プロレス

Last-modified: 2023-11-28 (火) 14:20:06
  1. 走者と捕手の激しい接触。クロスプレーの一種。 (主に走者側で)当プレーを引き起こした者をプロレスラーと呼ぶ場合もある。由来となったマット・マートン及び、巨人時代の清原和博を指す場合が多い。
  2. 興行戦略として用いられる、チーム間の筋書き上の因縁。主に巨人と阪神*1、巨人とヤクルト*2、阪神とヤクルト*3、かつての太平洋(現在の西武)とロッテ*4等を示す。まれに選手間の因縁に関しても用いられる。

本項では1について解説する。


経緯

2013年5月12日の阪神対ヤクルト戦における出来事。4回表、1死1, 3塁の場面で鳥谷敬が右飛を放ち、三塁走者のマートンはタッチアップで本塁へ突入。タイミングは完全にアウトだったにも関わらず、ヤクルト捕手の田中雅彦に対して真正面からタックルを浴びせ、弾き飛ばした。
結果的にアウトにはなったものの、田中は本プレーで鎖骨を骨折し、戦線離脱へと追い込まれる。テレビで解説を務めた達川光男氏は激怒し、以下のコメントを残す。

『今のマートンはふざけるなですよ』
『僕がもしアレ(投手)だったら絶対ぶつけますよ』
『野球じゃない』
プロレスラーにでもなった訳ですよ』*5

達川自身は広島で正捕手を務めた経験を持ち、クロスプレーの危険性を熟知している*6が故の厳しい言葉であった。
当試合を機に「マートンのラフプレー=プロレス」が定着、以降はマートンに限らずラフプレー全般に対して用いられる呼称として浸透した。


マートンのプロレス戦績

いずれも上述のプレーと同様に、アウトのタイミングで捕手に突っ込んでいる。

  • 同年6月22日 対DeNA戦
    3回表に本塁突入した際、高城俊人にタックルを敢行。翌日の西岡剛のクロスプレーと合わせて「阪神はラフプレーが多すぎる」と球団ぐるみで非難を浴びた。
  • 同年9月14日 対ヤクルト戦
    6回表、相川亮二に真正面からタックル。アウトになったが、激怒した相川がマートンを突き飛ばし、両軍入り乱れての乱闘に発展。相川とマートンの両者に退場処分が下された。


影響

負傷者を出した本プレーは問題視され、以降も上記をはじめとする危険なプレーが散見されたことから2015年の監督会議で真中満(当時のヤクルト監督)が問題提起し、選手会も同調。翌2016年からコリジョンルールが導入される流れとなった。
 

関連項目


*1 両球団共に長い歴史を有し、関東VS関西という構造も相まって「伝統の一戦」と呼ばれる。「江夏VS」「江川VS掛布」といった名勝負も多い。
*2 故・野村克也氏はヤクルト監督時代にあえてアンチ巨人を演じ長嶋茂雄氏率いる巨人と幾度も熾烈な優勝争いを繰り広げた。
*3 特に平成初期から死球などを巡る乱闘が多い。
*4 1973-74年、成績・興行収入共に低迷していた両球団を盛り上げるため、双方の合意の上で演出された“遺恨劇”。演出と知らぬ観客が球団の想定を超えてヒートアップし、機動隊が動員される事態へ発展した。
*5 「プロレスラーにでもなったらどうなのか」と言いたかったものと思われる。
*6 同解説内で「今でも(クロスプレーによる)後遺症に悩まされている」とも述べている。