月人の文化

Last-modified: 2023-07-20 (木) 13:41:06

「踊って神を呼ぶ」というルール

「というか何か意味あるの?この踊り」
「貴方が神様を呼び出していたという事を判らせればそれで良いのです。
月の都では殺生は余り好まれないから貴方を気軽に罰する訳に行かないのです。
それが終わったら地上に帰って貰いますから」
「ふーん、月の都じゃ踊って神を呼ぶのねー」
霊夢は投げ込まれた小銭を拾いながら言った。気が付くと人だかりはまばらになっていた。
依姫は霊夢に「お金なんて拾わなくても良いの」とたしなめ、手を引っ張った。(小説最終話)

東洋の屋敷&虫がいない

──大きな東洋の屋敷の円い窓から桃の木が見えている。窓にはガラスのような物ははめ込まれていない。
開けっ放しの状態なのだが、虫が入ってきたりはしない。そもそも虫のような蒙昧な生き物
月の都には存在しないのか。それに気温も常に適温を保っている。(小説最終話)

テーブルと料理

アンティークなテーブルに上品な料理が並んでいた。テーブルには霊夢と、綿月姉妹が座っている。
霊夢はみたこともないような見事な料理を前にして、機嫌が良くなっているようだ(中略)
味は見た目ほどではないようだ。「口に物を入れたまま喋らない。これだから地上の人間は」
依姫が厳しく叱ると、霊夢は恥ずかしそうに黙って料理を飲み込んだ。(小説最終話)

豊姫は大きな甕から何やら魔法の液体を掬い、グラスについだ。
それを出された霊夢は、一瞬警戒した。
「これは永遠の時間をかけて漬けたお酒です。地上では味わうことができないお酒ですよ」
「毒とか入ってないよね」
「月では殺生は好まれないですからね」
そう言って、豊姫は霊夢に差し出したお酒を自分で飲み、代わりに自分のお酒を差し出した。
それを見て霊夢は警戒しつつも、お酒を手に取る。洗練されすぎた香りは、
地上で飲むと何か寂しく感じそうであった。
「貴方達は、紫にうまく操られていただけですよ」
依姫はそういった。
「どういう事?」
「判らなければ別に良いのです。貴方達に悪気がない事が判りましたので……」
「さ、積もる話はこれくらいにして今日は飲みましょう。明日もありますから」(小説最終話)

──永琳は再びお酒を呑んだ。間違いない。このお酒はただの労を労う為に用意されたお酒ではない。
くだを巻いたサラリーマンが、誰も理解できない言葉を吐きながらの安い焼酎なんかではない。
月の都で千年以上もかけて熟成した超超古酒である。
そう、永琳が月の都に居た頃から寝かせていたお酒なのだ。
「こ、このお酒は……?」
永琳は明らかに動揺した。考えのない余裕を見せた瞬間、つまり弱点を狙われてしまったからだ。
永琳がこのお酒を忘れることはない。穢れの多い地上では味が変わってしまい作り出せない純粋さ、そして何年も寝かせたであろう奥深さ。(小説最終話)