【組織・職業】/武芸者

Last-modified: 2021-12-14 (火) 05:28:02

アルファベット表記:Battle Artist
読み:ぶげいしゃ/バトルアーティスト
分類:立場・生活様式、主義
発端地方:燦州
発案者:tocoma110
Tag: 組織職業 武芸者 職業 主義 思想 生活様式 発案:tocoma110


概要

燦州に端を発する、武芸を磨き更なる高みを目指すことを人生の目標とする者たちの総称。
退獣士白銀の騎士団聖騎士と並び称される戦闘技能保有者であるが、これらと異なり武芸者は職業ではなく、個人の生き方である点で異なり、武芸者と一口に言っても個々人でその職業や活動形態はまるで異なる。
強いて言うならば、武術の高みを目指す武術追求主義者の総称、ということになる。

  • また、武芸者の多くは精武術の使い手である。

 

目的

己の武芸を磨き、己の武を示す

  • これはあくまで総合的に言語した場合のものであり、実際は個々人でまるで違うとも言える。
    • 単純に武術の冴えを磨くもの、それによって多くの名誉・勝利を求める者、より強大な敵と出会うことを求める者……その姿勢は千差万別である。

 

沿革

その起こりは第一次魔北大戦まで遡る。
強大な敵を前に武力ではるかに劣る燦州人であったが、鉱物資源を駆使することで優れた刀剣類を振るい対抗した。その中、時折不可解な力を発揮北方の悪鬼どもを撃ち倒す事態が多数報告されていた。

  • 当然、それらを用いて対抗しようと前線の戦士たちは躍起になったが、精術?の研究すらも未熟であった時代、それらが体系立って纏められることはなかった。

戦中は満足な研究も出来ず、経験則のみの半ば偶発的な形での利用にとどまっていたが、終戦後よりその研究が活発化。その力を行使するための武装が製造され始め、さらにそれをより実践的な形の武器と、それをより効率的に用いるための武術が研鑽されていった。それらを既存武術も組み込んでいったことで生まれた武術習得者たちが武芸者のルーツとされる。

  • そのため、元来の武芸者は「来たる魔北勢力第二侵略への対抗策」であった。

が、長らく魔北地方との戦乱が起こることはなかった。
小競り合いすらも数十年から百年に一度程度に落ち着き、その存在意義は薄れていく。しかし、一次資源が薄くなりがちな燦州山岳部では、豊富な鉱物資源を生かし鍛造技術と武装製造技術を磨き上げていった。
それに伴う形で戦闘技能者の育成にも力を入れ、燦州式の装備と高度な武術を修めた戦闘技能者たちを商品とする道が切り開かれたのだ。つまるところ、傭兵稼業である。優れた傭兵を送り出し、それによって外界の物資を入手する金銭を得ることが、燦州の大きな産業となっていく。

  • こうした形で外界に出る機会を持つ傭兵職は、若者の間で憧れの的であった。

その中で、さらに武術を修めることそのものを目的とする若者たちが登場し、その追及のために人生を掛けるような者たちが現れるようになる。
そうした若者たちが傭兵業ですらなく外界へ赴き、秘境獣狩り、闇社会といった武術を生かす場で活躍し始めるようになる。それに伴い、単純な武術習得者以上に武術の修練と行使に人生を掛ける者たちを、『武芸者』と呼ぶようになったのだ。

  • その名が浸透していくと共に、燦州以外の地域の武術習得者の間でもそうした思想・行動が一つの潮流を生むこととなっていく。
    • そして、第二次魔北大戦の中で数多くの武芸者が活躍したことに伴い、大陸秘境開拓時代には需要も相まってその数は(崩れになる半端物を含め)さらに爆発的に増えていくことになる。

なお、厳密には異なるのだが、「燦州出身の戦闘技術者」を武芸者と呼ぶ俗語的表現方法もある。

 

特徴

戦闘力が高い。この一点に尽きるだろう。

真に武芸者と呼ばれる者たちは並みの秘境開拓者などの何倍も優れた戦闘能力者であり、退獣士・白銀の騎士団・聖騎士などと同等の高みにあるとされる。
しかし、一定の思想・信念の下動く彼らと異なり、武芸者にはそういった規範が存在しない。彼らにとっては武術の洗練と追求こそが第一義であり、それ以外のすべては極論些末事である。

  • そうした思考から、秘境開拓者以上に個人主義的傾向が強く、集団に属する理由も基本的には「武術を生かせるから」という身もふたもないものである。
    そのため、大半の武芸者は特定の武術を修めた者の中で、さらに武術を磨くことに取りつかれた者たちの末路と語られることが多い。
    • 一応、健全な精神と真っ当な社会性を持つ武芸者も存在するが、やはり変わり者は目立つということでもある

また、武芸者の戦闘技術は対人戦に特に優れている。
それは、そもそもが対魔北を想定したところから始まりながら、各地に出向く傭兵稼業へシフトしていったことにも関連している。個人~小中規模の集団との戦闘に特に優れ、時に一騎当千を体現する者さえいたほどに。
大人数が入り乱れる戦場でも十二分に活躍する技術を持つ者は多いだろうが、さらにその数が限定されていけばいくほど、その厄介さは際立っていくとされる。

  • そのため、退獣戦では退獣士に一歩劣ることが多い一方で、対人戦で求められる駆け引きや起点の速さでは一日の長がある……という形で語られる。
  • 一般的な武芸者は二等退獣士~一等退獣士程度の戦闘力である。

また、武芸者の大半は何らかの武術流派の習得者であることが多い。
単純に武芸者を名乗るのであれば特定流派に名を連ねる必要はない。が、我流で一本の強大な柱を打ち立てられるものなど、それこそ稀少な天才くらいなもの。
そうした事情もあってか、武芸者は自身のみならず流派に対する思い入れ・プライドも高い。
時に、流派への侮辱は武芸者当人へのものよりも重大な問題とされる。


また、武芸者は基本的に生業としてのものを除いた「明確な格下との戦いを恥とする」文化がある。
高みを目指すことを目的とするために、力をひけらかすにしても相応に強大な相手でなくてはならない──という暗黙の了解がある。
請け負った仕事の上でならばまだしも、それ以外で無暗に一般人相手にこれ見よがしな行動をとることは、「商売道具の安売り」のようなニュアンスで軽蔑されることが多い。そのため、普通の武芸者はその人間性の問題はさておき、わざわざ騒ぎを起こすことは稀である。

  • 要するに「雑魚に勝っても自慢にならない」ということ。
    強さを示すならば相応の困難でなければ意味がない……と言うよりも格好がつかない、というべきか。

だが、そこに武術の研鑽・試すべき武があると認識した場合は別である。
特に、著名な武術家や戦闘技能者相手に決闘を挑むことは無礼ではないどころか、一種の礼儀とまで口にする者も珍しくない。そのためには多少の問題も不問とする……といった風潮は否定出来ぬ程度には見られる傾向である。
流石に所かまわず勝負を吹っ掛ける者は稀だが、機会あらば逃さぬ姿勢はごく一般的である。

  • それによって負けることも不名誉ではなく、むしろ決闘に果てて死ぬことはある意味本懐である。*1
    逆に、床に就いて死ぬことは武芸者にとって不名誉とまで言わずとも不本意とされ、集団と言えど格下相手からの襲撃に対応出来ず死ぬことは、不名誉を通り越して面汚し呼ばわりが当然とされる。

 

地方別の傾向

燦州出身者とそれ以外の武芸者である程度傾向に差異がある。

燦州

一般的に燦州出身者は武術追求至上主義であることが多く、それ以外の事柄に淡白な者が多い。
彼らは良くも悪くも禁欲的──というよりは武術以外に興味の薄い人間であり、酒も食事も性交も二の次ということが多い。時として一般社会的な立場すらもどうでもいいと断ずるような変人・奇人さえ珍しくなく、それ故に最も個人主義的傾向が強く出る。その一方で、単なる金銭のみで味方につけにくい面もあり、良くも悪くも他者との関わりは希薄である。(逆に金銭を重んじるものらは傭兵稼業を営むのが定石である)

  • 一方、燦州以外ではその活動形態にある程度地方色が出やすい。

爬州

燦州の近隣である爬州では武術を生活の役に立てるために習得・追求する者が多く、職業人的な性質が色濃い。旧来の傭兵団文化のそれに近い気質がある。
その一方で集団活動は行わず、個人主義的な側面も強い。

華州

華州では独自の精武術が多数あることから、それらの精武術に絡む思想性に染まりやすい傾向にあり、武芸者=特定流派の習得者という認識が強い。

  • 燦州のそれ異なり、日々の生活の中での修練にも思想性が隠れ潜んでおり、その在り様はかなり固有の気質が色濃い。特に神秘主義的な思想と絡む風変わりな精武術も珍しくないため、華州武芸者は「魔術使い」などと呼ばれることもある。
  • なお、栄州の武芸者はどちらかというとこちらの系譜にある。

俄州

俄州亜州の武芸者はビジネスライクなものが多い。
特に傭兵稼業を営む者の中には、大規模な傭兵団まで構える者も存在するほどである。そのため、他の地方と比べるとかなり異質なものが目立つ。

綴州

綴州ではどちらかというと精術研究者が多いため、それと兼任となる精武術研究家といった肩書きが使われやすい。
実際、この土地では単純な武芸者の数は少なめ。

応州・楪州

応州楪州はどちらも燦州型に近い武術者が多い。武と生活が近く、それでいながら特別な力としても認知されている点が大きいのかもしれない。
ただし、応州は俄州型の「武術は売り物」という意識も強く、その意味では古き燦州傭兵集団に近い気質を持っている……と言えるかもしれない。また、楪州は近隣華州に近い宗教的な信念・思想を伴う流派も数多い。

畏州

畏州では武芸者は生まれにくい。
その土地柄上聖騎士に憧れる者が多く、武道を志す者は皆そちらに行ってしまうらしい。宗教的な文化もあり、燦州に最も近いでありながら、ある意味最も無縁な土地とも言われている。

 

評価

基本的にアウトローが多く、また市内でも平然と武装することから、物騒な連中として倦厭されがち。
個人主義的かつ武術を生かせるような仕事を好むため、大半の武芸者の生業は物騒になる。当然ながら、そんな存在に一般人が近づきたがるかと言えば……あまりいい答えは出てこないだろう。

  • また、武芸者崩れの犯罪も珍しくないことがその印象に拍車を掛けている。

ただし、そこに限らなければその戦闘能力を買う存在の数は多い。
特に、秘境開拓組合などでは勧誘しある程度の社会適合を計ることもある。
一方、闇社会では主義主張に関係なく倫理的に緩い人材が多いことから、用心棒から暗殺部隊など幅広い分野で人気を持つ。

 

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相談コメント欄


*1 ただし、あからさまに格上の相手に対し、そうとわからず挑んで死ぬことは嘲笑の的でもあるが