サンヘドリン

Last-modified: 2021-09-22 (水) 14:54:59
「人類の栄光(れきし)とは、人自身の手で作り上げられることを言う」
「我らが歩む先に或るもの、それ即ち永遠不変たる栄光に他ならないであろう」
光明結社
サンヘドリン
サンヘドリン紋章.png
 
 

 

概要

サンヘドリンとは、「人類の栄光を管理し、人理を照らす」という理念の下に設立された組織である。
『栄光』とは人類が生み出した発明や新技術、法則の新発見など、"人間"の見つけ出した新概念を指し、『人理を照らす』とは、それらを活用しよりよく発展する事を意味する。
人類が生み出す技術や概念を管理するごとに、世界中に各分野に特化した33の支部が点在するのが最大の特徴。その支部ごとに"ロッジ統括"と呼ばれる幹部が1人存在し、半年~数年に一度集まって、それぞれの支部で得られた新技術、新たなる思想など、様々な人類の発展の礎となるものを共有し、人理をより良く発展させようとしている。
ロッジ統括たちは非常に多種多様な人種・職業に溢れ、各分野に秀でた魔術師から大富豪、世界を股にかける企業の一員、裏社会に関わる人間など幅広い。
 
だが人間が集まれば対立が起こるが常というもので、現在のサンヘドリンは各組織間の技術代理戦争、勢力争いという思惑の面が強く、非常に緊迫している。
33の支部の間では常に陰謀と欲望が交錯し、そして利権争いが勃発していると言っていい。そんな彼らが現在目をつけている物こそ、聖杯戦争と それに召喚されるサーヴァントたちである。
世界中で相次ぐ聖杯戦争、数多く確認される受肉英霊、それらに彼らは危惧を覚えると同時に、利用価値を覚えた。
 
だがしかし、英霊とは即ち人類史の代表ともいえる存在。彼らを利用か、あるいは利用せずに新たなる道を見出すか。サンヘドリンの意見は分かれた。
サンヘドリン特有の概念である「二元命題」と呼ばれる特殊な在り方に基づき、サンヘドリン統括の円卓は『英霊肯定派』と『英霊否定派』の2つに分かたれた。
英霊という存在を利用するか。もし利用するのならば、その利権はだれが握るのか。あるいはそれらとは異なる代替案を見出して、新たなる道を歩むのか?
数多くの意見が飛び交い、現状のサンヘドリンは聖杯と英霊を巡る陰謀と策略が飛び交う魔境の円卓と化している。
 
だが、英霊に賛成にせよ反対にせよ、どちらにせよ、サーヴァントという強力無比なる存在を無視はできない。
彼らサンヘドリンの幹部たちは聖杯戦争の被害を抑えるために、そして最高統括司令が考案する『計画』の為に、日々世界中で発生し続ける聖杯を回収し続けている。
これらの聖杯はサンヘドリンのリソースとして貯め込まれることに加え、聖杯を持ち帰る事で彼等と敵対する魔術師らの手に渡るのを防ぐという意味も含まれている。
最近では聖杯回収は"行わなくてもいい"と司令直々に命令された件数も多くなっており、聖杯を支部が隠し持ち私物化することも散見される。
だがそれは逆に言えば、サンヘドリンに十分なリソースが溜まった事を意味し、長きに渡る計画が動き出す事を意味していた。
彼らの行き着く未来とは。そして最高統括司令の抱く『計画』とは────。
 
 

立ち位置・コンセプト

まず第一に『悪の組織』。*1
どう悪なのか? これが重要なのだが、主軸としては「Fateという物語の否定」という観点を中心に、そこから意図的にずらしたりなんだりしています(あくまでサンヘドリンあきである自分が動かす場合に限る。)
例えば、「英霊の資源活用」とか明らかにサーヴァントとの絆とかサーヴァントによるマスターの成長とかを嘲笑うような行為 こういう感じで既存のFateのストーリー、ひいては今までこのMayでマスターたちが歩んだ物語を否定するような立ち位置として"悪"たり得るように練ってます。
サーヴァントとの友情? 恋愛? 知らない。マスターの成長? どうでもいい。マスター同士の出会い? 馬鹿じゃないのか?聖杯戦争にあるのは掛け値なしの殺し合いだし、サーヴァントは歴史の英霊の写し身であろうと所詮は使い魔で使い捨て。
そういった『否定による悪』が彼らのコンセプトじゃないかなーと思いながらサンヘドリンあきは練っています。ただこれはあくまで一側面と言えるのでこれに限らずどんどん自由に練って動かしていいと思う。
 
そして第二のコンセプト、これは趣味全開で『群像劇の舞台』。
利権を求めて渦巻く陰謀や組織の裏に隠された謎の計画、そして明かされる非道なる実験。
信じられるものは自分一人、溢れ出る疑念、進みゆく計画、そしてそこに差す一筋の光とは……そんな感じの、色んな思惑が交錯する舞台。
悪の組織とは言ったけど一枚岩ではない。悪と言っても色んな悪がいるし、もしかしたら話せばわかる人もいるかもしれない。
話してもダメだから拳で語るしかないかもしれない。もしかしたら悪の組織の中で内ゲバしているかもしれない。そういうような組織として練りました。

沿革

彼らの歴史、それは紀元前16世紀ごろの古代エジプトにまで遡るとすら言われている。
曰く、当時の権力者は神と同一視されていた。人と英霊と神の境界が曖昧模糊であった、神秘の時代であった。
そんな中、一人の魔術師がこう唱えた。「人と神とは、分けられた存在でなくてはならない」と。
 
ピラミッドの作成にも関わっていたとされるその魔術師は、数人の石工仲間たちに声を掛ける。
そして、人の成し遂げた偉業を"人の栄光"のままに保存する、という名目の伝承組織を立ち上げた。
彼は言った。「人が残した偉業を、伝説を、神話を、神の物にしてはならない」「人は、人であり続けるべきだ」と。
即ち、人類が為した偉業や発見した概念は、人類の物であると証明し続ける者たちが必要であると彼らは説いたのだ。
それは言うなれば、神という上位存在の否定。神が共にある時代においては、異端ともいえる主張であった。
 
時は流れ、時代は完全なりし人の時代へと移り変わった。
彼らの悲願……、人の栄光は人の物にという願いは、達成された。
人が概念を見つければその人の名が残り、人が発明を生み出せばそれは独占されずに世界へ行き渡る。
それはまさしく、かつての彼らの望んだ世界の在り方であった。神は死んだ。人の作り出した偉業は、他ならぬ人間の物として語り継がれる。
だが──────────
 
『こんなものでお前たちは満足なのか?』
 
異を唱える者たちがいた。名を、シオン修道会とデモレー団。誇り高きテンプル騎士団最後の騎士団長、ジャック・ド=モレーの残した騎士団たちであった。
まだ足りない。まだ乾いている。まだ人類には、発展に必要な偉業や発見が可能なはずだと。そのために、それを集わせ支援し、導く組織を創り出そうと、彼らは再び説いた。
その言葉の下に、彼らは再び立ち上がった。まだ伝達手段もない時代ではあったが、それでも彼らはまるで導かれるように、世界中で再び人類の"栄光"の為に動き出した。
それこそが「サンヘドリン」。ローマ帝国支配下のユダヤにおける最高裁判権を持った宗教的・政治的自治組織の名を基とした名前の通り、この世界・人類の「最高権威」を得るために作り上げられた組織であった。
 
立ち上がった彼らは、世界中で合わせて33の支部を作り上げた。
そしてその支部ごとに、魔術・科学・呪術・神話・精神学、ありとあらゆる分野を研究。現在の人類の生活、文明をより良きものへと昇華させる、繁栄のための概念を彼らは求めた。
時代ごとに変化を取り入れ、その時代に合わせた"議題"を掲げて、それを支部ごとに肯定と否定に分かれて取り入れる『二元命題』という試みも行った。
そうした33の支部間の切磋琢磨も手伝い、彼らは人の作り出す功績を今まで以上に作り出さんと手を伸ばした。新たな人類の大功を生み出さんと動き始めた。
だがしかし、その栄光への目標は、長き時を経て暴走へと変わっていく。
 
手段と目的は入れ替わり、彼らはただ人類の進化と繁栄を追い求めるだけの妄執と化した。利益追求だけを求める者たちが集い、腐敗を始める支部も多く目立ち始めた。
時は産業革命期。石炭・人員・金属、様々な人類発展のための"利権"が生まれては消えてゆく時代。そう言った利権争いは、発展という名の栄光を求める彼らですら逃れられなかった。
発展を、栄光をと手を伸ばし続ける盲目なる愚者たちや、利益に目が眩み正しき発展をさすれた権力者たち。さらにそれらに加わる形で、根源という目標の為に、発展のための技術を利用しようとする魔術師達も加わった。
そういった者たちによって、サンヘドリンは腐敗していった。33の統括達が集う円卓は、気が付けば栄光を求める場から、淀み腐った利権と権力、そして我欲が交錯し渦巻く代理戦争の場と化したのであった。
 
そしてそんな中、ある町での出来事を超え、世界中で聖杯戦争……即ち英霊召喚術式が発生し始めるようになったと報が入る。
英霊の召喚。即ち過去の人類史に在った栄光、伝説、偉業、神話の再現。彼らはそれに飛びついた。そして現最高統括司令であるアーベルデルト・ヴァイスハウプトが司令として就任すると同時に、1つの"命題"が掲げられた。
其れこそが『英霊』について。利用できるものが出現すれば、その利益を食らいあうのが人類というもの。結果彼らはその英霊という議題を中心に二派に分離した。永劫の栄華を得るためならば、過去の栄光を食いつぶし肥やしとするか、あるいは自らの手で偉業を新たに作り上げるか。
どちらにせよ、彼らが過去に在った伝説たる人理の極光、英霊を利用価値ある道具として見ていることには変わらない。その様はまさに、過去を喰らい、今に生かし、そして無為に帰す、人類の在り方の縮図であった。
 
 
これが、彼らサンヘドリンが作り上げられ、そして今尚も世界中で影響を持つ経緯であると言われている
実際にその物的証拠も、記録も残っているため、これが嘘であると疑う者はいない。だが、この記録だけが彼らの過去を物語る。
それは果たして、真実なのか否か──────────────────。
 

目的

当初こそ彼らの発足目的は、『人が残した栄光を、神の物にしてはならない』という、『人類の生み出した発明や発見、技術の保持』が目的であった。
だがしかし、その目的は長きに渡る年月の中歪み果て、「人類をより良き文明へと昇華させ、永劫に霊長として君臨し続けるための偉業を作り上げ続けること」という歪なものへと変化した。
それに加え、その発展後の利権などを狙う上層部たちが絶えず権力・情報・武力を用いて衝突しており、現在のサンヘドリンは非常に多数の陰謀と策略が交差し続ける淀んだ空気を見せている。
しかしただ権力と利権の為だけに争い合うわけでもなく、人類の生み出す技術や発見を保存するという役割は以前変化していない。そしてそれらの蒐集した人類の"栄光"を用いて、彼らはある共通する計画の為に動いている。
それこそ、『ニュー・ワールド・オーダー』。新世界秩序とも言われる新たなる世界体系を人類の生み出す栄光で作り出し、人類が永遠に霊長種として立ち続ける世界を作り上げる事こそが、現在の彼らの主流な目的となっている。
 
支部によって細かい行動指針と研究内容は異なるが、基本的にサンヘドリンの支部全ては、その新世界秩序構築の為に動いている。
そんな33の支部たちは、現在は主に彼らの派閥は2つに分かれる。先ほども述べた通り、世界中で増え始めた『聖杯戦争』に関連する事柄で、英霊利用に対する肯定派と否定派とで分かれている。
これは後述するサンヘドリンの大きな特徴とも言える「二元命題」の題材として、英霊の利用が掲げられたゆえである。
 

●英霊否定派

人類を発展に導くためには、まず古き遺産である英霊達に頼る前に、自分たちの手で新たなる路を作り出さねばならない、と考える一派。
そのためにまず、全人類の一括管理の上での資源管理、そしてその資源を用いた最先端技術の模索が第一の目標としている。故に過去の神話は必要なく、人類の遺産は既にこの世界には必要ないと考えている。
最先端技術を用いた人類の選別、そして管理をひとまずの着地点として各々の支部が動いている。それは言い換えるなら、人類の家畜化に他ならない。そして、その全人類の家畜化を完成させた更なる先を見据え、彼らは各々の願う計画を進めている。
主な計画は宇宙進出、人類総義体化、人類総起原覚醒、などが存在する。そのための主な手段として、根源到達やフォトンベルトによる全人類の突然変異など、多くの中間的手段を目指して研究を続ける支部や幹部が多い。
 
 

●英霊肯定派

彼らの源流である、エジプトの奴隷階級であった魔術師たちの思想を受け継いだ者たちからなる一派。
英霊という存在を、人類の発展の為に踏み台として役立てようと研究を進めている。そのための手段として様々な活用方法を研究している。
言い換えれば、人理の影法師たる境界記録帯を資源程度にまで貶める悪辣な集団である。その利用方法はさまざまであり、かつてドイツ・アーネンエルベが目論んだ『人造英霊兵団』を参考としたものや、ある偶然から数百年前に発生した『デミ・サーヴァント』を利用するために動き始めている支部など多岐にわたる。
穏健派が多いが英霊否定派閥に劣らぬ行動派が多く、実績も多いため規模は同程度。また穏健ではあるものの、人としての良識や常識を備えているとは決して言えないような危険な人物も数多く存在している。
また中には、人理の大敵や獣の英霊を人間に宿し操ろうとする輩も現れ始めている。そういった計画が実行に移されれば、その先に待っているのは、最悪の結末であろう。
他に特筆すべきことと言えば、英霊だけでなく人命も軽視しており、非道な人体実験に手を染める支部や幹部も多く散見される。
 
 

●その他

上記はあくまで大別であり、肯定否定の中には『英霊のクローンを作り上げそれらだけを人類とする計画』『手っ取り早くビースト召喚する計画』など、支部ごとに多くの派閥がある。
が、彼らは表向きには上にある肯定、否定派の皮を被って息を潜めている。だが肯定も、否定も、そのほかも、基本的に共通する思考が一つある。
それは、"英霊とは所詮使い魔である"という事。故に人権など考慮せず、その英霊の人格も、思想も、総て意味はないし、考慮もしない。あるのは唯、栄光という名の発展への妄執。そして、その発展の先にある利益を自らが独占するという、権力者の我欲だけである。
 
ちなみに、肯定と否定は33ある支部でそれぞれ16支部ごとに分かれており、余る1つは最高統括司令直下の第一支部、マザーロッジと呼ばれる場所が属する。
マザーロッジは完全に二元命題に対して中立的であり、基本はサンヘドリンの共通の目的である、新世界秩序。ニューワールドオーダーによるワン・ワールド・モデルの完成を目指している。
その目的の為ならば人口の削減、薬物、間引き……、彼らは人類の管理の為ならば手段は問わない。
またマザーロッジは他に、歴代サンヘドリンの蒐集した人類史の栄光の管理を業務としており、そのために歴代ロッジ統括の転向も受け付けている。詳細は後述。
 
  

組織の特徴

彼らは基本、後述の33の支部に分かれてそれぞれの支部にて研究を日々行っている。
支部ごとに研究する内容は『魂と肉体について』『金銭への信仰』『各世界の神話の共通点』等といった哲学的、心理的分野から、『肉体強化』『デミ・サーヴァント研究』『宇宙開発』と言ったような、一般的な時計塔や各種企業と変わらない魔術・科学の研究などを行っている。
だがそれらの研究は基本的に外には出さず、それぞれの支部は後述するフロント組織を隠れ蓑として表向きの活動(例えば魔術師ならば工房や魔術結社、表社会ならば企業や新興宗教など)を行い、サンヘドリンとしての研究は決して表沙汰には流出しないようにしている。
年々その秘された研究は多角化を極め、近年では人の命や倫理を無視した冒涜的な研究を行う過激派の支部も存在している。だが基本的に支部ごとの動きは放任主義なため、そういった動きすらも取り締まられず、反感を抱く者たちが近年増加しているのも事実である。
 
支部は文字通り世界中に在り、ロンドンやマサチューセッツ、東京といった主要都市から、エジプト・カイロやベトナム・ダナンといった国にまで数多く分布している。
世界中に分かれる理由は、魔術の関係上、土地柄や風土に研究結果が左右されることも多いため。例を挙げるとするならば、風水や陰陽術を取り入れた研究をする場合は日本の支部で執り行う。
 

光明名

サンヘドリンの33ある支部の統括が与えられる二つ名。
彼らがサンヘドリンの幹部に至った動機や目指す未来、そして『いつか掲げる栄光』を示すもの。この二つ名を魂に刻み付け、そして名乗りを上げることにより、その名と意味に由来する恩恵を受けることができる。
統括になると同時に行われる儀式により、魂へと刻み付けられる名前であり、死を以てのみ剥奪が可能。
この"死"が意味するのは肉体的な意味ではなく概念的な死。即ち"統括としての死"を意味する。文字通り死ぬか、総てを後継に託すかなどすることで名は失われ、そして二度と蘇ることは無い。これは即ち、サンヘドリンの幹部を辞退した者はその後一切サンヘドリンの幹部に再び返り咲くことは出来ず、秘密も持ちだせないことを意味する。
 
この光明名がもたらす恩恵は、まさしく十人十色でさまざまである。
例を挙げるとするならば、金の為に統括となったのならば多くの金を呼び寄せるきっかけを呼び、知識の為に統括となったのならば、その知恵を得る機会をより多く手に入れることができるようになる。
ただしあくまでも呼び寄せるものは"好機"であり、その名前そのものが力を持つわけではない。交渉事ならば自分に有利な情報を、研究なら成功への道筋を、戦闘ならば勝利への光明を示す。だが統括となる人物ならば、それだけの好機を十二分に生かせるだろうという話である。
 
だが、その力には対価がある。対価には代償型戒律型の2種類が存在する。
『代償型』は、その名前を名乗って恩恵を受けたら、組織にその利益を何割か還元するというもの。
『戒律型』は、その名前に背いた行動をとると同時に、その背いた行動にふさわしい罰を受ける、というものだ。
 
前者は分かりやすいだろう。後者の例としては『智慧のため』の場合『決して知恵を得れる機会から逃げない』といった具合で、もし逃げた場合は永劫に新たに知恵を得ることは出来ずに白痴となる……と言った具合である。
与えられる戒律、背いた場合の罰は千差万別だが、罰はどれだけ軽くても受ければ二度とまともな生活は送れないと思われる。
ただし、代償型の場合は組織に還元する割合が、戒律型の場合はその名前に込められし戒律が統括就任時の儀式で事前に宣告されるため不利益な契約ではない。
 
 

隠された記述

とある聖杯戦争において、サンヘドリンの幹部が1名命を落とした。
その程度は取るに足らない日常的な茶飯事であったが、その男はサンヘドリンの目を盗み1つの情報を外へ流出させた。
それは、その男が生涯をかけて記述した"サンヘドリン内部から見た"光明名の真実。ただ"自分も利益を得たい"というエゴが為に死をも厭わずしてつかみ取り、そして残したサンヘドリンの心臓部。此処では、その手帳に記された記述の一部を紹介する。
 
『光明名とは、魔力を貯める器である』
器というのは弊害があるかもしれないが、例えば塩を解かした飽和塩水に紐を垂らすと結晶が付着するだろう。それに近いものだと考えれば正しいかもしれない。
彼らはサンヘドリンの頂点に立ち、周囲からの『信仰』を集める。その信仰とは、神が人から離れ、人が人を畏怖する感情の事を表し、それを集積して魔力へ変換することを意味する。
感情を魔力へ変換するという技術は、記憶を魔術へ変換させる理論に非常に近いと伝えられている*2。事実、現サンヘドリン司令であるアーベルデルトが使用する魔術は記憶と感情の魔力への相互変換術式である。
これらの光明名にためられた信仰、並びに魔力は、その名を承った統括が死ぬことで"還る"とされている。……………が、"何処へ"還るのか、"誰が"還しているのか。までの記述は発見されなかった。
 
残りの真実は、随時解読が終了次第追記を考える。
 
 

 
 

『二元命題』

上記に、英霊の肯定と否定という意見の対立が現状であると記述した。
だが、歴代のサンヘドリンを振り返るに、33の幹部はほぼ必ずと言っていいほどに意見が割れていた、という。
例を挙げれば、石油利権や工業利権、世界中で起こる戦争・紛争、そして新しく生まれる技術や思想の取り扱い、こういった新たなる技術など、栄光…つまり発展へ繋がる存在は、必ずと言っていいほどにサンヘドリンを二分したらしい。
それらの利権争いなどを明確にするべく、古くからサンヘドリンには、「ある1つの概念に対し、同数の肯定/否定の意見に分かれて互いに切磋琢磨せよ」という暗黙のルールがある。
いつ頃からあるかは不明だが、おそらくは複数の権力者が集うサンヘドリンで必要以上の争いを生まないための過去の統括指令の取り決めなのだろう。
 
その対立の中心に置かれる議題は俗称として『二元命題』と呼ばれる。最高統括指令の掲げた議題が基本的にその二元命題として、十数年間程扱われると暗黙的に決まっている。
もっとも、いちいち言葉として義務付けなくとも、海千山千の統括らならば、基本的に新時代に活用できる技術にはある程度目を付ける為、が分かるためあまり義務付ける意味はないらしいが……。
 
基本的に二元命題は、最高統括司令が新しく就任した際に掲げられる。
二元命題は特殊な状況を除いて、これの肯定と否定派が同数になることが望ましい。理由としてはこの二元命題が生まれた理由が「互いに切磋琢磨して人類を発展させてゆこう」という願いから来たためである。
あまり傾きすぎるようならばその代の最高統括司令が複数の統括に声をかけ、第一支部であるマザーロッジへの転向を誘う。マザーロッジへの転向に関しては後述する。
 

隠された記述

曰く、二元命題とはサンヘドリンのシステムの根幹に関わっていると噂されている。
かつて、ゾロアスターと呼ばれる預言者が語った宗教において、世界は善と悪の二元に分かたれているとされた。
二元命題とは端的に言えば、その善悪二元に照応する形で、サンヘドリンという組織そのものを『極小の世界体系』として構築する役割を果たすための機構である。
 
それを念頭に置けば、現在のサンヘドリンという組織が掲げる『新世界秩序の構築』という、最終的な目的も色合いが変わってくる。
人類の栄光を蒐集し新たなる世界を構築するのではなく、文字通り新たなる世界を構築する事こそが、サンヘドリンの真なる目的だとしたら?
だとすれば、彼らが人類の生み出す技術や発見を蒐集するのも、その生み出す新たな世界の為の"簒奪"なのではないか、という考察も可能である。
 
 
そして、
サンヘドリンという組織が極小の世界体系を構築しているというならば、光明名とは、一体何を指し示しているのか。
詳細が分かり次第、記載を続けるとする。

 
 

組織の表と裏

サンヘドリンという組織・共同体は基本的には表出はせず、存在は秘匿されている。
だがその影響力は表・裏社会共に絶大である。これらは矛盾するようであるが、彼らは主にサンヘドリンの名は出さず"表向きの顔"を用いて社会に影響を与えているためである。基本的にサンヘドリンの支部、並びにそのトップに座す幹部たちは表社会、及び魔術社会においてサンヘドリンとは別の組織や団体として巧妙にカモフラージュされている。
 
カモフラージュされている先は幅広い。
表向きな地位を持つ者たちは世界的な企業やマスコミュニケーション団体、あるいは新興宗教など。裏社会ではマフィアや密売組織など。
魔術世界においては大規模な魔術研究機関から、小規模な私設魔術工房など。このように、所属する社会や規模は非常に多岐にわたる。
 
これらのような、サンヘドリンが表向きの顔として持つ組織・並びにその傘下である下部組織群は「フロント魔術組織」「フロント企業」などと定義される。(暴力団のそれと同じようなイメージで考えてもらってよい)
これらフロント組織の所属人数も様々であり、世界的な企業など数千人を簡単に動かせる幹部もいれば、小規模な工房の一主として数人しか部下を抱えない幹部も存在する。だが基本的にどれほどの規模のフロント組織であったとしても、その組織がサンヘドリンの一部であることを知るのはごく一握り。名前だけは聞いていても、企業グループ名の符丁としか思わないような社員が大半であろう。
 
だが近年、「自分がサンヘドリンである」と触れ回る幹部が増えてきている。
これは、各ロッジの自治に多くの裁量を任せる本部の放任主義が裏目に出たものと言える。
表社会での顔を重要視する幹部であれば、『サンヘドリンとしての顔』を知った者を厳重に抹殺、または証拠を隠蔽し偽装してシラを切ることもあるが、そういった判断は幹部それぞれの気質に多くを委ねられるのだ。
結果として、サンヘドリンという組織の存在自体はそれなりの噂として広まりつつあるのが現状だ。
 
サンヘドリンの第一ロッジ、つまり本部は表向きには『グランド・カウンシル』と呼ばれる魔術組織・友愛結社として、表社会と魔術世界の双方に影響力を持つ存在となっている。
基本的には社交界や魔術社交界(もちろんそれぞれの境界は個別であり交わらせない)向けの社交場を開き、主催者はコネクションの仲立ちとして影響力を示す。他の活動としては、世界各地に点在するオカルト組織を取り込んだり、家督の低い魔術師達の小規模協同研究機関の設立などにより魔術の開拓・研究を行っている。
研究機関は家柄や財力の無い魔術師にとって魅力的な進路先でもある他、時には時計塔から居場所を無くした魔術師たちに、隠れ蓑として提供して囲い込んで数を増やすこともある。
 
フロント魔術組織群

組織名備考
グランド・カウンシル表社会ではフリーメイソンとも呼ばれる友愛社交団体、魔術社会では貴族的魔術師同士の社交場。サンヘドリン本部の建物は、表向きにはこの団体ということになっている
『波旬』の統括する魔術組織群大本はマサチューセッツ州にある小規模の魔術組織を基点としている。それを中心に世界中の小規模の魔術結社を取り込んで人体実験の材料を集めている。主な研究は人間と英霊の垣根を超える研究などと言った、人間を主体としたもの
ドモレー・インターナショナルデモレー団とも呼ばれる、キリスト教に連なる健全な肉体と精神をはぐくむための教育組織。フランソワーズ・ド・ランベールがトップを務めている。主にサンヘドリンにとって優秀な人材を育成する為の場所。
ドロシア・マクブライドの魔術工房デンマークにある魔術師の工房。ドロシアの目標たる『全人類の義体化』にシンパを感じた魔術師達が集って日々研究している。
黄金の夜明け団正確にはサンヘドリンが直接的に支配していたわけではないが、一応記載する。黄金聖杯戦争に於いて、その設立者の1人ウィリアム・ロバート・ウッドマン?の背後にサンヘドリンが存在したという過去が示唆されている。

 
フロント企業群

組織名備考
グェンフェード・ロックベラーの持ち株会社たち全米で五本の指に入るほどの資産を持つ彼の創設企業「イルミナス・ソフト」をはじめとして、その傘下となる十数の子会社は全てサンヘドリンの息がかかっている。産業、工業、アミューズメント、カジノなど、その経営は多岐にわたる。
趙 俊照の従える裏社会の人々中国の裏社会で多大な影響力を持つ、と噂されているが詳細のほどは不明。"群青"や"白銀"と2つ名を持つ『猟犬』と呼ばれる私兵を所持している。
ラク・ロン運送黄龍焔 雲仙が支配する世界的な運送業者。本社はベトナム・ダナン。基本的などのような物品であっても世界中から世界中に届ける。神秘的な触媒などの輸送も管理している。
三木島技研三木島聡の父が社長を務める日本の重工企業。元々は彼の父がサンヘドリン幹部だったが、下克上により今は息子である三木島聡が幹部となっている。
ロシアにある小さな孤児院ロスティスラフ・バイルシュタイン?が営む孤児院。本当の顔は、世界で多発する聖杯戦争で身寄りを喪った世界中の子供たちへの援助を行う組織。規模こそ小さく見えるが、その実態はかなり多方面と関係を持つ組織である。

 

隠された記述

ある悪鬼の仕組んだ聖杯戦争において、サンヘドリンの真実が語られた。
それは────『サンヘドリンは実在しない』という、突拍子もない事実だった。曰く、サンヘドリンは過去と未来が入り混じった異変に乗じてこの世界に降臨した存在だという。
故に世界中の歴史や文献にその存在が散見されるが、その全ては偽りであり、ただ「歴史上の空白」にサンヘドリンという組織が挟み込まれたに過ぎないのだという。
本来、サンヘドリンの中核を成す「外の存在」は、この世界には存在する事すら許されない概念なのではないか、とすら推測された。
 
サンヘドリンの幹部の1人、『波旬』はそれを否定しなかった。
それだけではなく、彼は死の直前に異形の本性を現した。さらにその異形は、まるで世界から拒絶されるかの如く蒸発して消えていった。
まるで、上述の言葉を裏付けるかのように────────。
 
もしこの言葉が真実ならば、多くのサンヘドリン支部が表向きの顔を持つ理由も推測がつく。
即ち、既存の組織の裏側に「サンヘドリンとしての顔」を形成する形で、サンヘドリンに潜むナニカが寄生したという仮説である。
だがこれはあくまで仮説であり、真相が分かり次第こちらに真実を記載する。

 

厳密なる呪体、聖遺物、触媒管理

彼らはその研究主体という組織の体形上、神秘の触媒たる呪体や聖遺物なども取り扱う。
しかし、時計塔からすれば外様も良いところであるサンヘドリンはそういった物の流通が少ない。そのため彼らは、研究に加え世界各国に眠る聖遺物や神秘の触媒の採掘にも力を入れている。
エジプトやベトナム、インドなどといった中東にかけてはこういった触媒は発掘されることが多い。そのため基本こういった物の輸出入はベトナム・ダナン支部の黄龍焔 雲仙に一任されている。
 
それぞれのランクとして特級、一級、二級、それ以下と分けられており、こういった物のランク付けと、現在どの支部がいくつ保有しているかの管理は趙 俊照が行っている。特級は非常に数が少なく、十数個ほどしかないため、研究に使用する際は複数人の統括の許可が必要。それぞれのランクの選定基準は以下の通り。
 

ランク基準主な触媒、聖遺物
特級純度の高い神代の神秘を宿すもの、あるいは現代ではどうあがいても再現できない神秘を持つ代物『天獄階門の欠片』、トロイアの城壁、他
一級紀元前8世紀~5世紀頃の神秘を宿すもの、あるいはそれら以前の英霊を召喚出来る物円卓の破片、アレクサンドリアの灰、他
二級霊墓アルビオン深部で採掘可能などといった、現代でも再現がある程度可能な神秘あるいは平均的サーヴァントを呼びだせる可能性を持つ触媒精霊根、八連双晶、キメラの牙、他
それ以外基本金を積めば現代でも購入が可能な触媒。あるいは英霊を召喚できるゆかりの品魔術鉱石、など

 
 

『■■■』

悪性樹。カルデアが観測した1900年ごろの聖杯戦争にて初めてその存在が観測された、正体不明のナニカ。
全ての計器では"虚"としか観測されず、それを視界にとらえた全ての魔術師や英霊は「あってはならないもの」と認識するほど存在。
カルデアのマスターとサーヴァントの協力によって崩壊。特異点収束と共に消滅したが、その正体は最後まで掴むことは出来ずにいた。
サンヘドリンと関係が無いと思われていたが、過去の聖杯戦争に於いて背後にサンヘドリンの影があったことが判明し、何らかの関係があると思われていた。
 
そしてサンヘドリンが聖杯戦争を根絶するために引き起こした大儀式、聖餐杯黙示録?にて再び世界に顕現。
居合わせた魔術師と英霊達の協力によって伐採に成功するが、崩壊する直前、光明名を持つ存在────即ちサンヘドリンの幹部らを吸収・捕食するかのような動きを見せた。
既に死亡していたDr.ゼロ・リバース?ジ・スモーカーの死骸に加え、その場に居合わせたダニエルやジェイコブなどと言った生きている幹部らも吸収し消滅していった。
 
現在分かっている情報は限られた物しかない。
顕現すると同時に非常に強力な英霊を召喚する、あるいはその場の英霊を変質させるなどして、『守護者』とでも言うべき存在を創り出し共に戦闘を行う。
ビーストと対になるクラス、ヒューマンと化したヘレナ・P・ブラヴァツキーや、ゾロアスターに語られる英雄神の汚染存在ワルフラーン【独善】などがいた。
それに加えて悪性樹自身も非常に強力な力を持っており、伐採には7基以上の英霊の協力が必要不可欠となっている。
他に、基本的に『聖杯』を核としているらしく、伐採するとその中心から聖杯が出現するのが主となっている。
 

 
 

組織体系

先も述べたが、組織はまず大きく分ける事で大本部と33の支部に分かれる事になる。これは、古代の彼らがまずは世界中で大小さまざまな組織の一員として潜伏していたことに起因する。
それぞれの支部は、大幹部たる存在……通称『統括』達が支配しており、その支配度は支部ごとに異なる。表社会で非常に大きな権力を持つ者もいれば、非常に強力な魔術を保持する魔術師など多種多様。
誰も彼も海千山千の強者達であり、特徴としてはあらゆる手を用いて己を貫く我の強いものが多い。中には死徒など人ならざる存在もいると噂されている。
 
それぞれの支部は、基本は年に1度程ある導き手の集う円卓会議以外で会うことは少なく、それぞれが個々に、組織の掲げる計画や自分たちの個別の計画を進めている。
よく言えばスタンドアローン。悪く言えば連携が取れていないため、個々の支部を襲撃された場合には弱い。この反省を生かしているのか、最近は個人的な用事や、権謀策略などで支部同士が交流を持つことも多々ある。
実際にいくつかの支部は壊滅させられた事もある……のだが、トップは『その程度の』事は全く気にせず、まるで使い捨ての武具が錆びついたから変えようとでも言わんばかりの気軽さで、次の幹部を選出する。
 
以下に大本部と支部のそれぞれの概要、組織体系の詳細を示す。
 
 

●大本部

別名:マザーロッジ。
イギリスに所在を置く、世界中に存在するサンヘドリンの支部を取りまとめる場所。
表向きには魔術的組織「グランド・カウンシル」の本拠地という扱いとなっており、魔術社会に於いて影響力が高い。時計塔の重鎮らとの社交界や、歴史の或る魔術の名家との研究協定を結ぶなどその人脈は多岐にわたる結社として名が知られている。
見た目こそは通常の洋館だがその本質は地下。地下に魔術により広げられた大規模の工房が広がっている。その広さは時計塔の一学部の面積に匹敵する。先述の通り表向きには一魔術組織の本拠地程度ではあるが、地下ではどのような研究が行われているかは一切が不明。非常に悍ましくも、怪しい魅力を発する場となっている。
 
上記でも少し触れていたが、後に判明した事実によると、基本的に研究をしているのは"世界統一政府への研究"。
栄光を掲げ、発展を築き上げ続け、そしてその先に待つ理想郷への研究であるが、あくまでこれは基本的な目標でしかない。
その本質とは"歴代サンヘドリン支部が作り出した技術の保持・発展"の為の場所。二元命題により分かれていた意見が傾いたとき(即ち、大きく有利になる意見が出現した時)、その傾いた天秤(即ち有利、発展している意見)側にその当代の司令が声をかけこのマザーロッジの一員とする。
内部にはその時代の最先端の科学技術と最古の魔術触媒の双方が揃っており、あらゆる分野での一流の研究を可能にする。それらにより、その発展に繋がる各支部の技術を保有し、尚且つ発展し続ける、いわば"箱舟"ともいえる役割を持つモノこそが、このマザーロッジの真の姿なのである。
 
支配人は、サンヘドリンの全てを支配する『サンヘドリン最高統括司令』を兼任する男、アーベルデルト・ヴァイスハウプト
壮年の男性であり、対面するだけで緊張で鼓動が高まり、跪きたくなるほどの恐ろしくも高いカリスマ性を持つ。数十年間姿が変わっていないだとも、実は死徒だとも、デミ・サーヴァントだとも言われているが詳細不明。
 
 

●支部

別名:ロッジ。
世界中に点在し合計で33存在し、それぞれの主な活動は支部ごとに異なっている。支部ごとに企業や魔術組織などの表向きの顔を持つため表社会や魔術世界での顔も効く。
基本的にサンヘドリンとしての活動に加えて、これらのフロント組織に準じた研究や技術探索を表向きに行っているロッジも多い。
だが中には個人的な魔術工房を持っている個人主義の魔術師もおり、彼らは実力を見込まれ幹部となっていることが多い。そういった魔術師達は先述したフロント組織として己の魔術工房を据えることが多い。その場合はサンヘドリン幹部としての部下もあまり持たず少数精鋭での活動と研究を主に行う形となる。
 
支配人は、各々のロッジごとに異なる統括が担当する。統括は『表向きには』平等である。
が、実際には統括の中にもランクがあり、特に世界の主要都市13にある第一~十三ロッジの支配人を担当する者たちは、最高統括司令の直属の大幹部と特別視され、通称『特位十三導手(オリジンズ・サーティーン・オーダー)』と呼ばれている。
この13人は最高統括司令1名に加え『英霊否定』派閥、『英霊肯定』派閥よりそれぞれ6名の統括を内包する。
 
ロッジ統括の中には、ロッジの支配人と表向きの顔を使い分ける魔術師や企業家も存在し、先述のフロント組織で表社会に地位のある組織を隠れ蓑として選択している者に多い。
また他にも、協調性のない……即ち個人主義の、"ロッジメンバーを持たない統括"も存在する。そう言った者は珍しくなく、基本はスポンサーとしての立ち位置にサンヘドリン、および先代ロッジが入るという形になる。
実力が見込まれた魔術師が基本であり、時計塔で研究を続けられなくなったものや異端と追いやられた物も多い。何も表社会で生まれる技術や思考だけが、人類を発展させるものではないと、個人主義でロッジ(スポンサー)を背負い、自らの研究続けている。
 
 

組織構成員

長いので折りたたみ
ロッジナンバー名前光明名備考
1アーベルデルト・ヴァイスハウプト全にして一、永遠にして結実(オーフェンバログ=オーベルテューレ)最高統括司令、『特位十三導き手』
2『波旬』第六天魔・波旬英霊肯定派、『特位十三導き手』、消滅
2安曇義治英霊否定派、『特位十三導き手』波旬の死に代わり統括就任
3グェンフェード・ロックベラー天は長し、地は久し(エターナル・ヴァリュー)英霊否定派、宇宙開発推進、『特位十三導き手』、死亡
4フランソワーズ・ド・ランベール審判の代行者(ドゥームズ=ディ)英霊肯定過激派、『特位十三導き手』
5Dr.ゼロ・リバース?生まれざる命への回帰(ノン・ボーンド・ゼロ・リバース)英霊否定過激派、英霊絶滅計画推進、『特位十三導き手』、死亡
6ダズ・タードック英霊肯定派、『特位十三導き手』、死亡
7マハラジャ・クリドニス・マハラシュトラ?(ジ・ユニヴァース)英霊否定穏健派、『特位十三導き手』、離脱
8『特位十三導き手』
9黄龍焔 雲仙臥龍転生(ビギニング・ジ・エンド)英霊否定派、『特位十三導き手』、離脱
10『特位十三導き手』
11『ミステリオ』紋様の織り手(クローステール)英霊否定派『特位十三導き手』
12『特位十三導き手』
13アントワーヌ・ナンシー英霊肯定穏健派、『特位十三導き手』
14クラウディア・ヴァイスハウプト終末を舞え、械律の奴隷(ワールズエンド・ダンスホール)英霊否定穏健派
15狂火鮮戦狂叫の刹迅鬼(シン・デッド・ライン)英霊肯定派、離反
16聖間砂霧継ぎ接ぎ死体へ贈る華(フランティック・フランケン・フィロソフィア)英霊肯定派
17ドロシア・マクブライド我が手に集うは機構の輝き(アーティフィカル・イデァル)英霊否定派、全人類義体化推進、離脱
18
19アースガルズ・ディアマンテ憎悪に染まれ、我が追憶(クライング・ウォーモンガー)英霊肯定派
20
21『アザミ』堕ちた翼への手向け人(ディープ・ダイヴァー)英霊肯定穏健派、離反
22
23ジ・スモーカー揺蕩うは我が骨子(ジ・スモーカー)英霊否定派、全人類起源覚醒推進、死亡
24秋鷺 柳背水の陣(オール・イン)英霊肯定派、死亡
25三木島聡降り積もる死のその先へ(ビヨンド・ザ・フォールアウト)英霊肯定派、死亡
26霧六岡 六霧魔攻破邪神シン・デミウルゴス英霊否定派、神秘帰依推進
27ジェイコブ・シェイフィールド黒白の処刑人(グレイ・エグゼキューター)英霊肯定派、死亡
28ペルセフォネ・Z・フィッツジェラルド紅蓮に盛れ、我が妄執(クリムゾン・リヴェンジャー)英霊否定穏健派
29ダニエル・T・クリフォード我が眼前に道はなく、我が背に路は在り(ロード・オブ・ロード)英霊肯定派、死亡
30アントニオ・ガルシア・ロペス万有無能の回帰機構(オムニポーテンス・リアニメイタ)英霊否定派
31ロスティスラフ・バイルシュタイン?死に往くならば、誓いと共に(ロスト・ユア・プレッジ)英霊否定過激派、聖杯戦争根絶推進、離脱
32趙 俊照(チョウ・ジェンシィ)英霊肯定穏健派
33冷澤重助昏き瞳の外れ者(ジューダス・コキュートス)人類否定派
特別外部顧問メルヒオール・ゲッテンシュタイン焉が二人を引き裂くまで(ゲッテルデメルング)英霊? どうでもいいわよ。夜伽を邪魔しなければ

 
現在空き枠(離脱者、死亡者の後釜枠を含みます)
●英霊否定派
9席(内"特位"枠4席)
●英霊肯定派
11席(内"特位"枠4席)

 
 

SS

倫敦の地の底にて
基本幹部集合。サンヘドリン開幕
 
悪窟へ向かいし狂人の詩
シェオール・プラスへの導入。異変へと向かう狂人の話
 
マサチューセッツ聖杯戦争導入
シェオール・プラスにて狂人が持ち帰った技術が、サンヘドリンに変化を起こす。
 
散りし花弁、汝の名は
マサチューセッツにて命を落とした、一人の少女サンヘドリン現統括の過去。
 
黒き霧は、野望を前に宙に舞う
ある聖杯戦争の前日。1つのエクストラクラスとそれを利用せんと誓う男の話。
 
胡蝶は月下に飛翔する
先の聖杯戦争により流出した情報と、聖杯戦争に向かう狂人の前日譚
 
痴人は花畑の夢を見るか?
先の聖杯戦争によって最終段階へ向かった計画の話

終わりは、決して救いではなく
 
 

関連セッションと、そのセッションでの動き

女神天征悪窟シェオールプラス
霧六岡 六霧が参加した1つの異変。突如として再現されたシェオールにサーヴァントを連れた彼が挑んだ。
首謀者アンビバレンスの用いたエクストラクラス「アルターエゴ」の概念を、霧六岡がサンヘドリンに持ち帰ったのが1つの契機となる。
 
 
マサチューセッツ聖杯戦争
霧六岡の持ち帰ったアルターエゴという概念は、『波旬』という男の下でサンヘドリン第二ロッジによって研究された。
3体の試作デミ・アルターエゴが創り出されていたが、サンヘドリンの手違いにより脱走。彼らを捕縛するためにサンヘドリンは偽りのカバーストーリーを創り出して討伐を決行した。
目論みは成功し、デミ・アルターエゴ3体は聖杯戦争に紛れる形で討伐された。だがしかし、その際に死んだ1人────正確には、その元となった実験体────が運命を変える。
 
 
聖杯戦争
デミ・アルターエゴが討伐され、英霊肯定派が押されてきた頃合い。
英霊を利用しようと最初に声を上げたサンヘドリン幹部、三木島聡が聖杯戦争に参加。聖杯を狙うべく動き出す。
だが敗北し、どうせ死ぬのならば────と、まるで負け惜しみか、あるいはヤケになったかのように自らが知ったサンヘドリンの情報全てを、聖杯戦争で同盟を組んだ魔術師に流す。
その流された情報は人を渡り、組織を渡り────。欲に目が眩んだ輩はサンヘドリンに囚われたが、その情報は様々な組織を渡って生き続けている。
やがてその情報は、ある1つの事件の引き金になるが、それはまだ先の話である。
 
 
水曲市聖杯戦争
水曲市にて起きた聖杯戦争。そこではサンヘドリンの今後を大きく揺るがす事態が発生した。
サンヘドリン幹部が1人にして、極論的な人間賛美を至上とする男、霧六岡 六霧が再び聖杯を求めて活動。
彼は「人が輝くさまを限界まで見たい」というごくごく個人的な欲求の為だけに、聖杯戦争に於いて参加したマスターを、1人を除いて全員殺害。
最終的に生き残った、魔術組織車輪の砂トップ、ザイスティス・コールマンと一騎打ちの末に、敗北。
聖杯を持ち帰れなかった上に、車輪の砂とサンヘドリンの全面抗争が幕を開ける事となる。
 
 
痴人の前に夢を説く
車輪の砂との全面抗争が幕を開けたサンヘドリン。
だが同時に、小規模の聖杯戦争などを通じて聖杯をリソースとして十分な量を確保。それによりとうとう長きに渡る新世界実現計画が動き始める。
その手始めとして、彼らは日本のある都市にて聖杯戦争を発生させ、そこで1人のマスターにある英霊を召喚させた……。
 
冷澤重助。サンヘドリン33ロッジ統括にして、夢遊に微睡む精神病患者である。
彼は常人を遥かに超える被害妄想力を持つゆえに、サンヘドリンによって人為的に改造が加えられ、その精神で周囲を侵食するように改造が施されていた。
 
そして彼が召喚したサーヴァント、デマゴーグ
「英霊への悪評という悪性情報」から創り出された彼は、まさしく英霊特効と呼ぶにふさわしい存在だった。
その脅威度から、聖杯戦争に参加した魔術師とサーヴァント、その全てを敵に回す結果となる。
 
だが、デマゴーグの討伐により、彼の内部の悪性情報が冷澤へと逆流し、彼の能力が覚醒。
その被害妄想を周囲へと流出させ、全てを敵として認識する強固な"閉ざされた自我"が完成するに至る。
最終的に冷澤はサンヘドリンへと回収されるに至ったが、事態はこれで終わりではないと聖杯戦争参加者たちの脳裏に深く刻み込まれた。
 
 
ナヴァ=ラサを冀うアレキシサイミア
冷澤重助の"稼働"が済んだサンヘドリンは、ある実験を取り行おうとする。
真正悪魔を宿す少女、ザドキリア・フュールシュタインの内部にデマゴーグの悪性情報を流し込み、平行世界のルシファーと接続し降臨させようと試みた。
だが、その情報をあらかじめ外部に流した何者かの手により、その聖杯戦争に駆け付けた魔術師達が阻止。最悪の事態は回避された。
しかし────その聖杯戦争を仕掛けた、サンヘドリン最悪の幹部、『波旬』が彼らの前に立ちはだかる。
 
『波旬』はその聖杯戦争の中で、敵対者たちを挑発するかのような言動で弄ぶ
だが結果として、人質としていたザドキリアの父により、サンヘドリンの最奥の秘密を暴かれる事となった。
 
それは、「サンヘドリンは実在していない」ということ。
 
かつて起きた、過去と未来が渾然一体となる現象────人理渾然により、その存在を無理やり人類史に挟み込んだ、歪なる闇の組織であることが判明する。
数多の英霊による集中砲火を受け、とうとう『波旬』はその肉体を崩壊させる。
同時に出現する、その醜悪なる本性。はたしてサンヘドリンの正体とは、真の目的とは、そして『波旬』とは何だったのか?
1つの謎が明かされると同時に数多の謎が現出するという結果でこの事変は幕を閉ざした。
 
 
東京幻想聖杯戦争
サンヘドリン崩壊の序曲が鳴り響き始めていた頃、1人の少女が東京での聖杯戦争に参加していた。
名を、『アザミ』。かつてサンヘドリンの幹部として生きていたが、あるきっかけでサンヘドリンを裏切った少女である。
彼女はある友人がサンヘドリンに人質に取られているも同然となったために、サンヘドリンでその高い能力を発揮していた。
だが、その友人がサンヘドリンの実験の結果、呆気なく死亡して処分された事を知り、サンヘドリンだけでなく世界に失望。
今までサンヘドリンとして多くの人を死なせた罪を償う為に、サンヘドリンの知り得るすべての情報を世界に向けて流した後に自害しよう、と心に決めていた。
 
しかし、参加した聖杯戦争は巨人スルトが召喚され特異点と化す
タイムリミットに追われる中、スルトを討伐するために協力した人々から、
及び彼女が召喚したサーヴァント、ジョン・ハンターから生きる事に意味を見出す事を教わり、生きる決意をする
そしてその戦いの中で、サンヘドリンに対して敵対的な魔術師、組織が自分が思うより多いという事を知り、その組織や魔術師達と協力する事を決意。
まだ自分にはやるべきことがある。償うべき罪があるとして、彼女は前を向いて歩きだすのであった。
 
 
黄金聖杯戦争
1900年頃のイギリスで発生した特異点。カルデアが解決したもので。
一見するとこのサンヘドリンセッションとは関係が無いと思われるが、その実大きな関係性があった。
 
黄金の夜明け団がこの聖杯戦争では中心となるのだが、その創設者の1人、ウッドマンはフリーメイソンに所属していた。
彼はフリーメイソンの最奥にて、『33の光明の徒』に接触。結果「魔術師には絶望しかない」という悪性情報を植え付けられ、アルターエゴとして再誕した。
その後、アグリッパの遺した「地獄を顕現させる詠唱」と共に、自らの霊基を拡大変容。巨大なる虚ろな樹木────仮称『悪性樹』を顕現させる。
 
結果的にそれはカルデアに伐採されるに至ったが、果たしてサンヘドリンとどのような関係があるのか────。
真相は不明である。
 
 
聖餐杯黙示録?
サンヘドリンの英霊否定派たちが長きに渡る計画をとうとう動かし、この世界から聖杯戦争を根絶するための儀式『聖餐杯黙示録』を開始した。
『アザミ』からの情報を基に集まったサンヘドリンの敵対組織や、聖杯戦争と聞き集まった魔術師。果ては偶然英霊を召喚した者までもが集い、サンヘドリンの野望を阻止するべく動く。
聖杯戦争の神秘が世界へと流出する寸前、サーヴァントワルフラーンが降臨し聖杯戦争は特異点へと変貌。サンヘドリンの野望は阻止されたかに見えた。
────が、サンヘドリンはワルフラーン並びに魔術師達を敵視。彼らを排除するために動き出す。
 
聖杯戦争根絶を狙うサンヘドリンと、それを阻止するべく動く魔術師達。
互いに譲れない意思をぶつけあい、彼らは首謀者たるグェンフェード・ロックベラーのもとへと辿り着く。
『アザミ』が用意した呪詛の弾丸によりグェンフェードの光明名は破られたが、その瞬間に趙 俊照(チョウ・ジェンシィ)が乱入。
グェンフェードを殺害の上、悪性情報を彼の肉体に流し込むことで、黄金聖杯戦争と同じく『悪性樹』を顕現させるに至る。
 
悪性樹は破壊され、町の被害は聖杯によって修復された。
だがそもそも、悪性樹とは何なのか? 悪性樹がサンヘドリンの幹部たちを死に際に飲み込んだ意味とは? サンヘドリンの本当の目的とは?
疑惑は生き残ったサンヘドリンの幹部たちにも広がり、マハラジャ・クリドニス・マハラシュトラ?をはじめとした数人の幹部がサンヘドリンから離脱する結果を生み出した。
彼らは今後『アザミ』と協力しつつ、サンヘドリンが本当に行おうとしている結果がどういったものなのか、光明名の仕組みや二元命題の真相を調べるべく動くという。


*1 見りゃわかるわとか言わないで
*2 FGO事件簿イベント等参照