不死鳥の騎士団/26~30章

Last-modified: 2021-11-20 (土) 15:03:18
 

26章

図星

■日本語版 26章 p.255
どうやらハーマイオニーが図星だった。

■UK版 p.513
And it seemed that Hermione was quite right.

■試訳
ハーマイオニーが正しかったみたいだ。

■備考

  • 自分の思っていることをぴたりと当てられた時などに「図星をさされた」というんだよね。
    ハーがぴたりと言い当てたのは誰かの考えてることじゃなくて未来予測だから「図星」という言葉を使うのは間違ってる。
  • 「ハーマイオニー『が』図星だった」の「が」に違和感がある。
    実際はハーマイオニーしか予測をしてないが、これだと「2人以上が予想をしていてハーマイオニーの方が当たった」という風に読める。


27章


28章

破裂した伏魔殿状態

■日本語版 28章 p.332
一階下は破裂した伏魔殿状態だった。

■UK版 p.556
One floor down, pandemonium reigned.

■試訳

  1. 一階下は混乱状態だった。
  2. 一階下は阿鼻叫喚の巷と化していた。

■備考

  • 明らかに「伏魔殿」という言葉の使い方に無理があるでしょ。
    普通に訳せる箇所なんだから普通に訳してほしい。
  • 全く雰囲気があわない「伏魔殿」という言葉をハリー・ポッターに使う事自体がピント外れ。
  • 一応Pandemoniumには伏魔殿という意味もあるが、伏魔殿は破裂しない。


実にハンサムだった

■日本語版 28章 p.351
少し高慢ちきに構え、退屈している様子だったが、それが実にハンサムだった。

■UK版 p.568
looking rather haughty and bored, but very handsomely so.

■試訳
いくぶん偉そうな感じで退屈そうに見えたが、そんな様子もとても絵になっていた。

■備考

  • スネイプの最悪の記憶の中に出てくる学生時代のシリウスの様子。
  • 日本語の「ハンサム」はほぼ男性の顔がいいという意味でしか使われないのに
    様子の描写で「ハンサム」という言葉を使うのは不適切。
  • また直前の教室のシーンですでにシリウスはハンサム(good-looking)だったと書いてあるのに
    同じ言葉を繰り返すのもおかしい。
  • 原文に使われているhandsomelyを形容詞のhandsomeと混同したのだろうか。
    handsomelyは通常「立派に、みごとに、堂々として、気前よく」 などと訳される副詞。
    ここは「格好良くきまって」「絵になって」というニュアンスだと思われる。


スネイプの灰色パンツ

■日本語版 28章 p.356
灰色に汚れたパンツ

■UK版 p.571
a pair of greying underpants.

■試訳

  1. はき古して黒ずんだパンツ
  2. 薄汚れた古いパンツ

■備考

  • スネイプの最悪の記憶の中に出てくる有名な灰色パンツ。
    何かというと話題になるのは、日本語では汚れたり古くなったりした衣類を 「灰色」とは言わないので、読者に奇妙な印象を与えたためと思われる。
  • greyingとは、衣服やその他のものを使い古したり、何度も洗濯を繰り返したりするうちに色の鮮やかさが消えたり、黒ずんできている様子を表す形容詞。スネイプのパンツも同様だったのだろう。
    この後のシーンでリリーに「私ならパンツを洗うわよ」というようなことを言われるので、薄汚れていたというのもありかもしれない。
  • 実際にパンツの色が灰色だったという意味でgreyという単語を使っているわけではないので、「灰色に汚れたパンツ」と訳したのは適当ではない。


29章

一緒に育つと

■日本語版 29章 p.368
「ジョージやフレッドと一緒に育ってよかったと思うのは」ジニーが考え深げに言った。
「度胸さえあれば何でもできるって、そんなふうに考えるようになるの」

■UK版 p.577
‘The thing about growing up with Fred and George,’ said Ginny thoughtfully,‘is that you sort of start thinking anything’s possible if you’ve got enough nerve.

■試訳
「フレッドやジョージなんかと一緒に育ったりするとね」ジニーが考え深げに言った。
「度胸さえあれば何でもできるんじゃないかって考えるようになるのよ」

■備考

  • 邦訳はふたつに分かれたジニーのセリフが日本語として繋がっていない(このまま活かして繋ぐなら「~よかったと思うのは、~考えるようになったことなの」だろう)。
  • しかし「よかったと思う」という部分は原文にはないし、入れることで訳がまとまるというような必要性も感じられない。


暖炉の中の男

■日本語版 29章 p.388
ハリーが目を開けると、そこは厨房の暖炉の中で、木製の長いテーブルに男が腰掛け、一枚の羊皮紙をじっくり読んでいた。

■UK版 p.589
Harry opened his eyes to find that he was looking up out of the kitchen fire place at the long, wooden table, where a man sat poring over a piece of parchment.

■試訳
目を開けるとハリーはキッチンの暖炉の中にいた。誰かが長い木のテーブルに腰かけ、羊皮紙を熱心に読みふけっているのが見えた。

■備考

  • ハリーがブラック家のキッチンの暖炉に現われるシーンだが、文の繋がりがおかしいため、 暖炉の中にテーブルがあるように思えてしまう。
    試訳のように文をふたつに分けたほうがわかりやすくなるのでは。


30章

生徒は生徒が

■日本語版 30章 p.402
アンブリッジが教室に入ってくるだけで、生徒は気絶するやら、吐くやら、 危険な高熱を出すやら、さもなければ鼻血がどっと出てくる生徒が続出した。

■UK版 p.597
Unbridge only had to enter her classroom for the students assembled there to faint, vomit, develop dangerous fevers or else spout blood from both nostrils.

■試訳
アンブリッジが教室に入ってくるだけで、気絶するやら、吐くやら、とんでもない高熱を出すやら、あるいは大量に鼻血を出す生徒が続出した。

■備考

  • 邦訳は「生徒は」「生徒が」と主語が重なり、おかしい。
    「鼻血がどっと出てくる」という表現も口語的で地の文にふさわしくない印象がある。


半コート

■日本語版 30章 p.435
厚手木綿(モールスキン)の半コートを

■UK版 p.616
Hagrid's moleskin waistcoat

■備考

  • waistcoatは男性用のチョッキやベストのこと。
    半コートとなってしまったのはウエスト丈のコートだと考えたためだろうか?
  • なおハグリッドは1~2巻でもモールスキンのオーバーコートを着ており
    2巻から「厚手木綿」にモールスキンとルビを振る書き方になっている。
  • モールスキンはもともとはモグラの毛皮の意味で、
    現在では軍用コートなどにも使われる防寒用の綿の起毛素材を指すことが多い。
    しかしハグリッドの日ごろの暮らしぶりやよく毛皮を身につける習慣から考えて、
    本物のモグラ皮である可能性が高いと思われる。
  • 「厚手木綿」のコートというのもイメージしにくいので、
    ここは単に「モールスキン」として注釈をつけるなどしたほうが良かったのではないか。


コメント欄

・情報提供、検証、議論、誤字脱字の指摘など様々な用途にお使いください。
・コメントの先頭にあるラジオボタンを選択すると、そのコメントにぶら下がる形で返信できます。
・スパムや荒らしコメントが投稿された際は、削除にご協力ください(「編集」から削除できます)。
・任意ですが、書き込みの際はできるだけお名前(HN)を入力してください。