黄泉の盟主 ネルガル

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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ネルガル.jpg
Illustrator:巌井崚


名前ネルガル
年齢UNKNOWN
職業ネメシスプログラムの王『混沌の器』の一器

ティアマットの残骸より生まれた「混沌の器」七器のうちの一器。

混沌の器【 エリス / アレウス / ヴェルゼビュート / テスタメント / ストゥム / ネルガル / レヴル

戦闘力は低いものの、老獪な戦術を駆使する混沌の器の頭脳。

カードメイカー再録歴
  • 2022/1/6~2/2 「音闘気鍛錬の行?」ガチャ
  • 2022/10/13~ 「CHUNITHM CRYSTAL」ガチャ

スキル

RANK獲得スキル
1黄泉の門
5
10
15


黄泉の門 [CATASTROPHY] 

  • 満を持して登場したジャッジメント系統の最終形態。
    死神の鎌のハイリスクハイリターン版ともいえるスキル。
    FULL COMBO以上が前提となるが、シンプルで癖もなく、属性が[CATASTROPHY]のスキルとしては使いやすい部類に入るだろう。
GRADE効果
参考理論値:168000(8本+16000/28k)
共通MISS判定1回で強制終了
初期値ゲージ上昇UP (265%)
+1〃 (270%)
+2〃 (275%)
+3〃 (280%)

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 SPEC:ネルガル「この世界は、我々ネメシスの手によって正しく導かれ、統治されねばならぬのだ」


名前:ネルガル
年齢:UNKNOWN
職業:ネメシスプログラムの王『混沌の器』の一器。

 永久楽土メタヴァース。
 この電子の楽園は、荒廃した地上が再び穏やかに
暮らせるようになるまでの間、人類を格納するための
入れ物として造り出され、『神祖エクレール』と
呼ばれる『彼』によって管理されていた。
 だが、すべての人類を救うはずだった楽園は、
皮肉にも人類の手によって妨害されてしまう。
 その後、『彼』は神殺しの魔剣の名を冠する兵器に
滅ぼされることとなる。
 後に遺されたのは『彼』の代行者ともいえる
管理者たちとメタヴァースに芽生えた新たな生命。
この楽園に生み落とされた生命は、正しく管理され
等しく幸せを享受していくかに思われた。

 しかし、そんな幸せは泡沫の夢に
過ぎなかったのである。
 メタヴァースは、旧人類が産み落とした
侵略者『RG-XXX ティアマット』によって
蹂躙されてしまう。
 メタヴァース全土を巻き込んだティアマットと
代行者との争いは、辛くも代行者に軍配が上がる。

 世界は再び安寧を取り戻していくかに思われたが、
侵略者のもたらした毒は楽園の奥深くで根付き、
新たな種を生み出したのだ。

 彼らは『ネメシス』と呼ばれ、
それらを統率する上位種は『混沌の器』と称し、
楽園の浸食を開始する。

 その中でも管理者たちを翻弄し、
とりわけ危険視された存在が混沌の器を束ねる
智将『黄泉の盟主ネルガル』だった。
 彼は戦闘力こそ秀でてはいないが、
老獪な戦術を駆使する司令塔として
幾度もネメシスを支えてきたのである。

 そして、彼の采配によって度重なる侵攻に
晒されて来たメタヴァースは、楽園とは程遠い
混沌とした世界へと加速していくのだった。


EPISODE2 世界の行末「永きに亘る闘争が、終わる。同胞たちよ、今こそお前たちの死に報いよう」


 ネルガルの指揮の下、メインフレームへと
侵攻すべく始まったゲート攻防戦は、思わぬ戦力の
登場により、まさかの大敗を喫してしまった。
 アレウスを大破させてしまったことに責を感じる
ネルガルだったが、その怒りを内に隠し、
ネメシスが支配する最外周領域をメタヴァースから
分断することを決める。

 彼にとっては苦渋の選択だ。
しかし、これがネメシスの進化を促すと信じていた。
 そして――時は過ぎ。
 再び楽園へと姿を現した彼らは、
今度こそ主導権を握らんがため、蠢き始める。

 永き時を経て独自進化した彼らは、
人を素体として再構成する技術を編み出し、
それを前線へと投入したのだ。
 代理構成体と呼ばれたそれらは、メインフレームの
防衛プログラムをいとも容易く破壊してみせる。

 素体が人であり、メインフレームが手を下しづらい
存在であること、さらに管理者であるメインフレームが
メタヴァースの安定化に力を割かなくてはならない
ことから、戦いはネメシスにとって圧倒的に優位な
状況となっていく。

 このまま徐々に支配を強めていけば、ネメシスの
悲願はそう遠くない内に達成されることだろう。

 「永きに亘る闘争に、
いよいよ終止符を打つ時が来た」

 この世界の行末を決める審判の日が
訪れようとしていた。


EPISODE3 フォノ・ゼニス侵攻「運命の矢は放たれた。我々はもはや立ち止まる訳にはいかないのだ」


 代理構成体による闘争の果てに、
ネルガルはネメシスの力がメインフレームを
凌駕していると判断した。
 そして、今まさに中枢領域への
侵攻が始まろうとした矢先。

 『反逆者レヴル』の報告を受け、
正体不明の代理構成体を破壊しに向かった
『埋葬者ストゥム』が消滅したことを知る。
 ネメシスが誇る矛が打ち破られたことに、
ネルガルも内心では驚きを隠せなかった。

 しかし、すでに賽は投げられている。
 侵攻を止める訳にはいかないのだ。
 不足の事態であったとしても、
放たれた矢は元には戻れないのだから。

 侵攻が始まり、程なくしてメインフレームの
防衛の要『エテメンアンキ』は陥落した。
 侵攻速度は想定よりも速い。
これには少なからず、ストゥムの死が
影響していると言えるだろう。
 この勢いを利用しない手はない。
これを足掛かりに突き進んでいく。

 「このまま一気呵成にフォノ・ゼニスを攻める!
皆の者、牙を突き立てるのだ!」

 ネルガル率いるネメシスの大軍勢は、
ついに中枢領域フォノ・ゼニスへと踏み入った。

 流石にメインフレームの中枢なだけあり、
エテメンアンキ以上に苛烈な反撃が行われるが、
それは織り込み済みである。
 この戦いは長引けば長引くほどに不利だ。
つまり、いかに素早く中枢領域を
制圧できるかが鍵となる。

 ネルガルは待ち構えていた最古たちへ、
それぞれ相対する者を差し向けた。
 アレウスはセラフィータと、エリスはワイズマン、
ヴェルゼビュートはジェフティと。

 攻防に長けたテスタメントとレヴルは、
ネルガルと共に中枢を目指し、歩を進める。

 混沌の器と最古。
 最後の戦いが幕を開けた。


EPISODE4 滅びを運ぶ方舟「なんだ貴様は……?私はネメシスの悲願を、成就させねばならんのだ……」


 ネルガルは、最古たちを各個撃破するために
戦力の分散を図る。結果、防衛網の一点に穴を開け、
ネルガル率いるテスタメントとレヴルは
中枢へ至るゲートを守護するシエルと相対した。

 「もうここまで来るなんて……予想以上ね。
でも、これ以上は通さない!
『最古』の名にかけて!!」

 彼女はメインフレームの最高戦力である
セラフィータに匹敵する力を持つ最古だ。
セラフィータと違う点は、強力な遠距離攻撃と
防御結界を展開してくるところである。
 ならば、こちらもネメシスの最高戦力を
ぶつけるだけのこと。

 「破壊の申し子たちよ、ここは任せるぞ!」

 いかにシエルとはいえ、テスタメントとレヴルの
二人が繰り出す攻撃を凌ぎきることは不可能だろう。

 「アハハ、八つ裂きにしてあげるよッ!」
 「我が同胞の仇! 死をもって償えっ!」

 この守護者を倒せば、中枢へと王手をかけるのは
決まったようなものだった。
 戦いが始まろうとしたその瞬間。

 遥か後方から明滅した光。
 それは、一瞬だけキラリと輝いた後、
超高速でこちらへと近づき――戦闘態勢に移行した
レヴルに衝突した。

 彼女を中心に発生した莫大なエネルギー。
それは空間をまるごと揺さぶるかのような
激しい衝撃を生み出した。

 繭のような形をした超高速転送装置が
もたらした破壊は、強固な鎧に身を包んだレヴルを
機能停止にまで追い込んでしまうのだった。

 「な、何が……?」

 目の前に広がる光景は、ネルガルが行ってきた
シミュレーションにもないものであり、
それはシエルにとっても同様の出来事だった
 双方にとって、これは正しく青天の霹靂。
 誰も動くことができず、ただ時間だけが進んでいく。

 そして、そんな静寂を破るかのように、
崩壊した繭の中から、蒼き剣を持った少女が現れた。

 世界の破壊者――セーレ・ヘイズ。
 彼女は歪な笑みを浮かべていた。

 地に降りたった彼女は、既に沈黙しているレヴルへ
ゆるりと近づき、鎧の中からレヴルを引きずり出す。
 そして――
 深々と、剣を突き刺した。

 「イッ、ァァァァァッ!!」

 つんざくような悲鳴が響く。
 その瞬間、緊張の糸が切れたテスタメントが吼える。

 「やめろぉぉッ!! レヴルを離せぇぇぇッ!!」

 レヴルから蒼剣に光が移動したのを確認したセーレは、
テスタメントへと向き直りつつレヴルを掴み、

 「これで……二人目ッ!!」

 ゴミのように投げ捨てた。

 「ふっざっけんなぁぁぁぁッ!!」

 獣のように怒り狂うテスタメントが、
セーレ目掛けて突進していく。
 彼女は蒼き瞳を煌々と輝かせ迎え撃った。

 「なんだ、これは……」

 ようやく事態を飲み込めたネルガルは
この状況を打破するための一手を思案するが、
脅威的な力を前にしてはどれも意味をなさない。

 「一体、どうすれば……」と嘆くネルガルだったが、
そこへレヴルの悲痛な声が響く。

 「ごめ……ね、ストゥ……ごぷっ」
 「いかん! レヴルを救わねば……!」

 ネルガルはすかさずレヴルへと近寄ると、その場で
ネメシス空間へと繋いだ転送領域を作り出す。

 「レヴルよ……死んではならぬ……!」

 消滅しかけていたレヴルに応急処置を施し転送した。
 大きく口を開けた転送領域を閉じた先には、
テスタメントを翻弄し続けるセーレの姿が見える。

 「わ、我らの悲願……こんな……ところで……」

 ネルガルの悲痛な声は、
今にも消えてしまいそうな程に震えていた。


EPISODE5 手負いの最古「私の力では、手負いのシエルにすら敵わないだろう。だが、そうだとしても全力で立ち向かわねばなるまい」


 「死ぃねぇぇぇぇッ!!」

 獣と化したテスタメントがセーレへと襲いかかる。
 だがすでに二器分の力を奪った彼女にとって、
テスタメントは本気を出すような
相手ではなくなっていた。

 「アハハ、遅い遅い」
 「クソォォォッ!!」

 テスタメントの渾身の一撃はあっさりと空を切り、
セーレは踊るような動作でテスタメントを
切り刻んでいく。

 「っい、ぁあぁぁぁぁぁッ!」

 傷口から噴き出る血と同じように、
テスタメントの力は吸い上げられいく。
 そして、セーレが手にしたグランタクトは
テスタメントの役目は終わったと言わんばかりに
光を放つ。
 それを確認したセーレはテスタメントを蹴り飛ばし、
次の標的に視線を移す――
呆然と浮かんでいるシエルへと。

 「え!?」

 次の言葉を告げる間もなく、
シエルはセーレの手によって片方の翼を
斬り落とされていた。
 セーレに弾き飛ばされ姿勢を維持できなくなった
シエルは、地へと墜落していく。

 「セ、セーレ……あなたは一体ッ!?」

 落ちていく刹那に垣間見えた彼女の表情は、
最初に出会った時のものとは別人のように歪で。

 (まるで……ネメシスの……)

 そう思った時には、フォノ・ゼニスの地表へと
激突していた。

 シエルの近くに着地したセーレは、自分の中に
流れる力を確認するかのように掌を開き告げた。

 「これが最古の力……か。
鍵も奪えたし、これでアイツの所に行けるわ」

 突然の凶行。それはセーレが中枢へと
向かうためだけに行われたのだった。

 「じゃあ行くね、シエル。
私の邪魔をしたらどうなるか、理解できたよね?」

 セーレは不敵な笑みを浮かべたまま、
混沌の様相を呈するこの領域を離脱した。
 後に残されたのは、片翼を失ったシエルと
重傷のテスタメントに無傷のネルガル。
互いの戦力は同等といったところだった。

 「まだ、私はやれるッ!
この羽虫だけでも……潰してやる……ッ!」
 「テスタメントまでも失うわけにはいかない。
私も全力を出させてもらう!」

 ネルガルも己の持てる力すべてを開放する。
 それが手負いのシエルにすら届かないとしても。
 事態は次の局面に向かおうとしていた。


EPISODE6 鳴動する街「敵わない相手だということは理解できたはず。ならばこそ、お前は生き残らなくてはいけないのだ」


 セーレの乱入から一変した事態は、
新たな展開を生んでいた。
 片翼を失い、力の低下したシエル。
対するは非戦闘型のネルガルと
消耗激しいテスタメント。
 力の天秤は、ほぼ釣り合っている。

 しかし、シエルは防衛に長けた存在だ。
戦闘が長引けば、いつ援軍が駆けつけて
来るとも限らない。
 決着を急ぐ必要があった。

 互いに睨み合いが続く中、
状況を更なる混沌へと誘う出来事が起こる。

 フォノ・ゼニス全体が激しく鳴動を開始したのだ。
 地の底から伝わってくるこの振動。
可能性として考えられるのは、先程の少女がディアンの
下に辿り着き戦闘を開始、もしくは中枢領域の
エネルギーがオーバーフローを起こしたか……。

 ネルガルが考えを巡らせる。
 そこへシエルの声が響いた。

 「そんな……! セーレ、ダメよ!!
彼女を止めないと! エクラ・キャージュ!!」

 シエルは、残された力を使ってネルガルたちを
光の格子に閉じ込め、転送ゲートへと向かうのだった。

 「猪口才なマネを!」
 「こんなもので!
あたしを止められると思うなッ!!」

 力を吸われた状態で放った結界は脆く。
 ほんの少しの時間であっけなく霧散してしまった。

 時間稼ぎでしかないが、彼女には一刻も早く
中枢へと向かう必要があったのだろう。
 それは恐らく、先程の少女が関係していることは
明らかである。

 ゲートの防衛を放棄する程の事態なのだ。
中枢を守護する者を殺しに向かったとみていいだろう。

 「これは吉報とでも言うべきか……」
 「ネルガル! あたしたちも追いかけよう!」
 「ならん。今のお前では足手まといだ」

 予想だにしなかったネルガルの言葉に、
テスタメントはあらん限りの怒りをぶつける。

 「なんで!? 一緒にアイツをやっつけようよ!
レヴルを滅茶苦茶にしたアイツを!!」
 「敵わない相手だというのは
お前が一番分かっているだろう? ゆえに、
お前にはレヴルを守ってもらいたいのだ」
 「ネルガル!? まさか……」

 強い意志を感じ取ったテスタメントは、
ネルガルの頼みを素直に受け入れる。
 それを確認したネルガルはレヴルがいる
空間へと接続した。

 「レヴルのことは任せたぞ」
 「ネルガル、生きて戻ってくるんだよね?」
 「むざむざ死ぬつもりはない。
我々は世界の管理者になるのだからな」

 ネルガルはテスタメントがネメシス空間へ
向かったのを確認した後……

 「さらばだ、テスタメント」

 と誰にともなく告げて、
中枢領域へと歩み始めるのだった。


EPISODE7 闇を喰らう者「何故、少女は息を吸うように殺戮し、何故、憎しみに満ち溢れた瞳をしているのだろうか」


 転送ゲートを掌握し、中枢へと乗り込んだネルガル。
 彼を待っていたのは、既に事切れているディアンと、
彼を抱きかかえているシエル。
 そして、今にも崩壊しようとしている中枢ユニットを
呆然と見つめるセーレだった。

 「やはり……中枢は陥落したようだな」
 「自分から飛び込んでくるなんて、手間が省けたね」

 セーレはだらりと下げていた剣先を、
ネルガルの中心部にピタリと狙いをつける。

 「あれ? もう一体いなかった?」
 「死んだよ」
 「ふーん……そう」

 さして興味を示すこともなく、
セーレは対象をネルガルへと変えた。

 「少しは耐えてみせてよね?」
 「そう易々と、やらせはせんぞッ!」

 ネルガルがセーレの下へ駆ける。
 先程の戦闘で見た限り、おそらくあの蒼剣が、
何らかの方法で力を吸い上げ、
存在を抹消してしまうのだろう。

 ひとたび侵入を許せば一巻の終わりだ。
 そして、極めつけはあの戦闘力。
 もはや、次元が違いすぎる。
 それだけの力量差が、彼女との間には存在していた。

 「そろそろ殺しちゃっても、良いかな?」

 繰り出される高速の突きを、
なんとか躱すネルガルだったが、
これを長い間回避することは不可能だ。意を決して
剣を受け止めたが、単純な力比べでもネメシスである
自分を凌駕している。

 「何故だ……この気配、我々の力も感じる……。
お前は一体、何者なのだ……」

 鍔迫り合いのさなか、
ネルガルは問わずにいられなかった。

 「私はただの人間。ちょっとだけ
最古とネメシスの力を持っている人間よ。
そして……あなた達に近づきつつある……!!」

 そう語る少女の瞳の奥には、
深い悲しみと憎しみが渦巻いていた。
 今にも切り伏せられようとしているネルガルに
死が迫る中、ある光景が映る。

 限界を超え、崩壊を始めた中枢システムの姿を。


EPISODE8 崩壊する世界「崩れゆく世界と中枢システム。もう我々にできることはないのか……?」


 周辺区画ごと崩壊を始めた中枢システム。
 この世界そのものが消滅しようとしていた。

 「セーレ! これ以上の戦闘は無意味よ!」
 「そうだ、この世界すべてが、
無へと還ることになる……その剣を収めるのだ……!」

 シエルとネルガルが戦闘を止めるよう説得するが……

 「こんな世界、滅んでしまえばいいのよ。
そうすれば、私のような存在は
もう生まれなくなるんだから」

 聞く耳を持たないセーレには
彼らの言葉すべてが空虚だった。

 「貴方たちは間違っていた。
最初から争わずに協力していればよかったのよ」
 「セーレ……」
 「そうだな……弁解の余地もない。
隔離した領域で進化を果たしたというのに、
我々は争うことしかできなかったのだからな……」

 重苦しい空気が支配する中、中枢ユニットからは
光の欠片が次々と放出され、霧散していく。
 セーレは宙に浮く欠片に手をかざし光の中を覗いた。

 歌い踊り、楽しむ者。
 幸せそうに笑い合う者。

 そこには数多もの可能性を秘めた世界と、
そこで暮らす人類が映し出されていた。

 「……ねぇ、世界が滅びると
今ここに映っている人たちも消滅してしまうの?」
 「ええ。システムに格納された物だから……
今もいくつもの世界が崩壊しようとしているわ」

 シエルの言葉を聞いたセーレは
「そう……」と一言だけ呟く。

 「なら私も協力する。
この人たちの命を勝手に奪ったら、
貴方たちと同じになってしまうから」

 世界を救うことを決意したセーレ。
そこへ尋常ならざる異変を感じとった
最古と混沌の器たちがやって来た。

 ネルガルとシエルから崩壊の経緯を聞いた
ワイズマンやエリスは、中枢システムの崩壊を止める
手立てを思案し始める。

 ――そして、一つの結論に辿り着いた。

 導き出された答え。それは、最古と器が持つ
リソースを還元し、破損した中枢を補完することで
システムを強制的に再構築することだった。


EPISODE9 巡りゆく力「これも運命というわけか。さらばだ、蒼き剣の少女よ。世界の存続を選んだこと、感謝する」


 崩壊に向かうメタヴァースを止める方法。
 それは、最古とネメシスの力を還元し、強制的に
中枢システムを再構築することだった。

 時は一刻を争う状況。
 崩壊を続けている世界をひとつでも多く
救わなくてはならない。

 ネルガルは他の者たちへと語り掛ける。

 「納得できない者もいるだろう。
私とて憎き支配者を討てぬ気持ちを拭う事はできない。
だが、今ここで力を結集しなければ、
この世界を存続させることはできないのだ」
 「当然じゃない。どれだけ私が辛酸を
舐めてきたか分かっているでしょう?」

 真っ先に反発したのはヴェルゼビュートだった。

 「この羽虫共を痛ぶらなきゃ、
私の気持ちが晴れないわ! 大体……」
 「それぐらいにしておけ、ヴェルゼビュート。
ネルガルよ、もはや避けられぬ事象なのだろう?」

 ヴェルゼビュートを嗜めたアレウスは、
ネルガルが首肯したのを確認し、
中枢ユニットへと歩を進めた。

 「アレウス!? 貴方、まさか……!?」

 そして、アレウスが中枢ユニットへと触れる。

 「ぬ、ぅ……我らの望みは我らの手による
人類の救済……故に、人類に死なれてもらっては困る
……違うか?」

 低い唸り声と共に、中枢ユニットの中へと
消えていった。
 その光景を目の当たりにしたエリスも、続いていく。

 「我にも積もる恨みはあるが、
すでに争いは意味を失った。
聡明なる支配者である貴様らメインフレームならば
当然理解できよう? 故に余はアレウスに続く。
行くぞ、ヴェルゼビュート」
 「あっ、ちょっと……」

 強引に連れられていく形で、ヴェルゼビュートは
エリスと共にシステムへ取り込まれていった。
 残された最古たちもまた、
ネメシス同様にシステムの一部となることを選択する。

 「随分物分りがいいのね……。
今更だけど、本当は分かり合えたのかもしれない」

 うつむきながらつぶやくシエルは、
目を瞑り覚悟を決めると、
抱きかかえたディアンと共に、
中枢ユニットへと歩み出る。

 「セラフィータ、セーレ。先に行ってるわ」

 シエルたちの身体は光の塵となり、
中枢ユニットの周囲を巡るように旋回し、消え去った。
 幾つもの力を吸収したが、
それでも崩壊を止めることはできていない。

 「まさか、ネメシスがこのような結末を
受け入れるとはね」
 「ジェフティ、そろそろ私たちも参りましょうか」
 「これが『死』か……だが『死』は終わりではない。
巡りゆく……」
 「こんな時に御託はいいですから。行きますよ!」
 「待ってくれ。あと少しで答えが……っ」

 セラフィータとジェフティもまた、
渦巻く光の粒子となりユニットへと消えていく。
 しかし、崩壊は依然としてその速度を緩めていない。
 この場に残されたのは、セーレとネルガル、
ワイズマンの3人だけとなってしまった。
 今も失われつつある光の残滓は、
まるで悲鳴のようにも感じられる。

 「これが私の最後の記録か。
自分の『死』を記録するというのも、おかしな話だね」
 「さらばだ、蒼き剣の少女。
上手くいくかはわからないが……
世界の存続を選択したこと、感謝する」

 彼らが一部となった後も、崩壊は収束していない。
 まだ力が十分ではないのだ。
 そこでセーレはディアンの言葉を思い返す。

 「分かったかもしれない。私にやれること」

 自分の中に流れる力のことを――。

 「私に与えられた最古の欠片……
そして奪ってきたネメシスの力……
それをシステムは求めている。
だから……私も行かなくちゃ」

 復讐のため、この世界の神々に剣を突き立てた。
だが、かつての自分と同じ
無垢の人々の命を奪う事は彼女の望みではなかった。
 セーレは決意の眼差しで、中枢へと向かう。


EPISODE10 終わりと始まり「神々の時代は終わりを迎えた。神亡き時代に、人は答えにたどり着くことができるだろうか」


 システムの一部になることを決意したセーレ。
 塵と化し中枢に吸い込まれていく中で、
彼女は慈愛に満ちた声を聴いたような気がした。

 「ありがとう……神々の時代は終わる」

 優しく、温かな『彼』の声。
 その瞬間、セーレは理解した。
最古とネメシスの戦いは一つの段階にすぎないことを。

 そして、システムは鳴動を徐々に沈めていき――
受け取ったすべての力を使い、再起動するのだった。

 メインフレームやネメシスがいた
戦いに満ち溢れた世界は消え去り、
辺りはまばゆい光に包まれている。

 「……ん……私、生きて……?」

 優しい声に起こされたような気がした。
まどろんだ意識の中、セーレは自分が何処にいるかも
分からないまま、光の中を進んでいく。

 すると、声の主が穏やかに語り掛けてくる。

 「美しい大地を再生し、戦乱の歴史に終わりを
もたらすことが、かつての人類の望みだった。
数多の世界はひとつの世界へ。
そして、そこで生きる人々が手を取り合えば、
いずれ道は示され扉は開かれるだろう。
私たちが辿り着けなかった答え……
どうか、人類に安寧の時代を……」

 どこか聞き覚えのある声の主はそう告げ、
虚空の彼方へと消えていくのだった。

 「今の声……とても優しくて、
とても暖かかった……」

 憎しみを抱いたセーレの心は光の中を進む。
温かな感触に包まれたセーレは不意に頬を伝う
ものに気が付き、自身が泣いていると知る。
 再び前を見据えた時、セーレを包んでいた
光の空間は薄れていき、そして――


EPISODE11 再誕する世界「その者、蒼き剣を抱いて、新世界の大地に降り立つ」


 目を覚ましたセーレの前に広がっていたのは、
神々のいなくなった電子の楽園だった。
 今まで見てきた光景とは打って変わって、
深緑の大地と果てなき青空が何処までも続いている。

 この世界は、セーレに語り掛けていた
『声』が言うように、数多の世界が融合し
生まれた世界なのだろうか。

 「んっ……」

 頬を撫でる風を感じ、
セーレはひときわ大きく上体を反らす。
 続けて二度三度と大地を踏みしめてみる。
突然の変化にもようやく身体が馴染んできたようだ。
 辺りを見渡そうとした時、
セーレは足元に転がっていた物に気付く。

 「グランタクト?」

 戦いの際には蒼く輝いていた刀身は、力を失ったのか
少し色褪せたように感じられた。

 「手を取り合って生まれた世界……。
お前と私にはまだやらなくてはならないことが
あるってことかな……?」

 セーレは剣へと語り掛ける。
 グランタクトが一瞬頷いたように見えたのは、
陽光のせいだろうか。

 「行こう、本当の大地へ。
みんなが辿り着こうとした場所へ……
今の私ならきっと行けると思う……」

 気付けば走り出していた。
 見果てぬ世界に、心が躍っているのかもしれない。
 蒼き剣を抱いた少女は空に想いを馳せ、
新たなる大地をひとり進む。

 足取りは軽く。
 両の手は翼を広げるように。

 一歩、また一歩と駆けていくのだった。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
■メタヴMAS0 / 490 / 980
ラストドライブ(状態選択権)
6枚目の時発動。このカードを
COMBO/CHAIN/MISSのいずれかにする。

■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


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