スクウェア(現スクエニ)と任天堂が共同で開発した、1996年3月9日発売のSFC用ゲーム。
これほど「夢のコラボ」という言葉が似合うゲームも無いだろう。
スクウェアが開発に携わっているものの、あくまでマリオのゲームであるためスクウェア色は薄い。
マリオシリーズとしては初めて明確なストーリー性を持ったゲームであり、ファンからの人気も根強く、特にこの作品で現在のクッパの性格はほぼ固まったとされ、マリオの救出劇が日常のように扱われるのもこの作品から顕著になる。
さらに音楽は下村陽子氏が担当し、SFCでは最高クラスの音質である。
氏は後のマリオ&ルイージRPGでもそのまま作曲に関わり続けている。
これだけ書くとFFとは関係無いように見えるが、隠しボスをはじめとした随所にFFの要素が入っていたりもる。
隠しボス戦のBGMはFF4のボス戦で、土、水、風、火のクリスタルを従え、『次元のはざま』から来たとも言っている。
また、三択クイズの答えに『エクスデス』や『ケフカ』が混じっていたり、ブッキータワーに入ってすぐの受付カウンターに、小さいので見逃しやすいが魔導アーマーが展示されている。
FFネタに限らずエヴァネタやガンダムネタなども結構見られる。
妙にパロディネタが多いのは「ネクシロヨ モガーサグンシンマロ」等で有名なスクウェア大阪の元開発部長、藤岡千尋が関わっているからとか。
(ただし本作の企画は藤岡氏東京本社に異動直後のものであり、開発自体はスクウェア大阪ではない)
- パロディネタの大部分は仲間キャラ「マロ」の特技「なにかんがえてるの」によるもの。
この技は所謂「ライブラ」であるが技のモーション中の特定のタイミングで追加入力すると敵の考えてる事を読むことが出来る。その「心の声」がパロディに限らずカオス極まりないのである。 - エヴァの放送は1995年10月からなので、開発中の時期にはエヴァはまだ世間的にはあまり認知されてない。それを考えると、エヴァをネタの題材に選んだスタッフの先見の明が伺える。
- イベントの監修は当時スクウェアに在籍していた工藤太郎氏が担当。彼もスクウェアを独立して以降ペーパーマリオシリーズに深く携わった。
【視聴覚室】
なにかんがえてるの集
後の任天堂との断絶時代には幻のコラボレーションとされていた。今でも充分凄い名作。
- 電源を入れると「Nintendo」のロゴ、「SQUARESOFT」のロゴが次々に出る。
画面を切り替えて別に表示されるのではなく、任天堂のロゴが縦に回転してスクウェアソフトに変わるという凝った演出になっている。 - 断絶の原因が本作であるというデマが2020年になっても尚流れている。実際はFF7発表時のSQUARE側の言動。
2017年10月5日発売の「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」にも21作品の内の一つとしてFF6や聖剣伝説2などと共に収録されている。
- 権利の都合があるためか、残念ながらNintendo Switch Onlineでは配信されていない。
- 過去にはWiiやWiiUでバーチャルコンソールとして販売されていたが、ニンテンドーeショップが2023年3月28日にサービス終了したため、現在はSFC原作か上記のミニスーパーファミコンを購入するしかプレイ手段がない。
本作のみに登場したオリジナルキャラの権利は一応スクエニにもあるようで、
後に本作のスタッフが多く携わったアルファドリーム制作の「マリオ&ルイージRPG」では
本作のキャラ「ジーノ」がゲスト出演した際、スタッフロールでスクエニのコピーライトが付けられていた。
- 残念ながら、リメイク作品である「マリオ&ルイージRPG1DX」では、ナレーションに差し替えられてしまった。
味方キャラの上でカーソルが動き、止まったキャラを即死させる「きょうふのルーレット」(敵には止まらない)、
単体即死技の「しゅうしけん」など、それっぽい技がいくつか登場している。
またFF6GBAより先にカイザードラゴンが登場している。
- マリオRPGのカイザードラゴンはスーパーマリオワールドのウンババのような見た目のボスで、FF6GBAのビジュアルとは似ても似つかない。
倒すとドラゴンゾンビになる。
開発段階の映像や写真では赤い鎧を着た兵士の姿なども映っており、もう少しFF寄りの内容だった可能性もある。
またスクウェア側が馬に乗り、マントを羽織りながら剣を構えるマリオのイメージアートを公開し、
宮本茂氏に速攻で「マリオは剣を持ちません。持つのはハンマーです」と突っ込まれたという話が、ペーパーマリオスーパーシールの社長が訊くにおいて語られている。
- 本作の敵に剣や槍などの刃物がモチーフの敵が多いのは血を見るような武器を使わないマリオ陣営に対するアンチテーゼの意味合いもあると思われる。
リップルタウンの店、またはムクムクをヨッシーに食べさせると手に入る「ムクムクのクッキー」の説明文はFF6のミシディアうさぎが元ネタだと思われる。
ぬほ むくく むくむく
むくむくく むふ~
発売日が近いせいか、回復の時やドアを開ける時など、一部効果音が1ヶ月先に発売されたバハムートラグーンから流用されている。
本作でキャラ付けがされたピーチ姫やクッパといったキャラクターの性格付けや、マリオシリーズ自体の大まかな世界観は、のちのマリオシリーズでも概ね本作のものが踏襲され(特にクッパ)、現在までほぼ本作のものをベースとして継続している。
そういう意味でもパイオニア的作品であり、スクウェアとの合作でありながらマリオシリーズに大きな影響を与えている作品である。
- 開発元こそ異なるものの『マリオストーリー』(N64、2000年)が当初『スーパーマリオRPG2』という本作の直接の続編として開発されていた。
またスクウェアから本作の開発スタッフを中心に独立したアルファドリームが手がけた『マリオ&ルイージRPG』シリーズも本作のほぼ直系である。
ただし『マリオストーリー』から始まる『ペーパーマリオ』シリーズは変遷を経て現在は全くの別路線のシリーズとなっており、一方のアルファドリームも2020年に倒産してしまった。
以上の経緯からマリオRPGの系譜はほぼ断たれていたのだが、2023年6月のNintendo Directにおいてリメイク作の発売が発表され、衝撃が走ることになった。
権利表記には任天堂とスクウェア・エニックスが並んでいる。開発元はドラクエの移植版などで知られるアルテピアッツァで、もちろん原作にあったスクウェア系のネタは全て網羅されている。