東京ヤクルトスワローズに故障者が続出している状態のこと。類義語に「スペルト」「厄ルト」などがある。
由来は後述するサンケイスポーツの見出しから。
【目次】
概要
一般的に主力選手の離脱は「故障+成績不振」でカウントされるも、近年のヤクルトは常に怪我人を抱えた状態の上、故障者だけで他球団の離脱者を凌駕するほどであり、一軍・二軍共に満身創痍の状況に陥ることが多い。
あまりに突出した怪我人の発生具合から、最近では試合中継などの中でアナウンサーからもこのような状況について言及されたり、親会社のヤクルト本社の株主総会で「ケガ人が多いのはどうしてなのか」と株主が質問したりする*1*2という事態が起きているほか、企業イメージの問題からか選手の自社CMへの起用も非常に少なくなった*3。
しかもヤクルトグループは健康食品・医薬品製造企業であり、同社製品を選手が摂取しているにも関わらず故障者が続出してしまうと本当にヤクルト製品に効果があるのか(むしろ悪影響は無いのか)疑問視されてしまうという面もあり、株主総会でこうした話題が出るのも当然である。
誕生の経緯
特にこの傾向が顕著になったのが2011年で、シーズン開幕戦の川島慶三の死球骨折から始まり、村中恭兵・川端慎吾・福地寿樹といった主力級の選手が次々と戦線離脱。シーズン終盤になると一軍二軍問わず怪我人・病人が続出し、川本良平・由規らが登録抹消。石川雅規・宮本慎也・相川亮二・館山昌平・久古健太郎らが故障を抱えたまま強行出場せざるを得ない事態となり、最大時10ゲーム差をつけていた中日ドラゴンズに逆転Vを許す結果となった。
翌2012年もトレーナーを増員したにも関わらず怪我人が続出。主力選手が怪我を抱えたまま強行出場をするという事態に再び陥った。
そんな中、5月11日のサンスポ紙面で当該の見出しが初出する。
ヤ戦病院…今度は村中&川端が抹消
https://web.archive.org/web/20120514040236/http://www.sanspo.com/baseball/news/20120511/swa12051105020000-n1.html
ヤクルト・川端慎吾内野手(24)と村中恭兵投手(24)が10日、出場選手登録を抹消された。
川端は9日の中日8回戦(岐阜)の二回に腰痛を訴え途中交代していた。11日に都内で精密検査を受ける。
4月末にも腰痛で3試合欠場しており、小川監督は「すぐにどうというわけにはいかないから、抹消した」と長期化を示唆した。今季は29試合で打率.299、0本塁打、8打点だった。
村中も同戦の一回、右すねに打球の直撃を受けていた。骨には異常がなく、病院には行かない予定。今季は7試合で3勝2敗、防御率3.21だった。
病院化の原因
傾向自体は昔からあった*4のだが、近年このような惨状を招いた原因としては、ドラフトでの戦略において「アマチュアでの実績は十分だが致命的な故障持ちで、他球団が指名を回避した選手」を強行で獲りに行く、もしくは「そもそもプロとして数多くの試合数をこなすほどの体力、素質がない選手」を数多く獲得したことが挙げられる*5*6。
さらに本拠地の神宮球場はウォーミングアップの場所が不十分である上、学生野球(東京六大学・東都大学リーグ、高校野球の都大会など)と併用されており「開催日はヤクルト側が練習に使えない」といった根本的な問題も指摘されている*7。その上、財政難から最新機器の導入に二の足を踏んでいるとも指摘されている*8。
また選手自体に問題がなくても、「故障を恐れてキャンプ等での練習量を減らした結果*9、基礎体力が付かずに怪我を発症する」ということが起きていると球団OBから指摘されている。加えて、球団自体の選手の負傷後のアフターケアも「精神論に頼った前時代的なものである」とたびたび非難されており、実際に「負傷直後はアイシングのみで放置し後日患部の症状が悪化するか、改善しないまま病院に通院、結果的に重症であると発覚してシーズンを棒に振る」という事例も珍しいことではない。なお極端な例として2015年シーズンには2軍で内・外野手に故障者が続出、イースタンリーグの試合すら投手を外野手や指名打者、複数の捕手を内野手として同時にスタメンへ起用する事態に陥っていた事から、前年に現役を引退して打撃投手兼スコアラーになっていた阿部健太を(投手だったにも拘わらず野手として)急遽7月にイースタンリーグ限定で育成選手として現役復帰させたと言うケースまで存在する*10。
病院収容の対象「物」
- 高価なピッチングマシーンが1球投げただけで壊れ再起不能。
- 神宮球場の電光掲示板に突如エラーが発生し正常な動作をしなくなる。
- ネクストバッターズサークルに置いてあった滑り止めスプレーを捕邪飛を追いかけた広島・瀬戸輝信が踏んづけて爆発。
- サビエル・バティスタのホームランで神宮球場のコカコーラ社の広告の高額照明装置を破壊(当然投げたのはヤクルトの投手)。しかもチームは9回表だけで6失点して逆転負けし、ヤクルトファンの心も破壊し暴動寸前に*11。
- 戸田球場が令和元年東日本台風(台風19号)の直撃を受け水没。トラックマンを筆頭とした精密機械や用具が水につかり、当然ながら電気を使うものは再起不能になり交換を余儀なくされた*12。
上は大火事、下は洪水。 - 神宮球場外野フェンス上部の金網が打球で破れる。
- ブルペン電話の受話器が嵌まらなくなり、テーピングをする。
- 2023年の浦添キャンプで、村上宗隆が特打練習で特大バックスクリーン弾を放ち電光掲示板を一部破壊。翌日にはホセ・オスナが室内打撃練習で、打球が防球ネットを突き破り施設の窓ガラスを破壊した。
- 2024年7月、猛暑の中神宮球場のロッカーのエアコンが故障しているのが田口麗斗のXアカウントでの投稿(画像3枚目参照)で確認される。
など、物が壊れる光景が定期的に観測されたため、「ヤ戦病院」の対象は人間だけに留まらないと言われている。
遂にゲストにも
2024年8月6日の対阪神戦で始球式に小池百合子都知事が登板したが、投球*13の際にバランスを崩し、左膝をひねってしまった。翌日膝の剥離骨折で全治2ヶ月と判明し、「小池百合子投手抹消(IL入り)」「小池都知事ヤ戦病院送り」などとネタにされたほか、都知事であっても容赦なく襲いかかるヤ戦病院の脅威に震え上がる者も少なくなかった*14。
余談だが、ヤクルト球団と関係の深いフジテレビ系列がこの時期に放送したドラマとして『新宿野戦病院』というものがあり、これをもじった「新宿ヤ戦病院」というネタも生まれた。しかも神宮球場や東京都庁の所在地は新宿区であるため、その点でも一致している。
故障者リストの例
2017年のシーズン中のある時点のものであり、シーズン通しての怪我人のカウントではない。赤字はこの時点で既に年内復帰の見込みなし。
ジュリアス 左肘靱帯再建手術予定
古野 右肩負傷
中村 右膝蓋骨骨折
川端 ヘルニア
畠山 左脹脛肉離れ
今浪 甲状腺機能低下症 *15
徳山 黄色靭帯骨化症 *16
寺島 左内転筋筋膜炎
渡邉 肉離れ
杉浦 行方不明→右肩違和感*17
西田 右膝自打球直撃
雄平 右手首骨折
秋吉 右肩甲下筋の肉離れ
大引 左肩の状態不良
ヤクルトファンの発言で打線組んだ
1(中) 全治6ヶ月か、軽傷で済んでよかった...
2(二) なんだこのクソ打線、まるで靭帯
3(右) うちだって30億も補強費使えるなら病院建てるわ
4(一) みんなヤクルトの管理はクソとか言ってるけど今回は負傷翌日に病院行ったんだからめちゃめちゃ迅速な対応なんだゾ
5(左) そもそも靭帯つながってるだけで戦力やからな
6(三) 人生で見る靭帯という言葉の半分以上がヤクルト関係
7(遊) 他球団の選手がストレッチしてるの見ると羨ましい、あんな伸ばしても切れないんだなって
8(捕) 人体に靭帯は全部で38あるらしいで
9(投) 怪我人の復帰というポジ材料が増えた*18ことに感謝