「穢れ」について

Last-modified: 2023-09-09 (土) 16:38:58

下記を全てまとめると
①穢れとは、生きることと死ぬこと
②生存競争で穢れが発生する
③穢れは、物質や生命から永遠を奪い変化をもたらす
④蓬莱の薬を使うと人間同様に穢れる
⑤穢れは、心境に早い変化をもたらす
*1月人が蓬莱の薬を飲むと穢れが発生
となる

①穢れとは、生きることと死ぬこと

月の都が嫌った穢れとは、生きる事と死ぬ事。
特に生きる事が死を招く世界が穢れた世界なのだと。
生きるために競争しなければならない地上を穢れた土地、穢土と呼び、
月の都を穢れの浄化された土地、浄土と呼ぶ者もいる。
生も死もない世界が限りなく美しい。だが何もない世界が理想というのも違う。
生きるために他人から搾取したりせず、自分たちが生み出した物だけで全ての者の生活が
賄える世界が理想なのだと言う。
地上は生きることが最善であるが故に、死の匂いが強くなるのだと言う。
その死の匂いが生き物に寿命をもたらす。
だから地上の生き物には全て寿命があるのだと言う。
(小説六話 レイセン)

②生存競争で穢れが発生する

海で生まれた生命は、生き残りを賭けた長い闘いの末に海は穢れ、
そして勝者だけが穢れ無き地上に進出した。
陸上ではさらに壮絶な域の頃を賭けた闘いが繰り広げられた。
ある者は肉体を強化し弱者を食糧にした。またある者は数を増やし食べられながらも子孫を増やした。
陸上を離れ空に穢れのない世界を求める者も居た。地上を諦め再び海に戻る者も居た。勝者はほんの僅かであり、数多くは戦いに敗れ全滅した。
生命の歴史は戦いの歴史である。常に勝者を中心に歴史は進む。
そんな血塗られた世界だから地上は穢れる一方だった。
生き物は本来いつまでも生きることができるのだが、穢れが生き物に寿命を与えた。
生命の寿命は短くなる一方だった。
現在、地上は百年以上生きる事の出来る生き物が殆ど居ない世界になってしまった。
しかし穢れが与える寿命の存在に気付いた賢者がいた。その賢者は満月が夜の海の上に映るのを見て、
穢れた地上を離れることを決意したという。海から地上へ、地上から海へ移り住むかの様に、
賢者は地上から月に移り住んだのだ。その方が月の都の開祖であり、夜と月の都の王、月夜見様である。
月夜見様は自分の親族で信頼のおける者をつれて月に移り住んだ。
月は全く穢れて居なかった。その結果、月に移り住んだ生き物は寿命を捨てた。
寿命がなくなるということは、生きても死んでもいないという意味である。
それは月とは穢れのない浄土、つまり死後の世界と同じだったのかも知れない。
勿論、月の民も月の兎も不老不死ではない為、事故や戦いによって死ぬことはあるだろう。
そうでなくても月の宮都に住んでいる民も、僅かにだが穢れを持っている。
私達だって何れ寿命で死ぬ運命にあるのかも知れない。

③穢れは、物質や生命から永遠を奪い変化をもたらす

穢れは物質や生命から永遠を奪い、同時に寿命をもたらす。
地上に存在するあらゆる物は多かれ少なかれ穢れているから、永遠に残り続ける物など無い。
ましてや、変化しない事など有り得ないのだ。
しかし、私の目の前にある盆栽は穢れていない。だから変化せず永遠を保っている。
成長してないように見えるには、決して枯死している訳ではなくつい最近まで
私の能力により永遠を保っていたからである。
私の能力は『永遠と須臾を操る能力』。地上には存在し得ない、穢れ無き永遠を作り出す事が出来るのである。
(小説二話)

④蓬莱の薬を使うと人間同様に穢れる

蓬莱の薬を使うと人間と同じ穢れが生じてしまう。
私は輝夜が月の都に戻ったとしてもまともな生活が出来ないことを知っていた。
(小説一話 永琳)

 

⑤穢れは、心境に早い変化をもたらす

この屋敷に永遠の魔法をかけていた千年以上もの間はずっと怯えていたと言うのに、
三年程前に魔法を解いてからすぐに心境の変化が現れた。
これが地上に蔓延る穢れの影響だとするならば、地上の民というものは如何に変化が早く気楽なものか。
いつまでも同じ不安に悩まされる事も無く、嫌な事は次から次へと忘れてしまう。
私が変化したという事は、やはり永琳も同じなのだろうか?
(略)何となく、地上の穢れとは無縁なのではないかと考えていた。
当然、そんな筈もなく、少しずつだが永琳の行動にも変化は見られる。
(小説二話 輝夜)

いつしか地上を月の都よりも魅力的な場所だと思うようになっていった。
その時は永遠の魔法をかける事はなく、僅かだが地上の穢れに浸食されていた影響だと思う。
(小説2話)

☆月人が蓬莱の薬を飲むと穢れが発生

月の民が蓬莱の薬を持つ事は別に不思議な事ではない。
主に地上の権力者を試したり、新たな争乱を起こす為に人間に与える為である。
永琳“人間がこの薬を飲めば、その身体は朽ちる事なく、未来永劫生き長らえるでしょう。
ですが、何人たりとも決して飲んではいけません”
輝夜“何で飲んではいけないの?”
永琳“人間が飲むと永遠に苦しみます。死ぬ事も許されず、仙人になる事も出来ず、
人間のまま人間と暮らせなくなります。この薬は月の民が地上の人間を試す為に存在するのです”
輝夜“では、もし、この薬を月の民が飲むとどうなるの?”
永琳“もし、この薬を穢れ無き月の民が飲むと……”
輝夜“飲むと?”
永琳“不老不死になると同時に、不老不死という誘惑に負けた事で人間と同様の穢れが生まれ、
二度と月の都では暮らせなくなるでしょう”
(小説一話 永琳視点過去回想 キャラ☆メルVol.1掲載分)

何故か単行本ではカットされてしまった文章ではあるが
蓬莱の薬を飲んだ際に発生する穢れについて比較的分かりやすく纏めてある為、
ここに掲載する事にする。
この部分は単行本では削除されたとは言え、
月人が蓬莱の薬を飲むと穢れが発生すると言う記述は単行本にも存在するので、
蓬莱の薬の効能の設定自体が削除された訳では無いだろう。


*1 単行本ではカットされている