蝕む黒の霧/世界観

Last-modified: 2014-03-16 (日) 15:01:02

地球

物語開始時点では恐らく2000年代初頭と思われるが、開始後間もなく『魔神』により世界に666体の魔王が誕生し、人や物や情報などの伝達が困難となった*1為に数十年で文明水準が後退した。

 

『魔神』が言うには、舞台となった地球は神に捨てられ、進化が停滞し緩やかに滅びつつある世界であるらしい。
クロキリは魔王が干渉しなくても世界はそのまま続いていくと考えていたが、クロキリのダンジョン結界に叩きこまれた核兵器が、実は例え結界が張られていなくても使用されていたらしく、それを引き金に人間では止められない程のスピードで世界が一気に崩れ落ちていく運命にあったとの事。
そのため、『魔神』の実験に丁度良いと言う事もあって、世界の運命を捻じ曲げると言う結果を出すために魔王化と言う現象が引き起こされた。*2
その結果として地球は滅びの運命から逃れはしたものの、魔王が支配する混沌とした世界に成り果てた。

 

地球を捨てた神々がまだ地球に居た頃は、信仰を対価として人々に祝福を与えていた。
しかし『魔神』が目をつける数年から数十年前に、彼らは自分達の信者である人間を見捨てて違う世界へ移住した。
その結果『魔神』の様な害意ある外の存在に対して酷く弱くなり、世界の運命が捻じ曲げられる事となったのである。
なお、日本とギリシャの神々は『氷像のバジリスク』の舞台である『ミラスト』へ移住しているのが確認されたが、インドや北欧、ケルトなどの神々の行方は確認されておらず、仏に至ってはそもそも世界に縛られてすら居ないため、ほとんどの神々の行方が不明なままである。

 

そもそも神々が地球から出て行く事となった最大の理由が、人間からの信仰が失われた事による『食糧問題』であり、その上彼らの憑代でもある自然が大きく破壊され始めた事も後押しとなっている。
事実としてギリシャの神々もキリスト教の流入によりかなりの窮地に立たされていたらしく、エジプトの神々ももっと早い時期に移住、下手をすると対策も出来ないまま消滅していた可能性があるのかも知れない。

 

尤も、人間達からしてみれば一切姿を現さず『ミラスト』でのように神力などの具体的な影響を与えたりといった存在証明もしないくせに信じ続けろという方が無茶であり、いるかどうかもわからない神よりも目に見える恩恵を享受できる科学へと傾倒していくのも当然の流れといえる。『氷像のバジリスク』を読んだシリーズ読者の中には「努力が足りない」として神々の行動を酷評する者もいる。
実際問題、日本に限って言えば確かに参詣する機会こそ昔日より大幅に減少し、宗教的な意味が薄れ定例行事と化した感はあるものの、未だ初詣には大勢の人が赴くなど根強い信仰が残っているため、少しアピールすれば移住する必要性が全くなかった可能性も指摘されている。

彼岸の世界

『魔神』が拠点としている世界。
四季の花が同時に咲き乱れ、幻想の中でしか語られない様な神秘的な風景と獣たちが我が物顔で歩き回る姿が同在している。
クロキリは玄武、青竜、白虎、朱雀、麒麟と対峙しており、他にもモンスターが存在しているが、神々が去った際にそういった幻想上の存在も去っているため、『彼岸の世界』に在るのは神話上のそれを模したに過ぎない存在でしか無い。

 

『魔神』が行っている実験の拠点と思われる、大量の本が壁のように積み上がっている場所がある。
それらの本は、死んだ人間一人一人の、死後の事までをも含めたものの記録である。


*1 特に海路は蛸王の存在でほぼ使用不能になった
*2 クロキリにしてみれば、魔王化を行う事によって世界の運命が捻じ曲がったとも言える