英雄リリィアスを崇める、アスセーナ教の経典。表紙は青い布に銀色の糸で刺繍がしてある。しおりの代わりに白い羽根を挟んでおく習慣がある。
-序章-
神在らざる神願う。
右手に蒼き癒し
左手に白き友愛
故に我在りと
混沌の奔流にひとすぢの導き
やがては聖なる河へとなると説く
ひとつぶの粒子
一滴の水玉(すいぎょく)
流れの導きの本筋は
梵であり我に在り
流れのたどり着くところは在る
坩堝か、海か、
数多の河の流れで聖なる流れを見つけよ
多くの水が惑わされれば河は氾濫し
導かれれば大河となり人々を潤すであろう
銀の十字の軌跡辿れ
聖霊の正しき導きのもとに
病める世に
浄化と癒しを
※この序文は、翻訳者のロベルト・ハーウィンの著作であると思われる。