小説/5話「日常1」

Last-modified: 2020-07-30 (木) 21:45:27

5話「日常1」 著:てつだいん 添削:学園メンバー

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★Ⅰ「古宮のタクラミ」

 俺は古宮 竜太。私立次郎勢学園、高校1年3組の担任だ。教科も数教科受け持っている。俺はこの学園に今年入ってきた……。本当ならもっと普通の高校で働くはずだった……でも、俺の性格が性格で、受け入れてくれるのは此処くらいしか無かった。悲しい……
 そこで俺は考えた。せっかくこんなに個性的な狂っている学園に来れたんだから、普通ではないことをしようと。俺は頭が悪くて無能だという教師を装い、今まで数日間生徒とともに過ごしてきた。しかし、あれは演技なのだ。どういうことかって? 俺は生徒に授業をされるほどバカではない。最初からドジ人格満点で貫き通してきたのもあるが、生徒たちは俺は頭がいいということに気づいていない。
 こうして偽の性格の教師を演じる。そしてある日を境に俺は普通の性格に戻る。今までバカだと思われていた俺はたちまち天才呼ばわりされる。バカから一気に天才まで昇天することで、強烈なイメージを生徒に叩き込むという作戦なのだ!!なんと素晴らしい!!
 そしてその作戦を実行する日は今日。生徒が入学してからちょうど4日目だ。俺は1時間目の数学でついに本性を現すことにした!!

 

「フハハハハハ……」
「(なんか先生が怖い笑み声を発している…」
「お前らから数学を教わる時代はもう終わった!さあ普通のクラスのように、俺がお前らに数学を教えてやる!!!」
「(なんか中二病に近い何かが初まった)」
「(あれは中二病では…ないのか?)」
「(ただカッコつけてるってのは間違いないな)」

 

……………。

 

「先生、いきなりどうしたんですか?」

 

「フハハハハハ…… 俺はお前らに数学を教わるほどバカではないということだ」
「でも、それは一昨日否定されたじゃないですか」
「一昨日?フッ…そんな証拠、今では関係ない。今から俺は天才な教師だということを貴様らに存分に味わわせてやろう!」
生徒一同「「「(貴様とか言われたーーーーー)」」」
「つい2日前は三平方すら理解してなかったし…本当に答えられるんですね?」
「なんでもかかってこい」
「(おいフェリックス、とびっきりウザい問題出してやれ」
「(ああ…… おお、こんな物があるのか…… これは面白い。難しいというか、普通にうざいな)」
「(そいつを古宮にぶちまけてやれ)」
 生徒たちはなんとかして俺を負かそうと必死に問題を考えている。俺をなめるなよ…数学の成績優秀だというのは本当の話だし、最近でもくだらない数学まで研究することだってあるんだ…!!
「それでは問題です」
 生徒にも、俺にも緊張が走る。思わずつばを飲み込む。つばが気管に入る。むせた。ゲホゲホゲホ
「失礼」
「では…改めて 問題です」
「3次方程式は別名で何と呼ばれているか。また、3次方程式ax^3+bx^2+cx+d=0の解の公式を答えよ」
一同「「「(なんだそりゃ!)」」」
「(完全なる鬼畜暗記…これなら解けまい…)」

 

「フフフフフフッ…甘いな」

 

「!?」

 

「3次方程式は別名カルダノの公式。そして後者の解の公式は
x={³√(√((-27a²d+9abc-2b³)²+4(3ac-b²)³)-27a²d+9abc-2b³)/3³√2*a}-{³√2*(3ac-b²)/3a³√(√((-27a²d+9abc-2b³)²+4(3ac-b²)³)-27a²d+9abc-2b³)}-b/3a
だな」

 
 

「!?!?!?」
「た…確かに…一致している…だと…」
 こうして俺の権威は一気に大きくなった。こう見えても、数学だけは誰にも負けない。自身があった。もちろん、他の教科もそれなりにやっている。俺の完全勝利…なぁ!?
 生徒たちはこの時間中、何も喋らずきょとんとした目で「こいつ人間じゃねえ」と言わんばかりに俺を見つめていた。笹川までもがこっちを見つめていたのを見た時は衝動に刈られて目がはぁとになるかと思った。突き刺す思いを必死に耐えた。

 
  • 次の時間-
     
    「おーい、そんじゃ理科はじめんぞー……、・・・・・・!??」
    生徒たちの目線を見て、俺はこのとき悟った。
    や ば す ぎ て 逆 に 引 か れ た 。
     
    (このあと、徐々に生徒たちは俺に慣れていったという… こうして俺は「ドジだけど天才な教師」として普通に授業をすることになった。ふぁぁー、一発逆転って面白いよね。)
     

★Ⅱ「女ノート」

 俺は昔から気になっていたことがあった。くだらないと言っちゃくだらないかもしれないが、将来役に立たないかと言われたらそうでもない。
 それは、「女」という漢字を書くとバランスが絶望的におかしくなるということである。
 そこでといってはなんだが、放課後の教室で誰もいなくなったところで、密かに漢字の練習をしているのだ。
 俺は今日も近江原 丞と表紙に書かれた自分のノートを開く。ペンを手に取る。ひたすら「女」という漢字を書きまくって練習する。
 はずだった。

 

ガラガラガラ
「あ、近江原君…だっけ? こんなところで何やってr………」

 

教室に宇都宮が入ってきた。俺はこの世が終わったことを悟った。

 

「きゃあああ!?!?!?!?何このノート!?!?」
「うおおおあああああいやいや違うんだこれはある理由があって」
「えぅ近江原君ってそういう系の?病んでる系の?」
 机の上に置いてある俺のノートは、ちょうど女という漢字が大量に書かれたページを開いていた。
「だから違うんだってえっとこれは、えっとこれは…」
 慌てすぎて本当の事情を言うことができなかった。それが始まりだった。
「まって待ってまって待ってーーー近江原君が病気になっちゃったーーーーーすんごいこと書いてるーーーーー」
宇都宮は叫びながら教室を飛び出していった。
俺はもう一度自分のノートを見返した。

 

女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女

 

うん。これは終わった。俺が女という字を大量に書いたノートを持っているという噂が流れたらどうなるか知れない。
これ以来、ノートのことは数日間話題になった。その後騒ぎは収まったが、例のノートを見られる度に「女ノート」という名前でディスられるようになってしまった。

 

★Ⅲ「校内放送」

 俺たちの学校のチャイムはいつもわけのわからないチャイムばかりである。とにかく音ゲー曲の一部が流れる。音ゲー曲を知っている生徒ならまだしも、何も知らない生徒がこれを聞くと「なんだこれ」という感想しか抱かない。もう普通のチャイムにしてほしい。
「古宮先生、このチャイムって誰が設定してるんですか」
「あ、チャイムか?俺も詳しくは知らないが、校長が趣味で流してると聞いたぞ」
「(やはりあのkou長か…)」

 

俺は昼休みに鳴るや否や、教室を飛び出してものすごい速さでkou長室へ向かった。
「kou長先生!!チャイムは普通のにしてください!」
あまりに唐突過ぎる突撃だった。kou長先生も驚いていた。
「あ、あの、まず学年と組を言わないか」
「あ、ああ、高校1年3組の笛口音哉です。あの、チャイムは普通のにしてください!」
「はっはっはっは。ご、ごごご、ごっほんw
あのチャイムは私の趣味で流しているんだ。簡単にやめる訳にはいかない…というか、これからも流し続ける」
「それは困ります!音ゲー曲知らない人たちが困惑してますし、それに、謎のチャイム流した後に『これはチャイムです』とかいう補足付けるのやめてもらえません!?」
「だめだ!絶対に駄目だ!音ゲーチャイムとその補足は一切やめない!」
「kou長先生!お願いしますよー」
「んあー、もうしつこいなぁ、これ以上反抗する気なら全校に私のconflict歌いますを放送するぞ」
「そんなことどうでもいいです!放送中止です!やめてください!!」

 

その後議論も行ったが、結局勝てなかった。そして、今日、これから校内にkou長先生の歌声が放送されることとなった。

 

\ピーンポーンパーンポーン/
「ご、ごごご、ごっほんw conflict歌います。ズォールヒ~~↑wwwwヴィヤーンタースwwwwwワース フェスツwwwwwwwルオルwwwwwプローイユクwwwwwwwダルフェ スォーイヴォーwwwwwスウェンネwwwwヤットゥ ヴ ヒェンヴガrジョjゴアjガオガオッガwwwじゃgjj」」

 

★Ⅳ「カレーライスを右に」

 

今日で食堂に来るのは3回目だ。だが、昨日と一昨日とは何かが違った……
どうやらこの学園の食堂には毎日入れ替わりでいろいろな店をやってるらしい…が、今日はひとつだけ妙な店を見つけた……
「お、おい、なんなんだよこれは」
俺…南沢 旭は、呆然として食堂の外からその店を見つめていた。後ろから生徒たちが走ってくる。食堂にやってきた他の人たちもあの妙な店を見て驚いているみたいだ…
だれも食堂の中に入らない。
ざわざわと会話が聞こえる。「あの店なんだ?インド料理店みたいだけど」「なんか変な音楽が聞こえる…」

 

「ん~、この音楽…もしかして~。」
ふんわりとした声と共に、一人の生徒が食堂の中に入っていった。
「えぇ!?」
つられて、他の生徒たちも数人食堂の中へ入っていく。その後ろに続いてまた他の生徒が、他の生徒が。結局食堂の外で様子見をしていた人は全員食堂の中へ入っていった。
俺もこの店が何なのか調べないと…
俺は人混みの中をかき分けて進んだ。

 

近づくとその音楽の正体がわかった。インド人である。The wheel to the rightだ。
\テッテレー--↑テレ↓wwwテレレレッ↑wwテレレッ↑wwwwwwwwww
テッテレー--↑テレ↓wwwテレレレッ↑wwテレレッ↑wwwwwwwwww/
さらに近づくと、その店のの中にはインド人らしき人物が見えた。
「ハイーいらしゃイ!インド料理店、Spice Masters MEGAだヨ!」
\テッテレー--↑テレ↓wwwテレレレッ↑wwテレレッ↑wwwwwwwwww
テッテレー--↑テレ↓wwwテレレレッ↑wwテレレッ↑wwwwwwwwww/

 

…なんだこれは。

 

その怪しすぎる雰囲気に、誰も店で注文をしようとしない。
インド人がインド人を流しながらインド料理店をやってるなんてわけわからない。
「ほらほらーみなオーダーしていんだヨ?」
店の人まで困惑している。
仕方がない…試しに俺が注文してみるとするか。
俺は前に進んで店のカウンターまで行った。
「ハロー、なにをちゅもんすルのかナ?」
店員のインド人は日本語を喋っているが、片言だったり、たまに英語が混じったりしている。
「えっと、じゃあこれで」
「カリーアンドライス1つネ。分カタ、すぐ作るヨ!」

 

\ヴェンヴェンヴェンwwwwwwヴェハハヴェッハヴェンwwwww(ハッ!( ゚д゚ )彡)
ヴェンヴェンヴェンwwwwwwヴェハハヴェッハヴェンwwwww(ハッハ( -д- )彡)/

 

この音楽は床においてあるラジカセから流れていた。微妙に音質が悪い。
音楽は違和感の無いところでループさせられていて、ずっと同じ曲がかかったままだ。飽きないのか…

 

数分待つと、すぐにカレーが出てきた。
「ハイお待ち!カリーアンドライス1つネ。Hotなうちに食べてネ!」
すごい!美味そう!本場のカレーと日本のカレーを合わせたような感じ、食べやすそう。
俺は適当に席を選んで座り、早速食べてみた。
ぱくっ

「辛い!!」
想像以上の辛さに驚いた。

 

でもうまい。

 

「え?美味しいの?私も注文する!」
「俺も注文するぞ」
俺が食べるのを見届けてから、他の生徒も次々にインド料理屋で注文を始めた。
インド料理屋の前には行列ができた。大人気だった。
どうやらこのインド料理屋は去年は無かったらしい。高校2年生や3年生も驚いていたのはそうだからか。

 

確かに変な店だけども、美味しい。それに楽しい。俺はこの店が大好きになった。

 

「初日から忙しいネー!がんばるヨー!」
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