アルファベット表記:Seven Heads Sarpent
読み:しちずのへび
分類:武装盗賊団
該当地方:九大州全域
活動時期:大陸秘境開拓時代
発案者:tocoma110
【Tag: 組織職業 組織 武装盗賊団 犯罪組織 発案:tocoma110 】
「龍武隊を用いてなお滅ぼしきれなかった盗賊など、奴らくらいのものよ……」
~華丹帝国軍中将 ヤン・ディンフュン~
概要
大陸で最も有名な武装盗賊団。
神出鬼没ながら無類の強さと悪辣さで知られる怪物集団であり、名だたる犯罪組織の中でもその知名度は抜群に高い。表立っての行動が伴う故に黒竜商会や禍刻蟲ら以上に、その名は広く知られている。
厳密には七つの特徴的な武装盗賊団(通称『牙』)とその下部組織、それらを取りまとめる頭目によって成り立つ、一種の武装盗賊連合。そのため、活動領域も極めて広く関わり合いになる組織も膨大であり、瞬間的な影響力では前述の組織らを凌駕することも珍しくない。
- 曰く、「史上最悪の武装盗賊団」。
各国政府の警邏機構・軍部からも明確に指名手配されていながら、300年以上の間にわたり組織を存続させ、各地で猛威を振るった。
当然、他の犯罪組織ともつながりを持っており、時に依頼を受け、時に押し込みのように品物を売り付け、様々な形でその力を誇示し続けた。
目的
設立当初は「天下布武」だったと語られているが、詳細は不明。
- 基本的には当代の頭目の方針に従うものらしく、時代時代で傾向に差異がある。
沿革
発足は奇しくも大陸秘境開拓時代の直前、1300年代末期。
魔北大戦終結の傷跡深く、『暗黒時代』とまで呼ばれていた俄州にて猛威を振るった、七つの武装盗賊団・都市犯罪組織の頭領たち。
即ち、
- 華州系組織の“大龍頭”ドァン・ルィン
- 楪州系組織の“銀虎”バルジ
- 爬州系組織の“殺戮王”ザウダン
- 亜州系組織の“死神”アヒム
- 俄州系組織の“都のヤマイネズミ”ベルベット
- 応州系組織の“大鬼”アングマン
- 綴州系組織の“秘術商人”シャフ
これらそうそうたる面子を、たった一人の竜鱗の民の男、“牙王”がまとめ上げたものとされている。
- いかなる経緯からこれほど広域の危険組織を取りまとめることに至ったかは知られていないが、共通してすべての頭目が“牙王”の実力を認めており、それあっての結束であったと伝わる。
結成後早々に大陸全土で短期間に様々な施設・組織を襲撃し、財宝や金銭、果ては秘境由来の稀少物資や超古代文明の遺産などを強奪、容赦ない殺戮の嵐と共にその名を一気に大陸全土に轟かせた。
その後、それらで得た戦果を持って黒竜商会に押し入り、騒動を起こしながらも顧客・取引先として取り入る。以降、牽制し合いながらも手を組むという絶妙な関係を築き上げる。
結成から数年で地盤を固めたのち、組織は旅団に近い形に変わり、七つの分隊=『牙』として各地を放浪し始める。
そして、行く先々で突然の嵐のように犯罪行為を振りまき、時に地元勢力を駆逐・吸収しながら、拡大・変質を続けていく。
以降このスタイルが確立され、数年に一度の会合を除いて各組織が自由に活動を行なうこととなる。
規模に対しあまり不確かな形態でありながら、恐るべきことにこの魔蛇は数百年の間、連綿とした歴史を紡いで組織を残し続ける。
1700年代中盤に最後の“牙王”が討たれ蛇の心臓が止まるまで、この組織は各地でその名を刻み続けたという。
特徴
前述の通り、その代の頭領=“牙王”の称号を継いだ者の下、七つの大組織=『牙』とそれに連ねる無数の小組織=『鱗』によって成り立つ。
武装盗賊団としては異例の大規模を誇るも、基本的にはそれぞれの『牙』や『鱗』は自由に活動しており、特色も各組織によって大きく異なる。しかし、ひとたび“牙王”の号令が掛かれば即座にその指令を遂行する軍隊にも似た性質を持つ。
- 厳密な言い方をするのなら、『牙』のみが七頭の蛇の構成組織であり、『鱗』などはその影響下にある下部組織・傘下組織に過ぎない。
しかし、『鱗』は何らかの形で『牙』に従属しているかその影響下にあるため、その活動は常にグラデーションとなっている。大陸でも屈指の犯罪集団であることもあり、一般的にはこれらをひっくるめて七頭の蛇と見なすことが多い。 - 一方、専門家ほどこの二つは分けて語られる。
理由としては、『牙』にとって『鱗』が消耗品に過ぎないためである。
『牙』は大抵がそれ一つで地方武装盗賊の比ではない規模を誇るほか、そもそも旅団の通り各地を転々とする性質を持つ。故に、『鱗』は彼らにとっては緩やかな連帯を持つ組織にすぎず、それらの一つ二つどうなろうと『牙』には大した痛みもない。
そのため、組織を知る者ほどこれら二つを明確に分けて語る傾向にある。
構成員は身体のどこかに蛇の牙を模した刺青を入れている。それを見せることで同志であることを証明するのだという。
だが、七頭の蛇には「構成員であることを隠せ」という掟は存在しない。
表立って喧伝する組織もあればとそうでない組織もあり、標榜するかどうかは組織次第とされる。そのため、その知名度・活動の苛烈さに反して全容がつかみにくい不可解な構造を持つ。そういったところも本組織の特徴と言えるだろう。
本隊である『牙』は一武装盗賊団としても異例なほど、優秀な人材が多い。
- 例えば、戦士格のメンバーは秘境開拓者であれば8~10位階以上、退獣士であれば一等以上の腕前を持つ戦闘技能者が多数在籍しており、中には特徴的な行動・武装から渾名を以て呼ばれる者たちさえ存在する。
- 鍵破りから精術士、鑑定士、贋作作り、秘境案内人、果ては奇抜な調理人まで多彩な人員がそろっているという。故に、思いがけない技術を行使し、通常の武装盗賊団では不可能とされるような実績を持つ。
- 中には表社会の顔として秘境開拓者を営むものもいるなど、千差万別。
組織の大きさ・ネームバリューは勿論のことだが、それだけ各種組織が「有能なはみ出し者」を捕まえることに長けている、ということも意味している。
これはこの組織に属すること自体が、裏社会で大きなアドバンテージを持つこととも、決して無関係ではない。
また、組織の所属者は掟を課される。
それらは下記の通り七つの誓いによって作られ、破った構成員はそれまでの身内によって惨殺される。裏切り者は許さないが、対価を支払うことで恩赦を受けられる場合もある。ただし、大抵の場合、恩赦とは「命懸けでもなお足りぬ危険な任務」である。
掟
初代の定めた七つの掟が存在し、以下を遵守することが構成員の条件である。
- 「頭(=“牙王”、『牙』の長)に逆らってはならない」
- 「輩に牙を剥いてはならない」
- 「輩の諍いは平等な形で治めねばならない」*1
- 「如何なることより蛇を優先しなくてはならない」
- 「利益は分かち合わねばならない」*2
- 「敵に容赦を持ってはならない」
- 「奪うことを楽しめ」
なお、この掟は厳密には『牙』だけに適応されるもので、『鱗』はその制限を受けない。
しかし、掟に大きく背くことは実質『牙』の機嫌を損ね、ひいては“牙王”への背信行為とみなされることも珍しくない。故に、実質的に関連組織すべてがこの掟を意識することとなる。
構成組織
組織は年代によってその名前・性質に変化が起こるため、頭目である“牙王”以外は一定ではない。
ただ、大まかな傾向として以下のような性質に至ることが多い。
“牙王”
七頭の蛇の頭目の称号。
初代が名乗っていた名前が由来。
組織全体の方向性を決める権限を持つ唯一の存在で、いかなる形で組織を使おうと自由だとされる。それこそ、遊びのために『牙』一つを使いつぶしたとしても、意見することは許されないほどに。
それ故にこの地位を夢見る構成員は決して少なくないが、その道筋は一筋縄ではいかない。
実際に辿り着くためには己の実力を示し、さらに秘密の儀式を経る必要がある。継承までの詳細は七頭の蛇内ですら極秘であり、各『牙』頭目とその腹心にしか知らされず、もし漏洩が疑われればすべての『牙』が集結し裏切り者と、知ってしまった人間を鏖殺する。それは継承挑戦者そのものにも課されるリスクであり、儀式でふるいに落とされたものはみな死ぬという。
これほど極めて過酷な道を歩んでくるためか、大抵の“牙王”継承者は野望・展望の質に違いこそあれ、勢いや考えなしの馬鹿な人間は皆無と言っていい。仮に直観派であったとしても、その言動・指揮は明確かつ理のある根拠や理由を持つ。
そのため、歴代“牙王”の陰謀はあらゆる組織の頭目たちから注視される。組織の内外、社会の表裏を問わず。
『牙』
Serpent。七頭の蛇を構成する、七つの本体組織。
各地方に存在する荒くれどもを束ねる司令塔として機能し、管轄地方に暴悪の風を吹かせる。
基本的には当代の最も大きな勢力・実績を持つ組織などが、当代の“牙王”に任ぜられる形で就くこととなる。
『牙』そのものが潰れるか、何らかの理由で“牙王”から任命がない限りは引き継がれる形になる。しかし、それらも状況次第であり、『牙』であるというだけで胡坐をかく組織・統括者はいつ何時降格・解体されるとも限らない。
加えて、『牙』であるとは「“牙王”の願いを叶えるその一部である」ことをも意味している。
それは、どれほどの横暴な願いであっても必ず応え、成果を持って帰らなくてはならないことを意味する。仮に“牙王”の信を失うようなことがあれば、『牙』としての地位はもちろん、組織・個人問わず生命の「価値」は一気に下落する。
『牙』であるとは、それだけの責任とリスクの伴う地位なのである。
- だが、それ故に受けられる恩恵も大きい。
“牙王”の機嫌次第とはいえ、基本的には裏社会の大君の信頼と好感を勝ち取った組織である。
前述の掟があるとはいえ、『牙』と『鱗』には組織内で有する権利に大きな差異がある。ぶっちゃけた言い方をしてしまえば、『牙』はどれだけ『鱗』に横暴を働いでも許されるのだ。“牙王”からの命令で止まらない限り、彼らの行動は実質的にその名代なのである。
七頭の蛇という形が生きている限り、彼らは自由に振る舞うことが許される。縄張りの秩序も、ついてくる有象無象の使い道も、得た財宝の取り扱いも、何もかも。『牙』たる自覚と成果さえ挙げていれば、彼らは裏社会で最も自由な暴力集団として振る舞えるのだ。
基本的には“牙王”による任命順、あるいは交代順でその数字を割り振られる(欠損が出た場合は繰り上がり方式)。
ただし、第一の蛇のみは例外で、当代の“牙王”着任時に任命される。
第一の牙
Serpent Reader。第一師団。最も忠実なる僕。
“牙王”の腹心とも言うべき組織。
唯一、明確にその地位に意味と役割がある『牙』。“牙王”直属の組織として機能するものに授けられる地位であり、初代の頃は“大龍頭”の組織がその地位にあった。
『牙』全体の管理を行なういわばリーダー格に相当する。そのため、七頭の蛇の中で最も冷静な視点と行動を見せる部門となる、運営の要。
- “牙王”の補佐を行なう組織となるため、その選出は極めて慎重なものとなる。
事実上のナンバー2となるためその地位を狙う者は少なくないが、その一方で狙ったからと言って就けるものでもない。基本的には座に就いた“牙王”の属していた組織が、そのまま後見的に収まることが多い。
だが、“牙王”自身が選出せず、『牙』同士の協議を中心として行われる場合もある。- いずれにしても、その役割は重大。
七頭の蛇という組織の統制を担うことから、権限も大きくなり組織内での影響力は増大する。
同時に、役目を全うする責任も極めて重いものとなる。“牙王”を絶対的な柱とする故に、その眼鏡に敵わなければ、いつ何時その地位を失うことになるか、わからないのだ。
故に、この座に就く『牙』はどの『牙』よりも厚い忠誠と、それを示す成果を見せることに尽力する。
- いずれにしても、その役割は重大。
評価
恐怖の化身、外道の中の外道。
下手な危険生物よりも著名な彼らは、その名前だけで泣いていた子供が恐怖に言葉を失うほどである。
無論、大陸同盟でもその存在を認めるつもりはなく、多額の賞金を設けたうえで指名手配を行なっている。それでもなお数百年の間根絶出来ていないというところに、この組織のいびつさ・恐ろしさが垣間見える。
しかし、裏社会ではその評価は一変する。
彼らは法を厭う悪党の中では絶対的な権力者であり、またカリスマとなる。
この組織の末端に属することを「許される」だけで、街のマフィア・ギャングとは一線を画すのだ。『鱗』の中でもより信頼を得ることが出来れば、他の対立組織相手にも幅を利かせやすくなり、また上手く関係を築かれば強力な後ろ盾さえ得られうる。
流石に『牙』まで目指すものは極めて少数だが、それでももし『牙』に至れれば、もはや裏社会の英雄の一角といっても過言ではない。
決して表社会では得られぬ名声を求める者たちにとって、彼らは一種のあこがれであり続けるのだ。
- 同時に、利害の不一致が起これば途端に恐るべき脅威に早変わりする。
良くも悪くも、彼らは裏社会のルールである「力こそすべて」の体現者なのだ。毒蛇の牙に、慈悲などというものは詰まっていない。
歴代の著名な該当者
- 『獅子華(シンハ・パミ)』“冒険神”*3キラ・イサラン
活動時期:1490年代前半、1510年代前半
位置 :第二の『牙』頭目
伝説的な危険冒険者組欄を率いた、稀代のカリスマ。
一時期組織半壊により活動を停止するも、1500年代の“魔蛇の横行”期に復活、華州~楪州間の交易陸路をせき止める。数万を超える暴走冒険者軍と天才的指示による作戦で龍武隊すらも手玉に取るも、秘境開拓組合の活躍により討ち取られた。
冒険者だてらに高額な二丁拳銃を使う伊達男で、その派手さとカリスマから心酔する女性も多かった。
1490年代後半~1500年代の詳細は不明だが、一説では黒竜商会に関連する犯罪結社の若頭として活動していたとされる。
※随時追記
扱い
中堅以上のプレイヤー向けの敵組織です。
黒竜商会の絡むイベントでの戦闘要員の背景設定から、大規模な戦闘イベントに出て来るNPC(シナリオ内での敵にも味方にもなるうる)と言ったところで使うための組織です。
黒竜商会が裏社会に様々な物品を流す経済的・文化的な悪役なら、七頭の蛇はわかりやすい暴力集団として登場します。
基本的に『鱗』は下っ端組織ならば銀級秘境開拓者でも戦える程度ですが、『牙』の信頼ある『鱗』は銀級秘境開拓者にとっても強敵です。
本来は秘境開拓者が相手取るような存在ではなく、国の治安維持組織(国防騎士団、重装衛士、武装警察など)が立ち向かうべき相手といえます。ですが、いろいろと騒々しい世の中である秘境開拓時代では、秘境の中あるいは秘境資源の絡む仕事や出来事の中で、目をつけられてしまうこともあるでしょう。
そうした場合、白銀の騎士など戦闘熟達者の協力を考慮した方がいいかもしれません。
『牙』との戦いともなると、金級秘境開拓者の戦闘特化型キャラクターでもなかなか苦戦するはずです。
このクラスになると単に武術に優れた人間だけでなく、独自に採掘した超古代文明あるいはそれ以後の古代文明の遺産・戦闘兵器を所持していたり、調教された危険生物を利用する場合もあります。魔獣兵器すら利用するかもしれません。
こうなると、対応する側も十二分を超えた戦闘力が求められます。
ここまでくると、もはや準戦争クラスの戦いとなることさえ考えられます。
訓練された治安維持組織の戦闘員や、退獣士、白銀の騎士の精鋭が不可欠。特に各『牙』の頭ともなれば、並々ならぬ実力者ばかりのはずです。仮に戦うのであれば、秘境開拓者は正面切ってではなく、奇襲や奇抜な作戦を遂行するためということになるのではないでしょうか。
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極めて近しい存在。
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