【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】
※このページに記載されている「限界突破の証」系統以外のすべてのスキルの使用、および対応するスキルシードの獲得はできません。 |
Illustrator:タカヤマトシアキ
名前 | アイザック・ドミナンスⅤⅢ |
---|---|
年齢 | 製造後100年以上 |
職業 | 元都市監督官/遊撃隊隊長 |
種族 | 機械種 |
- 2022年3月3日追加
- イベントマップ「KING of Performai The 3rd」・エリア1(進行度1/NEW時点で55マス)完走で入手。
- 上記方法で入手可能なのは2022/4/13(水)まで。*1<終了済>
- 対応楽曲は「POTENTIAL」。
ペルセスコロニーの元都市監督官だった第八世代型管理プログラムの機械種にして遊撃隊隊長。
聖女バテシバによって運命を狂わされた彼は、仲間と共に真人たちの王子もろとも全ての真人たちを残滅する決意に満ちた目を瞬かせる。
名前の「ⅤⅢ」は「エイト」と読むが、綴りは担当曲の作曲者であるTAG氏が「GuitarFreaks & DrumMania V3」からデビューした事にも掛かっていると思われる。
スキル
RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
---|---|---|
1 | 天地創造【NEW】*2 | ×5 |
5 | ×1 | |
10 | ×5 | |
15 | ×1 |
天地創造【NEW】 [CATASTROPHY]
- 最もハイリスクハイリターンなスキル。AJペースでも平然と強制終了しかねない。
- NEW+現在、最もゲージ上昇率の高いスキル。GRADEを上げずともゲージ11本に到達可能。
- PARADISE LOSTまでのアルテマヴォルテックスと同じ。
- スキルの動作が変更されていると告知のあったスキルの1つ。
- NEWでは、ATTACK以下の回数を条件に強制終了するスキルがなくなっている。
- NEW初回プレイ時に入手できるスキルシードは、PARADISE LOSTまでに入手したデンジャースキル(HARD/ABSOLUTE/CATASTROPHY)の合計所持数と合計GRADEに応じて変化する(推定最大49個(GRADE50))。
- スキルシードは100個以上入手できるが、GRADE100で上昇率増加が打ち止めとなる。
- CHUNITHM SUNにて、スキル名称が「天地創造」から変更された。
効果 ゲージ上昇UP(???.??%)
JUSTICE以下10回で強制終了GRADE 上昇率 1 350.00% 2 351.00% 11 360.00% 21 370.00% 31 380.00% 41 390.00% 50 399.00% ▲PARADISE LOST引継ぎ上限 51 400.00% 71 420.00% 91 440.00% 100 449.00% 推定データ n 349.00%
+(n x 1.00%)シード+1 1.00% シード+5 5.00%
プレイ環境と最大GRADEの関係
開始時期 | 最大GRADE | 上昇率 |
---|---|---|
2022/9/1時点 | ||
NEW+ | 73 | 422.00% (11本) |
NEW | 85 | 434.00% (11本) |
~PARADISE× | 134 | 449.00% (11本) |
所有キャラ
- CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
進行度やロック解除の関係上、当該エリアの進行についてはそこに入るための前提条件があります。
NEW ep.Ⅰ: 該当Sideにおける、それ以前の進行度の全エリア(エリア1~9)のクリアが必要
NEW ep.Ⅲ: 対象エリアを除く全エリア(エリア1~4)のクリアが必要
ただし、NEW ep.Chaosは2つのエリアのどちらからでも進行可能です。 - ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
進行度の関係上、該当マップにおけるそれ以前の進行度の全エリア(進行度4まで、エリア1~16)のクリアが必要です。バージョン マップ キャラクター NEW+ オンゲキ 皇城 セツナ - 期間限定で入手できる所有キャラ
カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。
また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。- マップが撤去されたキャラクター
バージョン キャラクター NEW アイザック
・ドミナンスⅤⅢ
- マップが撤去されたキャラクター
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | スキル | |||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
スキル | ||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
スキル | ||||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
・・・ | 50 | ・・・・・・ | 100 | |
スキル | スキル |
STORY
ストーリーを展開
EPISODE1 その感情は、怒り 「逃がさん……逃がさんぞ真人共よ。貴様等はこのアイザックが根絶やしにしてくれる!」
視界を遮るほどの砂塵が舞う砂漠地帯の中を物ともせずに突き進む者がいた。月明かりに照らされたその鈍色の体躯は、ゆうに2メートルを超えるだろう。
見た所、姿形は人型に違いないが、そのシルエットは明らかに人間ではなかった。
山のように盛り上がった肩から続く腕以外に、もう一組の腕が生えていたのだ。
わずかに響く駆動音から、人の形を模して造られた機械種だと分かる。
鈍色の機械種は、何かへ向けて真っ直ぐに突き進む。
その時、ひときわ強い砂塵が機械種に襲い掛かった。
視界が閉ざされてしまうほどの砂嵐。
そこには月の光も届かず、鈍色の機械種は完全に飲み込まれてしまったようだ。
――微か、ほんの微かにではあるが、砂嵐に紛れて何かが動く音がした。
機械的に一定のリズムを刻みながらゆっくりと、だが確実に動き続けている。
すると、暗い砂嵐の中でぼんやりと赤い光が瞬いた。
明滅を繰り返すその光は、定められた動きを取る機械種にしてはやけに不規則なものに感じられる。
まるで……人としての意識を宿したかのような。
「クカカ……逃がさんぞ、ソロ・モーニア。貴様はこのアイザックが必ず処刑してくれる」
「ソロ」の名を口ずさんだ瞬間、瞳に灯る赤がより強い光を発する。
それはまるで、人が持つ“怒り”の感情のうねりにも似ていた。
EPISODE2 滅びの聖女 「真人との対話が意味をなさない事を私は知った」
機械種の管理の下、人類の住めなくなった大地は長い歳月をかけて自然豊かな大地へと蘇り、電子の楽園の中で生まれた新たな人類――「帰還種」の帰りを待つだけとなった。
だが、それは人類に代わり大地の再生を担わされた「真人」によって、踏み荒らされてしまう。
自分たちの手で大地を癒し続けてきた彼らにとって、我が物顔で居座ろうとする帰還種を許す事はできなかったのだ。
真人たちはイオニアコロニーに帰還種が出現した事を皮切りに、自分たちにこそ“地上の所有権”があると主張し、帰還種たちの拠点ペルセスコロニーに向けて侵攻を開始する。
その最中、帰還種の少女――レナ・イシュメイルは、彼女を護るために立ち上がった穏健派の真人たちと共にペルセスコロニーを目指した。
行く先々で襲撃に遭いながら仲間を失い、ペルセスコロニーにたどり着いた彼女は都市監督官であるアイザックに迎え入れた後、地上の状況をフィードバックすべく楽園を管理するシステムに接続する。
しかし、レナがシステムと接続した際の負荷に耐えきれず、昏睡状態に陥ってしまう。
レナが意識を取り戻すまで、数か月もの時が必要となった。その間、聖女バテシバの元で進軍を開始した真人たちの軍勢はペルセスコロニーへと迫りくる。
慈悲深き監督官であったアイザックは、レナと都市を護るべく防衛線を構築、真人を率いる聖女バテシバとの対話を試みた。
だが、対話が有効なのはあくまでも相手にも対話の意思がある場合のみ。
元より全てを滅ぼそうと考えるバテシバにとって、アイザックが提示する真人の救済策も、協調案も意味をなさなかった。
「――何故だ、我々を滅ぼした所で真人たちに未来はない。それが分からぬ訳ではないだろう……」
アイザックには死を救済とするバテシバの考えは理解できない。
彼女の存在は、あまりにも歪だったのだ。
再生された大地を踏みにじり、差し伸べられた手を握ろうともしない。
ただ等しく、“死”を与えるだけ。
「私が間違っていたのか?共に歩む方法なら、いくらでもある筈だ。なのにどうして――私には、あの女の考えが――理解、できない――」
アイザックが護り続けてきた美しい都市の街並みに真人の亡骸と兵器の残骸が積み上げられていく光景は、絵画の上に乱雑に血を塗りたくっているようだった。
「わた、私には、分から――」
調和と共存の考えをもってつくられたアイザックには、その光景には到底理解できる事ではない。
その波紋は大きな歪みとなり、アイザックに変化をもたらしていくのであった。
EPISODE3 変容 「――すべての真人を滅ぼす。それこそが私に課せられた使命なのだ」
アイザックが100年以上にわたり管理し続けてきたペルセスコロニーは、バテシバ率いる真人たちによって壊滅状態にまで追い込まれてしまう。
アイザックは都市に備えられた機動兵器と共に抗い続けてきたが、混沌と化した戦場の中で護りきるのは不可能と判断。
最優先で護らねばならないレナと、彼女の衛士であるヨナ・ライゼと共にペルセスコロニーを後するのだった。
残された数少ない戦闘艇で脱出したアイザックは、追手を避けつつペルセスコロニーの東に位置するカンダールコロニーにたどり着く。
レナの命を守るため、そこで防衛線を構築する事を提案するアイザックだったが、それはカンダールコロニーを管理する都市監督官ーーエヴァ・ドミナンスⅩⅡによって拒否されてしまう。
エヴァは色が抜けたような白い肌、冷徹さを帯びた瞳に加え、どこか無機物さを感じさせる女性型の機械種だ。
「すぐそこまで奴等が追っているのだぞ。もはや傍観を貫く訳ではあるまい?」
「無論、愚かにも侵攻を続ける真人たちの静粛は行います。ですが、それは貴方に指揮させる訳にはいきません」
「何?」
「アイザック・ドミナンスⅤⅢ、システムは貴方の指揮権限を剥奪しました。ここには貴方の指示に従う者は誰もいないのです」
「……何故、システムはそんな判断を」
エヴァは淡々と事実を告げる。
「システムは地上再生の重要拠点ペルセスコロニーを失ったアイザック・ドミナンスⅤⅢ――貴方を筆頭とする第八世代型管理プログラムに事態を解決できる力はないと判断しました。以後は我々第十二世代型管理プログラムが対応を行います」
エヴァは反論しようとしたアイザックを制し、言い放った。
「貴方は自由の身です、この争いの行く末を案じる必要はありません」
「私は……私はどうしろと?」
「貴方はもう管理者ではない。そうですね、私の下でこの都市を護るか、ペルセスコロニーに向かい身を投じるか。貴方には選択する自由があります」
「……そうか」
「貴方は何も守る必要はないのです。好きなだけその力を振るうといいでしょう」
並べ立てられたのは血の通わぬ優しい言葉。
アイザックはそれを言葉少なに受け入れると、カンダールの地を去っていく。その後ろ姿は、心なしか哀愁を感じさせた。
「アイザックさん……」
「レナ・イシュメイルの事は任せたぞ、衛士ヨナ・ライゼ」
ヨナは何もしてやれない自分を悔いるように目を伏せ、意識が戻らないレナの手を握り締める。
それがヨナの見た、心優しき機械種アイザックの最後の姿だった。
――その後、アイザックは単身でペルセスコロニーへ向かい、戦火にその身を投じた。
アイザックの思想は戦いの中で更に歪み、いつしか目に映るすべての真人を見なすようになっていく。
強硬派も穏健派も関係ない。帰還種を脅かす存在は皆等しく排除すべきなのだ、と。
それからしばらくして、戦乱の死地に幾度となく現れる不死身の兵士の姿が目撃されるようになった。
――真人の絶滅を声高に叫ぶ狂戦士がいる。
そんな噂がカンダールでも囁かれるようになった頃、エヴァの下にアイザックが再び姿を現したのだ。
その見目は著しく変貌していた。
皮膚は剥がれ落ち、円滑なコミュニケーションを取るために人に似せて造られたはずのボディには、4本の角と鈍色の腕が4本生えている。
その腕には、抜身の銃が握られていた。
もはやかつての面影は欠片も残されていない。
温和な雰囲気は消え、双眸には怒りの感情を想起させる赤い光が、煌々と輝きを放っていたのだ。
EPISODE4 追跡者 「この身が朽ち果てるか貴様が滅びるか……それ以外の道など、ありはしないのだ」
それから時は経ち、遊撃隊を率いる身となったアイザックは監視地域にて所属不明の船が目撃されたという情報を聞きつけ、ニア・ユーディットと共にカスピ大地溝帯へと向かった。
そこで遭遇したのは、一時期ニアと暮らしていた帰還種の少女ミスラ・テルセーラと――三人の真人。
その内の一人は、聖女バテシバの遺児にして真人の王子「ソロ・モーニア」であった。
アイザックはソロの姿を見るや否や激昴し、ソロが乗る戦闘艇へと攻撃を仕掛ける。
アイザックが搭乗する機動兵器「ウィアマリス」は驚異的な戦闘力を保持していたが、ミスラとソロの奮闘によって敢えなく撃沈させられてしまう。
動力部を破壊され、炎上するウィアマリスから辛くも脱出したアイザックは、気絶しているニアを砂地に横たえると空を見やった。
視線の先にいるのは、先程までウィアマリスと戦闘を繰り広げられていたソロたちが乗る戦闘艇。
アイザックは遠ざかる戦闘艇の姿を捉えると、大柄な体躯を震わせて唸った。
「おのれ……これで終わったと、努々(ゆめゆめ)と思うな……」
アイザックは自身に備えつけた通信機能を何処かへと連絡を取る。
『――アイザック隊長?』
通信相手は配下のアンシャール。
アイザックは状況を端的に説明すると、負傷したニアを直ちに回収するよう指示を飛ばす。
『隊長は何処へ?』
「私はこのまま真人共を追いかける」
『な、いくら隊長でも大地溝帯を単機で進むのは無謀なのでは……』
「真人共の残滅は我が大義! ましてや、ペルセスコロニーを焼き尽くしたバテシバの子とあっては見逃す訳にはいくまい!」
『ですが――』
通信を途中で切り上げたアイザックは、意識を朦朧とするニアに声をかけた後、戦闘艇の追跡を開始する。
戦闘艇は監視地域をかわすように北へ向かった。
真下に広がる大地溝帯の巨大な谷は、汚染と破壊の傷痕が色濃く残る不可侵の領域。
いつの頃からか居場所を無くした機械種や真人の流れ者も住み着き、現状がどうなっているのかどうか正確に知る者はいない。
周囲に気を回しながら航行を続けるには時間を要するだろう。
であれば、追いつく可能性は十分にある。
アイザックは己に課した使命に突き動かされるように北の地を目指すのだった。
EPISODE5 大地溝帯の謎 「機械種や真人すらも放棄した汚染地帯。ここには、我々も預かり知らぬものが眠っている」
カスピ大地溝帯。
それは、旧き時代においては世界一巨大な湖として名を馳せていた。
だが、悪化した環境汚染と以前から頻発していた
資源を巡る争いが激化したことにより、青く美しい湖は枯渇してしまったのだ。
後に残されたのは、楕円に拡がる巨大な穴のような底の見えない暗く深い谷だけ。
その光景に、あたかも悪魔が巨大な口を開けて手をこまねいているようだった。
この地が他の場所と違い、一向に元の環境に戻せないのには理由があった。
汚染されきった水は大地に染み渡り、今もその爪痕を深々と残している。万が一でも谷底へ滑落してしまえば、汚染された土と水の影響を受け這い上がる前に物言わぬ屍となってしまうだろう。
それ故に、機械種も真人も寄り付かないまま時間だけが虚しく過ぎ去っていたのだ。
あまりに危険で、誰からも忌避される場所。
それは裏を返せばソロたちのような特殊な事情を持つ者たちにとって“安全”だという事。
――ウィアマリスから引きずり出した小型の偵察艇が辛うじて動くのを確認したアイザックは、偵察艇に跨り大地溝帯の北を目指していた。
陽はすっかり傾き始め、黄昏時が近い。
現界は徐々に悪くなる一方だったが、アイザックは構わずに偵察艇の限界速度を維持し続けた。
「クカカ、逃がさんぞソロ・モーニア。必ずや我が銃で撃ち抜いて……、……ッ!?」
その時、アイザックは進行方向の先に広がる谷底に小さな光が瞬いた事に気付く。
それと同時に、咄嗟の判断で身体を傾けて軌道を変えた矢先、すぐ側をレーザーが掠めていった。
先程の攻撃は明らかにアイザックを狙って放たれたもの。追跡に気付いたソロたちが待ち伏せているのかと思考を巡らすアイザックだったが、それは、立て続けに飛来したレーザーによって否定された。
まるでこの先には進ませないとでも言うかのように、至る所から放たれた弾幕は苛烈さを増していく。
だが、アイザックに怯んだ様子は見られなかった。
「この程度で恐れをなして逃げ帰るアイザックでは
ないわッ!」
正体不明の勢力からの攻撃を巧みに回避しつつ北へ向かっていると、ふと大地溝帯の谷の中で別の反応を示す物がある事に気付く。
アイザックは視覚機能を調整し対象を拡大させる事で
それがソロたちの乗る戦闘艇だと確信した。
「クカカッ! 見つけたぞソロ・モーニアッ!即刻、撃墜してくれるわッ!」
攻勢をかけるアイザックだったが、僅かに生まれた隙を突くように下方から飛来したレーザーに阻まれ、偵察艇の動力部が損傷してしまう。
「チィ……ッ!」
機体は制御を失い、そのまま大地溝帯西部に広がる砂漠の中へと墜落した。
すんでのところで機体から飛び降り爆発に巻き込まれるのを回避したアイザックは、砂漠に着地すると間髪入れずに体勢を整え状況を確認する。
「…………」
暫く周囲の様子を窺ってみたが、攻撃してきた敵の姿もなければ追撃もない。この一帯には正体不明の勢力はいないようだ。
続けて現在地を確認する。
遠くに大地溝帯が見える事から、アイザックは追跡を続行する事にした。
――アイザックから見て北東に位置する大地溝帯。
その谷底には、歪な形状の巨大な構造体が突き刺さるようにそびえ立っていた。
EPISODE6 襲撃者たち 「ほう、戦いを挑むか。その意気や良し。私を止めたくば、全力で掛かってくるがいい!」
アイザックは砂が激しく吹きつけるのも構わずに大地溝帯を目指す。
砂嵐は人間であれば身動きが取れなくなってしまう程の勢いだったが、機械の身体を持つアイザックには関係ない話だった。
一度も立ち止まる事なく大地溝帯が目前に迫る所までやって来ると、まるでアイザックの到着を待ちわびていたかのように、一斉に攻撃が降り注いだ。
攻撃は実体弾やレーザーと統一性がないものばかり。
練度にもばらつきがあるようで、しっかりと狙いが定まっているものもあれば、全然違う方向へ飛んでいってしまったものまである。
「クカカ、惰弱なり! その程度でこのアイザックは止まらんぞッ!」
吼え猛るアイザックは降り注ぐ攻撃を回避し、不意に身体を沈ませると次の瞬間には空に向かって高く跳躍した。
「な……っ!?」
砂漠地帯で高く飛び上がった姿に動揺したのか、はたまた標的を見失ってしまったのか襲撃者たちの攻撃の手が一瞬止んだ。
その隙を突く形でアイザックは襲撃者たちの間に着地した。
衝撃で周囲の砂が飛散する。
それと同時に、アイザックはウェポンユニットから引き抜いた4丁の銃を構えて起き上がった。
暗闇の中で真っ赤な光が揺れ動き、残像のように尾を引く。
「覚悟はいいか?」
「くっ、撃てぇぇ!!」
「遅いわッ!!」
アイザックは既に行動に移っていた。
その巨躯からは想像もつかぬ程滑らかな動きで襲撃者の攻撃を次々と回避する。
そして、回避すると同時に踊る様に放たれる閃光。
発射された弾丸は、寸分違わず襲撃者たちの頭部を貫いていた。
戦いの天秤は傾いたまま、あっけなく決着した。
「話にもならんッ! 徒党を組んだだけの連中に、このアイザックを仕留める事など不可能ッ!」
アイザックは辺りに散らばった襲撃者たちの亡骸を調べていく。戦いのさなか、アイザックは彼らが使用していた火器に違感を覚えた。それはいずれも現在使用されている火器ではなく、かなり年代がかった代物だったからだ。
それに輪をかけて不可解なのは、襲撃者たちが真人と機械種が入り混じった勢力だという事。
かつて真人が穏健派と強硬派に別れていた頃ならばいざ知らず、今や真人のほとんどが機械種と帰還種に敵対しているのである。
「大方、自身の役目から逃げた者共の寄せ集めなのだろうが……先を急ぐとしよう」
この大地溝帯には何かがある。
そう確信させるだけのものが隠されていると、アイザックは判断した。
大地溝帯の中心部が見下ろせる場所にたどり着く頃には、砂嵐も収まり雲間から覗く月を確認できるまでになった。
月明かりが大地溝帯の深部を照らし出す。
徐々に露わになっていった深部の中には、破棄されたと思しき構造体が佇んでいた。
放置されてからかなりの時間が経過しているのか、あの構造体が今も稼働しているようには見えない。
どこか前時代的なデザインから察するに、旧き時代に建てられた、海底から採掘した資源を利用するための工場か何かなのだろう。
それを中心にして柱のような大型の構造体が立ち並んでいるが、それは半ばからへし折れていたり部分部分が崩れていたりと散々な有様である。
その寂れた光景を目にして、アイザックの口から洩れたのは冷ややかな言葉だった。
「旧き時代の愚かさを象徴する産物か。まさしく鉄の
棺桶と呼ぶに相応しかろう」
アイザックは念のため構造体の情報が自身のデータベースにあるか確認してみたが、ひとつとして一致する物はなかった。
アイザックが構造体へ向かおうとしたその直後。
大地溝帯の中から数隻の戦闘艇が姿を現した。
戦闘艇はいずれも古い型の物で、やはり統一性は感じられない。
「数で攻めたところで、練度がなければ我が腕すら落とせぬぞ!」
アイザックが迎撃しようと銃を構えたその瞬間、アイザックの遥か後方の空が赤く光り輝いた。
その閃光は真っ直ぐに戦闘艇へと降り注ぎ、瞬く間に鉄塊へと変えていく。
その光はアイザックが知るものによく似ていた。
「……全く、指示を聞かん連中だ」
アイザックは振り向きもせず呟く。
上空には、月明かりを背に淡い光の輪郭を帯びる船――ウィアマリスが浮かんでいた。
EPISODE7 戦いの予兆 「まったく揃いも揃って……まあいい。今まで培ってきた訓練の成果を、この私に見せてみよ」
アイザックを援護する形で現れたウィアマリス。
その後方には数隻の戦闘艇が控えている。アイザックは見覚えのある機体を捉えて嘆息すると、そこにいるであろう搭乗者へと声を張り上げた。
「バカ者共が……!」
程なくしてアイザックの前に船が降り立つと、中からは案の定、ニアやアンシャール、マードゥクに加え、他の遊撃隊の面々まで勢揃いしている。
「揃いも揃って、貴様等はエヴァの作戦に参加しなかった訳か」
「はい、私たちの将はアイザック様ですから」
アイザックの前に進み出た少女――ニア・ユーディットは、先の戦闘での痛みがまだ残っているのか、その表情は僅かに強張っていた。
「貴様、その身体で戦えるのか?」
「これぐらい、なんて事ありません」
「……いいだろう、戦うと決めた以上泣言など一切受け付けぬと知れ!」
「はい!」
ニアが敬礼した後、アイザックは改めて遊撃隊の面々に向き合う。
「怨敵バテシバの子、ソロ・モーニアはあの大地溝帯の中に潜伏している可能性が高い。貴様等は無理を通してここまでやってきたのだ、血を流した日々は今この瞬間のためにある。清浄なる大地を取り戻すため、死力を尽くせ!」
アイザックの檄にニアたちは志をひとつにし、戦意を高揚させていく。
アイザックはその姿に満足そうに頷くと、谷底に佇む構造体を見下ろし声高に叫んだ。
「奴を見つけ次第、抹殺するのだ!」
「「ハッ!!」」
――
――――
――大地溝帯の巨大な穴を一望できる丘の上に停められた一台の車両。その中で男が赤い髪を指に巻きながらモニターに映された銀の機動兵器を眺めていた。
「良いじゃない、面白くなってきたねえ?」
瞳を三日月形に歪ませて、男はくつくつと笑う。
男はいつ入手したのか分からない帰還種の少女の写真に視線を落とすと、別のモニターに映る人物へと語り掛けた。
「お望みは~、帰還種だったっけ?」
『――――』
「了解了解っと。それじゃ、母さんのためにも働くとしますか!」
赤髪の男は通信を切り、窓から身を乗り出すと掲げた右腕を振り下ろして腕輪を打ち鳴らす。
その背後には、赤髪の男が率いる大部隊と長大な砲門を携えた車両が控えていた。
「さぁ! 盛大に鐘を打ち鳴らそうか!」
指示を下すと同時に、大部隊は音もなく夜闇の中へと姿を消していくのだった。
EPISODE8 幻想都市ニューネメア 「小細工を弄して都市を隠してきたようだが、それも終わりだ。今よりこの地は墓標となるのだからな」
アイザックの部隊が放った砲撃によって骨造体は破壊されるかに見えたが、突如ガラスを擦り合わせたような不快な音が辺りに反響した。
構造体には、ウィアマリスに搭載されたシールドに似た防壁が幾重にも張り巡らされていたのだ。
火花を散らす構造体を眺め、アイザックは愉快そうに呟いた。
「ほう、防壁を備えているとはな。だが……!」
いくら強固な防壁であっても、ウィアマリスや戦闘艇の攻撃を受け続けていては時間の問題である。
激しく明滅する光の壁に、徐々に亀裂が走っていく。
やがて防壁が砕け散ると、その隙間からは今まで見えていた構造体とは全く別の“何か”が見え隠れしていた。
「あれは……なんだ?」
モニターに表示されていたのは、3本の巨大な円錐形をした超構造体が佇む煌びやかな都市だった。
都市全体は至る所から灯された青や紫の光によって淡く照らし出され、それを飾り付けるようにして過度なまでに赤く輝く電飾の光が所狭しと躍っている。
見る者によっては、先程まで広がっていた光景との落差に頭が混乱してしまうだろう。
目の前に広がる都市は、現実と幻の境界が曖昧になる都市なのだ。
「防壁によってカモフラージュされた都市とはな。それ程までに守りたい何かがあるとでも言うのか?ふむ……やはり調べておく必要があるようだ」
アイザックの指示の下、戦闘艇が次々と都市上空へと繰り出していく。
内部の防衛能力は低いのか、これといった抵抗は未だ見られない。眼下には慌てふためいて逃げ回る真人と機械種がいるだけ。
あまりの呆気なさに、アイザックは振り上げた拳をぶつける場所のない味気なさを感じていた。
「つまらん……制圧に時間は掛からないだろう。各自、中央部の構造体を――」
指示を飛ばそうとしたその時だった。
超構造体へ向かおうとした戦闘艇が、突然爆散したのだ。
「何?」
次々と散っていく戦闘艇。
アイザックは瞬時に状況を整理する。制空権を取っている状況で都市からの反撃があるとすれば、それは地上からの攻撃に他ならない。
しかし、墜落していった機体はいずれも戦闘艇の側面や上部から攻撃されていた。
それはつまり、別の勢力が出現した事を意味する。
「各機、散開せよ!」
アイザックは即座に指示を飛ばしたが、その合間にも戦闘艇の数は減っていく。
的確に撃ち落とす手際の良さから、正体不明の勢力が相当な練度を持っている事が分かった。
「アイザック様! 直ちに部隊を再編し反撃を……アイザック様!?」
ニアが呼びかける先で、アイザックはモニターに表示される敵影を眺めている。その巨躯は僅かに震えているようだった。
「……クカカッ! 戦はこうでなくてはな!」
突然の窮地に立たされたというのに、アイザックはまるでこの状況自体を楽しんでいるかのように嗤っている。
ニアは不測の事態が進行している事に不安げな表情を浮かべながら、次々と出現する敵機を迎撃するのだった。
――
――――
「フフーン! これこれ! この音だよ! 一方的に蹂躙する音は、何度聞いても心地が良い!」
「ロト隊長、奴らも反撃に打って出たようです」
「へえ、思ってたより立て直すのが早かったな。よーし、それじゃジャンジャン撃って! ジャンジャン壊しちゃおう!」
配下の兵はロトと呼ばれた赤髪の男に音もなく敬礼すると、機械種の部隊へ攻撃を再開する。
「……フフ、どうせあっちも目的は同じ。ここでライバルはしっかり叩き潰しておかなくちゃ。それに、気を取られている間にこっちも降下しないと、パーティーに間に合わなくなっちゃうしね!」
戦闘艇の群れに混じって、ロトは炎上する都市とウィアマリスを見下ろし、くつくつと笑う。
「盛り上がってきたじゃんソロくーん! 早く君に会いたいよ!」
複数の陣営が入り乱れたまま、戦闘は更に混沌の様相を呈していく。
戦火に包まれ住民たちが逃げた都市の中で、「ニューネメア」と書かれた電光掲示板だけがジリジリと音を立てながら虚しく辺りを照らすのだった。
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