賢者の石 ‘Harry Potter and the Philosopher's Stone’

Last-modified: 2021-09-18 (土) 10:27:06


1巻における代表的な誤訳

ブーンとうなるようなほえ声

■日本語版 8章 p.207
ノックすると、中からメチャクチャに戸を引っ掻く音と、ブーンとうなるようなほえ声が数回聞こえてきた。

■UK版 p.104
When Harry knocked they heard a frantic scrabbling from inside and several booming barks.

■試訳
ハリーがノックすると中からせわしなくドアを引っかく音がして、低い鳴き声が何度も響き渡った。

■備考

  • 授業が終わってハリーとロンがハグリッドの小屋に来たシーン。
  • 【misty eyes=霧のような瞳】と並んで有名な「犬がブーン」。
    ファングは大型犬なので、ブーンのような軽い声は出さないし、そもそも犬はブーンと吠えない。
  • また前半の「メチャクチャ」も稚拙な印象を与える。
  • boomingを辞書で調べると「ブーンという大きな低音のする」というものが出てくるので、これをそのまま使ったのか?
    booming laugh で「響き渡る笑い声」
    booming sound で「轟き渡る音」
    となるので、barkもこれに即して訳したら良いのに… (参考
  • 新装版では「ノックすると、中からめちゃくちゃに戸を引っかく音と、響くような太い吠え声が数回聞こえてきた。」に修正されている。


ヒョコヒョコ歩き

■日本語版 13章 p.328
あのヒョコヒョコ歩きが誰なのかハリーにはわかる。スネイプだ。

■UK版 p.165
He recognized the figure's prowling walk. Snape,(省略)

■試訳

  1. あの忍び足には見覚えがある。スネイプだ。
  2. あの静かな歩き方には見覚えがある。スネイプだ。
  3. ハリーは密かにうろつき歩いているのが誰かわかった。スネイプだ。

■備考

  • クィディッチの試合が終わって、ハリーが箒置き場からホグワーツ城を見ているシーン。
  • (日本語版での間違ったイメージの)スネイプを形容する代表的な表現の一つ。
  • prowlには〔餌・獲物などを見つけるための〕うろつき、徘徊という意味がある。 (参考
    静かに、忍び足で、といった印象を受ける。
    「ヒョコヒョコ」ではひょうきんそうだし、静かなイメージではない。
    なによりスネイプに合った表現ではないだろう。
  • このシーンの少し前(11章p.266)で、スネイプが三頭犬フラッフィーによって負傷させられたことがわかっている。
    訳者はそれを引きずっていたのだろうかという見方がある。
    (負傷してから三ヶ月たっているので、もう治っているはず。)


いやに愛想よく

■日本語版 16章 p.393
「やあ、こんにちは」スネイプがいやに愛想よく挨拶をした。

■UK版 p.195
"Good afternoon," he said smoothly.

■試訳

  1. 「ごきげんよう、諸君」スネイプは抑揚なく言った。
  2. 「ごきげんよう」スネイプはさらりと言った。

■備考

  • 今夜スネイプが事を起こすのでは、と三人で話しているところに当のスネイプが現れてドッキーンというシーン。
  • (日本語版での間違ったイメージの)スネイプを形容する代表的な表現の一つ。
  • smoothlyは「平坦に、なだらかに、滑らかに」といった意味で愛想の良し悪しを表してはいない。 (参考
  • 愛想の良い挨拶などスネイプの性格に全く合っていない。



章ごとのまとめ


訳BBS

1章 第一章より羅列
2章 それなりに全速力で~
6章 ちょっと短すぎて
7章 そーれ! わっしょい! こらしょい! どっこらしょい!の解釈について
9章 wheel around


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