小説/13話「輝く闇」

Last-modified: 2021-11-27 (土) 00:33:40

13話 輝く闇

作:てつだいん 添削:学園メンバー

高1のいる長野と代わって、こちらは次郎勢学園本校舎付近。
星空に包まれ、子供が眠りにつく頃、薄い雲に隠れた淡い月明かりが帰り道を照らしていた。
住宅街から徒歩数分離れた駅前に……ぽつりと置かれている駐輪場があった。数年前に入れ替えられたばかりの少し新しい電灯がひとつ、月明かりに加えて光っていた。
ガラガラガラ……
自転車を引っ張り出す。
24時間以内なら50円。都会とは比べ物にならない。安い。いや、精算機があるだけマシか。
しまった。小銭がない。仕方なく精算機に1000円札を突っ込む。静かな駅前に響く、ジャラジャラというお釣りの小銭の音。何となく領収書発行ボタンを押したくなった。印刷された領収書を見て、そのまま捨てた。何をしてるんだか。
自転車に乗って漕ぎ出そうとした、その時だった。

 

志熊「あっ、香奈さんだ~」

 

学園の方面から歩いてきたのは、高校2年、別のクラスの志熊だった。
香奈「あっ、志熊さんたぁ」
アッシ、澄崎 香奈。独特な方言のような言葉遣い。これは地域の訛りでもなんでもない。ネットの動画を見て勝手にうつった喋り方だ。

澄崎 香奈(すみさき かな) 一言で言うとクール。声が低め。
どこの方言か分からない訛りがある。もとは関東住みで普通に標準語だったが、数年前に方言を喋る動画投稿者の動画を見つけてはいろいろ見ていたら、様々な方言が融合して自分にもうつっていたらしい。
一人称が「アーシ」。

香奈「まさか、こんな遅くまで学校にいたんの?」
消え入るようなかすれた声で、クールな口調で。
志熊「ま、まぁ」
香奈「部活ぅ?」
志熊「いいや、暴動を止めに行ってたの」
香奈「暴動って、何があったんよ?」
志熊「それがさ、今って高1が宿泊でいないじゃん?他のクラスの子が、『やったー高1のクラス貸し切りやーん卍卍卍』って言って、高1教室を荒らしてたんだよ」
香奈「そんなくだらない事件があったんね……」
志熊「まったくだよね……私だって今日は部活行く筈だったのに、この暴動のせいで全部台無し」
香奈「そりゃ災難やったことね……」
志熊「それで、香奈さんはどうしてここに?」
香奈「アーシね、アルバイトやってるの」
志熊「アルバイトねぇ……、香奈さん接客はしなさそうだね」
香奈「アーシがバイトしとるのは塾やの」
志熊「じゅ、塾でバイトなの!?」
香奈「中学の塾。アーシ、数学と英語が得意やからバイトで教えてげるんのよ」
志熊「すごい人もいるものだなぁ」
香奈「まあぁね、そのバイト先がそこそこ遠くにあるてさぁ、電車使って通ってるんやよ」
志熊「それはご苦労様…… たまに部活休んでるのはそれでなのね」
香奈「そゆこと」
志熊「私よりかなり有意義な時間過ごしているんじゃない……?」
香奈「塾ってのは面白いんよ、いろいろな人からの噂話聞けるのにょ」
志熊(『にょ』って何、『にょ』って……)
香奈「この前聞いた噂話、高2の男子たちのくだらん話やーけどね」
志熊「何それ何それ」
香奈「普段数学の話はしないような高2男子がおるんけど、その男子たちが、『俺の好みは……y=sinxくらいやな』とか、『お前それ小さすぎちゃう?y=sin2xくらいがええねん』とかいう会話が聞こえてきたらしいやよ、そんでその子、妙だと思って聞いて見たんやって、『アンタたち何の話してるの?』って」
志熊「うんうん」
香奈「そしたらね……何の話してたと思う……」
志熊「数学じゃないの……?」

 

香奈「女子の胸の形やって」

 

志熊「へ!?!?」
香奈「もう聞いた時呆れたわ、一発で」
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香奈「その後も『サインよりコサインのほうがええやろ』とか『中心が凸でどうするんだよ』とか、どこから突っ込んでいいのやら……」
志熊「グラフの目盛りの大きさによって変わるから意味ないじゃん……」
香奈「っていうか、まだ三角関数まで行ってないわよねぇ」
志熊「予習している俺かっこいいとか思ってるんじゃないの?」
香奈「俗にいう『にわか』ってやつたぁね……」
志熊「数学を何だと思ってるんだ、全く……」
香奈「本当……あっ、聞きたいこと思い出したわ」
志熊「聞きたいこと……?」
香奈「あなた、確か“元・男”よねぇ」
志熊「えっ?まあ、あながち間違ってはいないけど(間違ってないのか?{自問自答})」
香奈「アーシ、最初にあなたを見たとき、完全に女だって勘違いしたんよ……その高い声とか、どうやって手に入れたん?」
志熊「これは……その……」
香奈「今までそんなに自然な女見たことないんねんよ」
志熊(自然な女って言い回しは何なんだ……)
志熊「これは、Kou長先生にやってもらったんだ…… いや、正確に言うなら、過去の科学部……」
香奈「えっ……それ、どういうこった?アーシすごい気になるから、もっと詳しく聞かせてくれへん?」
志熊「少し長くなるけど……いいかな」
香奈「まあ、家に帰るのは少しくらい遅くなってもいいし」
志熊「うん、それじゃあ」

 
 

志熊「私は中学生の頃からこの学園にいるんだ。それで、まあいわゆる……女っぽくなった?っていうのは大体中2の頃なんだけど……」
なんだか曖昧な記憶を辿るかのように、ふらふらとした口調で会話を繋いでいる。欠けてしまった記憶を蘇らせるかのようでもあった……
志熊「あっ、これから話すことは他の誰にも話さないで欲しいんだ」
香奈「うん、わかったわ」
志熊「えっと、ある事情があって、その事情について私は先生に相談をしたの。先生たちはある提案をしてきた。『いっそのこと、君の外見を思いっきり変えてみたらどうだね?』と。つまり、今までのイメージをやめて、女っぽく生きろという提案だったわけ。悩んだ末に、私はその提案を受け入れた。それで今に至るわけなんだ」
香奈「ほぅ…………」
志熊「なんだ、それだけか……って思った?肝はここからの話でさ、よーく聞いてよ?その“女っぽくなる”までの過程で、髪型はもちろん、顔や話し方についてまでいろいろと考えた。それでもやっぱり……一番イメージの邪魔をしていたのが、“声”だったんだよね」
香奈「そこで声の話が出るわけか……」
志熊「声ばかりはどうしようもない。だからと言って、男の人が中途半端に女の真似して高い声出そうとすると引かれることだってあるじゃない?」
香奈「まあ、オカマだって賛否両論だものね……(びっくりした、引かれるってそっちの意味ね……アーシ、最初“惹かれる”かと思っちゃった)」
志熊「悩んでいた時に、kou長先生がさらなる提案をしてきたの。その時は驚いたわ。『声質を変える薬があるんだ、試してみないか』ってね。詳しく話を聞いてみると、この薬はkou長先生ではなく、過去の科学部が作り出した傑作だったらしい。当時は学園中大騒ぎだったというけど、怖くで誰も試そうという人はいなかった。そうこうしているうちに科学部は廃れてしまい、結局誰も使うことはなかったんだって。余った薬はkou長先生に引き渡されることになったの」

 

香奈「それじゃあ、あなたは、科学部からkou長に引き渡され、そのkou長から貰った薬を飲んで声を………… というわけやね」
志熊「そう、そういうわけなんだ。kou長先生がすごいのはもちろんだけど、昔の科学部もすごかったんだなぁ……って」
香奈「そう言えば、最近また科学部が復活したらしいんよねぇ」
志熊「そうみたい。またものすごい薬を開発したりするのかな……」

 

香奈「あっ、そうだ、科学部が復活して、kou長が妙に喜んでた話も知ってる?」
志熊「えっ……kou長先生は科学部に何かあるのかな……」
香奈「知らないみたいね…… kou長本人曰く、『3本の柱計画』とかいうものやっちゅうの」
志熊「3本の……はしらけいかく……?」
まーたすごそうな計画が出てきたー。kou長先生、今度は何をしようとすているんだ……?
香奈「この学園は非政府組織で、というかむしろ政府に隠れて運営している団体やってのは知ってるわよね」
志熊「それはもちろん」
香奈「と言っても、情報なんてものは少し油断すればすぐ漏れてしまうもの。この学園ができてから20年以上経とうとしているけど、今まで政府に一度も見つかっていないのは何故か?」
志熊「確かに気になるね」
香奈「それは、学園の並外れた情報管理(いわゆるサイバー)システムにあるんだとか」
志熊「ちょっと難しい話になってきた……?」
香奈「ただ、長年続けているとなると、ある問題が発生するのよ」
志熊「まあ、そりゃあねぇ……これだけ年月も経てば、いつかは政府にバレるだろうし……」
香奈「違うの。飽きるのよ」
志熊「それ問題じゃないでしょ!!情報管理に飽きるとか無いから!!」
香奈「飽きるってkou長が言ってるのを聞いたの。だからそうなのよ(怒) それで、あの人は大胆な作戦に出るって言ってた。この学園の生徒たちの中には、Eleis(エレス)というハッカー組織があるっての、聞いたことある?」
志熊「えっ?生徒たちでハッカー組織なんて組んでるの……?」
香奈「アーシも詳しいことは知らないけど。そのEleisと協力して、サイバー関連の仕事を手伝ってもらおうかって。さらに科学部とも手を組み、3団体で学園の開発を進める……らしいわ」
志熊「えっと、その……エレスだっけ?と科学部と、教員で3団体ってこと?」
香奈「そう。科学部は科学関係、Eleisはサイバー関係、そして教員は宇宙関係……」
志熊「えっちょっと待って、今最後なんて言ったの?」
香奈「宇宙関係」
志熊「う、宇宙関係!?!?」
静かな夜に、大きな声が響き渡る。
香奈「アーシもよく知らないけど、宇宙関係だってことは聞いた。いよいよ恐ろしくなってきたぁよねぇ」
志熊「あの時ぶりに、大きなことが起こるのかも……」
香奈「あの時ぶり……?その話も気になるわね」
志熊「うぅ……頭が…… この話はあまり思い出したく無いの……ごめんなさい」
香奈「そうなの……過去に何かあったのね」
志熊は静かに頷いた。
計り知れないkou長の計画。それは生徒には分からぬが、確実に、水面下で、輝く闇のように、進行しているのであった。
今日の月は、いつもより少し歪んで見えた。

 
 
 
 
 
 
 

長野の車山、森の中の開けた広場。
皆が寝静まっている真夜中に、一人の生徒がテントから出て、そばの小さい折りたたみ式テーブルの前でくつろぎ始める。
目の前ではガスランプの淡い光が暗闇を照らしている。
静かだ。そして落ち着く。周りが暗くてここだけ明るい。細かすぎて伝わらない、キャンプの醍醐味でもある。
少し寒いけれど、昼間に来ていた上着を着ればどうってことはない。
いつもは早寝早起きだけど、今日だけは特別。
「…他にだれもいない…よね? やっぱりわたし、人前で話すのは恥ずかしいかな……」
その透き通った声は、クラスメイトの誰も聞いたことがない。教師でさえも。

 

少し座っていると、テントの中からもう一人の生徒が出てきた。元からいた生徒は、まさか他にも起きてくる人がいるなんて……と言った顔で少し動揺しながら黙る。
谷城「あっ、抄雪ちゃんも起きてたんだ~」
古閑「…………………。」
うつむき顔で、ランプの方を見つめる。目の前の生徒とは一切目を合わせようとしない。
しばらく続く沈黙。くつろぎの場所が、急に雲に覆われたかのようにどんよりとしてしまった。落ち着かない……
すると、この沈黙を破るように、谷城が口を開いた。
谷城「抄雪ちゃんって、人前で話すのが苦手なの……?」
もちろんこの質問にも自らの口で答えることは出来ない。でも、質問されたのに無視するのは流石に失礼だ。やっぱりいつも通りメモを使おう……
寝るときでさえ、何かあったときのためにとポケットにメモとペンを入れているので、すぐに取り出せるんだ。
ささっと書いて、テーブルの上に置いた。いつもなら運んでくれるギンも今は眠っているので、こうするしかなかった。
『うん。やっぱり、人前じゃ話せなくて。』
谷城「うん、そうなんだね。分かった。……でも、メモであれ口であれ、人と言葉を交わすことは嫌いじゃないでしょ……?」
またメモを書いて、テーブルの上に置いた。
『嫌いじゃない。むしろ好き。でも話すのはできないの』
古閑の文字はとても綺麗だった。
谷城(普段の授業のノートとかも、綺麗なんだろうなぁ……)
谷城「そっか。安心したよ。私、抄雪ちゃんともたくさんおしゃべりしたいから」
また書く。そして置く。
『でも……こうやって話をするなんて、時間もかかるし、   それでもいいの?』

 

谷城「そんなこと気にしてないって。何でも言って……んあー、何でも伝えてよ!」
その時、古閑の瞳ががうるうるとしているのが分かった。人と話すことはできなくても、別の方法でならコミュニケーションが取れる。
会話って、楽しいものだったんだ。その感情が芽生えた第一歩だった。
谷城「このこと、1班のみんなに伝えておくよ。もっと仲良くなれると思うよ!」
今書いたことが他人に知れ渡るのが恥ずかしかったのか、顔を少し赤らめた。
谷城「心配しないで。もっと自信を持って!」
古閑はこくりと頷いた。希望が芽生えた。
古閑「………………。」
『じゃあ、わたし、そろそろ寝る』
谷城「そっか。それじゃ、私もそうしようかな。おやすみっ」
古閑はもう一度頷くと、テントの中に入っていった。それに続き、谷城も中に入っていった。

 
 
 
 

こうして夜中にテントの外に出てみる生徒は彼女たちだけではなかった。
ここは……4組のテント前だろうか、同じランプの薄明かり、小さなテーブルの前で誰かが読書をしている…… 彼女は、音哉がゲーセンで一瞬だけ声をかけた碓氷 悠という女子生徒だ。
なぜこんなにも夜の時間帯にテントの外に出たがる生徒がいるのか? ……答えは文章では伝わらないかもしれないが、その場にいると自ずと分かってくる。森の中の夜というのは神秘的なもので、「真の静寂」「真の闇」というものを感じることができる場所。それを楽しむことができるのも、キャンプのマイナーな楽しみなのだ。
それに、1日目はおひるねとかいう休憩時間があったせいで、眠れない生徒も少なくない。

 

しばらく悠が読書をしていると、別の女子生徒が近づいてくる。しかも別のクラスのようだ。
愛梨「あら、悠も起きてたのね」
悠「ふぇっ……! あっ、愛梨さんですか、びっくりした……」
愛梨「あなたは毎回驚きすぎなのよ、はぁ……」
悠「す、すみません……」
来たのは5組の渡辺 愛梨。図書室で話すようになってから、気の合う友達になった。
愛梨「カラオケの時はほんっとにムカついた」
悠「何かあったんですか?」
愛梨「カラオケ誰が歌うなんて議論になったら何となくで私を指名よ?ブチギレてやったわよ、指名した男子ぶっ飛ばしてやろうかと思った」
悠「えっ、ぶ、ぶっとばす……!?」
愛梨「ま、周りに止められたからできなかったけど。その時のことは今でも恨んでる」
悠「それは大変……でしたね……」
愛梨「あら、それまた新しい本?」
悠「あ、はい……」(本をちらっと見せる)
愛梨「『山菜・きのこポケットガイド』……随分秋っぽいものを」
悠「で、でもここ山中ですし、せっかく家にあったから…… やっぱり変ですか……?
愛梨「いや、まあそういうのもアリだと思うけど…… ってか、前から気になってたけど、あなたの語尾が小さくなる癖、なんとかならないの?」
悠「えっ…… あの、自信がないと自然とそうなっちゃうんです……すみません」
愛梨「厳しいこと言うけど、直したほうがいいわよ、それ。今は静かだから聞こえるけれど、聞こえづらい」
悠「って言われても、私……」
愛梨「本当に大丈夫なのあなた? 今まで初対面の人にはどう接してたのかしら」
悠「あっ…… そういえば、入学初日に会った2人…… えっと、笛口さんと桜庭さんだっけ……ちゃんと謝らなきゃ」
愛梨(やっぱり何かやらかしてるみたい……)
悠「あのお二人に話しかけられた時、なんと返していいか分からずに、とっさに出た言葉がですね……」
愛梨「その言葉は……?」
悠「言葉は…… 『宮○賢治』で……」
愛梨「は!? もうちょっとマシな返答あるでしょ」
悠「あの時は私も何故あんな事を言ったのか……」
愛梨「それと今、笛口って言ったわよね」
悠「はい……」
愛梨「私、あいつだけは本当にクソ野郎だと思ってるの」
悠「えっ
愛梨「変に陽気すぎるのよね、あれは。あの誰彼構わず話しかけようとする態度。俺だったら誰とでも仲良くなれる、って変な思い込みしてそう」
悠(誰彼構わず話しかけようとする態度……)
愛梨「あーあの陽キャ気取りのクソ野郎、ほんっとむかつく」
悠(私はよく話しかけてくれる人のほうがいいと思うけど……)
愛梨「いつか本人に直接批判ぶちかましてやろうかしら」
悠「それはやめたほうが……」
どうやら相当むかついているらしい。これ以上触れるのはやめておこう……

 
 
 
 

代わって、こちらは…… ん? こちらは……? 誰だ……? 誰なんだ……?
ごそごそごそ……
???「ねーねーノヴァ、リンたちの出番少なくない?」
***「ちょっとリン、うるさいわよ……!今は夜なんだから、余計見つかりやすいのよ……?!」
???「ごめん…… で、でも、やっぱりリンたちの出番少ないと思う」
***「そりゃーそうかもしれないけども……私たちの本当の仕事は2日目でしょ?」
???「そうだったっけ?」
***「そうだったけじゃないわよあなた!!今回の一番のメインはここなんだから!」
???「リン、そこまで細かく覚えてないよー」
***「まったくしょうがないわね…… 明日、生徒たちはサバイバルレースなるものをやるらしいの」
???「うん」
***「そこにうまく紛れて、学園の謎を探るのよ! 普段じゃ分からない、学園外だからこそ分かることもあるんだから」
???「なるほどね~」
***「特に、どうやら教師陣が何か特別なことをしようとしているらしいわよ、これは見逃せない」
???「世界征服とか?」
***「流石にそんなわけ無いでしょ!!」
???「え~、じゃあ月の侵略とか」
***「あのねぇ、あなた規模が大きすぎるのよ!」
???「だって本当にそうかもしれないじゃ~ん
***「もう少し現実味ってものを考えなさいよあなた……」

 

???「あとノヴァ~、もうひとつ気になることがあるんだけど」
***「ん?何かしら」
???「リンたちの名前を伏せてるの、もう意味ない気がするんだけど……」
***「えっと、えっとね、これは小説の事情ってものがあってね(汗」
???「あ~そうやってすぐメタ発言に持ち込む~」
***「アンタが言い出したんでしょうが!!あなた肝心なこと忘れるくせにこういう言葉だけは達者なんだから……!!」
???「あとノヴァ、もっと静かにしないとダメだと思う」
***「へっ……!? あっ……ごめんなさい……//」
???「前にもこんなくだりあったような」
***「う、うるさいわね……!//]

 
 
 
 

こちらは教師陣。生徒たちと少し離れた場所にテントを立て、何かしているようだ……
kou長「はい次、古宮くん」
古宮「う~む…… どうするか…… よしっ、コール!!300円!」
木ノ瀬「コール」
kou長「よし、これで全員分揃いましたね、皆さんのお金の整理が終わるまで待ちます」
どうやらトランプを使って何か賭けをしているようだが……?
古宮「そういえば、明日の場所担当って1日中同じ場所なんでしたっけ?」
kou長「予定上はな。ただ、ハプニングが発生することはよくあるから、そういう時は臨機応変に対応してほしい」
古宮「本当に、安全対策は出来ているんでしょうねぇ……?」
kou長「心配はいらない。何度もテスト済みだ。それよりも心配なのは、生徒が迷い込んでこちらのエリアに入ってこないかだが」
木ノ瀬「その点はお任せください、なんとかして生徒を別の方向に向かわせますから」
kou長「そうか。心強いな」
古宮「これが成功したら、かなり進展しますね」
kou長「設計は全て済んでいるから、あとは実際に試すのみだ」
古宮「まさかこの学園がこんなことまでしているとは……本当に驚きましたよ」
kou長「この学園を舐めたらアカンでぇ~」
古宮「はっはっはっはっはっはwwwwww」
kou長「はっはっはっはっはっはっはwwwwwwwwwww」
たいそう賑やかなようで。

 
 
 
 

こうして夜は更けていく。
学園に隠された闇は輝く闇か、それともブラックホールか。
さあ、ついに始まる。この研修のメインイベント、サバイバルレースの日が。