ヤ戦病院

Last-modified: 2024-03-15 (金) 22:25:46

東京ヤクルトスワローズに故障者が続出している状態のこと。類義語に「スペルト」「厄ルト」などがある。
由来は後述するサンケイスポーツの見出しから。


【目次】


概要

一般的に主力選手の離脱は「故障+成績不振」でカウントされるも、近年のヤクルトは常に怪我人を抱えた状態の上、故障者だけで他球団の離脱者を凌駕するほどであり、一軍・二軍共に満身創痍の状況に陥ることが多い

あまりに突出した怪我人の発生具合から、最近では試合中継などの中でアナウンサーからもこのような状況について言及されたり、親会社のヤクルト本社の株主総会で「ケガ人が多いのはどうしてなのか」と株主が質問したりする*1という事態が起きているほか、企業イメージの問題からか選手の自社CMへの起用も非常に少なくなった*2
しかもヤクルトグループは健康食品・医薬品製造企業であり、同社製品を選手が摂取しているにも関わらず故障者が続出してしまうと本当にヤクルト製品に効果があるのか(むしろ悪影響は無いのか)疑問視されてしまうという面もあり、株主総会でこうした話題が出るのも当然である


誕生の経緯

特にこの傾向が顕著になったのが2011年で、シーズン開幕戦の川島慶三の死球骨折から始まり、村中恭兵・川端慎吾・福地寿樹といった主力級の選手が次々と戦線離脱。シーズン終盤になると一軍二軍問わず怪我人・病人が続出し、川本良平由規らが登録抹消。石川雅規・宮本慎也相川亮二館山昌平久古健太郎らが故障を抱えたまま強行出場せざるを得ない事態となり、最大時10ゲーム差をつけていた中日ドラゴンズに逆転Vを許す結果となった。

翌2012年もトレーナーを増員したにも関わらず怪我人が続出。主力選手が怪我を抱えたまま強行出場をするという事態に再び陥った。
そんな中、5月11日のサンスポ紙面で当該の見出しが初出する。

ヤ戦病院…今度は村中&川端が抹消
https://web.archive.org/web/20120514040236/http://www.sanspo.com/baseball/news/20120511/swa12051105020000-n1.html


ヤクルト・川端慎吾内野手(24)と村中恭兵投手(24)が10日、出場選手登録を抹消された。

川端は9日の中日8回戦(岐阜)の二回に腰痛を訴え途中交代していた。11日に都内で精密検査を受ける。

4月末にも腰痛で3試合欠場しており、小川監督は「すぐにどうというわけにはいかないから、抹消した」と長期化を示唆した。今季は29試合で打率.299、0本塁打、8打点だった。

村中も同戦の一回、右すねに打球の直撃を受けていた。骨には異常がなく、病院には行かない予定。今季は7試合で3勝2敗、防御率3.21だった。


病院化の原因

傾向自体は昔からあった*3のだが、近年このような惨状を招いた原因としては、ドラフトでの戦略において「アマチュアでの実績は十分だが致命的な故障持ちで、他球団が指名を回避した選手」を強行で獲りに行く、もしくは「そもそもプロとして数多くの試合数をこなすほどの体力、素質がない選手」を数多く獲得したことが挙げられる*4*5

さらに本拠地の神宮球場はウォーミングアップの場所が不十分である上、学生野球(東京六大学・東都大学リーグ、高校野球の都大会など)と併用されており「開催日はヤクルト側が練習に使えない」といった根本的な問題も指摘されている*6。その上、財政難から最新機器の導入に二の足を踏んでいるとも指摘されている*7

また選手自体に問題がなくても、「故障を恐れてキャンプ等での練習量を減らした結果*8、基礎体力が付かずに怪我を発症する」ということが起きていると球団OBから指摘されている。加えて、球団自体の選手の負傷後のアフターケアも「精神論に頼った前時代的なものである」とたびたび非難されており、実際に「負傷直後はアイシングのみで放置し後日患部の症状が悪化するか、改善しないまま病院に通院、結果的に重症であると発覚してシーズンを棒に振る」という事例も珍しいことではない。なお極端な例として2015年シーズンには2軍で内・外野手に故障者が続出、イースタンリーグの試合すら投手を外野手や指名打者、複数の捕手を内野手として同時にスタメンへ起用する事態に陥っていた事から、前年に現役を引退して打撃投手兼スコアラーになっていた阿部健太を(投手だったにも拘わらず野手として)急遽7月にイースタンリーグ限定で育成選手として現役復帰させたと言うケースまで存在する*9


病院収容の対象「物」

など、物が壊れる光景が定期的に観測されたため、「ヤ戦病院」の対象は人間だけに留まらないと言われている。


故障者リストの例

2017年のシーズン中のある時点のものであり、シーズン通しての怪我人のカウントではない。赤字はこの時点で既に年内復帰の見込みなし

ジュリアス 左肘靱帯再建手術予定

古野 右肩負傷

中村 右膝蓋骨骨折

川端 ヘルニア

畠山 左脹脛肉離れ

今浪 甲状腺機能低下症

徳山 黄色靭帯骨化症 *12

寺島 左内転筋筋膜炎

渡邉 肉離れ

杉浦 行方不明→右肩違和感*13

西田 右膝自打球直撃

雄平 右手首骨折

秋吉 右肩甲下筋の肉離れ

大引 左肩の状態不良


ヤクルトファンの発言で打線組んだ

1(中) 全治6ヶ月か、軽傷で済んでよかった...

2(二) なんだこのクソ打線、まるで靭帯

3(右) うちだって30億も補強費使えるなら病院建てるわ

4(一) みんなヤクルトの管理はクソとか言ってるけど今回は負傷翌日に病院行ったんだからめちゃめちゃ迅速な対応なんだゾ

5(左) そもそも靭帯つながってるだけで戦力やからな

6(三) 人生で見る靭帯という言葉の半分以上がヤクルト関係

7(遊) 他球団の選手がストレッチしてるの見ると羨ましい、あんな伸ばしても切れないんだなって

8(捕) 人体に靭帯は全部で38あるらしいで

9(投) 怪我人の復帰というポジ材料が増えた*14ことに感謝

監督 お祓いとか言うけどさあ、明治神宮とかいう日本屈指の聖地*15でこれ以上どうしろって言うのさ


関連項目


*1 株主が野球絡みの質問をする事例は阪神電鉄→阪急阪神ホールディングスの株主総会でも見られる。本業の鉄道そっちのけでタイガース絡みの質問をする様子は有名。
*2 直近では2023年の村上宗隆選手の例があるが、これも2016年の「タフマン」以来となる。この間スポーツ選手全般では相撲の貴景勝関や競泳の池江璃花子選手等が起用されたことがある。
*3 怪我人が続出する傾向は1990年代から出ていたが、当時のヤクルトは在籍していた外国人選手が軒並み好成績を収め、また結果を出す若手選手が次から次へと現れたため、故障者の多さを気にするほどの問題にならなかった。
*4 東北・北海道出身者を特に指名していた2009~2016年に同地区を担当した八重樫幸雄の意向が強く働いたとされ、本来プロ向きでない選手を獲得し続けた一種の「縁故採用」も要因の一つと批判されている。
*5 2010年代前半のドラフト失敗は第二期小川淳司政権時代のコーチだった宮本慎也や石井琢朗に「中堅層が居なくてベテランと若手でプロ野球をやるようなもの」とボヤかせたほど、編成に影響を与えてしまっている。
*6 通常時の併用日はデーゲームが学生野球(大学・高校)、ナイターがヤクルトの試合になる。
*7 この段落ソース:サンケイスポーツ 佐藤春佳「故障者続出『ヤ戦病院』は人災
*8 実際に他球団でも故障回避のために練習でのダイビングキャッチ・ヘッドスライディングなど特定の行動を禁止することは多いが、故障回避のために練習量そのものを減らすのは結局故障を増やすため本末転倒、とされている。
*9 結局イースタンリーグ公式戦11試合に出場し、17打数2安打3打点の成績を残したがオフに改めて自身3度目の戦力外通告を受け正式にスコアラーとなった。
*10 なおこの時、観客から「なんであれだけ代打代走を出して選手が残っているんだ」「支配下登録可能人数同じだろ」などの野次が飛んだ模様。
*11 これが決定打となりヤクルト2軍は茨城県守谷市に移転することになった。
*12 国指定の難病。プロ野球界では投手が発症することが多く、この病気を現役選手が発症すると引退に追い込まれるケースが多い。徳山もこの病気が原因で引退することとなった。
*13 同年の杉浦は4月に5試合投げて抹消となったが、原因が判明していなかった(=行方不明)。その後、7月にトレードで日本ハムに移籍となり、そこで肩の負傷でリハビリをしていた事が判明した。
*14 怪我をすることがネガティブ要因であることを考えれば本来は「ネガ材料が減った」である。
*15 日本屈指のパワースポットとされ、特に「『清正の井戸』と呼ばれる場所をスマホの待ち受けにすると恋人ができる」としてオカルト業界では著名。