ちょっとしたスパイス

Last-modified: 2024-04-10 (水) 16:16:57

2012~2015年に阪神タイガースの監督を務めた和田豊*1が、就任初年度のキャンプ中のインタビューで発言したフレーズ。そこから転じて「スパイス」が和田の蔑称として使われる。現在では、改変形の「スパイチュッ」も使われる。


概要

和田は2012年に阪神タイガースの監督に就任すると、就任会見で「(今年の阪神は)現在の戦力でも少しスパイスを加えれば優勝争い、優勝できる戦力がある」と(カレーでも作るかのように)発言、優勝への自信を覗かせた。

しかし、前政権の真弓明信時代から一軍コーチを歴任*2しておきながら、いざ自らが監督に就任すると「まあ去年はね、テレビじゃちょっと言えないような事情のせいで負けましたけど」と、まるで去年の成績が他人事であるかのような発言*3をしたことと合わせて波紋を呼び、和田の監督としての手腕がどう発揮されるのかがシーズン前から多少なりとも注目されることになった。

いざシーズンが始まると早々と優勝争いから脱落、8月には自力CS進出すら消滅する体たらく。何とか最下位は免れたものの(55勝75敗14分)*4、残された成績は真弓時代*5はおろか、かつての暗黒時代にも匹敵する低迷ぶりだったため*6
「はよスパイスかけろや」
「これはスパイシーですわ」

など、和田を嘲笑う意味でこの表現が使われるようになり、ここから転じて和田本人及び彼の珍采配を「スパイス」と呼び、謎のバント・盗塁・代打策などが行われた時に(スパイスファサーと語尾につけるなどの用法も見られるようになった。

なおこの「スパイス」発言はこのキャンプ時が初出ではなく監督就任会見時*7で既に用いており、きっと本人お気に入りのフレーズだったのだろう。


就任時会見

スポニチ「就任会見でキッパリ!和田新監督「少しのスパイスで優勝争いできる」
 
阪神の新監督に就任した和田豊氏(49)が28日、大阪市内のホテルで記者会見し「現有戦力はしっかり把握している。今の戦力にほんの少しのスパイスを加えれば十分優勝争いできる」と意気込みを語った。
契約は3年。新体制は11月に高知県で行う秋季キャンプから本格始動する。
(中略)
▼阪神・和田豊新監督の話
歴代監督を何人も見てきて、大変な仕事だと実感している。
3年目に優勝争いではなく、来年勝負をかけるくらいのつもりでやっていきたい。
広い甲子園に対して、投手力を含めセンターラインを強化して守りの野球が理想。


その後

散々な2012年シーズン終了後の和田阪神はドラフトの目玉選手だった藤浪晋太郎を獲得した他、西岡剛福留孝介ブルックス・コンラッド日高剛といった新戦力を補強。ちょっとどころではないスパイスを得た阪神と和田に注目が集まった。

 

そうして始まった翌年は上記戦力に加え新井貴浩の復活などで好調、他のセ4球団を大きく引き離し2位に定着。6月には一時首位に立つなど読売ジャイアンツと熾烈な争いも演じた。
だが夏場に入ると、例年のごとく故障者や調子を落とす選手が続出。上記の強化メンバーがことごとくファーム行きとなり「スパイシー二軍」と揶揄される有様になっていた。

虎ファンが嘆く高給取りばかりが集まる鳴尾浜
http://www.daily.co.jp/newsflash/tigers/2013/08/05/0006222923.shtml
2軍の本拠地である鳴尾浜を訪れるファンから厳しい声が上がっている。
「高給取りばっかりおるやんか」
鳴尾浜には故障や不調で2軍調整を続ける選手がいる。そのメンバーは“豪華”だ。
福留孝介、西岡剛の元メジャーリーガーコンビに4番・三塁を期待して獲得したコンラッド。
捕手補強を目指しFAで補強した日高剛。さらにシーズン途中に守護神候補として獲得したボイヤーらだ。
いずれも昨年就任した中村勝広GMが5位から優勝奪回へ向け補強した選手たちだ。
実は5日現在、1軍登録選手の中に今季からの新戦力は藤浪しかいない。
5月に緊急トレードで西武から獲得した高山*8も2軍落ちしている。

結局2位になったものの、CSでは投手起用迷走などで3位の広島*9に1勝もできずシーズンを終えた*10

2014年は外国人助っ人たちの著しい働きぶり*11があったにも関わらずAクラス確保が精一杯の有様*12だったことから和田退任を求める声は上がっていたがCSを突破したため立ち消えに。
翌2015年は得失点差が大幅マイナスになりながらシーズン中盤まで好調もシーズン終盤に大失速*13。それ以上にカープが盛大に自爆したおかげでAクラスは確保するがシーズン前の公約である「優勝争い」には絡めず、CSでも1stステージで巨人にあっけなく敗北。
さらに後ろ盾だった中村勝広GM*15が東京遠征中に脳出血で急逝。このシーズンを最後に和田は退任(事実上の更迭)に追い込まれ、翌年からオーナー付シニアアドバイザーに就任した。

光の中から現れたスパイス

2014年のポストシーズンにおける伝説の存在。
2位に滑り込んだものの3位広島とのゲーム差は僅かに0.5、首位巨人とのゲーム差は7ゲーム差であり、クライマックスシリーズ前の下馬評はそこまで良くはなかった。
 
1stステージは1勝1分け*16で突破したが僅かに1得点(福留の本塁打のみ)*17という貧打ぶりで2ndステージが早くも不安視された。
しかし2ndステージ巨人戦で「惨劇の巨人」とも呼ばれたスイープ劇を見せつけ9年ぶりの日本シリーズ出場を決める。セ・リーグにおける下剋上は7年ぶりであり、下馬評を覆しての日本シリーズ出場を決めた和田について光の中から現れたスパイスというように後に呼ばれるようになった。なお日本シリーズ。しかし現在では単に巨人が悪すぎた*18*19だけと言われている。なお、和田監督時代における短期決戦の勝率は、この2014年のポストシーズンでの善戦のおかげで第一次岡田彰布監督時代よりも高かったりする。ただし、2023年に岡田が監督に復帰してアレを達成し、さらには38年ぶりの日本一という悲願を達成したため、和田のアドバンテージも無くなってしまった。

不倫でスパイチュ

2013年、週刊新潮のスクープ記事により、ものまねタレント・星奈々と2005~2007年の間で不倫関係にあった事が発覚する*20
記事には和田の熱いキスメール*21も掲載されており、その内容があまりに痛々しいものであったことから、スパイスをもじって「スパイチュ」という造語が誕生。
詳しくは奈々も参照。

そのあまりの痛さや家族の対応が評価された結果現在は一種の定番ネタとして親しまれており*22、2015年の清田育宏の堕胎騒動、2016年のベッキー・川谷絵音の不倫、2018年の福田淳一財務事務次官のセクハラ発言、2019年の原田龍二の不倫、綾部翔の18股騒動鈴木尚広ダブル不倫、2020年の西勇輝の不倫など、お騒がせ事件の文面や発言がクローズアップされる度に和田のメールが比較対象になっている。

件のメール全文

愛しい奈々!おはよー!チュッ*23(笑)

もう俺と奈々は既に運命共同体となっておりますので、どうか最後までお付き合いください(笑)

明日の晩は抱っこして、腕枕して寝てあげるからね

奈々!俺にもチュッは?(笑)

まだお風呂かな?一緒に入ろう! 今度ね!って…もう俺と奈々は、何でもありでしょ?(笑)

また湯船に浸かって、ちょっと恥ずかしそうな顔のかわいい奈々を見せてね! チュッ

関連項目


*1 2017年オフから阪神球団のテクニカルアドバイザーを務めた。その後2022年オフに二軍監督に就任し、8年ぶりに現場復帰。
*2 引退直後の2002年から何らかの形で阪神タイガースの指導者を毎年務めており、真弓監督時代(2009~2011年)は一軍打撃コーチ。
*3 なお、故障してから例の人物に出場の「お伺い」を立てていたのは和田であった。
*4 ちなみに巨人戦5勝15敗4分
*5 2009年から4→2→4位。なお2010年は首位と1ゲーム差だった。
*6 最下位になった2018年ですら借金17なのでそれより酷いとも。
*7 余談も余談ではあるが、この会見の5日後にPerfumeが「スパイス」という曲をリリースしている。
*8 高山久。西武時代の一時期は一軍半呼ばわりされていた選手で、野手版俺達とも言える「高山組」の頭目(当然ながら愛称は組長)とされていた。
*9 しかも勝率は5割を切っている。
*10 ちなみにこのCSの第2戦では、現役引退を表明していた桧山進次郎が代打ホームランを放ち、現役最終打席を有終の美で飾った。単純な試合内容の酷さに加えて能見の登板回避など不可解な采配が多かったこともあり、この桧山のホームランが無ければ甲子園で暴動が起きたのではないかとも言われている。
*11 マートンが首位打者、ゴメスが打点王、メッセンジャーが最多勝&最多奪三振、呉昇桓がセーブ王と、一軍に固定された助っ人全員がタイトルを獲得。
*12 優勝した巨人とは7ゲーム差、3位の広島とは0.5ゲーム差だった。
*13 最大で8あった貯金を全て吐き出し、借金1で勝率5割を切るという事態となった。後述の通り広島の自滅(と誤審*14)がなければBクラスだった。
*14 9月12日の広島戦(甲子園)で2-2で迎えた延長12回表に、田中広輔のレフトへの本塁打が三塁打(観客席のネットに当たってグラウンドに戻ったのをフェンスに直撃したと判断。その後誤審であったことを認め、NPBが謝罪している)と誤審され、結局試合は引き分けとなった。結果論だがもしこの誤審がなければ広島が70勝71敗の勝率.496で3位、阪神が70勝72敗の勝率.492で4位だった。
*15 和田政権時代の投手コーチだった中西清起が自身のチャンネルで明かした話によると2016年阪神は掛布雅之一軍監督、金本知憲二軍監督体制で行くつもりだったが、中村急逝で白紙になったという。仮にこの話が真実ならば和田退任は既定路線だったことになる。
*16 クライマックスシリーズのルール上、上位チームは五分の場合でも次のステージに進出可能なため。
*17 2試合目は0-0で終わった。
*18 特に菅野智之が故障で使えなかったのが大きかった。
*19 ただしこの年は戦力だけ見れば阪神の方が上と見る声も多く、それが短期決戦で出たという見方もある。
*20 最初の夜は日本シリーズで4連敗を喫した日の残念会の後だった模様。
*21 実際は複数のメールからの抜粋。
*22 他の選手に迷惑をかけた訳ではないため、少なくとも清田よりはマシと言われている。
*23 実際の文面ではキスマークを現す絵文字(💋)。紙面上では表記できないため掲載時に置き換えられた。以下同。