと見てよいのだが。*16余談ではあるがこれもまたBBCである。(おそらくBlood Boned Chaser)
  • 肉体詐称(アッスームヒュマフィジカ)
    『人の姿を装う』、つまり外見を本来の姿である黒き獣の鵺から人型へと変える魔法。解除時のイメージは「全身を黒い水のたまった湖に浸け、その力を全身に巡らせつつも、白い光の中が満ちた空間に自分が居る事」「黒い湖の中と白い空間の両方に同時に存在する自分自身」。
    これを解除する事により、ティタン本来の能力を十全に発揮する事が出来る。ティタン本人すらかすかに恐怖を覚えるほどなので当然暴走する危険も跳ね上がると思われるが、本編で使用した際はメルトレスがこの姿を恐れず寄り添っていた事もあってか完全に制御していた。
  • ボースミス伯爵家
    オースティア王国北の国境沿いの土地を領地とし、王家の信もそれなりに厚い。
    家庭内も自業自得とはいえ当主が置物状態な事を除けば円満。
    当主…名は不明。世間では数々の武勲を挙げた強力な魔法使いとして有名だが、家中での発言力は最も弱い。
    正妻ディア…家中で一番発言力が強い。
    長男グラント…妻の名はオキヨ、娘の名はアイ。
    次男メテウス…渉外や情報関係を担当している?
    三男ティタン…妾腹。実母の名はドーラ。愛人とその子だが、本妻やその子との仲は良好。
    長女ウェル…まだ家の事で発言権を持っていない程度の年齢

プロローグ

爺ちゃん

ティタンの母方の祖父。幼少期のティタンを養い、狩人としての生き方を教えた人。超一流の狩人として有名だった。
本編の十年前(プロローグ時)、ティタンと共にアースボア狩りへ行ったある日、突然襲ってきた黒いドラゴンが放った炎で上半身を消し飛ばされ死亡。

闇天竜ディンプルドラゴン

本編の十年前にティタンたちが狙っていたアースボアを横取りした余波でティタンの祖父を殺しティタンも瀕死へと追い込んだ黒いドラゴン。アースボアを喰らったついでにティタンも喰らおうとしたが、上位者(『破壊者』)の存在を感じ取り逃げた。
第44話で個体名が判明。その名のとおり闇と天属性の魔法を使うらしい。実は雌で、両親*17を殺されたトラウマから強い存在が苦手らしい。

本編の最終決戦後に再登場したが……

後始末としてノンフィーにルトヤジョーニを神性存在だと認定させ、彼にサポート(後始末)任せつつ(押し付けつつ)『破壊者』が直接手を下せる条件を満させる為だけに無理矢理連れて来られた。彼女の闇、天、火の三属性を練り合わせたブレスを受けても滅ばなかった事でめでたくお役御免。
『破壊者』の力の一端を見せられた彼女は怯えきり、もう帰っていいぞと言われた後は人目に付かないで平穏に暮らしたいという何処かドラゴンらしくない願いを抱きつつ一切の迷いなく帰っていった。

『破壊者』

『全てを破壊しろなどとは言わない。全てを支配しろとも言わない。規律正しく行けとも、己が心のままに行けとも言わない。ただこれだけは言わせてもらおう』
『お前の息吹を見せてくれ』
麦藁のような髪の毛に、金色のドラゴンのような瞳、血のように紅い衣、骨のような見た目の両腕、牙のような歯を持つ女性。瀕死だった主人公の命を救ってくれたが、その手段としてプロローグから(開幕早々)主人公の人間としての器と運命をぶっ壊した。*18


『あの時に貴様の運命を壊して正解だったと素直に思えるよ』
『さあ、目覚めさせると良い!十年貴様の中で馴染ませ続けた私……『破壊者(ブレイカー)』の力を!そして抗うがいい!獣に堕ちたくないのであれば!狩人であり続けたいのであれば!』
その正体はこの世界で信仰されている箒星の神ことあの方々の内の一柱であるリコリス=B=インサニティ、通称『破壊者(Bお母様)』。知ってた。
第38話でピーコックの攻撃を受け瀕死となってもなお抗おうとした主人公の前に再び登場し、時間停止した状態で『人間のまま死ぬ』『獣に堕ちて本能のままに生きる』の二択を示す。どちらも蹴ってあくまでも人間のまま生き残る事だけを考える彼に歓喜を隠そうともせず、第三の選択肢として『『黒い獣の鵺(Black Beast Chimera)』への強制覚醒をさせた上で理性を失わず人間として在り続ける事』を要求した。このお方、ノリノリである。
その後、辛うじて『黒い獣の鵺』から人間へと戻る事に成功したがそのまま気絶し、担ぎ込まれた自室で翌日意識を取り戻したティタンの前に登場し、『黒い獣の鵺』を制御するためのアドバイスをして去った。*19出現スパンがやたらと短いが、暇なんだろうか?
 
ライ・オドルとの決闘を前に、ようやく自分の力について考え始めたティタンの後ろに久々に登場。*20『黒い獣の鵺』について軽く説明・アドバイスした後、妹達に見つからない内にと去った。
 

台詞集

『いやはや、人間という物には全くもって驚かされる。だが、素晴らしき破壊だった。ふふふふふ、これだから人間の運命に介入することは止められないのだ』
この台詞から一見愉快犯の印象を受けるが一応目的あってのことらしい。*21
 
『私は『破壊者』だ。何かを壊す事しか目的には出来ない。が、破壊者にも破壊者としての矜持という物があってな。壊す物ぐらいは選ぶ。周りに害悪しか齎さない屑と毎日誠心誠意努力しているも人間ならば前者を、生まれに関わらず万人を助けようとする者と生まれに驕って他を虐げる愚者ならば後者を、と言う風にな』
『私はな、嫌いなんだよ。不幸な運命という都合のいい名前の下、人を勝手に踊らせて、醜くもがく様を楽しんでいる変化がな。だからぶち壊すのさ。相手が私自身であっても……な』
事実この台詞から、某黒幕のように捻くれてはない事が分かる。また、他の『お母様』同様自身の力の大元(変化)が大嫌いなようだ。

 
さてそんな『破壊者』だが、実は人間に成り済まして市井に紛れて生活している。学園へパンを卸している、王都にあるパン屋(Bakery)『リコリス』の女主人こそ彼女である。やっぱり暇神じゃないか*22
中でも一日限定百個で売っているバジル(basil)の練り込まれたクッキーは、ティタンをして「茶請けにするなら、お茶には王室御用達の茶クラスを持ってこないとお茶が負けるほど美味い」と評するほどの極上の逸品であり、宅配や取り置きには応じないので貴族でも店に並ばなければ買えない大人気商品。
 

と、ここまでなら多少変な人(神)で終わるのだが…

じちょう は くだけちった
じょうしき は くだけちった
シリアス は くだけちった
ファンタジー は ちをはいた
とおくのいもうとは いが いたくなった ▼
 
事件は第159話にて起こった。ノンフィーからパン屋『リコリス』への紹介状をもらったティタンはメルトレス達と共に訪問する。そこには…


全裸で(ただし胸と股間は謎の白い光(brightなblind)*23によって隠されている)ブリッジ、あらぶる鷹のポーズ、武術の演舞という謎行動をする『破壊者』の姿があった。
何やってんすかあんた。
 
 
あまりの事態に最初に扉を開けたティタンと二度目に扉を開けたゲルド&イニムは見なかったことにしようとし、この世界の比較的常識的な海月に油断していた自重・常識・シリアスは破壊され、ファンタジーは血を吐き、妹(特にリーン様とSお母様)は胃が痛くなった(ちなみに(神喰らい)は大笑いしていた)。そして読者の腹筋も破壊された。
彼女は二つ名の通りたった1話であらゆるものを破壊してのけたのである。
 
なお、恥じらいは無いのかというメルトレスの言葉に対しては「恥じらい?ふっ、このバランス(balance)の取れた美しい(beautiful)肉体(body)に恥じる点など欠片も無いわ!」と返している。似たようなこと言ってる人どっかで見たな…

山を下りた狩人~捕獲仕事

リベーリオ

「ん?そこの君。学園に何か用かい?」
学園の守衛。登場は第2話だが、名前が判明したのは第50話。
主人公の身元を確認した後、18歳には見えないからと髭を剃るよう勧めた。
主人公の兄メテウスやソウソーの親友の一人で、学生時代はいたずら坊主四人衆の一角として実行役を担っていたようだ。
メテウスの事を気遣って主人公の近況を知らせてくれているらしい。メテウス曰く信頼できる方の親友。
ソフィアズカーニバルに登場したリベリオの同位体。セレーネの同位体と結婚している?
名前の由来:rebellion

ジニアス・カレッジ

「ティタン君。君、ウチで狩猟用務員として働いてみる気はないかね?」
王立オースティア魔紋学園学園長。60歳。口元に立派な白ひげを蓄えた老人。*24
普段は偉ぶったところのない割とお茶目な性格で、年齢を感じさせないほど言動が大人げない若々しい。教職員とも冗談を言い合えるような気安い関係を築いている。面白そうなイベントが起きると見たら止めるどころか煽り立てる方に回る為、祭りになりそうな可能性を含む重大事に遭遇した際の相談役には向いていない。
しかし知識や実力は学園でも随一で、いざとなれば立場に相応しい威厳と統率力を発揮し、生徒の為に万全を尽くす事を惜しまない人物であり、学園長としては教職員や生徒、元生徒から厚く信頼されている。
ゴーリたちと共に主人公から『破壊者』に関する話を聞いた際も、そんな超常の存在はあり得ないと最初から切り捨てるのではなく、現状を説明する上で納得できる話かどうかを客観的に判断して真実だろうとあっさりと受け入れている。しかもフラッシュピーコック事件の後、自身が異形の存在になっていたと聞いた主人公に対し*25今後主人公を要観察対象にする事は避けられないがこのまま狩猟用務員として働いてもらうと明言すると共に、力は力に過ぎないとして制御できるよう努力を促すなど度量も極めて広い。
ソフィアズカーニバルで登場したジニアス・グロディウスの同位体。
名前の由来:genius(天才)+college(大学)

メルトレス・エレメー・オースティア

「も、申し訳ありませんでした!急いでいて、前方の注意が疎かになっていましたの!あの、お怪我などは……」
短く整えられた綺麗な赤色の髪、透き通った橙色の瞳を持つ、整った顔立ちの少女。本作のヒロイン(予定)。*26
学園の新四年生の中でも随一の成績を挙げていて、土や金や光など複数の属性の魔法に加え、他の属性の魔法も一通り学んでいる。装備はサーベルと要所を金属補強した華麗な革鎧。頭が良いだけでなく正体不明の怪物を前にしても怯える事無く主人公の指導を思い出して冷静に対処できる胆力もあり、更に主人公の無意識の隠形に気が付く程感覚も鋭い。
その正体はオースティア王国の現王の四番目の子である第三王女。得意とする魔法と、常に笑顔(微笑の仮面)を崩さず誰が相手でも態度を変えない冷静な振舞いと近寄りがたい高嶺の花っぷりから『鋼鉄姫』とも呼ばれ、男女問わない憧憬の的になっている。このように周囲からは才色兼備な完璧超人と思われているが、ゲルドとイニム以外の人間とは距離を置いていたせいで対人経験に乏しくうっかりミスをやらかす事も。
護衛として常に同級生の金髪の騎士風の少女ゲルド・ゴルデンと黒髪の魔法使いの少女イニム・エスケーの二人が付き従っており、主人公も初対面の時に容姿や護衛らしき二人の存在から王侯貴族、それもかなり上位に位置する人物と見ていた。
ただし身分を笠に着る事無く自らの非を認められる程度には腰が低いようだ。実際、教師からの急な呼び出しを受け風系魔法『加速』を使って廊下を高速移動していた彼女が、学園長と共に採用試験会場へ向かっていた主人公に衝突してしまった時、自分の不注意が原因だからと物凄い勢いで謝っている。


そんな彼女だが、主人公と出逢った事で厄介な病気に罹患(一目惚れ)してしまった。しかも「彼が近くにいると顔が赤くなり、心臓の鼓動が早まり、落ち着きがなくなってしまう」とかなりの重症に陥っている。*27初対面時に挙動不審だったり、後日図書館で偶然主人公と再会した時に顔を赤らめ目を潤ませたりと二つ名とは全く異なる態度だったのはそのせい。改めて自己紹介した時に家名を名乗らなかったのも、今後も主人公には隔意なく接してほしかったからだと思われる。
ただし彼女自身は自分が主人公へ抱いている好意の種類を把握しかねており恋心だと自覚していなかった。*28本人は主人公に対し過剰な好意を示せば彼に迷惑を掛けるだけだと理解はしているものの、いざ主人公に関する事となると途端に平常心を失ってしまう為、主人公やゲルドやイニムは振り回されそれなりに苦労している。
彼女が傍からは執着や乱心に見られても仕方ないほど主人公へ入れ込んでしまったのは理由があるらしいが…?


『黒い獣の鵺』へと強制覚醒させられ獣へと堕ちかけた主人公に遭遇した際、正体不明の異形の怪物の正体が主人公だと直感で看破した彼女の呼びかけにより正気へ戻ったという正ヒロインに相応しい功績を挙げている。これで正ヒロイン確定したはず
なおこの事件の後、主人公に襲われかけた恐怖や人外疑惑による警戒心から距離を置くどころか、好意を隠す事すらやめてますます積極的になったり、ゲルドたちの入室どころか彼女たちに髪を整えられていた事にも気付かないほど見惚れていたりとかえって症状が悪化している。
主人公が隠し事をしている事を見抜き問い詰める様など、あの主人公が恐怖を覚えるほどである。グイグイ行き過ぎて苦手意識持たれてますよ姫様
名前の由来:melt-less(溶けない→デレない) どこが…?*29

ゲルド・ゴルデン

「……。ゲルド・ゴルデンです。直に四年生になります」
メルトレスの同級生で、護衛として常に行動を共にしている金髪の騎士風の少女。
装備は剣と大盾と防御力と機動性を両立させた金属鎧。剣よりも盾の扱いに長けており、魔法も『盾拡大』など金、火、地属性の防御関係の物を修めている。
メルトレスに盲従するのではなく、彼女が間違っていると判断すれば主命に背く事になろうとも身体を張ってでも止める忠臣。護衛としても優秀で、ピーコックの襲撃を受けた際に主人公が撤退を指示した直後、主人公の負傷に動揺したメルトレスが抵抗する前に有無を言わさず担ぎ上げて即座に駆け出すなど若いながらも判断力と実行力を兼ね備えている。
主人公がメルトレスへ自己紹介した時に胡乱気な瞳を向けていたが、これは主人公の事を姫様に馴れ馴れしく近付こうとする不心得者と敵視していたわけではなく、ボースミス伯爵家所縁の者のようだがメルトレスの素性を知らないなど貴族らしくない点を疑問に思っていただけのようだ。
実際、後日メルトレスの発言が原因で主人公が射的を披露する事になった時にはイニム共々謝るように小さく頭を下げていたり、実習で主人公が監督役になった時は気疲れした雰囲気で主人公とアイコンタクトを交わしていたりと、どちらかと言えばメルトレスの暴走に振り回されて苦労する同士じみた感情を抱いていたと思われる。
ピーコック襲撃事件後、メルトレスに主人公との付き合いを避けるよう諫言しているが、これは主人公を嫌悪や忌避しているからではない。むしろ本音では彼を人間的にも能力的にも高く評価しており、下手な貴族と付き合うより彼と付き合った方がメルトレスにとって有益だと思っている。しかし結果的に無傷で終わったとはいえ『黒い獣の鵺』と化した主人公がメルトレスに危害を加えかけた事実がある以上、再び同じような事が起きないと言い切れない為に彼女の安全を最優先するべき護衛としては反対せざるをえないからである。
因みに絵心は皆無。どのくらい下手かというと彼女が『黒い獣の鵺』を描いた絵を見た主人公が「幾つかの突起物が付いた黒い毛玉」「子供の落書きにしか見えない」と評する程度。
ソフィアズカーニバルに登場したゲルディアンの同位体。
名前の由来:guardian(守護者)+golden

イニム・エスケー

「イニム・エスケーと言います。以下同じくです」
メルトレスの同級生で、侍女として常に行動を共にしている黒髪の魔法使いの少女。
風、地、雷属性の魔法を専門としており、『鉄芯共振(ラジオトランス)』という緊急連絡用の魔法を始めとした多くの魔法を修めている。装備は杖、帽子、動きやすいよう手足の部分を紐で絞ったローブ。
主人公との会話は少ないが、悪印象は持っていないようだ。メルトレスに頼まれ主人公の身元を調べるなど、メルトレスの恋を内心では面白がって応援している?なお暴走については半ば諦めている模様。
ピーコックの襲撃を受けた際に主人公が撤退を指示した直後、竦まず『鉄芯共振(ラジオトランス)』を発動させてからゲルドの後を追ったり、『黒い獣の鵺』と遭遇した時とっさに『旋風結界』を発動して土砂の嵐を防いだり圧倒的な力の差を自覚してもなおゲルドと共にメルトレスを逃がす為の囮になろうとするなど護衛としての意識も高い。
ソフィアズカーニバルに登場したイニムの同位体。
名前の由来:伝(イ+ニ+ム)+escape

ゴーリ・キオーガ

「はいはい、居りますよ。学園長殿」
王立オースティア魔紋学園狩猟用務員の班長。42歳。妻と20歳になる娘がいる。あだ名はハゲ熊。
鍛え抜かれた肉体を火属性と木属性の強化魔法で更に強化して戦う前衛タイプ。一応回復魔法も使える。
ソウソーには『理不尽なんて台詞は、最低でも攻撃系の上位紋章魔法を身体強化だけで防ぎきるどこぞのハゲ熊レベルの相手から使うべき言葉でやんす』と評されている。
なお福利厚生の一環として学園側が教職員へ異性との出会いの場を用意している事もあり、*30先輩の狩猟用務員たちは全員妻帯者である。
シリーズでおなじみの脇役三人組の一人、蝕む黒の霧で登場した魔王「統べる剛力の鬼王」の同位体。*31
名前の由来:剛力+鬼(ogre)

クリム・ゾンロール

「分かった」
王立オースティア魔紋学園狩猟用務員の一人。36歳。元は傭兵だったらしい。表向きは平職員。
投擲用と刺突用の二種類の槍に、火属性と天属性の攻撃魔法を組み合わせて使う火力タイプ。
魔法を使わずとも並の魔獣ならば瞬殺でき、全方位から複数の下級魔法を撃ち込まれても全て切り払える*32ほどの槍の腕だけでなく、並の上級魔法を上回る威力の中級魔法を強めの通常攻撃くらいの扱いで連発可能という極めて高い戦闘能力を持ち、洞察力にも優れている。
戦闘力だけでなく画才もあり、メルトレスとイニムの供述を基に『黒い獣の鵺』の絵を描き起こしている。*33
シリーズでおなじみの脇役三人組の一人、蝕む黒の霧で登場した魔王「紅を撒く辛王」の同位体。
名前の由来:紅(crimson)+巻く(roll)

ソウソー・スクイル

「アイアイサーでやんす」
王立オースティア魔紋学園狩猟用務員の一人。28歳。
弩と短剣を使うが、基本は風・雷・妖属性の魔法による索敵、罠、捕縛など、他のメンバーの補助を担当する補助タイプ。特に情報収集に長けている。とはいえ戦闘能力が低いわけではなく、ゴーリやクリムよりは劣るとはいえ一般的な基準では十分一流レベル。たとえばティタンが囮となって暗殺者に襲われたところへ助けに来た時は、左瞼を閉じるだけという正面以外からはわからないワンアクションで人一人を焼き尽くすほどの威力の雷魔法を連射している。
学生時代はいたずら坊主四人衆*34の一角としてゴーリたちの頭を悩ませていたらしい。入学式後の晩餐会で突発的に射的を披露する羽目になった主人公を助けるどころかネタにして賭けの胴元を始めたり、ぐいぐい押すメルトレスと困惑する主人公をニヤニヤしながら眺めるなど、今でもイイ性格をしている。
彼の能力を高く評価しているエスピオ侯爵家の娘で、元同級生のマーキュリと結婚している。
シリーズでおなじみの脇役三人組の一人、蝕む黒の霧で登場した魔王「争い煽る八百栗鼠」の同位体。
名前の由来:争(ソウ)+嘘(ウソ)+栗鼠(squirrel)

メテウス・ボースミス

「王都にもボースミス伯爵家の屋敷ぐらいはある。それにこの学園には俺の親友が二人も務めているからな。片方は信頼できないが、もう片方は俺の事を気遣って弟の近況を知らせるぐらいはしてくれる」
主人公の兄の一人で、ボースミス伯爵家次男。金色の髪に金色の目をした男性。
狩猟用務員の人材不足に悩む学園長の元へ推薦状を持たせたティタンを送り込んだ張本人。
雇用契約書の保証人として畏敬している彼の名が記されているのを確認したティタンは、彼に迷惑を掛けないよう頑張ろうと決意している。
因みにソウソーたちの親友で、学生時代はいたずら坊主四人衆の一角として策を練るのを担当していたらしい。
現在はボースミス家の為に情報収集や交渉関係を行っているようだ。なお今のところ浮いた話はないらしい。
名前の由来:ギリシャ神話の兄弟神プロメテウスとエピメテウスから。ちなみにmetheusとは考える者や知恵という意味。

スキープ・レストールム

「よく来たな。私はスキープ・レストールム。火の塔の管理人だ」
白衣を着た、白髪混ざりの茶髪を持った男性。人間や未知の素材が有する属性適性の検査を担当しており、回復魔法の達人でもある。
名前の由来:飛ばし(skip)+休憩室(restroom)

タイディー・ライブラ

「おや、クリムさんに……ああ、例の新人の方ですね」
地の塔にある図書館の司書をしている黒髪長髪緑色の目の女性。
堅物な性格で歯に衣着せぬ物言いをするが、それは豊富な知識に裏付けされた相手の為を思っての発言である。
名前の由来:tidy(几帳面な)+librarian(司書)

始業式~報告

ハーアルター・ターンド

「ひ、姫様!?何でこんなところに!?」
金髪に青い目をした12歳の男子新入生。西の国境沿いに領地があるターンド伯爵家の長男。思ったことがすぐ口に出るタイプ。
火・風・魔属性への適性を持ち、家伝の『短縮詠唱(クイックスペル)』という特殊技能を身に着けている。入学直後の一年生ながら複数の魔法を状況に合わせて使いこなす判断力もあり、実力的には同学年内ではTOPクラス。
伯爵家次期当主としてその立場に相応しい貴族になりたいと考えている誇り高い少年だが、初登場時はまだ世間知らずな子供だった彼に歪んだ貴族像を吹き込んで利用しようとする貴族主義者の取り巻きに囲まれていた影響で平民を見下していた。
入学式後の晩餐会で狩猟用務員たちが振舞う伝統料理としてアースボアの丸焼きを作っていた主人公の所へやってきて、肉の正体にも気付かず「豚の丸焼き」「野蛮で下賤な料理の極み」扱いし、完成を心待ちにしている他の新入生を馬鹿にするだけでなく、主人公を「小汚い小間使い」「下賤な小間使い」呼ばわりしていた。主人公は全く気にしていなかった(むしろ彼がこれ以上恥をかかないようにそろそろ説明しようかとすら考えていた)が、そこへ現れたメルトレスによりこの料理は大変手間のかかったアースボアの丸焼きで自分もわざわざ食べにくるほどの逸品だと語られた上、このアースボアを狩ったのが主人公だという情報も明かされた。そこで引き下がればいいのに、間違いを素直に認められなかったのかムキになってなおも主人公を貶したせいでメルトレスを怒らせてしまった。
他の新入生の反感を買った上に己の無知を曝して恥をかく羽目になり*35、止めに目の前で主人公の実力を見せつけられて自信を粉砕されるという散々な入学初日になってしまった彼は、その後学園長に優しく諭されつつクリムから渡されたアースボアの肉を泣きながら食べていた。


「黙れ。僕にはお前みたいな先に生まれた事だけで優越感に浸る人間を先輩として認める気はない」
歓迎会の一件は彼にとって己を見つめ直す好機になったようで、貴族主義者の取り巻き連中とは縁を切り、授業にも真面目かつ積極的に取り組んでいる。
また他人への態度はそれほど変わらないように見えるものの雰囲気はどことなく丸くなっており、紋章学の知識に乏しい主人公の疑問に答えたり問題児の男子生徒に絡まれている女子生徒たちを庇うなど、ツンデレ好青年っぷりを発揮している。そんな様子が周囲にも伝わっているらしく、初日に大失態をやらかしたものの孤立はしていない模様。
とはいえウィド&ブラウラトとの決闘が決まった時はまだ平民と対等な関係を築く気はなかったのか、それとも何か共闘に関するトラウマがあったのか、当初はコンビを組む事になったセーレと一線を引いたまま勝負に挑もうとしていた。しかしセーレの檄を受けたのを機に考えを改め、彼女と深く関わる(の尻に敷かれる)事になった。セーレとは決闘後も親しい付き合いが続いており、ターンド家としても二人をくっ付ける気満々など、ほぼ外堀が埋まりつつある。

ピーコック

「クケエエェアアアァァァ!」
正確な分類名はフラッシュピーコックの金属性変異種。金属特有の光沢を有する嘴、爪、翼、硬い芯のある尾羽を持っている色鮮やかな孔雀の魔獣。
原種の持つ強烈な閃光*36を放つ光属性魔法に加え、変異種として全身が堅牢な金属で覆われており羽を模した形の金属片を放つ金属性魔法を操るなど高い戦闘力をもつ。
本来の生息域はオースティア王国がある西大陸ではなく東大陸であり、オース山には居るはずのない魔獣であることから、誰かが密かに持ち込んだものと思われるが…。ティタン達を発見した際、ティタンを無視してメルトレスたちを追う素振りを見せたことから、ティタンはただ持ち込まれただけでなく何処かで飼われ、女子供を狙うように調教されたとみている。
メルトレスたちを庇って負傷した上に彼女たちを逃がす囮になる為正面からの撃ち合いという不利な戦いを強いられた主人公を瀕死へと追い込んだものの、止めを刺そうとした時に現れた『破壊者』の手により主人公が『黒い獣の鵺』へと強制覚醒。突然現れた化物に自分の攻撃が通じないのを見て逃げ出したが、ここまで来れば安全だろうと気を緩めた直後に空中で捕獲されてそのまま地面へと大砲並みの勢いで投げられた衝撃により即死。更に死体となってからも追い打ちされ元の形が判別不能なほどバラバラにされた。
名前の由来:flash(閃光)+peacock(孔雀)

トレランス・ノトルーズ

「その前に学園長。学生時代から言っている事ですが、きちんと来訪者に名乗らせてから入室を許可してください。貴方も誰から狙われていてもおかしくない立場なのですよ」
王都守護隊学園地区隊長。シンプルでありながらも上質な紺色の制服に身を包み、腰に剣と盾を帯びた一人の金髪に青い目を持つ万人の目を惹くようなイケメン騎士。実力的にも国内TOPクラスで、ゲルドの剣の師匠。
生真面目な性格だが、重要参考人である主人公の身柄の引き渡しを要求する事無く学園長を信頼して今後の対応を任せるなど融通も利く人物。
フラッシュピーコック事件の捜査を担当しており、関係者からの聞き取り調査などの資料を受け取りに来た。
学園のOBでもあり、学園長ともそれなりに親しいようだ。
名前の由来:tolerance(忍耐・寛大)+not-loose(責任感のある・真面目な)

新しい弓~決闘の後始末

コルテ・ウエーホン

「五月蠅いである。吾輩は魔具店の主であって、大道具ではないのである!と言うか毎度毎度無茶な要求をするなである!」
わかりにくい場所にあるが狩猟用務員を始めとした知る人ぞ知る名店、ウエーホン魔具店の九代目店主。茶髪に緑色の目をした男性で、職人としての腕もいい。
ソウソーたちの同級生で、学生時代はいたずら坊主四人衆の一角として策に必要な道具を作っていた。
HASOに登場したガントレットの同位体。この世界でもアーマの同位体と結婚している。
名前の由来:籠手。店の名の由来はweapon。

ノンフィー・コンプレークス

「ははは、そうかい。まあ、また来るよ。君の作ってくれる魔具はとても質が良いからね」
水色の髪に紫色の目を持ち、左目の下に紫色の三角形の刺青を施した派手な服装の男。
ソウソーたちの同級生で、男爵位持ち。ファンには「演劇男爵」、ソウソーには「面倒なの」「変態男爵」と呼ばれている。
人気作家でもあり、第二話でモブ女性たちが話していた女盗賊と英雄王の恋を描いた新作*37というのも彼の作。
主人公を見て何かを察したようだが…?
髪や目の色に名字、馬車に刻まれていた海月をモチーフとした紋章でバレバレなように、その正体は例の種族である。パン屋『リコリス』の女主人の正体を知る一人でもある。
名前の由来:nonfiction

セイゾー・キリダシ

「なるほど、プレート型魔具を初めて作るので、助言が欲しいと」
プレート型魔具製造の専門家で、何冊か本も出している教師。
黒髪黒目で異邦人めいた風貌から、ティタンは西大陸と東大陸の間にあるヒユラギの人だろうと判断している。
クリムとの間で昔何かがあったらしい。
名前の由来:切り出し製造

グラント・ボースミス

第66話時点では名前だけ登場のボースミス伯爵家長男。
ヒユラギ出身のオキヨという女性と結婚しており、アイという娘がいる。
名前の由来:grand(偉大な)

ヨコトメ・エスケー

『さあさあ、やってまいりました。期待の一番。天候は晴れ、時刻も昼を少し過ぎた頃と絶好の決闘日和でございます』
イニムの兄。報道部所属の五年生。重度のシスコンでイニムを溺愛している。調子に乗りやすい性格らしい?
妹へ『貴族主義者の馬鹿男子たちが、何かしらの計画を練っているようだ。気を付けろ』という情報を流してきた。
HASOに登場した文屋の同位体。
名前の由来:文(トを左90度横へ倒す+メ)

ライ・オドル

「いい加減にしろよ用務員。さっき俺が言った通り、これは学生同士の問題だ。それなのに、お前はどんな権利があって、このライ・オドル様の邪魔をするんだ?ああ?」
第70話でソウソーが素行が悪く信頼性ゼロの問題児連中だから名前を憶えておくようにと言っていた四年生の三人組のリーダー格。伯爵家子息という立場を笠に着ている極めて悪質な貴族主義者であり、ウィド・フォートレーとブラウラト・デザートの二人を部下として引き連れている。
適性は地属性と金属性で、見た目が派手な戦闘用の魔法ばかりを覚えている分一応それなりに戦闘力はあるが、教師を自分より身分が低い*38と馬鹿にして授業をまともに受けていないので正直部下二人より弱い。さらに(多対一かつ部下が弱らせて止めを刺すだけというお膳立てされた状況で)魔獣を狩った経験から己の実力(笑)を過大評価していて、狩猟用務員の指示を聞かない可能性が高いという理由で部下共々オース山への入山申請を却下されている。*39
平民出身らしき女子生徒にわざとぶつかって因縁をつけるだけでなく、たまたま通り掛かって女子生徒を守ろうとしたハーアルターや仲裁に入った主人公に対しても実家の権力をちらつかせて脅迫しようとした。
しかし伯爵と言っても無役でしかない彼の家にそんな力はないと知る主人公には学園規則に則った正論で淡々と返され、更にそこへやってきたメルトレスには彼らが犯している規則違反やその脅迫を実行した場合どうなるかという事実を指摘されている。
メルトレスの介入で逆に自分たちの方がまずい立場になった事に気付いた彼らは、実力を見せつけてメルトレスを黙らせる為か生意気な新米用務員や下級生を痛めつけてやろうという八つ当たりかは不明だが、主人公vsライ、ハーアルター&セーレvsウィド&ブラウラトの二組の決闘(闘技演習)を吹っ掛けてきた。
そして当日。開始を前に下級生に負けた前座の部下二人への不快感だけでなく、審判や対戦相手に対する敬意の欠片もない態度を隠そうともせず身勝手な暴言を吐き散らしていたが、決闘が始まると大言壮語とは裏腹に一方的に翻弄される展開となった。主人公相手に手も足も出ない状況を受け入れられず逆切れした彼は主人公を殺してからハーアルターとセーレ、メルトレスに学園関係者、ボースミス家や領民まで皆殺しにしてやるなどと言い出した事で主人公の逆鱗に触れてしまい、『血質詐称』解除後の『来たれ暗黒』により生み出された闇の中で徹底的に恐怖を叩きこまれて泣き腫らし糞尿まで垂れ流した姿を衆目に曝してしまった。決着後は複数の罪状が発覚した父親のルストー・オドルに連座して逮捕され、メルトレスの殺害を宣言するという反逆罪のみならず、領内の平民に対する残虐行為や国内外の何者かとの不穏なやり取り、更に疑惑レベルも含めれば他にも無数の罪を犯していた事が発覚。あまりにも余罪が多すぎるせいで具体的な刑罰の確定に時間はかかるが死刑は免れないところとなった*40
『理神』という存在に力を与えられたような事を言っていたが…?
瘴海征くハルハノイに登場した灰汁シュウの同位体。
名前の由来:lye(灰汁)+odor(臭気、(特に)悪臭)。父親はrust(錆る、腐食する、鈍る)

ウィド・フォートレー&ブラウラト・デザート

「さあて、精々無様に逃げ回ってくれ。俺たちに喧嘩を売った事を後悔しながらなぁ」
「その綺麗な顔をボッコボコにしてやるよ。治療魔法でも治らないぐらいになぁ」
二人ともオドル領出身でライの部下。いかにもなチンピラ。
ウィドは金髪緑目で主に木属性魔法と土属性魔法を使い、ブラウラトは茶髪黄目で主に格闘と土属性魔法を使う。
ライと違い授業そのものはちゃんと受けており、実用性を重視して魔法を習得しているので一応実力はある。本来ならばセーレとハーアルターに勝ち目などないと言い切れるほどに。しかし実際はソウソーからの情報提供に加え、何より彼ら自身の慢心と油断のせいで敗北を喫している。
元々この三人組は周囲への悪影響が見逃せるレベルを超えているという事で処分が検討されており、決闘後逮捕されたライの悪事が白日の下に曝されたのを機に三人とも退学処分となった。この二人は共犯だが本当に問題がある案件には関わっておらず、元々そういう素養はあったにしろ家族を人質に取られてライに逆らえなかった点は情状酌量する余地があると判断され、従っているうちに染まったのならば更生できる可能性もあるというわけで国境守護として厳しい訓練に定評のあるハドトレイニ伯爵の騎士団へ従者として送り込まれて心身ともに鍛え直される事となった。
名前の由来:weed(雑草)+fortress(要塞)とbrown rat(ドブネズミ)+desert(砂漠)。

セーレ・クラム

「民が王や貴族に従っているのは、彼らが魔獣のような敵から私たちを守ってくれるから。何か問題が起きた時に、率先して問題解決に向けて動いてくれるからよ。そういう時に動かない貴族なんてただの穀潰しよ」
白めの髪に薄青の瞳という容姿の三年生の少女。ビルハーバ伯爵領ウオバ出身の平民で、魔法適性は水・氷・風。切り札としてまだ未熟ながら『積層詠唱(パイルキャスト)』という発動するには長い詠唱が必要なものの魔法を複数同時行使する事で乗算的に威力を増す特殊技能を有している。
絡んできたライたちから他二人の少女を庇いつつ反論したり、積極的な共闘を拒むハーアルターを平手打ちからの投げ技で押し倒しつつ挑発するなど勝気な性格。
決闘後もハーアルターとの親交は続いており、彼の事を人前で「ハー君」と呼んでは「ハー君は恥ずかしいから止めろ」と返されるなど仲がいい。ターンド家も優秀な人材である彼女との交際を陰から応援している。つまり将来のハーアルターの嫁(確定)。現在おねショタ
名前の由来:siren(セイレーン)+clam(二枚貝)

ヨークシー・デューエル

闘技演習場の管理人を務める男性。決闘では主審を務める。
名前の由来:よくsee(見る)*41+duel(決闘)

デコン・ポズノレッジ

学園の教師の一人。*42決闘では副審を務める。
名前の由来:decompose(分解)+knowledge(知識)

ヒフミニ・ミナタスト

故人。百年以上前に活躍していた大紋章魔法使い。この人が学園の闘技場に『致命的な怪我を負いそうになったら、その攻撃を無かった事にして、場外に転移させる』という半ばオーパーツじみた紋章魔法を施しているため、安心して決闘が出来るようになっている。

だがしかし、それは彼の偉業の一部にすぎない

第一に、百年以上前の人物であるにもかかわらず、その時代で既に確立されていた魔・光・闇・火・水・風・地・雷の八属性だけでなく、現在確立されている13属性(八属性+妖、氷、木、金、天)全てを扱えた。それどころか闘技演習場の紋章魔法からわかるように、限定的ながら転移魔法を成立させている。*43この闘技演習場の紋章魔法を筆頭に、新たに生み出した紋章魔法は百を超え、メモ書きは未だに第一級の研究対象と研究者として凄まじい成果を挙げている。


が、人間(笑)本領発揮(理不尽さ)はここからである。
魔法だけでなく体術も達人レベルだったという彼は……
 
対人においては
・百人を超える規模の盗賊団を一人で壊滅
・たった一度の紋章魔法で数千を超える敵軍を退けた
・生涯に164回行った決闘では相手がどういう職種の人間だろうと傷らしい傷は一つとして負わずに勝ってみせた
 
対魔獣においては
・百を超える魔獣を追い払った、討伐したなんて話は幾らでもある
・紋章魔法に使う素材も大抵は自分で回収した
・超大型の魔獣:海のレヴィノア、空のジズテライト、陸のクラウベヒモ*44の身体の一部を素材として持っていた*45
・生涯で十頭のドラゴンと戦い、九頭のドラゴンを討伐、一頭を追い払う事に成功しており、討伐した九頭の内、五頭はヒフミニ一人で討伐している。しかも、追い払った一頭についてはつがいで、雄の方が決死の覚悟で奮戦したから雌の方が何とか逃げられたという状態。もはや立場が逆である。*46
 
ついでにいうとノンフィー*47との制限なしなんでもありのバトルでワンチャンとはいえ勝つ可能性があるとのこと。*48

名前の由来:一二三二皆足すと(あとはお察しください*49)

カイリ・キオーガ

「罪人を捕まえ、裁くのは私たちの仕事であって君の仕事ではない。もしまた同じような事をするならば、その時は覚悟したまえ」
王立騎士団、オースティア王親衛隊に所属する赤髪の女性騎士。ゴーリの娘。
学園へはメルトレスが決闘の立会人になった経緯を確認しに来たり、ライ・オドルの父親であるルストー・オドルが逮捕された事に関連してライの身柄の確保と部屋の家宅捜索の為に来たりしている。
相手が王女だろうと生真面目で事務的な態度を崩さない人物。
名前の由来:怪力鬼

ラショナル・キャバリー

「さて、それでは話し合いを始めようかね。学園長殿」
王立騎士団オースティア王親衛隊、親衛隊隊長。厳罰主義者。
三人組の処分について、話し合いという名の通達を学園長へ行った。
名前の由来:rational(理性のある、合理的な)+cavalry(騎兵隊)

次兄メテウス~最新話

ディア・ボースミス

ボースミス伯爵夫人(正妻)。グラント、メテウスの母。伯爵家内の発言権は最上位。
名前の由来:dear(親愛な)

ドーラ

ティタンの生母。つまりボースミス伯爵の愛人という事になるが、浮気にしても大体ボースミス伯爵が悪いという事になっているようで、ディアやその息子たちとの関係は悪くない模様。80cm列車砲や「40秒で支度しな!」の人ではない。
ボースミス家内での公的な立場は不明だが、ティタンの存在が原因で波風が起きるような事態は可能な限り避けるよう努めているらしい。

キュクロ・マネジティア

「ティタン様、貴方は主の側です。従者である私に向けて軽々と頭を下げられては、他の方々に示しがつきません」
ボースミス伯爵家王都屋敷の管理人を任されている、白髪に左目を覆う眼帯が特徴的な老執事の男性。
礼儀作法が必要な場でボロが出ないようティタンに貴族らしい振舞いを身につけさせてくれとメテウスから言い含められているのか、ティタンがつい癖で使用人相手に下手に出るような態度をとると無言の圧力をかけてくる。
先祖にソフィアズカーニバルで登場したマネジティア男爵の同位体が居たらしい。
名前の由来:Kýklōps(キュクロプス、英語読みでサイクロプス。ギリシャ神話に登場する鍛冶に長けた単眼の巨人)

エレンスゲ・ニドグラブ

「へ、え、あっ、はい!わ、私、エレンスゲ・ニドグラブと申します。学園の六年生で、メテウス様にはいつもお世話になっています」
ボースミス伯爵家に仕え、村一つの運営を任されているニドグラブ男爵家の娘。
茶色の髪を腰まで伸ばし、前髪も金色の目が隠れるくらいまで伸ばしており、むっちりとした体型をしている。パッと見は小動物めいた雰囲気を漂わせている引き籠り系女学生なせいで、ティタンは身長はメルトレスよりも少し高いようだが並ぶとメルトレスの方が大きく見えそうだと評している。
ニドグラブ男爵家は代々丸っこい体型に温和な性格をしているらしく、領民と一緒に農作業に従事したりもしているようだ。当代もティタンが伯爵家に引き取られたばかりで立場が微妙だった時期から隔意なく優しくしてくれていたらしい。
彼女が紋章魔法を学んでいるのも領地運営と生活の為であり、戦闘能力はない。
入学に際しメテウスに後援者となってもらい便宜を図ってもらった代わりに、彼女は学内で築いた人脈を生かして学園内で起きている出来事などの情報を集めてメテウスへ報告している。
手製の像*50を通して離れた場所から様子を見聞きできる『人形遠視(ドールサイト)』という魔法を使える。まだ開発途中の魔法らしいがその有用性は語るまでもない。
メテウスが像を撫でたりメテウスに魔法の腕を褒められたりすると明らかに表情が緩む事からして、彼に上司部下の関係を超えた想いを寄せているようだ。
なおティタンとの顔合わせでは動揺したり気弱そうな姿を見せたりと頼りなさげだったが、メテウスの伝令としてメルトレスと面会した際には臆さず理を述べ提案を飲ませるなど信頼されるに足る芯の強さも有している。
名前の由来:Erensuge(エレンスゲ。スペインのバスク地方の伝承に登場する多頭の竜蛇。凶暴だが、額に卵をぶつけられると死ぬ)、knead(捏ねる)+grab(引っ掴む)

ハービュー・ターンド

「しかし、ハーアルターめ。もう少しセーレ嬢に対して積極的に出られないのか」
ハーアルターの叔父。ティタン達が707教室でお茶会していた時に、507教室で学園長・トレランス・メテウス・ソウソー・エレンスゲと共に出歯亀お茶会兼情報交換していた。
なお上記の台詞通り平民のセーレをハーアルターの嫁にすることに忌避感は無く、むしろもっと積極的にいけよとじれったく思っている模様。*51外堀はすでに埋まっているぞハー君。

マーキュリ・スクイル

「マーキュリ・スクイルと言います。初めましてティタン君。夫から貴方の話は常々伺っていたわ」
ソウソーの妻で、ソウソーより頭一つ分程身長が高い銀髪の女性。旧姓エスピオ。元は侯爵家令嬢ということもあり、貴族らしい強さ、美しさ、お淑やかさを兼ね備えている反面、一筋縄ではいかない性格をした女性のようだ。
実はソウソーたちの同級生で、戦闘能力もかなりのものらしい。ソウソーとの結婚は彼の諜報能力を見込んだ実家が取り込みを図った政略結婚という面もあるが、夫婦仲は良好な模様。
氷像のバジリスクで登場した真旗カッコウの同位体。*52
名前の由来:mercury(水銀)、旧姓はespion(フランス語でスパイの意)

エレメギル・コントラク・オースティア

「諸君、余の主催する舞踏会に今日はよく集まってくれた。諸君らの元気そうな顔が見れて、余も嬉しく思う」
オースティア王国国王。メルトレスによく似た赤い髪に橙色の目をしている。
国内情勢やボースミス家及び本人の人柄、そして何よりメルトレス本人の意思もあり、ティタンをメルトレスの伴侶にしてもいいと考えている。魔獣化能力の暴走の危惧さえなければだが。
とはいえやはり娘を見知らぬ男に盗られるのは面白くないようで、目の前でティタンがメルトレスを(彼女へ殺気を向けている異常な気配から庇おうと咄嗟に)抱き寄せたのを見て「あんの糞ガキャァ……」と呟きながら怨敵を見るような視線を向けていた。傍からは「ダンスが終わった後、彼女と離れるのを惜しんで思わず抱き締めた」ように見えるので仕方ない。

イマジナ・ミナタスト

「ええ、ええ、分かっております。哀れな豚ども……ああいや、豚よりは人形と言うべきですか、とにかく彼らと私は違いますのでご安心を」
ミナタスト子爵家当主で、黒い髪に金色の目をした男。王家主催の夜会で悍ましくもまとわりつくような気配を放ちつつ、ティタンと踊っていたメルトレスに対し野獣のそれよりも遥かに鋭く桁違いに濃い殺気を向けていた。
偉大な紋章魔法使いヒフミニ・ミナタストの子孫であり本人も魔法使いを志していたものの、才能が無く学生時代は下位紋章魔法までしか使えなかったらしい。*53
最近貴族主義者たちの仲間になり、王家主催の夜会を利用してティタンの抹殺を目論んでいた彼らの為に暗殺者の手配をしたが、実は彼らとは別の思惑で動いていて仲間意識の類はない。王族すら「紛い物の神を祀る一族」と蔑んでいる。
『箒星の神』とは異なる真の神、『理神』*54となのる存在の指示に従い、『理神』を復活させる為の贄としてメルトレスを狙っている。陽動として貴族主義者たちを利用しつつ、本来の目的の為の手駒を作る為の特定の通路を通った者へ『不死化(イモータル)』、『肉体限界超越(リミットカット)』、『思想操作(ブレインウォッシュ)』、『紋章刷り込み(インプリンティング)』、『強制隷属(エンスレイヴ)』という複数の禁術を感染させる仕掛けを施していた。彼本来の実力では禁術を使う事など不可能なはずだが、ライ同様に『理神』から力を与えられ可能になった。
ティタンの殺害および禁術で手駒にした者たちを使ったメルトレスへの襲撃が失敗に終わった後は魔法で姿を変え杖に擬態したルトヤジョーニを手に行方を晦ませた。

ミナタストの血

「そう、善も悪も私には関係ない。私が求めるのは究極の自己満足です。ですから……」
伝説の紋章魔法使いであるヒフミニ・ミナタストの直系、紋章魔法の名家ミナタスト子爵家の長子として、それに相応しい大魔法使いとなる事を望まれたイマジナ。しかし彼は魔力量が致命的に乏しかった。
剣士としての才能は並外れていたが、両親は紋章魔法使い以外の道を認めず、周囲からは初級魔法しか使えない無能と蔑まれるばかりだった。
そして遂に両親や弟たちを毒殺した彼は、屋敷の地下でルトヤジョーニと出会う事になる。

最終決戦

メルトレスが野外演習でオース山に入る事を知り、再び彼女を狙ってオース山へ侵入。罠に嵌めて殺した追手の死体を戦力に加えた彼だが、侵入を察知したティタンと交戦。死体はまとめて焼却され、魔法戦では翻弄された末にルトヤジョーニを破壊された上に右腕まで失った。
だがそのおかげで思考制御が外れた彼は本領を発揮。剣士として戦い逆にティタンを追い詰めはじめる。しかしついに致命的な一撃を与えられるという瞬間にメルトレスたちやソウソーが駆けつけてきた為、形勢の不利を悟って目晦ましをしながら離脱、まんまと逃走したと思われたが……。『肉体詐称』まで解除したティタンが作り出した「音速を超える速度で飛び、視認も音や気配や魔力による感知も不可能で、イマジナ以外の物は全てすり抜ける」という杭状の矢*55による狙撃で、心臓を貫かれて死亡した。

名前の由来:imaginary(虚数)

ミレット

「だからアンタたちもしっかりと弁えてくれ。報酬の件もそうだが、俺たちを切り捨てたりしたら……分かっているな」
貴族主義者たちがティタンを抹殺する為に雇った暗殺者のリーダー。胴にだけボロのマントを身に付け、顔は黒髪黒目以外に特徴がない男。裏稼業ながら職業意識は高く仲間意識も強い。得物は魔法でバールのようなものに変形できる剣*56
依頼主からは「顔だけで王女に取り入った」「王城内で襲われるとは夢にも思わず油断している」という過小評価バイアスがかかりまくった誤情報を掴まされ、いざティタンを襲撃すれば無力された後イマジナが仕掛けた禁術で理性を失った部下に自分まで襲われ、終いには身を守る為にティタンと共闘していたら化け物と化した部下ごとソウソーの雷属性魔法を浴びせられて気絶、そのまま捕縛されるなど割と不憫な人。
不正確な情報を掴ませた上に仲間へ禁術を掛け使い捨てるという裏切り同然の行為を働いた依頼主に対する仁義など守る必要はないという事か、捕縛後の捜査には非常に協力的らしい。
「ああ、気が付いたらそう言う事になっていやがった……濡れ手に粟の粟になった気分だったぜ……」
人柄や能力を評価されたのか彼自身が無罪放免となるだけでなく、彼が所属していた組織も裏稼業の割にはまともな組織だった事もあり暗殺稼業を廃業させた上でエスピオ侯爵家傘下の合法的な諜報組織として丸ごと抱え込まれる事になった。彼以外の構成員たちも働き次第で過去の罪を問われなくなる予定らしい。
エスピオ侯爵家麾下のイマジナ・ミナタスト捜索隊の一員としてオース山へ侵入しようとしてるイマジナを発見したものの、逆に罠に嵌められて報告する前に彼以外の隊員は死亡し操り人形にされ彼自身も重傷を負ってしまった。しかし仲間たちの仇であるイマジナへの怨みで気力を繋ぎ、なんとかイマジナ発見の報告だけは執念で成し遂げた。

ルトヤジョーニ・ミナタスト

ヒフミニ・ミナタストの一歳年下の弟。
兄には及ばないながらも超一流の紋章魔法使いであり、当時確立されていた八属性を使いこなし研究も出来、ドラゴンと戦った事もあれば、対軍や決闘も出来た。
しかし箒星の神の神殿への侵入を目論んでいたオッドアイの女*57と出会ったのを切っ掛けに手段を選ばない外道へ堕ち、最悪の紋章魔法使い、あるいは稀代の禁術使いと呼ばれるようになってしまった。
ヒフミニとの三日三晩にわたる戦いの果てに敗北したが、不完全ながらも自らを不老不死の存在にする事に成功していた為ミナタスト家の館の地下へと封印された。後世では国外の物も含めてほぼ全ての歴史書、記録、魔導書からその名前を消されている。
現在は『理神』と名乗っているが、これはあらゆる事象は全て理論や計算で説明できるという「ラプラスの悪魔」や「神は賽子を投げない」という言葉に象徴されるようないわゆる因果的決定論者だったからだろう。その為予測できない事態に弱いらしい。
『破壊者』は彼を「そう、奴は無理を理解できない。無理を有理のものであると頑なに言い続け、無理を無理として捉えられない。無理を有理として認識しようとした。無理を認識できた兄と違ってな」「そして傲慢にもこの世に無理など存在しないと決めつけ、自分が知る世界を理解できた程度でこの世の全てを捉えたと勘違いし、自らを理の創者にしようとしている。それが足掻く事を止め、もっと上の者がもたらす変化に流されているだけだとも気づかずにな」と評している。

ヒフミニの子孫であるイマジナを手駒として利用する事で復活しようとしていたが……

『そんな馬鹿なあああぁぁぁァ!?』
イマジナの先祖を騙って彼を利用し、更にメルトレスを贄に復活しようとしていたルトヤジョーニ。
しかしティタンの存在によりその計画は狂い、瓦解していった。
まず悪人の伯爵家の子息という表舞台で踊らせるにはちょうどいい手駒だったライが家ごと潰され、
仕方なくイマジナの面割れ覚悟で実行したメルトレス誘拐も失敗、
そして杖に成り済ましてイマジナと共に脱出、潜伏した後で再襲撃をかけようとしたものの即刻迎え撃たれてしまう。
イマジナと対峙しているティタンを背後から不意打ちを仕掛けようとしたが、それを察知していたティタンが放った『魂狩りの血矢』により上記の断末魔を上げながら肉体のみならず魂そのものまで破壊されてしまった。
しかもティタンにはルトヤジョーニと一緒だった頃よりも深手を負い一人になったイマジナの方が遥かに恐ろしいと判断されるなど、ラスボスかと思いきや実は外付け式弱体化パーツ*58でしたという残念な正体が明らかとなった。*59
そもそも彼は先祖と騙ってイマジナを利用していたつもりだが、実際はイマジナの方が騙された振りをして彼の力を利用していただけではないかという疑惑も浮上している
第184話で『魂狩りの血矢』対策を用意しており生き残っていた事が明らかになったが、そこへ現れた『破壊者』に彼我の実力差もわからず無謀にも攻撃を仕掛けようとした結果、息吹一つで今度こそ消滅させられた。

名前の由来:√8の二乗(無理数であり、電卓などで計算しても8にはなれない)


*1 なお作者曰く「ティタンの適性は妖>闇なのです」とのこと 2016年 01月 26日 13時 02分の感想返しより
*2 矢より早いといわれるエスケーピッドを弓のみで仕留める・弓で狙える射程ギリギリからアースボアの動きを先読みして目に的中させ仕留める なお前述の成果にはソウソーをして優秀と言わしめる気配遮断能力も一役買っている
*3 100m程先の木々の間に居るブランチディールの様子を詳細まで把握できる視力
*4 危険と判断したら迷わず引き返す
*5 一週間本編から離脱していても読者から気付かれないレベル
*6 なにせ名字がbow smith(弓職人)
*7 思い出補正で目標が実際の祖父より高くなっている可能性もある
*8 全員後述のピーコック程度ならば普通に狩れる
*9 主人公が考える一流=普通の狩人からは別次元過ぎて理解できない、超一流あるいは人間を辞めた超人@2016年 01月 29日 04時 30分
*10 髭については……たぶん、一日2cmは伸びてます 2016年 01月 05日 12時 40分の感想返しより
*11 頭を抱えた理由は自分が不敬に問われる事そのものではなく、それが原因で兄たちや家へ迷惑が掛かる事を心配したから
*12 体長は4m以上で全身は光を呑み込むような黒い毛に覆われている。猿のような右腕、虎のような左腕、脚は馬で、腰に蛇の尾を生やし、胴は猪のような硬い毛に覆われ、背には鳥の翼が一対生えている。頭は狼のそれに近いが、それに加えて牛のような角と、兎のような耳が伸びている。そして羊と鼠を掛けあわせたかのような奇怪な鳴き声をする。つまり十二支(辰除く)の生物で構成されている
*13 2016年 05月 08日の感想返し群から。ついでにいうとこの毛は大量の魔力を含むので紋章魔法の素材になるらしいが、それを他人に知られると碌な事にならないので剃ったり切ったりした後で燃やしているらしい
*14 『能力詐称中』に口調が荒くなるのもおそらくそのせい
*15 込められた膨大な魔力で対象を浸食、治すべき身体の形を曖昧にし、破壊と言う不可逆の変化でもってその状態を固定する。魔力現象で防げないと専門家らしき人が言っているため『不死化』以外の魔法も無効化する可能性あり
*16 某海月曰く「どんなに上手く理論化、効率化をしても、ドラゴンを丸々一頭使い潰すぐらいになる」とのこと
*17 おそらくヒフミニに狩られた番の竜
*18 曰く『私は壊す事が専門だ。何かを創る事は出来ない』 主人公を助けるためだから仕方ないね
*19 なお片手に本を持っていたことからこの時は読書しながら覚醒を待っていた模様。ちなみにこの本は外の世界の物らしい
*20 『まったく、待たせてくれる』と言っているのでいつでも出れるように待機していたようだ
*21 趣味と実益を兼ねているのは作者から否定されていないが 2016年 02月 06日 14時 22分の感想返し
*22 某海月曰く「人の振りをして、パン屋を営んでいる神なんて三千世界広しと言えども私の肢の数で数えられる程度にしか居ませんよ」とのこと。ちなみに海月の肢は多い場合千本以上あったりする
*23 自前とのこと
*24 なおこの世界の平均寿命は50~60歳程度
*25 経緯を説明された主人公自身も内心「今すぐに俺の事をクビにして、実験動物扱いにした方がいいのではないか」と思っていた
*26 護衛に持っていかれたお嬢様や元凶に持っていかれた相棒の例もあるので油断はできない
*27 2016年 01月 20日 13時 27分の感想返し
*28 「もしもこれが愛情であるならば……抑えなければならない」「けれど、私は私が彼に対して抱いている好意を大切にしたい」と考えている時点で本当は気付いているのに目を逸らしているだけなのかもしれないが
*29 なお作者も若干想定外っぽい→「本来はそのはずなんですけどねぇ…w」@2016年 01月 11日 18時 40分の感想返し 「当初はツンデレ狙いだったんですけどねぇ……」@2016年 02月 10日 13時 00分の感想返し
*30 王侯貴族や大商人の子弟含む優秀な人材が通い、教職員の中には国にとっても重要な人物も存在し、倉庫には貴重な物品の数々が収められているなど、極めて厳重な警戒が必要な場で働いている以上、怪しい異性に籠絡されて情報漏洩や不正取引、外患誘致などといった悪事に手を染められては困るというわけで、あらかじめ身元の確かな伴侶を宛がっておくという面もある
*31 正確には南瓜の魔法使いで登場した『輪廻』様の力で三馬鹿の因果から解放された後の転生体の同位体。因みに三人とも魔王だった同位体より総合的な戦闘力は上らしい
*32 魔法を併用すれば一部の上級魔法すら無効化できる
*33 絵描きとして食っていけるほど巧い。傭兵時代も状況説明や人相書などで有効活用していたようだ
*34 立案担当:メテウス、道具担当:コルテ、仕掛担当:ソウソー、実行担当:リーベリオ
*35 なお教職員や在校生は反感どころか侮蔑や憐みの感情すらない『今年も出たか』と言うような感じの生暖かい視線を向けており、いつになったら肉の正体に気付いてどんな反応をするか楽しみにしていた
*36 光の強さを弱める『仄暗い』の空間を通してなお太陽を直視したかのような強さ
*37 ソフィアズカーニバルの世界で流布している「土蛇ソフィアと英雄王シチータの悲恋」という物語がモチーフ
*38 親が伯爵でもお前自身はまだ無位無官だろうというツッコミは耳に入らない
*39 仮に許可が出ていた場合「勝手に行動した挙げ句、何かしらの魔獣の腹に収まるだけですねw」との事@2016年 03月 30日 04時 38分
*40 良くて楽に死ねる斬首刑、あるいは見せしめとしての残酷刑、悪ければ新しい紋章魔法の実験台という人ではなく実験動物として扱われた末の死
*41 私的な決闘を抑えるという意味では抑止でもいいかもしれませんが @2016年 03月 19日 12時 52分の感想返し
*42 名前から天属性が専門?
*43 転移魔法は意思魔法によるものを除けば、今でも彼以外には出来ていない技術
*44 これらは一体一体が山のような大きさを持つ超巨大魔獣
*45 倒すのにしても時間がかかり過ぎる、倒しても素材が余る、確実に勝てるとは限らないなどの理由から身体から素材を少し剥ぐだけに留めたとのこと 2016年 05月 15日 12時 54分の感想返しより
*46 一般的にドラゴンと言う魔獣は、人間がマトモにやりあって勝てるような相手ではない
*47 変態海月の巣くt…ゲフン、コンプレックス社の中でも実力のある方
*48 2016年 05月 15日 12時 50分の感想返し
*49 1+2+3+2=8、つまり人間(笑)の一人である
*50 ティタンが見たのは「自分の身体よりも大きな卵に翼の生えた蛇が巻き付いていると言う奇妙な造形をした素焼きの像」という、細工は見事だが他の調度品から浮きまくっている代物。なおこの造形は彼女の趣味であり、魔法陣は卵の内部にあるらしい
*51 勿論「魔法使いとして優秀なだけでなく、頭もよく回る女性」という貴重な人材を囲うという大人の事情が多分に含まれているが
*52 ただし今回はSAN値が減るような目にはあっていないので狂ってたりはしない
*53 本人も「卑小な才しか持たぬ」と自嘲しているが、魔力量に難があっただけで、例えば第164話で複数視点を混同せずに切り替えつつ平然と分析しているなど制御や処理能力そのものは並外れて高かったようだ
*54 彼は「ご先祖様」と呼んでいるが、実はイマジナではなく別の存在。作者は感想欄で「(読者は)誰も引っかかってくれませんでした」と苦笑していた
*55 それは矢と言えるのか?と突っ込んではいけない
*56 片刃で細身、つばは無い、先端は直角に折れ曲がっている。バールのようなものの打撃を受け止めようとした相手に対して当たる直前に剣に戻すことで致命傷を与える。バールのようなもの状と剣状のどちらが本来の形状かは不明
*57 明言はされていないが正体はBお母様の力の欠片を手に入れようとしてた混沌系邪神ことエブリラ=エクリプス。HASOより前の時代なのでまだニャーという口癖はない
*58 実際、イマジナに思考制限か何かを掛けていたらしい。大技を使うたびに勝ちを確信して油断していたのもそのせい?
*59 「彼はアバドモル係数いくつくらいですかね?ww」「0.5くらいは有りそうですよねぇwww」@2016年 06月 13日 21時 21分の感想返し