『狼』

Last-modified: 2019-11-18 (月) 01:42:28

所属者

各々の起源に従い悪業を為す、人面獣心の狼達。

青葉逢音:『被支配』。
青星流華:『溢れる』『飲み干す』。
アン・リュコス・バスカヴィル:『奪う』。
アリー・ホワイト=ローソン:『自傷』。
イリス・ルクレルーヴ:『献身』。
魚瀬 絹恵:『飢餓』。
ウルフアイ:『悪徳』。
大神 忍:『飼育』。
狼谷 樒:『分断』。
カレル・ウォルフレン・キールストラ:『壊す』。
グッドマン/グロリアナ・スカイロケット:『欺瞞』。
サスキア・リリエンソール=ウルフラム:『加虐』。
三峰院胡蝶:『支配』。
真竜院レト:『感じる』
ティータ・フセスラフ=カーバイド:『掘削』。
デヴィーウィティアエ・サンクトゥス・ループス:『育成』『教導』。
ニコラウス・ヴォルフハルト:『欠乏』。
昇藤美玖:『渇望』
羽霞 虎狼:『飢餓』。
日野宮花鶏:『試合』『死合』。
ポヨップ・ミナ:『勝利』。
真神 蟷穂:『食べる』。
マルコシアス・セブンススローン:『咀嚼』。
水元 麗:『痛み』。
ルピナス・カートライト=ルピノ:『悦楽』『智慧』。

 
人獣共が群れを成した始まりから在り続ける個体、狼の中でさえ畏れられる真正の凶獣達。
数世紀の歳月を重ねた文字通りの怪物。長老格、エルダーとも。

グレーテル・グリムガルム
 「間引かれ子」「死神(グリムリーパー)」「人喰い童話(フォルクスメェルヒェン)」。
 目醒めた起源は『飢餓』。美食を好み、頽廃的に微笑う、中性的な容貌の美少年。
 狼達の中でも暴食悪喰で特に悪名高い真性のマンイーター。古い死徒でもあり、教会にとっては最有力の抹殺対象。
 破綻者だが社交的なため顔が広く、群全体の顔役のようにも振る舞う。

"豺狼"
 「悟り無き仙者」。
 目醒めた起源は『求道』。問い続ける亡者の骸。
 ただ強きのみを求め、千年に渡り行脚を続けて来た狂信の手合い。
 特殊な能力はなく、魔術への適性も高いものではない。一方で運動性能と戦闘技能は突出している。
 死亡済。

二代目"豺狼"
 「黄金の獣」「不感の暴君」「赤頭巾(レッドキャップ)」「アンシーリーコート」。
 目醒めた起源は「暴力」。天性にして真正の怪物。
 年若い金髪金眼の少年。外見通りの若輩であるが、先代の豺狼を屠り、皆伝を与えられたことで後継として扱われる。
 純人類ながら『黄金の毛並みを持つ幻想種』へと回帰した生粋の貴種。
 天恵の暴威と先代から継承した武技を備えた、対人武力に於いて最強の狼。
 未来視のような能力を持つようだが、詳細不明。

千疋十々萬
「記録捕食者」「変質貯蓄媒体プロトコルイーター」。
目醒めた起源は『記録』(二重)。情報生命体と少女の融合体。
獣としての本能的な起源ではなく、人間の行う文明的行為の起源に目覚めているため社会に溶け込む力が強く、理性的。
ネットワークに介入することで『狼』全体の隠蔽を行うなど、撹乱や情報統制に強いコミュニティの守護者。
獣らしからぬ悪戯心でトラブルメーカーとして動きながらも、人の心足りえる良心はとうに捨て去っている、ある種特異な狂い方をしている。

マリー・ルクレール・マーナガルム
 「月に吠える者」「深きものども」「無限増殖海魔ジェリーフィッシュ」。
 目醒めた起源は『増える』。白濁とした半魚人。
 個体としての唯一性を放棄し、種としての繁栄を希求した変種。
 海流に沿って獲物を探し回遊する群体的な生態であり、海中という領域内では比類なき能力を有する。
 末っ子気取り。

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 「王冠(グランド)」。
 正体不明。

 

概要

魔性、獣性を顕在化させた起源覚醒者の集団。
血縁で繋がる一族ではなく、全体で共有する命題も、統一された姓も持たない。
何らかの理由で獣性に回帰した者が発生すると、群れの内の誰かがそれを察知し、これを迎え入れることで数を増やす。
その性質上経歴も出身もバラバラでまとまりがないが、元の人間としての名の他に狼を意味する言葉・姓を名のどこかに持つ共通点がある。
世界各地に散らばっているが、数が多いのは欧州近辺で、集団としての本拠もその辺りにあるとされる。

 

構成員はその多くが本能的に、あるいは遊びとして、他者を狩猟し殺傷し捕食する人面獣心の人獣。
各々己の起源に沿った「前世」により、人類の範疇を超えた運動性能・生体機能や特異な能力に加え、それらに比例した強い攻撃性を持つ。

 

大別して二つの傾向があり、一つは「己の本能に従い暴走するタイプ」で、もう一つは「社会に対して折り合いをつけているタイプ」。
前者は人食いの獣が人里に降りて来たのと同じこと、分かりやすい暴力性を示すものが大半。
性質上人間によって狩られやすく総じて短命だが、被害が急激に拡大する上、生き延び力を付けるとその過激さと相まって手に負えない。
後者は一見して穏健にも思われるが、彼らにとっての「折り合い」とは「狩られないように狩り続けること」とほぼ同義。
激情の使いどころを熟慮しているだけで己の欲を抑えるつもりは毛頭なく、加えて社会に隠れ潜むのに長けるため端的に性質が悪い。

 

元は古くから世界各地で見られる狼信仰の一つ、『獣憑き』と呼ばれた存在。
その中でも幻想種としての人狼や魔性ではなく、起源覚醒により純粋な人類種から存在を遡らせ、他者へその本能を向けた者たちを指す。
かつては個々で点在し畏れられていただけのモノだったが、時間の流れとともにその立ち位置も変わり、魔女狩りの横行する時代に畏れは恐怖と憎悪へと変じた。
そうした獣狩りの流れからの自衛の為に、群れを作ったのが始まり。
個人主義者が大半を占める性質上集団としてのルールはないに等しいが、情報共有や、死んだり増えたり入れ替わりの激しいメンバーの顔合わせのために定期的な会合は行われているとか。
共食いも原則禁止となっているが、個々の付き合い方の範疇に収まるならば我関せずと黙認されるケースが少なくない。
ただし、成立の経緯が示すように「群れ」そのものへの敵対行動にはシビアな反応を返す。特に教会への密告のような明確な背信を行なった場合は問題無用。
狼は個々が利己的であるが故に、己にも害が及び得る裏切り者は許容しない。
明文化された制度・掟ではなく、己を尊ぶ故の殺意こそが互いを守る絆である。利己的な利他行為によって成り立つ共同体と言ってもよい。

 

起源覚醒者は己の起源のみに縛られるが、起源が示すのはその「方向性」であり、目覚めたとしても元の人格や記憶がなくなる訳ではない。
そのため「狼」として獣性に回帰した者たちも個々様々な個性があり、社会に対する姿勢や他の「狼」に対する態度もまちまち。
会合にもマメに顔を出すものもいれば、全く姿を見せない者も居る。
気質が合う者同士で連れ立って動くことも、あるいは番となることさえありうるが、同じ起源を持つ者同士でさえ同じモノにはならない以上、本質的に彼らは個々が一代限りの単一種族。
群れてはいても互いが「違うもの」だという認識はあり、奥底にあるものへと踏み込むことは少ない。
各々が身を捧げる運命共同体としての「家」ではなく、人でなしの互助会といったニュアンス。

 

なお、一族内に上下関係はなく、構成員は全員が横並びの対等。
ただし起源を覚醒させてから長く生きている者ほどより「純化」した凶悪な魔獣になるため、その力には一定の敬意が払われることもある。
特に、群が創られた当初から存在し続けている一部のメンバーは、特別な立ち位置に在る。
ある種の年功序列制といえなくもない……が、そうした連中は大抵の場合人間性を喪い過ぎているので、集まりに顔を出すのも稀である。

 

起源はそれを自覚するだけでも行動が引きずられ始めるが、完全に覚醒するには当人がそれを選ぶ必要がある。
目覚める契機がが偶然にせよ意図的なものにせよ、彼らは彼ら自身がそもそも道を違えていたからこそ獣の性に適合している。
他者に害為すのは、起源に沿った本能であると同時に彼ら自身の業。
従って彼らは例外なく、人類に対する自覚的な敵対者。その在り方は人理を否定する怪物――死徒や鬼種といった怪物に通ずる。

 

ちなみに、前述の通り血縁による集団ではなく、個別に発生した「狼」を迎え入れることで数を増やすが、例外もある。
その一つが「狼」に子が産まれた場合。
起源は存在そのものの設計図であり、肉体に依存した遺伝性を持つものではない。
例え「狼」同士で子を為しても、一世代違えば産まれてくるのはどちらの親とも違う生き物。
だが同じ業を持つ彼らが自然と寄り集まっているように、運命的な必然に導かれるように、彼らの元には新たな獣が生まれるべくして生まれてくる。
……そして、そうした生まれながらに回帰した「狼」の仔は、例外なく親以上の怪物になる。