天王洲 なずな／途惑いのクリスマス編

　イロドリミドリのリズムギター担当で、自作のエレアコでサイドを暖かく支える、バンドの優しいお母さん！
　ギタークラフトを営む家で培った豊かな感性でオリジナル曲の作詞を一手に引き受ける他、常にメンバーを想い側に寄り添う、みんなの心のオアシス的存在。

　音楽に限らずクリエイティブな趣味が豊富で、家業でもあるギタークラフトからバンドの衣装作り、手芸、お茶、お笑いにフリースタイルラップ…と非常に多彩。
　おっとりしていて体育系はからっきしの苦手だが、興味があるものにはなんでも飛びつく好奇心の持ち主。
　見たものに強いインスピレーションを受けると創作意欲が爆発し、トランス的な状態に陥ることも。

　なずながバンドのメンバーとして芹菜に招かれたのは、学園フェスを控えた昨年のある時のこと。
　芹菜の友人を中心に、五人のメンバーが集まった。

　性格も音楽性もバラバラのところから始まったこのバンドが、連帯感を大きく強めたのは、３年の那知と１年の白奈の姉妹が加入した、三送会での演奏だ。
　頑固な性格から出る横柄な物言いが原因で、メンバーとの間に溝を作ってしまった那知先輩。
　それでも「先輩と笑顔で演奏する」という同じ目的のために、メンバーそれぞれがお互いに働きかけあい、やがて最高の演奏に繋げる…
　そんな真の結束が生まれたのが、その頃だった。

　その後イロドリミドリは、創設したての軽音同好会に合流。
　先日の学校祭でかつての軽音部主催ライブを発展させた「校庭での野外フェス」を実現するべく、各方面へと働きかけるなど、活発な活動を継続している。

　終わったね、一年ぶりの学園フェス。
　みんなにとって、本当に大事な１日だったと思う。

　七々瀬さんも最後にはちゃんと合流できて、本当によかったし。
　会長さんも、この学園フェスで生徒会長としての仕事は終わり、って言ってたね。
　最後まで手を抜かないでこんなに大きなイベントを形にしちゃうんだもん、さすがだよね…
　みんな、それぞれ何かを区切るために準備してきた…
　そんな一日、だったんじゃないかな。

　そう。
　この後はもう、すぐに生徒会の選挙が始まる。
　軽音じゃない他の部活の皆も、夏休みを越せば、多くが世代交代しちゃう時期。
　私たちは元々部活動ではなかったけど、それでももう、思ったより近くに、大きな変化の時が迫っていて。

　それから先のこと、考え始めないといけないね。