【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】
Illustrator:ろるあ
名前 | エヴァ・ドミナンスXII |
---|---|
年齢 | 容姿年齢22歳(最新型都市監督官) |
職業 | ペルセスコロニー配属の監督官 |
- 2023年3月2日追加
- 『KING of Performai The 4th』マップ進行度1 エリア1完走(55マス)で入手。
- 該当マップの開催及び入手期間は2023/5/10(水)まで。
- 対応楽曲はTo:Be Continued。
- トランスフォーム*1することにより「エヴァ・ドミナンスXII/調和の機神」へと名前とグラフィックが変化する。
機械種の本拠地・ペルセスコロニーの現監督官。
地上を脅かす真人を排除するため、動き出す。
名前の数字の読みはおそらく「トゥエルヴ」だが、綴りは対応楽曲の作曲者二人が「SOUND VOLTEX II -infinite infection-」からデビューした事にも掛かっていると思われる。*2
スキル
RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
---|---|---|
1 | 道化師の狂気【SUN】 | ×5 |
5 | ×1 | |
10 | ×5 | |
15 | ×1 |
道化師の狂気【SUN】 [ABSOLUTE+]
- 一定コンボごとにボーナスがある、強制終了のリスクを負うスキル。コンボバースト【NEW】よりもハイリスクハイリターン。
- 道化師の狂気【NEW】と比較すると、同じGRADEでもこちらの方がボーナスが1000多い。
- SUN初回プレイ時に入手できるスキルシードは、NEW PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
- スキルシードは400個以上入手できるが、GRADE400でボーナスの増加が打ち止めとなる。
効果 100コンボごとにボーナス +????
JUSTICE以下50回で強制終了GRADE ボーナス 1 +7000 2 +7010 3 +7020 11 +7100 21 +7200 31 +7300 41 +7400 61 +7600 81 +7800 101 +7995 ▲NEW PLUS引継ぎ上限 102 +8000 142 +8200 182 +8400 222 +8600 262 +8800 302 +9000 342 +9200 382 +9400 400 +9490 推定データ n
(1~100)+6990
+(n x 10)シード+1 +10 シード+5 +50 n
(101~400)+7490
+(n x 5)シード+1 +5 シード+5 +25
プレイ環境と最大GRADEの関係
開始時期 | 所有キャラ数 | 最大GRADE | ボーナス |
---|---|---|---|
2023/10/12時点 | |||
SUN+ | 12 | 145 | +8215 |
SUN | 13 | 301 | +8995 |
~NEW+ | 0 | 401 | +9490 |
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 | 10本 | 11本 | 12本 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 6 | 8 | 11 | 14 | 18 | 22 | 26 |
7 | 3 | 6 | 8 | 11 | 14 | 17 | 22 | 26 |
16 | 3 | 6 | 8 | 11 | 14 | 17 | 21 | 26 |
21 | 3 | 5 | 8 | 10 | 14 | 17 | 21 | 25 |
40 | 3 | 5 | 8 | 10 | 13 | 17 | 21 | 25 |
51 | 3 | 5 | 8 | 10 | 13 | 16 | 20 | 24 |
73 | 3 | 5 | 7 | 10 | 13 | 16 | 20 | 24 |
84 | 3 | 5 | 7 | 10 | 13 | 16 | 20 | 23 |
91 | 3 | 5 | 7 | 10 | 13 | 16 | 19 | 23 |
102 | 3 | 5 | 7 | 9 | 12 | 15 | 19 | 23 |
139 | 3 | 5 | 7 | 9 | 12 | 15 | 19 | 22 |
169 | 3 | 5 | 7 | 9 | 12 | 15 | 18 | 22 |
217 | 3 | 5 | 7 | 9 | 12 | 14 | 18 | 21 |
248 | 3 | 5 | 7 | 9 | 11 | 14 | 18 | 21 |
267 | 3 | 5 | 7 | 9 | 11 | 14 | 17 | 21 |
302 | 2 | 4 | 6 | 8 | 11 | 14 | 17 | 20 |
349 | 2 | 4 | 6 | 8 | 11 | 13 | 17 | 20 |
377 | 2 | 4 | 6 | 8 | 11 | 13 | 16 | 20 |
397~ | 2 | 4 | 6 | 8 | 11 | 13 | 16 | 19 |
所有キャラ
- CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
- イロドリミドリマップで入手できるキャラクター
バージョン マップ キャラクター SUN イロドリミドリ
~途惑いのクリスマス編藤堂 陽南袴
/途惑いのクリスマス編イロドリミドリ
~途惑いのクリスマス編桔梗 小夜曲
/途惑いのクリスマス編イロドリミドリ
~途惑いのクリスマス編芒崎 奏
/途惑いのクリスマス編
- ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
※1:同マップ進行度1の全てのエリアをクリアする必要がある。
バージョン マップ キャラクター SUN オンゲキ
Chapter2早乙女 彩華
/闇夜の挑戦状藤沢 柚子
/DREAM PARADE※1SUN+ オンゲキ
Chapter3高瀬 梨緒
/無敵のツーマンセル※1星咲 あかり
/無敵のツーマンセル※1
- 期間限定で入手できる所有キャラ
カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。
また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。※1:同イベント進行度1の全てのエリアをクリアする必要がある。
- マップが撤去されたキャラクター
バージョン キャラクター SUN エヴァ・ドミナンスXII
- マップが撤去されたキャラクター
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | スキル | |||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
スキル | ||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
スキル | ||||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
・・・ | 50 | ・・・・・・ | 100 | |
スキル | スキル |
STORY
ストーリーを展開
EPISODE1 二分される世界 「創造主である我々に牙を剥き、あまつさえ革新者を 名乗るとは……分をわきまえさせる必要がありますね」
機械種と帰還種の殲滅をかかげ、真人強硬派の頂点に君臨する聖女バテシバが引き起こした戦争――バテシバ戦役。
聖女に焚きつけられ、己の死すら顧みなくなった真人たちの軍勢は、機械種の機動兵器や防衛網を打ち破り、中枢であるペルセスコロニーを陥落させた。
その勢いのまま、ペルセスコロニー東部から北東部に点在する都市を接収したバテシバ軍だったが、ある時を境に急激に衰えてしまう。
聖女バテシバの死。
彼女が崩御したという報せは瞬く間に戦線を駆け巡り真人たちの結束を容易く瓦解させてしまったのだ。
結果、機械種はその機に乗じてペルセスコロニーを奪還し、勢力図は再び塗り替わっていった。
彼女の死後、機械種の上位存在であるシステムは、この事態を引き起こした聖女バテシバの意志を継ぐ者が新たに現れると予測し、新たに思考調整を施した12世代型監督官を各地に投入した。
その監督官の1機、エヴァ・ドミナンスⅩⅡは新たにペルセスコロニーを任された機体である。
着任した彼女が最初に行ったのは、バテシバの侵攻を食い止められなかった前監督官アイザック・ドミナンスⅤⅢの罷免だった。
その後エヴァは、遠距離操作が可能なペルセスコロニー以西のコロニーを次々と停止させていく。
コロニーが地上再生の要だったのは過去のこと。既に世界の脅威となり果てた真人をこれ以上増やさないためにも、真人を生み出す人工子宮の稼働を停止させる必要があると判断したのだ。
コロニーの停止は、都市を巨大な演算装置として利用するメタヴァースシステムにとっては大きな痛手となったが、安全にシステムを運用するためには、真人の根絶が絶対条件だったのである。
かつて真人たちは、強硬派と穏健派に別れ敵対関係にあり、機械種と共に戦った者もいた。だが、エヴァにとってはどちらも同じ真人に過ぎない。
即座に処分こそされなかったが、寿命を迎えた者たちから姿を消していき――いつしか穏健派と呼ばれていた者たちは世界から姿を消してしまう。
12世代型監督官による真人根絶計画。白と黒だけで塗り分けられる“完璧”な世界の果て。
そこに、真の安らぎは訪れるのだろうか。
EPISODE2 人を狂わすモノ 「穏やかな死か苦痛に満ちた死か……死に方ぐらいは 選ばせてあげましょう」
真人は創造主であるシステムによって、地上の再生を行うために都合よくデザインされた存在である。
制御された思考。抑えこまれた感情。弄られた寿命。
それらの“枷”は絶対不変の理として真人たちの中に刻まれていた。
だが、これは運命の悪戯か。
幾重にも張り巡らされた枷は、真人自らの手で外されることになったのだ。
――覚醒者バシアン。
そして、彼の遺産を引き継いだ指導者エイハヴの手によって。
エイハヴの研究がもたらした福音は、ごくわずかな真人の寿命を飛躍的に伸ばし、人工子宮の再利用を可能とする技術の基礎を築いたのだ。
その技術を向上させていった結果、本来であれば緩やかに死滅するはずだった真人は、その数を徐々に盛り返していく。
「生への渇望……真人の感情というものは、厄介なものですね」
事態を冷静に分析していたエヴァは、機動兵器を用いた侵攻、制圧も検討していた。だが、バテシバ戦役での汚染や地上資源の急激な枯渇は機械種の主命である帰還種の生存環境を脅かしかねないと判断。そこで、真人たちを自滅へと導く計画を立案する。
それは、真人が立ち入ることのできない決死圏――防衛網の構築と、近く資源の枯渇から行われるであろう決戦への動線を引くことだった。
「その感情、私が正しく導いてあげましょう」
“渇望”は思考を縛り、“欠乏”は視界を狭める。
感情は進化を促すが、その動きは読みやすくもあるのだ。
ペルセスコロニーが位置する大陸の西から北東にかけて伸びた鋼鉄の防衛網。
具現化された拒絶は、エヴァの想定通り強硬派を焚きつけ、戦争へと駆りたてていくのだった。
「私はアイザック・ドミナンスⅤⅢと同じ轍を踏むつもりなどない。持続的な戦闘など必要ありません、一度の戦争で十分な成果をあげられるのです」
続けてエヴァが取り組んだのは、都市決戦に備えたペルセスコロニーの兵器転用。
万が一、真人たちがペルセスコロニーに攻めこんできた場合、兵器化した都市機構で一網打尽にする計画だった。
「目前にぶら下げられた勝利に、彼らは思考を奪われ血眼になって中枢を目指すことでしょう。彼らのために用意された墓標だとも気づかずに」
エヴァが中空に投影したコンソールに触れる。
白一色に統一された司令室内は、たちまち夕陽に照らされた銀の街並みへと映り替わった。
「仮にここが陥落したとしても、膨大な数の真人を道連れにできるのです。どちらに転んでも、破滅への筋書が変わることはない」
淡々と語るエヴァの瞳が、弧を描く。
右目に施された刻印は、近い将来に築かれるであろう真人たちの亡骸を弔うように、青白く冷たい光を放っていた。
EPISODE3 決戦へ向かう世界 「些事を繰り返したところで大局に変化はない。それを 理解できないとは、所詮は旧世代型……惨めですね」
聖女バテシバの死から十数年。
世界の行く末は、エヴァの予測通りに決められた未来へと向かいつつあった。
そんな中、エヴァの計画に不満を抱いていたアイザックは、直属の部隊である遊撃隊を率いて真人の殲滅へと乗り出す。
だが、いくら前線で真人を始末しても、それは小さな流れ――分流に過ぎない。
どれだけ奮闘したところで、巨大なうねりとなった本流に飲みこまれ消えゆく定めなのだ。
そして、強硬派率いる大軍勢が防衛網へと攻撃を仕掛けたことで、いよいよエヴァが描いた筋書が現実のものになろうとしていた。
真人と機械種、それぞれの思惑が交錯する中、扉が開かれる。
決戦の先にある未来を掴み取るために。
――
――――
ペルセスコロニーから遥か東に位置するカンダールコロニーの外殻部の防壁に、ひとり佇む女の姿があった。
胸の前で腕を組んで仁王立ちする女は、遠方に浮かぶ輸送艇の一団を見やる。
船の先頭に等間隔で灯る光は救難信号だ。
船とコロニーとの通信を聞き、事情を把握した女はぽつりとつぶやいた。
「風が強くなってきたか……」
吹きすさぶ風に煽られ、黒いコートの裾だけがバサバサとけたたましい音を打ち鳴らす。
以前は身体をすっぽりと覆うほどの大きなコートだった。やせ細っていた頃の身体なら、きっと風に吹かれて飛んでしまっていたことだろう。
だが、今の彼女にそんな危うさは微塵もなかった。
成長した身体に見合うように、黒いコートが彼女をしっかりと包みこんでいる。
不意に女は口の端を吊りあげてニッと笑った。
「あの子たちのことだから、きっと大丈夫。だから、私は私の責任を果たさないと」
その時、ひときわ強い風が、頭のフードを後方へと押しやった。視線は流されるように背後に広がるカンダールの都市へと注がれる。
「もう私を護ってくれる人はいないけど、あの子たちにはまだ必要だから。あ、心配しないで! 寂しくなったら時々思い出してあげるね――」
女の唇が誰かの名前を形作る。
だが、その声は風に乗ってかき消された。
「じゃ、行ってきます」
彼女が立っていたはずの場所は、初めから誰も存在していなかったかのように、ただ陽光を乱反射するだけだった。
ただひとつ、力強く咲く白い花を残して。
EPISODE4 悪性プログラム 「あり得ない、私の計画に狂いなどあるわけが……」
「ようやく会えたな、エヴァ・ドミナンス」
「――何故、ここに真人が」
エヴァは、目の前で起きている事象を正しく認識することができなかった。
否、自身が今置かれている状況は把握できている。
万全の策を弄してきたが、この事態が発生する確率は限りなくゼロに等しい。いくつもの偶然が“運よく”重ならなければ成立しないはずだった。
それが起こり得たということは、エヴァすら感知せぬ見えざる一手が差しこまれたのだ。
(戦術が、戦略を凌駕したとでも!?)
戦場に突如出現した大型機動兵器という不確定要素はあった。
髑髏の意匠をたたえる機動兵器の突貫力は、完全に想定の範囲外だ。しかし、その程度でも決して揺らぐことのない綿密な計画を築き上げてきたはず。
その証拠に、ペルセスコロニーを陥落させられると確信し、感情の赴くままに侵入してきた真人たちをハルモニアが殲滅したのだから。
だが、現実は違った。
目の前の男は、戦線を越え、ハルモニアの攻撃をかいくぐり――ここにいる。
「都市を丸ごと戦略兵器にする策は見事だ。だが、いくら策を弄した所で、小さな綻びがあってはそれも意味をなさない」
「工作? あり得ません。我が防衛圏が過去に突破された事実など、一度足りとて……」
「フ、つくづく愚かだな。その前提が間違っている」
「間違っている? いえ、そんなはずが……」
エヴァは即座に都市機能の異常をチェックした。
結果、こちらの指示を受けつけない隔壁が一箇所だけ存在していること、司令室に続く経路の防衛システムに細工が施されていたことに気づく。そこが侵入経路と見て間違いない。
だが、不可解だったのはハルモニアの起動から数分で独立した隔壁を見つけ突入するのは非現実的すぎた。
「14年前、とでも言えば理解できるか?」
土壇場でそれを可能とするには。
導き出された答えは、ひとつ。
「獅子身中の、虫……!?」
「ご名答」
エヴァの預かり知らぬところで動いていた謀略。
もしこの瞬間のために練られた計画だとすれば、エヴァが今まで築き上げてきた地盤そのものが大きく揺らぐことになる。
(被造物ごときが……!)
白亜の空間に、男の足音だけが響く。
エヴァの駆体と直結している中枢塔司令室は、都市機能やハルモニアの制御を単体で行う区画だ。
そのため、ここに配備している兵はおらず、手配したところで駆けつける前に決着は着くだろう。
(ですが、所詮相手は真人。機械種であるこの私が、万に一つも負ける要素などない……!)
エヴァは、あえて淡々と言葉を紡ぐ。
「あなたひとりで、私に勝つつもりですか? たかが抜き身の銃ひとつで」
その一言は、一笑にふされた。
「終わっているんだよ、エヴァ。私がここに踏みいった時点で、すでに勝敗は決している」
「気でも触れましたか。やはり真人には欠陥があるようですね。感情に突き動かされ、機械種との絶対的な差すら理解できなくなるとは」
「フッ――インキュナブラ」
「ァ――――?」
それは、魔法の言葉だった。
囁かれた言葉を感覚機器が捉えた途端、エヴァ自身を支えるシステムに、異常を知らせる警告が無数に生じていく。
(何が……起き……れ、レレ……)
視界は警告で埋め尽くされ、表示された数値が目まぐるしく書き変わり、明滅を繰り返す。
エヴァの身体に異常をきたさせたものの正体は、監督官であるエヴァの動きを封じるためだけに組み上げられた悪性プログラムだった。
「な、ぜ……」
その言葉を最後に、エヴァは操り糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。
「重畳だ」
男は、何度も不規則な動きを繰り返すエヴァの虹彩を眺め、頬に深いしわを刻む。
そして、エヴァが身体の自由を取り戻す前に中枢塔へ接続されていたケーブルを引き抜くと、懐から端末を取り出し、エヴァの身体へと挿しこんだ。
次に携行するバックパックを床に下ろし、手際よく分解すると別の形へと組み上げていく。
完成したのは、小型の担架のような器具だった。
男はエヴァを拘束すると、誰にともなくつぶやく。
「バテシバ様。ようやく貴方様の願いが現実のものとなるのです。永遠の救済はまもなく訪れるでしょう。あなた様が望んだ、終わりの始まりが――」
男は、突然何かに視界を奪われたかのように大きくよろめいた。頭を掻きむしり、何もない空間を勢いよく振り払う。
「わ、私は……カイナン・メルヴィアス……断じて、貴様などでは……ない……!」
荒い息遣いだけが室内に反響する。
その声に反応し、エヴァは動きを止める直前に男の顔を見た。
人物を正しく認識する機能が麻痺した影響だろうか。
見上げた男の顔は、さっきまで対峙していた人物とは違う誰かを幻視していた。
EPISODE5 生きた証を 「エヴァを送り届けてしまえば、このカイナンとしての 役目も終わりを迎えるのだろう。だが、私は……」
司令室を去ったカイナンは、外で待機していた配下の兵たちと合流した。
兵たちが敬礼で返すと、視線は直ぐにカイナンの隣で横たわる機械種へと注がれる。
「カ、カイナン様……この機械種は……」
「今は時間がない、一刻も早くここを出る」
「……し、承知しました」
困惑する兵たちに何も答えず、カイナンは足早に元来た道を突き進む。そんな態度に顔を見合わせる兵たちだったが、職務を放棄するわけにもいかず、慌てて追随するのだった。
(ヴォイドたちが状況を把握し、我々の居場所を突き止める頃にはすべてに決着がついているだろう。精々、勝利の余韻に浸っているがいい)
多少の妨害はあったが、無事に発着場へと到着したカイナンたち。戦闘艇に仕掛けがないか確認を終え、エヴァを積みこもうとした矢先、中枢の異常を察知した機械兵たちが続々と集まって来ていた。
「チ……ッ、発艦を急げ!」
カイナンが船の起動を急かすが、準備が整う前に船を制圧される可能性が高い。
情報が漏れないよう、できる限りの小規模編成で行動していたカイナンにとって、完全に捌ききれる状況ではなかったのだ。
(セロめ……奴の策も十全ではなかったか)
「カイナン様! このままでは……!」
殺到する機械兵たちに制圧されるのも時間の問題。
そう誰もが思い始めた時、別の通路から発着場へと乗りこんでくる者たちがいた。
カイナンらと同じく小隊規模の真人たち。
手練れに混じって、挙動が怪しい新兵らしき女もいたが、この状況を打破するには十分すぎる援軍であった。
注意が逸れている間、カイナンと共にエヴァを搬送していた兵は船に最も近い機械兵たちを排除し船へと乗り込んだ。
「よし、今のうちに出航しろ!」
「待て! お前たちは何処の所属だ!」
怒声にカイナンが振り返ると、こちらへと銃を向けて威嚇する男たちが立っていた。
そのうちのひとりが、小隊のリーダーなのだろう。
「な……貴方は、カイナン様? ご無事だったのですか?」
「ああ、運よく機械種の攻撃から逃れられてね。さて、私にはやることがある。残りの機械兵は諸君らに……」
「お待ちください、その後ろにあるのは機械種ですね。一体、どこに連れて行こうと言うんです?」
男の指摘に、カイナンの眉尻がピクリと上がる。
時間にしてほんのわずかでしかない筋肉の強張り。
だが、それだけで男には十分だった。銃を握る手に力がこめられたそのひと刹那――
緊張を破る一発の銃声が響いた。
「た、隊長ォ! この……ッ!!」
カイナンの銃から放たれた弾丸が、男の肩を貫く。
「ぅ……ぐァ……」
「出航しろ!」
「は、ハイ!」
貨物室のハッチが閉じられる。撃たれた男の苦し紛れの銃撃は、分厚い鉄板に遮られてしまった。
「待てぇぇぇぇ!!」
そこへ新兵らしき水色の髪の女が、叫びながら船に駆け寄ってくる。女は銃の引き金を何度も引くが、残弾が空になっていることに気づいていないようだ。
すると、何かが当たるような軽い金属音が船内に連続して響いた。どうやら手当たり次第にあるものを投げつけているらしい。
だが、船が動き始めると次第にそれすら聞こえなくなり――やがてコロニーからの脱出に成功するのだった。
――
――――
「カイナン様、無事に空域を離脱できました。今のところ、追手の反応はございません」
「重畳だな。引き続き周囲への警戒を維持しつつ、指定座標へと向かってくれ」
「承知しました」
操舵手に指示を下し、カイナンは貨物室へと足を運ぶ。薄暗い室内には、鉄の棺に閉じこめられ身動きが取れなくなったエヴァが安置されていた。
「……」
カイナンは棺の上に腰掛ける。エヴァが沈黙したまま動きを見せないのを確認すると、暇を持て余していた片方の手で棺の縁をそっとなぞり上げていく。
不意に、小さな溜息がこぼれた。
「これをサマラカンダへと運べば、私の役割も、私自身も終わりを迎えるだろう」
カイナンの言う終わりとは、自身の中に巣食う男セロ・ダーウィーズの記憶による侵食に他ならない。
機械種との争いが重大局面を迎えるのを待っていたかのように、セロの記憶は急激にカイナンを蝕みつつあったのだ。
意識の混濁と定着は今も進んでいる。
見覚えのない光景に、リフレインするセロとバテシバの言葉。
記憶が曖昧になる日もあった。一度でも意識を失えばその瞬間から“カイナン”でなくなると恐怖したこともある。
「ああ……、分かっている。分かっているとも!どれだけ抗っても、意味をなさないということは!それでも、私は……」
それでも、カイナンは最後まで抵抗し続けると心に誓ったのだ。
「私には見届けなければならないことがある。その日までお前にこの身体は渡さんぞ、セロ」
己自身へと語りかける言葉に、返事はない。
EPISODE6 集いゆく信徒たち 「アハ、怒られちゃった♪ でも、今のカイナンは 興味わいちゃうなぁ、どんな目をしてくれるんだろ?」
長い航行の末、一行を乗せた船はサマラカンダへとたどり着いた。
サマラカンダは、バテシバ戦役時代の影響を色濃く受けた廃棄都市である。所々に汚染や破壊の痕跡を残したまま放置されていた。
機械種側としても戦後間もなかった状況で僻地にある都市を立て直す優先度は低かったことから、登録が抹消されたままになっていたのだ。
――だが、それは過去の話。
黄金時代、ここは青の都と呼ばれていたことがある。
当時の面影はすっかり形を潜めてしまったが、そこには代わりとでも言うように、紺青の色をたたえる鋼鉄の都市がそびえ立っていた。
『――あー、あーあー! お帰りー♪ ちゃんと脱出できるなんて、やるじゃーん!』
戦闘艇からの通信を受け、即座に反応を示してきた男の声。もはや聞き慣れているとはいえ、相変わらず気の抜けた陽気さにカイナンは思わず顔を歪ませた。
「まったく、これで門番が務まるとは思えんな」
『いい加減、信用してくれてもよくない? この前もカイナンはー』
「そのやかましい口を閉じろ! 私はバテシバ様の元へ機械種を届けねばならんのだ!」
『…………あいあいさー!』
程なくしてサマラカンダを覆っていた薄い膜のような障壁が消えていく。そして、都市の一区画が沈みこみ、中へと続くドックが姿を現した。
着艦を済ませ、兵士たちが貨物室から棺を運び出す。
その光景を呑気に眺めていたロトに、カイナンは苛立たしげに問いただした。
「依代の女はどうなっている」
「もちろん、調整は進んでるよ。俺様、ちゃんと仕事はこなしてるからね~♪」
「……フン」
ロトの方を見ようともせず、そのままカイナンは都市内部へと歩を進める。ロトはそんな態度に何かを感じ取ったのか、カイナンの背中に向かって叫んだ。
「ねえ! “聞こえ”てるか分かんないけどさぁ~、死にたくなったらいつでも言ってよ! 俺が殺してあげるから♪」
「……この世界には等しく滅びが与えられる。死を論じるのは時間の無駄だ」
カイナンは一度も振り返らなかった。
避けられぬ運命に抗う男の後ろ姿に、ロトはただ手首の飾りを打ち鳴らすように手を振る。
やや遅れて口ずさんだ口笛は、どこか物悲しげな音色を響かせていた。
EPISODE7 聖女に捧げる墓標 「すべての元凶たる破滅の聖女……貴女はこの世界に 不要なのです。この私が、審判を下しましょう!」
バテシバ戦役の最終局面において侵攻された都市のひとつであるサマラカンダ。紺青の都市がシステムから見放され、再生が行われずにいたのにはもうひとつの理由があった。
当時この都市を治めていた監督官が強襲された結果、緊急時に行われるはずのネットワークの遮断が施行されずにいたためだ。
バテシバの信徒であるセロたちは、多くの都市を接収する中でネットワークの仕組みを解析し、順序だった手続きを踏まなくては都市とネットワークとの完全な切り離しが行われないことを突き止めていた。
そして、バテシバの信徒たちの悲願を成就するために最も条件が整っていたのが、サマラカンダだったのだ。
拠点となる都市を手に入れたセロは、サマラカンダの存在を隠し、より安全でより秘匿性の高いバテシバのための墓標を作り上げた。
続けてセロは、彼女が求めたモノの確保に着手する。
「バテシバの器となるに相応しい完全なる肉体」と「システムにアクセス可能な最新の監督官の素体」。
これらを確保し、依り代となる器にバテシバの意識情報を定着させることで完全なる存在に生まれ変わらせようとしていたのだ。
――しんと静まり返る都市中枢部。
いくつもの巨大なポッドが鎮座し、それらとつながる大小様々な無数のチューブは、何かを流しこむように等間隔に振動を繰り返している。
それはあたかも、生命体における血管のような役割を果たしていると言っても過言ではない。
この都市をひとつの生命体と仮定するならば、都市を護る外殻は骨であり、ポッドは臓器であり――そして、その中で安らかに揺蕩(たゆた)う少女は、脳なのだ。
時間の流れすら置き去りにされたかのような空間に、複数の靴音が響く。エヴァを搬送してきた兵たちだった。
彼らはポッドの近くに置かれた複数の台座のうちのひとつに棺を設置すると、そのまま棺に備え付けられているプラグとコードをつないでいく。
そして、最後の一本を接続しようとした瞬間。
微動だにしていなかったエヴァの両眼が、突然見開かれた。
棺を破壊し、油断していた兵たちを薙ぎ払う。
エヴァの動きは鈍かったが、機械種の力は未だ健在だった。
「随分と甘いですね、カイナン・メルヴィアス。慢心の感情は、破滅を招きますよ?」
「エヴァ・ドミナンス……」
カイナンが咄嗟に口ずさんだ制御プログラム。
それを聞いてなお、エヴァは平然としていた。口の端を吊り上げてエヴァは笑う。
「さあ、もはや逃げ場はありません。私がじっくりと教えて差し上げましょう。我々に歯向かうことの無意味さを……」
十字の虹彩が青白く色づく。
台座から降り立ち、カイナンへ迫るエヴァだったが、不意に視界の端に映りこんだ何かに気づき、それに吸い寄せられるように振り返った。
「な、何故……ここに……」
眼前に佇む巨大なポッド。
そこで揺蕩い続ける女の顔。
エヴァは、自身の預かり知らぬ計画が進行していることへ激しい反応を示した。
「またしても我らの障害となるのですか、破滅の聖女よ!」
EPISODE8 そこに芽生えたもの 「私も、世界も、無力で他愛のないたったひとりの女の 感情によって、呑みこまれるとでもいうの?」
世界を滅びに導く聖女バテシバ。
今に至るまでの様々な争いの元凶となった女の体が保存されている。
生死は不明だが、目蓋が微かに痙攣していることからなんらかの方法で生き永らえている可能性が高い。
この事実を目の当たりにしたエヴァは、すべての労力を情報処理に回し、あらゆる選択肢を羅列する。
そうして、数多の選択肢の中から、最も起きてはならない最悪の結末を導き出した。
「このために私を破壊しなかったのですね。私の権限を使い、メタヴァースシステムとの接続を果たし……システムにバテシバを送りこむ。狂っている、お前たちは本当に救いようがないな!」
「そうさせたのは、我々を道具のように扱い見限ったお前たちだろう。理想の人類も、神を気取るシステムも我々には必要ない!」
カイナンはポッドへの被弾を避け、身ひとつでエヴァへと迫る。それに連動するように四方から兵士たちも突撃するが、戦闘形態に移行した機械種を止めることは困難だった。
金属の身体が生半可な攻撃で傷つくことはない。
兵士たちは数秒程度の足止めしかできず、瞬く間に物言わぬ肉塊と化していく。
「終わりです!」
哄笑を上げながら、エヴァの拳がポッドへと叩きこまれた。
「ぐ……ッ……」
――直後、痛みを押し殺すような苦悶にうめく声が木霊する。
エヴァの拳は、身を挺してポッドの前に立ち塞がったカイナンの身体に吸い込まれていたのだ。
「……っ」
「理解できませんね。その行いになんの意味が?」
冷ややかな視線を投げかけるエヴァ。彼女の青白い腕を伝ってこぼれ落ちる赤い液体が、床に歪な放物線を描いていく。
「まあいいでしょう」
「計画は成就した。この私が……成就させたのだ!」
「そうですか」
言い終わらぬうちに、エヴァはカイナンの身体ごとポッドに腕を叩きつけた。
破裂音に混じって、ポッドの破片と粘性を持った液体が辺りに散乱していく。
そして、浮力を失った肢体は液体に押し流され、無防備な姿のまま床に転がり――ぐしゃりと生々しい音が空気を震わせた。
静かに振り下ろしたエヴァの脚が、赤い花を散らす。
「これで、あなた方の努力はすべて失われました。真人の計画など、しょせんは――」
『ええ、とても面白い余興でした』
「……は?」
脳核を直接震わせるような、鋭くも甘い声。
その正体を確かめようと振り返ったエヴァの視界は、洪水のように押し寄せる白い波に飲みこまれ……途絶した。
視界を取り戻したエヴァは自分がどこにいるのか認識できなかった。
そこは、すべてが白で塗りたくられた世界。
「――私は、確かにバテシバを葬ったはず」
バテシバを踏み抜いた記録は、確かに残っている。
だが、今起きている状況とはまるで結びつかない。
「あのプログラムの影響が残っているのでしょうか」
『いいえ』
「ぁ――?」
白の世界に、無彩色の何かが跳ねる。
液体のように見えたそれは、直ぐに姿を変えていき――次第に人の形をとった。
それは、葬ったはずの女の姿。
「バテシバ……ッ!」
『滑稽ね。機械種なのに随分と人様の真似がお上手』
「戯言を、確かに貴女は破壊されたはず」
『夢よ』
「……?」
バテシバの言葉の意味を、エヴァは理解できない。
プログラムである機械種が夢を見ることなどあり得ないのだから。
『貴方は、夢を見ていたのよ』
「夢など、弱き人間たちが逃避するための幻覚にすぎません。私に起こり得るはずがない」
『なら、願いかしら』
バテシバの言葉にエヴァは答えない。
だがそれを予期していたのか、バテシバは可笑しそうに口元を歪めた。
『貴方は、無意識のうちにそうあって欲しい、そうであるべきだと望んでしまったの』
「あり得ない、あり得るはずがない……」
――熱い。
『貴方はいつの間にか憧れていたのね。自分では理解できない感情というシステムに』
――痛い。
「ぐ……っ、ぁ……」
『おめでとう、エヴァ。貴方は人になれるの』
今、エヴァの中には感知できない何かが芽生えようとしている。
それが何なのか、エヴァ自身にも分からない。
答えを突き詰めようとするほど、頭が焼き付くような痛みを訴える。
「これは……夢? いや、ただの疑似記憶――」
『そんなことで苦しむ必要はないの、そっと身を委ねるだけでいい』
暗く濁った紅色の瞳が、エヴァを見据える。
痛みに苛まれる中エヴァが見た彼女の眼差しは、貧者に救いを与える聖者のようだった。
『お休みなさい』
エヴァを包みこむ白い腕。温かい胸元。
安らぎの中で、エヴァは理解する。
この内に芽生えているものこそが“感情”なのだと。
そして彼女は白の世界とひとつに混ざり合っていく。
彼女の痛みは、もう消えていた。
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