炎のゴブレット/9~12章

Last-modified: 2021-09-19 (日) 20:14:34
 

9章

言いたいのは~とでも?

■日本語版 9章 p.211
「おそらく、エイモスが言いたいのは」
クラウチ氏が一言一言に冷たい怒りをこめて言った。
「私が召使いたちに常日頃から『闇の印』の創り出し方を訓えていたとでも?」

■UK版 p.122(原文は改行無し)
‘Perhaps Amos is suggesting,’
said Mr Crouch, cold anger in every syllable,
‘that I routinely teach my servants to conjure the Dark Mark?’

■試訳
「おそらくエイモスは」
「私が召し使いたちに日ごろから『闇の印』を出現させる方法を教えていたと言いたいんだろう」

■備考

  • 原文ではちゃんと繋がってるが、邦訳のクラウチの台詞はつながってない感じがする。
    邦訳はクラウチのセリフのthatが抜けてるような感じがする。
    三行目を「私が召し使いたちに日ごろから『闇の印』を出現させる方法を教えていたということかな?」 とすればだいたい意味はつながると思う。
  • 訓えるは教えるでいいと思う。なぜ訓えるにしたのか不思議。


洋服に値する

■日本語版 9章 p.214
それは洋服に値する

■UK版 p.124
This means clothes.

■試訳
衣類をくれてやるぞ

■備考

  • 魔法使いが命令に背いた屋敷エルフにクビを宣告する言葉。
    エルフに対しては clothes(衣類)を与えることが解雇を意味するため、こういう言い方になっている。
  • しかし「洋服」というのは言うまでもなく「西洋の服」のこと。
    この作品では clothes の多くを「洋服」と訳しているが、「和服」が出てこない外国の作品中にこの言葉を使うのは滑稽。


10章

鉢合わせ

■日本語版 10章 p.227
「おばさんはフレッドとジョージをつかんで、思いっきりきつく抱き締めた。 あまりの勢いに、二人は鉢合わせをした。」

■UK版 p.163
she seized Fred and George and pulled them both into such a tight hug that their heads banged together.

■試訳
「あまりの勢いに、二人は頭をぶつけた」

■備考

  • モリーにギュッと抱きしめられて頭がゴッツンコしたのを鉢合わせと表現するのはおかしい。
    鉢合わせ=頭をぶつけるの意味もあるがひねらずに普通に「頭をぶつけた」でいいと思う。


去年の暮れ

■日本語版 10章 p.232
「去年の暮れだったね?」

■UK版 p.167
‘At the end of last year?’

■試訳
「去年の学年末」

■備考

  • トレローニー先生が本物の予言をしたときのこと言ってるが、去年の暮れでは12月になってしまう。


12章

ゲホゲホ

■日本語版 12章 p.267
ハーマイオニーがゲホゲホ言いながら喉のあたりをさすった。

■UK版 p.153
Hermione gasped, massaging her throat.

■試訳

  1. ハーマイオニーは喉をさすりながら苦しそうに言った。
  2. ハーマイオニーは喉をさすりつつ、あえぎながら言った。

■備考

  • 「大丈夫です。先生」というセリフに続く文。
    gaspは「息を切らす」、「あえぐ」という意味でよく使われる動詞。 「ゲホゲホ」という訳はあまりにも漫画的で、地の文にはふさわしくない。


病欠

■日本語版 12章 p.283
「でも、お給料はもらっているわよね? お休みももらっているわよね? それに――病欠とか、年金とかいろいろ」

■UK版 p.161
‘But they get paid?’ she said. ‘They get holidays, don't they? And sick leave, and pensions and everything?’

■試訳

  1. (略)病気休暇(略)
  2. (略)傷病休暇(略)

■備考

  • ハウスエルフの待遇を心配するハーマイオニーの言葉。
  • They get ~ don't they? だからハウスエルフがもらえるものについて聞いている。
  • 原文の「sick leave」は有給の病気休暇のこと。
    年に何日までは病気で欠勤しても給料が支払われるということで確保された休暇。
  • 病欠は微妙な略語ではあるし、もらうものではないので、ここでは絶対選択してはいけない。


たてがみ

■日本語版 12章 p.287
男はフードを脱ぎ、馬の鬣(たてがみ)のような、長い暗灰色まだらの髪を
■日本語版 12章 p.288
男は席に着くと暗灰色の鬣をバサッと顔から払い除け、

■UK版 p.163
He lowered his good, shook out a long mane of grizzled, dark grey hair,
■UK版 p.164
The stranger sat down, shook his mane of dark grey hair out of his face,

■備考

  • ムーディー登場シーン。
  • mane=ライオン、馬のたてがみ。
  • 馬のたてがみの意味もあるから誤訳とは言い切れないが、映画のムーディーを見るとライオンのほうをイメージして書かれたと思われる。
  • またP288に「たてがみをバサッと顔から払いのけ」とあるが、あくまでムーディーの髪は「たてがみのような髪」であって「たてがみ」ではない。
    流れを理解していれば分かることだろうが、読者に不親切と言える。




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