Dr.メト・バサナテル

Last-modified: 2024-03-06 (水) 18:55:47

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・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

1maime.png
Illustrator:厳井崚


名前Dr.メト・バサナテル
年齢年齢不詳
職業メタヴァース創世期の開発者にして
ファクトリーを統治する『三賢者』の1人
  • 2019年4月11日?追加
  • AMAZON ep.IVマップ5完走で入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM AMAZON」ガチャで入手。
    カードメイカー再録歴
    • 入手方法:2021/7/8~8/4開催の「「夏色恋模様~短冊に願いを込めて~」ガチャ<終了済>
    • 入手方法:2022/3/3~2022/4/13開催の「「可愛さ指数は3000倍!?」ガチャ<終了済>
    • 入手方法:2022/9/1~10/12「ブルマ・ストーリー/大阪中華飯店」ガチャ<終了済>
  • AMAZON ep.Vマップ3のマップボーナス(+3)に名指しで指定されていた。
  • 対応楽曲は「strelitzia」。

メタヴァースの礎を築いたファクトリーの科学者の一人。
三賢者【 Dr.ユバル / Dr.メト / Dr.テオ

自らの良心と、ファクトリーとしての使命との間に葛藤を抱える。

スキル

RANK獲得スキル
1パニッシュメント
5
10
15


パニッシュメント [HARD]

  • AIR ep.Iマップでは初めての即死系スキル。強制終了のリスクと共に高いゲージ上昇率を持つ。許容回数が多いとはいえ終了条件にATTACK判定が入る分、ジャッジメントよりもシビア。
  • STAR PLUSまでは+3止まりで理論値でゲージ7本丁度だったため、他に6本狙いのスキルが無い時に使うくらいであった。AMAZON・AMAZON PLUSで久しぶりに所有者が追加されたことで、ある程度育成すれば7本狙いとして使えるようになった。
  • 7本狙いで競合するのはジャッジメントオーバージャッジデスティニージャッジあたり。いずれも強制終了条件がMISS判定のみである。
  • AJ狙いの時にATTACK発生チェッカーとして使う手もなくはない。
  • スキル名は「ニッシュメント(vanishment、消失)」ではなく「ニッシュメント(punishment、処罰)」である。間違いに注意。
  • 筐体内の入手方法(2021/9/16時点):
    • PARADISE ep.VIマップ3(PARADISE LOST時点で累計645マス)クリア
  • AIRバージョンで仕様変更はされていない。所有者は増加した。
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+1
あり
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+9
CRYSTAL無し
あり+13
AMAZON無し+9
あり+13
STAR+以前
GRADE効果
理論値:138000(7本+12000/26k)[+7]
理論値:140400(7本+14400/26k)[+11]
推定理論値:141600(7本+15600/26k)[+13]
共通ATTACK以下30回で強制終了
初期値ゲージ上昇UP (195%)
+1〃 (200%)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+2〃 (205%)
+3〃 (210%)
+4〃 (215%)
+5〃 (220%)
+6〃 (225%)
+7〃 (230%)
+8(231%)
+9(232%)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(PARADISE以降では未登場)
+10(233%)
+11(234%)
+12(235%?)
+13(236%?)

所有キャラ【 グラーヴェ(1,5) / シカトリス(1,5) / ソルナ / Dr.メト / サウル(1,5) 】

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 世界の歴史は戦乱と共に「僕の信念は、『地上が再生するまでの種の保存』さ。再生した後のことは……考えてないな」


 人工仮想空間メタヴァースとは、地上世界に代わる人類の楽園を目指して人の手により造られた世界のことである。
 神に等しい絶対的な力を持ち、世界を管理する権限者であるメインフレーム。
 それを補佐する形で連携し、メインフレームから指示を実行するプログラムであるファクトリー。
 この2つの勢力によって、人類の楽園は実現する……はずであった。
 一見すると、誰もが安寧の日々を享受し、幸福な生活を送っているように見える。
 だが、彼らが決して認知することのできない高階層空間では、薄皮一枚で世界を一変させてしまうような、熾烈な戦いが今なお続いていた。

 始まりは世界の創生期にまで遡る。
 衰退していく地上世界の再生と、人類の保全を目的として開発されたメタヴァース。
 その目的を遂行するため、当時の管理AIであった神祖エクレールが地上再生への最適解として下した決断は、地上に残る人類を掃討することだった。
 シミュレーションに従い粛清を進めるメタヴァース側と、それに反発する地上人類との戦いは、のちに『大災厄』と呼ばれる大きな戦争になっていく。

 メインフレームの強大な力になす術なく、大半の地上人類が葬られた大災厄末期。
 わずかに残った地上人類は最後の抵抗として、メタヴァースへ致死プログラムである『ティアマット』を送り込むことに成功する。
 メインフレーム、そしてそれに属する地上を捨てたファクトリーたちへの怒りの化身ティアマットは、戦闘員、非戦闘員、延いては領域プログラム自体にまで見境なく攻撃を繰り返していく。

 それは、地上人類の咆哮であり、悲鳴であった。
 多大な被害を残しながらも、メインフレームたちはなんとかティアマットを退けるが、地上人類の執念までは砕くことはできなかった。
 最外周部へと葬られたティアマットの欠片はメタヴァースの深くに根を張っていく。
 そして、長い時間をかけ、ネメシスと呼ばれる悪性バグとして再生していくのであった。

 急速な進化を経たネメシスは、メインフレームに匹敵するほどの力をつけ、メタヴァースにとって畏怖すべき存在となる。
 そんな中、メインフレームを統治していたティフォンが、そのあまりに絶大な力を危惧した同胞らの手によって討たれてしまう。
 それは世界のパワーバランスが崩れるということに他ならない。ネメシスもこれを好機と動きだし、メタヴァースの戦況は加速度的に混迷を極めていくのだった。


EPISODE2 命の糸が切れたとき「はっきり言って、成功する確率は低い。だからって、やらないわけにはいかない……」


 メタヴァースとは、戦乱と科学技術の発達によって荒廃していく地上環境の再生、そして争いのない世界を生み出せる理想的な人間の進化の形を模索するために作られた電脳世界である。
 超構造量子演算機内に、数十億の人類を格納した上で理想的な進化形態を見出し、その間に再生を終えた地上へ新人類を送り込むという、いわばゆりかごとして生まれたもの。
 そのゆりかごは、宇宙にも等しい空間の中、際限なくその領域を広げていく。

 メタヴァースと地上に残された旧人類との戦いの後、ファクトリーはメインフレームの傘下に置かれ、庇護を受ける形で繁栄を謳歌する。
 無数の小世界が枝分かれするように開発され、様々な『ヒト』の未来をシミュレート。人類は無限の可能性を見出していた。
 しかし、ティアマットから生まれた悪性バグであるネメシスの手により、安寧の日々に影が落ちる。

 メインフレームの王であるティフォンが討たれたのをきっかけに、ネメシスは大規模な侵略作戦を実行。
 これにより、王なきメインフレームは混乱の中、多くの管理領域を奪われてしまうばかりか、メインフレームとファクトリーを繋ぐ領域は分断され、双方は連携を取ることが不可能になってしまう。
 ネメシスに対抗できるほどの力を持たないファクトリーは、まさに野に放たれた仔ウサギ。
 いち早く対策を打たねばならない危険な状態である。

 ファクトリーは自立探査型プログラムを開発し、分断された領域からメインフレームとの接続座標を見つけ出す作戦を提案。
 ネメシスの目を掻い潜りつつ、バックアップ無しで行うこの作戦は、博打に近い危険なものであった。


EPISODE3 科学者は葛藤する「科学者といっても、色んなタイプがいるものさ。みんながユバルみたいだったら嫌だろう?」


 ネメシスが行なった領域分断によって孤立したファクトリーの人類を、メインフレームの庇護下にある安全な領域へ移動させなくてはならない。

 そのためにはメインフレームへの接続座標を探し出し、再アクセスを実行後、相手からの領域転送の指定、というプロセスが必要。
 まずは接続座標へたどり着かなくてはならないが、ファクトリーが把握している座標は、分断されたネメシス領域に沈んでいた。
 ファクトリーはその領域へ潜り込み、沈んだ接続ポイントを単独で探査できるプログラムを開発することを決定する。

 プログラムの開発にあたって、ファクトリーで指折りの科学者が集まった。
 中でも、『三賢者』と呼ばれる優秀な科学者たちが筆頭となり、開発を先導していく。
 ユバル・ホルミスダス、テオ・メルキオル。
 そしてDr.メト・バサナテル、その人である。

 ネメシス領域を単独探査できるほどのプログラム、それを開発するきっかけになったのはひとつのデータであった。
 科学者たちの手には、かつてティフォンを打ち破るほどの強大な力を持った、メインフレーム製プログラムであるMIRタイプの情報が握られている。
 以前、メインフレームからの技術提供のひとつとしてもたらされたこの情報をベースに、自らの手でMIRタイプに近いプログラムを開発することを決意したのだ。
 だが、現在のファクトリーにある技術では、無の状態からMIRタイプに匹敵するプログラムを構成することは不可能に等しい。
 今回の開発プロジェクトの指揮を執るメトは頭を悩ませていた。

 「メインフレームから高度技術を手に入れても……それを使いこなすことができないなんて……科学者としてこんなに悔しいことはない……」

 時間は無い、手段も限られている。
 そんな状況で動きあぐねる現状に苛立ちを隠せないメトへ、ユバルはさほど興味もない様子で言い放つ。

 「……ふん。いつまでそんな甘っちょろいことを言っておるのじゃ」
 「ユバル……」
 「本当はお前さんも分かっておるんだろう……こんな問題は簡単に解決するということを!」
 「……どういうことだい?」
 「使うんじゃよ! 人間をッ!!」
 「……ッ!!」
 「最高のパーツは揃っておる、だが素体がないというのなら……人間を使うだけのことじゃッ!!」

 ユバルの言う通り、メトは早い段階からその選択肢に気がついていた。
 ファクトリー全体の管理データベースを参照すると、自立探査プログラムに対して適合する人間が複数いることは分かっていた。
 それらをベース素体としてプログラムを開発するのだが、過大なデータデバイスを付与することは、メタヴァースでの肉体を構成する情報へ多大な負荷がかかる。
 つまり、過酷な人体実験を繰り返すことになるのだ。狂気の科学者ユバルは、格好の実験機会とばかりに鼻息を荒くするが、メトは非人道的な行いに躊躇いを隠せずにいた。

 「良心の呵責、などとぬるいことをぬかすではないぞ? その甘さを貫けば、いずれファクトリーの人間全てが死ぬことになる」
 「……分かった。僕たちの行いに、正しい正しくないなどは存在しない。常に最適解を求め続ける。そうだろう?」
 「ぬははッ! ようやく『らしく』なってきたわい」

 このまま手を拱いていては、ファクトリー、それに属する人類が消滅してしまう。
 悩める気持ちを振り切り、メトは最高の探査プログラムを作り上げるべく、適合者から選ばれた二人の姉妹に改造を施すことを決意するのだった。


EPISODE4 最終兵器姉妹「戦いの中で命を燃やし尽くす……か。僕はロマンティックとは思えないな」


 もはや数えきれないほどの人体実験を耐え抜いた姉妹は、元来MIRタイプが保有するメインフレームとネメシスの技術、そこへ人間が加わった、三つの構成要素を一体化させた個体となることに成功する。
 だが、それと引き換えに元々持ち合わせた豊かな人間性は失われ、兵器と呼ぶにふさわしい人格を持つに至っていた。

 開発作業と並行して、メトはMIRシリーズの機能的な特性の解析を進めていく。
 その結果、MIRシリーズのプログラムは、その身体が消耗するたびに、人間でいう超回復の様な形で機能の増強が行われるという特性があることが判明する。
 しかし、その特性を任意に操ることはできない。『成長』すればするほど、自身の構成情報は肥大化を続けていき、やがてそれが溢れてしまったとき、自身を自身として定義するアストラルコピーすら書き換えられ、やがては消滅する。

 戦えば戦うほど、強くなる。
 それと同時に、近づいていく死。

 強大な力を期待できるMIRシリーズの特性は、対ネメシスとの戦いにおいて重要なファクターであると判断する。
 死へと近づく代償としての力、その特性を模倣した機能『FREQ-Vertex』をメトは造り出すことに成功した。

 姉妹が人間であったことを知る彼ならば、そのような機能の設計は拒絶したかもしれない。
 だが、すでにメトに葛藤はなかった。
 彼は人を慈しむ心を持ちつつも、人類地上再生までの種の保存という最大の目的を果たすためならば、非道な決断も下すことのできる冷徹さも持ち合わせていたのだ。
 その二面性のある性格は、何よりも自分自身を苦しめる要素ということに、数百年の時を生きるメト本人でさえ気づいていない。

 メトは冷静に、そして確実に、『FREQ-Vertex』を姉妹へ組み込んでいく。


EPISODE5 来訪のチャイムは鳴り響く「これまでもファクトリーは多くのピンチを迎えてきた。だけど、今回のやつはとびっきりだね」


 全ての改造を終えた姉妹は、その肩にファクトリー、ないしはメタヴァースの運命を背負う作戦を実行するときを迎えた。
 ネメシスの領域に潜入し、メインフレームへの接続座標を見つけ出す。再びここへ戻れる可能性は極めて低い。
 今まさに旅立たんとする姉妹に、メトは声をかける。

 「君たちは僕を……いや、なんでもないんだ」

 『恨むかい』などと聞けるはずもない。
 メトはゆっくり頭を振ると、姉妹の背中を見送るのであった。

 完全に姉妹頼りの今作戦。ファクトリーとしては待ち続けるしかない。
 待ち続けるしかない、という受け身の状況は、逆に不安を募らせることにもなる。
 その状況に我慢ができなかったユバルは周囲の反対する声も聞かず、ファクトリーの中でも戦闘タイプのプログラムを従え、ネメシス鹵獲用の前哨基地へと偵察に出向いていった。

 そして幾日か過ぎた頃。
 ユバルは肉体を失い、アストラルコピーだけとなって帰還。
 驚きながらも、急遽間に合わせの代替ボディを作成したメトは、再生されたユバルから情報を吸い出す。
 声を発するのもおぼつかないユバルから発せられたメッセージは、『前哨基地の廃棄』と『ファクトリーの防衛体制の強化』を指示するものだった。
 『前哨基地の廃棄』と『ファクトリーの防衛体制の強化』という情報から、事態は簡単に推測できる。
 ファクトリーの座標へネメシスが接近していることだ。
 遠くない未来に大規模な侵攻が考えられるとして、メトとはテオと協力し、ファクトリーの接続ポイントの暗号処理の見直しなどを行うことにした。

 そして、願わくば訪れてほしくなかったその日はやってくる。
 ファクトリー中枢には、危機を知らせるアラートが鳴り響いていた。


EPISODE6 最凶で最狂のネメシス「よりによってネメシスの『器』とは……! だけど……諦めるわけにはいかないッ!」


 ファクトリー中枢に響いたアラート音は、やはりネメシスが侵入したことを伝えるものであった。

 しかも事態は最も悪い形で訪れてしまう。
 ファクトリー領域に侵入してきたのは、ネメシスを統べる強力な存在である、七器の『器』……テスタメントであった。
 ファクトリーの戦力で対抗できないのは明らかだが、黙って蹂躙されるわけにもいかない。
 防衛BOTと戦闘タイプのプログラムを引き連れたテオが、戦いは不得手ながらも前線へと向かう。

 「テオ……! 無理はしないで……ッ!」
 「わかってる、まだ死ぬつもりはないわ! それよりメトのほうこそ、ファクトリーのみんなをお願いッ!」

 ファクトリー中枢へ侵攻されるのも時間の問題だと確信したメトは、ファクトリーに保管されている人や、起動し生活している人、施設業務にあたる職員を逃がすため、区画を切り捨てるためのパージと他領域への転送を行おうとする。
 無傷でこの事態を切り抜けることは困難であるという判断だった。

 モニターには、前線で戦うテオの指揮する防衛BOTが次々と堕とされていく様子が映し出されている。

 (テオ……僕は、僕たちは長く生き過ぎた。だけど……死ぬのは今ここじゃないはずさ……)

 メトは科学者として、ファクトリーを統治する者の一人として、淡々と生存領域の暗号化と切り離しを行っていく。
 諦めるにはまだ早いと、自分自身に言い聞かせながら。


EPISODE7 自爆か、全滅か「何かを生かすために、何かを失う……。僕にはその勇気が足りないのか……」


 テオたちの必死の抵抗も虚しく、ネメシスの侵攻を止めることはできず、ついにファクトリー領域への侵入を許してしまう。
 防衛BOTを展開し続け、なんとか進行を抑えようと奮闘するテオと共に、直接応戦に望むべくアルドラをはじめとした新世代MDAタイプが出撃するも、ネメシスの『器』であるテスタメントには歯が立たず、次々と破壊されていく。

 ファクトリー内部の避難誘導を続けるメトは、その様子をモニターでチェックしながら考える。
 絶望はしない、諦めないと自身に誓ったメトであったが、同時に科学者として現実的な自己分析もしてしまう。
『もはや時間の問題ではないか』と。
 その時、機能不全状態から復帰したユバルがメトのもとに駆け寄る。

 「……吹き飛ばすしかあるまいな」
 「何を言っているんだ……!?」
 「あやつらが戦っておる前線領域を、まるごと自己崩壊させるんじゃ。自爆じゃ自爆」
 「僕らの領域を捨てろと言うのかい?」
 「このままじゃジリ貧じゃろう。これしかない。早く指示を下すんじゃ!」

 ファクトリーの領域ごと自爆という作戦を提案するユバル。
 荒唐無稽な内容に呆れるメトだったが、科学者としてユバルは続ける。

 器の戦力は我々の想像を遥かに超えた規格外であること。
 メタヴァースの基底プログラムごと崩壊させるほどの熱量がなければ倒すことはできないこと。
 ファクトリーの管理下にある領域であれば崩壊の操作は可能であること。

 そして――これ以上の猶予はないことを。

 「それに……やっぱり見たいじゃろ……ッ! 器に強大なエネルギーをぶつけるところをなッ!! こんなチャンスなかなかないぞいッ! ぬひゃッ! ぬヒャヒャヒャッ!!」

 ユバルがひとり高笑う中、メトは決断を迫られていた。


EPISODE8 そこにいてはいけないモノ「僕の計算では、いくら『器』といえど……。これが現実というのなら……抗ってみせる」


 ファクトリーに侵攻するテスタメントを止めるには、一部空間領域を自爆させるしかないというユバル。
 ユバルは、前哨基地で自身の肉体を失うことになった原因であるヴェルゼビュートとの戦闘情報から、アルドラタイプでは『器』を止めることはできないということが、初めから分かっていた。
 ユバルの指示の意図を汲んだメトは、ファクトリー領域を自爆させることを決心する。
 テスタメントを食い止める前線部隊にいるテオへ撤退指示を出すが、戦闘中のせいかメトの意図がうまく伝わらない。

 「何……ッ!? もう一回言って頂戴ッ!」
 「よく聞いて、テオ。今すぐ撤退してほしいんだ」
 「撤退って……ここで引き下がったら全てが終わってしまうのよッ!?」
 「作戦があるんだ。君たちが今いる付近の領域を、自爆させる」
 「な……ッ!!」

 テオもメトと同じ『三賢者』と呼ばれる科学者のひとりである。
 驚きはしたものの、すぐにその意図を理解した。

 「……本当に、やる気なの?」
 「僕を信じてほしい。……なんていうと格好つけすぎかな。本音を言うと、他に方法がないんだ」
 「ふっ、珍しいわね。格好つけてたほうが、メトらしいわよ」

 提案を呑んだ前線部隊は、撤退しつつ防衛BOTで応戦。その後。BOTを離脱させた瞬間が遠隔操作で自爆を起動させる合図だ。
 領域を構成するデータが崩壊するほどの熱運動に巻き込むことができれば、ネメシスはもちろんメインフレームだろうと無傷では済まないはず。そう推測するメトは、前線領域を息を飲んで見つめる。

 (地上と……新人類の再生……そのために、今は切り捨てることも必要なんだッ!)

 メトが自爆を起動させた瞬間、とてつもない轟音と閃光が広がる。
 狙い通り、テスタメントは崩壊に巻き込まれ、虚無となった空間へと吸い込まれていく。
 作戦の成功に思わず拳を握りしめるメト。
 だが、閃光が収まった領域には、存在してはいけないはずの蒼黒い炎が燻っていた。


EPISODE9 二つの器「こういうのは非科学的だとは思うけれど……。僕に必要なのは覚悟、なのかな」


 ネメシスを葬るため、自らの手で自爆させた領域をファクトリー中枢で観測していたメトとユバル。
 彼らの目に映し出されたのは絶望的な光景だった。

 単体でも苦しめられてきたネメシスの器。
 だが、崩壊した領域の中心には未だ『二つ』の反応が残されている。
 先ほどまで戦っていた、器であるテスタメント。
 それを領域崩壊の熱量から守るように、防御障壁を展開するもうひとつの『器』。
 エリスネメシスであった。

 役目を果たした防御障壁をパージしたエリスネメシスは、陶磁器のように滑らかな柔肌を晒す。
 強大な力を駆使する暴力性とはアンバランスなほどの美しさに、メトは一層絶望感を覚える。

 二器は明確な敵意を宿した視線を向けると、再び侵攻を続けるべくファクトリー中枢へ近づきはじめた。
 ファクトリーの命運など実験程度にしか考えていないユバルは、ひとり歓喜する。

 「ひょーっほっほっほ! 見ろッ! 奴の防御障壁が完全にイカれておるッ!! 自爆攻撃は効果があったんじゃッ!!」

 ユバルの言うように、自爆作戦は確かに効果はあった。だが、決定打にはならなかった。
 ネメシスの器たちが中枢に到達するには、さほど時間はかからないだろう。

 (考えろ……何か見つけるはずだ……ピースは揃っているはずなんだ……)

 タイムリミットが目前に迫る中、メトはこれまでで一番冷静に思考の海へダイブする。


EPISODE10 何度目かの決断「僕たちが先に進むためには、犠牲は必要だ。これくらい……些細なことさ」


 テオの防衛BOTはもはや時間稼ぎとも呼べず、一瞬で蹴散らされていく。テスタメントとエリスの侵攻を戦力で止めることは不可能だ。
 器たちは、明確な殺意を持った攻撃を今にもテオに向けようとしている――その時であった。

 ファクトリー領域外から、前線領域へと何者かが高速で近づくと、テスタメントの攻撃からテオを守るように全て受け切った。
 モニターで観測しているメトは思わず叫ぶ。

 「ディアナッ! ルナッ! 帰ってきてくれたのか……ッ!」

 それから、一切の躊躇いも見せずに、姉妹は器たちへ反撃を仕掛ける。
 ネメシスの器相手に互角に渡り合う姉妹を見て、この状況を打開するため頭を巡らせていたメトは、大きく息を吐いてから呟いた。

 「やっぱり、これしかないかな……」

 それを聞いたユバルは、唇を歪ませて笑う。

 「メトよ。お前さんも我輩と同じことを考えているようじゃな」
 「……あまり考えたくはなかったけどね」
 「あの姉妹……ここを出たときとはもう別物じゃな。恐らくメインフレームに何か施されたんじゃろ」
 「そうだろうね。僕たちの手では、ネメシスの器相手にここまで戦えるほどのプログラムにはならない」
 「素晴らしい! 姉妹から得たメインフレームのデータだけでも回収できればいいんじゃがの」

 この局面においても自身の研究を第一に考えるユバルに、メトは呆れと尊敬が混ざった笑みを見せた。

 「……何を迷っておる」
 「次は……遠隔操作ができない。手動での起動が必要なんだ」
 「なんじゃ、そんなことか。起動は我輩が行う。それでいいじゃろ」
 「なっ……ユバルッ!?」
 「もう時間がないぞ。いいから早く指示をだせい」

 自爆がネメシスに対して効果があるのは実証済みだ。
 ならば、さらに広大な領域の崩壊に巻き込めば、今度こそネメシスの器といえど持たないはず。
 幸いにも、先の自壊で奴らの防御障壁は無力化している。
 姉妹の戦いを、少し離れた場所で眺めているテオへ、メトは通信を飛ばす。

 「落ち着いて聞いてほしいんだ……」

 テオに伝えられた次なる作戦。
 それは、ファクトリー中枢ごと完全に自爆させることだった。


EPISODE11 捨てられた故郷「まだ上手くいくかどうかは分からない。願わくば、あの姉妹へ幸運を……!」


 迫り来るネメシスの器たちに対し、ファクトリーの中枢ごと自爆させる、という最後の手段を取ることとなった。
 一度目の自爆と違い、今度は遠隔操作の起動ができないのだが、ユバルは自ら中枢に残って起動するという。

 「じゃあ、ボクは行くよ。こんなことを貴方に言うのは初めてだけど……ユバル、頼んだよ」
 「ぬっはっはッ! 我輩に任せておけ。『一人きりの劇場』じゃ……こんな贅沢なことはないッ!」

 ユバルとの別れを済ませ、避難民のもとへ駆けつけたメトは、指揮を取りながら領域脱出を目指して移動する。
 ある程度安心できる領域までところまで来ると、避難民の誘導を他の者へ任せて、その場に留まった。

 遠く、視覚情報では確認できないほど遠くで、激しく命の火を散らす存在を領域内データとして観測できる。
 メトは手元のモニターを覗き込む。その視線の先には、ネメシスの器と対峙するディアナとルナ、ファクトリー最後の希望である姉妹の死闘の様子が映し出されていた。

 姉妹の身体は、光を放っていた。
 メト自身が改造を施した、死へ急ぐ諸刃の剣『FREQ-Vertex』特有の光だ。
 モニター越しの、眩しいはずもないその光に目を細めながら、メトは呟く。

 「君たちは、僕を恨んでいるだろうな……。でも、ありがとう」

 姉妹が過酷な運命を背負うことになったのは、決してメトだけの責任ではない。
 だが、ファクトリーの民を救うべく剣を振るう姉妹へ、感謝の言葉を述べずにはいられなかった。

 ディアナとルナは依然激しい攻防を繰り広げている。
 その姿が、まるで年頃の姉妹がじゃれあっているように見えて、メトは自嘲するように笑うのだった。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
■メタヴADV0 / 220 / 440
オールチェインダウン(チェイン→コンボ)
自分の場にCOMBOが2枚以上で発動。
自分の場のCHAINを全てCOMBOにする。

■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


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