秘密の部屋/13~16章

Last-modified: 2021-09-17 (金) 19:02:23
 

13章

ビーカーに飲ませた

■日本語版 13章 p.351
スネイプときたら、たった今、誰かが大ビーカーになみなみと「骨生え薬」を飲ませたばかりという顔をしていた。

■UK版 p.176
Snape looked as though someone had just fed him a large beaker of Skele-Gro.

■試訳
スネイプの顔は、ちょうど今大きなビーカーに入った「骨生え薬」を与えられたかのように、歪んでいた。

■備考

  • ビーカーに飲ませないでくれぇ。
  • 「なみなみと」が原文から読み取れない。
  • 試訳はスネイプの心情を「歪んで」を付け加えて分かりやすく表現。


状況説明の省略

■日本語版 13章 p.365 (※原文は改行なし)
しかし残念なことに、リドルは隠れた通路や、秘密のトンネルに行ったのではなく、
スネイプが魔法薬学の授業で使う地下牢教室に入った。

■UK版 p.183 (※原文は改行なし)
But to Harry's disappointment, Riddle led him not into a hidden passageway or a secret tunnel
but very dungeon in which Harry had Potions with Snape.

■試訳

  1. しかし残念なことに、ハリーがリドルに連れて行かれたのは、隠れた通路や秘密のトンネルではなく、
    スネイプの魔法薬学で使う地下牢教室の中だった。
  2. しかし残念なことに、リドルを追ってハリーが辿り着いたのは、隠れた通路や秘密のトンネルではなく、
    スネイプの魔法薬学の授業がある地下牢教室の中だった。

■備考

  • 原文には into があるから、リドルがハリーを地下牢教室の中に導き入れたんだと解る。
    日本語版だとリドルだけが地下牢教室に入って行ったようで、ハリーの立ち位置がはっきりしない。
  • あろうことか、訳者が原文にはある状況説明を省略しているという。


低い位置に吊り下げられている

■日本語版 13章 p.367
毛むくじゃらの巨大な胴体が、低い位置に吊り下げられている。絡み合った黒い脚、ギラギラ光るたくさんの眼、剃刀のように鋭い鋏――。

■UK版 p.184
A vast, low-slung, hairy body and a tangle of black legs; a gleam of many eyes and a pair of razor-sharp pincers —

■試訳

  1. 大きくて低くて毛むくじゃらの胴体、絡み合った黒い脚。ギラギラ光るたくさんの眼、剃刀のように鋭い鋏――。
  2. 地に伏せった巨大な毛むくじゃらの胴体、もつれあったたくさんの黒い脚、ギラギラ光るたくさんの眼、剃刀のように鋭い一対の鋏――。

■備考

  • low-slungって「低い位置に吊り下げられている」という意味だったっけ?
  • low-slungは(標準よりも)低い、地面に近い、低床式、低層という意味がある。 参考
  • low(低い)とslung(掛ける、吊り下げる)を別個に訳してしまったがための凡ミス。


14章

ガーン

■日本語版 14章 p.379
オリバー・ウッドはガーンと打ちのめされた顔で地上に降り立ち、

■UK版 p.189
Oliver Wood, looking devastated, landed

■試訳

  1. オリバー・ウッドは激しく打ちのめされた顔で地上に降り立ち、
  2. オリバー・ウッドはひどく打ちのめされた顔で地上に降り立ち、

■備考

  • 「ガーン」て。昔のギャグ漫画?
  • 「激しく打ちのめされた顔で」「ひどく打ちのめされた顔で」で充分だと思う。


目にこびりついて離れない

■日本語版 14章 p.383
目にこびりついて離れない

■試訳
目に焼きついて離れない

■備考

  • 「目に焼きついて」と「頭にこびりついて」を混同したものと思われる表現。


チンケ

■日本語版 14章 p.386-387
後ろからもう一人、とてもチンケな男が入ってきた。

■UK版 p.193
and was followed by a second, very odd-looking man.

■試訳
次に奇妙な格好の男が続いた。

■備考

  • ファッジの表現。
  • ファッジは「背の低い恰幅のいい体(portly=「風采の立派な」「恰幅のよい」「威厳のある」)であって、決してチンケな男ではない。
  • odd(奇妙)をチンケと置き換えるのは誤訳というより日本語の問題
  • odd-lookingは「チンケ(貧相なさま。器量の小さいさま」ではなく「奇妙な風采の」という意味。
    その後のほうにファッジがどういう格好してたか書いてある。
       He was wearing a strange mixture of clothes: a pin-striped suit,
       a scarlet tie, a long black cloak and pointed purple boots.


15章

■日本語版 15章 p.397
ハリーが萎えた茎を一抱えも切り取って、堆肥用に積み上げていると

■UK版 p.199
Harry went to tip an armful of withered stalks onto the compost heap

■試訳
ハリーは一抱えの枯れた茎を堆肥の山の上に捨てようとして~

■備考

  • 「切り取って」「積み上げる」にあたる単語が原文のどこにもない。
    tip(捨てる)とcompost heap(たい肥の山)の意味がわからなかったとしか考えられない。
  • 「くき」が何故か携帯版では「くさ」に変更。
    「さ」と「き」を見間違えたのか?だが携帯版発刊にあたって全文打ち直すわけではないと思われるので、意図的に「くさ」と変更したと思われる。
  • 個人的には原文は茎になってるけど、日本語で「茎を切り取る」はおかしい(茎だけの植物はないから)と思い、とりあえずルビだけ「くさ」にしたんだと思う。地球とかいてテラと読むみたいな感じ。


目は飛び出していた

■日本語版 15章 p.408
ロンはハリーの気持をそっくり顔で表現していた。声にならない悲鳴をあげ、口が大きく叫び声の形に開いている。目は飛び出していた。

■UK版 p.204-205
Ron looked exactly like Harry felt. His mouth was stretched wide in a kind of silent scream and his eyes were popping.

■試訳
ロンは、ハリーの気持ちをそのまま表したような顔をしていた。声にならない悲鳴を上げ、叫び声を発する時のように口が大きく開き、目は飛び出んばかりに見開かれている。

■備考

  • “目は飛び出していた”じゃなく“~飛び出ていた”じゃないのかな?あとは“目を剥いていた”とか?
    というか、“目は飛び出していた。”だけ文章を分けてるのがそもそも変。
  • そっくり顔で~っていうのは「そっくりそのまま」という意味なんだろうが、何か緊張感に欠けるような。


16章

クモを探すことさえ

■日本語版 16章 p.418(※本文は改行なし)
クモを探すことさえ簡単にはできなかったのだから、ましてや先生の目を盗んで、
女子トイレに潜り込むなど、特に、最初の犠牲者が出た場所の、すぐ脇の女子トイレだし、とても無理だった。

■UK版 p.210(※本文は改行なし)
It had been hard enough trying to look for spiders.
Escaping their teachers long enough to sneak into a girls' bathroom, the girls' bathroom,
moreover, right next to the scene of the first attack, was going to be almost impossible.

■試訳
クモを探すことさえ難しかったのだ。
先生の目を盗んで女子トイレに ―― それも最初の犠牲者がでた場所のすぐ脇のトイレに ―― 忍び込むなどということはほとんど不可能に近いだろう。

■備考

  • マートルに50年前のことを聞きたいハリーとロンが歯がゆく思っている場面。
  • 読点が多く読みづらい。日本語の文としても自然さに欠ける。
  • 原文は二つに分かれているのに一つにまとめたため無理が生じている。
  • 原文はカンマを使って(the)girls' bathroomを繰り返し、強調している。
    この感じを出すなら試訳のようにダッシュ(―)を使ったほうが良い。


一文まるまる削除

■日本語版 16章 p.438
初版:「本人が表紙を飾ったら、とても見られたものじゃない。ファッション感覚ゼロだ。 バンドンの泣き妖怪を追い払った魔女は兎口だった。要するに、そんなものですよ……」
66刷より:「本人が表紙を飾ったら、とても見られたものじゃない。ファッション感覚ゼロだ。要するに、そんなものですよ…」

■US版(修正前) p.297
"He'd look dreadful on the front cover. No dress sense at all. And the witch who banished the Bandon Banshee had a harelip. I mean, come on..."

■UK版(修正後) p.220
"He'd look dreadful on the front cover. No dress sense at all. And the witch who banished the Bandon Banshee had a hairy chin. I mean, come on..."

■試訳
バンドンの泣き妖怪を追い払った魔女のあごは毛むくじゃらだった。

■備考

  • 某国の某団体からの抗議により2004年より原書はharelip→hairy chinと書き換えられたが日本語版は一文ごそっと削除。
  • 兎口(うぐち)(としん)(みつくち)=口唇裂=harelip。
  • 買いなおした図書館、学校も多かったらしい。
  • 言葉狩りの犠牲者と言えなくもないが、別の言葉に置き換えるべきだったのではないか?
    上記削除部分はロックハートの容姿至上主義、差別的な面を強調するための台詞ではないんだろうか?



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