ひねもすイベントまとめ2

Last-modified: 2021-09-18 (土) 23:15:44

作ってみたら
なそ
にん
って思うくらい長くなっちゃったので分割だよ

初恋の君と夏祭り

おんらの実装記念イベント
なんかTSした竿役が友情出演してますな

タンコ ――ふむ。そろそろ宿場町に着くが――
    芙蓉はもう少しかかりそうじゃのう。

飯綱 何を忘れたのかなー? 聞いても答えてくれなかったよね。

咲耶 言いづらい物もあるのではないですか?
   でも少し心配ですね。宿場町に着いたら、途中まで迎えに行って差し上げましょうか。

タンコ 子供じゃないのじゃ。大丈夫じゃろう。
    アピ助と出会うまではわしと二人で旅をしておったしな。

??? 何やってんだこのアマ!

タンコ な、なんじゃ……!?

チンピラ 壱 いってぇ……! 肩が折れたかもしれねぇ……!

チンピラ 弐 おい、お前! 兄貴の肩をどうしてくれんだ!

チンピラ 参 兄貴、こいつ、やっちまいましょうぜ!

??? う、うるせー! なんだコラー!

チンピラ 壱 いてて……これ、本当に折れてるわ。

チンピラ 弐 オラー! 兄貴の肩、折れてるってよ!

(ドンッ!)

??? いた……! わたし、当たっただけだも……だろうがコラー!

チンピラ 壱 お前ら、いいから医者を――

チンピラ 参 治療費出せやコラー! 出せねえってんなら、他の方法で払ってもらおうか?

タンコ ……
    アピ助……、ちとあれはひどいの。

☆選択肢☆

「助けに入る。」

チンピラ 参 なんだ、お前? 文句あんのか?

チンピラ 弐 部外者はあっち行ってな。

「傍観する。」

タンコ 何をやっておるんじゃ……!
    女子(おなご)が困っておる。さっさと行かんか……!

合流

チンピラ 弐 な、何すんだよ……!

飯綱 乱暴するのはだめだよー!

ナタ 一般人相手に戦う気はないが……それ以上やろうと言うなら遊んでやってもいいぞ?

チンピラ 参 ちっ……人数揃えやがって……兄貴、行きましょうか……

チンピラ 壱 だから、俺は肩が――

??? ……

タンコ おぬし、怪我をしておるぞ? あやつらにやられたのか?

??? あっ、これはさっき一人で転んで……

☆選択肢☆

「手拭いを渡す。」

??? あ、ありがとうよ……!

「手当てする。」

??? わっ……

タンコ じっとしておれ。こやつ、こういうことがなかなか上手いんじゃ。

合流

??? ま、あんな奴ら、わたし一人でも倒せたんだけどな……!

タンコ ……ほう。

??? おんら、そんなところにいたのか?

??? 先輩! すぐ行くよ!

(タッタッタッタッタッ)

タンコ 今のは……どこかで聞いたことのある声じゃのう。

タンコ ――ふぅ。なかなか良い宿が取れたのう。

(ガラッ)

あくる お。この宿にいたんだな。ちょっと探したぜ。

タンコ おぬし……どこをほっつき歩いておったのじゃ。

あくる まあいいじゃねえか。それよりアピ助。ちょっと知り合いが訪ねて来たんだ。
    しばらくここに置いてもいいか?

☆選択肢☆

「もちろん。」

あくる ありがとよ。

「友達?」

あくる 友達っつーか。後輩っつーか……

合流

??? ……
    あ! あんたは……!

あくる なんだ、知ってたのか?

??? ちょっとだけ……

あくる こいつは、おんら。なんか懐かれちまって、ここまで来ちまったんだ。

おんら ……なんだよ。わたしのこと、見てんじゃねーよ……!
    お、オラー! あんまりなめてると、な、な、殴るからなー!

タンコ あくるの後輩……か。
    そうかもしれぬと思っておったが、やはり式姫じゃったか……
    ……しかし、以前アピ助に聞いた――
    未来に生息すると言われる「やんきー」、という種族はこういう感じなのかのう。

あくる ……やんきー、ねぇ。……はぁ。
    おんら、あたしに憧れてるっていうのはいいけど、言っとくが、あたしはそんな言葉は使わねえからな。

おんら え? そうなの……?
    じゃ、じゃああくる先輩。どうしたらいいかな……?
    どうしたらあくる先輩みたいに格好良くなれるの?
    その……やんきーっていうの? どうやったらなれる? なり方を教えてよ……!

あくる ……なろうと思ってなるもんじゃねぇんだが……
    仕方ねえな。
    試しにあたしが鍛えてやるよ。

おんら 本当!? やったー! ……じゃなくて、やったぜ!
    あたし、あくる先輩についていくっす!

あくる ……なんかちょっと、違うんだよなぁ。

あくる いいか!? まずは敵になめられたら終わりだからな。
    まずはあそこの妖を相手に、ちょっと練習してみろ。

おんら ウッス!

あくる その一! 目で相手を威圧しろ!

おんら ウッス!
    ……う~……

タンコ 威圧……しておるのか……?

あくる うん、なかなかいい目だな。
    それじゃあ、その二! 自分より強そうな相手でもびびるな!

おんら オラー! でかいからって威張るなよ!
    わたしと勝負……タイマン張れコラー!

(ゴゴゴゴゴ……)

あくる はは。相手がその気になっちまったな。

タンコ こら……妖を挑発して……笑い事ではないぞ。

あくる ちょうどいい、その三だ! 勝った方が正義だ! どんな手でも使え!

おんら 了解! 素手で勝負だぜ――
    と見せかけて金棒でゴーン!

あくる もっとやれー!

おんら ウッス!

あくる よし、ちゃんと討伐できたな。

おんら はぁっはぁっ……ウッス!

タンコ ……

あくる なかなか様になってきたからな。今度は試しにアピ助に喧嘩売ってみるか?

おんら え? あ、はい……ウッス!
    お、おめー! 調子こいてんじゃねーぞー!
    勝負しろコラー!

タンコ お、おぬし……
    それは切り株じゃ……

おんら え!?

あくる そういえば目が悪いんだったな。
    妖力はどうしたんだ? 妖視……だったか? 視界を補完してるんだろ?

おんら ちょっと気を抜くと……ぼやけるというか……

あくる ふーん、なるほど。動揺した時も妖視できなくなるのか。
    なるほどねぇ……

おんら あくる先輩……なに……?

タンコ あくる、おぬし……楽しそうじゃの。

あくる べつに~♪

あくる おんら、そこの醤油取ってくれ。

おんら ウッス!
    あっ……

あくる お? アピ助も醤油取ろうとしてたのか? 指先が触れたってやつだな。

タンコ おんら、顔が真っ赤じゃぞ?

おんら う、うるさいな……! 今日は暑いからだろ!
    ……なんだよアピ助、何見てんだよ……

☆選択肢☆

「見てない。」

あくる うそつけ。おんら、こいつ見てたぞ。

おんら 見てんじゃねーぞコラー!

「かわいい。」

おんら う、うるせー! なめんなよコラー!

合流

あくる くっくっ……こいつはこういう所がかわいいよな。

おんら せ、先輩っ!

あくる よし! 走り込みは終了だ!

おんら はぁっはぁっ……ウッス!

タンコ やんきー……というのはなるのが難しいもんなのじゃのう……

おんら はぁっはぁ……これくらい平気だも……だぜ!

☆選択肢☆

「水筒を差し出す。」

おんら え……? 飲んでいいの……?
    あっ……これって間接……

「喉乾いてない?」

おんら 乾いたけど……これ、アピ助の水筒……だろ?
    それなら……間接……

合流

タンコ 何を言っておるのじゃ?

☆選択肢☆

「まだ口付けてないよ。」

おんら べ、別に……そんなの気にしてたわけじゃねー!

あくる くっくっ、女心は難しいな、おい。

「洗ってこようか……」

おんら 別に気にしてるわけじゃねー!
    ほら、貸してみな!

合流

(バキッ!!)

おんら ああっ!

タンコ ……水筒を握り潰しおった……

あくる おんらは力が強かったな。そういえば。

おんら ごごご……ごめんなさい……!

☆選択肢☆

「いいよ。」

あくる お? アピ助は優しいねぇ。ひゅーひゅー。

おんら あくる先輩……!

「また買うから大丈夫。」

おんら でも……

あくる アピ助が大丈夫って言ってんだ。そこは甘えとけって。

合流

おんら ……じゃあ、今度代わりの水筒を……アピ助、一緒に買いに――

芙蓉の声 ああ、アピ助さん、タンコ。ここにいらっしゃったんですね。

タンコ おお! 芙蓉、戻ったか!

芙蓉 さっき戻りました。宿の方達にここだろうって聞いて。

タンコ それで、忘れ物はあったのか?

芙蓉 ……あ、はい。

タンコ 慌てて戻っていったが、一体何を忘れておったのじゃ?

芙蓉 ……この前、街道で描いていただいた絵を……宿で油紙に包んでいただいてそのまま……

タンコ おお、アピ助と一緒に描いてもらったあの絵か。

おんら ……

芙蓉 あ、すみません……! ご挨拶もせずに……お客様ですか?

おんら あ……えっと……

(タッタッタッタッ!)

タンコ おんら! そっちは宿ではないぞ!
    そのまま行くと宿場町から出てしまうぞー!
    何も見えておらんようじゃな……

あくる ちっ、これくらいでビビりやがって……

(チャポン……)

おんら なんだ……彼女いたんだ……
    アピ助の隣には、あんなにかわいい子が……
    わっ! アピ助、なんだよ急に……!?

☆選択肢☆

「大丈夫?」

おんら ……大丈夫もなにも、どうもしてないよ。

「どうしたの?」

おんら なんでもないよ……

合流

あくる ……アピ助、あんた……空気読めよ……

おんら あくる先輩、別にわたしはなんでもないよ……ぜ。

あくる あんた、もう無理すんなよ。その口調。

おんら !! でも……あくる先輩みたいになりたいから。

あくる あんたには似合わねえよ。国に家があるんだろ?
    こんな所にいないで帰れって。

おんら あくる先輩……それはできないっす。

あくる だから……似合わねえって。
    なあ、おんら。あんたは、あたしとは違う。いや、あたしみたいになっちゃだめなんだよ。

おんら でも……わたし、あくる先輩みたいになりたい。
    あくる先輩みたいに強く……

あくる なんでそんなに強さにこだわるんだ?

おんら 強ければ……
    大事なものを失わずに済むから……わたしが強ければ……

あくる ……その気持ちは分かる。
    何があってそう思うようになったかは知らねえが、そうか……
    じゃあ、頑張れ。

おんら うん……ッス!

あくる ……
    それに……片思いで満足してんじゃねえぞ。

あくるの声 アピ助、いるか?

(ガラッ)

あくる 今度、近くの村で夏祭りがあるだろ?
    フグ美とフグ次郎が行きたいって言うんだ。

フグ美 地上の祭りなんて初めてだからね!

フグ次郎 魚をすくう屋台があるってのは本当かい!?

あくる そういうわけだから、あんた、付き合ってくれるか?

☆選択肢☆

「いいよ。」

あくる そうこなくっちゃ。

「芙蓉も誘っていい?」

あくる そう言うと思ったぜ。だけど、たまには別行動もいいんじゃねえか?
    子供じゃねえんだから、大丈夫だって。それにタンコ達もいるしな。

合流

あくる じゃ、当日は入り口で待っててくれ。よろしく頼むぜ!

(ガヤガヤ……)

村人 壱 そろそろ始まるな。さ、中へ入ろうか。

子ども お父さん、俺、お面が欲しい!

村人 弐 あんた、そんなところに突っ立って。中に入らないのかい?
     待ち合わせ? そうかい。早く来るといいね。

……

??? ……え?
    もしかして……
    アピ助……?

おんら ――な!
    なんでアピ助がここにいるんだよ!?
    わ、わたし……!? わたしはあくる先輩に誘われて……

☆選択肢☆

「こっちもあくるに誘われた。」

おんら 本当に……?

「あくるも来るのかな?」

おんら ……来ないだろうな。

合流

おんら もう……! あくる先輩……罠にはめたな……!

☆選択肢☆

「せっかくだから祭り行こうよ。」

おんら ばっ! ばか言ってんじゃねえ!
    ……でも、祭りは楽しそうだな。

「浴衣は着ないの?」

おんら 着るわけねーだろ! あんな動きづらいもの……
    かわいいけど……喧嘩できないから……
    ――え? 一緒に祭りに行こう?

合流

おんら そんなに言うんなら……行ってもいいぜ。

(ガヤガヤ……)

おんら でもすごい人混み……気をつけないとはぐれるかも……

☆選択肢☆

「はぐれないよう、手を差し出す。」

おんら や……手を繋がなくても、はぐれないように頑張るし……
    別に繋ぎたくないわけじゃないけど……

「袖を握ってもらう。」

おんら 大丈夫だって……! 子どもじゃないんだからよ……

合流

おんら このお面……かわいいな。
    (カポ)
    な、なあアピ助! どうかな、このお面、似合う?

☆選択肢☆

「お地蔵さまに話しかけないで。」

おんら わわっ!
    ごめん、また妖視が解けてた……

「眼鏡買ってあげようか?」

おんら わ、わたし、お地蔵さまに話しかけてたの……!? ごめんアピ助……!
    ――だから眼鏡?
    い、いいよ……! アピ助に何か買ってもらうわけには……

合流
おんら あっ! りんご飴落としちゃった……
    アピ助、ちょっと代わりの――

妖だー!

妖が攻めてきたぞー!

おんら !!

妖だー!

妖が攻めてきたぞー!

皆、早く川向こうへ逃げろー!

おんら !!
    アピ助、すぐに討伐しなきゃ――

向こうの宿場町も襲われてるそうだ! こっちより大群らしいぞ!

おんら ……宿場町が……!?
    ……
    アピ助、何をもたもたしてるの!?
    早く行ってあげて!!

☆選択肢☆

「でも……」

おんら ここへ来た妖はわたしが追い払うから。

「おんらは?」

おんら わたしは、ここの人達を守るよ。

合流

おんら 早く行ってあげて。
    芙蓉ちゃん……きっと待ってるよ。アピ助のこと……
    ――え? わたしが心配?
    大丈夫だぜ……! あくる先輩に鍛えてもらったからな!
    わたし、やんきーだもん!
    わたしは……やんきーで強いから……ここにいる人達を守るよ。
    アピ助は……芙蓉ちゃんのことを守ってあげて。

☆選択肢☆

「置いていけない。」

おんら 大丈夫だから!

「でも……」

おんら でも、じゃないの! 早く行って!

合流

おんら はやく!

旅人 壱 にげろー!

旅人 弐 あっちも妖がいる! 川向こうに行けー!

旅人 参 あんた、この宿に泊まってたのかい? 荷物を取りに行くんなら諦めな。
     中は妖でいっぱいだ。命を優先させた方がいいよ。

(ガラガラッ……ドサッ!)

旅人 参 人が出てきたぞ!?
     大丈夫か!?

男 中で……青い髪の女の子が助けてくれたんだ。

旅人 参 まだ中に人がいるのか……!?

☆選択肢☆

「助けに行く。」

旅人 参 あんた……!

「芙蓉の名前を呼ぶ。」

……

??? ――さん……!

合流

旅人 参 あんた、助けに行くつもりか……!? 中に入っちゃ――

(ガシャーン!)

――さん!?

芙蓉 アピ助さん……!!

タンコ 芙蓉、喋ってはいかん。煙を吸うぞ……!
    アピ助、見ての通り、妖の作る火の壁で外に出れぬのじゃ……!

芙蓉 ゴホッゴホッ……

タンコ アピ助、討伐してくれ……
    急がんと芙蓉が……

旅人 参 あんた、無事だったのか!?
     それに女の子も……

芙蓉 ゴホッゴホッ……

旅人 参 すぐに医者を呼んでくる! 待っててくれ!

タンコ 大丈夫か、芙蓉?

芙蓉 アピ助さん……おんらさんは……?
   ――お祭り会場で戦ってる……!?
   すぐに戻ってあげてください。
   私は大丈夫……ですから。

タンコ あとはわしに任せろ。
    咲耶は宿場町の皆を治しに行ってるのじゃが、じきに戻ってくるじゃろうからな。


☆選択肢☆

「おんらを呼ぶ。」

……

おんらの声 アピ助……!

「おんらを探し回る。」

……

おんらの声 アピ助?

合流

おんら あっちはもう……片付いたの?

あくる ったく、来るのが遅いんだよ、あんたは。

おんら あくる先輩がね、途中で助けに来てくれたの。

あくる いや、あたしはさっき着いたばかりだからな。妖はほとんどあんたが倒してたじゃねえか。

おんら ふふ。アピ助……わたし、皆を守ったよ。
    わたし、強くなれた、かな?

☆選択肢☆

「最強のヤンキーだよ。」

おんら ふふ、嬉しい。アピ助に褒められちゃった……ぜ。

「強いよ。」

おんら やったね。アピ助に褒められた。

合流

おんら わたし……もう十分だな。お腹いっぱい。

あくる ……おんら、あんた何言ってんだ?

おんら わたし、吉備国(きびのくに)に戻ろうと思うんだ。

あくる おんら……

おんら あくる先輩。わたし、アピ助に謝らなきゃいけないことがあるの。

あくる ああ……わかった。言いたいことも言っておけよ。

おんら ……
    わたしね……性格悪いんだ。
    だから……アピ助にはふさわしくない。
    って、何言ってるんだろうね。アピ助には芙蓉ちゃんがいるのに……
    わたしね……
    芙蓉ちゃんが危ないって聞いた時……
    アピ助に行かないでほしいって思っちゃったんだ。
    ううん、本当は、もっとひどいことも思った。
    わたし、最低だ。
    芙蓉ちゃんには無事ていてほしいけど――
    アピ助が、わたしを選べばいいのにって……
    だからね。吉備国に戻って、わたし修行するよ!
    修行して、立派なやんきーになる!
    もっと強くなって、それで、アピ助と芙蓉ちゃんの二人を余裕で守れるようになる。
    そしたら……戻ってきてもいいかな?
    わたしね、もっと強くなったら、二人のそばでも、笑ってられると思うんだ。
    だから……その日までちょっとだけ、さよならだよ。

☆選択肢☆

「わかった。」

おんら ……ありがとう。

「早く戻っておいで。」

おんら いいの……?

合流

おんら あの……それまでね。これ、持っててもいいかな?
    アピ助に借りてた手拭い。
    洗って返そうと思ってたんだけど、なんでだかできなくて。
    ――いい? 本当? ありがと、アピ助!
    次に会う時まで……大事に持ってる。
    じゃあね……

……

あくる ……ったく。強がりやがって。
    おんら、あんたもう十分強いぜ。なぁ、アピ助?

タイトル不明

タロちゃんのおもらし絵キボンヌ

太郎坊 ……うぅ……まただ……
    一体何なんだよん!
    あ、アピ助……!
    ……じつは少し前から、なんか視線を感じるというか……
    ゾワーって、背筋に悪寒が走ることがあるんだよん……
    ――え? 夏だからって? それってもしかして……お、お化け……
    こ、こ、怖い話はやめるんだよん! そ、そそ、そんなのいないんだよん!

(ヒュ~、ドロロロ……)

幽霊 ――うらめしやー。

太郎坊 ぎゃああああ! ほ、本当に出たあああ……!
    ……あれ? なんだ、幽霊だったよん……

幽霊 なんだとは失礼だな……私以外に何を想定していたんだ?

太郎坊 う、うん……じつは――

幽霊 ――ああ、それか。
   たぶん太郎坊が感じているものは、妖の気配だ。
   私が夏本番に向けて「仕込み」をしていたら、その時に使った妖力に、妖が集まってきたんだ。

太郎坊 「仕込み」って言うのが何なのか気になるけど……
    とにかく、私が感じていたのは、お化けじゃなくて妖の気配だったんだよん?

幽霊 そういうことだ。

太郎坊 はぁ、よかったよん……
    妖なら、討伐すれば良いってことだよん! さっそく私が吹き飛ばしてあげるんだよん。
    で、で、でもひょっとすると、お化けがいるかもしれないし……
    アピ助も一緒に来て欲しいよん!
    よろしくだよん!

火の神の秘湯

神国日本が誇る暖房器具こと火之迦具土の実装記念イベント
使われてる文字が独特だったせいで書き写すのが大変だったことは覚えてる

芙蓉 ――謎の秘湯、ですか?

タンコ うむ。
    ……なんでも昼間は地元の者にも評判の気持ちの良い湯加減なんじゃそうじゃ。
    それが――
    戌の刻(いぬのこく)を過ぎると、その温泉は沸騰した熱湯に変わる……

芙蓉 沸騰……するのですか。

タンコ うむ……何物の仕業かは分からぬ。
    じゃが村人は……山の神が湯に入りに来ておると信じて――
    戌の刻を過ぎると誰も湯に入ることはないそうじゃ。

芙蓉 ……不思議な温泉ですね。ですが――
   不思議なのはわかりましたが……どうしてその温泉に行くのですか?

タンコ 何を言っておる。もしかしたら妖の仕業かもしれんじゃろう?

芙蓉 確かに、昔から土地神として崇められているものが、じつは妖怪だった、というのは聞きますが……
   自然現象かもしれませんし、今のところ害はないのですから、一概に妖と決めるけるのも……

タンコ 芙蓉、そこは名湯らしいのじゃ。温泉に入りたくはないか?

芙蓉 やっぱりそういうことでしたか……

タンコ なんじゃ、文句あるか? 芙蓉も温泉に入りたいじゃろう。

芙蓉 そうですね、たまにはいいかもしれません。

タンコ アピ助はどうじゃ?

☆選択肢☆

「行きたい。」

タンコ そうじゃろうそうじゃろう!
    そこは温泉卵も有名なのじゃ。たまには秘湯でゆっくりするのも悪くはあるまい。

「熱いから行きたくない。」

タンコ おぬし、暑い時ほど熱い湯につかるのが良いのじゃぞ?
    なんにせよ、たまには湯で体を休めることも必要じゃろう。

合流

芙蓉 ここのところ、旅で急いで移動していたので、一つ所に留まってゆっくりするもの良さそうですね。

タンコ 決まり、じゃな。
    よし、行くぞ! いざ秘湯へ!

――山の温泉郷――

村人 ここだに。この先に温泉が湧いてるだに。

タンコ ほう……硫黄の匂いがするのう。どんな湯か楽しみじゃ。

芙蓉 ここの温泉ですが、戌の刻を過ぎるとお湯が熱湯に変わる、というのは本当なんですか?

村人 本当だに。山の神が入りに来てるだに。
   でもお前達、気をつけるだによ?
   神の姿を目にして怒らせてしまったら祟りがある、と昔から言われてるだに。
   実際に、山がひとつ灰と化したこともあるらしいだに。
   だから絶対に戌の刻の前後は温泉に近づいちゃダメだに……!

タンコ ……噂は本当のようじゃな。

村人 (チャポンチャポン……)

芙蓉 何をしているのですか?

村人 卵を入れてるだに。
   神様が湯に入った後に引き上げると、ちょうどいい塩梅に茹で上がるだに。
   芋を入れるのもおすすめだに。

タンコ ……

芙蓉 どうやら、とても村の方の生活に馴染んでいるようですね……

村人 だけど不思議なことに――
   茹で芋になるはずが、時々、焼き芋になってることもあるだに。
   不思議だに。山の神様は気まぐれだに。
   それに不思議なことは他にもあるだに。夜になると村中の猫が消えるだに。
   きっと、神様は猫と仲良しだに。戌の刻になると猫が神様に会いに行ってるだに。

芙蓉 猫が消える……ですか。

タンコ うむ……悪い妖ではないのかもしれんのう。

村人 いいか。もう一度言っておくけど、絶対に戌の刻に来ちゃだめだによ?

タンコ わかっておる。

――戌の刻――

芙蓉 タンコ……! あれほど言われたのに、まずいですよ……!

タンコ しかし、これが目的じゃからのう。
    ……む? 昼間よりも湯気が多い。
    もしかしたらもう妖が来た後かもしれん。アピ助、湯に触ってみてくれるか?

☆選択肢☆

「え!?」

タンコ 何を驚いておる……
    熱湯かどうか確かめる……そんな危険な役目を芙蓉にはさせられまい。

「熱湯だったら火傷するよ。」

タンコ じゃから頼んでおるのじゃ。芙蓉にはさせられんじゃろう?
    ――そうか。わかってくれたか。

合流

タンコ そっと……じゃぞ。指先だけでよいから確かめてくれ。

芙蓉 ――!? だ、大丈夫ですか!? アピ助さん!

タンコ なんと……熱湯になっておるか。もう妖が来た後のようじゃの。

村人 お前達!
   何をしてるだに!

村人 お前たち! 何をしてるだに!

タンコ 見つかったか……

芙蓉 だから言ったんですよ……

村人 言っただに! ここには山の神様がくるだに!
   神様を怒らせたら、山や村に祟りがあるだに!
   お前達……村に良くないものをもたらすだに。ここから立ち去るだに!
   神様が怒ったらお前達のせいだに!

??? こらこら。喧嘩はよさないか。

タンコ ……む?

ニャー。
ニャーン、ニャンニャン。

芙蓉 猫の声……? それに、辺りに火の粉のようなものが……

村人 山の神様がいらしゃっただに……
   お前達のせいだに……!

??? 村の者よ。安心するがいい。
    余は姿を見られたくらいでは怒らない。

村人 は、はい……!

??? 余の名は火之迦具土(ひのかぐつち)。いつもここで名湯を楽しませてもらっているぞ。

芙蓉 火之迦具土様といえば……

タンコ 有名な火の神じゃな……
    ……ということは、焼き芋を作っておったのも、火之迦具土様じゃったのか……?

火之迦具土 ああ、それは余が作った。懐に入れておくと焼き芋が出来上がるのだ。
      いつも余の為に洗い立ての手拭や桶を用意してくれているからな。
      礼のつもりだったのだが、気に入ってくれていたか?

村人 は! それはもう……ありがたく頂いております……!

ニャー。

村人 お前達!
   見かけねえと思ってたら、やっぱり神様のところにいただにか!

タンコ なるほど……山の夜は冷えるから……

芙蓉 火之迦具土様のおそばで。暖をとっていたのでしょうね……

火之迦具土 ああ、この者達か。真冬になると四六時中、余のもとにいるぞ。

――数日後――

タンコ それにしても、この温泉郷にすっかり長居してしまっておるのう。

芙蓉 名湯ですからね。ついのんびりしてしまいます。

タンコ そろそろ山を下りて次の町へ行ってもよいかもしれんな。

芙蓉 そうですね。
   ……あら? 火打ち石が見当たりませんね。
   どこにあるんでしょう……?

火之迦具土 何を探しているのだ?

芙蓉 火之迦具土様、火打ち石を探しているんですが……

火之迦具土 そんな物は必要ない。余が火をつけてやろう。
      (ボッ……)

芙蓉 ありがとうございます。

飯綱 すごいね! 火之迦具土様!

咲耶 火打ち石が必要ありませんね。

タンコ ……

飯綱 ねえ火之迦具土様、水の入ったこの桶を持ってもらっていいー?

火之迦具土 いいだろう。こうか?

(ジュワッ!)

芙蓉 すごい……一瞬で蒸発して水蒸気になりました……!

飯綱 すごいね! これで蒸し風呂の出来上がりだよ!

タンコ こらー! おぬしらー!
    神様を便利に使うんじゃない!

飯綱 ごめんなさい……

火之迦具土 よいのだ。この者達が喜ぶのは余も嬉しい。

飯綱 火之迦具土様、ありがとうー!
   蒸し風呂はきっと皆も喜ぶと思うから、村の人達を呼んで来るねー!

火之迦具土 それはいい考えだな。

タンコ ……
    謎の秘湯の原因は妖ではなかったし、そろそろ山を下りるか。

芙蓉 そうですね。つい長居をしてしてしまいましたから。

――数日後――

タンコ 名湯を楽しめなくなったのは残念じゃが、山よりも街の方が涼しいとは不思議じゃのう。

芙蓉 さすが火の神、火之迦具土様ですね。おそばにいるだけで熱を感じますから……

(ガラッ)

タンコ おお、おぬしは温泉郷の村人ではないか。

村人 ここにいただにか。探しただに……

タンコ ……? 何かあったのか?

村人 それが……神様が姿を見せなくなっただに。
   お前達が何か知らねえかと思って、訪ねてきただに。

芙蓉 火之迦具土様が……

タンコ ふぅむ。引っ越しでもしたのかのう?

村人 知らねえみたいだな……

芙蓉 お役に立てず申し訳ありません。

村人 何か分かったら知らせてくれ。村の皆も猫の寂しがってるだに。

――その夜――

(コンコン)

タンコ ――む?

芙蓉 こんな夜にどなたで――
   ……式姫、のようです。

タンコ ほう……わしらを訪ねてくるとは、何の用かのう?

??? 初めてお目にかかります。安長姫(やすながひめ)と申します……

安長姫の声 あの……入ってもいいですか?

芙蓉 ええ、どうぞ。

安長姫 突然の訪問、お許しください。
    安(やす)はこの近くの山にある淵を住み処としているのですが――
    今、あることで困り果てているのです……
    ……陰陽師の方ならば解決してくださるのでは、と思い、こうして伺わせていただきました……

☆選択肢☆

「どうしたの?」

安長姫 じつは……

「妖が関係してる?」

安長姫 それが……分からないんです。

合流

安長姫 安の住む淵の水が干上がってしまって、困っているんです……

タンコ ほう……

安長姫 最近急に気温も上がったので、何か火に関係する妖の仕業かもと思い、相談に参りました……
    安は自分で雨乞いをし、再び水を満たすこともできるのですが――
    不自然な雨をあまり降らせると、周囲の村の作物にも影響を与えてしまいますので……

芙蓉 タンコ……あの……
   ……なんとなく、ですが……

タンコ 何が起こっておるか、読めたのう。

火之迦具土 ――む?
      お前達か。余に会いに来たのか?

芙蓉 やはりここにいらっしゃいましたか、火之迦具土様……

タンコ 引っ越した、という予想が的中したのう……

芙蓉 火之迦具土様、お願いがあります。

火之迦具土 何だ、聞こう。

芙蓉 元の温泉郷へお戻りくださいませんか?
   温泉郷の住民も寂しがっておりますし、何より――
   こちらに住む安長姫さんの住み処である淵が、……その……大変申し上げにくいのですが――
   火之迦具土様の熱で干上がってしまったようなのです……

火之迦具土 なるほど、そうだったか。
      余はこの村の者達に頼まれて来たのだが。そうか、安長姫には悪いことをしたな。
      元の村へ戻ろう。

芙蓉 ありがとうございます。

村長 ま、待ってください!
   火之迦具土様……! この村に留まってはくださいませんか?
   火之迦具土様のおかげで、村の者達は温泉に浸かることができるのです……

タンコ ……じゃから……神様をそのように使うでない……

村長 わかっております……しかし――
   今、この村には湯治が必要な者がおりますゆえ……

芙蓉 なるほど……そういうことでしたか。

火之迦具土 そうか。お前達は温泉が欲しいのだな?

村長 はっ! その通りでございます……

火之迦具土 ならば、余の炎をこの松明(たいまつ)に残そう。

(ボウッ……)

火之迦具土 この炎には余の力が込められている。だから――
      湯が必要な時には、この炎を使って沸かすがいい。

村長 ありがとうございます……!

タンコ 一件落着じゃな。
    ……何というか、罰当たりかもしれぬが――
    なんとも人騒がせな神様じゃのう……

芙蓉 タンコ……! しっ……!

――数日後――

タンコ ――ふぅ、今日も暑いのう。

芙蓉 あつい、といえば……今頃、火之迦具土様はどうされてるんでしょうね?

タンコ さあのう。 温泉郷で湯につかっておるのではないか?

(ワーワー!)

芙蓉 ……騒がしいですね。

タンコ 嫌な予感がするのう……

商人 氷屋の氷が全部溶けてるぞ!

旅人 あっちじゃ氷菓が溶けちまってる!

芙蓉 ……街へ散歩にいらっしゃったのでしょうか。

タンコ じゃろうな……
    さて、どう言って帰っていただくかのう……

芙蓉 言いづらい……ですねぇ。