セイバーメトリクスで用いられる指標の一つであるIsoD(アイエスオーディー…Isolated Disciplineの略称)の別称。
「おはD」と字面や語感が似ている事から、本表記が定着した。
概要 
IsoDとは「出塁率-打率」で算出される、選球眼の良さ及び相手からの警戒具合を表す指標。言い換えれば四死球のみの出塁率である。
好打者の指標の一つとされ、0.07~0.08で合格点、0.10越えなら一流の選球眼を持つと判断される。
例として2022年のIsoDトップはセ・リーグが村上宗隆(ヤクルト)の0.139*1、パ・リーグが西川遥輝(楽天)の0.124。
IsoDが重視される理由は運の影響が少なく、実力通りの値が出やすいため。対極の指標としてBABIP(フェアグラウンドに飛んだ打球がヒットになる割合)が存在し、こちらは運の良し悪しで数値が大きく変動する*2。
各指標を組み合わせることで打撃能力のより細かな分析が可能となる。例えばベテラン選手の出塁率が低下した場合は「BABIPの値が悪くなっただけでIsoDの値は変わっていないから、運が悪いだけで実力は衰えていなさそうだ」、あるいは「IsoDが大きく低下しているから動体視力に限界が来ている」など。
なんJ内における位置付け 
実力が現れやすいという性質からなんJではレスバトルの道具として引き合いに出されやすい。
下記のように四球を選ばずに結果を残す選手も多いものの、IsoDが低いという理由だけで実力がないと煽られる場合があるので注意が必要である。
低IsoDで結果を残すケース 
- 俊足を生かした高BABIPを残すため、四球の少なさに関わらず出塁率が高い選手。
- 出塁率が低いものの長打が打てる選手。
- 悪球打ちが得意な(ボール球を安打にする能力が高い)選手。
- 打率の割に出塁率は悪いが、守備走塁で大きく貢献する選手。
逆に全くヒットが打てず出塁の大半が四死球という選手は、IsoDが高くなる現象が見られる。例として2017年の岡田幸文は打率.000ながらIsoDは0.132という驚異的な数値を記録した。
以上より、IsoD単体での打撃能力の評価は推奨されない。
代表的な選手の通算成績(4000打席以上) 
高IsoD 
低IsoD 
選手名 | 活動年 | 出塁率 | 打率 | IsoD | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
A・ラミレス | 2001~2013 | .336 | .301 | 0.035 | |
高木守道 | 1960~1980 | .312 | .272 | 0.040 | |
篠塚和典 | 1977~1994 | .351 | .304 | 0.046 | |
今岡誠 | 1997~2011 | .325 | .279 | 0.046 | |
鎌田実 | 1957~1972 | .261 | .234 | 0.027 | 歴代IsoDワースト1位 |
荒木雅博 | 1996~2018 | .309 | .268 | 0.041 | |
宮本慎也 | 1995~2013 | .325 | .282 | 0.043 |
余談 
近年は岩本貴裕(元広島)が2009~2012年に叩き出した極端な低IsoDがネタにされた。プロ通算242打席目の初四球は歴代最遅記録。通算IsoDは0.018*3。
年 | 打数 | 出塁率 | 打率 | IsoD |
---|---|---|---|---|
2009 | 33 | .152 | .152 | 0.000 |
2010 | 212 | .279 | .259 | 0.020 |
2011 | 179 | .253 | .223 | 0.029 |
2012 | 239 | .274 | .268 | 0.006 |