泥試合

Last-modified: 2023-08-30 (水) 23:43:28

文字通り「泥にまみれながら行われた試合」のこと。醜い争いを意味する「泥合」とは異なる。
なんJでは下記の試合がよく取り上げられる。

2017年セ・リーグCS1stステージ第2戦(阪神vsDeNA)

2017年10月は不安定な天気が続いていたが、第1戦は14日に甲子園球場で無事に開催され、阪神が勝利。
「メッセンジャーが好投し、福留が決勝弾を放つ」という光景が日本シリーズまで勝ち上がった2014年のCS1stステージと全く同じ構図だったこともあり、多くの阪神ファンが当時の再現、あわよくば日本一を夢見ていた。

翌日15日は予報通りの大雨。グラウンドには水たまりが多数存在し、とても野球ができるコンディションではなかったがNPBは開催を強行
阪神園芸の尽力により、なんとかグラウンドっぽい水田まで状態を立て直してから試合は開始。何度も中断や土の補充を重ねながら試合は進行し、最終的に7回~8回付近で雨がやんだこともありギリギリグラウンドと言えるような状態にまで回復したものの、それまでの間にプロの試合とは思えないような光景が多数見られる*1展開となった。最終的にはDeNAが13-6で勝利。

16日はさすがに雨天中止だったが、17日は阪神園芸の手により当日昼までの雨天の影響など微塵もない状態で試合が開催、DeNAが前々日の試合の勢いそのままに勝利した。

 

不戦勝による突破も見えていた阪神は2連敗さえしなければ突破できたのにも関わらず、大雨の中試合をさせられた挙げ句に敗退という、ポストシーズンの新たなトラウマを抱える羽目になってしまった。

原因

試合を行うかの判断は主催球団側、ノーゲームやコールドゲームの宣告は当該の審判員に委ねられているが、シーズン終盤とポストシーズンは日程に影響を与えないようNPBが判断することになっている。
そしてCS1stは予備日が1日しかなかったこと、3位チームの敗退理由が天候ではイベント的に盛り下がる、16日も激しい雨が予想されていたことなどから、中止にし辛い状況だった。

その後

各方面でこの試合は「まさに世紀の泥試合」と称され、試合を強行したNPBへの批判が集中した。一方、選手が雨でぬかるんだマウンドで負傷するおそれもある中、結果的に両軍ともけが人なしで試合を終えることができたことから、15日および17日の試合を開催出来るようにグラウンドを整備した阪神園芸の評価は(元々定評があったが更に)上昇した。
17日の試合でDeNAファンは心からの感謝として「阪神園芸さんありがとう!」という応援ボードを試合前から掲げ、両軍のファンがその声に同調した。

 

なお、このあとに開催されたファイナルステージの第1試合では、上述の泥試合より明らかにマシな天候・グラウンド状態なのにNPBがコールドを宣言。一貫性のないNPBの判断にまたしても非難の声があがった*2。さらにNPBから「甲子園での強行開催については判断は誤りではなかった」という趣旨の声明も出し、火に油を注いだ。
CSの日程を新たに見直すべきではという声も少なからず挙がったが、2018年も日程は変わらず。しかし2019年になってようやく「代替試合は(普通なら試合がない)月曜日に優先的に入れていく」という方針が示された。

自らの使命を果たした阪神園芸

阪神園芸はこの状態のグラウンドでもプレーが可能になるよう死力を尽くしたが、結果的にはビジター側であるDeNAを利する形になってしまった。とはいえ、この状態のグラウンドを整備できる業者は阪神園芸ぐらいなものであり、阪神・DeNA両サイドから改めて感謝と畏敬の念を集めることとなった。

甲子園、砂3袋をグラウンドに=プロ野球CS
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017101500467&g=bsb

 

甲子園は試合前からの雨がやまず、グラウンドはぬかるみ状態で、所々水たまりもできた。
試合開始は予定の午後2時から約1時間遅れ。グラウンドを管理する阪神園芸のスタッフは砂を使った整備に追われた。
スタッフの一人は「25キロ入りの砂を3袋使用した。通常は1袋も要らない」と語った。
試合を行うか中止にするかの権限を持つセの杵渕和秀統括は「午後5時ぐらいまでは(雨が)小康状態という情報があった。通常の公式戦とは中止の意味合いも違うし、可能な限りやるという方針だった」と説明した。
(2017/10/15-21:37)

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周りの状態が確認できない、場内の照明がグラウンドに反射するほどの降雨で、選手を大きく撮った写真は「海にワープした」と言われるような有様だった。
また、下記4枚目の阪神・鳥谷敬は、背景の水面による反射がレアカードに施されているホログラム加工に見えることから「SR鳥谷」「レアカード鳥谷*3などと称された。

 

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2018年の泥試合

9月20日の広島対阪神戦(マツダスタジアム)で発生。阪神の予備日がほぼ埋まっており日程に余裕がなかったこと、また広島はマジック・阪神はCSクリンチと順位争いに関わる重要な局面を迎えた中での一戦であったため安易に中止にも出来ず、本降りの雨の中試合は強行開催。コールドゲームともならず9回まできっちりと行われた。
試合開始は18時予定だったが19時9分に延期され、さらに2回の中断を挟んで試合終了は日付を跨いだ24時3分。日本プロ野球史上、延長にならずに日付をまたいだ初めての試合となった。広島のジョニー・ヘルウェグはこの日が来日初登板だったが、マウンドに上がったのは23時46分という珍事となり、スポーツニッポンは「プロ野球史上、最も遅い時間帯でのデビュー?」と報じている。
なお試合は4-5で阪神が勝利した。

ファンからは「このような事態に陥ったのも、余裕のないCSの開催日程のせい」と言う声があがったほか、この日の広島の先発投手クリス・ジョンソンは試合後に「プレーボールをかけるべき試合ではなかった。誰の決断かはわからないけど、レーダーを見て試合が始まっても雨が降り続くようなら、選手はケガをする可能性が大きくなる。もう少しスマートに決断をしてもらいたかったのが正直な気持ち。ダブルヘッダーが日本でできるのであれば、こういう試合はプレーボールをかけなくてもいい」との談話を残している。
なお、2018年阪神は雨天中止の代替試合が多く組み込まれており、10月9日には最下位へ転落している

2021年の泥試合

8月17日の全国高等学校野球選手権大会(甲子園)、大阪桐蔭(大阪代表)対東海大菅生(西東京代表)で発生。
この年は五輪や開会式予定日に台風10号兵庫県直撃延期の影響でやや遅れた夏の甲子園開幕に、12日~14日の雨野3連続登板も重なり日程キツキツ。17日時点でまだ1回戦を行っていた。ゆえに早々と中止判断もできなかったらしく、この日も試合開始時点で小雨の中試合開始。
しかし試合が進むにつれて加速度的に田んぼ化が進行。5回以降は雨脚が強まり東海大菅生の本田投手はマウンドで転び始め、実況スレでは「土入れてやれ」、雨が強くなる天気予報を並べて「はやく中止しろ」の連呼が増え始める。
滑る本田投手・出典日刊スポーツ清水貴仁.JPG画像出典

阪神園芸の奮闘空しくグラウンドコンディションは混沌の一途を辿り、両軍投手が沼のマウンドと格闘しながら、なんとか無理矢理試合成立の7回を消化。
7回裏2死・出典スポニチ坂田高浩.jpg画像出典

そして迎えた8回表。一塁審は足を滑らせすっ転び、スイングでバットが一塁側ベンチへすっぽ抜け、実況席でもアナウンサー自らが傘を差すほどの豪雨が到来すれば、ショートへ飛んだ打球はもはや全く弾まず内野安打に。
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ショート内野安打.JPG画像出典
ここに至ってようやく審判団が中断を宣告。しかし再開することはなく、7-4で大阪桐蔭がコールド勝利により決着。そのまま第二試合以降も中止順延。
夏の甲子園大会では98年の如水館-専大北上戦以来23年ぶりのコールドゲームとなった。


試合後には天候が悪かったとはいえあまりにも理不尽な形で夏を終わらせられた東海大菅生の球児達への同情や高野連への非難の声が殺到。他にも近江(滋賀代表)対日大東北(福島代表)や明桜(秋田)対帯広農(北北海道代表)と2試合もノーゲームが発生していたため特に高野連への声は大きかったようで、翌年の選抜高校野球大会からサスペンデッドゲーム*4が導入されることになった。

関連項目


*1 一例として顔付近へのボールを避けた筒香嘉智がスリップして転倒したり、バントなどの弱いゴロが全く転がらずその場でボールが静止するという光景が見られた。
*2 一部DeNA選手からもコールド負け直後に不満の声が上がったが、キャプテンである筒香がその場で収めている。
*3 2023年に甲子園歴史館が阪神タイガース企画展「2023年シーズン振り返り A.R.E.特集」を開催した際、過去に阪神が出場したクライマックスシリーズを振り返る展示会を開き、この鳥谷の写真がパネルに飾られている。
*4 試合中断後、翌日に再び中断した箇所から試合を再開する制度。MLBで導入されているほか、NPBでもパ・リーグで日没コールド対策で一時期導入されていた。