5巻における代表的な誤訳
文机
■日本語版 上巻5章 p.140
客間の文机に何か閉じ込められているの。
■UK版 p.81
there's something trapped in that writing desk in the drawing room.
■試訳
- 客間のライティングデスクに何か閉じ込められているの。
- 客間の書き物机に何か閉じ込められているの。
■備考
- ガタガタ揺れて、ボガートが入っているかもしれないというモリーのセリフ。
- 原書で言う所のwriting deskとは「背が高く」「収納場所が大きく」「書き物をする机」
日本語版で言う所の文机とは「背が低く」「収納場所が小さく」「読み物をする机」です。 - 不思議の国のアリスに出てくる有名ななぞかけ'Why is a raven like a writing desk?'は「書き物机」と
訳されているのを見た事がある。 - まるっきり別の物に改変してしまうのはどうなのか?
- 文机の前に座布団敷いて正座して勉強してるシリウスを想像してしまった読者もいる。
父さんのところでキャンプ
■日本語版 上巻6章 p.183
そうだ、学校が休みになると、君の父さんのところでキャンプした。
■UK版 p.103
Yeah, I camped out at your dads in the school holidays,
■試訳
そうだ、学校が休みになると、君の父さんの家に仮住まいさせてもらった。
(他、転がり込む、住まわせてもらう、居候なども)
■備考
- ブラック家の家系図のシリウスの箇所は、家出した後に焼かれたのだと話しているシーン。
- 16歳頃「もうたくさんだ」→休みに家出→17歳になって独り暮らしという流れのようなので、
シリウスはポッター家で居候させてもっていたと思われる。 - 犬だから家に入れて貰えなくて庭でキャンプしていたのか?と疑問に思った人もいたよう。
- 訳が間違っても、日本語の文章として「友達の家でキャンプした」に疑問を持たなかったのか?
- 携帯版では「だから、学校が休みになると、君の父さんのところに転がり込んだものだ。」に修正されている。
丸く切り取った
■日本語版 上巻9章 p.281
埃っぽい古い絨毯の上に丸く切り取ったように月明かりが差し込み
■UK版 p.159
on the dusty old carpet in a patch of moonlight,
■試訳
埃っぽい古い絨毯の上の切り取ったような月明かりの中で
■備考
- ボガートがモリーに対してロンの死体に化けたシーン。
- 原文には「丸く」に当たる単語はない。
- 通常差し込む月明かりは窓の形と同じになる。
- 特に「丸い」と説明がなければ普通は四角い窓だろう。
爪にツメなし、瓜にツメあり
■日本語版 下巻23章 p.134-135
「爪にツメなし、瓜にツメあり。最後の仕上げが終わったら、何でも好きなことをしていいわ!」
■UK版 p.444
‘If you've dotted the i’s and crossed the t’s then you may do whatever you please!’
■試訳
「足りないテンがないかどうか確認したらマルよ、何でも好きなことをしていいわ!」
■備考
- 宿題計画帳の歌。
- 'dot one's i's and cross one's t's.'というのは、「隅々まできちんとやりなさいよ」という意味の慣用句。
- 「爪にツメなし、瓜にツメあり。」は昔の漢字の覚え方。
- 原書では「(iに点を打ったりtに横棒を引いたりして)きちんと仕上げたなら、後は何でもしていい」
と言う流れになっており、一文目と二文目で意味が繋がっている。 - 原書の慣用句に合わせるために邦訳も言葉遊びのようなものを取り入れたのかもしれない。
しかし「きちんとやること」とは関係がない「漢字の覚え方」を使用しているため、
前後の文の繋がりが見えなくなっている。
停職になった
■日本語版 下巻25章 p.204
停職になった
■UK版 p.484
I'm on probation,
■試訳
- 「執行猶予になった」
- 「保護観察になった」
■備考
- ハグリッドの発言を「停職になった」と訳したが、この発言後も学校で働き続けているために誤訳である。
- 携帯版では「停職候補になった」に変更されたが、"probation"は執行猶予の意味であるため、訂正になっていない。
- DA
- じゅげむじゅげむ
- きみおまえ
- ルーナのイヤリング
- ハーの小説
章ごとのまとめ
【上巻】
【下巻】
notes
訳BBS
- 2章 キューコンなんとか
- 15章 第二の眼、内なる眼
- 18章 ハリーとチョウの会話
- 21章 厳寒で
- 24章 なにもかも、理屈に合わない。
- 28章 チョウの顔にパッと血が上り、目が光りだした。
- 35章 不敵の用法
- 35章 『時』だわ
- 35章 鞭打つような杖の振り方
- 37章 死よりも不可思議で同時に死よりも恐ろしい力
- 38章 下巻38章687Pについて
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- 気になった点。『ゲーゲー・トローチ/ゲロゲロトローチ/puking pastille』 1冊の中で訳が2種類ある。 『アロホモーラ』 3巻だったかではアロホモラと訳されていた。というか5巻の中でもアロホモラと訳されている箇所がある。英語では違いがないのになぜ? 下巻p.162 『ペット犬』 飼い犬と言うのが普通かと。 -- 2018-09-01 (土) 10:45:51
- ペット犬って、、、 -- 2022-04-07 (木) 18:57:12
- 訳語の不統一はあかんよね -- 2023-06-05 (月) 23:06:13
- 5上巻p.522『ペンフレンド』 4上巻p.131ではペンパルだった。 『カンカン』5巻はハリーの精神状態が不安定でよく怒ったり他人を怒らせたりするが、かなりの割合でカンカンと訳されている。家族や友人を馬鹿にされて怒るような真面目な場面ですらカンカン。平易な表現にしたいならば「すごく怒っている」とか「とても怒っている」でいいし、そっちのほうが自然。また、英語ではfuriousやberserkやangrilyやheatedlyやmadやfumingやlividなど(忘れたけど他にもあったはず)多様な表現を使っているのに全部カンカン。大きく文学性を損なっていると思いました。 -- 2018-09-01 (土) 11:06:40
- 擬音語がやたら多いのは気になるよね・・・ -- 2022-06-04 (土) 03:30:01
- すごくわかる -- 2024-01-30 (火) 23:09:59
- 擬音語がやたら多いのは気になるよね・・・ -- 2022-06-04 (土) 03:30:01
- 5上巻p.445「いいクィディッチ日和だわ。私、もう一週間もプレイしてないの。あなたは?」「ううん」ハリーが答えた。 5下巻p.242-243 「ロンとジニーは、いないな?」椅子を引き寄せ、周りを見回しながら、フレッドが聞いた。ハリーは首を振った。 この二つは日本語の「はい」「いいえ」と英語の「Yes」「No」の違いを考えずにそのまま訳したと思われます。ストーリーを理解していれば「はい」「いいえ」を逆にしなければならないと分かるはず。 -- 2018-09-01 (土) 11:26:22
- まるで機械翻訳 -- 2023-12-18 (月) 23:20:22
- 英語って意外と難しい -- 2024-09-15 (日) 23:47:04
- 上巻p.42 しかし、猫の尾を踏んじまったね UK p.27 but the cat's among the pixies now. 猫の尾では魔法界独自の言い回しであることが伝わらない。虎の尾を踏むを翻訳者が本気で間違えたのかと思った。さらに言うと虎の尾を踏むとthe cat's among the pigeonsとで少しニュアンスが違う。個人的試訳1「ドラゴンの尾を踏む」(欠点:大げさすぎ) 試訳2「ピクシーの中に猫を放り込んだような大騒ぎになってしまったね」(欠点:直訳。説明くさすぎる) -- 2018-09-01 (土) 11:45:47
- ことわざのパロディを上手く翻訳するのは難しいと思う -- op2chスレ主 2020-12-30 (水) 23:44:22
- 確かにそれは同意 -- 2023-01-06 (金) 13:34:35
- ことわざのパロディを上手く翻訳するのは難しいと思う -- op2chスレ主 2020-12-30 (水) 23:44:22
- 5下巻p.204停職になった:「on probation」は、ハグリッドが授業を続けていることから、有罪(停職)判決を受けての「執行猶予」ということでしょうか? -- 2023-12-27 (水) 16:19:37
- 「停職になった。しばらくは猶予だが」と意訳している方がいた。 -- 2023-12-27 (水) 16:23:58
- いいな -- 2024-02-13 (火) 17:37:23
- たぶんそうじゃね? -- 2023-12-28 (木) 14:03:26
- 5下巻32章p.505:アンブリッジは、スネイプに、「あなたは停職です!」と。UK版p.686は、「You are on probation!」。スネイプも、停職だけど、しばらく猶予の身ということになるのか? -- 2023-12-30 (土) 11:54:38
- 秘密の部屋で、ダンブルドアを理事会が停職にさせたときは、ルシウス・マルフォイは、「Dreadful thing, Dumbledore, but the governors feel it’s time for you to step aside. This is an Order of Suspension — you’ll find all twelve signatures on it. I’m afraid we feel you’re losing your touch」。と言ってます。「an Order of Suspension」が、停職命令です。 -- 2023-12-31 (日) 09:46:37
- ここが参考になる https://harrypotter.fandom.com/wiki/Probation#cite_note-POA5-4 -- 2023-12-31 (日) 10:03:49
- 「停職になった。しばらくは猶予だが」と意訳している方がいた。 -- 2023-12-27 (水) 16:23:58