両チームとも大量得点を挙げる乱打戦、またはワンサイドゲームのこと。
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解説
両チームとも大量得点を挙げる乱打戦、またはワンサイドゲームのこと。
古くは野球ch時代から使われている言葉で、野球だけでなくサッカーなどの他の球技でも使われるが、近年では前者の用法で用いられることが多い。ワンサイドゲームの場合は「熱い死体蹴り」とも言われたりする。
度が過ぎるともはや野球の試合扱いされなくなり、「ラグビーの試合*1」「アメフトの試合」「花火大会*2」などと呼ばれることになる。
対義語はたこ焼き。しかし内容があまりにも寒い「たこ焼き試合」だと別の意味で「馬鹿試合」扱いを受けこれはこれで両軍のファンからの罵声を受ける。
馬鹿試合が起こる主な要因としては、
- 打撃力の高いチームや低いチーム同士の対戦、あるいはチームの実力差が大きく離れているか極端すぎる対戦成績となっている
- 先発や救援の実力が劣っているか、酷使による不調に陥っている
- 先発投手が序盤で負傷降板、または危険球退場処分を受ける
- 故障者や感染症特例による離脱者続出による戦力の大幅な低下
- 野手の稚拙な守備
- 監督の珍采配
- 狭い、もしくは高地・乾燥地帯にある球場での試合
- 猛暑の中での屋外デーゲーム
- 打者側から強い追い風が吹いている状態での試合
- 悪天候での試合強行
- 審判の可変ストライクゾーン
などが挙げられる。
馬鹿試合の例
個別に記事のある試合
- 1試合の例
・26-0
・29-1
・11-13(一緒や!打っても!)
・11-20
・20-4
・7-6 ※ 1回終了時点のスコア。最終的なスコアは9-11。
・22-6(22-6事件)
・17-8(これは奇跡だ!)
・9-12(by黒田)
・8-9(4.18事件)
・8-20
・8-7(6x)
・14-3(あれだけの選手がいてなぜ負けるのか)
・14-0(プロじゃない投手)
・5-15(注意するのは村田さんの一発しかない)
・4-16(日本はノーパワーだ)
・13-0(全武)
・2-18(近藤の62球) - 複数試合の例
・33-4(なんでや!阪神関係ないやろ!)
・34-4
・26-4
・26-25
・32-35
・2-26(2-26事件2015)
・17-26(神宮花火大会)
・33-0
・22-21
その他の馬鹿試合
一部球場においてネーミングライツに伴う名称変更があるため、球場名はいずれも試合時点の名称で記載。
1988年以前
1940年4月6日 阪急32-2南海(西宮球場)
29-1から遡ること63年、オリックスの前身である阪急が、ソフトバンクの前身である南海を相手に、プロ野球記録となる32得点、30点差を記録した試合。この記録は2リーグ制になった1950年以降になっても未だに破られていない。
1949年4月26日 巨人15-13大映(兼六園球場)
両翼90m、中堅97m、左右中間の膨らみなしという当時においても非常に狭い球場で行われた試合、巨人先発の川崎徳次は8本塁打を浴び13失点しながらも完投、打っては自ら3本塁打9打点を挙げ勝利投手になった。個人投手の1試合8被本塁打、完投勝利投手の13失点、投手の1試合9打点、1試合における両球団計13本塁打は日本記録となっている。
1963年11月4日 日本シリーズ 巨人18-4西鉄(平和台球場)
巨人が日本シリーズ記録となる1試合18得点*3を記録した試合。
1回に柳田真宏が本塁打を放つと、4回に巨人の打線が大爆発。柴田勲、王貞治、池沢義行が本塁打を放ち、稲尾和久をノックアウト。終いには6回に王貞治がトドメとなる2ラン本塁打を放ち、18-4の圧勝で巨人は2年ぶりの日本一を成し遂げたが、これは2年後の1965年から始まったV9への序章に過ぎなかった。
ちなみに、この試合が平和台球場で行われた最後の日本シリーズであった。
1967年10月10日 巨人11-0広島(後楽園球場)
巨人はすでにリーグ優勝を決めて消化試合状態となっていたが、先発した堀内恒夫が投げてはノーヒットノーランを達成、打っては3打席連続本塁打のワンマンショーで圧勝した。
1980年10月3日 ロッテ17-5近鉄(藤井寺球場)
ロッテは兄のレロン・リーが3本塁打、弟のレオンが2本塁打、土肥健二が2本塁打、有藤道世と弘田澄男が1本塁打ずつ、1試合で計9本塁打を放つプロ野球タイ記録を樹立。レロン・リーは3安打を放って打率を一気に上げ、首位打者の座を決定的とした。ロッテ先発の仁科時成は羽田耕一に打たれた3本塁打を含む4本塁打を浴び5失点しながらも完投勝利。しかも長打は二塁打・三塁打が一切なく本塁打のみ、1試合における両球団計13本塁打は日本タイ記録となっている。
1985年8月14日 第67回全国高等学校野球選手権大会2回戦 PL学園29-7東海大山形(阪神甲子園球場)
PL学園が高校野球選手権大会記録となる1試合29得点を記録した試合。
KKコンビ擁するPL学園は優勝候補筆頭と言われており、東海大山形が抽選会でPL学園と当たった時点で敗北を確信していた。
実は東海大山形の藤原安弘投手は、肘の故障を隠して投げ続けていたからだ。
そして2回戦、東海大山形はKKコンビ擁するPL学園にフルボッコにされ、7-29の大惨敗となる。しかも、高校野球選手権大会史上初の毎回得点、あの29-1と並ぶ32安打というおまけ付きであった。
1989~2010年
1993年5月19日 ヤクルト17x-16広島(神宮球場)
なにかととんでもない展開に縁のあるこのカードだが、その歴史は平成初期にまで遡る。
両先発が安定しなかったこの試合、ヤクルトは2-5で迎えた3回裏に池山隆寛の1イニング2ホーマー*4を含む一挙11得点の猛攻で逆転。大量リードを奪うも、その後広島にじわじわと追い上げられ、8回に四球を挟んで6連打を浴びついに同点に追いつかれる。
その後、広島・佐々岡真司とヤクルト・山田勉の息詰まる投手戦*5を経て、最後は14回裏*6のヤクルトのレックス・ハドラーによるサヨナラ打で決着した。
試合が終わったのはなんと日付も跨いだ午前0時6分。5時間46分、両軍合わせて42安打のこの試合は未だに馬鹿試合の代表例として語り継がれている*7。
広島は「16点」も取ったのに試合に敗れた…“史上最大級の打撃戦”で何が起こったのか?
1998年7月15日 横浜13x-12巨人(横浜スタジアム)
桑田真澄と斎藤隆が先発を務め、投手戦になるかと思われたこの試合。蓋を開けてみればMKT砲を擁する巨人とマシンガン打線華やかなりし横浜が激突した、両軍合わせて40安打・猛打賞8人の大乱打戦となった。試合後、横浜・権藤博監督に「もののけが取り憑いたような試合」と言わしめ、フジテレビで試合解説をしていた豊田泰光にも「この業界45年いますが、こんなの初めて見ました」と評された。
マシンガン打線の極致とも言える「シングルヒット7連打で5得点」や、今でも横浜ファンの間で語り草になっている「佐伯の打ち直し2ラン」*8が飛び出したのがこの試合である。
なお、横浜がこの試合を機に調子を上げ38年ぶりのリーグ制覇・日本一を果たした一方、巨人は勝ち頭だったバルビーノ・ガルベスのやらかしもあって3位を確保するのがやっとで、オフには長嶋茂雄監督の進退問題にまで発展した*9。
この「ハマスタ巨人戦」というカードはやたら馬鹿試合に縁があるようで、ベイスターズの親会社が変わった現在もちょくちょくノーガードの殴り合いでなんJを沸かせている模様。
1998年7月18日 東奥義塾122-0深浦(青森県営野球場)
第80回全国高等学校野球選手権青森大会2回戦で、東奥義塾が深浦高校相手に122-0というとんでもないスコアで圧勝した試合。
深浦高校は部員10人で1年生が半数で野球経験の浅い選手も多い典型的な弱小校、対する東奥義塾は甲子園出場経験もある古豪でありワンサイドゲームになるのは試合前からから見えていた。
東奥義塾は初回からいきなり39点を奪うと、以降も2回に10点、3回に11点、4回に17点、5回に16点と点を重ねこの時点で93-0という凄まじいスコアになる。
この時点で試合放棄も可能だったが*10、深浦の選手は規定でコールドとなる7回まで試合を続けることを選び、対する東奥義塾も一切手を抜かず6回に12点、7回に17点を取って計122点を奪った。
これがきっかけでコールドゲームの規定が見直され、10点以上の差がついた場合は5回コールドにするよう決定した*11。
翌日(7月19日)のサンケイスポーツがこの試合が一面を飾るほど強烈なインパクトを残した。
なお 地元の青森ではテレビ中継も行われていたが、2回で時間切れ打ち切りとなった。
この試合は本来このWikiで扱わない高校野球の県大会の試合であるが、122得点であることを考慮して掲載している。
1998年10月24日 日本シリーズ 西武5-17横浜(西武ドーム)
日本シリーズでの最多打点記録(タイ)など、1試合での数々の記録を作り上げた馬鹿試合。
舞台を西武ドームに移してからは低調だったマシンガン打線がこの日は大爆発で、4回までに7点を奪うと、8・9回にリリーフした新谷博を攻め立て2イニングで10点という熱い死体蹴りで試合を完全に決めてしまった。
横浜はこれだけの得点を上げながら本塁打は9回にローズの放った2ランのみで、後は連打で得点している。しかし、本塁打は1本ながら9二塁打・2三塁打で長打数(12)・二塁打数・三塁打数ともにシリーズ記録(タイ)となった。一方で、9番の進藤達哉のみ6打席全て凡退だった。
対する西武は新谷がシリーズワーストの10自責点・1イニング7自責点などと派手に燃やされてしまい、翌試合も流れを引き戻せずに横浜に日本一を決められてしまった。
2001年7月17日 ロッテ9-12 近鉄(千葉マリンスタジアム)
いてまえ打線全盛期にその何たるかを示した試合。そして小林雅英の大炎上の筆頭として挙げられることも多い試合。
先発の門倉が炎上し、後続も失点が続きロッテに9点を取られ、打線も4点止まりで、9回表開始時点では9-4でロッテがリードしていた。
しかし9回表にいてまえ打線が小林雅を捉え、1死一二塁から二塁打、四球、安打、3ランホームランであっという間に逆転。トドメにローズがこの日2本目のホームランとなる2ランホームランを放ちなんと9回だけで8点を取る風呂試合となってしまった。
この年の近鉄は何点差あろうと殴り合いに持ち込むゲーム展開をしばしば見せていたが、この試合のせいで「近鉄相手には5点あってもセーフティリードではない」という格言が生まれてしまった。
2004年9月20日 日本ハム13x-12ダイエー(札幌ドーム)
球界再編に伴うプロ野球ストライキ明け初戦となったこの一戦。
試合はダイエーが3回に6点を取るなど、9回表終了時点では9-12とダイエーリードだった。ところが、9回裏に日本ハム打線が反撃を開始し同点に追い付く。 そして、二死満塁の場面でSHINJOが起死回生となるサヨナラ満塁ホームランを放った。
……のだが、田中幸雄と抱き合った際に回ってしまったことがランナー追い越しとされ、SHINJOのホームランはサヨナラタイムリーフェンス越え単打になってしまった*12。
しかし、この後のヒーローインタビューで、SHINJOは「今日のヒーローは僕じゃありません、みんなです!」という名言を残し、さらには「明日も勝つ!」と言ったところ、古巣・阪神が翌日から負けるという予想外のフラグ回収を見せるなど、まさに馬鹿試合の極みと言ってもいい試合になった。
2004年9月23日 横浜11x-10巨人(横浜スタジアム)
最終的な数字もさる事ながらその結末がとんでもない馬鹿になってしまった例。
この球場でのこのカードらしい乱打戦になったこの試合、9回表に巨人が門倉健から仁志敏久・小久保裕紀・高橋由伸の3本のHRで4点を取り逆転した時点で勝負あったかに見えた。
ところが3点差で迎えたその裏2死無走者から河野友軌の飛球を右翼手の堀田一郎がスライディングキャッチに失敗すると、続く多村仁の打球も途中で見失った挙句捕球できず。
更に次打者金城龍彦のゴロを一塁手の清原和博が後ろに逸らし1点差になると、古木克明の四球を挟んで最後は相川亮二のタイムリーで横浜が逆転サヨナラ勝ち。
この試合は巨人にとって実に11年ぶりとなる「ビジターでのデーゲーム」だったが*13、それにしてもお粗末な薄暮の決着になってしまった*14。
2009年6月11日 ロッテ23-2広島(千葉マリンスタジアム)
6回裏だけで打者20人、15得点、3四死球を挟んで10打数連続安打。あの大松尚逸が日本プロ野球史上初の1イニング3打席(そして得点に絡まないアウト2つを献上)を達成したのがこの試合である。
この試合はロッテサイドにも深く印象に残っていたらしく、後に挑発ポスターで蒸し返されている。
2011~2019年
2013年5月10日 DeNA12x-10巨人(横浜スタジアム)
1ヶ月前に国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄が観戦に訪れたこの試合、両軍合わせて29安打、8本のホームランが飛び交う大乱打戦となった。
初回に巨人がDeNA先発高崎健太郎を攻め5得点。裏にトニ・ブランコと中村紀洋の2者連続弾で3点を取り返すものの、巨人が6回に3点、7回に2点と得点を重ね3-10と突き放し、もはやDeNAの敗戦は確実と誰もが確信したことだろう*17。
しかし7回裏、白崎浩之のヒットを皮切りに計7連続安打、代打で登場した多村仁志の2ランもあって1点差まで迫る。
そして9回裏。クローザーの西村健太朗から三たび打席が回ってきた多村が逆転サヨナラ3ランホームランを放ち*18、最大7点差あった試合をひっくり返しDeNAは勝利した。
この年連続最下位から脱出を成し遂げたDeNAは3度7点差ビハインドをひっくり返すという火ヤク庫も真っ青の風呂試合製造機と化していたが、その中でもこの試合は横浜ファンにとっては象徴的な1試合であり、当時指揮を取っていた中畑清も「在任中一番印象に残った試合」としてこの馬鹿試合を挙げている。
2013年8月18日 西武12x-11楽天(西武ドーム)
初回、楽天は立ち上がりの西武先発・岸孝之を攻め2点を先制。対する西武は2回裏、楽天先発・ブランドン・ダックワースから四球やヒットなどで無死満塁とすると、炭谷銀仁朗・鬼﨑裕司のタイムリーで追い付く。なおも無死満塁の場面でエステバン・へルマンが満塁ホームランを放ち一挙6得点で6-2と逆転に成功。その後3回・4回はお互いに1点ずつ取り合い、5回終了時点でで8-4と西武の4点リードは変わらず進行していく。
しかし、6回表から西武が継投策に入ると状況が一変。まず髙橋朋己が1点を返され、7回に登板した岡本洋介が松井稼頭央に3ランを被弾し8-8と追い付かれる。さらに8回表に登板したランディ・ウィリアムスがケーシー・マギーにまたも3ランを浴び*19、11-8と一気に試合をひっくり返されてしまう。
そのまま試合は進み9回裏、楽天は守護神のダレル・ラズナーを投入するがいきなり三連打を浴び無死満塁。
その後鬼崎に押し出し四球を与えてしまい、さらにへルマンのタイムリーで11-10と1点差に詰め寄られてしまう。
次打者の渡辺直人はホームゲッツーに倒れ二死二・三塁となるが、次の栗山巧がライト前にタイムリーを放ち、この当たりで2塁ランナーのヘルマンも生還し逆転サヨナラ勝ちを収めた(9回3点差で延長に入らずサヨナラ勝ちを収めるのは現在も球団記録)。
両軍計32安打・23得点と大荒れになったこの試合の終了は開始から4時間17分後だった。
2014年4月2日 DeNA9-15巨人(横浜スタジアム)
DeNA打線は巨人先発・宮國椋丞を序盤から攻略し5回終了時点で5-0と試合を優位に進めるが、6回表に先発の高橋尚成が3番レスリー・アンダーソン、4番村田修一、5番ホセ・ロペスに3連発を浴び降板。ルーキーの三上朋也がマウンドに上がりいきなり3者連続で四死球を与え無死満塁の大ピンチを迎えるも後続を抑えリードを守ることに成功。その裏DeNAが再びリードを5点に広げ迎えた8回表、DeNAはこれまたルーキーの平田真吾をマウンドに送るが、1点を失いなおも一死満塁の場面でセットアッパーの山口俊にスイッチ。しかしこれが大誤算となる。山口はすぐさま3連打を浴び同点に追いつかれると1アウトの後連続四球による押し出しで勝ち越しを許し、更に連続タイムリーで失点。イニング開始時の5点リードが終了時には5点ビハインドとなり「5点差が5点差に」と後々までネタにされる展開となった。
なおこの後山口は勝ちパターンを外れての中継ぎ起用が続いていたが一向に復調の兆しが見えなかったことで中畑監督は先発転向に踏み切ることになった。
2017年7月26日 ヤクルト11x-10中日(神宮球場)
上述の試合の翌日。
中日が5回までに10点を奪うが、ヤクルト打線に総帥を始め竜達を火ダルマにされてしまい、8回裏だけで8失点、7回と8回の攻撃だけで同点に追いつかれる。そして試合は10回裏、代打・大松尚逸のサヨナラ本塁打で決着。実に20年ぶりのNPBタイ記録となる10点差逆転負けを喫してしまった。*22
前日の試合のダメージに加えて、記憶どころか記録に残る逆転負けを食らってしまった中日ファンのダメージは計り知れない。
なお、更にその翌日となる27日の試合でもヤクルトは打線が爆発したのに対し、一方の中日は投打ともに振るわず、11-2で完敗。
中日側からすれば馬鹿試合を3試合続けながら3タテを喰らうという展開となってしまったが、如何せん前日のインパクトが強すぎた為か、中日ファンの間ではむしろ「昨日の負け方よりマシ」という声も少なくなかったとか。とは言え、前カードのマツダスタジアム2戦目のカープ戦から次カードのナゴヤドーム2戦目の阪神戦まで7連敗したのがこの年のAクラスを逃した要因になったのは明白だが…。
2017年9月18日 西武14x-13ソフトバンク(メットライフドーム)
「山賊」と称される少し前の「炎獅子」*23
西武は初回に和田毅から4点を奪うが、先発のウルフが3回に追いつかれて降板。そして4回にガルセスなどの大炎上で7失点。
万事休す…と思いきや西武は徐々に追い上げていき、8回についに五十嵐亮太から森友哉のタイムリーで逆転に成功する。これで9回をクローザーの増田達至が抑えて終了…と思いきや先頭のデスパイネに被弾、同点に追いつかれる。
続投した増田はさらに10回にも失点、勝ち越しを許してしまう。今度こそ終戦、と西武ファンが落胆したのも束の間。なんとソフトバンクのモイネロも大乱調。またも森がタイムリーを放ち同点に追いつく。そして最後は金子侑司のタイムリーでサヨナラ勝ち。
なおソフトバンクはこの試合の前に優勝を決めたばかりであり、首位と2位同士の対決らしからぬグダグダな試合展開は両チームのファンを呆れさせた。
2017年10月1日 DeNA13-7広島(横浜スタジアム)
プロ野球史上初の三者連続ホームランでのサヨナラゲームから始まる同一カード3試合連続サヨナラゲームを引き起こしたハマスタ広島戦の2017年シーズン最終戦。既にリーグ優勝を決めた広島相手とはいえDeNAは3位確定に向けて負けられない一戦だった。
試合は広島先発の岡田明丈が乱調でDeNAはロペス・筒香嘉智のホームランとこの日の先発・ウィーランドのタイムリーで初回から4点を先制。しかしウィーランドもイマイチで、倉本寿彦のエラーなども絡み広島は2回・3回で5点を奪って逆転する。
しかし3回裏、岡田は一死二・三塁のピンチを招くと1アウト後、ウィーランドがレフトスタンドに逆転3ランホームランを放つ。
その後5回に田中広輔に2ランホームランを浴びて同点とされるが、その裏に筒香が勝ち越しホームランを放つと打席が回ってきたウィーランドはまたもヒットを放ち出塁し、倉本のタイムリーヒットに繋げる活躍。その後も小刻みに点を重ねて13点を奪い、6回以降は大量点差にも関わらず勝ちパターンの投手を贅沢に注ぎ込んで広島打線を封じ込めてDeNAが逃げ切った。
先発のウィーランドは投げる方では5回7失点(自責6)と散々だったが、3打数3安打1本塁打4打点というとんでもないジエンゴで10勝目をマークした。一方の広島先発岡田も3回7失点とこちらも散々だが5回までに7点の援護を受けたため負けが消えている。また、両軍合わせて7本のホームランが飛び出す花火大会でもあった。
なお、この試合の裏で3位争いをしていた巨人が既に敗戦していたため、この試合の勝利をもってDeNAの3位が確定し、2年連続のAクラス・CS進出が決定している。
この年の4試合を含め、近年のハマスタ広島戦は何かと劇的な展開が起こりやすく特に広島側のトラウマメーカーとなっている。
2017年10月29日 ワールドシリーズ アストロズ13x-12ドジャース(ミニッツメイド・パーク)
両軍2勝ずつで迎えたワールドシリーズ第5戦、ドジャースは4回までに4点を先取するも4回裏に先発クレイトン・カーショウがこの試合初の走者を出すとカルロス・コレアのタイムリーツーベース、さらにはユリエスキ・グリエルに3ランを浴び同点に追いつかれてしまう。続く5回表にコディ・ベリンジャーの3ランが飛び出しドジャースが勝ち越すがその裏連続四球を与えたところでカーショウは降板、プレーオフ以降リリーフに回り好投を続けていた前田健太にスイッチするがホセ・アルトゥーベに同点3ランを被弾、継投策が裏目に出てしまう。
その後ドジャースは7回に1点を勝ち越すがその裏にアストロズが4得点で逆転、8回は両軍が1点ずつを加えてアストロズが12-9と3点リードで迎えた9回、アストロズは前日に打ち込まれた守護神のケン・ジャイルズではなく本来セットアッパーのクリス・デベンスキーを投入。しかし1死からヤシエル・プイグに2ランを浴びると更に2死三塁からクリス・テイラーに同点タイムリーを浴び再び試合は振り出しに。
試合は延長10回裏、イニング跨ぎとなるドジャースの守護神ケンリー・ジャンセン相手にアストロズは2死から連続四死球で得点圏を作るとアレックス・ブレグマンがレフト前にサヨナラタイムリー、球団初の世界一へ王手を掛けた。
その後ドジャー・スタジアムに移った6戦目はドジャースが制し逆王手を掛けたが、第7戦はアストロズ打線が第3戦に続きドジャース先発のダルビッシュ有を序盤から攻略、世界一の栄冠を掴んだ。
2019年5月3日 ソフトバンク12x-11楽天(ヤフオクドーム)
令和最初の馬鹿試合は、新時代に入って3日目の憲法記念日、ヤフオクドームで1回裏に松田宣浩が釜田佳直から放った、自身通算250号となる3ランから始まった。
この試合の両先発、楽天釜田とソフトバンク武田翔太は、ともに大乱調であった。3回表に武田がエラーが絡んだとはいえ2四球と4本の長短打で一気に6点を失うと、釜田はその裏に2四球からタイムリーを打たれて直ぐ1失点。続く4回表に武田が負けず?に浅村栄斗から2ランを被弾し降板すると、釜田はさらに負けず??にその裏にアルフレド・デスパイネに2ラン、松田にこの日2本目となるソロアーチを連続で浴び、8対7の1点差に詰め寄られて降板する。
ソフトバンクは6回裏に、ジュリスベル・グラシアルが森原康平から3ランを放って逆転に成功。しかし8回表、ルーキーによる開幕からの連続無失点試合数日本新記録を13まで伸ばしていた甲斐野央が、山下斐紹と茂木栄五郎による2本のソロHRを打たれ、試合を振り出しに戻してしまう。
そして楽天は、10回表に登板した嘉弥真新也の初球を、先頭打者山下斐紹がこの日2本目となるソロHRをライトスタンドへ叩き込んで再びリードを奪う。ところがその裏に登板した宋家豪がこれを守り切れず、内川聖一にタイムリーを打たれて、また振り出しに戻してしまう。結局、両軍合わせて29本の安打、8本の本塁打が飛び出した4時間55分の激闘は、12回裏一死満塁、デスパイネのサヨナラヒットで幕を閉じることになった。
2019年5月10日 巨人19-7ヤクルト(東京ドーム)
9日時点で1位巨人、2位ヤクルトの首位攻防戦第1戦。巨人の先発はヤングマン、ヤクルトの先発は小川泰弘。
ヤングマンは2回、西浦直亨の2ラン、4回には先頭から3連続四球からの失点などで4回途中5失点でKO。
しかし5点リードの4回裏、小川が巨人の代打攻勢や自らのエラーなどをきっかけに同点に追い付かれると5回に岡本和真、亀井善行の2者連発で勝ち越されると、二死満塁から*26坂本勇人が走者一掃の2ベースを放ち2イニング連続の打者一巡で試合をひっくり返される。
ヤクルトは渡邉大樹のプロ第1号などで2点を返すも、巨人が7回裏に岡本のこの日4本目の安打となるタイムリーや田中俊太の満塁ホームランなどで一挙8得点。8回にも1点を加え19得点で大勝した。
巨人は1試合で20本以上(23本)の安打を放つのは5年ぶりだった。なお、この3連戦の残りの2試合は巨人は2試合とも1点しか奪えず連敗した。余談だがヤクルトはこの3連戦で勝ち越すも次のカードから一気に失速しセ・リーグ記録となる16連敗*27を喫している。
2019年6月13日 ヤンキース 17-13レッドソックス(ロンドンスタジアム)
ヨーロッパで開催されたメジャーリーグ史上初の公式試合で事件は起きた。
まずは1回表、レッドソックスの先発、リック・ポーセロが1回途中6失点KO。さらに、ここまで安定したピッチングを見せていたヤンキース・田中将大も大乱調。6点のリードを帳消しにしてしまい、こちらも1回持たずにKO。
1回終了時点で6-6はメジャー30年振りとなる事態だった。その後も乱打戦が続き、試合は17-13でヤンキースが勝利した。更に第2戦も12-8の打撃戦となり、こちらもヤンキースが勝利している*29。
2019年9月19日 DeNA11x-8広島(横浜スタジアム)
2019年シーズンの横浜対広島最終戦。共に逆転優勝の可能性が残っている両球団にとって負けることのできない試合だったが、2年前から広島側にとってはトラウマになりかけているハマスタでの試合なこともあり、この日も穏便な試合とはならなかった。
これまで広島をカモにしていた今永昇太がこの日は大乱調、広島は初回に2本の適時打で3点、3回に鈴木誠也のソロ、5回に長野久義の3ランで計7点を取り今永を5回途中でKOする。
しかしそれまで無四球完封ペースで抑えていた床田寛樹が6回裏に突然炎上。走者を2人貯めたあとにネフタリ・ソトにまず3ランを被弾。その後連打で途中降板となってしまう。*30
先発がメインだったがこの日は中継ぎ待機していた九里亜蓮が後を引き継ぐが四球を出した後に梶谷隆幸が満塁ホームランを放ち、わずか1イニングで7点リードを全部吐き出してしまった。
その後、8回に會澤翼がソロを放ち再び広島がリードするが、その裏に梶谷のタイムリーでまたDeNAが追いつく。
最終的に11回裏、回跨ぎの今村猛からソトがこの日2本目となるサヨナラ3ランを放ちDeNAのサヨナラ勝ちとなった。
この試合で広島の優勝が完全消滅したことで監督批判が加速し、オフに辞任することとなった。さらに広島はこの試合を境に急失速。最後の最後にBクラスに転落し4位でシーズンを終えた。
一方のDeNAは11打点全てを梶谷とソトの2人だけで稼ぐ珍事となった。またこの試合の勝利でCSへの進出がぐっと近づき、最終的にDeNAになってからは最高順位の2位となっている*31。なおCS。
2020年~
2020年7月28日 ヤクルト5-20阪神(神宮球場)
阪神が初回からヤクルト先発のガブリエル・イノーアの自滅もあって3点を奪うと、その後はジャスティン・ボーアとジェリー・サンズの両新外国人が両者とも満塁弾含む5打点を挙げるなどヤクルト投手陣を滅多打ち。ヤクルト側が与えた四死球も12にのぼり、終わってみれば18安打ながら20得点という展開になった。
ボーアとサンズに飛び出したアベック満塁ホームランは、球団では2010年5月7日の対広島戦でのマートン、城島健司以来10年振りの出来事で、両者外国人となるとNPB史上42年振りの出来事。両選手とも来日1年目は史上初のケースとなった。
一方のヤクルトは阪神先発・秋山拓巳に対して9安打5得点を挙げるも完投を許す結果に。なおヤクルトもヤクルトで5得点を全てホームランで稼いだ模様。
ちなみにこの年のヤクルトはスタートダッシュこそ悪くなかったものの*32、この試合を境に8月から最後まで月間負け越しを喫するなど急失速し、最終的には最下位まで転落した*33。
2020年10月30日 中日3-17広島(ナゴヤドーム)
8年ぶりとなるAクラス入りの気運が高まっていた中日と5位に低迷していた広島による馬鹿試合。またしても対広島戦で、しかも同じナゴヤドームで3ヶ月前と同じような惨劇をもう一度見せられるとは中日ファンも予想していなかったことだろう。
この日の中日は先発のヤリエル・ロドリゲスが5回2失点にまとめ、6回も又吉克樹がきっちり抑えて3-2。ここまでは締まったゲームだった。
10月に入ってから好調で、特に6回終了時にリードを取った試合では37連勝中*34だったこともあって、この時点で勝利を確信した中日ファンは少なくなかった。
ところが与田剛監督が3番手に谷元圭介を送り出したところで歯車が狂い始める。
谷元は先頭の堂林翔太はセカンドゴロに仕留めるも、その後ヒットと四球で一死一、二塁のピンチを招くと、ここで登場したこの日ベンチスタートの代打・鈴木誠也に痛恨の同点タイムリーを浴びてしまう。さらに続く1番の大盛穂にも三塁打を打たれ、結局一死しか取れず4失点で降板。逆転を許してしまった。
後を継いだ藤嶋健人や佐藤優も悪い流れを変えることができず、藤嶋は回跨ぎの8回に2被弾し4失点、9回のマウンドに登った佐藤は打者1巡の猛攻を浴び7失点。終わってみれば7回以降だけで計15失点だった。
中継ぎが派手に燃えて大敗という過去が蘇ってきたかのような試合展開に、暗黒期の終焉を夢見る中日ファンが頭を抱えたのは言うまでもない。
また、7回以降の失点数が4→4→7と綺麗に並んでいたことも話題となり、「334ならぬ447だ」とネタにされたほか、セ・リーグではこの日広島以外の全球団が3点しか取っておらず、残る2試合が両方とも3-3の引き分け*35*36だったこともあって広島がKY扱いされてしまった。
2021年4月1日 ロッテ16-5楽天(ZOZOマリンスタジアム)
ここまで開幕5戦5敗という惨憺たる内容だったロッテと4勝1敗で首位タイだった楽天とのこの日唯一のデーゲーム。
ロッテは初回にレオネス・マーティンのソロで1点を先制するも直後の2回表にこの日プロ初先発の本前郁也が2本のホームランを浴び3失点、あっさり逆転されてしまう。
だがその裏にロッテ打線は楽天先発・瀧中瞭太を攻め一挙8得点。さらに2アウトから菅野剛士のツーベースで瀧中をKOすると、代わって登板の菅原秀の初球が暴投になり菅野が長駆生還。この回9点目を奪う。
その後も菅原を筆頭に楽天投手陣は荒れに荒れまくり、終わってみればロッテは12安打ながら16得点、楽天投手陣は合計で11四死球を与えるというワンサイドゲームになった。なお、本前は5回4失点でプロ初勝利を挙げている。
さらにロッテは翌日の日本ハム戦でも16点を叩き出し、この試合が打線爆発のきっかけになったようだ。
ちなみに楽天は同日の二軍戦でも西武に対し2-14の大敗を喫し、この日一軍・二軍合わせて30失点となった。
2021年4月1日 DeNA11-11ヤクルト(横浜スタジアム)
上述の試合と同日、数時間後の出来事。
横浜は外国人選手を欠いてなお打線は好調だが投手が絶不調*37、特にセットアッパーの石田健大が登板毎試合で失点しここまでの防御率19.29という打たれっぷりで開幕から5戦4敗1引き分けとロッテに負けず劣らずの惨状。一方のヤクルトは開幕カードの阪神戦では3タテされるもそこから2連勝、しかし西田明央の新型コロナウイルス感染により濃厚接触者と認定された青木、内川、川端が離脱と戦力不足が否めなかった。
ヤクルトの先発山野太一、DeNAの先発上茶谷大河がいずれも乱調で序盤から殴り合いに発展。2回に打者11人の猛攻で7点を奪うなどの攻勢を掛けたDeNAが4回までに11点を奪って試合を優位に進めたが、ヤクルトも徐々に追い上げ、ついに7回表に4番手で登板した石田(と平田真吾)を打ち崩して4点を奪い11-11の同点に持ち込む。その後は両軍の中継ぎが踏ん張り、延長回に入らない2021年特別ルールの影響もあって、試合はそのまま引き分けに終わった。
結果、両軍合わせて28安打13四死球、三者凡退で終了したのは7回裏と9回表だけという壮絶な殴り合いの試合に。DeNAはまたしても勝ちを逃し、開幕2カード終え白星なしと大きくつまずいた。さらに、この試合の影響を引きずったのかこの年のDeNAはヤクルト相手に'6勝17敗2分と大幅に負け越してしまい、更に対ヤクルト最終戦では目の前で胴上げを見届ける屈辱を味わった。
なお、新型コロナウイルスの影響により、首都圏1都3県では営業時間の短縮要請が出ていたことを考慮して、NPBとDeNAでは試合開始時間を当初の予定より15分早めて17時45分とし、21時までの試合終了を目指していた。しかし、21時になっても試合は続き、結果的には22時5分(試合時間4時間20分)に試合終了する長時間ゲームとなった。
2021年4月27日 ヤクルト11-14巨人(神宮球場)
東京都に緊急事態宣言が出されたこともあり無観客で行われた1戦。
巨人はヤクルト先発の田口麗斗を攻め立て2回までに4点を先取。対するヤクルトは2回裏に4番・村上宗隆のソロで1点を返すとなおも一死二・三塁のチャンスで8番・元山飛優の放った当たりはライト前に落ちる。これが大きく跳ね右翼手・梶谷隆幸の頭上を越える三塁打となり1点差、次打者・田口がスクイズを決め同点に追いつく。
3回表に巨人は大城卓三のソロで勝ち越すがその裏無死一・二塁のピンチを迎えると巨人は先発・畠世周から大江竜聖にスイッチ。一死後ホセ・オスナがレフト前に落ちる同点タイムリーを放ちこれも大きく跳ねる。この日がデビュー戦となる左翼手のエリック・テームズはジャンプして止めようとするが後逸、テームズは着地時に右足を負傷し担架で退場となる。続く青木宣親の犠牲フライでヤクルトは勝ち越すが、その直後に岡本和真のタイムリーで再び同点に。
その後巨人は4回から6回まで野上亮磨*38が、ヤクルトは5回を今野龍太、6回を近藤弘樹が無失点で抑え迎えた7回表、巨人は岡本とジャスティン・スモークの連打でチャンスを作るとテームズに代わって左翼に入ったゼラス・ウィーラーが2点タイムリーを放ち勝ち越し。しかしその裏鍵谷陽平が山田哲人に同点2ランを浴びる。
8回表裏は両軍無得点で迎えた9回表、ヤクルトの抑え石山泰稚からウィーラーがソロ本塁打、巨人がこの試合四度目のリードを奪う。この後守備の乱れもありピンチを迎えたところで石山は降板、ヤクルトは梅野雄吾に火消しを託すが梶谷に3ラン、岡本に2ラン*39を浴び大きく点差を広げられ裏に3点を返すも及ばず。
なおこの試合は19時から20時54分まで関東地区ではフジテレビによる地上波中継が行われていたが奇しくも試合中盤の接戦の部分が放映されていた。
2021年7月1日 ヤンキース8-11エンゼルス(ヤンキー・スタジアム)
大谷翔平が1番・投手で先発出場することで日本でも話題になった試合。
エンゼルスは初回にゴセリンの2ランで幸先よく2点を先制したが、先発・大谷は制球が定まらず、初回先頭打者からの3者連続四球を含む1イニング5四死球を与える大乱調で4失点、なお打者一巡で1番というところで降板。キャリア通算でも最短でのノックアウトとなり、後続のスレガーズが大谷の出したランナーを全て返しヤンキースが7点を取って逆転する。
その後2回、5回にエンゼルスはそれぞれ1点を返すが、ヤンキースも8回に1点を加え、9回表開始時点では8-4とヤンキースの勝ちがほぼ見えている状態だった。
ところが、9回にマウンドに上がったヤンキースの守護神・チャップマンが大乱調で、3四球で満塁にすると、エンゼルスの3番・ウォルシュが同点満塁ホームランを放ち、あっという間に4点差を追いつかれてしまう。
ヤンキースは投手をルートキーに交代したが、アチアチなエンゼルス打線を止められずに3失点。9回だけでエンゼルスが7点を取って大逆転した。
エンゼルスの守護神・イグレシアスは裏をきっちり三者凡退で締め、大谷のノックアウトで始まった試合は盛大な風呂試合に終わった。
2021年9月11日 日本ハム17-5ソフトバンク(札幌ドーム)
ソフトバンクは1回裏、1番浅間のショートフライを今宮が落球。これで制球を乱した石川は2番西川を遊ゴロに打ち取るものの3番野村に四球、4番近藤に死球を与え、1アウト満塁の状態で5番王のタイムリーツーベースを許し日本ハムに2点を先制されてしまう。続く6番高濱にタイムリー、7番佐藤もレフト前ヒットで出塁を許すと8番石井のファーストゴロを今度はリチャードがファンブルし再び満塁。9番清水の犠牲フライで日本ハムが5点目を奪う。更に浅間に四球を与えると西川、野村に連続タイムリーを浴び9点目を奪われて石川は降板*40。2番手として高橋礼を投入するも高橋は近藤に四球を与えると王にタイムリーを浴び11点目。高橋は次の高濱を打ち取りようやく3アウト*41。この一回裏の日本ハムの1イニングの得点数11点はチームタイ記録であった。
更に2回裏も日本ハム打線は止まらず、4連打などで5点を追加して16-0。*42
その後は6回表にリチャードがホームランを放つまで動きは無かったが6回裏、日本ハムは渡邉を攻めノーアウト満塁に。しかし追撃は野村のサードゴロの間の1点に留まった。ソフトバンク7回表に松田のホームラン、柳田のタイムリーで反撃をするも焼け石に水。17-5で試合は終了し、日本ハム側は1本もホームランを放たないまま全得点を奪った。
また、この試合は試合開始前の時点でチーム打率パリーグワーストの日本ハムと防御率パリーグトップのソフトバンクとの間で起きた馬鹿試合であった。*43
その後ソフトバンクは翌日の試合で0-3と完封負け。最下位相手に1勝もできずにこのカードを終えた。
また、この年のソフトバンクは後半戦以降は中継ぎ陣が肝心な場面で失点するなど中継ぎ陣の不安定さが目立っており、一部では俺達やUNKOよりも深刻とも言われている。*44
2021年9月22日 イースタン ロッテ19-0DeNA(ロッテ浦和球場)
DeNAは先発の松本隆之介が大乱調で、3連続押し出し四球を含む8四球・被安打5で初回から2アウトしか取れずに降板。
後を継いだスターリンも流れを止められず、松本の出したランナー全てを返して更に炎上。悪送球も絡みこちらは1アウトも取れずに降板。
1回裏にして既に3人目の登板となった加藤大が四球2つ(うち1つ押し出し)を出したものの佐藤都志也を二ゴロに打ち取りようやく3アウトを取った。
ロッテはこの回だけで打者2巡で23人を送り込み、一挙に17得点を挙げることとなった。1イニングの得点数でイースタン記録(13)を大幅に更新し、またロッテの持つ一軍公式戦での1イニング最多得点(15・上記参照)をも超える結果となった。世界的に見ても近代野球成立後の記録としては最多タイとなる。
また、1番から5番までが1イニング3打席を達成し、初回の全打席が四球だった安田尚憲は初回で猛歩賞を達成した*45。
一方のDeNAは松本・スターリン・加藤の3人を1イニングに投入した末に被安打8・その被安打数を軽く超える1イニング5つの押し出しを含め与四死球12・投球数合計110・ロッテ側の攻撃時間が1時間を超える*46という散々な結果となった。
なお、ロッテはこの時優勝マジックが2であり、マジック対象の日本ハムが試合中に敗れていた*47ため、この試合でイースタン・リーグ優勝を決めた模様。
2021年10月16日 フェニックス 阪神27-5ヤクルト(西都原運動公園野球場)
ヤクルトは1回表、阪神の牧丈一郎から2点を先制するが、先発の木澤尚文が大乱調。1回に4点、2回に5点、など序盤から散々に打ち込まれついに5回1死の場面で降板*49。
後を継いだ杉山晃基、丸山翔大、宮台康平もそれぞれ3失点、5失点、4失点とこれまた炎上し、結果的に阪神は4回を除いての毎回得点と26安打で27得点と大勝した。
これにより1番に座っていた江越大賀が6打数5安打4打点(本塁打1)、2番の小幡竜平が5打数3安打5打点(1本塁打)、4番のサンズが3打数3安打6打点(本塁打1)など凄まじい成績を残している。
この時ちょうど阪神とヤクルトの一軍は優勝争いの真っ只中であり、加えて阪神は残塁が多く深刻な得点力不足に陥っておりヤクルトの後塵を拝することが多発していたため、「一軍の恨みを晴らした」「八つ当たり」などと言われてしまった模様。
2021年10月25日 ロッテ7-15ソフトバンク(ZOZOマリンスタジアム)
上述の馬鹿試合の次の天王山では敵地でカード勝ち越しを果たしマジック点灯を成し遂げたものの、試合前の時点で残り4試合でマジック3となっており優勝の為には負けられないロッテと、2013年以来のBクラスが確定済みだが工藤公康監督の最終試合を白星で飾りたいソフトバンクによる一戦。先発はロッテが美馬学、ソフトバンクがエース・千賀滉大で始まった。
試合は1回裏、レオネス・マーティンがソロを放って幸先よくロッテが先制。しかし直後の2回表、1アウトからショートのアデイニー・エチェバリアのエラーで中村晃に出塁を許すと流れが一変。牧原大成・甲斐拓也の連打であっさり同点にされると、リチャードの犠飛で勝ち越される。さらに4連打*50を浴びたところで美馬は6失点(自責点はゼロ)KOとなった。代わった岩下大輝も5連打目のヒットを打たれこの回だけで7失点。試合の大勢が決まった。
その後も3本の本塁打を浴びるなど失点を重ねたロッテ投手陣。結局15失点を喫し、野手陣は5回以降で6点を奪う反撃を見せたが及ばず、優勝ムードに水を差す結果になってしまった。
一方のソフトバンクは工藤監督の花道を大勝で飾る最高の結果となり、両チームの明暗が分かれた。
なお、この試合の裏でオリックスが楽天に勝利*51。ロッテは優勝に向けてこの後一敗も許されないという苦しい展開となり、次戦の楽天戦(楽天生命パーク)でも競り負け、優勝を逃す結果になってしまった。
2022年4月7日 アムステルダム18-24RCH(ルク・ルヴェンディ・ボールパーク)
オランダトップリーグの2022年開幕戦、アムステルダムは6回までに18-1の大量リード。しかし最終7回表*52、2安打1失点と好投していたアンヘラから2番手ブレークに継投するとこれが大乱調。2安打の後、5連続四球で1死も取れず降板する。続く3番手プリンス、4番手クラムも合わせて1死しか取れず、ブレークも含めてこの回8安打16四球に1失策が絡み一挙23失点*53。上述の近代野球における1イニング最多得点を6点も上回ってしまった。
5番手のこの試合5番一塁手として出場していたベルケンボスがあっさり2人を打ち取るも、7回裏は三者凡退に終わりゲームセット。なお、7回表の先頭打者ブライレーヴェンはこの回だけで安打、四球、四球、フライアウト(最終打者)と4打席に立った。
2022年4月24日 カブス21-0パイレーツ(リグレー・フィールド)
この日カブスは鈴木誠也が2番、パイレーツは筒香嘉智が4番でスタメン出場し、日本でも注目度の高かったゲーム。
試合はパイレーツ投手陣が序盤からカブス打線に攻め立てられる展開で、特に2回には打者12人の猛攻を受け一挙8失点。先発トンプソンは2回9失点KOとなる。
続く2番手ヤフーレ*54も3回こそ三者凡退に抑えるものの、4回・5回に打ち込まれ2.1回7失点。5回終了時点で既に16-0という大差がついてしまう。
その後もパイレーツは失点を重ね、遂に8回には右翼手のカスティーヨを登板させ更に4失点。終わってみれば21-0というあまりにも一方的なスコアとなってしまった。
この試合カブス打線は先発全員安打+得点を達成し、合計23安打を記録。5人が猛打賞という暴れっぷりを見せた。鈴木誠也も4打数3安打1打点でMLB移籍後初猛打賞をマークし、初盗塁も決めるなど存在感を示した。
一方でパイレーツ打線はわずか3安打と沈黙。筒香嘉智も3打数無安打に倒れ、鈴木誠也とは明暗が大きく分かれる結果となった。
日本の26-0には及ばないものの、MLBでもこれほどのワンサイドゲームはそう起こるものではなく、カブスは1901年のチーム創設以来、完封勝利としては最高得点となった。
結果、MLB公式Twitterからは試合結果を「Bears -21 Steelers - 0」とアメフト扱い*55され、カブス公式Twitterも「Bears?」と煽り、一方パイレーツ公式Twitterは「最終スコアを書かずに逃げる」という内容の画像をツイート。それぞれ数万いいねを獲得するなどアメリカ本土のTwitterでも大きな話題となった。
ちなみにこのカードは22日から25日までの4連戦で行われていたが22日と25日は4-3、23日は4-2でパイレーツが制している。
2022年7月20日 ソフトバンク3-17楽天(北九州市民球場)
「余談」の項で取り上げた北九州市民球場と「鷹の祭典」の夢?の共演。その試合はある意味案の定な結末を辿ることとなった。
この日のソフトバンクの先発は大関友久。しかし大関は初回いきなり打者一巡、しかも先頭打者弾を含む3本の本塁打*56を浴び6失点と超がつくほどの大荒れ。早くも試合は荒れた様相を呈してくる。
立ち直りたい大関だったが2回も2本のタイムリーで2失点、この回限りでKOされ、1点を返して迎えた3回からマウンドに上がった中村亮太も流れを変えられず、浅村にこの日2本目となる3ランを被弾し1-11。完全にペースは楽天となってしまう。
そして迎えた4回表に事件が起こる。回を跨いだ中村だったが5者連続出塁を許すなど3失点*57、なおも二死満塁、相手は去年の打点王島内宏明という絶体絶命の場面でソフトバンクベンチは笠谷俊介をマウンドに送った……のだが。
なんと笠谷の初球は打者・島内の頭部を捉えてしまい危険球押し出し死球に。北九州に詰めかけた観客は騒然、楽天ベンチからも選手が飛び出し険悪ムードがマックスに。当然笠谷は一発退場、両軍に警告試合が言い渡された。
その後5回には炭谷のソロ、6回には銀次のタイムリーで1点ずつを奪われたソフトバンク。その後点を取られることは無く、9回裏に2点を奪いはしたものの、大差を覆すことは当然できず大敗となってしまった。
なお、楽天の先発は瀧中瞭太。大量援護にも動じず7回1失点の好投で勝利をマークしている。
2022年7月23日 レッドソックス5-28ブルージェイズ(フェンウェイ・パーク)
レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークで行われた一戦。この日は後半戦の開幕戦ということもあり、レッドソックスはエースのイオバルディが先発。しかしイオバルディは初回からビシェットの内野ゴロの間に1点を先制されるなど、2回3失点の不安定な立ち上がり。立て直したいところだったが、3回も1アウトを取ったあとに4安打2四球を許し、2.2回でイオバルディは交代。しかし、2番手デービスの交代直後、センターのデュランが打球の目測を誤ったか、大きく離れた後方にボールが落下。デュランは追うこともできずバッターランナーまで生還するランニング満塁ホームランとなってしまい、この回だけで7失点。5回は、交代したオルトが簡単に2アウトを取ったが、そこから12人連続での出塁を許し、11失点を喫した。レッドソックスは、4回に3点、6、7回に1点を挙げたが、全て本塁打によるものであり、うちソロ本塁打が3本だった。
なお、澤村拓一は22点ビハインドの8回に登板。レッドソックス投手陣の中では唯一きっちり三者凡退に抑えた。
2022年8月23日 楽天6-15ソフトバンク(楽天生命パーク宮城)
ソフトバンクは新型コロナウィルスの影響により、周東佑京、牧原大成*58、柳田悠岐、柳町達、中村晃、田中正義といった主力が離脱し、2軍から代替選手を指名し試合に臨むこととなった。
先発は楽天が則本昂大、ソフトバンクは石川柊太で試合が始まった。
ソフトバンクは早速1回表から則本に対し今宮、野村勇、グラシアルの3人が3連打で無死満塁とし、4番デスパイネが三振に打ち取られるが、次の野村大樹に2点適時打、8番谷川原にも2点適時二塁打が飛び出し、1回表だけで打者一巡を達成。
楽天は1回裏1死ランナー無しから小深田が石川から2塁打を放ち、2アウトから4番島内が適時打を放ち1点を取り返した。
ソフトバンクは3回表、1死から6番増田がヒットを放つと、2死から谷川原が適時三塁打、続く甲斐にも適時打が飛び出し2点を追加。則本は3回6失点でKOとなり、続く2番手として石橋が登板。
楽天は初回の得点以降、6回まで無得点であり、ヒットは出るが得点が入らないという観客がため息をついても仕方ない展開であった。
止まらないソフトバンクは5回表からヒットなどで無死満塁とし、ダブルプレーのあとに今宮が適時打を放ち2点、6回表にはまたしても二塁打や四球で満塁とし、ガルビスが開幕戦以来となる2本目の満塁ホームランを放ち、そのあとも二塁打の後、今宮に適時打が飛び出し6回までに13点を取り、先発石川を援護した。しかし石川はこの日、球が高めに行っており、ヒット性の打球を野手が好プレーでアウトにしてくれたりと、まさに打たれて取るピッチングであった*59。
楽天は7回裏、石川から8番鈴木のヒットを皮切りに1死満塁とし、3番山﨑、4番渡邊に連続2点適時二塁打が飛び出し4点、ピッチャーが泉に交代後、6番銀次が適時二塁打で1点を取り、5点を追加した。
しかしソフトバンクも負けじと8回表に2点を追加。そのあとは両者共に打ち合うが点は入らずゲームセットとなった。
審判の可変ストライクゾーンに両軍投手が苦しめられた結果、馬鹿試合が生まれたのは無理もない。
楽天は前回ソフトバンクとの対戦(北九州)で3-17というトンデモ試合をやっており、今回の試合でソフトバンクも16点を取り馬鹿試合をしたことから、燃やし燃やされの関係なのかもしれない。
2022年8月27日 DeNA4-16ヤクルト(横浜)
前半戦を圧倒的な快進撃で折り返した首位・ヤクルトと、それを猛追していた2位・DeNAの首位攻防戦。3連戦直前時点では4ゲーム差まで肉薄していた両者による直接対決だったが、2戦目のこの日だけは全く予想外の展開を迎える事となる。
ヤクルトは1点を追う3回、シーズン途中に加入した新外国人パトリック・キブレハンの来日第1号となるソロ本塁打で同点とし、更に内山壮真の2点適時打で勝ち越しに成功。するとその後は一気に打線に火がつき、4回表にホセ・オスナの3ラン、7回にキブレハン・内山壮のソロとドミンゴ・サンタナの2ラン、8回表にキブレハン・村上宗隆のソロと、終わってみれば両軍計30安打・9本塁打のうち自チーム内だけで23安打・7本塁打を放つ圧倒ぶりで16得点。キブレハンはこの試合で3ホーマーの荒稼ぎを見せた。
一方のDeNAは初回に佐野恵太の適時打で先制したが、3回表に逆転を許した先発・石田健大がこの回限りで降板すると、来日初登板の新外国人ロバート・ガゼルマンを筆頭にリリーフ陣も次々に被弾を許すなど継投が悉く裏目に。6回裏に牧秀悟・宮崎敏郎の二者連続ソロ本塁打が飛び出すも、完全に後の祭りで結局4得点に終わり大敗。
ヤクルトはこの3連戦で逆転首位を狙うDeNAに3タテを達成*60。DeNAはこの試合で心が折れたのかそれまでの快進撃がウソのように連敗を重ね優勝争いから脱落。結果的にこの試合がヤクルトのセ・リーグ連覇を決定づけるターニングポイントとなった。
2022年9月7日 巨人18-3DeNA(東京ドーム)
この試合の前日からデザイナー・山本耀司氏とのコラボ企画で黒いユニフォームを着て試合が行われていたが、その日の試合では打線が沈黙。相手を上回る8安打を放つも得点は吉川尚輝のソロ本塁打の1点のみに留まり、あまりの打線の冷たさから喪服とすら呼ばれるようになってしまった。
しかしこの日は前日とは打って変わって打線が爆発。2回にホームランを放った吉川尚輝がこの日5の5と大当たり、4回には小林誠司のタイムリーを皮切りに、ウォーカーのグランドスラム、ポランコの3ランと両助っ人の20号ホームラン*61などでこの回9点をあげ、DeNA先発の濵口遥大をKO。
その後も中田翔・ポランコの2ラン(このホームランでチームはサイクル本塁打を達成)や、喜多隆介のプロ初安打となるタイムリーなどがあり、この日今季最多の23安打、18得点をマーク。DeNAは宮崎敏郎のホームランこそあったものの、11日ぶりに盛大に燃やされてしまった。
ちなみにこの日は週刊ベースボールベイスターズ特集の発売日であった。
2022年9月10日 ヤクルト7-15広島(明治神宮野球場)
1-0で迎えた3回表、広島が歴史的なビッグイニングを作る。ヤクルト先発・サイスニードに対して先頭・野間峻祥からの3連打でまず同点とすると、四球で無死満塁の大チャンスを作る。ここで打者・上本崇司の打球はサードゴロとなるも、これを村上宗隆が悪送球し2点目が入る。その後二者連続で打ち取られ二死満塁となるも、投手の野村祐輔が2点タイムリーを放ってつなぎ、次打者の堂林翔太が初球を捉えて3ラン。この時点で7点目、ランナーもいなくなったがまだ広島打線は止まらない。またも野間からの3連打*62で1点を追加すると次打者の坂倉が3ラン、更にその次の上本もホームラン(プロ初本塁打)でこの回12点を奪い、一気にヤクルトを突き放した。
広島が1イニング12得点を記録するのは38年振りの快挙となった。また広島は3年前にヤクルトに1イニング12失点を喫しており、3年越しのリベンジとなった。
大量援護をもらった広島先発・野村祐輔であったが、4回裏に5安打を浴びこの回4点を失ったところで降板、勝ち投手とはならなかった(なお降板後に中継ぎにランナーを返されているため、結局4回途中7失点となっている)。
2022年9月26日 ロイヤルズ13-12マリナーズ(カウフマン・スタジアム)
マリナーズは5回表に一挙8点を奪うなど試合を優位に進め、6回表終了時点で2-11と試合の大勢は決まっていたはずだったのだが6回裏に突如流れが変わる。ここまで5回2失点の先発・カスティーヨが1アウトを取ったあとに四球を与えてしまい、次打者・マッシーに2ランを被弾。さらにその次の打者にも四球を出したところでカスティーヨは降板、フェスタがマウンドに上がるもこれまた四球→ヒットで満塁とするとメレンデスの遊ゴロの間に走者が生還しさらに1点を返される。これで2アウト1・3塁、ここでフェスタも降板しブラッシュが3番手として出るもこれまた誤算、いきなり2点タイムリーを打たれた上に2者連続四球と制球が定まらずまたしても満塁、5番・オリバレスの内野安打でまた1点、ここでブラッシュも降板しスワンソンが上がるもこれがブラッシュの出したランナーを全て返した上にさらに2失点、この回一挙11点を奪われ13-11となってしまった。その後マリナーズは1点を返したが反撃むなしく大逆転負け、ワイルドカード争い真っ只中のチームにとって痛すぎる負けとなってしまった。
2023年3月13日 韓国代表22-2中国代表(5回コールド)(東京ドーム)
韓国代表、中国代表ともにプール戦の突破が不可能となり、負けたほうが予選落ち*63という状況ではあったものの実質的な消化試合となった一戦で事件は発生。一回表は元中日・李鍾範の息子である李政厚のタイムリーなどで韓国が2点を先行。返す裏の中国の攻撃では曹傑のタイムリーですぐさま同点に追いつく。追いつかれた韓国は2回の攻撃で中国のバッテリーエラーもありながらさらに2点を追加する。ここまでは試合になっていた。ここまでは。流れが変わったのは3回表。韓国代表が8安打を集め、押し出しの四球やダブルプレー間の得点も交えつつ8点の大量得点。さらに4回には朴健祐の満塁ホームランを含む6点を追加し、この時点で15点差以上の5回コールドの要件が成立。5回には金河成の満塁ホームランが続けて飛び出し、終わってみればWBC記録となる22得点を記録。大会初となる5回コールドゲームとなった。同日のカナダ-イギリスでも18-8の馬鹿試合となっており、1日で2度の馬鹿試合の発生、消化試合で馬鹿試合、得点の新記録樹立とある意味記録づくめの1日となった。
2023年4月9日 エンゼルス11-12ブルージェイズ(エンゼルスタジアム・オブ・アナハイム)
エンゼルスは初回に3点を先取、3回には大谷翔平の2ランが飛び出すなどブルージェイズ先発の菊池雄星を攻略。5回までに6点をリードするが、6回表に先発のリード・デトマーズが満塁本塁打を浴び2点差に迫られると流れが一変。デトマーズ降板後に2点を失い、わずか1イニングで同点に追いつかれる。すると続く7回表には4失点、依然としてアキレス腱となっているリリーフ陣がこの日も打ち込まれることに。追う展開となったエンゼルスは8回に1点を返し、9回裏二死満塁からアンソニー・レンドーンの押し出し死球、ハンター・レンフローの2点タイムリーで同点に追いつく。
試合は延長10回にブルージェイズが2得点、その裏二死満塁からマイク・トラウトが押し出し四球を選び大谷を打席に迎えたが、最後はセカンドゴロに倒れエンゼルスは敗れた。打線が追い付き、中継ぎがそのすべてを吐き出して負けるというエンゼルスらしさが前面に出た試合となった。
2023年4月29日 パドレス16-11ジャイアンツ(エスタディオ・アルフレド・アルプ・エルゥ)
「MLBワールドツアー」として開催されたメキシコ・シリーズでの一戦。これまでMLBでのメキシコ開催は北東部モンテレイ(標高540m)で行われていたが、初のメキシコシティでの開催となった。しかしメキシコシティの標高は2240mと唯でさえマイル・ハイ(1600m)と称され打者有利で知られるコロラド・デンバーのクアーズ・フィールド*66よりさらに600mも高かったため*67、両軍計11本の歴史的HR合戦となってしまった。
パドレスの先発はマスクローブ。3回までにマナイア相手に5点をリードするも、3回表にジャイアンツのクロフォード、ウェードのソロで2点を返され、その裏にはクルーズのソロなどで2点を返すも4回表にはマスグローブが3ランを被弾し同点に追いつかれると2番手ハニーウェルも一挙3点を失ってしまい5-8と逆転されてしまう。しかしその裏にボガーツがソロHRを打つなど2点を返すと、5回裏にはタティスの2ラン、マチャドのソロHRで3点を返し10-8と逆転に成功した。ところが7回表に4番手ウィルソンがセイボルに2ラン、続くビラーにソロを被弾し10-11とされてしまい再度リードを奪われてしまう。が、その裏にマチャドのソロなどで2点を取り返し12-11と再逆転、8回裏には一挙4点を取り16-11で突き放し勝利を飾った。
2023年5月14日 阪神15-7DeNA(阪神甲子園球場)
勝った方が単独首位に立つという文字通りの頂上決戦。直前の巨人戦から4連敗中のDeNAにとってはカード3タテ及び首位返上だけは避けたい場面だったのだが…
1回裏、先発の平良拳太郎が二死一・二塁で迎えた佐藤輝明から3ランを被弾。序盤からペースを握られてしまう。それでも打線が奮起し、3回には阪神先発・西純矢から宮崎敏郎・牧秀悟が連続ホームランを放ち4-3と逆転に成功。しかし、その後の平良が踏ん張り切れず1死一・三塁から近本光司のタイムリーを浴びて同点になり降板。
更に救援の三嶋一輝も乱調で大山悠輔に押し出し四球を与え、佐藤輝から満塁弾を浴びるなど4回終了時点で4-9と勝負あり。更に7回には森原康平が1死も取れずに6者連続出塁で5点を失うなど投手陣が完全に崩壊し、野手陣の奮闘も虚しく7-15で完敗。5連敗となり阪神に首位を献上する形になってしまった。
2023年5月16日 イースタン 西武10x-7ヤクルト(CAR3219フィールド)
この日のヤクルトの先発は育成*68の山野太一。西武打線を8回4安打無失点と完全に抑え、打線も4本のホームランで7点を奪って調子よく9回裏の守りに入る。
ここまでは良かったのだが、交代した大下佑馬が渡部健人のソロと岸潤一郎の3ランを含め6連打されるという大炎上。1死も取れずに降板すると代わった久保拓眞も流れを止められず川越誠司に同点タイムリーを浴び、最終的にはマーク・ペイトンにサヨナラ3ランを打たれてゲームセット。西武が一挙10得点で大逆転勝ちした。
結局、ヤクルトは9回にエラーどころか四死球もゼロで10被安打・3被本塁打*69、アウトもこの回8人目の打者だった蛭間拓哉の犠打のみと実質1アウトも取れずに敗れることになった。
先発の山野は哀れまさかの展開で勝ちが消滅。スコアボードの10xというインパクトもあり、ツイッターでもトレンド入りするなどしたため二軍戦ではあるが例外的に取り上げる。
余談だが、この試合で炎上した大下、久保の両名は同年オフに戦力外通告を受けている。
2023年6月25日 エンゼルス25-1ロッキーズ(クアーズ・フィールド)
エンゼルスは2回、この日MLBに再合流したフレッチャーのタイムリーで2点を先制すると、3回に打線が大爆発。トラウト、ドゥルーリー、タイスの3球連続ホームランを皮切りに、ロッキーズ先発のアンダーソン*70をノックアウトしてもなお勢いは止まらず、この回一挙13得点。4回にも打者一巡の猛攻で8点を挙げるなど、終わってみればチーム記録を更新する28安打25得点を挙げ激勝。先発全員安打全員打点と奮起したエンゼルス打線だったが、この日の大谷はタイムリー1本に留まった。一方これだけの大差がつきながら、ロッキーズは野手を登板させずに切り抜けている。
このシリーズは前後をロッキーズが制している*71が、3試合合計のスコアは32-12と2試合目のこの試合のスコアが目立ってしまっている。
2023年7月16日 エンゼルス13x-12アストロズ(エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム)
後半戦の開幕を大谷先発で落としたエンゼルスは、オールスターブレークを挟んで6連敗中で借金生活に転落したばかり。これ以上の敗北はポストシーズン進出へ、そして大谷の保持へ大きな影響を及ぼしうる中でのカード2試合目。
この試合両チームともに先発全員安打、両チーム合わせて31安打を打ち合った試合だったが、中盤までと終盤以降では試合の景色が違う異様な内容だった。
エンゼルスは2回、先日懲罰交代を喫していたレンヒーフォが3ランホームランで先制するも、3回4回とアストロズはタッカー、マルドナードの2点タイムリーで逆転。中盤はスコアが膠着する中、7回から試合展開が一変。
エンゼルスは6回4失点のデトマーズからデベンスキーにスイッチするも、3連打で1点、犠牲フライで1点、そしてアブレイユの3ランホームランで一挙5点を失う。
連敗脱出へ暗雲立ち込めたかに思われたエンゼルスだったがその裏、ネトの2ランで反撃すると、2アウトから打線がつながりエスコバーのタイムリー、そしてムスタカスの3ランでこの回6点を奪い同点。新戦力が躍動を見せる。
アストロズは8回、マコーミックの2ランですぐさま勝ち越すと9回にも1点を追加。3点リードを得たアストロズは2日連続で守護神プレスリーを送り込む。
ところが、ここまでスタメンの中で唯一ノーヒットだった大谷が先頭打者ホームランを放つと雰囲気が一変。そこから3連打で満塁とし、バッテリーミスで1点を返すとレンフローが同点タイムリーを放ち、試合は延長タイブレークにもつれ込む。
決着がついたのは10回裏だった。大谷が歩かされ1アウト1,2塁としてウォード。打球はセカンドゴロ、誰もがゲッツーで3アウトかと思われた刹那、この回からショートの守りについていたケッシンジャー*72が痛恨の悪送球。これで2塁からキャベッジが還りエンゼルスサヨナラ勝ち、連敗は6で止まった。
2023年7月17日 ヤクルト11x-10巨人(明治神宮野球場)
前半最終戦、4連敗中の巨人は菅野智之が先発するも、1回持たず6失点でノックアウトする波乱の幕開け。ところがヤクルトの先発・市川悠太も2回3回と連続失点し3回途中5失点で降板。変わった尾仲祐哉も抑えられず追いつかれてしまう。その後巨人が小刻みに点を重ね勝ち越すと、ヤクルト内山壮真がこの日2本目のホームランとなる満塁弾を放ち逆転、その後もまた巨人打線が繋がり同点と、両軍2桁得点の大荒れ試合に発展。特に先発を初回で降ろした巨人は7回で7人の投手を注ぎ込む大マシンガン継投になった。
結局試合は10回裏に武岡龍世のサヨナラタイムリーで決着。巨人は5連敗で前半戦を終えた。
ちなみにNPBで両軍2桁得点になるのは32-35の3試合目以来一年ぶり。また増田大輝の登板も期待されたが、9回裏にセカンドの守備に就いたため実現しなかった。
2023年9月9日 レッドソックス12-13オリオールズ(フェンウェイ・パーク)
ア・リーグ東地区首位のオリオールズと4位のレッドソックスのカード2戦目。レッドソックスが1回にJ.ターナーの本塁打で先制するも、オリオールズがヒックス、マキャンの本塁打などで4回表時点で7-2としオリオールズ優勢となる。しかし先発フラーティ、後を継いだペレスが踏ん張れず一気に7-6の1点差に。ただし5回裏にペレスがピンチを作った後藤浪が1と2/3回を無失点で締め打線もウエストバーグ、マキャン、ヘンダーソンの本塁打で7回表終了時点で12-6、今度こそ試合が締まったかと思われた
・・・矢先に7回裏、4番手ウェブが炎上し12-9の3点差に。その後はクーロムとJo.ロペスがランナーを出しながらも抑え、9回表に1点を追加、裏に故障したバティスタに代わり抑えを務めているカノーが登板、しっかり締めて快勝
・・・とならず、2連打と四球で塁が埋まる。2アウトまでこぎつけたものの2本のタイムリーヒットを浴び1点差に、万事休すかと思われたが何とか抑えて逃げ切った。
オリオールズは5本塁打、14安打13得点と効率よく得点した一方、レッドソックスは相手を上回る23安打を放ちながら敗北した。*739イニングの試合で23安打以上を放って負けたのは1930年のフィリーズ以来93年ぶりの記録となった。
オリオールズはこの勝利でシーズン90勝を達成。勝ち投手は5回途中から投げ、この日オリオールズの投手で唯一ランナーを出さなかった藤浪につき7勝目を挙げた。
2023年10月12日 秋季教育リーグ 広島3-19日本ハム(7回で終了)(天福球場)
「第20回みやざきフェニックス・リーグ(秋季教育リーグ)」4日目に日本ハムと対戦した広島。7イニングで終了という特別ルールのもと行われた試合であった。
広島の先発はロベルト・コルニエル。3回を投げ1失点に抑えて降板し、4人の継投リレーで6回までに2失点。
6回終了時点で2-2の同点であり、ここまでは良かったのだが、最終イニングの7回表に5番手・新家颯が(1アウトこそ取れたものの)6つも四死球を与えて自責点8と大炎上。続く6番手・坂田怜は1アウトも取れずに自責点5で降板(与四死球4)。7番手・辻大雅も味方のエラーなども絡んで複数失点し、最終的にこのイニングだけで打者二巡し、17失点を喫した。またこのイニングだけで7四球と4死球を与えてしまっている。裏に1点は返したものの、そのまま敗戦した。
1イニング17失点は2021年の横浜DeNAが記録したイースタン・リーグの1イニング最大失点記録に並ぶ失点数である。
2024年3月21日 MLB開幕2戦目 ドジャース11-15パドレス(高尺スカイドーム)
この日ドジャースの先発はメジャー初の登板となった山本由伸。いきなりヒットと死球で無死1,2塁になると、3番のクロネンワースに2点タイムリーを浴び、1アウトも取れずに早くも失点。その後も更に失点し、1回43球5失点KO。その後ドジャースも大谷の犠牲フライなどで1点ずつ返すも、3回表に4点失い2-9に。早くも試合が終わりかけたが、その裏ドジャースも4点返し6-9。乱打戦がその後も続き、ドジャースが1点差に迫った8回裏2アウト2塁の場面で大谷が出たが一ゴロに終わる。これでドジャースは力尽きたか9回表にパドレスの4番マチャドに3ランを浴び、最終回は回跨ぎのクローザー、ロベルト・スアレスに三者凡退に抑えられ、11-15でパドレスが勝利した。
なお、この日の大谷は5打数1安打1打点だった。
2024年5月1日 中日1-12DeNA(バンテリンドーム)
2019年の松坂初回8失点KO、前年の1イニング10失点晒し投げなど、ピッチャー有利の球場にも関わらずとてつもない馬鹿試合が度々起こっているバンテリンドームでの中日とDeNAのカード。前日こそ接戦で敗れたものの、この2日前のカードでは中日が11得点と大勝しており、この日は防御率0.77と絶好調だった涌井が先発ということでカード勝ち越しも狙える状況の…はずだった。
ところが、先頭の桑原、2番の蝦名にいきなり連続ヒットを浴びると、続く佐野のフライを上林が捕球しきれずタイムリーにしてしまう。すると4番牧に初球を完ぺきに捉えられ3ランホームランを被弾。わずか8球で4失点を喫してしまう。
その後もDeNA打線の勢いは止まらずなんと先頭から6連打*75、打者一巡して回ってきた桑原、蝦名にトドメのタイムリーを打たれ、涌井はプロ最短となる0回2/3・9失点でノックアウトされた。
緊急登板となった2番手梅野も悪い流れを変えることができず、佐野のタイムリーで涌井の残したランナー2人を返すと、3回にも牧のタイムリーなどで3失点。打線もDeNA先発石田に抑えられ、細川がソロホームランで1点を返すのがやっとだった。
中日の初回9失点は26年ぶりの屈辱。奇しくも26年前の当該試合*76で大量失点を許し負け投手になっていた今中慎二がこの日NHK BSで解説をしており、自らこの出来事について触れる場面もあった。
なお二桁失点での敗戦は今季早くも3度目となったが、この試合と前述の阪神戦と序盤で決する試合に対してXで野手登板をさせろと言葉があがっている*77ものの、最後にマウンドに上げたのは松山晋也であり、実現に至る気配はない。
2024年5月11日 DeNA11-9阪神(横浜スタジアム)
DeNAと阪神のカード2戦目。この日は強風(打者にとって追い風)となっており、DeNAが守備で目測を誤りヒットを許す場面も見受けられた。DeNA先発の中川颯は阪神打線の滅多打ちに遭い、近本に満塁ホームランを浴びるなど先発野手全員安打を許し3回9失点の大炎上。
阪神の先発の伊藤将も2回に2失点するなど乱調気味であったものの、3回終了時点で阪神が9-2としており、一方的な展開になると思われた。
ところが、伊藤将が踏ん張れず、3-9で迎えた5回裏、京田の走者一掃3点タイムリー等を許し5回途中7失点(自責5)で交代。一挙4得点で7-9の2点差となる。その後は両投手が抑え迎えた8回裏、阪神は勝ちパターンである岩崎優が登板したが、桑原が四球をもぎ取り、続く蝦名が同点2ランホームランを放ち同点に追いつくと、さらに筒香*78、牧*79の連続ソロホームランが飛び出し1イニング3HRで逆転に成功。そのままDeNAが逃げ切り、最大7点差からの大逆転勝利を収めた。
なお、阪神が7点差から逆転負けしたのは、開幕9連敗の端緒となった2022年開幕戦のヤクルト戦以来となった。本年のDeNAは開幕戦でドラフト1位の度会が同点3ランを放ち翌日もHRを打つ、筒香がDeNAに復帰し1軍昇格初日に逆転3ランを放つなど、劇的な展開が5月の時点で非常に多いものの今永・バウアーの退団の影響や新戦力が安定した結果を残せていないこともあり勝率5割付近をキープし続けている。
2024年6月4日 巨人18-2ロッテ(東京ドーム)
交流戦首位を走るロッテと、それを追う交流戦2位の巨人のカード初戦、巨人は山﨑伊織・ロッテは小島和哉が先発。
ここまで得点不足に悩んでいた巨人だが初回に2点を先制。しかしロッテも3回表に2点を返し、シーソーゲームになるか…と思われた矢先、その裏に巨人打線が突如覚醒。この回先頭の2番・ヘルナンデスから、1番・丸まで9人全員がシングルヒットを放ち、9者連続安打のセ・リーグタイ記録を達成。
ロッテは早々にピッチャーを二保旭へ交代、ヘルナンデスの2打席目は三振に抑え連続安打の記録更新は防ぐも、その後も勢いは止まらずさらにヒットを重ね、こちらもセ・リーグタイ記録となる1イニング12安打で11得点を挙げ、序盤で試合を決定付けた。
その後は6回まで両者小康状態が続くも、7回に吉田凌から2点、8回にはさらに3ランで3点を加え、終わってみれば23安打18得点で圧勝となった。
前のカードで大型連勝がストップしていたロッテは結局このカードを負け越して交流戦首位から陥落、さらに翌カードの広島戦では大瀬良大地にノーヒッターを献上してしまうことに。一方巨人もオリックス戦では2試合連続完封負けを喫し、リーグ首位から陥落している。
2024年6月25日 ロッテ15-15起亜(社稷野球場)
韓国・KBOリーグでの出来事。首位を走る起亜タイガース*80はロッテ・ジャイアンツ*81に対し初回から5点を先制し猛攻、4回表までに14-1と試合を確実なものとする。
しかしその裏から今度はロッテ・ジャイアンツ打線の逆襲が始まる。4回の6点を皮切りに、7回まで毎回複数得点で計14点を挙げ14-15と逆転。13点差の大逆転劇はKBOのみならずNPB・MLBでも例がない快挙である。
その後8回表に起亜が1点を返し同点に追いつくも、それ以降は両チームとも得点を挙げられないまま延長12回引き分けに終わった。試合時間は5時間20分、終了時刻は23時50分となるほどの大荒れ試合であった。
2024年7月10日 ロッテ18-5楽天(ZOZOマリンスタジアム)
この日のZOZOマリンは上空の風速が最大19m/sに達するほどの強風が吹きつける中の試合となった。
初回ロッテは9者連続出塁でいきなり8点をたたき出し、楽天の先発松井友飛はワンアウトも取れずノックアウト。4回には4イニング目の2番手櫻井・代わった3番手津留崎から6点、6回にも津留崎・4番手弓削から4点と集中的に得点を稼ぎあげ、今季最多の21安打18得点。捕手・田村は1試合4打席で満塁での打席となった。楽天打線も13安打を放ち、後半に小刻みに点を加えたが、当然覆すことは出来ずロッテが快勝した。なお強風の影響もあってか両チームとも本塁打は1本も出ていない。
楽天は今季5度目の2桁失点で、18失点は今季ワースト2位。
2024年9月19日 マーリンズ4-20ドジャース(ローンデポ・パーク)
この試合でドジャース・大谷翔平がMLB史上初の50本塁打・50盗塁(50-50)を達成。この日は2盗塁に加えて自己最多となる6安打3本塁打10打点、しかも本塁打は3打席連続*82と大爆発し、この試合終了時点で「51-51」まで記録を伸ばした。チームも今季最多の20得点で大勝するとともに、ポストシーズン進出を確定させた。大谷にとってはレギュラーシーズン865試合目の出場にして初めてのポストシーズン進出を決める試合となった。
なお、MIA側も3本HRを放っており、両チーム合わせてHR6本の花火大会でもあった。
なお試合会場となったマイアミのローンデポ・パークは2023年のWBC決勝(日本対アメリカ)でも大谷が胴上げ投手となった場所であり、何かと記録に恵まれた球場となっている。
複数試合の例
- 2020年10月3日のヤクルト一軍・二軍の計スコア
一軍の広島戦(神宮)では色々あったりしたため話題が流れがちだが、試合結果的にはヤクルト投手陣が7回・8回に大爆発し2-13で敗戦、二軍のDeNA戦(戸田)は先発のイノーア始め投手陣がこれまた大爆発、打線もDeNA先発・平良拳太郎の前に手も足も出ず0-17で敗戦、合計スコアは2-30とアレに肉薄するスコアとなった。
- 2020年の中日ドラゴンズ・故高木守道氏の追悼試合
10月10日の一軍の対巨人戦、翌11日の二軍の対オリックス戦で2試合が行われたが、2試合とも中日投手陣が炎上。特に11日の二軍戦は先発梅津晃大が4回5失点でKOされたのを皮切りに後を受けた岡田俊哉・三ツ間卓也・佐藤優などの救援投手陣も尽くオリックス打線に燃やされ爆発炎上し、最終的に5得点したものの二軍では16年ぶりの20失点以上となる22失点を喫し大敗。1-7で敗れた一軍の試合も合わせると6-29という有様になり、「ジョイナスの闘争心が味方を燃やした」「成仏拒否」「球団が喪に服した」等々言われる羽目になってしまった。
- 2021年の中日ドラゴンズのオープン戦
一般にオープン戦は打者より投手の方が仕上がりが早いことからワンサイドゲームにはなりにくいとされている中、同年の中日は3月上旬に2度も1試合14失点を喫するなど投手陣が軒並み大乱調。開幕投手に指名されていた福谷浩司も対西武戦で3回10失点と大炎上し、前年沢村賞を受賞した大野雄大がスロー調整をしていた上、打線も軒並みヒエヒエだったこともあって選手の仕上がりが不安視され続ける結果となった。新外国人の入国遅れ等で戦力が揃っていないかったDeNAとヤクルトが敗戦数だけならさらに多かったこともあってオープン戦最下位は免れたが、開幕直前にも下馬評の低かった日本ハム相手に11失点を喫した上に散発3安打で完封負けするなど、幾度もワンサイドの馬鹿試合に発展していた。
- 2022年のセンバツでの大阪桐蔭高校の準々決勝以降の試合
1回戦の対鳴門高戦は3-1と比較的投手戦だったものの、準々決勝の対市立和歌山高戦では17-0、準決勝の対國學院大久我山高戦では13-4、決勝の対近江高戦では18-1と準々決勝以降の3試合だけで48-5というスコアを叩き出し、「これは大正義大阪桐蔭」「1回戦が実質決勝戦」などとネタにされてしまった。またこの4試合で11本塁打が飛び出し、1984年にPL学園が記録した1大会最多本塁打記録を1試合少ないのに塗り替えている。なお、2回戦の対広島商業高戦は広商の部員に新型コロナ陽性者が出てしまったため不戦勝となったのだが、広商も1回戦の対丹生高戦で22-7と言う馬鹿試合を繰り広げていた。
- 2023年7月18日のMLB
各所で馬鹿試合が乱発し、3カード(メッツ対ホワイトソックス、ジャイアンツ対レッズ、ロイヤルズ対タイガース)で最終スコアが11-10、ダイヤモンドバックス対ブレーブスが16-13とノーガードの殴り合いを披露*83。一方で片方が2桁得点のもう片方は3得点以下という一方的な試合も4カードもあり馬鹿試合の博覧会と化し、最終的にこの日一日でMLB新記録となる12チームが2桁得点をあげるという凄まじい一日となった。
おまけ (誤表示によるもの)
・23-0
余談
馬鹿試合が数多く生まれるカードには、ホーム球場の中でも共に狭い部類に入る改修以前の横浜スタジアム*84での横浜→DeNA対阪神・広島・巨人・オリックスと神宮球場でのヤクルト対広島・阪神・中日、「打高投低」の典型例である2018年以降の西武戦などが挙げられる。
また、福岡ソフトバンクホークスが毎年主催試合を2~3試合行う北九州市民球場は両翼92m・中堅119mと特に狭く*85、チームの実力差や集客を考慮してエースの登板を回避させるケースも多いため発生しやすい。
2018年の北九州での試合は2試合組まれていたが、1試合に雨野が登板して中止となり、唯一の試合が5-12の大敗となったために試合を楽しみにしていたファンの怒りが爆発。メガホンが球場に投げ込まれたり、ペンライトをバスの前に投げ込まれたりと散々であった。
なお、かつてソフトバンクが主催試合で行っていた『鷹の祭典』でも(北九州以外での球場を含め)馬鹿試合が発生しやすかった*86ことから、鷹(たか)の祭典ならぬ「馬鹿(ばか)の祭典」と揶揄される事もあった。