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誠意は言葉ではなく金額

Last-modified: 2019-03-07 (木) 16:48:06

福留孝介(現阪神)の中日時代の銭闘を象徴する言葉。






概要 Edit

2006年の福留は、攻守に渡ってチームを牽引し、打率.351(首位打者)、31本塁打、104打点、47二塁打(セ・リーグ新記録)の成績を残し、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。中日を優勝に導き、MVPにも輝いた。

オフの契約更改を前に、福留はマスコミの取材に対して希望額は年俸4億円(チーム内日本人選手最高額)であることを示唆。一方、「契約済の岩瀬仁紀(推定3億9000万円)とのバランスを考慮して査定する」との球団関係者によるコメントも報道されていた。

これを受け、福留は、

自分でも満足のいく年だったし、やった時にはガーンと上げてもらわないとね。

(チーム内の)バランスなんて選手には関係ない。
命かけて戦ってきたのに、通用しないでしょ。

評価は言葉じゃなく金額。
別に自費キャンプでも構わない。

と交渉前から銭闘モード全開で徹底抗戦を宣言。

しかし、いざ交渉に臨むと球団側の提示は岩瀬を下回る3億8000万円であった。サインを保留した福留は、

(サインは)していません。
言葉が出ませんでした。
あぜんとしたかな。
球団からの提示は自分(の希望額)と大きくかけ離れていた。
久々に呆れました

自分でも目一杯の成績出したつもり。
それにしては球団の提示額は大きくかけ離れていたので何も言わず出てきた。
これ以上の成績を求められても僕自身苦しい
一番いいと思った年。
その評価としてはちょっと低いと思う。
言葉が出ません。

(希望額との開きは)大きいと思います。
球団の提示を楽しみにしてたけど、今シーズン(2007年シーズン)に向けてという意味ではガッカリしました。
「球団としては精一杯」と言われたが、いくら言葉で最大限の評価をしたと言われてもね

と会見で発言。言葉では「最大限の評価」を口にするも金額では最高額を提示しなかった中日球団への不信感を爆発させた。

その後も中日側は「岩瀬を超える金額は出せない」との姿勢を崩さず、再交渉の末に福留は3億8500万円でサインした。しかし、サインをした理由を聞かれて「ユニホームを着て野球をしたいのでサインしました」と不本意であることを口にし、2007年限りで早々とメジャーリーグへFA移籍してしまった。

この言動は猛バッシングを受け、守銭奴福留を象徴するキーワードとして「誠意は言葉ではなく金額」が使われるようになり、野球ch・なんJでは迷言として定着した。

100万ドル寄付 Edit

しかし、福留の評価を一変させる出来事が起きる。

2011年に発生した東日本大震災を受けて、当時シカゴカブスに所属していた福留は100万ドルを被災地に寄付(当時の為替レートで約8000万円)。これは、イチロー松坂大輔アレックス・ラミレスと並んでスポーツ選手として最高額の寄付であった。

しかも福留本人はこのことを公表しておらず、マスコミが関係者に取材したことで偶然判明した事実であった。記事

東日本大震災の被災者へ送った義援金が、100万ドル(約8000万円)だったことが米国内の関係者への取材で、この日分かった。

マネジメント会社が先月末に寄付を発表した際、福留は「一日でも早い被災地の復興がかないますよう、そして、一人でも多くの方たちの笑顔がその地に戻りますよう、心からお祈り申し上げます」とコメントしている。

なんJでは、「福留は言葉ではなく金額で被災地に誠意を示した」と熱い手のひら返しが続出し、「誠意は言葉ではなく金額」発言は、プロとしての信念を説いた至言と解釈されるようになった。

実際のところ、被災者からすれば「頑張ろう」「がある」などの言葉での応援が励みになることもあるかもしれないが、結局金がなければ復興はできない。言葉ではなく金額で誠意を見せられる方がありがたいのだ。契約交渉に臨むプロ野球選手にとっても同様である。

「有名人の寄付は売名行為の偽善だ」という心ない批判に対するカウンターである「やらない善よりやる偽善」と並び、福留の「誠意は言葉ではなく金額」は金銭的な復興支援を後押しする標語としてクローズアップされることになった。


寄付するつもりだった発言 Edit

福留は2004年の銭闘でも、「上がった分は(10月に起きた新潟県中越地震の被災地に)寄付するつもりだった」と発言している。

当時は福留が中越地震被災地に寄付したというニュースが流れなかったため、当然のように「銭闘を正当化するための嘘」だと思われていたのだが、公表もせずに大金を寄付するという東日本大震災時の行動により、「もしかして2004年の発言も真意だったのではないか?」と評価が見直されることになった。

元祖「言葉じゃなく金額」 Edit

上記の通り、福留の実際の発言は「誠意は言葉ではなく金額」ではなく「評価は言葉じゃなく金額」である。そして、この「評価は言葉じゃなく金額」は福留発祥ではない。

福留の発言から遡ること4年、2002年に金田政彦(当時オリックス)は最優秀防御率のタイトルを獲得。しかし、その年のオフの契約更改でオリックスが提示した金額は2000万円増の年俸7000万円だった。

金田は

思った以上に低く、ショックでした。
先発投手の役割を果たしてくれたと言われたが、プロ野球選手として、評価は言葉じゃなく金額でしてほしかった

と発言して保留した。

なお、福留が金田の発言を意識して発言したのかどうかは不明である。

余談 Edit

さらに、この言葉は、日本の労働環境一般に対する風刺としても使われる。

ブラック企業問題が多発している日本社会では、有能な人材に十分な給与を支払わず、口先だけでやり過ごしてきた結果として、人材流出による人手不足が深刻化しており*1、そのような事態を引き起こす無能な経営者に対するど直球の正論としてこの言葉の重みを実感する人間も増えている。

経営者たちも、言葉ではなく金額で誠意を見せる必要に迫られ、あるリサーチでは2018年度は大企業89.4%、中小企業も85.6%の企業が賃上げを予定すると答えた上、実施する理由で最多となったのが「従業員引き留め」であった

また、なんJ民の中には実際にこの言葉を給料をあげない社長に向かって言い放った結果、実際に5万円の昇給を実現したものもいる

このように、当初は迷言とされていた「誠意は言葉ではなく金額」は、年々至言として再評価が進んでいるのである。


関連項目 Edit



Tag: 契約更改 中日 MLB 阪神






*1 中日フロントの待遇に不満を持ち、MLB、さらには阪神へと移籍した福留自身、そして福留を含む主力選手の流出によって暗黒化した中日球団はもちろんこの典型例である。