その他/【ベイグラントストーリー】

Last-modified: 2021-01-06 (水) 23:19:19

2000年2月にスクウェア・エニックス(当時はスクウェア)からリリースされたRPG。
FFTFF12の世界観を作った松野泰己氏がプロデューサーを務め、
アイテムの説明文にFFTと共通する名詞がみられるなど、舞台はFFTと同じ世界(魔法などが古代の話になる程度には後の時代)だと考えられた。

  • ところが松野氏のTwitterにて、松野氏の中では「イヴァリースではなく独立した世界」という意図だったが、
    (スクエニ側などから)いつの間にか同じにされてしまったため嘆かわしい、という旨の発言がなされた。
    発売から10年目にして判明した衝撃の事実。
  • 「共通する単語が存在するが、関わりのない世界」という意味ではイヴァリースアライアランスより本家FFシリーズ的なつながりと言えるか。
  • その後、FF14にてリターン・トゥ・イヴァリースが実装された際、
    ハイデリン(FF14の世界)におけるイヴァリース(イヴァリース国)の歴史上では、
    ゾディアックブレイブの1人として、メレンカンプとアシュレイが登場。
    松野氏が意図していたものに近い、本家FFシリーズ的つながりが強化されたとも言える。
    (松野氏がシナリオ担当である為、自身の意図通りであるのは当然ではあるが)
    • リターン・トゥ・イヴァリースでの雷神シド戦のBGMは、本作のラスボス戦で流れる「異形の者」が使用されている。

物語は「グレイランド事件」と呼ばれる事件が中心になる。
バレンディア王国の重臣・バルドルバ公爵の邸宅が、メレンカンプと名乗るカルト集団に占拠される。
公爵自身は別宅にいたため難をのがれ、占拠事件は一晩で鎮圧された。
しかし占拠事件から一週間後に、公爵が何者かに殺害されてしまう。
この一連の事件がグレイランド事件と呼ばれる。
 
公爵殺害の容疑者として、アシュレイ=ライオットの名前が挙がる。
彼はバレンディア治安維持騎士団の重犯罪者処理班(リスクブレイカー)で、公爵邸占拠事件の鎮圧に関わっていた。
本作の舞台は、占拠事件から公爵殺害までの一週間に彼が訪れていた場所「魔都レアモンデ」となる。
プレイヤーは当時のアシュレイとなり、空白の一週間を体験することになる。


戦闘形式は、敵と遭遇した際の戦闘画面への移行がないシームレスバトルを採用している。

  • そのため使えるポリゴン数はFF7の半分程度だったらしい。
    このゲームで培ったノウハウが12で役に立った、とのこと。

ベイグラントストーリーにはレベルの概念がない。
武器・防具には「種族値」「属性値」があり、これが経験値の代わりとなっている。
特定の種族・属性の敵と戦うと、その敵に特効の種族値・属性値が増え、反対の種族値・属性値は減る。
これによって、敵と戦うごとに特定の種族・属性に対する攻撃力や防御力が強化、弱化される。
武器と盾に限り「秘石」と呼ばれる宝石を装着でき、装着した秘石の種類によって特定の種族値と属性値が増減する。
 
レアモンデ内にはファクトリーがあり、そこで装備品の修理と合成が行える。
装備品は使い続けると劣化して性能が低下していくが、修理で直すことができる。
合成によって二つの装備の種族値と属性値をかけ合わせることができる。
特定の装備同士を合成したときに、別の新たな装備を作り出せることがある。
装備品には材質があり、異なる材質の合成で新たな材質の装備を作り出すこともできる。
 
武器は刃先とグリップの二つから構成され、刃先には切断・打撃・貫通の3タイプがある。
グリップは3タイプの刃先のうち、どのタイプにどのくらい適しているかが決まっており、
刃先との組み合わせで武器の能力をより活かすことができる。
 
キャラには頭・胴体など部位(リム)ごとのステータスが存在し、
例えば頭部に大ダメージを受けると一時的に魔法が使えなくなるなどの特徴がある。
装備品も部位ごとに分かれているほか、敵も基本的に部位が分かれており、防御力や攻撃ごとの有効性に差がある。
 
こうした装備品のシステムは、RPGとしてはかなり特異な形式で馴染みにくいものだが、
種族値・属性値の育成や合成にハマり込むプレイヤーも散見される。

  • >>ベイグラントストーリーにはレベルの概念がない。
    一応ボスモンスターを倒したり特定のアイテムを使う事で能力値を上昇させる事は可能。
  • ゲーム制作の常識のひとつに「PCが少ないなら機能は詳細化するべき」というものがある。
    PCがアシュレイ一人なので、細かい装備システムが導入されたのだろう。
  • 詳細すぎて武器合成の組合せはとても覚えきれない量である。材質の組合せと種族値/属性値の結果も考えながら合成表を追って計画していくと、結果作りたい強武器とその素材を見失うことうけあい。
    難解な戦闘システムをようやく掴んだ頃に数度の失敗を経てようやく合成は適当にやっても効果が低いと学び、合成を使いこなそうとしようものならば素材武器の種族値/属性値強化&弱化するので特定の敵に使わないという制限がつき、さらなる素材集めのための高難度ダンジョンが目標になるため、合成に手を染めるとプレイ時間が30時間どころか100時間も超えかねない。
    そんなヘビーなことできるかという人は対種族用の武器を3本ほど作る程度に留めるとよい。というかスルーすべき。逆に合成に執着すれば1年くらい棒に振れるほど凶悪にハマる

ファミ通クロスレビューで最高得点である40点満点を獲得した作品。
当時満点を記録した作品はゼルダの伝説時のオカリナとソウルキャリバーの二作品のみだった。

  • 1ドットまで拘ったグラフィックにカメラワーク、音楽とスクウェアの言う映画的なゲームだったとは思う。
    人を選ぶのでそういう意味で40点はどうかと思ったが。

日本での酷評・売り上げの低さとは裏腹に、海外では人気が高い。
しかし松野氏は日本での不振の責任を取りディレクター職を辞退していたようで、
坂口氏からFF12制作の指示を受けるまでは、プレイオンラインの構築や
小規模なシミュゲーの制作などをやっていた。

  • このとき制作していた小規模なシミュレーションゲームが、後のFF12になる。
  • 不振と言っても国内30万、海外含めれば100万本売れている。念のため。

梟雄ハイラルの力を封じた「梟雄石」、英雄オルランドゥの骸布を封じた「雷神晶」と、FFT由来の説明文を持つ秘石がある。
破魔石もあるが、これは悪に対抗する力を持つもの。
他に、"十二宮物語"に登場する女騎士アグリアスの口紅「ティンカーリップ」というアクセサリはPSP版FFTに逆輸入もされた。
性能は天と地ほど差があるが。

また、オープニングでアラズラム・J・デュライ(作中での表記はA.J.DURAI)の綴ったとされる文章が出てくる。

THE BODY IS BUT A VESSEL FOR THE SOUL,
A PUPPET WHICH BENDS TO THE SOUL'S TYRANNY.
AND LO, THE BODY IS NOT ETERNAL,
FOR IT MUST FEED ON THE FLESH OF OTHERS,
LEST IT RETURN TO THE DUST WHENCE IT CAME.
THEREFORE MUST THE SOUL
DECEIVE, DESPISE, AND MURDER MEN.
 
(訳)
肉体とは魂の器に過ぎない
魂という暴君の傀儡(くぐつ)でしかない
しかし、肉体は永遠の存在を許されてはいない
日々、塵に帰さぬために
他の肉を喰らい続けねばならないのだ
それゆえ、魂は
他人を(あざむ)き、(おとし)め、殺すのである


2009年8月よりゲームアーカイブスにて600円で配信されている。


当初は三頭身キャラとムーミン谷のような背景が出てくるゲームだったらしいが、
紆余曲折を経て現在の形になったらしい。…何があった。

  • とすると、吉田にとっては今度の光の四戦士
    そのときのアイデアを再利用するような形になるのだろうか
  • 大分前のインタビューで「絵本が描きたい」と言った事を言っていたので
    渡りに船だったんじゃないだろうか。

主人公アシュレイ(♂)の露出度の高さは12のフランへと受け継がれた。

  • クジャ並の露出のシドニーと言うキャラも居たりする・・・。
    • 敵側の褐色の女性も候補に挙がる。
    • 彼の格好には一応理由がある。
      (恐らく)純然たる趣味で▼なクジャと一緒にするのはちょっと。

松野作品の類いに漏れずこの作品の兄弟もろくな目に合わない。かの真言兄妹より不幸。

  • 兄弟に限った話ではなく、名前のある登場人物は半分以上死亡し残りも社会復帰は厳しい状態。

吉田氏は2010年9月30日発売の電撃ゲームスのインタビューで
「いつかリメイクされるならタクティクスオウガとこれは本腰を入れて関わりたい」と話していた。
1ファンとして嬉しい限りである。