ロベルト・ハーウィンの聖邪創世記

Last-modified: 2009-01-09 (金) 12:37:34

最初に神が在った
言葉は神の御使いであり
使役された言葉の奔流により世界は出来上がった。

四つの原始の礎が天と大地を創造し
光と闇が昼と夜を分けて
精霊が容をもってして人となりて
地上は楽園となった―――

先に邪まな神が生まれた。
産声をあげた時より彼の者は邪であることを運命づけられており
ひらいたばかりの眼で地上界を見下ろした。

人間達は精霊となり精霊は人間となりて循環し
暫しすれば全地は神を崇拝する無垢なる魂で満たされることを邪神は知っていた。

然し邪神は自らの秀麗さ聡明さに思い上がり神々が受けられるはずである崇拝を自らが受けたいと強く願った。

そしてその間違った欲望を心より追い出すことなく考え続けた。
それが彼の者が生まれし時より唯一存在の拠り所とする「邪」であったためである。
結果、望んでいた誉れと重要な地位を得るように行動にでた。

最初にやったことは神の姿となることであった。
その姿をもってして大地へと降り立ち6人の魂をとりわけ高い山へと連れて行き世のすべての王国とその栄光、歴代の賢人達すら届かぬような人間を超越した英知の彼方まで連れて行かれる陶酔感を見せつけた。

邪神は自ら支配しようとはしなかった。
自分が神であると崇めさせるにはまず神々を相手自身が否定せねばならないからである。

ただ目の前で甘い蜜をちらつかせるだけ。すべてを見せたあとに6人へと邪は囁いた。
「もし貴方がたが平伏して私を神と崇めるならばこの全てを貴方達に差し上げましょう」

人間は神々がいなくても自分達の事柄は自分達で治めることができると邪神は諳んじた。

かくて6つの魂はセカンドカオスとなり、人々が自らで「考える」力を得たと同時に地上は楽園ではなくなり、邪神の手へと堕ちた。

人は自ら世界を支配が出来ると信じ国をつくり、セカンドカオスはそれらを支配できると信じ脅威的力をもってして地へと下った。

世界は混沌と戦乱の時代となり、すべての者はそれが自らにとって「正しい」行いであると固く信じてやまなかった。
すべては邪神の思うが侭の結果となり、結果として人々は邪神を崇める事となった。

然しその時代も長く続くことはなかった。
第三皇子リリィアスの誕生である。

先に邪な心が生まれ、後から希望が生まれた。

聖なる神は自らの御使いを精霊としてリリィアスの胚へと下し、百合の君は「最初のホーリーセルリアン憑き」となった。

ロベルト・ハーウィンの間違い

※百合の君は「最初のホーリーセルリアン憑き」となった。

→ホーリーセルリアン憑きは過去にもいたことが確認されますが、ロベルト・ハーウィンは、彼を「真の聖徒」として特別視していました。