明坂 芹菜／途惑いのクリスマス編

　イロドリミドリのドラムス担当で、学園フェスに関する噂を信じてメンバーを集めた、バンドのリーダー！
　楽しいことの匂いに敏感で、その明るさとパワーでメンバーを引っ張る、イロドリミドリの言い出しっぺにして、メインエンジンとも言うべき存在。

　小さな頃から恵まれた身体能力を持ち、「たいこ」と呼んで親しんできたドラムのパフォーマンスは、手数もリズム感も高校生離れしたもの。
　ベースで従姉妹のなるとは相性も抜群で、バンドのサウンドをグイグイと引っ張る強力なリズムを生み出す。
　実家の「カレー喫茶あけさか」を手伝っていて、最近は料理のみならず営業や経営にも興味津々、だとか。

　イロドリミドリの始まり。
　それは今聞いてもやっぱり少し可笑しいけど、「単位」だった、としか言いようがない。

　「学園フェスでいい演奏をすると、謎の点数がもらえるらしい」として舞ヶ原に代々伝わる、謎の噂…
　音楽大好きで元気いっぱい、でもちょっと成績と単位がピンチな芹菜は、それを聞いて早速メンバーを募る。
　集まった仲間は、演奏は上手でも性格はバラバラ。
　そもそもこの噂って本当なの…？なんて言ったりしつつも、楽しい匂いを頼りにワイワイ進むうち、早１年。
　彼女らは単位の他にも新しい友達や音楽、そしてたくさんの「楽しかった～！」をゲットして、今に至る。

　７人をなんとなーく繋いでいたのは、「なんだか楽しそう！」な匂いを敏感に察知して、素直にまっすぐそれを楽しみに行く、芹菜の不思議なリーダーシップ。
　イロドリミドリは、芹菜とその嗅覚を信じる仲間たちが、夕飯のカレーみたいな最高の匂いにつられて、「楽しい！」を探す物語、なのである。

　楽しかったよねぇ～！
　学園フェスももちろんだし、学校祭が全部、もう隅から隅まで楽しかったもんなー。
　なんかその、すごいとか、やばいとか、エモいとか、言い方はたっくさんあると思うけど…
　もう、なんて言えばいいかわかんないくらい。
　みんなのおかげで、いいライブができたー、とかだけのことじゃなくてさ。

　会長も七々瀬さんも、もちろん私たちも…
　とにかく色んな気持ちを込めて、このライブの全部を作っててさ。
　とんでもないライブが成功した、とんでもないことが形になった、みたいな。
　なんかさ、その全部が凄すぎる、って感じ。
　伝わるかなあ、この気持ち。

　あちこちで、ものすごいたくさん、心が動いたけど。
　なんか言葉が足りなくて、結局言っちゃうんだよね。
　楽しかった～！　って！

　この話したらあーりん、すっごい笑ってね。
　引き摺ってる～って言われて、実際そうなんだけど。
　やっぱ考えちゃうんだよね…
　『出張カレー喫茶・あけさか』。

　ネットで調べてみたんだけどさ、キッチンカー自体はレンタルでいいっぽくて。
　私だけで営業できれば一番楽ちんだから、そうする為には…食品衛生管理者？　資格？　とかいるんだっけ？
　あとキッチンカーだから免許もいる？
　ああいうのって普通免許でいいのかな？
　売り上げの見込み立てて、仕入れと仕込みもして…
　で、あとは～～えっと

　…演奏、もちろん楽しかったし、人の演奏聞くのも最高だったんだけど。
　大きな声でみんな笑ってね、そんな場所がここにあることがすごいって思って、あの時間、ずっと続いたらいいなって、こんな場所、またできたらな、って。
　私が本当に好きなの、こういうことなのかも…って。