葛城 華

新歓ライブを見て軽音同好会に入部しに来た、舞ヶ原の１年生！
ステージでの撫子たちの演奏に心を動かされて入部を希望した…らしいんだけど、歌っていた当の撫子には、なんだかやたらとライバル心を抱いているみたい。
演奏スタイルは違えど、同じくギターを弾いているので、それが余計にそうさせるのかも？

裕福だけど厳しい家族の方針で、課外活動に積極的に取り組むように言われている。
学校では生徒会の活動をしていて、実は新歓ライブでもお手伝いをしていたらしく、放課後には忙しい合間を縫って部活に出席しているようだ。

部活を始め様々ある、舞ヶ原高校の課外活動。
その中でも、どの学校にもある組織でありながら、群を抜いて個性的なのが、華も所属する舞ヶ原高校生徒会執行部、いわゆる「舞高生徒会」だ。
お祭り好きな校風を反映してか、舞ヶ原の生徒会は自主企画がとても多い。

イロドリミドリも参加してきた学園フェスや三送会などの学内ライブは主に生徒会の主催だし、芹菜たちが２年時に受賞した「月鈴那知メモリアル選賞」は、学園ＭＶＰに対抗して生徒会とお姉ちゃんが結託し、ノリで作ったものらしい。

授業の一環としてクラシック演目を軸にする定期演奏会に対し、部活対抗と銘打って行うこのライブは、夏休みにそれぞれの研鑽を積んだ各音楽系の部活たちによる、カジュアルでよりパフォーマンス重視な演目を披露しあうもの。
設立されたばかりの新生軽音は、当然今年が初参加。
部活にした甲斐があった！と、芹菜は大喜びである。

快活で社交的、頭の回転も早くて勉強も得意な、よくできた女の子。
好き嫌いがハッキリしており、嫌なものは嫌！好きなものは好き～！と嫌味なく言える愛嬌は天性のもの。
反面ちょっとワガママなところもあるのだが、別に甘やかされて育っているわけではなく、そういう性格。

そんな華が育った葛城家は非常に裕福で、父は新興ＩＴ企業グループの経営層、母も自分で会社を経営する。
自宅は都内の一等地に大きな一軒家を所有していて、関東のとある別荘地に別邸まで持っていたりと、金銭的にはだいぶ恵まれた環境にある。
ただし当の本人は、その「恵まれた環境で、与えられたものだけでも十分」な生活に甘んじることをよしとせず、絶えず自分らしさを求めていく性向が強い。

なお、華のお小遣いは日本の一般的な高校生のお小遣いの相場を参考に額が決められている。
日本の経済が上向けば必然華のお小遣いも上がることになるため、華は経済ニュースにも結構うるさい。

音楽の好みは広く、小学生の頃から聞いていた動画サイト系のプロデューサーの楽曲が特に好き。
本人の可愛らしいルックスに違わず、歌詞も女の子らしい心情を歌ったものが大好きなよう。
そういった音楽で培ったポップセンスを武器にしたギタープレイは、華自身の武器ともなっている。
その一方でソウルやファンクなどにも造詣が深く、同学年の女の子からは「なんか渋い音楽聴いてるよね」とからかわれたりもする…が、華自身は満更でもない。
リズム感もよく、キレのいいカッティングなどは七々瀬にも特に評価されるところ。

もともと持っていた音楽の素養は、小さい頃「ありきたりな習い事」といった感覚で始めたピアノくらい。
だが華が大きくなるにつれて増していくその音楽への入れ込みようとは裏腹に、厳しい両親には歓迎されていない…と、華自身は感じてもいる。
存在感の強い両親と考え方の違いで度々衝突してきた華が無意識に求める揺るぎない「個性」、それが華のギターへの執着の正体なのかもしれない。

新歓ライブで見せつけられた「舞ヶ原高校・軽音部（仮）」のパフォーマンスは、華の心に強烈に突き刺さる。
三人のうち二人が同じ一年生で、演奏もかなり粗の目立つところはあったものの、フロントに立つギター少女のハリのある歌声と、衝動を叩きつけるかのようなストローク、何よりそれが同い年の同級生のものだということは、華にとってはちょっとした衝撃だった。
厳しい両親の目や、忙しい生徒会の活動といった障壁を押し切って華が入部に踏み切ったのも、その衝撃が華にとっていかに大きかったかを物語る。

さながら道場破りのようにして門を叩いた華に対し、「これで４ピースが組める！」と両手を上げて大喜びの撫子…と、最初から噛み合わない二人。
パワー一本やり！の撫子に対し、シャープでスタイリッシュな華のプレイは対極のものながら、お互いを補完し合うのに最良のコンビとなりそうなのだが…
華の撫子に対する強烈なライバル心から、その関係が生まれるにはまだ少しかかりそうだ。

ギターに出会ったきっかけ？って言っても、あんまり特別な話とか、全然なくって。
初めて楽器に触ったのは、中学一年生の、学園祭の準備中だから…秋くらいだと思うけど。
小さなステージで、先輩がバンドで演奏するために練習してるのを、少し触らせてもらった、みたいな、そのくらいのこと。
上手くもなければすごくもなくって、その先輩も別にかっこよくもない、普通の先輩なんだけど。
ギター持って立って、音出してる、ってだけで、なんかちょっと、他の人よりはちょっぴり、ちょっとだけ特別に見えた。

音楽は好き。
なんでかわかんないけど、興味がわく。
みんなは流行ってるのとか、なんかふつうだな、っていうのばっかり聞いてるけど、私は好きな曲、たくさんあるし。
上手く弾けたらかっこいいだろうな、とか。
音楽だけは、特別なのかも。

入学式。パパとママと一緒に、お外でご飯。
…お祝いだっていって、いい所に連れてってくれたけど、なんか余計に疲れた。
二人とも、これからどうする、みたいなこととか、大学のことしか話さないから。
志望校決める時からして、なんか色々言われてすごい揉めたし、結局ああだこうだ言われんのも目に見えてたけど。
パパたちには、私が何したいかとか、やっぱあんまり興味がないんだと思う。

入学式で会って話した女の子も、ちっちゃい頃からピアノやってた、って言ってる。
私なんか楽器持ったのも中学からだし、音楽の勉強なんて、独学でしかやってない。
パパもママも、何度も聞いてくる。
将来どうするとか決めてるの？みたいな。
そんなの決めてもないし、決めらんないけどさ。
今の私は、ここで精一杯やろうって思ってる…んだけど。言っても、むだか。

新歓ライブ。
高校の生徒会に入って、初めてのおしごと…と言っても、雑用みたいなことしかしてないし、楽なもんなんだけど。
前に校内で部員募集してた、軽音部？の演奏。
ベースの綺麗な人が部長なのかと思ってたら、ＭＣで一年生だけど部長ですって言ってて、びっくり。
今年入ったばっかりなのに、いきなり新しい部活作ってなんかしようとしてるみたい。
そんなのってアリなの？
声量はめちゃくちゃあるけど、ギターも上手くない…
いや、間違いなく下手、私の方が全然うまいと思う。
なんなの、この存在感。
よくわかんないものを見せられちゃったきがする。

会長には「熱心に見てたね」って言われた。
口が開いてたみたい…恥ずかしい…
熱心ていうか、なんだろう、ずるい？
わかんないけど、なんだかずるいなって思った。
あーもう！　軽音部ッ！！

軽音部。
すっっっごい悩んだけど、今日行ってみた。
いきなりめっちゃフレンドリー。
一も二もなくバンドに入れられそうになる。
まだ入部してないでしょ！！！

部長のあの子はなんとなくステージでもあんな感じ
だったからわかるけど、三年生の先輩も似たタイプ。
類は友を呼ぶ？？
いい人そうな先輩もいたけど、とにかく猛烈に勧誘されちゃった…
そりゃそうか、できたばっかりだから、新入部員は嬉しいよね。

今あるのは、五十嵐撫子がやってるバンドと、新歓のにも出てた先輩のバンドの、二つ。
だからなんで何もしないうちからバンド入ることになってんのよ！！
まだ入部してないっつってんの！！！！
なんなのよこの部活！！！！

生徒会で準備中の「部活対抗！裏・定期演奏会」。
軽音の方の連絡、私が担当することになった。
お仕事を任せてもらえるの、嬉しい。
って思ってたけど、五十嵐撫子相手にちゃんと進むのかな。
あいつそれ系下手そう…不安になってきた。

ライブのこと。
とりあえず、撫子とツインギターをやるところまでは決まったというか、決まってたっぽい。入る前から…
ちょっとだけ、四人でさらってみる。
昔？の軽音の曲とか。
五十嵐撫子のギターの音おっきすぎ。歪みすぎ。
今まで一人しかいなかったから！って言ってた。
一理ある…ないないない！
私がこっちに入るんだから！バランス考えてよ！って言っても改善しなかったから、絶対考えてない。
え、私がもっと音出せばいいってこと？？？？

クールな萩原先輩もこっそり笑ってた。見逃さない。

かわいいのがいいよね。
なんだろ…ペンギンとか。

バンドなんだから、みんなで相談して決めないとダメか。
みーにゃの好きなものとか、先輩の好きなもの…
先輩何好きなんだろ？
あんまりかわいいもの好きには見えないな。
車の名前、とか出されたらどうしよ…

なんかシャクだけど、五十嵐撫子にも何が好きか聞いとかなきゃかな？
脳筋だから格闘技の技とか言い始めるかも。
後ろ回し蹴りっス！とか。
自己紹介の時に、「後ろ回し蹴りの葛城華です！」って言わないといけなくなっちゃう。
…それは困る。絶対キャッカしよ。

私がここにいるって一発でわかる名前。
後ろ回し蹴り、じゃダメだよね。やっぱ。