からくりドーム

Last-modified: 2019-09-06 (金) 19:08:21

読売ジャイアンツの本拠地・東京ドームの蔑称。略してからくりとも。
空調操作によって自軍の飛距離を伸ばしドームランを量産しているという噂から命名された。また、このような経緯から空調も類義語として使われる。
もっとも、これはあくまで噂に過ぎず、半分ネタとして使われているものである。
ドームラン疑惑が生まれた経緯やその真偽など詳細はドームランの項を参照されたい。

パーク・ファクター Edit

本塁打パークファクター(セイバーメトリクスで使われる本塁打の出やすさを統計的に表した数値)で見ると、東京ドームは2000年代以降1.0から1.5程度の数値で推移しており、ホームランの出やすい球場であることは疑いようがない(1.0が平均的球場であり、1.5ならば平均の1.5倍本塁打が出やすいということである)。しかし、断トツの一位かというとそうでもなく、神宮球場や横浜スタジアムより低い年度も多い*1
なお、2010年以前は球場ごとに使用球が違ったため、本塁打が出やすいのは球場のせいなのか使用球のせいなのかが判別できなかった。そこで、ここでは一例として統一球が導入されて球場ごとの違いが明確になった2011年のパークファクターを記載する。

球場名得点PF本塁打PF三塁打PF二塁打PF安打PF
明治神宮野球場1.221.692.080.951.08
横浜スタジアム1.221.290.541.281.13
東京ドーム0.921.290.330.990.92
京セラドーム0.781.180.260.970.90
西武ドーム1.201.101.660.991.08
広島市民球場1.050.981.501.081.12
千葉マリンスタジアム1.020.852.001.061.00
札幌ドーム0.850.851.430.940.94
福岡ドーム0.880.830.790.950.92
宮城球場0.960.810.821.000.98
阪神甲子園球場0.940.771.300.951.00
ナゴヤドーム0.720.381.060.820.83

本塁打パークファクター降順。球場のネーミングライツは省略。

※色分け凡例
各PF最高値:太字赤
各PF上位2,3位:
各PF下位2,3位:
各PF最低値:太字青
 
データ出典:『2012プロ野球オール写真選手名鑑』(日本スポーツ企画出版社、2012)P.188-191


各球場の形状 Edit

東京ドームで本塁打が出やすい理由として「単純に小さい球場だから」と言われることがある。これに対し、かつては「東京ドームは中堅122m両翼100mであり、中堅118m両翼95mの甲子園よりも大きい」という誤解をするニワカファンが多数いた。
そこで、ここでは12球団の本拠地のサイズを比較してみる。

球場名中堅中間両翼フェンス
甲子園118m118m95m3m
札幌ドーム122m116m100m6m
ナゴヤドーム122m116m100m5m
千葉マリン122m116m100m4m
大阪ドーム122m116m100m4m
西武ドーム122m116m100m4m
マツダスタジアム122m116m100m3m
宮城球場122m116m100m2m
神宮球場120m112m98m3m
横浜スタジアム118m111m94m5m
福岡ドーム122m110m100m4m
東京ドーム122m110m100m4m

※比較を容易にするため数値は全て小数点以下四捨五入。中間部の距離で降順。球場ネーミングライツは原則省略。

 

東京ドームは、ホームから中堅・両翼までの距離は平均的な数値だが、ホームから中間部分(左中間・右中間)までの距離については12球団本拠地で最小であることが分かる。
一方、甲子園はその逆で、中堅・両翼までの距離は小さいが、中間部分までの距離は日本最大である。
このことは、両球場を重ね合わせて見ると一目瞭然である。

tkdome.jpg

甲子園は左中間・右中間が大きく膨らんでいるのに対し、東京ドームは全く膨らみがなく直線的である*2
東京ドームでは、この非常に浅い左中間・右中間になんでもない外野フライ(と思われた打球)がギリギリで飛び込むシーンが良く見られ、ドームランという言葉が使われる一因にもなっている。

東京ドームが特殊形状になった経緯 Edit

それでは、なぜ、東京ドームはこのような極端な形状なのか。それは東京ドーム建設時の事情に秘密がある。公認野球規則では

両翼は320フィート(約98メートル*3)以上、中堅は400フィート(約122メートル)以上であることが優先して望まれる。
【付記】1958年6月1日以降プロフェッショナル野球のクラブが建造する競技場は、両翼まで最短距離は325フィート(約100メートル)を必要とする。

との規格が定められている。つまり、ルール上は両翼100m中堅122mが必要ということである。これは国際規格に倣ったルールであった。

もっとも、前段については、両翼98m中堅122mが「望まれる」だけであるから必ずしも守る必要はなく、後段の付記についても「1958年以降にプロ球団が新球場を作る場合は」両翼100m以上にしなければならないというだけであって、それ以前に建築された球場やプロ野球での使用を予定せずに作られた球場は対象外であった。そのため、東京ドームが起工された1985年の時点で両翼100m中堅122mの基準を満たす球場は一つもなかった

そんな中でプロ野球本拠地として新球場の東京ドームを建築することが決まったが、このルールを遵守して両翼100m中堅122mにしてしまうと他球場と比較して極めて巨大な球場となってしまい、本塁打が全く出なくなってしまうとの懸念が生じた。そこで、両翼100m中堅122mのルールを守りつつ他球場と同様のサイズにするため、苦肉の策として左中間・右中間の膨らみのない特殊な形状が採用されたのである。
現在では、他球団も次々と両翼100m中堅122mを満たした球場を建設した結果、東京ドームが逆に日本最小クラスの球場となっているのである

これが東京ドームのもう一つのからくりである。


関連項目 Edit





*1 http://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2525.html。なお、このデータはセ・リーグの平均との比較であるため、本文中に掲載した12球団の平均と比較した数値とは異なる
*2 1962年から1972年まで荒川区に存在し大毎/東京/ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)の本拠地として使用され、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のエピソード「光の球場!の巻」の舞台としても知られる東京スタジアム(調布市にある多目的スタジアムとは別)も同様に左右中間が直線的でホームランが出やすい球場として知られていた。
*3 メートルに換算した際の厳密な数値は異なるが、日本ではメートル単位で設計が行われるのが常であるから数値を切り上げている。以下同じ。