【SS】魔王の子供の頃のおはなし

Last-modified: 2021-09-23 (木) 10:15:34

ここは惑星リヴァルス。
宇宙の辺境にある星でそこには特殊な力を持つ
魔族がいた...

目次

1話『一族の特殊能力』

この星の王家であるリヴァルスは特殊な能力を持っていた。

 

それは物を融合させる能力であった。彼はその能力を巧みに使い
この星を占拠して行ったのである。

 

先日待望の第一皇子が生まれた。名前はリバである。

 

リヴァルスの血が流れているのだから当然融合の力もすごいだろう。





と、誰しもが思っていた...

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2話『発覚』

リバが生まれて数十年...

 

リバは人間でいう3歳程の年齢になりつつあった。

 

その頃から王族は融合をうまく使えるようになるために授業を習い始めるのだが...

 

リヴァルス「なに?リバは才能がないだと?」

 

従者「はい...誠に残念なことに最下級である融合技すら使えません。我々も長年リヴァルス様のご家族を指導してきましたがここまで才能がないのは初めてです...」

 

リヴァルス「貴様の指導が悪い!!」

 

バシュッ!!

 

従者「お待ちくだ...

 

ドガァアアアアァン!!

 

リヴァルス「...執事、次の教師を雇え」

 

執事「...仰せのままに」

 

それから数ヶ月、教師を殺しては雇い、殺しては雇いを繰り返した...
だが一向にリバは融合技が使えぬままであった。

 

リヴァルス「...なぜ、なぜだ!!我らが王族は融合が最大の取り柄!!その王である俺の息子が出来ぬはずは...!!」

 

リヴァルス「......そうか、わかったぞ...執事!!王妃を連れてこい!!」

 

執事「王妃様、魔王様がお呼びです...」

 

とある王妃「......なんでしょうか、リヴァルス」

 

リヴァルス「リバが融合を使えないのは貴様も知ってるだろう...」

 

王妃「...あの子は反転技が得意なようです」

 

リヴァルス「反転技だと!?そんなもの、この星では役に立たん!!」

 

この惑星リヴァルスはもう全てが闇に包まれているため、反転技を使うとなると闇が光になってしまうのだった。
かつてはリヴァルスの先祖も反転技を駆使して戦っていたが、もはやこの星ではなんの意味もない技となっていたのである

 

リヴァルス「あんな出来損ないが生まれたのは貴様のせいだ!!」

 

王妃「出来損ないですって!?あの子は確かに融合技は使えないけど十分な戦闘能力を...」

 

リヴァルス「言い訳など結構だ!!王妃...貴様も死ぬがいい!!」

 

この時、リバは王の部屋を覗いた。

 

そして見てしまったのだ。

 

自分の父親が母親を殺すところを...!!

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3話『義理の母』

それから一ヶ月後、リヴァルスは新たな王妃と婚約をした。
名前はトゥーバ。嫌な性格で融合技を使えないリバを必要以上に
いじめた。

 

リヴァルス「トゥーバ、わかっているな...?あんな出来損ないを生むようなら貴様もあの世に行くことになるぞ」

 

トゥーバ「ふん、リバが生まれたのはただ運が悪かっただけよ。本来なら貴方の様な融合に特化した戦士が生まれるはずよ」

 

リヴァルス「だといいがな...」

 

リバ「............」

 

トゥーバ「おいリバ!!床掃除を早く終わらせるんだよ!!」

 

リバ「は、はい」

 

トゥーバ「まったく...ほんとダメな子だねあんたは」

 

リバ「......母さん」

 

リバは未だに信じられなかった。
自分の父親が母を殺したこと、
それが世間には事故で死んだと報じられていることを。

 

しかし毎日のような義理の母のいじめにより
だんだんと...
実感が...
湧いてきた...

 

自分の父親が
最低で残酷だということが
わかってきた。

4話『酷似』

義理の母がやってきて数ヶ月、
トゥーバは双子を生み出した。
城では第二王子、第一王女が生まれた記念のパーティが
開かれた。

 

...城内のリバを除いた全員が参加した。

 

リバ「.........はぁ」

 

リバ「母さん......僕の本当の母さん...」

 

リバ「会いたい...会いたいよ......」

 

???「なにしてるの、こんなところで?」

 

リバ「!!!母...さん?」

 

???「誰が母さんよ!!まだ私は2000歳のピチピチガールよ!」

 

リバ「え、ああ...ごめん。似ていたから...」

 

???「ストレートね...失礼しちゃうわ」

 
 

???「ねえ、あんた第一王子のリバでしょ。こんなところでなにしてるの?」

 

リバ「え...。.............」

 

???「今日は出産祝いのパーティだったはずよね?」

 

リバ「...ううっ!!......ううううう!!!」

 

???「ちょっ、ちょっと!!急になき出さないで!!」

 





???「...そう。それであんただけハブられたってわけね」

 

リバ「......君が僕の本当の母さんに似てたから、つい泣きついちゃった...すまない」

 

???「もう、君なんて言わないで名前で呼んでちょうだい!」

 

リバ「......君、名前言ってないよね?」

 

???「え?あら...そうだったかしら」

 

ギシネギ「私はギシネギ!宇宙一の魔導士になるのよ!」

5話『母?姉?』

ギシネギ「それであんた、これからどうするの?」

 

リバ「え?」

 

ギシネギ「今のこのこと城に戻ってもあの嫌な母親があんたにいじわるしてくるんでしょ?」

 

リバ「......」

 

ギシネギ「...ねぇ、私についてこない?」

 

リバ「......?」

 

ギシネギ「私の作戦に手伝ってくれれば一緒に連れてってあげるのよ!」

 

リバ「連れてくって...どこに?」

 

ギシネギ「宇宙の星々よ!!」

 

リバ「......はぁ?」

 

ギシネギ「この宇宙にはいろんな星があるの」

 

ギシネギ「その中には魔力で満ち溢れたまさに魔導士修行にもってこいな環境の星があるのよ!」

 

ギシネギ「この星で逃げ回っている限り、あんたがいなくなったと知った王がきっとあなたを殺しにやってくるわ。だからあんたにも都合がいいはずよ?」

 

リバ「......だったら僕にも、一つ条件がある」

 

ギシネギ「あら?子供のくせに生意気ね。言ってみなさい」

 

リバ「僕の......新しい家族になって...」

 

ギシネギ「............」

 

ギシネギ「プロポーズ?」

 

リバ「違うよ!!」

 

ギシネギ「冗談よ。わかったわ、私があんたの家族の代わりになってあげる!」

 

リバ「よろしく、お母さん!」

 

ギシネギ「姉さんよっ!!」

6話『作戦』

リバ「それで、ギシネギの作戦って一体?」

 

ギシネギ「家族になったのに呼び捨てなのね...まあいいわ。まず宇宙に出るにはなにが必要かしら?」

 

リバ「UFO」

 

ギシネギ「正解。それじゃあ早速調達しましょう!」

 

リバ「ま、待ってよ!!調達って一体!?」

 

ギシネギ「あら?リバの城の中から盗むに決まってるじゃない」

 

リバ「盗む!?」

 

ギシネギ「そのために私はここに来たのよ」

 

リバ「そうだったのか...」

 

ギシネギ「リバならUFOのある場所、知ってるわよね?」

 

リバ「知ってるけど...」

 

ギシネギ「ビンゴ!やっぱりあなたを仲間に引き入れて正解だったわ!」

 

リバ「......僕を利用するつもりで話しかけたのかい?」

 

ギシネギ「そ、そんなワケナイデスヨ」

 

リバ「はぁ...ついて来て」

 

ギシネギ「イヒヒ、お願いしまーす!」

 

リバ「女の子の笑い方じゃない...」

7話『起動』

リバ「いつもは警備が厳しいのにあっさり辿りつけた」

 

ギシネギ「それもそうね。今日はパーティーで警備に当たってる者もみんないないのよ。」

 

リバ「それで今日ここに乗り込もうとしたのか...」

 

ギシネギ「私あったまいいでしょー?」

 

リバ「......別に」

 

ギシネギ「なによ、可愛くないわね!!」

 

リバ「...たくさんあるけど、どれに乗るの?」

 

ギシネギ「うーん...このUFOが一番燃料の消費も少ないし...これでいいや」

 

リバ「適当だ」

 

ギシネギ「中は...ひっろーい!!二人でこれは快適すぎるわ!!」

 

リバ「100人乗りだからね」

 

ギシネギ「風呂よし...トイレよし...モニターもあるわね...」

 

リバ「それで、いつ出発するの?」

 

ギシネギ「今よ!」

 

ポチッ

 

リバ「......え?」

 

「発射準備まで後...10...9...8...7...」

 

リバ「ええええええええ!?食べ物は!?本は!?武器は!?」

 

ギシネギ「ふっふっふっ...慌てないの」

 

「3...2...1...」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...

 

発射!

 

ドギューーーーーーン!!




8話『遭難』

リバ「ちょっと!!旅の準備もしないで発射するなんて馬鹿!?馬鹿だよね?今から馬鹿姉貴って呼んでいい?」

 

ギシネギ「落ち着きなさいよ。食料なら...えいっ」

 

ボン!!

 

リバ「!?」

 

ギシネギ「収納魔法よ。異空間にこの杖で物を出し入れできるの。便利でしょ?」

 

リバ「......それを早く言って!!」

 

ギシネギ「上級魔族ならそれぐらい知ってて当然だと思うんだけど...知らなかったの?」

 

リバ「.......融合の授業しかロクに受けさせてもらえなかったからね」

 

ギシネギ「...嫌なこと思い出させちゃったわね、ごめんなさい」

 

リバ「いいよ別に。それで、行き先はどこなの?」

 

ギシネギ「え?」

 

リバ「え?」







リバ「行き先...決めてないの?」

 

ギシネギ「と...とりあえず発射させることしか考えてなかった」

 

リバ「うわぁあああああ!!どうするんだよこれ!!」

 

ギシネギ「お、落ち着きなさいよ!!とりあえず行き着いた星に不時着すれば...」

 

リバ「不時着前提かよ!!」

9話『お話』

リバ「はぁ...はぁ...叫んでたら疲れた」

 

ギシネギ「まあとりあえず休みましょう。後のことなんてその時考えればいいのよ」

 

リバ(なんで計画性のなさ...)

 

ギシネギ「あら?そんなことないわよ。今日がパーティーで警備が甘かった事、リバの城にUFOがある事、そして用意万全な食料や道具達。むしろ有り余るほどの計画性を持ち合わせてるのよ私は」

 

リバ「あーはいはい。すごいよギシネギは。」

 

リバ「...いや、なんで今心の中の声がわかったの?」

 

ギシネギ「読心術よ。宇宙一の魔術士ならこれぐらい使えないと」

 

リバ「ぷ、プライバシーの侵害だ!!」

 

ギシネギ「どこで覚えたのよそんな言葉」

 

リバ「............」

 

リバ「そういえばさ、ギシネギ」

 

ギシネギ「なによ、あらたまって」

 

リバ「ギシネギも家族いないの?」

 

ギシネギ「............」

 

リバ「確かに君は2000歳で魔族の中でも全然若い方だ。だけどそんな若い娘が一人で宇宙に出るなんて計画、普通じゃ考えつかないよ」

 

ギシネギ「......その話は、またいつか話してあげるわよ」

 

リバ「あ......ごめん。あまりギシネギのこと考えないで聞いちゃった」

 

ギシネギ「年下が気を使わなくてよろしい。...これでさっきのとおあいこよ」

 

ギシネギ「さて...お腹すいてきたしご飯でも作ろうかな」

 

リバ「ご飯作れるの?」

 

ギシネギ「当たり前よ。私は魔導士以前に一人の女の子よ。」

 

リバ「料理ができるのが女の子のステータスだと決めつけるのはよくない」

 

ギシネギ「女子力が高いって意味よ。待ってなさい、貴方の肥えた舌をうならせる料理を作ってあげるわ」

 

リバ「不安だ...」

10話『ちょっとした事故』

ギシネギ「ふんふ~ん」

 

驚いたことにしばらくするととてもいい匂いがしてきた。

 

どうやらギシネギの料理の腕は確からしい。
そうリバが思っていると...

 

ボオッ!!

 

ギシネギ「キャァアア!!」

 

リバ「なんだ!?」

 

ギシネギ「火、火に油がかかって強く燃え上がっちゃった!!」

 

ギシネギ「ああ!燃え移って...このままじゃ宇宙船が燃えちゃう!!」

 

リバ「れ、冷却魔法は使えないの!?」

 

ギシネギ「!!そうね、杖があれば...キャッ!!」

 

ギシネギの周りに炎が燃え盛り、動けなくなってしまった...

 

ギシネギ「いやああああ!!」

 

リバ「ギシネギッ!!」

 

リバ「はぁああああああ!!」

 

その時、リバが出した光線は

 

炎を一瞬で氷に変えた。

 

ギシネギ「...これは...反転!?」

 

リバ「はぁ...はぁ...一体なにが起きたの?」

 

ギシネギ「...すごいわリバ!!貴方って反転化の天才よ!!」

 

リバ「えぇ...?」

 

自分の父や従者には見向きもされなかった反転に食いつくギシネギ。

 

ギシネギ「確かに私たちの星では反転なんてそれほど重宝されてなかったけど」

 

ギシネギ「融合技のように使い方を考えればすごいものになると私は考えてたのよ!」

 

ギシネギ「リバ、これだけは確信できるわ。貴方は反転化で...」

 

ギシネギ「立派な魔王になれる!!」

 

冷たい氷の中でギシネギは嬉しそうに言った。

 

リバ「......ところで料理は、どうなったのかな?」

 

ギシネギ「あっ...」

 

11話『初めての魔物』

リバ「それにしたって、反転化でどうやって魔王になるのさ?」

 

ギシネギ「私たちの住んでる星はみんな闇の力を持った魔物ばかりだったから知らないだろうけど
普通の魔物やモンスターを反転化させると戦闘力が飛躍的に上がるのよ。これを利用すれば大きな軍隊が作れるわ!」

 

ギシネギ「そうだ!あんた、魔王の息子よね?だったら自分で魔物を生み出せるはずよ」

 

リバ「え?やったことないからわかんないよ」

 

ギシネギ「私が教えてあげるから呪文を唱えてみなさいよ!」

 

リバ「......わかったよ。¥☆♪@*〒年⇒■」

 

シュゥウウ...

 

???「グキキ!!」

 

リバ「うわっ!?」

 

ギシネギ「やった、成功よ!」

 

リバ「すごい...これ、僕が生み出したんだ」

 

ギシネギ「うーん...あんまり強くなさそうね。」

 

リバ「せっかくだしこいつも連れて行こうよ」

 

ギシネギ「そうね...初めて作ったモンスターだし、いいわ」

 

リバ「ん...?あそこに惑星があるぞ?」

 

ギシネギ「あら、本当!?」

12話『着陸』

リバ「どうする?あの惑星にとまる?」

 

ギシネギ「そうね...一回降り立ってみましょう!」

 

ギュゥウウウン...

 

着陸準備に入りマス...

 

リバ「すごい勢いで降りてってるけど大丈夫なの?」

 

ギシネギ「多分大丈夫よ」

 

リバ「......地面見えてきたよ!?」

 

ギシネギ「......まずいかも」

 

リバ「うわぁあああああ!!」

 

ギシネギ「か、風魔法!!」

 

ガシャァアアアアアアアン!!!

 

リバ「............はぁ」

 

ギシネギ「ね?大丈夫だったでしょ?」

 

リバ「大丈夫じゃなーい!!」

 

ギシネギ「それにしてもこの星、あまり人がいなさそうね...」

 

リバ「あまり文明が進んでない星に来ちゃったかな」

 

ギシネギ「まあ、構わないわ。明日は探索するわよ!!」

 

リバ「宇宙船壊れてないかな...」

13話『謎の影』

ギシネギ「さーて、今日は探索するわよー!」

 

リバ「僕たちの星では見たことない物がたくさんあるね」

 

ギシネギ「そうね...あら、向こうに村が無いかしら?」

 

リバ「本当だ...行ってみよう」

 
 
 

ギシネギ「......うわあ」

 

リバ「死体ばっかりだ...」

 

ギシネギ「あまりここに長居してられないかも」

 

リバ「...早く他の所に行こうか」

 

???「......カエサナイ」

 

リバ「!?ギシネギ、何か言った?」

 

ギシネギ「え?なにも言ってないわよ」

 

???「ココカラカエサナイ!!」

 

リバ「うわぁあ...って」

 

ギシネギ「なにかしら...これ」

 

???「アレ...驚かない?」

 

リバ「いや、急に出てこられたから少し驚いたけど...」

 

???「やった!じゃあ僕の勝ちね!」

 

リバ「(なにと戦ってるんだ...)

14話『魂』

ギシネギ「ところであなたはどちら様?姿が黒くて見えないけど...」

 

???「僕は...この村のみんなの怨念が溜まって生まれたいわば幽霊のようなものだ」

 

リバ「怨念で生まれたのか...」

 

ギシネギ「ねえ、ここでなにが起きたか知ってる?」

 

???「...ここで昔、辛い事が起きた...僕の中の魂がそう言ってる」

 

リバ「辛いこと...この死体と深く関係しそうだね」

 

???「かつてこの村は貿易が盛んで豊かな村だった。だけどある日...盗賊達が現れた」

 

???「村人は全員剣で切られたり貫かれたりして全滅...その盗賊への怨みが積もり僕が生まれた」

 

ギシネギ「まったく...酷いことするわね」

 

???「僕はなぜかここから動くことができず、盗賊に復讐することもできなくてずっと一人ここにいたんだ」

 

リバ「一種の地縛霊みたいな物なのかな...それで僕たちをカエサナイって脅したんだね?」

 

???「いや?あれはただのジョーク!」

 

リバ「え?そうなの?」

 

???「そもそも君たち二人はとんでもないぐらい強い。僕にはわかる。脅しなんて通用しないことぐらいわかるさ」

 

リバ「なんなんだこの子は...」

 

ギシネギ「...まあいいわ。私たちの今後の目標が決まったわね!」

 

リバ「目標?」

15話『討伐』

ギシネギ「私たちでその盗賊をやっつけちゃえばいいのよ!」

 

リバ「ギシネギ、やる気なの?」

 

ギシネギ「当たり前よ!今の話を聞いて腹が立って仕方ないわ。リバ、行くわよ!!」

 

リバ「僕はいいけど...この子を一人にしてくの、可哀想だな...」

 

リバ「たとえ盗賊を倒してもここから動けないんでしょ...?」

 

???「...ん、まあ...仕方ないさ。もう僕も慣れちゃったしねぇ」

 

ギシネギ「それなら一つだけ方法があるわよ」

 

リバ「本当か!?」

 

ギシネギ「自分の使い魔にしちゃえば縛られることなく行動できるようになるはずよ」

 

リバ「じゃあギシネギ...」

 

ギシネギ「私は嫌よ」

 

リバ「えっ......」

 

ギシネギ「あなたが言い出したんだからあなたが使い魔にすればいいじゃない」

 

リバ「......だそうだけど、僕でいいかな...?」

 

???「一生ついていきます!!」

 

リバ「うわ、あっさり」

16話『契約』

リバ「それで、使い魔にするにはどうしたら?」

 

ギシネギ「同意を得て、お互い念じればなれるはずよ」

 

リバ「だそうだ。君...名前聞いてなかったね」

 

???「名前は...ないよ」

 

リバ「じゃあ僕が命名するよ」

 

リバ「シャドー...マター」

 

ギシネギ「あら、いい名前ね」

 

リバ「それじゃあシャドー!僕の使い魔になりたいと念じて!」

 

シャドー・マター「わかった。.........」

 

ピカァアア...!

 

シャドー・マター「...!この輝きは?」

 

ギシネギ「どうやらうまくいったみたいね」

 

リバ「あれ?シャドー・マターの姿が変わって...」

 

シャドー・マター「......我は一体?」

 

リバ「黒い影だけだったのがえらく変わったな」

 

ギシネギ「使い魔になったことで進化したみたいね」

 

シャドー・マター「...ありがとう、リバ様」

 

シャドー・マター「......」

 

リバ「うわっチリになった!」

 

ギシネギ「どうやら新たな能力を得たみたいね」

 

シャドー・マター「これはすごい...戦闘に役立ちそうだ」

 

ギシネギ「敵に回したら手強そうね。さあ、ちょっと時間がかかっちゃったけどそろそろ出発しましょう。
この村の人たちの仇を討つわよ!!」

17話『敵の行方』

リバ「とりあえずこの村を襲った奴らのアジトがわかれば良いんだけどな...」

 

シャドーマター「手がかりならこの村に幾つかあった。」

 

ギシネギ「本当?(使い魔になってだいぶ雰囲気変わったわね)」

 

シャドーマター「あまりに暇すぎて村を彷徨っていたら見つけたのだ」

 

リバ「......これは、指輪?」

 

シャドーマター「重要なのはその指輪についている宝石。」

 

ギシネギ「......エメラルド?」

 

シャドーマター「その通りだ。そしてエメラルドが採れる地域は限られている。」

 

リバ「しかし...この村の住民を皆殺しにした奴らだ、誰かから奪ったのを身につけていたんじゃないか?」

 

シャドーマター「その通り。だがこのエメラルドの取れる地域が奴らのアジトだと裏付ける証拠も幾つかあった。」

 

ギシネギ「もう、もったいぶらずに全部出してよ」

 

シャドーマター「......こいつらだ」

 

リバ「折れた剣...矢...貨幣...そして何かの種か」

 

シャドーマター「これらは全て同じ場所からやってきたものだ」

 

ギシネギ「証拠残し過ぎでしょ...」

 

リバ「まあ探す手間が省けるって物だね。シャドー・マター、その場所がどこかわかるか?」

 

シャドーマター「...ここから南西に2853km離れた場所だ」

 

リバ「うっひゃー、遠いなあ」

 

ギシネギ「宇宙船に乗って行きましょう」

 

シャドーマター「宇宙船...?」

 

リバ「実は僕たち別の星からやってきたんだ」

 

シャドーマター「...なるほど」

 

ギシネギ「これが私たちの宇宙船よ」

 

リバ「うわー、外から見るとだいぶ大破してるなあ」

 

ギシネギ「...まあ大丈夫よ!」

 

シャドーマター「すごい大きな宇宙船だな...」

18話『故障』

ギシネギ「それじゃ飛ばすわよ?」

 

リバ「今度はうまく着陸してね」

 

ギシネギ「わかってるわよ...スイッチ、オン!」

 

...................................

 

ギシネギ「......あら?」

 

リバ「...ねえ、もしかして故s

 

ギシネギ「スイッチオーン!!」

 

リバ「......いや、これもう故しy

 

ギシネギ「オン!!オン!!動け!!動いてええええ!!」

 

リバ「諦めなよ......」

 

ギシネギ「うう......ごめんなさい」

 

リバ「困ったな...これじゃあすぐに飛んでいけそうにないや」

 

リバ「ギシネギ、瞬間移動とか魔法でできる?」

 

ギシネギ「転送魔法ね...今はまだ勉強中よ」

 

リバ「くそ、徒歩で行くしかないか...」

 

シャドーマター「......もしかしたら、できるかもしれません」

 

リバ・ギシ「え!?」

19話『粒子化でひとっ飛び』

シャドーマター「リバ様の使い魔となったことで我は...このように」

 

シャドーマター「粒子化を習得しました」

 

シャドーマター「この粒子化をしてわかったことは..こうして物を包むと...」

 

リバ「うわっ、りんごが消えた!」

 

シャドーマター「...粒子化を解けば」

 

ギシネギ「りんごが出てきたわ...」

 

シャドーマター「これを利用すればお二人を簡単に運ぶことができる...はずです」

 

リバ「す、すごいよ、シャドー!」

 

ギシネギ「あんたを使い魔にして良かったわ!」

 

シャドーマター「それでは、これからお二人をアジトまで運びます」

 

リバ「粒子の中ってどうなってるんだろう?」

 

ギシネギ「死んだりとかしないでしょうね...」

 

シャドーマター「粒子化!!」

 

二人はシャドーマターの粒子に飲み込まれた。

20話『粒子の中』

リバ「.........ここは?」

 

真っ暗闇の中。そこにはギシネギはいなかった。

 

リバ「おーい、ギシネギ!!...返事がないや」

 

幸い、体は自由に動かせるようだ。僕は少し歩き始めた。

 

リバ「ここってシャドーの中だよな...?果てしなく道が続いてる気がするぞ。それに誰もいる気配がない...」

 

シャドーの粒子の中は暗くて冷たく、なにもなかった。

 

また、空を飛んでいるはずなのに浮遊感も揺れもなにも感じなかった。

 

そして、出ようとしても出られなかった。

 

リバ「......まあ、着いたらきっと出れるでしょ」

 

リバはしばらく休憩することにした...

 

~2時間後~

 

急に周りが明るくなった。

 

リバ「......おっ!!着いたみたいだね」

 

シャドーマター「お待たせいたしました。...おや、ギシネギ様、どうなさいましたか?」

 

ギシネギ「り...リバぁ!!」

 

リバ「うわっ、苦しい!抱きつくなよ!!」

 

ギシネギ「うぅ...心細かった...シャドーマターに裏切られたかと思った...」

 

リバ「あー、大丈夫だよ。僕がついてる」

 

リバ「...それにしても、シャドーの粒子の中は不思議だったなあ。ギシネギに会えないしいくら動いても先が続くし」

 

シャドー「心配させて申し訳ありません...自分では粒子の中を確認できない為、そのような環境になっているとは...」

 

リバ「まあシャドーは悪くないさ。今度からは気をつけような。ギシネギ」

 

ギシネギ「......はぁ、疑ってごめんなさい、シャドーマター」

 

シャドーマター「気になさらず...さあ、いざ参りましょう」

 

リバ「このでかい屋敷が村を襲った奴らのアジトだな...」

 

ギシネギ「ぶっとばしてやりましょ!」

21話『戦闘』

リバ「たのもー!」

 

デカい人「あ?なんだぁ?ここはガキが来るところじゃあねえぞ」

 

ゴツい人「痛い目会いたくなけりゃ金目の物を置いて帰んな!」

 

ヤバい人「殺されてえのか?」

 

リバ「僕たちは...お前らを倒しに来た!!」

 

エモい人「wwwwwそれマジで言ってんのー?俺らに勝てるわけないっしょwww」

 

クサい人「草生やすな」

 

アツい人「いいぜえ!!かかって来なあ!!!」

 

リバ「それじゃあお言葉に甘えて」フッ

 

おっさん達「消えた…?」

 

リバ「ここだ!!」ドガッ

 

ゴツい人「ぐあああ!!」

 

ヤバい人「て、てめえ!!なにしやがった!!」

 

リバ「なにって…ただ隙だらけの懐に入って攻撃しただけだよ。こんな風に」ドガッ

 

ヤバい人「ぐふっ…!」

 

デカい人「お、女を狙え!!後そこの弱そうなガキもだ!!」

 

ギシネギ「まったく…女だからって舐めんじゃないわよ!」

 

ボォオオオオオオ!!

 

デカい人「!?あっち!!あちぃ!!?」

 

エモい人「ぎゃああああ!!なんだなんだ!?」

 

ギシネギ「やっぱり魔法防御はダメダメのようね。下級の火属性魔法でもこれなんだから」

 

クサい人「くっ...舐めやがって!!オラァ!!」

 

シャドーマター「………」

 

クサい人「!?すり抜けやがった!!」

 

シャドーマター「シャドーウェーブ…!」

 

シュバッ!!

 

アツい人「ぐあああ!!」

 

クサい人「こ、降参…」

 

リバ「……どうやらここにいる奴らは全員倒したみたいだね」

 

ギシネギ「魔族じゃない生き物はやっぱり弱いわ…期待して損した」

 

ボス「…これは一体何事だ」

 

リバ「…お前がボスか。わざわざ探す手間が省けたぞ」

 

ボス「…魔族か…ククク、なるほどな…」

 

リバ「あんた、魔族を知ってるのか…?」

 

22話『因縁』

ボス「知ってるもなにも俺様は魔族に育てられた」

 

リバ「なに?」

 

ボス「俺様がもう中坊の頃には中級魔族なぞ敵ではなかったな」

 

ギシネギ(…それじゃあ今のこいつはどれぐらい強いのかしら…)

 

ボス「ある日俺は気づいた。自分が俺を従えている魔族より強くなったと」

 

ボス「…だから全員殺してやったのさ。俺様を散々こき使った魔族共をなぁ!!」

 

ボス「もう魔族には一生お目にかかれないと思ったが…まさかアジトに乗り込んでくるとはなあ!!」

 

ボス「ククク…久々に、楽しい戦いができそうだ」

 

リバ「おしゃべりが長いぞ」

 

ボス「あぁ?せっかく貴様ら愚かな魔族にもわかりやすいよう自分語りしてやったってのに…」

 

ボス「やはり魔族は気に入らん。殺してくれる!!」

 

ボス「ヘビーパンチ!!」

 

リバ「!!」

 

ドガァアアン!!

 

リバ「…危ない、あと少し避けるのが遅れていたら…」

 

ボス「よそ見とはずいぶん余裕だな!!」

 

リバ「ぐぁああああ!!」

 

ドガァアアン!!

 

リバ(重くて…何より早いパンチだ!!い、痛い…)

 

ボス「どうした?顔に余裕がなくなったなぁ?」

 

ボス「俺が魔族に反逆した時も同じだったなあ!最初は余裕ぶってたが敵が強いとわかった途端命乞いしだす始末。そんな奴らの崩れた表情が俺様の大好物なんだよ!!...それにしても、まったく情けねえぜ魔族ってもんはよ!!」

 

リバ「…そいつはまるで、あんたの部下みたいだな」

 

ボス「なんだと?…クク、確かにあいつらは使えない部下だ」

 

リバ「いつまでも調子に乗るな。貴様もあいつらみたいにその余裕ぶった顔を崩してやるぜ?」

 

ボス「ふん、ハッタリをかますつもりか?」

 

リバ「今まで封印してた技だがお前になら撃っても大丈夫そうだ…ハッタリかどうかはこの技を受けきってから言うんだな」

 

リバ「行くぞ…アローズシャワー!!」

 

ビシュゥン!!'ビシュゥン!!'ビシュゥン!!
ビシュゥン!!'ビシュゥン!!'ビシュゥン!!ビシュゥン!!
ビシュゥン!!'ビシュゥン!!'ビシュゥン!!'ビシュゥン!!'ビシュゥン!!

 

リバ「シャドー!ギシネギを守れ!」

 

シャドーマター「御意!」

 

ギシネギ「え?ちょちょちょ…うわあ!」

 

ボス「…その程度の光線、簡単に弾き飛ばしてくれる」

 

ヒュゥウウウ…
リバ「この光線は撃った時はただの矢印型の光線に過ぎないが…降ってくると共に鋭さが増す」

 

ザクッ!!

 

ボス「な、なに!?」

 

リバ「貴様はさっき、最初は余裕ぶってた者の表情が崩れるのが大好物だと言ったな?」

 

ボス「ぐぁあ…そ、それがどうした?」

 

リバ「…僕も同じで調子に乗っていた奴が慌てふためくのがだいすきなんだよ」ニヤリ

 

リバ「特に…貴様みたいな仲間との共存を知らない奴は特にね」

 

ザクッ

 

ボス「き、貴様は一体…何者なんだ…」

 

リバ「僕が何者か?そうだね、僕は…」

 

リバ「…魔王リバだ!!

23話『新たな仲間』

リバ「……」

 

ボス「」

 

シャドーマター「…どうやら勝ったみたいですね」

 

ギシネギ「リバ!かっこよかったわよ!」

 

リバ「ぎ、ギシネギ!?粒子の中は音が一切聞こえないんじゃ…」

 

シャドーマター「我が改良しました」

 

リバ「こ、この短期間で…よくも余計なことをというか…有能というか…」

 

リバ「そ、そうだ。とにかくまだ終わっちゃいない。さっさとこの屋敷を制圧するぞ!!」

 

???「その必要はない」

 

リバ「あれ…お前らは誰だ?」

 

???「今お前が倒してボスの最高幹部だ。目の前で最強のボスが倒されたら我々は降参するしかあるまい」

 

ギシネギ「あら、賢明な判断ね」

 

???「…しかしボスを失った今我々は行き場がなくなってしまったのだ」

 

リバ「ふーん…それじゃあ俺たちの元へ来るか?」

 

ギシネギ「り、リバ。やめときなさいよ。こいつら暴れだしたら面倒よ」

 

リバ「いいじゃんギシネギ。魔王軍は多いほうがいいでしょ?」

 

ギシネギ「一体いつから魔王軍を作ることになったのよ!」

 

リバ(実はさっきノリで自分を魔王リバって言ったの気に入ってるんだよね…)

 

ギシネギ「あら、そうなの」

 

リバ「当たり前のように心を読むなっ!!」

最終話『魔王軍、始動』

リバ「…それで、どうする。僕の元にくるか?」

 

???「魔王リバ様!!一生従います!!」

 

リバ「うわあ、あっさり」

 

シャドーマター「軽く200人はいるようですね」

 

ギシネギ「はあ…こいつら全員宇宙船で連れてけないわよ」

 

リバ「…というか宇宙船は故障中でしょ」

 

ギシネギ「あら…そうだったわね…困ったわ…」

 

シャドーマター「…それならしばらくここを本拠地として活動してはいかがだろうか。宇宙船も200人以上乗れるよう改良すればいいのです」

 

リバ「それ、名案だね!」

 

ギシネギ「とほほ…魔力が強い星に行きたい…」

 

リバ「ギシネギもちゃんと魔法鍛えてよ。なんたって僕の義姉だからね。強くなくちゃ困るよ」

 

ギシネギ「言われなくてもわかってるわよ…私は宇宙一の魔道士になるんですからね」

 

リバ「頼りにしてるよ、お母さん!」

 

ギシネギ「母さんって呼ぶな!!」

 
 
 

‥‥こうして、リバ達はこの星で何百年も暮らして行きました。
ある日進化を遂げた彼らの宇宙船が我々の星に何千人もの魔王軍を
引き連れてやってくるのはまだ先の話‥‥

コメント

  • すごい文才、誇らしくないの? -- 2018-08-12 (日) 17:36:31
  • ↑照れちゃうだろ/// -- 2018-08-13 (月) 21:32:24
  • 終わり!閉廷! -- 2018-08-15 (水) 03:21:54

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