ひねもすイベントまとめ

Last-modified: 2021-09-18 (土) 23:22:48

オイオイ聞いたかよ!式姫新作だってよ!アピちゃん完全に式姫諦めちゃってると思ってたよオイラ
まだなんも情報出てないけどキービジュアル的には現代舞台っぽいですぜ旦那ァ!
てなわけでなんとなく覗いた式姫フォルダからイベントテキストがゴロンと出てきたのでせっかくだから置いてくわよ
でも途中までしか記録してないんだごめんね
スチルとかも残念ながら保存してない模様、唯一残ってるのはからかさひめのやつだけだけどこれマジで名画すぎる…たぶんスレ立てたら0レスで沈むけど

こちらは転がしのロビー画面のBGMですが本当に名曲なのでよければ聴きながら懐古に浸ってくだしゃんせ
https://www.youtube.com/watch?v=8h3W8w3Ix8s

小梅の埋蔵梅

たぶんこうめの実装記念イベント
俺コウメって聞くと白塗りのあいつしか出てこねえんだ、チクショー!
あと主人公の名前は便宜的にアピ助になってます

タンコ ――ふぅ。いい湯じゃったのう、芙蓉。

芙蓉 タンコ、そういう台詞は頭を洗うのを嫌がらなくなってから言ってください。

タンコ ……うるさい!芙蓉の洗い方が雑なのじゃ……!

芙蓉 そうですか。そんなこと言ってると、二度と洗ってあげませんよ……?

タンコ それは困る……頭のてっぺんは自分じゃ届かんからのう。

芙蓉 じゃあ我慢してください。できるだけ優しく洗ってるんですから――

(コロッコロンコロン……)

タンコ なんじゃ……?

芙蓉 これは……おにぎりですね。

タンコ なんでそんなものが天助から――

(コロッコロンコロン……)

芙蓉 ……

タンコ またじゃ……

芙蓉 天井裏に何かあるんでしょうか?

タンコ まさか……泥棒が天井裏で弁当でも食べておるのか?

芙蓉 ……ですが、天井裏に人の気配はありませんけども……

(ゴロゴロゴロゴロッ)

タンコ なんじゃ――

(ドシーン!)

??? いたたたたた……

タンコ 噂をすれば、その泥棒か……!?

芙蓉 随分かわいらしい泥棒さんですね。

??? (キョロキョロ)
    思ったよりも穴の中は深かったんじゃのう。
    おや?
    ここはネズミの屋敷か?昨今のネズミは大きいのじゃのう。
    ネズミといえば灰色かと思っておったが、赤茶色とは……ふむ、珍しいネズミもおるものじゃ。

タンコ お、おぬし……わしをネズミじゃと……!?

??? すまんすまん。てっきりネズミの屋敷だと思ったんでのう。
    わしの名はこうめじゃ。

芙蓉 芙蓉です。それに、こちらは陰陽師のアピ助さんです。

タンコ わしはタンコじゃ。ネズミではなく、誇り高き妖じゃ。

こうめ そうか……ネズミの屋敷ではないなら、ここは一体どこなのじゃ?

芙蓉 ここは普通の旅籠(はたご)ですが……

こうめ ふむ……旅籠。
    てっきりネズミ屋敷じゃと思っておった、なぜなら――
    地面の穴におにぎりを入れたらネズミに歓待され、その上に豪華な土産をもらえる……
    そういう噂を聞いたので実際にやってみたら、ここへ来たのじゃからのう。

芙蓉 穴におにぎりを……

タンコ どこかで聞いたことのある話じゃのう。

こうめ じゃが、地面の穴が通じておったのはネズミの住み処ではなかったようじゃの。
    それにしても不思議じゃ。山奥の地面の穴が旅籠に通じておるとは。

芙蓉 ……?どうかしましたか、アピ助さん?


☆選択肢☆

「この展開は……」

芙蓉 まさか……

タンコ 時を超えて来たのか……

「過去か未来から来たのかも。」

芙蓉 確かに……見たことのある展開ですね。

タンコ 恰好から考えると過去から来たと考える方が妥当じゃのう。

合流

こうめ なに……!?
    ここは未来じゃと言うのか!?

こうめ ――ふぅむ。今までも時を超えた者達がおったのか。
    それにしても未来、のう。全然実感が湧かぬわ。

芙蓉 外に出ると違うかもしれませんよ?町や建物の様子が違って驚く方もいましたから。

こうめ なるほどのう……
    ……

タンコ どうかしたか?

こうめ わしが落としたおにぎりじゃが、貰っても良いか?腹が減っておってのう。

芙蓉 それはもちろん、どうぞ。

こうめ (モグモグ……)
    うむ、うまいな。

☆選択肢☆

「おにぎり好きなの?」

こうめ うむ。特に梅干しの入ったおにぎりが好きじゃな。

「落ちたやつだよ?」

こうめ なんじゃおぬし、そんなことを気にするのか?
    このくらいでおにぎりを捨てたりしたらバチが当たるわ。

合流

こうめ うむ……梅干しの酸味と旨味がふっくら炊いた米と合っていて美味じゃのう。
    (モグモグ……)
    ――!?
    (ゴフッゴホゴホッ!)

芙蓉 大丈夫ですか!?

タンコ どうしたんじゃ?急にむせたりして。

こうめ す、すぐに出かけるぞ……!おぬし達も一緒に頼む!

芙蓉 え?

こうめ わしとしたことが……すぐに気づかぬとは迂闊じゃったわ……

こうめ 何をトロトロしておる!急ぐのじゃー!

芙蓉 あの、何をそんなに急いでいるのですか?

こうめ ふふふ……じつはじゃな。
    この先のとある場所の地面に、わしの秘蔵の梅干しを埋めてあるのじゃ。

芙蓉 それがどうかしたんですか?

タンコ ――!?
    なるほど……そういうことか。

☆選択肢☆

「どういうこと?」

こうめ 数十年、数百年と経っておれば、旨味が凝縮され――
    とてつもなく美味な梅干しになっておるはずなのじゃ!

「何百年も経ってるけど」

こうめ それが良いのじゃ。

合流

芙蓉 なるほど、年代物の梅干しは価値が高いですからね。

こうめ もちろんわしも食べるが――
    その梅を売って一攫千金じゃ!

タンコ なるほどのう……
    あのおとぎ話は、穴から過去へ行き、その時間差を使って――
    金儲けをする話じゃったのじゃな。

芙蓉 タンコ、違うと思います……

こうめ 何をごちゃごちゃと言っておる……!さっさと向かうぞ!

こうめ あそこじゃ!あそこに梅干しの壺が埋まっておるはずじゃ!

芙蓉 分かるのですか?

こうめ もちろんじゃ。
    紅葉と木蓮と藤を三本並べて植えておるじゃろう?それが目印なのじゃ。

タンコ なるほどの、そんな並びの木は自然にはなかなかない。

芙蓉 確かに、木であれば時間が経っても目印になりますね。
   ――!
   こうめさん、気をつけてください。この辺りは妖が多いようです……!

タンコ ……うむ。小妖が引き寄せられておるようじゃ。
    もしかすると大妖がおるのかもしれんのう。

こうめ これは……!しまったわい!
    秘蔵の梅を誰にも盗られぬよう、知り合いの陰陽師に頼んで――
    三本の木に妖が引き寄せられる呪を施したのじゃが、そやつがおらねば術が解けぬ……!

タンコ 数百年前であれば、妖でない限りもうこの世にはおらぬじゃろうな……

こうめ まさか、自分の作った仕掛けに足をすくわれるとは……

芙蓉 ……かける言葉もありません。

☆選択肢☆

「妖はこっちで引き受ける。」

こうめ なんと……わしの梅干しのために、おぬし……

「早く壺を掘り返しなよ。」

こうめ 妖はおぬしが退治してくれるのか……!?

合流

こうめ アピ助……おぬし、良い陰陽師じゃのう……
    それでは遠慮なく掘り返させてもらうぞ!
    無事に梅干しを手にした暁には、おぬしに一番最初に味見させてやるからの!

(タッタッタッタ……)

タンコ どうした、アピ助?

芙蓉 あまり嬉しそうではないですね……

タンコ 大丈夫じゃ、梅干しなんじゃから、腐ることはないわい。

芙蓉 いえ、ごくたまに腐ることもあるらしいですよ?

タンコ こら芙蓉、アピ助が怖がるようなことを言うでない!

芙蓉 ごめんなさい。ではアピ助さん、頑張ってくださいね。

タンコ おぬし……
    最近、討伐への送り出し方が少し雑じゃぞ……?

こうめ アピ助、よくやった!
    おかげでほれ、わしの梅干しも無事に掘り出せたぞ!

芙蓉 良かったですね、こうめさん。

タンコ 数百年物の梅干しか。想像もつかぬな。

こうめ 楽しみで手が震えるのう……それでは開けるぞ……
    (パカッ……)

芙蓉 ……?
   何でしょう、これは?

タンコ ふむ。塩が吹いて干からびておる。

こうめ 水分が飛んだのじゃろうな。
    さ、アピ助。遠慮するな、ほれ。
    おぬしが最初に味見して良いのじゃぞ?

☆選択肢☆

「遠慮しておきます。」

こうめ なに?本当か?
    遠慮せずとも良いのにのう……

「これは食べ物ではありません。」

こうめ 何を言う!これは極上の梅干しじゃぞ!

合流

こうめ 仕方ないのう、それではわしがいただくとするか。
    (パクッ……!)
    む……!
    し、塩辛い……!

タンコ やはりのう。

芙蓉 見た目からして塩辛そうでしたからね。

こうめ じゃが、うまい!
    旨味が凝縮して、これまで食べたことのない味になっておる!

タンコ なに?本当か?

こうめ おぬし達もほれ、食べてみるがよい。

芙蓉 じゃあ少しだけ。

タンコ 芙蓉、わしにも少し千切ってくれ。

芙蓉 はい、どうぞ。アピ助さんにもあげますからね。

こうめ うむうむ、年代物の梅干しが手に入り、万事がめでたしめでたし、じゃのう。

こうめ ――さて、ここじゃ。

芙蓉 確かに木の根のところに穴がありますね。

タンコ ネズミの穴と勘違いするには大きすぎる気がするが……

こうめ ここに入って時を超えたのじゃ、きっと再び入れば元に戻れるじゃろう。

タンコ じゃがおぬし、結局、ネズミの財宝は手に入らなかったのう。

芙蓉 おとぎ話のようにはいきませんでしたね……

こうめ なに、わしはこの梅干しで十分じゃ。
    この梅干しこそ、わしにとって金銀財宝にも勝る宝じゃからのう!
    それでは世話になったな、さらばじゃ!

芙蓉 行ってしまわれましたね。

タンコ ……それにしても、嵐のような娘じゃったのう。

タイトル不明

タイトルが残ってなかった恐らく梅雨の時期に開催されたであろうイベント
イベント開催時の掛け合いのみ

??? アピ助殿、ようやく帰ったか。おぬしを待っておったぞ。
    何をぽかんとしておる。拙者の顔を忘れたとは言わせぬぞ……
    ――なに?覚えておらぬ!?
    この春、おぬしと花見をする約束をした、雛人形の男雛じゃー!
    いや、正確には男雛の中に入り込んでおった者じゃ。拙者、田野久と申す。

田野久 拙者は……おぬしに呼ばれる時を、幽世でずっとずっと、楽しみに待っておった……
    それなのに――
    桜はとうの昔に散り、季節はもう梅雨ではないかー!!
    おかげで……久々に雛人形の中に入ったら、この体が――
    カビておったわー!!
    この恨みはらさでおくべきか……!
    くくく……ちょうど梅雨時じゃからな。このカビ達に拙者の妖力を与え――
    屋敷に大量発生させてこの立派な屋敷をカビだらけにしてやることにした。
    謝っても遅いでござる、拙者、決めたことはやりきる男ゆえ……
    よいか。カビに懲りたら、来年こそは絶対に拙者を花見に呼ぶでござるぞ……!
    いや……来年まで待たずとも良い。
    花火大会でも夏祭りでも、いつでも呼んでよいからな!
    では、屋敷にカビをばら撒いてくるでござる!
    わーはっはっはっはっは!

タンコ やれやれ……じゃの。

芙蓉 ……はい。困りましたね。
   田野久さんのカビはかなり強力なようです。急いで私達の屋敷のカビを駆除するとともに――
   他の方の屋敷にも行き、カビを駆除して差し上げてください。

タンコ 既にカビは繁殖し始めておるようじゃ。急がぬとカビだらけで夏を迎えることになりそうじゃからの。
    アピ助、頼んだぞ!

タイトル不明

こちらもタイトル不明

??? アピ助、そこにいたのね! フフフ……思ってた通りのイケメンだわ!
    やっぱりかわいい顔してるのね。アタシのこと覚えてる~?

芙蓉 あなたはもしかして……
   以前、殿様蛙さんの浮気に激怒していた大奥蛙さん……!?

タンコ そういえばそんな妖もおったのう……

大奥蛙 そうよ、アタシが大奥蛙♪
    前にイケメン陰陽師を見た気がしたから来てみたけど、大当たりだったわね★
    ウフフ、アタシとまた会えて嬉しい?
    アタシの夫、浮気性でしょう? だから、アタシもお返しに火遊びしようと思って♪

タンコ その標的がアピ助か……アピ助、ご愁傷様、じゃな……

芙蓉 何を言ってるんですか、タンコ!
   こんな蛙は早く追っ払わないと。そうですね……硫酸を持ってきてください……

タンコ 芙蓉、落ち着け。相手は蛙じゃ。

大奥蛙 オホホホホ!アタシの色香にビビってるのね、小娘!
    尻の青い小娘になんて、負ける気がしないわ~♪

芙蓉 な……!

大奥蛙 ね、アピ助? どうかしら? アタシと遊ばない~?
    (フッ……)

タンコ み、耳に息を……!すごい攻撃じゃ……

芙蓉 ……アピ助さんが女性に優しいからって、図に乗らないでください。

大奥蛙 うるさいわね、小娘! アタシはアピ助と話してるの!

芙蓉 う、うるさい……!?

大奥蛙 ね~え、アピ助?
    アタシと恋愛しないかしら? 結婚も考えてもいいわよ~
    あ~ら、黙っちゃって♪ 照れてるのかしら?
    さ、こっちへいらっしゃい★ お姉さんと遊びましょう♪

芙蓉 アピ助さん……!

タンコ だ、大丈夫じゃ、芙蓉……!
    アピ助は陰陽師じゃ……自分で何とかできるじゃろう……!?

大奥蛙 外野は放っといて、いくわよ★ アピ助~?

芙蓉 アピ助さん……!

タイトル不明

内容的にサンモトの実装記念イベント
ちゃんとタイトルも残しとけよおめぇよォ!

タンコ むぅ……そろそろ日が傾いてきたのう。急がねばなるまい。

芙蓉 この先に宿場町があるはずです。もう少しですから頑張りましょう。
   ――!?
   アピ助さん、気をつけてください。妖が――

??? ウヒャヒャヒャヒャヒャ!
    ほれ! ウヒャハハハハアハア

芙蓉 ……
   ……襲ってくる気配はないですね。

タンコ なんじゃ、びっくりさせおって。

☆選択肢

「行こうか。」

??? ――え?

「放っておこう。」

??? ちょっと!待ちなさいよー!

合流

??? なーんだ。全然驚かないんだね。つまんないのー。

タンコ なんじゃ? 小さな娘が出てきおった。

??? 娘じゃないよっ、アタシはさんもと。幽世から来たんだ~♪

芙蓉 さんもと……!?

さんもと 知ってるの? アタシのこと。

芙蓉 さんもとといえば、有名な魔王です……!アピ助さん、戦闘の準備を……!

さんもと ちょっと待ってよ!アタシは戦いに来たんじゃないって!

芙蓉 お連れのお友達は戦う気満々のようですよ。

飯綱 いたたた! 痛いってー! 噛まないでー!

さんもと お前達! 余計なことしちゃダメー!
     (グシャッ! グシャグシャッ!)

芙蓉 ――えっ!?

さんもと まったく……手がかかるよね。

芙蓉 ……アピ助さん、気をつけてください。叩き潰された妖もそれなりの力を持っていました。
   そんな妖をいともたやすく……何より自らの仲間を手にかけるなど――
   危険な存在です……!

さんもと ちょっとー! 勝手に決めつけないでよ!

芙蓉 それにこの方、さすが名の知れた魔王ですね、かなり大きな妖気です……!

さんもと もう~!それならこっちも戦う準備するからねっ!

さんもと なんなのー!人の話も聞かずにいきなり戦うなんて!

芙蓉 ……

タンコ ……気のせいか、戦闘の時は妖に近い姿じゃったが――

芙蓉 ええ。今は……!少しだけ式姫に近い……ですね。

さんもと 何をごちゃごちゃ言ってるの!アタシは怒ってるんだよ!

芙蓉 私達が警戒するのは当然です……
   あなたは魔王ですから。それも力が強いことで有名な。それに――
   自分の仲間を簡単に殺める方です。敵とみなすのに十分な理由かと。

さんもと 殺める? だって、逆らったら片付けるのは当たり前だよね?
     魔界ではそれが常識だよ?

芙蓉 ……現世では違います。

さんもと ふーん……そうなんだ。
     それにしても、お前――
     アタシの眷属達を見ても、全然驚かなかったね。

☆選択肢

「慣れてるから。」

さんもと 慣れてるんだ、そっか~♪

「当然。」

さんもと へ~っ♪

合流

タンコ な、なんじゃ……?

さんもと 魔王の頭になるのが嫌で家出してきたけど――
     いいこと思いついちゃーった♪
     お前、アピ助だっけ?
     アタシのお婿さんになってよ!

芙蓉 お……
   お婿さん……!?

タンコ 婿とは……一体何を言っておるのじゃ、おぬし?

芙蓉 ……

さんもと そのまんまの意味だよ?
     アタシは魔王の頭の娘で、次の頭になるよう育てられたし、目指してきたんだけど――
     なんか飽きたっていうか、嫌になっちゃったんだ♪

タンコ 飽きたじゃと……?

さんもと うん! 頭になるのが嫌で家を出てきたんだ! それで今、すっごくいいこと思いついたの!
     アピ助に魔王の座を継いでもらって、それで次の頭になってもらえばいいって♪
     アピ助は度胸があるからうってつけだよ!

タンコ なんと自分勝手な……

さんもと ね、アピ助! アタシのために魔王になってよ!

芙蓉 そんな理屈が通ると、本気でお思いですか……?

さんもと だって魔王は嫌なんだもん! ヤダヤダヤダヤダー!
     飽きたのー!

芙蓉 アピ助さんは陰陽師です!魔王にはなりませんっ!

さんもと ……むー……

芙蓉 ……

タンコ 結局……宿まで付いてきおったのう。

さんもと ここがアピ助の部屋?じゃあ、ちょっと待っててね♪

芙蓉 さんもとさん、何を勝手に――

さんもと えへへ~♪ まあ、いいからいいから♪

タンコ アピ助、おぬし……またしても変なのに目をつけられたのう。

芙蓉 タンコ、他人事ではありませんよ。あの方は魔王なんですから……
   共にいるだけで、何か危険が降りかかることも十分考えられます。

タンコ 確かにのう……邪気がないようじゃが、常識外れというか……

芙蓉 それこそが魔王の証(あかし)です……!

タンコ 芙蓉おぬし、いつになくトゲトゲしておらぬか……?

芙蓉 わ、私は皆さんの危険を心配して……

タンコ ま、そういうことにしておいてやろう。

芙蓉 タンコ……!?

タンコ あれからしばらく経つが……

芙蓉 部屋から出てきませんね。

タンコ やれやれ……一体何をしているのやら。

さんもとの声 できたー!

タンコ お?噂をすれば、じゃな。

(タッタッタッ!)

(ガラッ!)

さんもと できたよアピ助!もう見ていいよ!

さんもと ね! かわいいでしょ!
     アタシ達の新婚の部屋を作ったんだー!

芙蓉 し、新婚……!?

さんもと ほら、見て見て! アタシのお気に入りの眷属もいるんだよ♪
     どう? 気に入った?

芙蓉 さんもとさん……早く……幽世へ帰ってはどうですか?

さんもと 帰らないもーん♪
     アピ助にアタシのお婿さんになってもらうまではね~♪

芙蓉 だからそれは――

さんもと それに……
     式姫の子達に聞いたんだ。式姫になれば、現世に留まれるって。
     ここに、アピ助と一緒に……
     そうしたら、アタシは自由になれるかも。
     アピ助と一緒に幽世へ帰らなくてもいいかもしれない。

タンコ さんもと、おぬし何か事情が――

さんもと だからアタシ、式姫になるの!

芙蓉 確かに……少し式姫になる兆候が……

さんもと 本当!? アタシ……式姫になりかけてるの!?
     だったらあともう一歩だね! よーし……
     むむむむ……!
     ぱー!
     どう!?

タンコ 何が「どう?」なのかイマイチ分からぬ……

芙蓉 残念ですが、式姫にはなれていませんね……魂の核が幽世にあるようです。

さんもと しょんぼり……そうなんだ。どうやったらなれるんだろう?

芙蓉 あなたは……式姫になるのは難しいかもしれません。
   あなたの魂は、未だ「魔」に染まっているようですから。

さんもと ……どういうこと?

芙蓉 自分の仲間をたやすく手にかけるようでは難しい、そう言っているんです。

タンコ 芙蓉……その通りとはいえ、言い方がちとキツイぞ?

芙蓉 すみません……

さんもと ……

――翌日――

タンコの声 おい、さんもと。さんもと、おらぬか?

さんもと ……

タンコ なんじゃ。ここにおったのか。

☆選択肢

「どうしたの、ぼーっとして?」

タンコ アピ助の言う通りじゃ。

「なんだか元気ないね。」

タンコ あんなに元気じゃったのに、どうしたのじゃ?

合流

さんもと うーん……
     考えてたの。芙蓉ちゃんが言ってたこと、どういうことかなーって。

タンコ ふぅむ、式姫になれぬ理由、のことか。

さんもと うん。どうして眷属を始末しちゃだめなのかイマイチ分からないんだよね。
     だって眷属は沢山いるんだよ。だからいいよね? この世は何も変わらないよ?

タンコ そうじゃのう……さて、どう説明したものか……
    まず、自らに危害を加えようとする者と戦うのは仕方がない……とされておる。現世ではの。
    わしらは……生きるために戦わねばならぬからのう。

さんもと うん。

タンコ じゃが、おぬしは仲間を殺めた。仲間をそう簡単に殺めてはならぬのじゃ。

さんもと どうして? 沢山いるんだよ?

タンコ 沢山おらぬ。

さんもと ……?

タンコ おぬしが殺めた妖、あやつの種族は沢山おるかもしれぬ。
    じゃがあやつは……ただ一人じゃ。あやつの魂はただ一つなのじゃ。
    同じ人間でも芙蓉やアピ助がこの世でたった一人なのと同じように、な。

さんもと ただ一人……

タンコ おぬしは……結婚すると言うからには、アピ助のことが好きなのじゃろう?

さんもと ……気に入ってる。

タンコ ふむ、まぁそれでも良い。
    おぬしが気に入っておるアピ助の魂は、この世でただ一つ、それは分かるな?

さんもと うん。

タンコ その魂と……アピ助と、二度と会えぬようになる、それを想像すると――
    ほれ、この辺りが、チクチクと痛まぬか?

さんもと ……
     わかった。
     ううん、ほんとはよく分からないけど、眷属を殺めちゃだめなんだね。

タンコ それが分かっただけでも十分じゃ。

(タッタッタッタ……!)

芙蓉 アピ助さん!
   宿場町を妖が襲ってきています……! それも大群が……

タンコ なに――

芙蓉 急いでください! かなり……力の強いモノもいるようです。

タンコ ……どうにか追い払えたようじゃの。

芙蓉 それにしても……なぜ突然、あのように大量の妖が攻めてきたのでしょうか?

さんもと ……
     アタシが狙いだ……
     さっきのは魔の眷属……父上が……追っ手を仕掛けてきたんだ……!

タンコ なんじゃと……!?

芙蓉 さんもとさんを取り戻すため……でしょうか?

さんもと うん、そうだと思う……

紅天狗 姫……お戻りください。

さんもと 嫌だ! アタシは魔王にはならないんだから!

紅天狗 姫、我がままはそこまでです……
    このままでは主様のお怒りは取り返しがつかぬほどに――

(ガタガタガタ……)

??? もう遅いわ。

さんもと ち……父上。

魔王 姫よ……幽世へ戻ってこい。
   お前には次の魔王の頭になる務めがある。

さんもと 父上! アタシ言ったよ? もう魔王は嫌だって!

魔王 ならぬ! お前は魔王になるために生まれてきたのだ!

さんもと ヤダって言ってるでしょっ!
     父上、アタシは嫌なの……!
     父上みたいに……魔界を統治しなきゃいけないことが。

魔王 それが魔王の仕事であろう。何を厭うておるのだ?

さんもと 幽世にある「砂の界」……父上は覚えてる?
     あの地もあそこの妖も、アタシのお気に入りだったのに――
     父上は簡単に「砂の界」を消した!

魔王 ……何を甘いことを言っておる。あんな地は取るに足らぬ……下層の地だ。
   幽世の均衡を保つためには必要なこと。

さんもと だからっ……!それが……そういうのが嫌になったんだってば!
     あそこの妖は……楽しい奴らばっかりだったのに……

芙蓉 ……

タンコ さんもと……そうじゃったのか。

芙蓉 ええ、なぜ式姫になりかけていたのか……わかりましたね。

さんもと それに――
     父上、アタシはアピ助と結婚するの!

魔王 なに……!?

☆選択肢

「まだ決まってない。」

さんもと 諦めが悪いよ、アピ助っ!
芙蓉 それはこちらの台詞です、さんもとさん。

「お父さんと呼んでもいいですか。」

魔王 黙れ! この青二才が!

合流

さんもと 父上、アタシがアピ助と結婚すれば――
     そしたらアピ助はお婿さんになって、魔王を継げるから、それでいいでしょ?

魔王 よいわけがあるまい……!
   そんな青二才に務まるほど、魔界を統治するのは甘くないわ! それに――
   どこの馬の骨とも分からぬ奴に、大事な娘をやれるか……!

芙蓉 ……どこかで聞いたことのある台詞ですね。

タンコ 芙蓉……おぬし、神経が太くなったようじゃな。

☆選択肢

「魔王、できるよ。」

魔王 できるかー!

「お父さん。後は任せて。」

魔王 ふ、ざ、け、る、なー……!

合流

魔王 もう許せぬ……
   お前が戻って来ぬというなら、仕方ない。そこにおれぬよう……現世を破壊してやろう。

さんもと ……父上、嘘でしょ?

魔王 お前が戻ってこぬと言うなら、仕方ない。そこにおれぬよう……現世を破壊してやろう。

さんもと ……父上、嘘でしょ?

魔王 現世か……この美しく儚い場所が。お前から魔の楔(くさび)を抜き取ろうとしておるのだ。
   ならば破壊して。お前に未練が残らぬようにしてやるのが親の務め。

さんもと 父上、やめて……

魔王 お前は……魔との繋がりを断ち切ろうとしておるな?
   そんなことは無理に決まっておる。おぬしが魔から自由になり式姫になることはない。

さんもと ――!?

魔王 だが、二度とこんなことをせぬよう、思い知らねばならぬからな……
   現世の者たちには悪いが――
   消滅してもらおう。

(ガタガタガタ……!)

タンコ ななな、なんじゃ……!

芙蓉 強い妖気が空から……いえ四方からも迫ってきています……!

飯綱 わわわ……!
   アピ助さん、怖いよー!

空狐 悪い気が……周囲を覆っています……!

さんもと …………

芙蓉 妖が……来ています。それも、前回とは桁違いの数で……

タンコ これが魔王の力……か。

芙蓉 現世を破壊する……さんもとさんのお父さんは本気のようですね……
   この数、この強さの妖達に、果たして私たちが敵うかどうか……

タンコ 悲観しても始まらぬ。とにかく、最初にここにたどり着いた敵から――
    倒して倒して倒しまくるまでじゃ……!

☆選択肢

「頑張ろう。」

芙蓉 お願いします…、アピ助さん……!

タンコ なんだかいつもよりも、アピ助が大きく見えるのう。

「ゲームみたいだね。」

芙蓉 げーむ、ですか?前におっしゃっていた未来の遊びという……

タンコ 遊びとな。アピ助、おぬしは余裕じゃのう!

合流

さんもと ……
     ……めて。

芙蓉 え?

さんもと やめて、父上……!

さんもと もうやめてよっ……!

タンコ さんもと……

さんもと アタシが……戻ればいいんでしょ……
     アピ助、ごめん。アタシ、やっぱり結婚できないや。
     えへへ、だから芙蓉ちゃん。もう安心してね♪

芙蓉 さんもとさん……そんなのは――

さんもと だめとか言ってもだめだよ! アタシ、もう決めたから!

タンコ さんもと……おぬし、わしらのために……

さんもと 違うよー! 父上が怖いから気が変わったんだって!

タンコ おぬし……それでよいのか? 式姫になりたいと……

さんもと えへへ~、それを言われるとキッツイな♪

芙蓉 さんもとさん……

さんもと アタシ、現世が気に入っちゃったみたい♪
     だから、現世が消えるのは嫌なんだ♪
     こういうこと……だよね、タンコちゃん。
     アタシ、分かったよ……タンコちゃんが言ってた……「ちくちく」。
     好きな魂と……会えなくなるかもしれない……痛み。

☆選択肢

「魔王になるよ。」

さんもと お前はだめだよ、アピ助は……
     だって優しすぎるもん。

「他の方法を考えよう。」

さんもと これが一番いい方法なんだよ……

合流

さんもと ありがとう。ごめんね、アピ助。
     現世を消滅させるわけにはいかないんだ。だって――
     お前は……この世でただ一人しかいない……
     アタシの好きなもの、だからね。

タンコ 待て、さんもと……!

芙蓉 さんもとさん……!

さんもと じゃあねっ♪

タンコ 消えた……

芙蓉 妖達の気配も……一瞬で消えました。

タンコ あやつめ……自らを犠牲にして……

――数日後――

タンコ アピ助、アピ助はどこにおる?

芙蓉 アピ助さんは……

タンコ またあの部屋におるのか……気持ちは分かるが……

タンコ ……アピ助。いつまでそこにおるのじゃ?

芙蓉 アピ助さん……そろそろ夕飯です。
   あの……何か食べないと体を壊しますよ……?

☆選択肢

「うん。」

タンコ 毎日これを繰り返しておるのう……

「すぐ行く。」

タンコ そう言ってなかなか腰を上げんのじゃ……

合流

芙蓉 ……

タンコ さんもとの……あやつの気持ちを思うとやりきれないのは分かるが――

芙蓉 ……はい。さんもとさんのおかげで、現世は救われました。

タンコ なに、あやつのことじゃ。
    またケロっとした顔で現れるかもしれんわい!

芙蓉 ええ。今度こそアピ助さんは結婚を断れないかもしれませんよ?

タンコ 修羅場じゃな。

芙蓉 タンコ……何を言ってるんですか。

タンコ いや、独り言じゃ。

芙蓉 そうですか。それならいいんですが……

…………

…………

??? わっ!
    えへへ~、びっくりした?

タイトル不明

温羅伝説をもとにしたイベントか何か

1 山陽道に属する吉備国に異国より飛来した鬼がいました。その鬼は異国の技術を用いてとある山の中に大きな城を作り上げました。

2 鬼は城を拠点に周辺地域を支配していきました。鬼の相貌をとても恐ろしく、茫々に生えた髭と髪は燃え盛る炎のように赤く、体は一丈以上もありました。

3 ひと一人を片手で持ち上げ放り投げる腕力と、その荒々しい気性から鬼に逆らう者はなく、都への献上品が積まれた船が襲われても、年頃の女が攫われても、だれも抵抗できずにいました。

4 鬼の住む城を鬼ノ城と皆が呼ぶようになった頃、あまりの暴状に耐えかねた周辺地域の民は、鬼に悟られぬ様にこっそりと都に使者を送りました。

5 都に着いた死者が鬼による被害を朝廷に訴えると時の天皇は大いに憂い、吉備国へ優秀な武将を派遣しました。しかし、鬼は狡猾でことごとく退けました。

6 派遣された武将は自分では手に負えないと一度都に戻り、顛末を天皇へ報告しました。それを聞いた天皇はならばと、四道将軍の一人である吉備津彦命を吉備国へ向かわせました。

7 吉備津彦命は優秀な家臣の犬飼武命、楽々森彦命、留玉臣命を中心に大軍を率いて吉備国へ着くと、陣地を整えた後、鬼ノ城へ攻撃を開始しました。

8 しかし吉備津彦命が射た矢は全て、鬼が同時に射た矢によって撃ち落されてしまいます。ならばと、吉備津彦命は寸分たがわぬ正確さで、矢を2本鬼へ放ちました。

9 放たれた矢2本のうち1本はやはり射落とされたが、2本目の矢は落とされず、鬼の左目に突き刺さりました。鬼の左目からは真っ赤な血が噴き出し、地響きのような叫びをあげながら倒れました。

10 倒れた鬼の元へ来た吉備津彦命は見せしめのため鬼の首を持ち帰りました。持ち帰った首は生気を持ち10年以上も恨むように呪うように唸り声を上げ続けました。

11 鬼の唸り声を止められずにいた吉備津彦命の夢の中に鬼が現れ、嫁の阿曽媛に神饌を炊かせるように告げました。吉備津彦命が鬼の言う通り神饌を炊かせ、鬼の首の元へ供えると唸り声が止みました。

壱 国の戦を逃れ島国へ流れ着いた儂は、民たちの信頼を得るため言葉を通じなくとも身振りで教えることのできた製鉄技術を教えることにした。

弐 儂の持つ技術は民にとって高度な技術だったようで、とても喜ばれ受け入れられた。後にそんなことをしなくても、快く受け入れたのにと聞いた時は、涙があふれた。

参 行きついた国は鉄が大量に取れたこともあり、儂の持ち込んだ製鉄技術が大いに役立ったと感謝され、あれよあれよと国の王にまで担ぎ上げられてしまった。

肆 王となり城まで建った頃、周辺地域の中から異国の者を王とすることに不満を抱く者が現れ、都に赴きありもしない話をしているという噂を耳にした。

伍 ほどなくして、都から儂を討ちに来た男はどうにか追い払うことができた。しかし、必ずまた儂を討ちに人がやってくるだろう。妻や我が子は離れた所に避難させた方がよさそうだ。

陸 新たに派遣された男を見た時、儂は死を覚悟した。戦いの末、儂は男に首をとられ、晒されることになった。しかし、儂は逃がした妻と子のことが気がかりで、死してなお声を上げ続けた。

漆 ある時、儂を討ちとった、男の夢の中に儂はいた。そこで、儂は妻の安全の確保のため、何よりもう一度妻の顔を見たい思いで、男にある願いを託した。男は承諾し、儂は感謝を告げた。

タイトル不明

慈愛ビーーーーーーーーーーーーーーーームッッッ!!!!!!!!!!!

悪戯蠍 妬ましい……妬ましいぞ。
    人間どもめ、七夕などと浮かれおって。

邪魔蟹 どうした、悪戯蠍(いたずらさそり)。
    洒落者のおぬしらしくもない、たてがみが乱れておるぞ?

悪戯蠍 おっと……俺としたことが。
    よし、直ったな。ところで、知ってるか邪魔蟹。

邪魔蟹 なんだ?

悪戯蠍 人間どもは七月七日に七夕といってな、紙切れに願いを書き、竹に飾るらしいぞ。

邪魔蟹 ほう……叶うのか?

悪戯蠍 知らん。たが、叶うとしたら……気に入らんな。

邪魔蟹 そうだな、気に入らん。妖の世にそんな風習はないからな。

悪戯蠍 そこでな、邪魔蟹。七夕の日に少し嫌がらせをしてやろうと思うのだ。

邪魔蟹 ほう? おぬしのことだ。妙案があるのだろう。

悪戯蠍 天の川を隠そうと思う。

邪魔蟹 なんと……

悪戯蠍 そもそも事の始まりは七夕伝説だ。だから天の川を隠せば……

邪魔蟹 人間どもは嘆き悲しむ、というわけか。さすがだな、悪戯蠍。

悪戯蠍 くくく、そうだろう? 天の川など見せぬ……見せてなるものか。
    雨雲で空を埋め、天の川どころか夜空さえも拝めぬようにしてやるわ。

邪魔蟹 協力しよう、悪戯蠍。他にも力を貸す妖はごまんといるだろう。

織姫 ……
   まったく……とんだ困ったちゃんね。天の川を隠すなんて何を考えてるのかしら。
   でも――
   七夕を妨害するなんて許せないわ。アピ助、聞いてる?
   私は慈愛ビームで妖を殲滅するわ。
   それには沢山の慈愛が必要だから、アピ助は慈愛を集めてきてくれるかしら?
   今年の七夕を、綺麗な天の川とともに無事に迎えるためにも、よろしくお願いね。

素戔嗚ザ・ヒーローごっこ

かくりよでは神話式姫のトップバッターとして実装された素戔嗚ちゃんの実装記念イベントだ
にじよめでのサービス開始と同じ時期だったからよく覚えてる

(ゴロゴロ……ガガーン!)

飯綱 わわわっ!

空狐 すごい雷ですね……

飯綱 隠れないとおへそを取られるよー!

ナタ これが妖の仕業なら梅雨の間、退屈せずにすむのだがな。

タンコ しかし……こう雨が降りやまぬと、うんざりしてくるのう……

芙蓉 梅雨ですからね。仕方がないですよ。

タンコ じゃが、もう何日もこの宿に足止めされておる。
    そろそろアピ助も討伐に行きたいのではないか?

☆選択肢☆

「全然へーき。」

芙蓉 アピ助さんは我慢強いんですね。

タンコ 我慢強いというか、部屋の中がしっくり来ておるようじゃな、おぬし。

「部屋の中サイコー!」

タンコ ど、どうしたおぬし……!

芙蓉 雨が長いですからね。うっぷんが溜まっているのでしょうか。

合流

(ガガ……ーン……!!)

芙蓉 ……?今のは……?

タンコ 何やら遠くで鳴ったな。それも雷ではない音のようじゃ……

芙蓉 妖でしょうか。

タンコ 外に出てみるかの。

芙蓉 あら……?雨が止んでるようですね。

タンコ 本当じゃな、青空まで見えておるわ。

(ガガ……ン)

タンコ またじゃ……!

芙蓉 タンコの言った通り、遠くの方で音がしているようですね……

タンコ あそこじゃ!
    あの山の上じゃ。噴煙が上がっておるわ。

芙蓉 自然現象では……なさそうですね。妖でしょうか。

タンコ 十中八九、そうじゃろうな。急ぐぞ、アピ助。
    あのような大きな噴煙、放っておくと危ないからの!

芙蓉 この辺りのようですね。

タンコ さて、どこにおるのか――

(ズガガーン!!)

タンコ ななな、なんじゃ……!すごい衝撃が……!

芙蓉 妖が近づいてきているようです、気をつけてください……!

(タタタタタタタッ!)

タンコ アピ助、くるぞ……!

素戔嗚 スサノオ仮面、見参!

芙蓉 ……え?

素戔嗚 大丈夫!?ここは危ない……逃げた方がいいよ!

タンコ 妖ではないようじゃの……

芙蓉 素戔嗚(すさのお)……とは、神話でのみ語られるあの方のことでしょうか……?

??? くっくっく……

タンコ なんじゃ、また新手か!?

栄螺鬼 ……来たか、スサノオ仮面。
    なんだ、人間を連れてきてるのか?足手まといを連れてるなんて、余裕だな。

素戔嗚 くっ……栄螺鬼(さざえおに)……この人達には手を出すな……!

赤鬼 足手まとい付きでおいら達に勝てると思うなんて、甘く見られたもんだな。

(ドッドッドッドッドッ)

青鬼 待ってくれ!おいもおっど!

餓鬼 おでも戦うだす……!

緑鬼 わしはここで見物じゃ。

鉄小鬼 これで役者は揃ったな……

赤鬼 スサノオ仮面、ひーろー戦隊、鬼れんじゃーが相手だ!

栄螺鬼 きまったな……

餓鬼 おで、かっこいいだすか……!?

青鬼 餓鬼どん、立派なひーろーじゃ。

緑鬼 年甲斐もなく、格好つけてしまったのう。

鉄小鬼 さっさと勝負するぞ!

赤鬼 おいら達は準備万端だぜ!

素戔嗚 望むところだよ!

芙蓉 あ。あの……

青鬼 なんじゃ。わいもスサノオ仮面の仲間か!?

芙蓉 ち、違います……!

タンコ 芙蓉、アピ助。巻き込まれんうちに逃げるぞ。

芙蓉 ええ、とりあえず離れましょうか。

芙蓉の声 アピ助さん、早く逃げないと――

素戔嗚 いくよー!

赤鬼 こい!

鉄小鬼 手加減はしねぇぜ。勝負だ、スサノオ仮面!

芙蓉 アピ助さん、危ない……!

素戔嗚 あー、楽しかった!

赤鬼 なかなかいい戦いだったな。

青鬼 おいは膝すりむけてしもた。

赤鬼 でもよ、ちょっと変じゃねぇか?どっちもひーろーってのはよ?

素戔嗚 ヒーローは譲れないよ!

青鬼 おいもひーろーがよか。

赤鬼 おいらもれっど、だからな。れっどはひーろーって決まってるからなー。

素戔嗚 いっそのこと、皆で「ヒーロー戦隊、神レンジャー」にしようか!

緑鬼 か、神じゃと……!?

青鬼 めっそうもねぇど……!

赤鬼 おいら達は鬼だからな。神様はさすがに名乗れねぇや……!

餓鬼 しぇしぇしぇっ!

タンコ どうやらこやつらが……

芙蓉 ええ。雨を止ませた犯人のようですね。

タンコ あやつの放つ技の爆風で、雨雲がすべて吹き飛んだのか……
    ……恐ろしいほどの力じゃの。

芙蓉 素戔嗚(すさのお)様……と言っていましたから、おそらく神話でのみ語られる式姫なのでしょうね……

タンコ ああ。あれが神とはの……

芙蓉 何も言わないでください、タンコ……
   神様とはいえ、迷惑なものは迷惑、です。
   ひーろーごっこか何か知りませんが、すぐに止めていただきましょう。

タンコ ……おぬし、最近気が強いのう。

素戔嗚 ――えー!?ヒーローごっこを止める!?

タンコ おぬしが雨雲を吹き飛ばすからじゃ。

素戔嗚 だって雨ばっかりでつまんないんだもん……
    でも人里でやると迷惑がかかるみたいだから、山でヒーローごっこしてるんだよ?

芙蓉 お気遣いはありがたいのですが……
   標高の高い場所で衝撃波を撃つから、余計に雨雲が掻き消えるのでしょう。
   ……素戔嗚様、梅雨に雨が降らなければ、秋に良い収穫が得られません。
   今年も良い実りを迎えられるように、今はひーろーごっこを我慢していただけませんか?

素戔嗚 そっか……わかった!
    鬼レンジャー達と、別の遊びを考えるよ!

芙蓉 ありがとうございます。

――数日後――

(ザー……)

タンコ 無事に雨が降るようになって良かったのう。

芙蓉 ひーろーごっこを我慢してくれてるようですね。

☆選択肢☆

「何の遊びをしてるのかな?」

タンコ さて……あの様子を見ると大人しい遊びではなさそうじゃが……

芙蓉 そうですね……暴れても良いのですが、深海などでやっていただきたいです。

「なんだか申し訳ないね。」

タンコ 梅雨が終わるまでの辛抱じゃ。

芙蓉 ええ。梅雨が終われば思う存分遊んでいただきましょう。

合流

旅人 大変だー!
   大雨で地盤が緩んでる、このままだと崖崩れが起きるぞー!

タンコ ――なに!?

芙蓉 この宿場町はちょうど山の麓です。今すぐ逃げないと危険ですね……
   ――!?
   アピ助さん、タンコ……崖崩れどころではないかもしれません……
   水龍が棲み処から出てきています。何か起こってるようですね……
   田植えの時期に川から水を引くなど、治水が行われていましたから――
   誰かが水龍の怒りに触れてしまったのかもしれません……

タンコ このまま力を得て動き出せば、ますます雨が勢いを増し――
    洪水や鉄砲水が起こるかもしれんのう……
    ……ふむ。

芙蓉 先日やめるように頼んでおいて心苦しいですが……

タンコ そうじゃな……

芙蓉 素戔嗚様に雨雲を吹き飛ばしていただきましょう……

芙蓉 ――というわけで、もう一度雨を止めていただけませんか?

タンコ おぬしの力が必要なのじゃ。

素戔嗚 それって――
    スサノオ仮面と鬼レンジャーの出番ってこと!?

芙蓉 はい、そういうことです。

赤鬼 腕が鳴るな。

餓鬼 しぇっしぇっしぇっ、おでも頑張るだす……!

芙蓉 よろしくお願いいたします。

(ドドーン!)

(ガガガガーン!)

芙蓉 さすが……ですね。

タンコ うむ……一瞬で雨雲が吹き飛んだようじゃ。

素戔嗚 どう?ヒーローとして活躍できたかな!?

芙蓉 ええ、雨も降り止みました。ありがとうございます。

(ドドドドドド……)

タンコ この音は……?

芙蓉 雨は止みましたが……水龍の怒りは収まらないようです。

素戔嗚 むむむ……!
    悪者じゃないみたいだけど……ヒーローとして戦うしかないみたいだね!

☆選択肢☆

「一緒に戦うよ。」

素戔嗚 よーし、アピ助! 力を合わせて水龍に家に帰ってもらおう!

「ヒーローに任せるよ。」

芙蓉 アピ助さん……こういう時こそ陰陽師の出番です。

タンコ ……最近の芙蓉を怒らせると怖いぞ?

合流

素戔嗚 アピ助、いっくよー!

タンコ 水の勢いが衰えていくのう……

芙蓉 無事に水龍が巣に戻っていくようですね。
   ありがとうございます、アピ助さん、素戔嗚様。

素戔嗚 ううん!人々を救うのはヒーローの務めだからね!
    アピ助もやるね、今度一緒にヒーローごっこしようよ!

☆選択肢☆

「喜んで。」

素戔嗚 約束だよ!
    そうだなー、アピ助は陰陽師マンかな!

タンコ 陰陽師まん……

芙蓉 独特の名付けの趣味ですね……

「手加減してね。」

素戔嗚 ヒーローごっこは本気の遊びだよ!アピ助なら大丈夫だって!

芙蓉 きっと、雨雲と同じように……
   アピ助さんも掻き消されてしまうかもしれませんね

タンコ 芙蓉、やめんか。真顔が言うと冗談に聞こえんぞ。

合流

素戔嗚 約束だよ!鬼達と遊んでるから絶対に来てね!

鉄小鬼 今度は相撲選手権やろうぜ。

青鬼 おいも参加したかごったよ。

栄螺鬼 韋駄天のおらと競争するのはどうだ?

餓鬼 おでも負けねだす!

赤鬼 じゃーな!絶対に遊びにこいよー!

タンコ ……鬼れんじゃーと、すさのお仮面、か。
    すごい式姫じゃったのう。雨雲を吹き飛ばしたり……
    あやつらの話を聞いておったんじゃが、山を一つ消したこともあるらしいぞ?

芙蓉 ……神様ですからね。お強いんでしょう。

タンコ そうじゃな、神様じゃからな……敵に回さぬように気をつけるとするか。

芙蓉 ええ、それが最善でしょうね。