謎のプリンス ‘Harry Potter and the Half-Blood Prince’

Last-modified: 2022-11-21 (月) 09:46:10


6巻における代表的な誤訳

『先生』なんて敬語をつけていただく必要はありません

■日本語版 上巻9章 p.272
「はい」ハリーは突っぱった。
「はい、先生
「僕に『先生』なんて敬語をつけていただく必要はありません。先生」

■UK版 p.171
“Yes,” said Harry stiffly.
“Yes, sir.”
“There is no need to call me ‘sir' Professor.”

■試訳
「はい」ハリーは突っぱった。
「先生!」
「僕を『先生』って呼ばなくてもいいんですよ、先生」

■備考

  • スネイプの無言呪文の授業で、ハリーがプロテゴを唱えてスネイプを飛ばしてしまったシーン。
  • 2つ目のセリフはスネイプのセリフである。
    すべてハリーのセリフに見えて3つ目のセリフで混乱する読者が出た。
  • スネ「おめー無言呪文の意味わかっとんのか」
    ハリ「はい」
    スネ「『はい、先生』(だろ)」
    ハリ「ぼくを先生なんて呼ばなくていいですよw教授w」
    という感じのやりとり。
  • 先生は「敬語」ではなく「敬称」では。
  • 原文ではびしっと切り返す端的なセリフなのに、日本語版ではとても歯切れの悪いもたついたセリフになっている。


セリフの話者の推定ミス

■日本語版 上巻15章 p.466
(略)愛の妙薬は闇の物でもないし、危険でも――」
「君は簡単にそういうけど――」
ハリーはロミルダ・ベインのことを考えながらいった。
「それじゃ、それが咳止め薬じゃないと見破るかどうかはフィルチしだいってわけだ。
だけどあいつはあんまり優秀な魔法使いじゃないし、薬の見分けがつくかどうか、怪しい――」
ハーマイオニーはハッと身を固くした。


■UK版 p.288
(略)love potions are't Dark or dangerous―’
‘Easy for you to say,' muttered Harry, thinking of Romilda Vane.
‘―so it would be down to Filch to realise it was't a cough potion,
and he's not a very good wizard, I doubt he can tell one potion from―’
Hermione stopped dead:

■試訳
(略)愛の妙薬は闇のものでもないし、危険でもないし――」
「簡単に言ってくれるよ」ハリーはロミルダ・ベインのことを考えながらつぶやいた。
「――だからそれが咳止め薬じゃないと見破るのはフィルチの役目というわけよ。
だけどあの人あんまり優秀な魔法使いじゃないでしょう。薬を見分けられるかどうかさえ怪し――」
ハーマイオニーはぴたりとしゃべるのをやめた。

■備考

  • ハリーがボソッとつぶやいてハーマイオニーの話をさえぎっているが、続けて話しているのは明らかにハーマイオニー。
    なにより最後にHermione stopped deadって書いてある。
  • stop deadは急にやめる(止まる)という意味だと思うんだが
    なぜ「ハッと身を固くした」という苦しい訳にしてまでハリーのセリフにしたのだろう。
  • 携帯版・電子版では以下のように修正されている。
(略)
「――だから、それが咳止め薬ではないと見破るかどうかは、フィルチしだいっていうことになるわ。
でも、あの人はあんまり優秀な魔法使いではないし、薬の見分けがつくかどうか、怪しい――」
 突然ハーマイオニーは話を打ち切った。


博識ですね

■日本語版 下巻20章 p.187
「あいかわらず博識ですね、ダンブルドア」

■UK版 p.416
‘You are omniscient as ever, Dumbledore.’

■試訳

  1. 「あいかわらずお見通しですね、ダンブルドア」
  2. 「あいかわらず千里眼ですね、ダンブルドア」

■備考

  • これは、ヴォルデモートは他意がなさそうな様子で職をもとめにきたが、実は近くの村の宿屋ホッグズ・ヘッドに手下たちを待機させていたことをダンブルドアに指摘され、居直って返した台詞である。
  • 人から怪しい行動を指摘されて返す言葉が「博識ですね」というのはずれている。omniscientには「博識の」というような意味もあるが、この状況では「お見通しですね」「千里眼ですね」などが正しい。
  • 携帯版・文庫版では「相変わらずなんでもご存知ですね、ダンブルドア」に修正されている。


章ごとのまとめ

【上巻】

【下巻】


notes

HBP-notes


訳BBS

1章 「たり」「すっぽり」の使い方に疑問が
3章 蠱惑的な女性を追求?
6章 秘術名人さま!
22章 哀れな仏


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  • 気になった点をいくつか。上巻6章p.184 「いまはディーン・トーマスという男子とデート中か否か?」「そうよ」UK p.117 Are you or are you not currently going out with a boy called Dean Thomas?' 'Yes, I am,' そうよじゃどっちなのか分からない気がする。それと家族で買い物中だからデート中なわけがない。「つきあってるのか?いないのか?」「つきあってるわ」て感じかと。7章p.201 「オールヴォワ、ハリー」フラーのセリフだがアリーになってない。9章p.283 口癖が出た。UK p.177 said Slughorn again. 英語ではもう一度言ったとしか書いてないが本当に口癖なのか? 10章p.316 ダーリン ダーリンって女性にも使うんですね。でも日本では馴染みがないと思うのでハニーなどにしたほうがいいんではないでしょうか。 13章p.414 革の巾着 UK p.256 leather money-pouch 財布を巾着と訳すのはここが最初ではないですが、革の巾着はさすがにありえなくないですか?巾着って袋の口にひもを通してあって引っ張ると口が閉じるやつだと思っているのですが。革だと硬すぎて巾着として使いにくいんじゃないかな。そもそもmoney-pouchだからこんなこと考えるだけ無駄なのは分かってるんですが書かずにはいられなかった。 -- ヘキサ 2018-09-07 (金) 23:10:03
    • 死の秘宝にも革の巾着出てきて、そっちは正真正銘巾着袋だったので調べたら革の巾着あるんですね・・・。ほんとごめんなさい。革って漢字見るとどうしても硬いものをイメージしてしまうので。 -- ヘキサ 2018-09-12 (水) 22:50:48
  • 下巻20章 エシャロット UK p.397 a green onion p.398 the onionlike object 料理や食べ物は詳しくないですが玉ねぎでいいんじゃないでしょうか? 22章p.250 哀れな仏は、どこにいるのかね? UK p.452 where is the poor creature? creatureは訳すの難しいですが仏とは恐れ入った。スラグホーン先生を勝手に仏教徒にして大丈夫ですかね。25章p.341 トランプ占いの警告 UK p.507 the warnings the cards show - そのすぐあとに塔のカードが出てくるんですがこれタロットカードですよね?絶対トランプじゃないと思う。 27章p.420 レダクト! 粉々! 28章p.426 クルーシオ! 苦しめ! この二つは英語では同じ呪文を二回使用している。日本語版では一回しか使ってないようにしか見えない。以前にも同じ呪文を複数回使用している場合にその中の一つを日本語にするということをしていたが、ここはかなり印象が変わっていると思う。 -- ヘキサ 2018-09-07 (金) 23:39:48
    • ごめんなさい調査不足でした。トランプ占いについて。p.342にもトランプ占いと書いてあってそれはUK p.508でcartomancyとあり、ググったらトランプ占いってあるんですね。てっきりそんなもの無いと思ってたので絶対ないと言ってしまいました。ただ、塔のカードがあるのでやっぱりタロットの可能性が高いのではないかと。 -- ヘキサ 2018-09-08 (土) 00:01:33
      • トランプに塔のカードはないしな -- 2022-10-01 (土) 21:43:22
  • 約3年前に見たときより充実してて驚いた -- 2022-11-21 (月) 09:46:10