炎のゴブレット/1章

Last-modified: 2021-06-08 (火) 15:20:11
 

1章

窓にはあちこち

■日本語版 1章 p.6
窓にはあちこち板が打ち付けられ

■UK版 p.7
some of its windows boarded

■試訳
あちこちの窓には板が打ち付けられ

■備考

  • 邦訳だとひとつの窓にいくつもの板が打ち付けられてるみたいだが、
    リドルの館は窓がいくつもあるような大きな屋敷なので、
    「たくさんある窓のうちいくつかに板が打ち付けられてた」が正解。


ものを

■日本語版初版五刷 1章 p.6
その近辺何キロにもわたってこれほど大きく豪華な屋敷はなかったものを、 いまやぼうぼうと荒れ果て、住む人もない。

■UK版 p.7
Once a fine-looking manor, and easily the largest and grandest building for miles around, the Riddle House was now damp, derelict and unoccupied.

■試訳
~屋敷はなかったが、いまでは見る影もなく荒れ果てて、住む人もいない。

■備考

  • 原文ではOnceとnowが使われているんだから、「かつては~だったが、今では~である。」とでもすればよかったのでは。
  • 「ものを」は後に「ものの」に変更。


居間

■日本語版 1章 p.6
居間

■UK版 p.7
the drawing room

■試訳
応接室、客間

■備考

  • 冒頭のリドル家にまつわる話のあたり。
  • その近辺でも珍しいぐらいの豪邸だったんだから、当然立派な応接間があったはず。
    リドルがタキシードで亡くなっていたことから
    「もしかしたら若き日のヴォルデモートは客人として晩餐に呼ばれるほどの待遇を受けていたのかもしれない」
    ということを示唆している重要な記述。
    応接室(客のための部屋)とするか居間(家族のため部屋)とするかで印象は大きく変わる。


興奮

■日本語版 1章 p.6
リトル・ハングルトンの村中が、 ショックに好奇心が絡み合い、隠し切れない興奮で湧き返った。

■UK版 p.7
and the whole of Little Hangleton had seethed with shocked curiosity and ill-disguised excitement.

■試訳
興奮を隠し切れないかのように騒ぎたてた。


無駄

■日本語版 1章 p.6-7
だれ一人としてリドル一家のために悲しみにくれるような無駄はしなかった。

■UK版 p.6-7
Nobody wasted their breath pretending to feel very sad about the Riddles,

■試訳
だれ一人としてリドル一家のために悲しみにくれるようなことはしなかった。

■備考

  • ふつうに「悲しみにくれるようなことはしなかった」じゃダメなんでしょうか?
    日本語としてとってもヘン。


コロリと逝く

■日本語版 1章 p.7
当たり前に健康な三人が、揃いもそろって一晩にコロリと逝くはずがない。

■UK版 p.8
three apparently healthy people did not all drop dead of natural causes on the same night.

■試訳
それまで健康だった三人が、一晩のうちに三人とも死ぬはずがない。

■備考

  • 前後の文体と、状況のダークさの中で、突然と「コロリと逝く」って表現、浮いてます。


言い放った

■日本語版 1章 p.7
言い放った

■UK版 p.8
announced

■試訳
知らせた

■備考

  • リドル家の料理人がフランクが逮捕されたことを知らせに来たシーン。
  • 「言い放った」っていうとなんかニュアンスが違うというか、まるで吐き捨てたような感じがします。
    料理人がそういう言い方をしたことをにおわすような記述はどこにもないんだから
    普通に「知らせた」「伝えた」のほうが原書のイメージに近いのでは?


炉端

■日本語版 1章 p.7
家の炉端を離れ

■UK版 p.8
leaving their firesides

■試訳
家の暖炉を離れ

■備考

  • イギリス人にとってfiresidesといったら暖炉。
    いくら田舎の村人だって、家に炉端はないっす。中世じゃないんだから…。
    まるで日本の田舎の古い農家みたいな…。


庭番

■日本語版 1章 p.7
庭番

■UK版 p.8
gardener

■試訳
庭師

■備考

  • これって普通、「庭師」って訳しませんか? 「庭番」なんて江戸時代の忍者みたい…。


屋敷内

■日本語版 1章 p.7
屋敷内のボロ小屋

■UK版 p.8
a run-down cottage in the Riddle House grounds

■試訳
敷地内のボロ小屋

■備考

  • 「屋敷」って言葉は敷地も含む広義での使われ方もするけど、こういう場合はふつう「敷地内」って言いませんか?
    まるでお屋敷の建物の中にボロ小屋が建ってるみたいです。
  • 「in the ground of the Riddle House」はちゃんと「敷地内にある(P10)」になってる。


戦争から引き揚げてきたとき~

■日本語版 1章 p.7
戦争から引き揚げてきたとき、片脚が強ばり、(省略)

■UK版 p.8
Frank had come back from the war with a very stiff leg(省略)

■備考

  • これじゃあ、まるで戦争から引き揚げてきた後で片足が強ばったみたいに聞こえませんか?
    「片足が不自由になって戦争から引き揚げてきた」、あるいは、「戦争から引き揚げて来た時、フランクの片足は不自由になっていた」でしょう。
    「片足が強ばり」という表現も直訳すぎる。


暗い顔で

■日本語版 1章 p.8
暗い顔で目を見交わした

■UK版 p.9
The villagers exchanged dark looks.

■試訳
暗い表情でお互い目と目を見交わした

■備考

  • 「暗い顔」で「目を見交わした」という組み合わせが日本語としてなんとなくすわりが悪い。
  • dark eyesは黒、濃い色の目を表す時ももちろんあるが、暗い表情で目と目を見交わしている人たちの目がみんな黒かった、ってのは考えられない。
    要は、言葉の表面的意味ではなく、前後の脈絡の中で行間の意味、背景となっている状況をとらえるのが肝要ってことですね。


言葉遣い

■日本語版 1章 p.9
あいつがガキのころ

■UK版 p.9
when he was a kid ...

■試訳
あの人が子供のころ

■備考

  • 話し手のドットって女の人なのに、粗野すぎ。


悪文

■日本語版 1章 p.9(※原文は改行無し)
しかし、隣村のグレート・ハングルトンの暗く薄汚い警察では、フランクが自分は無実だと何度も頑固に言い張っていた。
リドル一家が死んだあの日、館の付近で見かけたのは、たった一人。黒い髪で青白い顔をした、見たこともない十代の男の子だけだったと、フランクはそう言って譲らなかった。
村人はほかに誰もそんな男子は見ていない。警察はフランクの作り話に違いないと信じきっていた。

■US版 p.(※原文は改行無し)
But over in the neighboring town of Great Hangleton, in the dark and dingy police station, Frank was stubbornly repeating, again and again, that he was innocent,
and that the only person he had seen near the house on the day of the Riddles' deaths had been a teenage boy, a stranger, dark-haired and pale.
Nobody else in the village had seen any such boy, and the police were quite sure that Frank had invented him.

■試訳
一方、隣村のグレート・ハングルトンにある、暗く薄汚い警察署で、フランクは頑なに何度も何度も繰り返した。自分は無実であると。
そしてリドル一家が死んだあの日、彼が館の近くで見たのは、黒髪で青白い顔をした見知らぬ十代の少年ただ一人だけだったと。
ほかの村人はだれもそんな少年を見ていないし、警察はフランクがでっち上げていると信じきっていた。

■備考

  • 文章の表現が全体的に幼稚な感じがする。
  • 段落の最初に「しかし」という逆説の接続詞が来るのはあまり良くない。
  • 「たった一人」のあとは読点でなければならない。句点にしたせいで意味が通じなくなっている。


医師団

■日本語版 1章 p.9
医師団

■UK版 p.10
A team of doctors

■試訳
医師たち

■備考

  • 間違いじゃないけど、こういう場合、ただの「医師たち」でいいんじゃ?「医師団」って大げさ。


決意

■日本語版 1章 p.9
(死体になんとか異常を見つけようと決意したかのように)

■UK版 p.9
(as though determined to find something wrong with the bodies)

■備考

  • 直訳すぎ。日本語版カッコ内まとめて「(なんとかして遺体の異常さを指摘するかのように)」では?


疑いがモヤモヤ

■日本語版 1章 p.10
疑いがモヤモヤする中

■UK版 p.10
amidst a cloud of suspicion

■試訳
みんなの疑いが晴れないまま

■備考

  • cloudをモヤモヤと訳したのですね。直訳すぎ。


言葉遣い その2

■日本語版 1章 p.10
「あたしゃあいつが殺したと思う。警察の言うことなんか糞食らえだよ」

■UK版 p.9
‘S'far as I'm concerned, he killed them, and I don't care what the police say,’

■試訳
「あたしはあの人が殺したと思うよ。警察が何と言おうとね」

■備考

  • リドルの村の人がものすごく下品。
    こんなの子どもに音読させたくないです。
  • 原書の英語はスラングとかじゃなくて普通の英語です。
    As far as が S'far as のように口語っぽくなってるけどそこだけ。


悪文

■日本語版 1章 p.10(※原文は改行無し)
リドルの館に次に住んだ家族のために庭の手入れをしたし、
その次の家族にも――そのどちらも長くは住まなかったが――。
もしかしたらフランクのせいもあったかもしれない。
どちらの家族も、この家は何かイヤーな雰囲気があると言った。
だれも住まなくなると、屋敷は荒れ放題になった。

■UK版 p.10-11(※原文は改行無し)
He stayed to tend the garden for the next family who lived in the Riddle House,
and then the next - for neither family stayed long.
Perhaps it was partly because of Frank
that each new owner said their was a nasty feeling about the place,
which, in the absence of inhabitants, started to fall into disrepair.

■備考

  • 文章の途切れ方、順番が原文そのまま。
    翻訳者としてのなんの工夫も感じられず、読みにくい。
    もちろん原文に忠実じゃないといけないけど、日本語として不自然なら(意味が変わらない限り)多少はアレンジしても許されるんですよ…。
  • イヤーな雰囲気を嫌な雰囲気、悪い雰囲気に出来なかったのか?


いまこのときこそ

■日本語版 1章 p.14
「いまこのときこそ」

■UK版 p.13
at this very moment

■備考

  • なんかおかしい。クイディッチ・ワールドカップ開催に向けて、魔法省の役人たちが警戒態勢を強化しているってことを言ってるだけなんですが。
    もしかして、at thisって言い方が強調を表してると勘違いして、訳の方も「こそ」なんて強調したの?
    とにかくこの文章、最初から最後まで続けて読むと、日本語としてへんですね。


冷たい声が猫なで声になった

■日本語版 1章 p.20
「ワームテール、ワームテールよ」
冷たい声が猫なで声になった。
「何でおまえを殺す?」

■US版 p.11
"Wormtail, Wormtail," said the cold voice silkily, "why would I kill you?

■試訳
「ワームテイルよ、ワームテイル」冷たい声がなだめるように言った。
「なぜおまえを殺すのだ?」

■備考

  • ヴォルデモートがワームテールに話しかけているシーン。
  • 主人が召使いに対し、猫撫で声を出す訳がない。スネイプ以上におかしい(奇異)でしょう。
  • しかも文章は、「動詞 名詞 副詞」で構成されているのに、「名詞が副詞になる」と訳している(滅茶苦茶)。
    ヴォルデモートが冷たい声を豹変させて、ワームテールに対して猫撫で声を出すなんて…
  • silkilyは「副詞」。silkyな声じゃなくて、silkilyに言ったわけ。


死の呪い

■日本語版 1章 p.21
もう一度死の呪いを…

■UK版 p.16
One more curse ...

■試訳
「もう一度、呪いを」

■備考

  • 原文は単にOne more curse。「死の」なんて解説はない。


金縛り

■日本語版 1章 p.22
フランクは恐怖で金縛りになった

■UK版 p.17
and found himself paralysed with fright.

■備考

  • paralysedを「金縛り」と訳してしまうのが適当かどうか、ってのはとりあえずおいとくとして。
  • 金縛りって「なる」ものじゃなくって、「あう」ものですよねぇ?
    普通、「金縛りにあう」って言うと思うんですが…。広辞苑さんもそう言ってます。
  • そもそも「フランクは恐怖で動けなくなった」「ー腰を抜かした」とかで良い


敷居

■日本語版 1章 p.23
敷居を跨いだ。

■UK版 p.21
threshold

■備考

  • 敷居ってすごくニッポンチックな気が…。
    っていうか、「敷居をまたぐ」って動作が…・。
  • 原文のthresholdを「敷居」と訳してしまったので、日本的まなーとしては「またいで」しまったんでしょうが、
    thresholdって部屋と部屋の境目だけど、またぐほどの高さはないんですが…。普通、まわりのフロアと同じレベルです。


おまえ様

■日本語版 1章 p.24
おまえ様

■UK版 p.18
you

■備考

  • フランクが「俺様」と話してるシーン。フランク→俺様の呼びかけ方。
  • 自分を「俺」と呼ぶ人(=フランク)が相手を「おまえさま」と呼ぶ、というのがなんともちぐはぐな気がしませんか?
  • おまえというのはもともと「御前」という丁寧な呼びかけ語なので、それにさらに様をつけた「おまえさま」は、アリだとは思う。が、ハリーポッターの世界観とは合わない気がする(時代劇になってしまう)。
  • フランクには「わし」という人称を使って欲しかった。


くず折れた

■日本語版 1章 p.26
フランク・ブライスはグニャリとくず折れた。

■UK版 p.19
Frank Bryce crumpled.

■試訳
フランク・ブライスは崩れるように倒れた。

■備考

  • 頽れる=気落ちする、がっかり/崩れるように倒れる、座る/衰弱、老朽
  • 漢字が違う。
  • 精神的に弱るという意味もあるのでニュアンスが違う気がする。
  • グニャリにあたる単語が原文にない。
  • もっとさっぱりと「フランクは倒れた」くらいでいいのでは?
  • (3巻12章P314にも同様。携帯版では「崩折れた」→「くずおれた」と平仮名に変更)




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