ソフィアズカーニバル/妖魔と英雄

Last-modified: 2023-08-05 (土) 00:38:12

主人公とその仲間

『変わり者の妖魔』四人組。
ヒトと相容れず、群れず、一か月も生き残れば長生き扱いな妖魔の中で、5年以上も集団で行動し続け、その後も関係を保ち時にはヒトと関わりながら生きているイレギュラー。
後世テトラスタ教で四柱の御使いと呼ばれ崇められている存在の正体だが、本人たちは便宜上そう名乗った事があるだけでヒトへ積極的に肩入れしているというわけではない。ただ、ヒト(食糧)がむやみに減るのは困るから、妖魔にとっても危険だから、個人的感情からなどの理由で結果的にヒトの利となる事も行った為に御使い伝説を残している。
同様にヒトの害となる事も多々行っており、特にソフィアとシェルナーシュとトーコは人妖の中でも特に強い力を持つ有名な存在として後世では三大人妖とも呼ばれている。

ソフィア

「あああぁぁぁ!ネリイイィィィ!!ネリーが私の両腕の中に居る光景を想像していたら、何だか興奮してきたわ。食べたい。今すぐマダレム・ダーイに戻って、ネリーの事を押し倒して食べちゃいたい。でも我慢しなきゃ!我慢を重ねれば重ねるほど、その時が来た時に感じるエクスタシーは高まっていくんだもの!そうは思わない!?サブカ!」
初出は第1話。主人公。
シュランゲ大陸の辺境、アムプル山脈の山中にあるタケマッソ村の近くで生まれた蛇の妖魔(ラミア)。身長は170cm。*1
外見はヒトにしか見えず身体構造もヒトに近いが、ヒトより数段優れた身体能力(とはいえ集団相手に正面から無双できるほどではない)と、高い隠密能力や折り畳み式の毒牙に暗視能力など蛇らしい数々の特殊能力を持つ。
容姿は茶色の長い髪に青い目、白い肌、百人中九十人くらいは美しいと判断するであろう整った顔という、胸が真っ平らな事以外は誕生時のモデル兼最初の獲物であるソフィア(ヒト)に瓜二つ。*2
人格的にもソフィア(ヒト)の影響を受けており、自らの名としてもなんだかしっくりくるからとソフィアの名をそのまま借用している。
元の服装は焦げ茶色のフード付きロングコートに膝上までのミニスカート。革っぽい不思議物質製の沓と掌に滑り止めの付いた指貫グローブ。そして何らかの力を発している金色の謎金属製の蛇の環の形の髪留めでポニーテールにしている。ネリーを喰らった後はフードにも黄金色の蛇の環が付いた。
身に着けているのはこれだけであり、下着はない。変態だ。下着というものが無い世界だからしょうがない。
因みに妖魔の衣服は半分体の一部扱いであり、損傷や紛失してもそのうちに再生する。汚れたら脱いで洗う必要はあるが、濡れても自分の意志ですぐに乾かせる。ヒト用の普通の服へと着替える事もできるが、髪留めだけは常に身に着けていなければいけないと本能的に感じているようだ。
なお、女性名かつスカート姿で一人称も私だが、性別的にはである。メンタルも揺ぎ無く男であり、男としての性欲もある。一方立ち居振る舞いや言葉遣いは完全に女のそれで、女性服を着こなす事にも全く疑問を抱いていない。ソフィアの中ではこれが自然に両立しており、女装キャラや男の娘キャラなどにありがちな、いわゆる男らしくない事に対するコンプレックスや女ではない事に対する苦悩といったものは皆無だったりする。なおヒトへの擬態中はスカート内を見られないようロングスカートを選び、更に丸めた妖魔服を胸への詰め物(偽乳)として使っているので、直接裸を見られたりしない限り第三者に男とばれる事はまずない。
自分の欲望に極めて忠実であり、目的の為には手段を選ばず、その為にどれだけ犠牲が出ようが駒として利用した有象無象の妖魔やヒトが殺されようが全く気にしないが、サブカとシェルナーシュとトーコについては友人と認識しており大事に思っている。

生態

妖魔は本能のままヒトを襲う災厄であり、知恵などないとされている。しかしソフィアは彼我の状況を見極め優先順位を付けつつ安全に狩る方策を練り、後々発生する可能性があるリスクを考慮して時には友好的な態度を見せたり詭弁を用いるなどの交渉術まで使いこなし、わずか数時間習っただけでヘニトグロ地方の共通文字を覚えるほど高い知性を持つイレギュラーな個体である。
捕食形態は不意打ちで噛み付き麻痺毒などを注入して無力化したり、身体能力の高さに任せて殺した獲物を頭から丸呑み*3するというもの。獲物の衣服類は消化の邪魔になりそうなので剥いでから呑む。ヒトサイズでヒトを丸呑みなんて無理がある?普通の生物ではないから気にするな、きっと胃袋は亜空間なので問題なし。流石に身長が3mを超えるような相手は不可能らしいがそんなヒトはおそらくいないはず。
生きたまま丸呑みする事で喰らった獲物が持つ知識や記憶を吸収できる。他者の記憶を取り込むと自我の混乱や崩壊を起こしそうだが、不要なものは圧縮して必要な情報のみを取り出せる仕組みなので心配ないらしい。
食欲については「数日だったら食べなくても大丈夫だろうけど……出来れば毎日一人は食べたい」らしい。味の評価は年頃の少女>幼い男の子>その他なのだとか。
因みに彼は前作『瘴海征くハルハノイ』の最終戦で三千世界にばら撒かれた『森羅狂象』の欠片を取り込んで生まれた個体である。通常の妖魔と乖離した性質だったり、時折狂気(インサニティ)を垣間見せるのもそのせい。

変態

その狂気は主に性欲方面で発露しており、第19話にて妄想力がかなり高い事が判明。その凄まじさたるや、それだけで(夜想曲的な意味で)逝きかけ、作者の栗木下氏が禁じ手(本文介入)を行使するほど。やっぱり変態だ。というかド変態って作者が公認した。しかもコンプレックス社社員と同レベルらしい。第26話でネリーへの溢れ迸る想いの丈を聞かされたサブカが、語り始める時の笑顔を見ただけでドン引きし語り終わった時は憔悴しきっていた、そんな変態ヤンデレ腹黒女装男子エロ蛇カニバー*4
なおソフィアは自分を「ごく健全かつ真っ当な思考の持ち主」だと思い込んでいて変態だという自覚は全くない。確かに普段は情報収集を怠らず論理的に思考しリスク管理を優先する冷静かつ慎重な性格なのだが…何かの拍子にスイッチが入ると周囲を気にせず妄想に耽ったり手段を選ばなくなる悪癖持ち。
「でも、こうなると、私ってばとても健全ね。ネリーを食べる為に街一つ落としたし、今でも時々思い出してはエクスタシーを感じているけど、これは妖魔として普通の事だもの」「えっ、なにそれ怖い」「そんな普通があって堪るか」

ヒトの社会ではアムプル山脈の奥にある無名の村出身の傭兵として活動している。
「それじゃあソフィア。改めて質問だ。この街に来た理由は?」
「傭兵としての仕事を求めてよ。ヒト相手でも妖魔相手でも構わないし、討伐でも護衛でも見張り番でも構わないわ。ただまあ、その日の食費と宿代を稼げるのなら、女給の真似事ぐらいならやっても構わないけどね。ああ、娼婦の真似事はお断りよ」
傭兵ソフィアとしての死を偽装し暫く行方を晦ませた後、シチータと20年以上戦い続けた結果蛇の妖魔(ラミア)の人妖「土蛇のソフィア」として知られヘニトグロ地方全域で恐れられた。
第4章では再びヒトに成り済まし、新興商会グロディウス商会のやり手商会長にして西部連合外交官兼将軍のソフィールとして活動していた。
第5章ではやたら凝った演出をしつつソフィール・グロディウスの立場を捨て、300年ほど世界を旅した後、レーヴォル王国に戻ったものの腐敗した王国の姿を見てやる気減退。しかし第二王女セレニテスの狂気を知って歓喜したソフィアは彼女と契約を交わし、セレニテス付きの侍女セルペティアとして暗躍した。
第6章では『神』の呼び出しに応じるため、グロディウス家から『不錆(アンルスト)』を持ち出し(パクり)*5、不帰の海の先へ。『神』=『秘匿(ハイド)』との会談を経てトリスクーミの管理者となった。まさかの御使い正式化。そして本編のはるか未来、ジニアスの時代でも、ヒトの社会に潜みヒトを喰らっている。
その後はどうやら神的存在化した様で、『信仰値カンストの神官、我が道を行く』にゲーム内でも新興の神「蛇と策謀の神グロディウス」が登場。
『『Scarlet Coal』-殴り魔は自らの欲を満たす』では彼モデルの「ブラックキーパー・ネラカーンγ・怨留」が存在。本人の方はかつて人間だった頃彼そっくりの女性とも遭遇したゾッタと交流がある(感想返しによると ゲームの運営仲間だそうな)事が明かされている
余談だが1000年以上生き続ける妖魔のソフィア達は、その存在維持のために必要なヒト喰い数が極めて少なく、嗜好品レベルまで下がっているとのこと。*6

旅路

ソフィア(ヒト)たちを喰らった後、夜中のうちにタケマッソ村へ潜入。彼の存在を知った男衆が山狩りに出て、女衆も収穫の仕事を始めて村内の警戒が緩んだ隙を衝き、ソフィア(ヒト)の家で衣装を、村長の家で路銀を確保した彼は、ヒトに紛れ込める外見という自分の特徴を生かし狩りを続けるべく手配書が回っていない場所へ行こうと南に向かい、都市国家マダレム・ダーイへと辿り着く。
なお道中では数日に一度のペースで野盗に襲われている。武装していない村娘風の(見た目は)美少女が一人で街道を歩いていたらカモ扱いされるに決まっているのだが、ソフィアには自覚がないらしく何故こうも絡まれるのか疑問に思っていた。食料の心配をしなくてもいいので、ある意味ではありがたいとも思っているが。まるで提灯鮟鱇や食虫植物である。なお彼が野盗を減らした分(逃げた者は放置したので全滅はしていない)街道が安全になったのかもしれないが、野盗以外の普通の旅人や途中の村の村娘も適当に摘み食いしている事を考えると、やはりヒトに利を齎しているとは言い難い。


マダレム・ダーイ到着直後から、関所を通る前にバレたりしないから大丈夫だと自分に言い聞かせたり、ドキドキしながら関所を通ろうとして衛兵に声を掛けられ挙動不審になったり、美味しそうな女の子を見て顔を輝かせた直後に首を振って我慢したり、迷子になったと告げるのを恥ずかしがったりと妙にかわいらしい姿を見せるせいで、感想欄にて「ソフィアちゃんを愛で隊」なるものが結成されたとかなんとか。だが女装男子だ。数々の変態発言もソフィアちゃんフィルター越しに見ると可愛く見えてしまうらしい。


マダレム・ダーイ滅亡から半年後にマダレム・エーネミを滅ぼし、フローライトの為にも私は私らしく生きなければならないと決意して五年。
懲りずに新たな戦争を引き起こしていた継戦派の連中を、時には強盗に見せかけ直接殺したり、時には他の妖魔を嗾けたり、また時にはヒトへ情報を流し断罪させるなどして全員殺し*7集団そのものを壊滅させることに成功したソフィアとサブカとシェルナーシュとトーコは、八つ当たりという名の後始末が終わり知恵ある妖魔の存在もバレた以上一緒に居る必要はなくなったとして一旦解散し自由行動に戻る事を決定。生存報告も兼ねて年に一度、夏の二の月の新月(マダレム・エーネミ滅亡記念日)にドーラム屋敷跡へ集まろうと約束して別れた。
普通の妖魔のようにただ腹を満たす事を目的に生きるのではなく、自分らしく生きる為にも自分らしい目標(策略、謀略、暗殺、知識の奪取、気に入った子を食べる事etc)を探す旅をしようと決めたソフィアは、「腐った卵のような匂いのガスと共に地面から湯が湧き出る」という不思議な話に興味を持ちシムロ・ヌークセンという小規模な街へと到着。高度な治療技術を持つ『黄晶の医術師』の回復魔法を手に入れようとしたが付け入る隙を見つけられず二週間で撤退。正面から挑むしかなく小細工を弄しても徒労に終わった敗北感と偶然ヒーラの記憶という成果を得た達成感という相反する感情を半分ずつ味わいながらシムロ・ヌークセンを去った。
サブカたちとの第一回定期会合の後は南へ向かった。南東部にあるマダレム・シキョーレ近郊でキキを喰らい手に入れた式神術という新たな力を使い、ヒトだけでなく妖魔にとっても危険な水の妖魔(ウンディーネ)を滅ぼす事に成功。しかしキキがいないだけならまだ水の妖魔(ウンディーネ)にやられたと誤魔化しもできたが、現場が地形は変わるわ今までなかった大木があるわと明らかに常識では考えられない何かが起きた状態になってしまった為、ドドルタスたちが戻ってくれば面倒な事にしかならないと考え足早に姿を消した。しかし「腕利きの傭兵ソフィア」の名は噂として広まってしまったようで、聞かれる度に「別人よ。そっくりだけどね」と他人の振りをしていた。


傭兵として十年近く活動しているのに(妖魔は不老なので)姿が全く変わらない事をそろそろ不審に思われるかもしれないと考えていたソフィアは、北西部にあるマダレム・シトモォでわざと死地と言ってもいい殿を引き受けつつ同じく殿を引き受けたシチータに「そろそろ傭兵稼業から足を洗って静かに暮らそうと思っているが、最近名が売れすぎたせいで穏便には引退できないかもしれない。なので死んだ事にしたいからそう報告してくれ」と偽装への協力を依頼し、ほとぼりが冷めるまで姿を隠す事にした。しかし新魔法の実験も兼ねて敵拠点を壊滅させたところで加勢に来たシチータに妖魔だとばれてしまい戦闘になったが逃走には成功した。
その後の定期集会で危険すぎるシチータとの接触回避や不老による不自然さへの対策として一旦ヘニトグロ地方から去ろうと決めた直後、マダレム・エーネミ跡へ攻め込んできたヒトの軍勢の中にいたシチータと再会してしまった。シチータの狙撃で重傷を負いながらも一命をとりとめたソフィアだが、助かった理由がサブカの命と引き換えだったと知り、サブカの遺品の剣を手に彼の死に恥じない生き方をしようと決意。英雄から逃げるのではなく英雄の打倒を目標に据えて行動する事となる。
ヒトが天敵であるはずの妖魔を数と知恵と武器で倒すように、妖魔も持てる手の全てを尽くせば、英雄を倒す事が出来るのではないだろうか。天敵であるはずの英雄を倒して見せる事こそが、私らしい生き方ではないかと。


それから二十年以上の長きにわたり、ヘニトグロ地方の各地を旅し、妖魔と武器を集め、策を練り、並のヒトどころか、そこらの都市国家ぐらいならば難なく滅ぼせるような戦力を整えては、何度もシチータに挑みその度に敗北を喫してきたソフィア。こう書くとヒトからはシチータの引き立て役みたいな目で見られて舐められそうだが、実際は全力で知力体力を駆使しながらシチータ(格上)と戦い続けたせいで策略も技量も鍛えられまくった上に仮想敵の基準がシチータ(変態)になっているという普通のヒトどころか並みの英雄にとっても絶望的な存在と化している。事実、功名心などからヒトや一般の英雄がソフィアに手を出しても返り討ちに遭うだけで、シチータが自ら指揮を執りながら直接ソフィアと戦い打ち負かすという形で撃退するのが常(=他のものでは止められない)な為、蛇の妖魔(ラミア)の人妖「土蛇のソフィア」と呼ばれ天災レベルの存在として恐れられて続けている。
そんなある意味やりがいに満ちた日々も、シチータが権勢欲に溺れた次男とその実家に毒殺されるという形で終わりを迎えてしまった。毒を盛られた事に気付き死期を悟ったシチータは、ソフィアと戦いながらサブカの魔石を持たせておくから生まれたばかりの孫を頼むと内緒話のような形で告げ、ソフィアもこれを渋々承諾。託された長男の娘を受け取りレーヴォル村の孤児院へと預け、自身は都市国家マダレム・セイメでシェルナーシュやトーコと共にグロディウス商会*8を設立し商会長ソフィール*9として活動を開始した。


更に十二年後。暴君ノムンによる圧政と戦乱で人々が苦しみヘニトグロ地方全体が混乱する中、グロディウス商会会長、マダレム・セイメ中央議会議員、都市政治相談役、西部連合外交官、傭兵部隊隊長兼軍師と重要な役職を兼任しており多忙な日々を送っていたソフィアは、レーヴォル村が南部同盟所属の部隊に略奪目的で襲われたのを知り急いで駆け付け辛うじて生き残ったシチータの孫セレーネを保護、少々予定より早いが機は熟したとみて成長した彼女へ出生の秘密を明かし後見を申し出た。セレーネが西部連合の王に就任した後は、彼女の臣下として施政や南部同盟との戦いを精力的に補佐していた。
そしてセレーネの手によりノムンが討たれ、レーヴォル王国が成立し、順調に復興と発展が進んでいく様子を確認したソフィアは再び妖魔ソフィアに戻り、将来王国に災いを齎すと宣言して世界を巡る旅に出た。


300年の旅を終え戻ってきたソフィアだが、腐敗した王国の変わり果てた様子に落胆。しかし偶然助けた第二王女セレニテスの抱える狂気が気に入ったソフィアは王侯貴族を滅ぼす代わりに彼女は身を捧げるという契約を結び、彼女付きの侍女セルペティアとして暗躍を始めた。
契約を果たしセレニテスを喰らった後は、先送りしていた『神』の呼び出しに応じるべく「不錆」を回収してから「不帰の海」の向こうにある島へと向かい、人間(ヒト・妖魔・英雄)の創造主である秘匿(ハイド)の依頼を受けトリスクーミの管理者(『秘匿』の保護者らしき存在)となった。
そして生まれてから1000年以上の時を経ても、彼はヒトを愛しているが故にヒトの社会に潜み、ヒトを喰らい続けている。

三大人妖の一人『土蛇』。御使い「告げる者、管理する者」ソフィールの正体。
他にも「妖魔の中の妖魔」「蛇の妖魔の王」「魔王」など多数の異名で呼ばれている。
語源:ギリシャ語の知恵(sophia)

  • ソフィアの攻撃手段
    高い身体能力と不壊のハルバードによる高威力な物理攻撃に、毒にまつわる固有魔法や喰らったヒトから吸収した知識を基に習得・開発した多岐に亘る魔法を組み合わせて使う魔法戦士タイプ。
    元々の警戒心や思考能力の高さに加え、ヒトを喰らう事で得た豊富な知識を活かした策略にも長けている。
    物理
    • 怪力
      相手の口を押さえながら全力で蹴り飛ばすと首のところで千切れて胴体だけ飛んで行ったりするので、ヒトの前では手加減が必須。…なのだが、大男でも持ち上げるのがやっとな大剣を軽々持ち上げたり、呼び寄せた大男をおもむろに横抱きしてみたり、酔っぱらいの集団を小さ目のワイン樽を抱き潰して威圧したりと、困った時は力押しで解決している印象が強い。中でも蛇の妖魔だけあって「締め上げる」のは得意であり、構造的に比較的弱い部分がなんとなくわかるらしい。
      それを見て驚いたヒトには「アムプル山脈の奥にある私の村*10の人間ならこれくらい普通です」「飯のタネをバラす程私の口は軽くないわ」と誤魔化している。夜目が利くのも山の中にいたからと語る。山育ちってすごい

    • 首筋などへ浅く噛み付き口内の毒牙から相手の血管内へ注入する事で効果を発揮する。ハルバードの刃に塗って使う事もある。後に『忠実なる蛇』へ仕込んだり、爪先から滲出させて爪を相手を刺したり爪で引っ掻いたり爪を弾いて口内へ飛ばしたりして毒を与えるなんて芸当も見せている。
      現実世界の蛇の毒はタンパク質でできており、血管へ注入すると毒性を発揮するが経口摂取しても胃酸で分解されて無害になる。これは蛇自身も自らの毒に対する耐性を有してないので、仕留めた獲物を丸呑みして自分の毒にやられるという間抜けな事態を防ぐ為。
      ソフィアの毒も基本的に同じ性質だが、ソフィアはある程度毒の性質をカスタマイズ*11して使い分ける事が出来る(通常の致死毒の他に麻痺毒、昏睡毒など)。複数の毒を混合した物を作る事も可能。
    • ハルバード
      無防備な女の一人旅と甘く見た野盗が頻繁に襲ってくる状態や野盗から奪った武器の粗悪さに辟易したソフィアが、周囲に戦闘力を持つヒトだと印象付けられて簡単に壊れたりもしないまともな得物が欲しいと考えマダレム・ダーイで購入した武器。
      選んだ理由は「扱う人間が扱うならば、どのような相手にも優位に戦える」万能性と、「アスクレオ商店で売られている武器の中で、このハルバードが一番頑丈そうで、妖魔の腕力で雑に扱っても壊れなさそうな気配を感じたから」。断じて誰も扱える者がいなくて売れ残っていた上に製作者不明なせいで返品もできず不良在庫として叩き売られていたからではない。いいね?
      独学なので技術的にはまだ使いこなしているとまでは言えないが、怪力故に振り回されることなく自在に扱えて防具や防御の上からも有効打を与えられるのでかなり強い。ソフィアが全力で振るい頭をかち割ったりしても刃こぼれ一つしないという頼れる相棒である。
      ウンディーネの初撃を受けても真っ二つになることなく背中から押されるように吹き飛ぶだけで済んだのも、シチータから急所狙いの三連射を受けて骨折と打撲で済んだのも、ハルバードが盾代わりになって直撃を防いでくれたから。ハルバードが無ければ即死だった。ネタではなく。
      柄と刃の接合部分には六脚、六翼、六角の細長い生物を描いたような紋章が普通のヒトの目には見えないぐらい薄く刻まれている。ソフィアには知る由もないが、実はこのハルバードはこの世界で作られたものではなくアウターワールドの混沌系邪神エブリラ=エクリプスが作った不壊特性付の逸品。ソフィアがこの紋章(『お母様』印)を認識でき、得物としてこのハルバードを選んだ理由もインサニティの因子が原因かもしれない。
      第4章ではソフィール・グロディウスが愛用する武器として知られ『不錆(アンルスト)』と呼ばれており、ソフィアの養子のウィズ・グロディウスへ譲渡された後はグロディウス家の家宝として代々受け継がれていた。
      第6章で『神』が言った彼女の所へ行くのに必要な壊れない『鍵』とはこれだろうと判断したソフィアに回収された。
    • 挑発
      威嚇や侮蔑が盛んに飛び交うマダレム・エーネミで発展せし豊富極まりない言語表現の数々を用いた、一言ったら十は返ってくる暴言ラッシュ。相手の心を抉り平常心を奪う。
    • サブカの剣
      物としてはありふれたごく普通の剣だが、サブカがシチータと戦った時に使っていた物。
      シチータが作った塚へ墓標代わりに突き立てられていた物を引き抜いて手に入れた。
      実戦で抜いて使う事はないが、第四部のソフィアはこれをずっと腰に提げていた。
      フロウライト開発後は柄をインダークの樹の枝製に変更している。
      ソフィアがずっと腰に提げていたせいか魔力を帯びるようになったらしい。
    • 妖魔の剣(ヒンドランス)
      第四部の準備編でソフィアが自らの持つ全ての知識と技術を駆使して打った三本の剣のうちの一振り。
      使役魔法で掻き集めた最高級の素材に加え、サブカの剣とソフィアの血、ついでに襲ってきた暗殺者たちも魔石などの装備ごと放り込んで熔かし合わせた金属を材料に作られている。
      ウィズへハルバードを譲った後はこれを主武器にしている。
      hindrance(障害、邪魔者)という名前故か、「大きな流れに反する小さな流れを探知、干渉しやすくなるという妙な力」を持っているらしい。
    魔法
    • 焼き菓子の毒(ブラウニーポイズン)
      ソフィアが(おそらく『大地の探究者』の魔法使いを喰らった後から)魔法で作り出せるようになった毒。一度に少量しか作れないが、通常の毒とは異なり経口摂取でも毒性を発揮するし、不要になれば握り締めて念じるだけで入れ物ごと消せるので証拠も残らない。
      見た目は琥珀色の液体で、甘く香ばしい匂いがする。混入したものに極上の風味を与え、一度口に含めば、二口三口と口に運ばずにはいられないが、一口含めばそれだけで全身が弛緩してしまう猛毒である。
      簡単に言えば即効性や依存性が極めて高い致死性筋弛緩剤。盛られた方は苦しむどころかあまりの美味さに夢中で貪りながら倒れ自分の身の異状にも気付けないまま死亡する。ある意味安楽死?
      ただし通常の毒同様ソフィア自身も耐性を持たないのは変わらない*12為、使用するのは自分は口にしない事が前提かつ対象を喰らう気がなく殺す事だけが目的の場合に限られる。
      マダレム・ダーイで『サーチアの宿』の女将と客を皆殺しにしたり、アスクレオと戦った時にハルバードに塗っていた毒もこれ。
    • 手招く絞首台(アトラクトガロウズ)
      マダレム・エーネミとマダレム・セントールを滅ぼした魔法。魔石を使った二つの仕掛け*13の間を通った水を全て毒へと変質させる。
      変質した毒水は濃厚な蜜のように甘い香りを放っており、その匂いを嗅いだものは精神操作により正気を失って匂いの出所を探す事しか考えられなくなる。*14そして黄金色に輝く毒水を見つけ我先にと争うように口にした瞬間、今までの甘い香りとは正反対の強烈な苦味により正気を取り戻すと共に呼吸が出来なくなり、最後はまるで見えない何者かによって首を絞められているような感覚を伴って死亡する。その死体は穴という穴から体液を垂れ流し、表情は絶望のみで彩られているという。
      効果のえげつなさだけでなく効力が一週間も続くという戦略兵器じみた魔法だが、仕掛けを作るには大量の魔石が必要かつシェルナーシュの協力も必要、更に対象とする場所の水源が一ヶ所のみで外部から干渉可能という地理的条件を満たす必要もある為、どこでも使えるようなものではない。上記の二都市はベノマー河という同じ河沿いにあり、共に唯一の水源として都市全域に張り巡らされた地下水路へと引き込んで利用していた為に絶大な効果を発揮した。
      ちなみにマダレム・セントールの下流に手招く絞首台を解除する為の魔石を事前にセットしていたので、他の都市は被害を受けていない。運悪く河付近を通ったヒトが犠牲になった可能性はあるが。なお事後に他の都市が調査をしたとしても、せいぜい魔石の残骸くらいしか見つからないので具体的に何が仕掛けられていたのか解析するのは不可能らしい。
      第4章ではリッシブルー暗殺の一環で忠実なる烏に仕込んでいたため、毒自体は仕掛け無しでも作れるようだ。
    • ヒトの魔法
      マダレム・エーネミで数代前のペルノッタの知識を手に入れた事により魔石の加工が可能となり、「着火(イグニッション)」などのヒトが使う魔法も利用できるようになった。『闇の刃』の魔法だけでなく、『大地の探究者』の「土よ波打て(ソイルウェイブ)」のような他流派の魔法も『闇の刃』流のフォーマットに合わせてアレンジすれば使用可能。独自の魔法も開発している。
      • 黒帯(ブラックラップ)
        フローライトが愛用していた魔法。ソフィアにとっても使い勝手がいいのか、いくつかのアレンジバージョンも開発している。
        • 撤退(プルアウト)
          『黒帯』の魔法を改造して作った、緊急退避用の魔法。
          服に仕込んでおいた魔石へ魔力を流し込み発動させると黒い帯のようなものが溢れ出し、半分はソフィアの胸部に巻き付き、もう半分は目にも留まらぬ速さで目標地点へ延びて端を固定。完了次第黒帯が縮む勢いを使って自らを射出し、矢のような速度で移動するという仕組み。
          基本的に個人用だが、術者が相手を抱えたり相手が術者に掴まる事で仲間も一緒に脱出させる事が可能。同行できる上限は不明だが、最低でも武装した傭兵含めて4人*15は平気で運べるようだ。
      • 耕作(プラウ)
        地面を空気と掻き混ぜ、マトモに立つ事すら出来ない程に柔らかくする魔法。
    • 式神術
      マダレム・シキョーレ近郊でキキを喰らった事により使えるようになった使役魔法の一種。
      『大地の探究者』の魔法使いが即席で砦を作ったように物を操作するだけの魔法ならば他の流派にもあるが、この魔法は使役対象を己の意のままに操るだけではなく感覚を共有する事も出来るので、攻撃や防御のみならず囮や偵察などにも使える応用範囲の広さが特徴。いわゆる使い魔にする魔法と言えば近いかもしれない。
      ただし普通の操作魔法よりできる事が多い分契約という手順を踏む必要があるし、使役中は操作に気を取られて術者本人は無防備になりやすい、さらに契約中の状態では他のものと再契約できないという難点もある。(どうしても契約解除したければ専門の術者に掛かる必要がある。つまりソフィアには不可能)
      ソフィアは「土」、つまり大地そのものと契約しているが、元の流派では非生物との契約は危険すぎる為に禁止されている。
      本来は生物相手にそれなりの時間を掛け交渉してから契約を結ぶものなのだが、ソフィアは水の妖魔(ウンディーネ)を滅ぼす為に元の流派では禁止されている「非生物相手の性急な支配契約」を強行。大地との契約には成功するものの周辺一帯の地面から受け取る膨大な情報の波や感覚の不一致に飲まれかける。しかし今まで喰らった数多のヒトの記憶を追体験してきた経験やヒロインたちの強い想い*16で自己定義を強化して乗り切り、見事に制御する事に成功した。「要約すると変態がその変態性をもって己が変態のままであることを守った」ともいう。
      熟達した結果自分の体の一部のように操るだけでなく、地脈を利用して『忠実なる蛇』の維持に必要な魔力を皆無にしたり、敵の足元に大穴を開けたり、離れた場所に声を届けるスピーカーのようなものを設置したりもしている。
      さらに第5章の序盤でしれっと使役範囲を「土」だけでなく「火」にまで拡張している。*17ただし土と違って火には実体がないせいで、使役を維持するには魔力を消費し続ける必要があるし、視覚や聴覚などの感覚器を与える為の媒介を仕込むのも困難、更に万が一使役魔法で繋がったまま予期せぬ外的要因で火が消えてしまったりするとソフィアの精神にも少なくない影響が生じるなど、土を対象とした使役魔法よりも遥かに危険で使い勝手も悪い。その為、火の使役魔法を使うのは特殊な状況を除けば基本的には燃やしたいものだけを燃やす時ぐらいという、劣化リベリオとでもいうべき能力に留まっている。
      式神術の発展系魔法一覧
      • 忠実なる蛇(スネークゴーレム)
        ソフィアが式神術を使って作り出した土製の蛇。
        粒子の細かい土を集めて作った「耳」で疑似聴覚を、水晶玉を埋め込んで作った「目」で疑似視覚を持たせている。
        非生物と契約するのみならず存在しない感覚器まで与えるというキキが所属していた流派ではありえない存在。
        厳密に言えば同じ土なのは変わらないし水晶玉自体に物を見る機能はないのでわざわざ感覚器擬きを作らなくてもよさそうだが、蛇の妖魔(ラミア)である自分と縁深く身体構造も熟知している生物の蛇を模す事で魔法の行使や感覚の同調を容易にする為らしい。
        遠隔操作で門の閂を開けられるくらい精密な動作が可能なだけでなく、大きさも用いる土の量を調節すれば任意のタイミングで自在に変更できる。小蛇を物陰などに潜ませ偵察に使ったり、簡易砦の監視台の上部まで届くほどの大蛇にして見張りを絞め潰したり、大蛇から小蛇へと脱皮するように大きさを変える事で廃棄した土を使って門を塞いだり、使役する土の範囲を変更し続ける事で疑似的に地中移動させたり埋蔵物の発掘回収に使ったりと汎用性が非常に高い。
        しかも土で出来ているので、埋め込まれている魔石や水晶を破壊されない限りはいくら攻撃を受けても自動修復され行動不能にならない。シチータは魔法そのものに干渉して術者のソフィアへ直接フィードバックダメージを与えるという非常識な事をしてきたが。
        ただし術行使中のソフィア本人は無防備になりがちなので、行使前に予め安全地帯なり護衛なりを確保しておく必要がある。
        第4章では改良された結果、一体だけでなく複数を同時に制御できるようになったり、内部に毒と牙を仕込む事で小蛇状態でも敵の排除が可能になったり、大蛇に乗り込んで目的地を指定すれば半自動的に潜行と浮上を繰り返しながら馬の全力疾走と同程度の速度で高速移動出来たり、上半身に巻き付けて詰め物(偽胸)兼可変型防具にしたり、蛇型ではなく球状にしたものを通信機として渡したりと汎用性が高すぎる魔法になっている。
      • 再燃する意思(リキンドルソウル)
        魔石となった直後の妖魔に土の身体を与え、魔石を形成している意思に沿って、土の身体を動かさせる魔法。
        額には元になった妖魔の魔石が消える間際の蝋燭の炎のように揺らめきながら強く輝く。元になった妖魔の魔石の魔力かソフィアからの魔力供給が切れると、全身を赤く染め上げた土塊となって崩れ落ちる。
        わかりやすく言えば手駒として利用した他の妖魔を、死んだ後も更に扱き使える死霊魔法(ネクロマンシー)
        殺したはずの敵が蘇るというインパクトだけでなく、元の身体よりは脆く動きもやや鈍いものの、攻撃して身体の一部を破壊しても痛みで動きが止まることなく周囲の土で自動的に修復しながら襲ってくるという相手にとって悪夢のような魔法。しかも死の直前に抱いていた「ヒトを殺し喰らうと言う意思」を実現すべく自律行動するので、複数を同時に暴れさせてもソフィアが制御に専念する必要が無い。
        とはいえ基になる妖魔の魔石(意思を司る魔石)は死亡間もないものでなければいけないし、術を使用しても必ず起動するとは限らない。また自律行動という事はソフィアの思惑通りに動かない可能性もあり、身体への攻撃は無視できても額や体内の魔石を破壊や奪取されれば当然維持できなくなるし、ソフィアの魔力の消耗が非常に激しい。(初めて実戦投入した時、十以上多重起動したせいもあるだろうが生まれて初めて魔力不足による飢餓感で正気を失くしかけた)
        後に燃費などの改良に成功し、ソフィアが姿を隠したまま大量の妖魔をこの魔法で復活させ続けシチータに波状攻撃を仕掛ける作戦を実行した結果『シチータ王と不死の妖魔』という逸話が生まれている。
        第四章では次の「ひとことはゆるし」や御使いサーブ降臨に使ったもののようなアレンジバージョンも開発している。
        • 再燃する意思(リキンドルソウル)・ひとことはゆるし
          レイミアを説得する為に、セレーネの求めに応じる形で調整した魔法。
          ヒトの遺骨や遺留品から読み取った情報を元に、生前の姿や人格を短時間だが再現する事が出来る。
          あくまでも残留思念などの情報を使った再現であり、降霊術の類ではない。また身体能力や技術などは再現できないので会話くらいしかできない。ソフィア曰く『蛇は骸より再び生まれ出る(カドゥケウス)』の劣化版とでも言う魔法。
          ソフィアがレイミアの両親を再現した際は、長く見積もって3分程度と考えていた効果時間が10分以上も続き、しかもソフィアの消耗も想定の半分ほどで済んだらしい。ソフィアはレイミアの両親がこの世に残した未練が多かったからだろうと分析している。
        • 再燃する意思(リキンドルソウル)・御使いサーブ降臨(仮)
          琥珀蠍からサブカを復活させる為に使った魔法。
          御使いサーブの降臨を演出する為、生前のサブカそのままの姿ではなく、腕の数は四本ではなく二本になり、尾は無くなり、体を覆うのは赤い甲殻ではなく黄金色の鎧に変化している。
          更に通常の再燃する意思と異なり額から魔力の光を放たないようにしてあり、本人の意思というものも明確に有している*18だけでなく、御使いサーブとして振舞ってもらう為に必要な知識や記憶も渡してある。
        • 再燃する意思(リキンドルソウル)・再燃せし復讐の巨人(仮)
          「「「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」」」
          「「「コ゛ロ゛ス゛ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛!オ゛マ゛エ゛ヲ゛コ゛ロ゛ス゛ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛!!」」」
          「「「カ゛エ゛セ゛!ツ゛ク゛ナ゛エ゛!ソ゛ノ゛イ゛ノ゛チ゛ヲ゛モ゛ッ゛テ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛!!」」」
          対ゲルティアン戦で、御使いサーブ降臨に使った魔石を再利用して使ったアレンジ(?)魔法。
          まだ魔力が残っていたので、ノムンたちに無実の罪や言いがかりで処刑され遺体は弔われもせずゴミ捨て場へ廃棄された多くの人々の殺意、害意、悪意、復讐心といった意思の残滓を用いて小型の土人形を複数作り出しゲルティアンへ突っ込ませて攪乱しようと特定個人ではなく場所を対象に発動したのだが…。
          中古とはいえ規格外の魔石を使用し、なおかつ彼らがノムンたちへの怨念という共通する意志を有していたせいか、単体かつ上半身のみだが全長10mにも及ぶ巨人が発生。ゲルディアンが防御用に作った土壁をあっさりと砕きながら殴り飛ばすなど、魔力切れで自動解除されるまで一方的に攻め立て少なくないダメージを与えている。もし動力源に魔石ではなく蛇は根を噛み眠らせるを使い無尽蔵の魔力を供給していたら更に巨大化し城全体を破壊するなどもっと酷い事になっていただろう。
          あまりのヤバさにソフィアも「ひいいぃぃ!?」と彼らしからぬ悲鳴を上げ、「とりあえず今後は……再燃する意思の魔法を使う際には、個人や範囲をきっちり定めて使う事にしよう」と決意しているほどである。
      • 忠実なる烏(クロウゴーレム)
        鳥の形をした偵察用飛行型ゴーレム。
        飛ばす都合上軽量化の為に中空になっているので単体では攻撃能力はないし忠実なる蛇と違って地脈を利用できないので稼働時間にも限度はあるが、遠くを見る手段がせいぜい物見塔から眺めるくらいしかないこの世界で相手に悟られる事無く上空から様子を俯瞰できるというのはとんでもないアドバンテージである。例えば戦場で相手の陣容や部隊の動きなどをリアルタイムで容易に把握出来ると言えばわかりやすいだろう。
        • 忠実なる烏・穢(ダーティクロウゴーレム)
          南部同盟の策に乗せられてフロウライトへ攻め込もうとした東部同盟の軍へ使ったアレンジ魔法。
          材料として肥溜の土を使い、中には治癒の魔石を仕込んである。
          食糧を駄目にして戦闘どころではない状況に追い込めばある程度は撤退するだろうと考え20羽ほど作って敵陣の食糧庫へ突撃させたのだが、腐敗を促す為に土中の虫や腐敗菌を活性化させようと治癒を発動させた結果ヤバい菌まで活性化してしまい汚物のみならず病原菌や毒まで撒き散らしながら大爆発。ソフィアの想定を遥かに超える阿鼻叫喚の地獄絵図を招いてしまった。
          ソフィアもやりすぎたと猛省、操る為に感覚を同調させた際の不快感が半端なかった事もあって本当に危険な時以外は使わないと封印指定した。
          なおこの魔法がリリアやトーコにバレると間違いなくこっぴどく怒られるらしい。リリアは治癒の魔石が使われているせいで『黄晶の医術士』の関与を疑われれば今後の流派の活動に悪影響が出るから。トーコは食べ物を粗末にしたから。
          この魔法により発覚した治癒魔法(厳密には活性化型魔法)の危険性を重く見たソフィアがリリアと情報を共有し対策などを話し合った結果、それまで原因不明だった術後の感染症や産褥熱の原因が判明するという副産物も生まれている。
      • 忠実なる箱庭(ガーデンゴーレム)
        忠実なる蛇や忠実なる烏で得た情報を基に精巧なジオラマを作る魔法。
        地形などを再現するだけでなく、勢力別に色分けした上で指揮官などは駒、一般兵は人数に応じた大きさの山などに形分けすることでヒトの動向も把握できる。
        忠実なる烏で得ている情報をリアルタイムに反映させたり、忠実なる蛇を使って拾った声も流せたり、一度確認した状況を後から何度も繰り返し再現できるなど作戦の立案や戦況の分析をする上で反則級もいいところな魔法なのだが、ソフィア自身は既存の魔法を組み合わせただけで別に新魔法でも何でもないと考えており、忠実なる箱庭という名前も「呼び名が無いと面倒だって事で適当に付けた名前」だったりする。
    • 金色の蛇の環の魔法
      トリスクーミに存在する従来の魔法とはかなり毛色の異なる、ソフィアの切り札ともいえる魔法。
      『森羅狂象』の因子を持つが故に異界と通じる「穴」となったソフィアが、無意識のうちに受信した異界の神の情報を基に開発した魔法である。
      第5章で異界からの干渉を懸念した『神』よりインダークの樹を介してこれらの魔法の使用を控えるように言われたのだが、ソフィアは「従う理由が無い」というわけで無視してその後も平気で使っている。
      • 蛇は骸より再び生まれ出る(カドゥケウス)
        ソフィアの持つ金色の蛇の環の中へ封じられている魂に、土製の肉体を与える魔法。
        姿は生前のままだが身体能力が並みの妖魔を上回るほど強化されており、本人の人格そのものなので会話も可能。(ただしソフィア(ひと)の場合、環の中でソフィアの所業を見せつけられ続けた結果性格が変わっていた)
        疑似蘇生と言っても過言ではないが、発動条件などが色々と面倒な魔法らしい。
        土以外の材料も使って大幅に能力を引き上げたり、あえて自意識を持たせずソフィア自身の分身として使う事も可能。
        名前の由来:caduceus(ギリシア神話の伝令神ヘルメスが持つ杖、ケーリュケイオンのラテン語名。二匹の蛇が絡みついた形状をしている)
      • 蛇は根を噛み眠らせる(スヴァーヴニル)
        『妖魔の剣』の特殊能力を利用し魔力の流れを操作する為の魔法。蛇の形をした魔力を送り込んで、弱らせたい流れの力を喰らい、増幅したい流れに力を与える。
        地脈に使う場合はあまりにも膨大な魔力を扱う為、もし制御に失敗したり後始末をせず放置したりすると地上が吹き飛び辺り一帯が百年単位で不毛の地と化すらしい。
        なおゲルディアン戦で用いている通り、スケールダウンして対個人用に使い相手の魔力の流れを一部狂わせることも可能。
        名前の由来:svafnir(北欧神話の「眠らせる者」。ユグドラシルの下にある3つの泉のうち、ニヴルヘイムにあるフヴェルゲルミルの泉に住む無数の蛇の頂点に君臨する七匹の蛇の中の一匹。常に枝を噛んでいるという)
      • 蛇は八口にて喰らう(ヒノカワ)
        『妖魔の剣』を形状変化可能にする魔法。
        効果としてはソフィアのイメージを再現する形で刀身を瞬時に変形させるだけと非常に地味だが、ソフィアの思考能力と変形速度で使うと素早い伸縮で相手の防御をすり抜けるように躱したり、刀身を伸ばしつつ細めて兜の隙間を縫いながら入り込みそのまま刃を曲げて首を刈る、一瞬で部屋内にいたヒト全てを切り刻むなど、初見では防御不可能な恐ろしい攻撃と化す。
        名前の由来:肥河(簸川とも書く。島根県にある斐伊川のこと。素戔嗚尊はこの川の上流で八岐大蛇を退治したとされる)
      • 蛇は罪を授ける(サマエル)
        自身の有する記憶と知識を転写した液体を生み出す魔法。
        この液体を摂取した人物は転写した記憶と知識を得る事が出来る。圧縮した情報を一度に与えられるせいでその処理以外に思考を割く余裕がなくなる為、副次効果として処理が完了するまで相手は強制的に行動不能状態に陥る。
        通常、口では説明しづらい事柄について伝える際に使う魔法であるが、一部の毒が量次第では薬になるのと同じように、込める記憶と知識の量次第では強力な毒にもなる。特にソフィアはその気になれば一万年分以上かつ自分が死ぬ瞬間も含んだ記憶と知識などという桁はずれの代物を込められるので、大抵の生命体は情報の奔流に自意識を押し流され神経細胞も耐えきれず死滅し問答無用で死ぬ。*19
        名前の由来:Samael(イスラエルに伝わる死を司る天使。その名は「神の毒」、「神の悪意」の意味をもち、赤い蛇と呼ばれることもある。カバラではエヴァに知恵の木の実を教えた蛇と同一とされる)
        余談(活動報告の小ネタより)

        実は蛇は骸より再び生まれ出る(カドゥケウス)蛇は根を噛み眠らせる(スヴァーヴニル)蛇は八口にて喰らう(ヒノカワ)蛇は罪を授ける(サマエル)は金色の蛇の環無しでは使えないという設定。
        金色の蛇の環になった少女と使えるようになった魔法の対応、および各魔法をゲーム的に効果を表現した場合以下の通りになる(一部ifを含む)。
         
        蛇は骸より再び生まれ出る(カドゥケウス)』:ソフィア(ヒト)
        ゲーム的には分身を生み出して、1.5回行動可というところ。
        第317話で出てきた電波情報元:ギリシャ神話の伝令神ヘルメス。二匹の蛇が絡み付いた意匠の杖を持つ
         『親父ってばまた信者の娘に手を出して、ヘラさんに怒られているでやんの』と言う誰かの笑い声を伴う言葉。
         
        蛇は八口にて喰らう(ヒノカワ)』:ネリー
        ゲーム的には超高命中&超高クリティカル攻撃。
        第317話で出てきた電波情報元:日本神話で素戔嗚尊に退治された八岐大蛇
         『あぁー、スサノオちゃんにまた酌をしてもらいたいんじゃあー、殺されてもいいからしてもらいたいんじゃあー』等と言う明らかに酔っ払いが言っている雰囲気のある言葉。
         
        蛇は罪を授ける(サマエル)』:ヒーラ
        ゲーム的には術者の経験値がそのまま攻撃力になる攻撃+強制一時停止+敵の強化(耐えれれば)
        第317話で出てきた電波情報元:旧約聖書に出てくる堕天使。イブ(エヴァ)に知恵の実を食べるよう唆した蛇の正体とされる。
        『我が主ぅぅぅ!貴方様の為ならば、私は喜んで地獄に落ちましょうぞおおおぉぉぉ!』と言うあまりお近づきになりたくない性格が滲み出ている声。
         
        蛇は根を噛み眠らせる(スヴァーヴニル)』:キキ
        ゲーム的にはMPダメージ+魔法が関わる現象のファンブル率増大
        第317話で出てきた電波情報元:北欧神話で世界樹の根元に棲んでいる蛇
         『根……うま……枝……うま……眠い……うま……』と言う大丈夫かと思わせる声。
         
        以下は本編では対象者を喰らわなかったり使用する場面が無かったりで登場しなかったもの。 
         
        蛇は闇より出でて皆喰らう(ザッハーク)』:フローライト
        闇と影から蛇を出現させ、敵対者を攻撃する。
        なお、闇と影には敵対者の体内に存在しているものも含まれる。
        ゲーム的には範囲闇属性ダメージ+即死(抵抗失敗)
        第317話で出てきた電波情報元:古代ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する暴君。悪霊に唆され父を殺して王となり、民には悪霊の呪いにより両肩から生えた蛇に喰わせる生贄を捧げさせていた。
         『一日一人!人間の脳みそが今日も旨い!』と言う他の部位も食えと言いたくなる言葉。
         
        蛇は不死を奪い嘲笑す(シーブ・イッサメルアメル)』:ペリドット
        不老不死不滅の無効化効果を攻撃に付与する。
        つまり神相手でも殺せる可能性あり。
        ゲーム的には最大HPへの直接攻撃(ソフィアが使うなら最大HPの吸収攻撃)。
        第317話で出てきた電波情報元:古代メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』に登場する蛇。ギルガメシュの目の前で不老不死の霊草を奪った*20
         『プギャー!目の前で不老不死の霊草を奪われて、ねえどんな気持ち?ねえどんな気持ち?』と、非常に腹が立ってくる声。
         
        蛇は悪疫と厄災をもたらす(ホヤウカムイ)』:セレニテス
        周囲の空間を変質させ、その領域に入った生物を病魔、瘴気等によって攻撃する。
        変質した空間はソフィアが解除するか、より強力な魔法で上書きしなければ消えない。
        ゲーム的にはスリップダメージと肉体系の状態異常を付与する空間を展開する。
        第317話で出てきた電波情報元:アイヌ神話の翼を持つ大蛇の姿をした魔神。悪臭により草木を枯らし人間も近寄り過ぎれば爛れて死ぬが、冬は活動が鈍る
         『ギアヒャヒャヒャ!腐り落ちろ!枯れ果てろ!火を焚け!火を焚け!』と、まるで熱病に浮かされたように激しく言い続ける声。

サブカ

(憔悴しながら)「ソーデスネー……」
「いやうん、気にするな。俺は今まで自分の事を特別な妖魔、変わり者の妖魔と思ってきたが、お前に比べれば遥かに健全で普通の妖魔だと認識させられただけだ」
初出は第25話。
マダレム・ダーイの南にある森を根城にしていた蠍の妖魔(ギルタブリル)。身長は203cm。
マダレム・ダーイでも「狩人の姿を見た途端に逃げた妙な妖魔」として噂になっていた。
巨体の全身が光沢のある甲殻で覆われており、腰布の下からは蠍の尾が一本伸びている。また通常のギルタブリルが四足歩行であるのに対し彼は二足歩行な為、腕が四本ある。蠍顔ながらロボアニメに出てきそうなイケメンだが、妖魔服はボロ布二枚。このようにヒトとは明確に異なる容姿なので人妖としては扱われていない。
ヒトを見ても脊髄反射で襲わず、勝てるか分からない相手には挑まないという自制ができる事からわかるように、彼も妖魔には珍しく知性を持つイレギュラーな個体である。
五人組の狩人に追われていたところをソフィアの介入で返り討ちする事に成功した後、借りを返す為かソフィアのマダレム・ダーイ襲撃作戦に手を貸す事にした。なおサブカという名はその時ソフィアに付けられた。
元は素手だったが、マダレム・ダーイ襲撃時ソフィアに倣うように衛視から奪った剣を各腕に一本ずつ装備しその利便性を実感してからは、妖魔の膂力を活かした四刀流スタイルを基本とするようになった。身体能力が高い上に、ニ腕で攻撃を受け止めつつ同時に残りのニ腕で攻撃でき、更に尻尾の毒針という暗器もある為、「相手が剣士でタイマンならまず負けないでしょうねぇ……強い」*21との事。(あくまでも「普通のヒトの剣士相手なら」であり、某世界の剣聖半魔王のような例外的存在は無理)
四人組の中では最もヒト基準での善人に近い考え方の持ち主であり、それ故に妖魔としては最も異常な存在。目に入ったヒトは悪人以外救おうとし、大勢のヒトが助かったと聞いて安堵し嬉しそうな表情を浮かべ、ついでに獲物がヒトの女性だと喰らう前に犯したくなるという雄の妖魔の本能も欠けている。たった一人の少女を少しでも美味しく喰らう為だけに都市一つを滅ぼすというソフィアの思考の理解できなさに恐怖すら抱いていたが、彼自身も地下倉庫に閉じ込められこのままでは蒸し焼きにされるか餓えるかで死ぬしかなかったヒトの子二人に対し、たまたま空腹ではなかったとはいえ「何となくだが気分が悪い」と襲うどころか後で脱出できるよう細工を施し明日の昼まで外へ出るなと警告も残しておくなど、妖魔の中では変わり者と言う次元では済まない程におかしい存在である。

2章以降の動向

マダレム・ダーイ滅亡後は、ソフィアと同じく単独行動に戻った。その際「機会があったら必ず呼ぶ」というソフィアの言葉に軽く手を振って是の意を示したところ、数か月後に妖魔間の噂ネットワーク(伝言ゲーム)で「お前ひとりでマダレム・セントールの地下調べてからマダレム・エーネミまで来い(意訳)」と無茶振りもいいところな呼び出しを受ける事に。しかもこの調査、ソフィアが『闇の刃』で戦略なり諜報なりを担当している適当なヒトを喰らって情報を奪えば事足りるので特に必須ではなく、一応サブカにも直接調べさせておこう程度の理由だったりする。
彼の性格上聞かなかったふりで無視もできず、合流して情報を渡せば労力に見合わない程度の扱いが目に見え、更にソフィアだけでも持て余していた変態が三人に増加…誰か彼によく効く胃薬を差し入れてやってください。変態度が悪化していたソフィアや魔法以外興味ないシェルナーシュと異なり、明るく裏表がなくて自分と同じ近接戦闘要員なトーコとは意気投合したようだ。なお協力の対価として「自分が選んだ5つの条件*22を満たす一家族を逃がす事」を要求、ソフィアもそのようなヒトならば逃がし方次第では利益が大きいと判断し了承した。一週間という期限内に彼が探し出したのがテトラスタ一家で、彼らがマダレム・エーネミから脱出するよう誘導する為に打った芝居(台本はソフィア)で名乗った身分こそ『御使い』である。
彼にとっても許せない存在だった継戦派を滅ぼした後は一人でヘニトグロ地方各地を旅しているが、その際「ヒトとして許されざる行いをしている者、自らの意思で自分に戦いを挑み負けた者しか食べない」という誓いを立てている。
これは友人であるソフィアたちに心配を掛けたり他の妖魔から白い目を向けられ裏切者扱いされても殺し喰らうヒトを選ぶと言う傲慢な生き方を捻じ曲げる気はないという彼の譲れない一線であり、喰らってもいいと思える獲物が存在しなければ自殺もしくは餓死する事を選択すると言う覚悟の現れである。事実一週間ヒトを喰わず餓えを感じ始めた際には正気を失いかけた時すぐさま自分の首を刎ね自害できるよう剣を抜こうとしていた。
とある森の近くで出会ったガオーニとジーゴックの二人と共に討伐した野盗の拠点で発見した羊皮紙を読み*23許せぬ所業だと激怒したサブカは、後に他の妖魔を率いて周辺の複数の都市国家へ攻め込みリストに載っていた何人もの政府関係者や商人を殺害した。このように過激で性急な手段をとったのは時間を掛ければ更に被害が増える可能性があったのと、ソフィアと違って潜入しての暗殺などが困難で指揮能力にも劣る為に力押しするしかできなかったせいだが…事が終わり冷静になった彼は巻き添えで殺されたヒトの存在を思い胸を痛めていたとか。しかし理由や事情を知らないヒトからすれば妖魔の大群を率い都市国家を襲った凶悪極まりない妖魔でしかなく、四本腕の蠍の妖魔サブカの悪名は否応なしに高まりその首には賞金が掛けられることになった。

継戦派殲滅までの5年間で『知恵ある妖魔』の存在がヒトに知られるようになってしまったのはだいたい彼のせい。
ただでさえ目立つ異形な上に、相手が標的ではない善良な一般侍女や小間使いだと見逃したりするので目撃証言が広まり、眉唾物の噂扱いだった『知恵ある妖魔』の存在がヒトの間でも事実として扱われるようになったからだ。その結果、後世ではマダレム・ダーイ滅亡などの主犯はサブカだという説が主流になっている。
ソフィアたちからすれば自分たちの存在そのものがヒトにとって常識外すぎるせいで疑われないという最大の利点を台無しにする愚行と非難されてもおかしくないところだが、「どうせいつかはばれる事で、それが多少早くなっただけ」と割り切っているのか、その事に対し彼を責める気はないらしい。マダレム・エーネミ滅亡時に「いい武器が無いか見繕ってくる」という口実で彼が別行動を取った時も、実は生存者を逃がそうと思い探しに行ったと薄々気づいていて見て見ぬふりをしていた。*24

vsシチータ

諸々の事情からマダレム・エーネミでの定期集会を今回で最後とし、ほとぼりが冷めるまでヘニトグロ地方から離れる事を決めた妖魔四人組。いざ解散しようとしたその時、大勢のヒトが攻め込んできた。
その中には「出会ったら戦おうとせず逃走に専念する」と申し合わせたシチータもおり、一度は離脱したもののシチータの狙撃によりソフィアが殺されかけているのに気付いたサブカは引き返して追撃を妨害、そのまま戦いを挑んだ。劣勢の中でも諦めずにシチータの隙を伺っていたサブカだが、そこへ盗賊集団(依頼を受け妖魔と戦いに来たのではなく、戦場の混乱に乗じて財宝を盗みつつ他のヒトを襲って所持品を奪うのが目的のハゲタカ)が乱入してきた為に一時休戦。シチータと共に100人以上の盗賊を殺す事には成功するものの、元々シチータとの戦いで消耗していた上に盗賊から他のヒトを庇いながら戦った結果満身創痍となってしまった。しかし半死半生の状態ながら逃げも言い訳も命乞いもしようとはせず邪魔が入って中断した戦いを再開し、ついにその生涯を閉じた。討ったシチータも彼を武人として認め「俺はお前と戦えたことを感謝する」という餞の言葉を送り、サブカが使っていた剣を墓標とした塚を作っていた。
わずか十年余の生*25だったが、彼がテトラスタ一家を逃がすよう要求した事が切っ掛けでテトラスタ教が生まれ、テトラスタの子供たちの活躍で多くの人が助けられ、見返り無く善良なヒトを救おうとした彼の遺志を継ぎ『名も無き騎士』となった人々が後世も活動している事を考えれば、彼の生には大きな意味があったと思いたい。

琥珀蠍

彼が死して変じた魔石は、手のひらほどもある大きさや中に蠍の形をした立体的な影が見えるという特徴的な外見だけでなく、ある特異な性質も持つ事から「琥珀蠍」と呼ばれ英雄王シチータを象徴する無二の至宝(玉璽とかその類)として知られている。
その性質とは身に付ける者に資格があるかどうかを魔石自身が判断し、認められない者は触れる事すらできず、逆に特に認めた者に対しては魔石が守護の魔法を使って直接的な攻撃から自動的に持ち主を守るというもの。ただし守護の魔法の結界ごと拘束して生き埋めにするなどの間接的な攻撃は防げないので過信は禁物。
魔石が所有者として判断する基準はテトラスタ教の教えに従って良いか悪いかであり*26、これはテトラスタ教の司祭も認めている。
シチータの死と共に行方不明になっていたが、十二年後シチータの孫娘で長男フムンの忘れ形見であるセレーネを新たな所有者として再び歴史上に姿を現した。
なおシチータの生前に琥珀蠍から拒絶されたシチータの次男ノムンは「一切の加工が出来ず、所有者の意思とは関係なしに動き続け、身を守る事しか出来ない出来損ないの魔石」呼ばわりしていたが、追い詰められた彼がセレーネを道連れにしようと放った最後の攻撃を琥珀蠍に防がれたのは皮肉といえるだろう。

御使いサーブの再臨

レーヴォル暦三年、秋の二の月(八月)、マダレム・サクミナミ攻防戦にて特別な再燃する意思(リキンドルソウル)*27*28で"全身に黄金色の鎧を身に付け、金色の鍔を持つ剣を右手に、銀色の鍔を持つ剣を左手に持ち、二本の剣と蠍が描かれた紋章付きのマントを身に着けた大男"御使いサーブとして復活。微弱な魔力を万を超える数の複製兵たちに放ち、自らにターゲットを集めるとともに『英雄の剣(ヒーロー)』と『ヒトの剣(ヒューマン)*29をもって複製兵を圧倒*30、指揮官のマルデヤ周辺を手薄にすることで、リベリオのマルデヤ討ち取りに貢献した。
マダレム・サクミナミ外の戦闘が終息し、戦場を後にしたサブカは誰にも阻まれる事無く真っ直ぐにセレーネの元に歩いて行き、『ヒトの剣(ヒューマン)』を授けた。ここまではソフィアの計画通りだったのだが…
 
直後ソフィアの計画を外れてリベリオに歩み寄り『英雄の剣(ヒーロー)』を授けると*31、自発的に再燃する意思の魔法を解除。琥珀蠍の魔石と身体を稼働させるための魔石を密かに地中に移動させつつ、見た目には満足そうに頷きながら砂塵となって跡形もなく消えると言う、御使いに相応しい消え方をした。セレーネとリベリオの恋愛事情について、ソフィアより詳しいサブカ*32は、ばっちりお膳立てしていったわけである。*33やったねリベリん!御使いの後ろ盾が得られたよ!これにより御使いサーブの加護として「恋する二人の守護者」も追加されたのだとか。
一方ソフィアはこの事態にかつてない程に混乱し*34*35、思考停止しかけたが、ペリドットの説得(物理)により回復しノムン討伐に意識を戻した。流石ペリドット、有能な護衛である。
この降臨劇により残存魔力はかなり減少してしまったものの、流石サブカの魔石と言うべきか消滅する事無くセレーネの手に戻り最後の戦いでも彼女の身を守っている。

消滅、そして

レーヴォル王国の国宝として受け継がれ、代々の王の選定や守護を担っていた琥珀蠍。しかし王国成立から約150年後、当時の女王の身を守ろうとして遂に魔力が尽き消滅している。
その事件後は王家の正当性を保持する為に普通の琥珀を本物に似せて加工したレプリカが作られたが、選定能力が無く誰でも所持できるレプリカは単なる権力闘争の道具と化してしまった。やがてレプリカである事を隠す為か王が身に着けるのではなく宝物庫で死蔵されるようになり、本物の『琥珀蠍』の具体的な性質や本物が既に失われているという情報も忘れ去られていった。*36
所有者の選定基準がテトラスタ教の教えに従った生き方をしているかどうかだった事から「サブカ打倒の功績を称えた御使いが英雄王シチータの為に手を加えた」という説もあった琥珀蠍。それが失われた時こそ、レーヴォル王国そのものの腐敗が始まった事を象徴する瞬間だったのかもしれない。


……レーヴォル王国が滅び、群雄時代を経た後、ヒトの間では『人妖狩り』*37が横行するようになる。後世では暗黒時代と呼ばれているその時代は、ある修道士の元に御使いが現れ教えを授けた事が切っ掛けとなり終わりを告げたとされている。
その真相を問うたジニアスに対し、ソフィアはこの件についてソフィアもシェルナーシュもトーコも関わっていないと断言している。でも御使いは現れたと語るソフィアは、楽しそうに、まるで長らく見なかった友と再び出会えることを喜んでいる様にも見えたという。
「でもそうね。もしかしたら本物の御使いが、新しい御使いが、私の知らない内に何処かに生まれているのかもしれないわ。それなら説明も付くわ」

御使い「守る者、支える者」サーブの正体。最初の『名も無き騎士』の正体でもある。
名前の由来:副(sub)官

シェルナーシュ

「小生は魔法について知りたいな。昨日の連中との攻防だけでも、世の中には小生が知らない魔法が数限りなくある事は確信できたし、小生としては一つでも多くの魔法を使いこなし、ゆくゆくはその深奥に到達したいと思っている。ふふふ、たった一つの魔法だけで千のヒトを薙ぎ払い、天候を変え、大地を揺らすことなどが出来れば実に……」
初出は第44話。ソフィアと直接接触したのは第45話。
ソフィアが来る前からマダレム・シーヤに潜伏していた蛞蝓の妖魔*38。身長は165cm。
外見は短く切り揃えられた赤い髪と黄色の目をした、ソフィアよりも頭半個分ほど背の低い少女。
先端に魔石のような石を填め込んだ杖を持ち、身体のラインを分からなくするようなローブに頭一つ分の高さが有るとんがり帽子と、いかにも魔法使い然とした衣装を身に着けている。服は妖魔本来の服装そのままで、杖はヒトの魔法使いに擬態する為その辺に落ちていた石と木の枝を組み合わせてそれっぽく自作したもの。
ソフィアやサブカと同じく理性ある『変わり者の妖魔』である。狩場を固定すると行方不明者の住所や目撃情報などから場所を絞り込まれ足が付く可能性がある為か、街中を移動して毎日宿を変える生活をしていた。
シェルナーシュは生まれた時点で三つの魔法を行使できたらしいが、特殊能力は壁や天井に張り付いたり唾液を多少酸性に出来る事くらいで、身体能力も外見通りのヒト並みでしかないしヒトを喰らう事による能力底上げも魔力関係に注ぎ込まれるという極端に魔法特化したピーキーな能力をしている。
一つでも多くの魔法を使いこなし、ゆくゆくは魔法の深奥を極めたいと語る探究心の強い(マッドな)魔法使い。しかし本人が最も欲しい魔法の一つである、ヒト並みの身体能力という弱点を補える身体強化魔法に関する素養はほぼ皆無らしい。
なお、現実の蛞蝓が雌雄同体*39なせいか、蛞蝓の妖魔であるシェルナーシュは両性具有である。見た目は完全に少女で胸もあるが、股間には女性特有のものだけでなく男性特有のものも付いている。一人称が「小生*40」だったり二人称が「貴様」だったりと男性的な口調で話すのもそのせいかもしれない。
因みにソフィアはシェルナーシュに対し本能レベルでの苦手意識を抱いている。同様にシェルナーシュもトーコに対し腰が引けているし、トーコもソフィアに睨み付けられると動けなくなる。これは「蛇は蛞蝓に溶かされ、蛞蝓は蛙から逃げられず、蛙は蛇に食われる」三竦みの関係にあるというヒトに伝わる(真偽不明な)古い伝承のせい。
もっとも普段のやりとりでは対等かソフィアの方が主導権を握る事が多い。これはソフィアの方が押しが強いというだけでなく、ソフィアはその伝承を知っているからこそ逆に普段から恐れる必要は無いと理解している面もあると思われる。とはいえネリーとの思い出に浸ってトリップするソフィアへ冷静にツッコミを放ったり、ソフィアが暴走しかけたと聞いて拘束した上で乱心した理由を問い質し杖で殴り飛ばすなどストッパーになりうる人材なのは確か。
普段はソフィアに対して容赦ないものの、断固拒否していた台本を空気を読んで演じたり、落ち込んでいるソフィアへ不器用な優しさを垣間見せたりと実はツンデレさんである。
継戦派の最後の一人を殺しソフィアたちと別れる数週間前、パッと見柄の無い金貨が填め込まれたピアスを手に入れた。これは大量の魔力を注ぎ込む事で宝石(任意の性質を持たせた疑似魔石)を作り出せる魔道具らしい。ただし必要魔力量の関係でヒトには使いこなせない(親指の爪ほどの大きさの宝石を4つ生み出すのに、小屋全体を覆い尽くせるほどの魔力が必要)。*41魔道具としては金貨部分が本体であり、シェルナーシュはピアスからペンダントへと加工している。

3章以降の動向

解散後は春から秋にかけては各地を放浪して魔法に関する知識を蒐集し、冬になるとマダレム・イーゲン近くの森に作った小屋で自分が構築した理論を基に弟子(テトラスタの次女シューラ)を鍛えて検証するという生活をしていた。シューラの事は口では「馬鹿弟子」呼ばわりしながらも才能や実力を認めており、妖魔に弟子入りするような奔放すぎる彼女の将来を心配したりもしている。やはりツンデr(酸性化
なおいつごろからかは不明だが、喰らうヒトは犯罪者などの居なくなっても問題の少ない人物を優先しているようだ。*42
『イーゲンのマタンゴ退治』の影響で妖魔に対する警戒が増しているマダレム・イーゲンへ近寄るのは危険だと考えたシェルナーシュは、餞別として自分の研究の成果をまとめた魔法理論書をシューラへ託す事にした。そして別れが迫ったある日、ついに完成した本『シェーナの書』を前にシューラに対する信頼や期待の言葉を告げたところ押し倒されてしまった。妖魔だが外見どおりのヒトの少女並みの身体能力しかないシェルナーシュは自分よりも大柄なシューラに抵抗できず(性的な意味で)喰われてしまった。わっふるわっふる。*43
この事はかなりのトラウマになったようで、後日ソフィアたちとの定期集会で近況報告をした際には思い出し泣きしてトーコに慰められており*44、シューラと直接会う事はなかった。*45それを機に人嫌いは拗れる一方となり、後世では御使いシェーナは人間嫌いな性格と伝えられている*46。なお『シェーナの書』の装丁に描いた蛞蝓の胴体に四つの宝石が埋め込まれているデザインは、後世では珠蛞蝓と呼ばれシェーナの英知にあやかりたい魔法使いたちが好んで身に着ける意匠となっている。


4章ではソフィア・トーコとともにグロディウス商会を設立、ソフィアがセレーネ・リベリオを保護した後には二人の魔法関係の教師兼セレーネの護衛役を務めている。なお、セレーネが持つ琥珀蠍が本物でありセレーネが正当な琥珀蠍の所有者である事を確認してもらう為に呼び寄せたテトラスタ教の司祭たちの護衛を取りまとめていた息子(ルズナーシュ)と 偶 然 に も 初対面を果たし*47親子漫才一悶着起こしたようである。
マダレム・サクミナミ攻防戦では"木、金属、宝石を組み合わせた杖を持ち、金属製のコインのペンダントを身に付け、背中部分にシェーナの書でも使われている四色の宝石を取り込んだ球形の蛞蝓の絵が描かれたフードを身に付けた性別不詳の少年"御使いシェーナとして参戦。西部連合、東部連盟の合同軍右翼より客星爆散(ノヴァクラスター)を放ち、七天将軍五の座イレンチュ率いる南部同盟軍左翼を消しとばす…だけに留まらず、地面の大半がめくれ上がり、堅牢なマダレム・サクミナミの城壁を一部崩すまでに至った。万を超える軍勢を薙ぎ払い、地を震わせられたので、あとは天候を変えるだけである。
御使いとしての仕事を終えた後は、適当な馬を奪い取り、塵幕(ダストカーテン)静寂(サイレント)の魔法によって周囲の視線と声を遮って撤退、戦場から姿を消した。御使いっぽくない…
その後はグロディウス商会に戻ることなく行方を晦ませ、一人で世界を巡る旅を始めた。


5章では300年の間に世界各地で色々やらかした*48後、ソフィアがレーヴォル王国に戻ったことを機に合流。表向きにはセレニテスの滞在する屋敷の書庫の管理人シエルとなっている。なおヒト嫌いは300年の間により悪化していた模様。
『セントレヴォルの大火』後はまた単独行動に戻り、レーヴォル暦948年時点でも生存しているようだ。

三大人妖の一人『魔女』。御使い「探究する者、学ぶ者」シェーナの正体。
名前の由来:殻(shell)無し

  • シェルナーシュの魔法
    大魔法使いと呼ばれるに値する膨大な魔力を持ち、修得魔法も応用範囲が広く使い勝手のいいものが多い。
    第3章時点でも後世まで通用する魔法理論を構築するなど発想力や思考力の高さを見せていたが、第5章では物理学(特に原子論)的考察という数百年は時代を先取りした理論を基に魔法を開発改良している。(ソフィアですら現象そのものについての説明は理解できても原理に関しては全く理解できない)
    一覧
    • 乾燥(ドライ)
      一定範囲内を異常乾燥させる魔法。
      同時に複数の相手を脱水状態に陥らせ行動不能にする事ができる。十分な時間を掛ければ生きたヒトをそのまま乾物にする事すら可能で、その場合血が出ないので後始末も容易という便利な魔法。ただし即効性に乏しく対象がその場から動かない事が前提なので、人目に触れない場所で屯っているヒトや何らかの理由でその場から動かないヒトを狙うなど状況を見定めて使う必要がある。
      シェルナーシュはこれで作った干し肉を袋に入れ常備食として持ち歩いているが、食べやすいよう骨を取り除くなど加工しているので仮にヒトに見られても素材が何かを悟られる心配はまずない(ソフィアも口にするまでヒトの肉とわからなかった)。水分が抜け味が濃縮されている分生肉より美味いらしい。
    • 酸性化(アシドフィケイション)
      一定範囲内に存在する液体を強酸性に変える魔法。
      直接体内へ干渉できる為、狙いさえ正確なら相手の防御を無視して即死させられる。しかも何かを飛ばすわけではない為射線を見切って回避する事が出来ず、対象以外も何が起きたのかわからないという恐ろしい魔法。もっともシェルナーシュは当初対象の身体全体を効果範囲にして全身の血液や体液を一度に変質させるという形で使用していた為、発動まで時間がかかりすぎる上に相手が少しでも移動すれば空振りしてしまう実戦向きでない魔法と思っていた。
      しかしソフィアのアドバイスにより対象の全身ではなく心臓など体内の一部のみをピンポイントで狙うよう変更した事で大幅な詠唱時間短縮と魔力節約に成功、実戦で素早く連発できるほど使い勝手が向上して非常に凶悪な魔法となった。
    • 接着(グルー)
      異なる固体間に魔力の網を浸透させ、固体が接触している部分を僅かに溶かして液状化させた上で混ぜ合わせた後、混ざり合った状態のまま固体へと戻す事で二つの物質をくっつける魔法。接着面そのものが融合するので継ぎ目のない滑らかな仕上がりになる。
      素材を選ばないので、木と石で出来た壁を補修したり、相手の身体や服を地面や床とくっつけて行動を阻害したり、壁に掛けた梯子を固定したりとアイデア次第で幅広く使える魔法だが、くっつけた物を無傷で剥がす魔法をシェルナーシュが覚えていない為本人は乾燥や酸性化に比べ使いづらい魔法と思っている。乾燥と酸性化の使い勝手が良すぎるだけで、これも非常に汎用性が高く便利な魔法なのだが。実際、敵の魔法使いを無力化する手段としてこの魔法で口を接着し詠唱不能にするなんて事もしている。
      第四章では城門の城壁と城門前広場全域を覆う広域発動すら可能になっている。また分離(デタッチ)という解除用魔法を使用可能になっており、セレーネのペンダントトップの外殻を外して中の琥珀蠍を取り出したり、マダレム・シーヤ攻略戦において接着で行動不能にした敵の兵士を武装解除後解放する際に使ったりしている。
    • 静寂(サイレンス)
      ソフィアが得た数代前のペルノッタの知識を基に開発した、範囲内から範囲外に向けて発せられる音の大きさを著しく小さくする魔法。
      範囲内にいるソフィアがネリーとフローライトへの愛を全力で叫んでも、範囲外にいた面々には優れた聴力を持つサブカ以外内容をまともに聞き取れなかったほどの高い遮音性能を持つ。*49
      シェルナーシュの感覚的には接着に近い魔法らしく、作者によれば「空気同士をくっつけて振動しないようにしている感じです。たぶん」とのこと。つまり境界面における空気の分子運動を抑制する事で外部への音(振動)の拡散を防ぐという仕組み。つまり内部での物音には一切影響を与えない為、範囲内に入っていても魔法の影響下にあると気づかれにくい。
      原理上音だけでなく空気の流れも制限されるので、テトラスタへの啓示の際には室内に充満させたマカクソウの煙を外へ漏らさない為に使われた。
    • 塵幕(ダストカーテン)
      普通の目ではまるで向こう側が見通せない程、濃い土煙が噴き上がらせ、なおかつその場に留める魔法。静寂の発展魔法?
    • 客星爆散(ノヴァクラスター)
      「収束点指定」「接着網展開」「水平座標の原位置を記録した上で収束点への収束を開始」
      「鋭き剣、硬き鎧、芯たる骨、調律者たる腸、生命の証たる血肉、慟哭する魂……」
      「皆々、鏃と成りて、原点へと舞い戻り、森羅噛み砕き、食い破り、突き通せ。解放、客星爆散(ノヴァクラスター)
      突き出した杖の先を基点に扇状の魔力の網を展開して範囲内の者を拘束した後、掛かったものを収束点へと引き寄せ圧縮。引き絞った弓から矢を放つように、圧縮した物が水平方向で元の位置へ戻ろうとする勢いを利用して目にも留まらぬ速さで撃ち出し一帯を薙ぎ払う魔法。簡単に言えば砕いた人体を飛ばすグロいパチンコ。複製兵ではなく生身の兵士に使った場合には、もがき苦しみながら押し潰され……(以下略)
      発動には長い詠唱が必要なだけでなく、魔力消費も激しいのであらかじめ例のコインで宝石状魔石を複数作っておき魔力を補う必要がある。
      南部同盟との決戦で御使いシェーナに扮して使った際は、この魔法一発で一万を超す兵士を壊滅させ、地面はめくれ上がり、余波でマダレム・サクミナミの城壁の一部も崩壊させている。あとは天候も変えられれば夢成就
    • 固定(フィックス)
      物体の座標を固定することで、あらゆる外的要因による移動や破壊を阻止する魔法。シェルナーシュが解除するか、固定能力を上回る攻撃を撃ち込んで破壊しない限り永続する。*50
      300年後の王国にてインダル・レーヴォルの部屋を固定・外から隔離した際には、王室付きの魔法使いが総出して事にあたっても解除は出来ず、小型の破城鎚を使っても鎚の方が壊れ、英雄の力を持ってしても傷一つ付かないという堅牢さを見せつけた。
    • 空這い(エアクラウル)
      空中を音も風も発生させず多少蛇行しながら移動する魔法。杖に腰掛けて使うようだ。低燃費な魔法で、この魔法によってシェルナーシュは海を完全な独力で越えられるようになった。
      なお「速さはそれほどでもない」とのことだが、比較対象がトーコの空跳ね(スカッフォルド)であるため、実際はそれなりのスピードで移動する。*51
    • 液体化(リクファイ)
      効果範囲内に存在する物質の分子間力の結合を緩め形状の維持を不可能にさせる魔法。ヒトも装備も全てが液体に変化し混ざり合ってしまう。
      シェルナーシュ自身は「体内の魔力をきちんと認識できている相手*52には効かない、半ば欠陥魔法のような代物」と語っているが、ソフィアの『黒帯』よりも発動が早い上に、もし範囲内のヒトが抵抗に成功しても装備は奪えるので魔法が成立した時点で対象は確実に無力化されるという極めてエグい魔法である。

トーコ

「それでね。それでね。この前食べた適切に血抜きをしたお肉に塩を振って程よく焼いたお肉なんて、一口口に含んだだけで……」
初出は第44話。ソフィアと直接接触したのは第54話。
単身夜闇に紛れ傭兵や魔法使いの集団にまで襲い掛かる凶暴さと、遺体を切り刻み一部を持ち去るという猟奇さでマダレム・シーヤを震撼させた連続殺人鬼、通称女屠殺屋(ミス・ブッチャー)の正体である蛙の妖魔*53。身長は160cm。
外見は黒髪赤目でベレー帽をかぶった少女。妖魔本来の服装はボディラインがそのまま出ている紺色の袖なし服(ぶっちゃけて言えばスクール水着)にスカート、ブーツ、オーバーニーソックス(いわゆる絶対領域)。普段はその上からヒトの服を着ている。
身体能力に特化しており、特に瞬発力や跳躍力に優れているようだ。得意戦法は一瞬で間合いを詰めて首や喉を切り裂く一撃必殺。初登場時の武器は鉈二刀流だったが特に思い入れがあったわけでもないようで、ソフィアとの戦闘(芝居)で壊れた後はポケット等の収納部位を増やす改造を施した妖魔服(スク水)にナイフなどの複数の武器を仕込んでいる。
自分に素直な性格でちょっと頭が緩い。感情のままに暴走して色々とやらかしたり、少し込み入った話が始まるとついていけずにフリーズしては「トーコだから仕方がない」と放置される始末。とはいえソフィアたちとの初遭遇時にソフィアが衛視を庇ったのを見てヒトの振りをしているという事情を察し、怪しまれないよう全力で戦っているかのような芝居にも協力するなどそれなりに勘は鋭く空気も読めるようだ。「ソフィアんの胸が縮んだ!?」発言など天然気味なのは確かだが。
ほどよく焼けたヒトの肉と言うものを偶然口にした時の感動からヒトの持つ料理という技術に強い興味を持った、研究熱心な(マッドな)*54料理人。最初に起こした猟奇殺人事件も、血抜きという技術を会得しようと練習した結果である。ただしその時に血が溢れたり大きな物音が立ったりしても気にせず、近所のヒトが来て見つかりそうになると後始末もせず逃走したりとあまり後先を考えていなかった。
彼女が起こした「家族全員が皆殺しにされた上に、遺体は天井から吊るされ一部が欠損、部屋中に被害者たちの血がぶちまけられていた」という衝撃的すぎる事件が市民に与えた影響を重く見た上層部は、夜間外出禁止令を発した上で衛視のみならず傭兵も使って警邏を強化。殺人鬼の正体が自分たちと同じ『変わり者の妖魔』だと推測したソフィアたちも話が通じる相手なら協力、話が通じない相手なら始末すべくこの警邏に参加していた。
警邏開始初日、偶然襲った相手がソフィアたちのチームだった彼女は翌日の昼に『クランカの宿』へ来るよう誘われる。そこで話し合った結果ソフィアたちと行動を共にする事となった。初会合の時からいきなりソフィアを「ソフィアん」、シェルナーシュを「シエルん」という愛称で呼んでいる。サブカは「サブカん」。
なお三竦みのせいでソフィアに睨まれると身体が強張り身動きが取れなくなってしまう。またマダレム・エーネミへ潜入する際にソフィア(男)とシェルナーシュ(両性具有)の性別を知り「ううう……女三人だと思っていたら、女一人半とか酷いよう……」とショックを受けていた。
因みに彼女が愛用している鍋だが、ソフィアのハルバードと同じくエブリラ=エクリプスが作った『お母様』印入りの品で「鍋とその中身(生物は不可)を亜空間へ収納し自由に出し入れできる」という特性を持っている。なんでこんなものがこんなところに(ry
素直で子供っぽいな言動や、ソフィアやシェルナーシュと違い比較的常識的な反応、脳内麻薬の出すぎでヤク中よりヤバい状態になっていたソフィアに脅えつつもボディーブローで気絶させて連れ帰るなど、感想欄では三竦み組の癒しや良心という扱いになっている。作者も「妖魔分を除くと凄く普通の感性です」「妖魔としての倫理観を除けば、完璧に良い子なんですよねー」*55と語っている。でも妖魔なのでヒトは食べます。R-18G直行な勢いで。
ネリーを喰らった後ソフィアの金蛇の髪飾りが増えたように、トーコもアブレアを喰らった次の日から銀色の蛙のブローチが突然現れたらしいが…?

3章以降の動向

ソフィアたちと別れた後は色んな土地の美味しい料理と食事、それに珍しい調理法を探し求めて、ヘニトグロ地方各地を彷徨っている。
マダレム・エーネミ滅亡から六年半後の春、マダレム・イーゲンという都市へ立ち寄った彼女は、知恵ある茸の妖魔が小麦粉に自分の胞子を混入させるという食材に対する冒涜を行っている事に気付いて激怒。対抗薬の作り方を教えたところでテトラスタの四男チークの存在に気付き、もしテトラスタに声を聞かれてトォウコと同一人物だという正体がばれたら厄介な事になると考え慌てて逃げようとした。しかしこのまま逃げるとチークたちは茸の妖魔とヒトの見分けが付かずに取り逃がして死ぬかもしれないと思い直し、人妖の見分け方を書いた(慌てて綴りを間違えトォウコと署名した)指示書を残してから逃走した。そしてチークたちがマタンゴ討伐に成功した後、薬と知恵を授けてくれた彼女への感謝から街の人々の中にも御使いの教えが広まっていきテトラスタ教の発足へと繋がる事となる。
その後も度々似たような事をやらかしており、各所に御使いトォウコの伝説を残している。彼女の帽子に付いている銀色の蛙に大粒のエメラルドを填め込んだブローチは、後世銀碧蛙と呼ばれトォウコの加護(健康、安産、農業、畜産、家内安全など生活全般に関する幅広い信仰を集めている)*56を象徴するモチーフ扱いされていたりする。


4章ではソフィア・シェルナーシュとともにグロディウス商会を設立、ソフィアがセレーネ・リベリオを保護した後はセレーネの護衛をしている。信頼のおける人物とはいえ会長補佐のウィズにぽろっと重要な情報を漏らす(そしてソフィアやシェルナーシュに絞められる)、会議についていけず暇だからとスクワットを始めるなど、年を重ねても相変わらずアホの子である。
また、ウィズの恋愛事情に目を輝かせる辺り永遠の乙女*57かもしれない。子持ちだけど(詳細はこちら)。
なお妖魔の「ヒトを喰えば喰うほど強くなる」という特性に加え筋トレが趣味な事もあって、身体能力だけならシチータをも超えている。*58本気を出せば並みの英雄程度は正面から戦っても軽く殺せるし一人で軍相手に無双する事も可能だが、普段は素性を怪しまれないようヒトや英雄の振りが出来る程度に抑えている。基本的に魔法は苦手だが、『空跳ね(スカッフォルド)』という足裏に一瞬だけ魔力による足場を形成するオリジナル魔法*59を始めとしたいくつかの補助的な魔法を使えるようになっており、マダレム・シーヤ攻略戦では大剣を持ったまま城壁を飛び越えて内部に入り込み、着地前に城門の閂を一刀両断にし空中を足場にしての跳び蹴りで一気に開け放つという曲芸力技も披露している。
南部同盟との決戦で"両手に包丁のような片刃の剣を一本ずつ持ち、エメラルドが填め込まれた銀色の蛙のブローチが付いたフードを目深に被った小柄な少女"御使いトォウコに扮して戦った際は、全盛期のシチータをも上回る身体能力を全開にした目にも留まらぬ動きと精密すぎる狙いに加え空中まで駆けるという非常識な機動力のせいで、まるで時間や距離を無視して攻撃しているかのような印象を与えている。
クニタタナ将軍を彼女に討ち取られ混乱した隙に乗じたウィズたちの攻勢に紛れる形で戦場を離脱した後は、そのまま行方を晦ませ一人で世界を巡る旅を始めた。


5章では300年の間に世界各地で色々やらかした*60後、ソフィアがレーヴォル王国に戻ったことを機に合流。表向きにはセレニテスの屋敷の料理人キリコとなっている。
なお他二人と違い、妖魔としての活動だけでなく今まで食べられなかった植物を食べる方法を伝授して飢饉から人々を救うなどの御使いとしての活動も(無自覚的に)行っていた。
因みに『空跳ね(スカッフォルド)』を連続行使する事で地形を無視しての高速移動が可能となっており、独力で海を渡る事すら可能。また例の鍋を使った亜空間収納を常用していたせいか、無自覚のうちに空間系魔法を習得しており食材などを大量に収納している。
『セントレヴォルの大火』後はまた単独行動に戻り、レーヴォル暦948年時点でも生存しているようだ。

三大人妖の一人『美食家』。御使い「造る者、育てる者」トォウコの正体。
名前の由来:toad(ヒキガエル)

英雄

トリスクーミ全体における三竦みの内、ヒト・妖魔に続く最後の一角にして妖魔の天敵。
英雄になりうる存在としての条件は二種類ある。
先天的英雄:ヒトと妖魔との間に生まれた者の中で、妖魔の本能ではなくヒトの理性で力を振るう者。身体能力などの基本能力が普通のヒトよりも高かったり特殊な能力を持っていたりする。
後天的英雄:「ヒトが窮地に陥った時に、窮地から逃れようとする強い意思と信念に反応するかのように力を渡す存在」との契約により力を得た者。覚醒した時に欲したものに応じた特殊能力を一つと先天的英雄よりも強大な魔力を有するが何らかの制限やリスクがある。

シチータ

「はんっ、それはこっちの台詞だ女装野郎。初めて見た時からお前は気に入らなかった」
初出は第151話。
マダレム・シトモォに滞在していた傭兵で、盗賊団討伐の先遣隊にてソフィアと同じ小隊に配属された者の一人。
容姿は黒髪橙目で、武装は鉄の剣に要所を鉄で補強した革の防具、および小さ目な木製の盾。弓矢の扱いにも長けている。
狼の妖魔(ウェアウルフ)の血を引く先天的英雄であると同時に後天的英雄でもある。*61第三章の章題「英雄と蛇」の英雄とは彼の事*62
契約により得た力は魔法などのように超常現象を起こすものではなく、自分の身体や装備している武器防具に魔力を纏わせ強化するというシンプルなもの。一見地味だが彼自身の高い元々身体能力や非常識非凡な戦闘センスとの相乗効果により、一人で戦局を左右できるレベルの極めつけのジョーカーとなっている。しかも個人武勇だけが取り柄の脳筋などという事もなく、戦略眼や指揮能力にも優れている。
捨て子なので実の親はわからないが、自分を拾ってくれた養父母に実の子同然に育てられた。義兄たちとの仲も良好だったが、義兄の妻と反りが合わなかった為義父が亡くなったのを機に余計な面倒事が起きるよりはと家を出て傭兵になったらしい。
やや好戦的ではあるが人間的には別段問題ない人物で、目に見えない部分での相性の悪さを鑑みても、ディランやドーラム以上にソフィアをイラつかせるような人物には本来ならならないはず*63であるが、何故か互いにイラつくらしい。その様はまさに犬猿の仲を通り越して不倶戴天というしかない状態で、顔を合わせれば挑発しあい*64、野営中のミーティングからそのまま徹夜で朝まで生口論をやらかすほどである。ソフィアは彼の身の上話を聞いた際に、彼が後天的英雄として何者かと交わした契約の影響なのではないかと分析している。
しかし全く同じタイミングで同じ行動*65をとったり、状況からの推測を説明する時は片方がもう片方の言葉を引き継いで補足したりと妙に息の合ったところも見せている。君ら本当は仲いいだろむしろ同族嫌悪w?*66
初見でソフィアを男と看破し、ソフィアと全力で殴り合ってもほぼ無傷(ソフィアは軽傷)、視力はソフィアと互角以上でスタミナに至ってはソフィアより明らかに上。使っているのは普通の剣や盾だが無意識に魔力を纏わせ強化しているのでソフィアのハルバードと打ち合っても破壊される事無く、ソフィアの『忠実なる蛇』を斬った時には魔法そのものへ干渉しフィードバックダメージまで与えている。ここまでならば先天的英雄と後天的英雄両方の力を持っているからと考えればおそらくありえなくもないと思われる。しかし森の中にいて直接視認できない標的の居場所を音で察知して矢二本分の射線があれば曲射で仕留められるとか、高度な訓練を受けた正規兵100人以上をたった一人で壊滅させられるなどといった戦闘能力はいくら英雄だとしても流石に非常識すぎる。これは彼が人間という種族の特異個体(通称人間(笑))であるの系譜に当たる存在でもあるからだ。ただし純粋なヒトではない分基本能力は高いが成長力は劣るのか、人間(笑)の領域まで至る事はないらしい。作者様曰く「シチータはたぶん同位体の範囲にギリギリ入る程度かと」*67
撤退する先遣隊への追撃を試みた敵部隊を一人で壊滅させ、ついでにソフィアへ加勢してやろうと敵拠点へ向かったシチータはそこでソフィアが妖魔だと知り戦いを挑む。戦闘そのものは彼が優勢だったが、『撤退』(プルアウト)で逃走しつつの置き土産(『忠実なる蛇』(スネークゴーレム)で取り囲んで爆破、全方位から『焼き菓子の毒』(ブラウニーポイズン)入りの土を含んだ爆風で圧し潰す)を喰らってしまった。…しかしソフィアも読者も彼が死んだとは欠片も思っていない。事実、第165話で妖魔サブカ討伐を目指す傭兵の一人として彼らしき人物の存在が匂わされている。(というか感想欄で読者も作者も彼だという前提で書きこんでいる)
なお傭兵ソフィアは死亡または行方不明という扱いになっているらしい。*68これは仮に「ソフィアの正体は妖魔だった」と報告しても、妖魔がヒトと共闘するはずがないとして信用されない、下手すると自分が殺したから荒唐無稽な事を言い出したのでは?と疑われかねない*69と考えたシチータが「奴が敵拠点へ向かった後の事は知らない」とでも報告したのだろうと思われる。その後も、特に話す必要が無くまた質問される事も無かった為、傭兵ソフィアが妖魔だったという事は誰にも伝えていない。

伝説の始まり

「何処へ行く気だ?」
その後ソフィアたちが定例集会で、英雄(妖魔の天敵)の中でも異常な能力を持つ*70*71シチータに関する情報と警戒を共有した後、ついでだから不老を誤魔化す為にもしばらくヘニトグロ地方から離れようと決めて解散しようとしたその時、大勢のヒトがマダレム・エーネミ跡へ攻め込んできた。
蠍の妖魔(ギルタブリル)サブカ率いる妖魔の群れに占拠された*72土地を解放するという大義名分や、サブカに掛けられた賞金に大量の妖魔の魔石、そして遺された財宝が手に入るという一攫千金狙いで士気の高いヒト相手に妖魔側が徐々に押される中、戦いに巻き込まれる前に急いで立ち去ろうとしたソフィア達。しかし彼らの前にやはり生きていたシチータが立ちはだかる。なお肌の色が黒っぽくなっているのはソフィアの置き土産の後遺症との事。
シェルナーシュの『塵幕』(ダストカーテン)で視界を塞がれソフィアの『耕作』(プラウ)で足元を崩された状態で投げ付けられたトーコのナイフを苦も無く切り払い、サブカとシェルナーシュとトーコには目もくれずに『撤退』で宙を飛んでいたソフィアを破城槍並みの威力の三連精密射撃で撃墜し重傷を与えたソフィア絶対殺すマンシチータだが、ソフィアの危機に気付いたサブカが引き返し妨害したため、ソフィアに追撃して止めを刺す事は出来なかった。サブカさんマジヒーロー。
その後はサブカと交戦し、どこぞの(笑)を彷彿とさせる超人芸*73を交えながら少しずつ、だが確実にサブカを追い詰めていく。しかしそこへ私欲に溺れた野盗紛いの連中が現れ他の傭兵を襲い始めたので戦いを一時中断、二人で悪漢100人以上を皆殺しにした後で改めてサブカと戦い討ち取った。
バトルジャンキー*74な彼だが、己の身を盾にヒトを庇いながら戦ったサブカに対して感じるものがあったらしく「俺はお前と戦えたことを感謝する」と武人としての敬意を表している。だからこそ既に半死半生で助からないし妖魔なので助けるわけにはいかないサブカに対し、せめてもの手向けとして全力での決闘を再開し自らの手で介錯するという形で誇りある最期を迎えさせようとしたのだろう。サブカの魔石を回収した後は、弔いとしてかサブカが使っていた剣を墓標代わりにした塚を作っている。
なおこの時、ソフィアやサブカの攻撃はほぼ無効化していたにも関わらず、悪漢相手には左耳が欠けるなどの手傷を負っている。人間(笑)よりは戦闘技術が劣るという事もあるだろうが、ヒト相手では後天的英雄補正が弱体化するという事なのかもしれない。

そして…

「しかしお前も懲りないな。いい加減諦めたらどうだ?」
四本腕の蠍の妖魔サブカ討伐で名を挙げた彼は、その後も優れた武勇で蛇の妖魔(ラミア)の人妖「土蛇のソフィア」率いる妖魔の軍勢との度重なる戦いなど非常に多種多様な戦果を挙げ続け、前レーヴォル暦37年頃ヘニトグロ地方中央部と南部の一部都市国家による同盟「ヘニトグロ地方南部同盟」の盟主の座につき、後に英雄王シチータと呼ばれるようになる(生前の彼は最後まで盟主という立場であり、本人が王と名乗った事はない)。なお、とある理由でテトラスタ教の信者になり保護していたらしい。
後世の人々が一般にイメージする国と言うものをヘニトグロ地方の歴史上初めて造った人物であり、その偉業は枚挙に暇がないほどだが、後世のヒトから見て一つ残念な点があったらしい。*75*76
おそらくは彼を対等な立場で支える仲間がいなかったという事だと思われる。武官として彼を傍で守れたかもしれない人物はソフィアとの度重なる戦いの中で広域攻撃の巻き添えになったりして次々と死亡、有力者(文官)は彼を利用価値のある道具(対妖魔用の戦力や表に立たせる為の神輿)としか見ない者が多かった。作者様曰く「厄介なのは、そのろくでなしが居なければ国を治められなかったという点だったり。」*77「と言うより、善良で能力のある者が周りに居なかったというのが問題かもしれません。」*78
約20年に及ぶ在位中戦い続けヒトを守った彼には、後ろ盾を得る為の政略結婚で押し付けられた迎えた妻たちとの間にフムンとノムンの二人の息子がいた。シチータは長男のフムンを後継者に指名していたのだが、母親の実家間の仲が悪かったせいで後継者争いが勃発。ヒトとしての柵から誅殺などの強権も発動できず手を拱いているうちに、シチータ自身がノムン母と祖父の手の者に毒を盛られてしまう。ソフィアから焼き菓子の毒(ブラウニーポイズン)入りの爆風を喰らっても生き延びたシチータだが、流石にヒトから常人なら確実に即死する量の毒を飲まされては影響を避けられなかったようだ。つまり真の致命的な部分は毒を無効化できるレベルの鉄の胃袋を持ってなかったこと。
即死こそ免れたものの死期を悟り自らの死後どうなるか*79を懸念したシチータは、宿敵として長年戦い続けてきたからこそ互いの思考や目的を語らずとも察し合える(ある意味周囲の愚物より信頼できる)ソフィアへ後継者の証となる「琥珀蠍」(サブカの魔石)を持たせたフムンの子を託す事に決め、一騎打ちをしながら*80密かに依頼、ソフィアも「ちっ、このツケはアンタの子孫に払わせてやるわ」と言いながら渋々引き受け、彼の死後フムンが殺された時に孫娘セレーネの乳母からセレーネの身柄を受け取ると、ノムンの手が届かないようとある隠れ里の孤児院へ預けた上で何かあったら駆けつける為の監視体制を築いている。

後世の超余談

因みに後世では英雄王シチータと人妖ソフィアの悲恋なんて物語も書かれているらしい。*81(見た目だけなら)傾国の美女であるソフィアが幾度敗れても諦めず20年もの間シチータに挑み続け、シチータもソフィアに止めを刺せなかったのは二人の立場上こんな形でしか会えなかったからだとかなんとか。
更にそこから派生して「ヘニトグロ統一戦争最大の功臣ソフィール=グロディウスは英雄王シチータと人妖ソフィアの間の子だったんだよ!つまりあんなに滅私奉公していたのも姪馬鹿だったから!」なんて言い出す者まで居るらしい。
確かに外見や結果だけを見ればそんな想像が出来なくもないが、もし二人がそれを聞いたらどんな反応をするかと考えると楽しみ怖いですね。

名前の由来:七咫(ヤタ(漢字表記にすると八咫:HASO主人公)の領域には少し足りない(8-1=7)=英雄足りえるが(笑)には至らない)

その他の英雄

登場順ではなく英雄としての力が明らかになった順。
なお、ここに記載されているのは名前が明らかな者だけで、実際は他にも居る。

  • フローライト・インダーク
    後天的英雄*82にして作中で確認された最初の英雄。魔法使いの流派組織『闇の刃』の本来の首領。詳しくはフローライトを参照。
  • ルズナーシュ・メジマティ
    先天的英雄。テトラスタ教直属の魔法使い集団『輝炎の右手』初代首領。シェルナーシュとシューラの息子。詳しくはルズナーシュを参照。
  • リベリオ
    後天的英雄*83。西部連合の女王セレーネの幼馴染。表向きの身分はソフィール付き文官、後にセレーネ付き文官。詳しくはリベリオを参照。
  • ロシーマス
    後天的英雄。通称『疾風』のロシーマス。南部同盟七天将軍二の座。詳しくはロシーマスを参照。
  • レイミア
    先天的英雄。通称『蛇眼』のレイミア。南部同盟七天将軍七の座、マダレム・シーヤ統括。後に西部連合へ投降。詳しくはレイミアを参照。
  • バトラコイ・ハイラ
    先天的英雄*84。セレーネを守護する親衛隊の隊長。詳しくはバトラコイを参照。
  • ペリドット
    後天的英雄*85。バダレム・バヘン第二中隊隊長オリビンの娘。表向きの身分は出世したリベリオに代わり雇われたソフィール付き文官。詳しくはペリドットを参照。
  • リッシブルー
    後天的英雄*86。南部同盟七天将軍六の座。ノムンの腹心であり諜報などの裏方担当。詳しくはリッシブルーを参照。
  • ノムン
    後天的英雄。南部同盟の王。シチータの次男。詳しくはノムンを参照。
  • ゲルディアン
    先天的英雄にして後天的英雄。南部同盟七天将軍一の座、親衛隊隊長。詳しくはゲルディアンを参照。
  • 灰羅ウエナシ
    先天的英雄にして後天的英雄。ヘテイル地方(列島)を治めるニッショウ国の英雄。詳しくは灰羅ウエナシを参照。

各章の登場人物

第1章~第3章の登場人物
第4章の登場人物*87
第5章の登場人物
第6章及びその他の登場人物


*1 2015年 03月 23日 13時 10分の感想返しより
*2 ソフィア(ヒト)やアルマが信じられないものを見たように驚いていたのもそのせい
*3 蛇らしく顎が外れて口がガバッと開く
*4 2015年 03月 09日 18時 30分の感想返しより
*5 しかも代わりと言って「英雄の剣」を置いてきた。グロディウス公爵の胃痛がマッハである
*6 2015年 12月 23日 18時 20分の感想返しより
*7 時間がかかったのは複数の都市に散らばっていたせいで探すのに手間取ったり、有力者が多いせいで身辺の守りが堅かったり、ドーラムの屋敷で手に入れた主要人物名簿には載っていなかった者やドーラムの死後も利権欲しさに新しく加入する者がいた為
*8 シンボルマークはウロボロス(自らの尾を噛む環状の蛇)の中に蛙と蛞蝓と蠍が描かれているというもの。商会員には表にこの図案が施され、裏にはソフィールの名を刻んであるメダルが渡されている
*9 一般従業員視点では敏腕だが女装趣味の変人
*10 関係者に聞かれたり身元を調べられたら困るのでタケマッソ村の名は出さない
*11 化学合成でその性質を持つ物質を作るというより、一種の呪いで任意の性質を付与すると言った方が近いらしい
*12 流石に死にはしないが腹くらいは壊すらしい
*13 「垂直に立てられて」「頂点部分」という描写やフローライトの「二つの魔石の間」という発言、シェルナーシュの魔法が必須な点、魔石の残骸しか残らないとの作者感想返しから推測すると、多数の魔石を棒状に結合し一体化させたものと思われる
*14 腕や脚を折られ激痛に苦しんでいたドーラムのように、この魔法による精神操作を上回る刺激を受けていて匂いに気を取られるどころじゃない場合を除く
*15 ウンディーネの攻撃から逃げた際に連れて行ったのは3人だが、もう一人の傭兵も誘っていたので。ソフィアの事だからもし余裕がないなら男は助けようとしなかったはず?
*16 ネリーへの想い、フローライトの愛、ヒーラの恋、キキの使命感、そしてソフィアが抱いていた激情
*17 ただし「水」と「風」については適性が全くないようで、いくら知識を得て練習しても使役魔法どころか普通の魔法も使えなかったとの事
*18 だからこそ『英雄の剣』をセレーネではなくリベリオへ渡すというソフィアの計画から外れた行動もとれた
*19 シチータにもバッチリ効くが、歴代主人公は割と耐えそうで怖いとのこと 2015年 11月 04日 12時 42分の感想返しより
*20 正確にはシーブ・イッサメルアメルとは奪われた霊草の名。蛇の名は不明
*21 2015年 03月 14日 13時 07分
*22 「『闇の刃』に所属していない」「マカクソウ中毒になっていない」「ヒトとして許されざる行為を、自らの意思で行った事が無い」「多大な権力を振るえる座についていない」「何かしらの手に職を持っている事が望ましい」
*23 盗品や人身の売買記録などだったらしい
*24 どうせ生存者なんかいないと確信していたからだと言ってはいけない
*25 妖魔基準で考えればこれでもとんでもない長生きだが
*26 厳密にはサブカの残留思念が判断しているのだが、テトラスタ教の『御使いの教え』の原案者の一人なので内容が重なってもおかしくない
*27 土で造られた身体は、核となる琥珀蠍の魔石が記憶しているサブカのものとは少々異なり、腕の数は四本ではなく二本、尾は無く、体を覆うのは甲殻と言うよりは鎧と言うべき物で、額から魔力の光を放つ事も無く、周囲の空気に漂っていた魔力も吸収した結果、見た目通りの頑強さと生前のサブカ以上の身体能力を与えられている
*28 再生されたサブカにはソフィアの知識と記憶が流れ込み、通常の再燃する意思によって再現された妖魔と違って明確に自分の意思という物を有しており、自分がこれから何をするべきなのか、何故この場で生み出されたのか、自分がどういう存在なのかまで正確に理解している
*29 『英雄の剣』は英雄の魔力を吸い取って剣身の強化、『ヒトの剣』はヒトが持つあらゆる力を吸い取って剣身の再生が可能。さらに共通して余剰な魔力を刃のように展開することで攻撃範囲を拡大する効果もある
*30 複製兵の振るう武器では鎧に傷一つ付かず、複製兵の天敵ともいえる両魔剣により一方的に殲滅できる無双モード
*31 ソフィアは『英雄の剣』もセレーネに授けるつもりだった
*32 ずっとセレーネと一緒に居たので
*33 後顧の憂いを絶つには二つの剣を一つにして争いの原因を無くさなければいけないので…あとはわかるな?
*34 「あば、あばばばば、ちょっ、セレーネとリベリオの二人に御使いの剣なんて授けたら、今後の内紛が起きかねないわよ!?そうなったら私の諸々の計画とか、努力とかが全部台無しになりかねないんですけどぉ!?」自分の制御下にあるはずのものが、突然致命的なバグを起こしたから仕方ないね
*35 知りすぎているからこそ、恋愛については鈍いのかもしれません。割とパターン外に弱いですし。@2015年 10月 20日 17時 19分の感想返し
*36 少なくともレーヴォル暦319年当時の皇太子フォルスは強力な守護の力を持つ魔石だという事しか知らなかったし、偽物だとは想像すらしていなかった
*37 現実の欧米で起きた魔女狩りと同じく、実際は一方的に汚名を着せられ殺されたヒトの方が多かったようだ
*38 この種の妖魔の存在自体が知られていない為総称は無いが、あえてルビをふるならナメクジラ
*39 ナメクジ、カタツムリ、ミミズ、アメフラシなど。ハチやアブラムシやミジンコなどの単為生殖と異なり繁殖には自分以外の個体との交尾が必要
*40 男性が同格や目下相手に出す手紙で自分を遜る時に使う一人称
*41 なお、大量の魔力を注ぎ込んだ際に、表面に一瞬だけ六角六翼六腕の細長い生物=『お母様』印を浮かび上がらせる事から分かる通り、これも某混沌系邪神ことエブリラ=エクリプスが作ったものである。なんでこんなものがこんなところに(ry
*42 2015年 06月 26日 14時 12分の感想返しより
*43 怒涛の攻めにより集中どころではなく魔法での抵抗も不可能だったらしい
*44 マジ泣きのあまり「ぐすんぐすん」「よーしよーし」とキャラが崩壊していた
*45 ただし彼女がルズナーシュを産んだ時は、彼女のネーミングセンスを危惧してこっそり裏から手を回している
*46 元々興味の対象外なヒトは食糧認識という性格で、ヒトに対し友好的というわけでもなかったが
*47 ソフィアがセレーネの護衛に指名している時点で…
*48 代表的なものとしては二百年ほど前にレーヴォル王国に姿を現して騎士一個大隊吹き飛ばしたり、百年ほど前にカエノサイト海(フロッシュ大陸北東部にある巨大な湖)の水を酸に変え、周辺地域に多大な被害をもたらしたり
*49 おそらく第26話のアレのパワーアップ版。実験と称して精神汚染攻撃を再度受ける羽目になったサブカェ…。声は聞こえずともトリップしている姿を見せつけられたシェルナーシュさんたちもお疲れ様です
*50 簡単にいえば一定ダメージ以下無効化の保護をかける魔法。なお閾値を突破した場合、丸々貫通する(1000P以下無効とするなら、1001Pの攻撃をすれば1001P通る) @2015年 12月 01日 04時 44分の感想返しより
*51 少なくとも船よりは速いですね @2015年 12月 08日 13時 37分の感想返しより
*52 魔法使いなら9割、それ以外なら1割くらいが該当するらしい
*53 この種の妖魔の存在自体が知られていない為総称は無いが、あえてルビをふるならギガントード
*54 適当な料理を店主に造らせてから、今度はその店主を使って同じように調理して食うなど
*55 2015年 04月 27日 19時 07分
*56 2015年 07月 16日 20時 49分の感想返しより
*57 肉体的な意味でも精神的な意味でも
*58 とはいえ戦闘技術などの差があるので流石に勝つのは無理
*59 普通なら踏み切る前に消えてしまう失敗作でしかない魔法だが、トーコの身体能力ならば消える前に足場を利用して二段ジャンプどころか三次元機動すら可能。ただしそれができる身体能力を有しているのはトーコの他にはシチータくらいしかいない。なお他人が原理を聞いても、本人は感覚的に使っている為擬音祭りな説明になってしまうので理解できないらしい
*60 目立つのはおおよそ百五十年ほど前にレーヴォル王国で百人近い騎士を返り討ちにした上に調理したことくらいだが、実際は食関係で色々やらかしてる
*61 自然災害に巻き込まれて危機に陥り、無意識のうちに契約したらしいby2015年 07月 31日 17時 25分の感想返しより
*62 2015年 07月 14日 15時 06分の感想返しより
*63 実際反目していたソフィアから引退する為の偽装死への協力を依頼されてなんだかんだ言いながら遺髪を受け取ったりしている
*64 流石に作戦行動中なのに喧嘩を始めて小隊全体を危険に曝すような愚は犯せないので実力行使は自制している
*65 首切りジェスチャーからのクロスカウンター
*66 2015年 07月 06日 13時 05分の感想返しより
*67 2015年 07月 26日 16時 09分の感想返しより
*68 2015年 07月 21日 04時 41分
*69 所持金目的でなくとも、ずっといがみ合っていた件が動機扱いされうる
*70 「なんて言えばいいのかしらね。仮にシチータに一切の身動きを許さず、気取られず、一方的に虐殺できるような状況を整えたとしても、正面から力押しでぶち破られるような予感がしてしょうがないのよ」
*71 これが英雄のスタンダードとか止めてください。死んでしまいます。by2015年 07月 23日 12時 54分の感想返し
*72 雑魚妖魔たちはソフィアたち四人の魔力に惹かれて勝手に寄ってきただけで、部下でもなければ住んでいるわけでもないのだが
*73 サブカの放った五十を超える攻撃を、宙に浮いた状態から身を捩って、刃が到達するまでの時間差を無理矢理生じさせ、剣と剣、剣と盾をぶつけ合って捌くだけでなく、時には剣の腹を脚で叩き、伸びた尾を噛んで支点とする事で体を動かし捌き切る
*74 というかサブカとの共闘時のセリフだけを見ると、どちらが妖魔の物でどちらがヒトの物なのやら
*75 ヒント1:それは彼の周りには……
*76 ヒント2:いや、-1の部分ですよ。しかも特に致命的な部分です。by2015年 07月 26日 13時 02分の感想返しより
*77 2015年 07月 27日 12時 51分
*78 2015年 07月 27日 12時 59分
*79 愚物だが戦闘と策謀の才だけはあるノムンがフムンとその家族を殺し、私利私欲のままヘニトグロ地方全土を荒廃させるだろう
*80 齢50を超えて肉体的に衰え、普通のヒトならば確実に死ぬ量の毒に蝕まれた状態でなおソフィア相手に手加減する余裕あり
*81 2015年 07月 27日 21時 10分
*82 英雄の定義が決まっていない時点での人物のため、作中ではこの呼称では言及されていない
*83 ただし一部の者以外には英雄である事を隠している
*84 ただし本人も周囲のヒトもソフィア達でさえも、先天的英雄と気付いていない。理由は後述のリンク先にて
*85 ただし一部の者以外には英雄である事を隠している
*86 ただし覚醒直後に追撃を受け殺されてしまった為、英雄としての活動実績は皆無
*87 旅立つ蛇編の登場人物は正しくは第5章であるが、wiki上ではソフィール時代とセルペティア時代で分割しているため、こちらに掲載している