大瑞穂帝国/法令/憲法

Last-modified: 2024-03-12 (火) 10:38:23

大瑞穂国憲法(平仮名:だいみずほこくけんぽう、正字:大瑞穂國憲法)は、瑞穂国の国家形態及び統治の組織、作用を定めた最高法規である。

概要

基本情報

大瑞穂国憲法は1893年に発布され、1894年に施行された。短期間で停止されたドルク聯合王国憲法を除けば、亜州で最初の近代憲法である。
国家の近代化に伴って憲法制定の必要性に迫られ、1880年から各国憲法の研究と検討が始められた。この際様々な私擬憲法が作られた。
大瑞穂国憲法は同じく王権の強かったゲーテ王国憲法が手本にされ、その影響を色濃く受けている。この際、ゲーテ王国憲法に規定される「ライヒ議会(Reichstag)」を、「帝国議会」と翻訳し、そのまま憲法に書き込んだことなどによく現れている。この憲法は御簾の向こう側で束帯を召し、楽坐する大祝が侍従を通して太政大臣へ渡すという欽定憲法の形で発布され、これをもって瑞穂国は近代的立憲君主国となった。この時、神室の家憲である神室規範も同時に定められた。
改正や条文の追加については憲法により定められた、議員の3分の2の賛成と枢密院の承認によって行うことができる。条文を削除する時はそのまま削除するのであるが、条文追加については、「第x条」の後ろに「イ、ロ、ハ、ニ…」を付けることで対応する。現在憲法は第81条まで、改正で削除したりイロハを付けたことにより全部で103条、兵役の義務を削除したことで実際は102条の条文がある。

私擬憲法

維新政府が憲法制定について議論を始めたのは、1880年であった。それ以前には、1870年に大野康道が提唱した『コンステシヨン制定之議』がある。この憲法草案は皇帝之権、人民之権および政之心得の三項目、十七条からなる簡素なものであった。これを皮切りとして様々な私擬憲法が作られるようになった。内容は様々であり、人民主権を掲げるものから、革命的なものまで存在した。

題名著者年月日説明
コンステシヨン制定之議大野康道1870年全3項目17条
豊洲国典範大綱赤城正児1873年
瑞穂憲法私案憲法制定期成同盟1873年
国制之御意見李駒木1875年
平民社万国国憲私見豊洲平民社1876年各国憲法を比較検討し、瑞穂国における憲法のあり方について論じたもの。これを踏まえて同年には平民社憲法私案を発表した
豊洲共和国憲法私案豊洲平民社1876年共和制を旨とする内容。大統領と共和国元老院について規定
ミュラー氏憲法草案エグモント・ミューラー1876年ゲーテ人エグモント・ミューラー氏による憲法草案
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改正歴

改正内容
仁政35年(1893)発布
仁政36年(1894)施行
天正17年(1946)第二章第二十一条の兵役の義務を改正
天正37年(1966)第二章第二十一条の兵役の義務を削除。第二章の条章を追加。国民の権利規定の増強、「基本的人権」の概念の導入
天正56年(1985)第三章、第五章、第七章の条章を追加。大審院の明文化、憲法遵守義務の追加、議員による改憲発議が可能となる

原文

御告文

皇朕(すめらわ)(みこと)()ラヤト掛巻(かけまく)モ畏キ
神祖
神宗ノ広前ニ恐ミ畏ミ申シ賜ハクト(まを)サク皇朕レ天壌無窮ノ神勅ニ循ヒ天津日継ヲ践ミ豊洲大瑞穂(とよしまのおほみづほ)御隆盛(みさかへ)随神(かむながら)モ守リ(まし)テ神州ニ荒フル者無ク平ラケク安ラケク()()
皇朕レ
神祖
神宗ノ威霊ニ頼リ新ニ国ノ典範ヲ定メ此神床(かむとこ)ノ大前ニ誓ヒツラクハ天下ノ諸人等(もろびととも)ノ力ヲ合ワセ心ヲ一ツニシテ皇朕カ(まつりごと)ヲ輔翼奉リ令ラシ仕ラセ奉リ給ヒシ請ヒ祈リ申ス礼物(いやしろ)ハ横山ノ如ク置キ高成テ奉ル形ヲ聞食(きこしをし)テ天下ノ万民(おほみたから)ヲ治メ給ヒ育テ給ヒ谷蟆(たにくく)狭渡(さわた)ル極ミ白雲ノ堕ヰ向伏ス限リ(そむ)キ仇ナス者ハ()ラシメ給ハス
遠神祖(とほつかむおや)恩頼(みたまのふゆ)(かうむ)リテ無窮(とこしへ)ニ仕ヘ奉レル人共(おほみたから)康楽(やすらか)ニ護リ幸給ヒ今日ノ誓約(うけひ)ニ違ハム者ハ天神地祇ノ(たちま)チニ(つぐな)ヒ給ハム物ソト皇神等ノ前ニ誓ヒノ吉詞(よこと)ヲ恐ミ恐ミ申シ給ハクト申ス

上諭

朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ神位ヲ継キ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ思ヒ其ノ康福安寧ヲ保護ヒ其ノ徳性智能ヲ自由ニ発達セシメンコトヲ願ヒ又宇内変遷ノ世運ニ当リ往古来今ノ大局ヲ察シ我カ臣民ト俱ニ文明ニ進行スルノ必要ヲ認メ而シテ公議ノ府ヲ設ケ臣民ニ諮ノ詢スルノ便宜ヲ広メンコトヲ欲シ仁政二十九年ノ詔命ヲ履践シ茲ニ国ノ大憲ヲ宣布シ首メニ統治大権ノ大義ヲ明ラカニシ次ニ臣民ノ権義ヲ掲ケ及帝国議会ノ組織権限ヲ定メ又行政司法諸部ノ制置ヲ条挙シ各々踰ユヘカラサルノ範囲ヲ画シ以テ朕カ俯就率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ愆ラス遺レス永遠ニ循守スル所ヲ知ラシム

国ノ大権ハ朕之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ施行シ及施行セシメントス

朕ハ我カ臣民ノ身体財産ノ安全ニ向テ国家ノ安寧及公益ノ為ニ又ハ戦機時変ノ為ニ必要ナル制限ヲ除クノ外ハ之ヲ貴重シ之ヲ保護シ又一般ニ臣民ノ公権及私権ノ享有ヲ完全ナラシメ其幸福ヲ増進セシメンコトヲ期望ス

帝国議会ハ仁政三十六年ノ冬期ヲ以テ之ヲ召集シ仁政三十七年度ノ予算ヲ議スルニ適当ノ時間ヲ誤ラサラシムヘシ開会以後ニ制定スヘキ諸般ノ法律及租税ヲ徴シ国債ヲ起スニハ朕自ラ発議ノ権ニ拠リ議案ヲ草セシメ之ヲ議会ノ議ニ付スヘシ

将来若シ此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改正スルノ必要ナル事宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ヨリ発議ノ権ヲ執リ起案ヲ以テ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ容易ニ紛更ヲ試ルコトヲ得サルヘシ

朕ハ国家ノ隆盛ト臣民ノ幸福トヲ以テ朕カ中心ノ欣栄トナシ上ハ祖宗ニ対シ勤テ盟誓ヲ宣ヘ下ハ朕カ現在及将来ノ忠実ナル臣民ノ為ニ不磨ノ宝典ヲ宣布ス自今朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ朕カ継統ヲ子孫ニ対スルト同ク永遠ニ従順ス義務ヲ負フヘシ

惟フニ我カ祖我カ宗及我カ臣民ノ祖先ハ相与ニ心ヲ叶ヘ力ヲ合セテ我カ帝国ヲ肇造シ以テ今日ニ至リ国ノ光栄ハ恒久ニ失墜アルコトナシ此レ乃独我カ国体ノ美ナルニ由ルノミニアラス又我カ臣民ノ賦性醇厚(ふせいじゅんこう)ニシテ国ヲ愛スルニ専ラ私ヲ棄テ公ニ(したが)ヒ合同一致ノ力ヲ以テ此ノ光輝アル史乗ノ事跡ヲ宇内ニ(のこ)シタルナリ朕ハ朕カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠実勇武ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ心ヲ一ニシ和衷叶同ノ方嚮ヲ取リ文明安富ノ軌道ニ就キ相議シ相謀テ益々我カ帝国ノ昌栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ無窮ノ久シキニ鞏固隆盛ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ大事ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ信スルナリ

御 名 御 璽

仁政三十五年ニ月十四日

神長官 : 守矢実睦
禰宜太夫 : 守屋好文
権祝 : 矢島正守
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂頼純

太政大臣 : 臣守屋成清
枢密院議長 : 臣宮河院禮胤
神祇大臣 : 臣卜部嵩宏
治部大臣 : 臣大塚宗久
民部大臣 : 臣小林総二郎
文部大臣 : 臣科埜武夫
刑部大臣 : 臣御建社博康
工部大臣 : 臣熊澤徳内
兵部大臣 : 臣近衛基彦
逓信大臣 : 臣粱公也

天正十七年改正ノ上諭

朕枢密顧󠄁問ノ諮󠄁詢及󠄁帝国憲󠄁法第七十六条ニ依ル帝国議会ノ議決ヲ経タル帝国憲󠄁法ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム


御 名 御 璽

天正十七年十一月二十日

神長官 : 守矢憲実
禰宜太夫 : 守屋実清
権祝 : 矢島正守
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣兼建設院総裁 : 鄭尚太郎

(以下各国務大臣署名)

天正三十七年改正ノ上諭

朕枢密顧󠄁問ノ諮󠄁詢及󠄁帝国憲󠄁法第七十六条ニ依ル帝国議会ノ議決ヲ経タル帝国憲󠄁法ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム


御 名 御 璽

天正三十七年九月五日

神長官 : 守矢実靖
禰宜太夫 : 守屋寬実
権祝 : 矢島正義
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣 : 金子昭

(以下各国務大臣署名)

天正五十六年改正ノ上諭

朕枢密顧󠄁問ノ諮󠄁詢及󠄁帝国憲󠄁法第七十六条ニ依ル帝国議会ノ議決ヲ経タル帝国憲󠄁法ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム


御 名 御 璽

天正三十七年六月十九日

神長官 : 守矢実靖
禰宜太夫 : 守屋寬実
権祝 : 矢島正義
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣 : 国分寺達吉

(以下各国務大臣署名)

題名

大瑞穂国憲法

第一章 大祝

  • 第一条
    大瑞穂国ハ万世一系ノ大祝之ヲ統治ス
  • 第二条
    神位ハ神室軌範ノ定ムル所ニ依リ男子孫之ヲ継承ス
  • 第三条
    大祝ハ至尊ニシテ侵スヘカラス
  • 第四条
    大祝ハ国ノ元首ニシテ一切ノ国権ヲ総攬シ此ノ憲法ニ依リ之ヲ行フ
  • 第五条
    大祝ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
  • 第六条
    大祝ハ法律ヲ裁可シ其発布及執行ヲ命ス
  • 第七条
    大祝ハ帝国議会ヲ召集シ及之ヲ開会閉会停会ス又公議院ノ解散ヲ命ス
  • 第八条
    大祝ハ国家ノ危難又ハ国民ノ災厄ヲ避クル為ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ハルヘキ勅令ヲ発ス
    此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承認サセルトキハ将来ニ向テ法律タルノ効力ヲ失フヘシ
  • 第九条
    大祝ハ法律ヲ施行スル為ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ維持シ回復シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス
  • 第十条
    大祝ハ官制ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特別ニ掲ケタルハ各々其条項ニ依ル
  • 第十一条
    大祝ハ文武官ノ俸給及恩給年金ヲ定ム
  • 第十二条
    大祝ハ官軍ノ司令官ヲ任免シ以テ之ヲ統帥ス
  • 第十三条
    大祝ハ官軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
  • 第十四条
    大祝ハ宣戦講和ノ権ヲ有シ及諸般ノ条約ヲ締結ス
  • 第十五条
    大祝ハ戒厳ヲ宣告ス
    戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
  • 第十六条
    大祝ハ勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与ス
  • 第十七条
    大祝ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス
  • 第十八条
    摂政ヲ置クハ神室軌範ノ定ムル所ニ依ル
    摂政ハ大祝ノ名ヲ以テ大権ヲ施行ス

第二章 臣民権利義務

  • 第十九条
    瑞穂臣民タルノ要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
  • 第十九条イ
    臣民ノ基本的人権ハ現在及将来ノ臣民ニ対シ永久ニ之ヲ保障ス
  • 第十九条ロ
    此ノ憲法ノ保障スル臣民ノ自由及基本的人権ハ臣民ニ依リ保持サルルモノニシテ臣民ハ其ノ濫用ヲ自制シ常ニ公共ノ福祉ノ為ニ之ヲ利用スルノ責務ヲ有ス
  • 第十九条ハ
    臣民ハ他人ノ権利ヲ侵害セス安寧秩序及道徳ニ反ササル限リニ於テ生命身体ノ自由ヲ有ス
  • 第十九条ニ
    臣民ハ法ノ前ニ平等ニシテ人種信条性別門地故郷宗教的及政治的見解ニ依リ不利益又ハ特権ヲ受クルコトナシ
  • 第二十条
    臣民ハ法律命令ノ定ムル資格ニ相照シテ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ公務ニ就クコトヲ得
    一切ノ文武官ハ国家及臣民ノ奉仕者ニシテ一部ノ奉仕者ニ非ス
  • 第二十条イ
    選挙ハ成年者臣民ノ普通平等自由及秘密ニ依ル但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特別ニ掲ケタル元老院議員及神官ハ各々其条項ニ依ル
  • 第二十一条
    《削除》(臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス)
  • 第二十二条
    臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス
  • 第二十三条
    臣民ハ勤労ノ権利及義務ヲ有シ又勤労者ノ権利ヲ有ス
    賃金就業時間其ノ他ノ勤労条件ニ関スル基準ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム但シ児童ノ不当使用ハ之ヲ禁止ス
  • 第二十三条イ
    勤労者ハ法律ノ範囲内ニ於テ団結及団体交渉其ノ他ノ争議ヲ為ス権利ヲ有ス
  • 第二十四条
    臣民ハ公共ノ福祉ニ牴触セサル限リ居住移転及及職業選択ノ自由ヲ有ス
  • 第二十四条イ
    臣民ハ学問ノ自由ヲ有ス
  • 第二十四条ロ
    法律ハ臣民ノ生存権ヲ保障シ凡ル生活分野ニ於テ社会ノ福祉及安寧公衆衛生ノ向上増進ノ為ニ立案セラルヘシ
  • 第二十四条ハ
    臣民ハ法律ノ定ムル所ニ依リ其ノ能力ニ応シ均ク教育ヲ受クルノ権利ヲ有ス
    臣民ハ其ノ保護ニ係ル子女ヲシテ普通教育ヲ受ケシムルノ義務ヲ有ス其ノ教育ハ無償タルヘシ
  • 第二十五条
    臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問及処罰ヲ受クルコトナシ
  • 第二十五条イ
    何人ト雖モ現行犯トシテ逮捕セラルル場合ヲ除クノ外権限アル司法官憲ノ発スル令状ニシテ訴追ノ理由タル犯罪ヲ明示スルモノニ依ルニ非サレハ逮捕セラルルコトナシ
  • 第二十五条ロ
    遡及処罰及二重処罰ハ之ヲ禁ス
  • 第二十五条ハ
    臣民ニ対スル拷問及残虐ナル刑罰ハ絶対ニ之ヲ禁ス又死刑ハ絞首刑ニ限ル
  • 第二十五条ニ
    何人ト雖モ自己ニ不利益ナル証言ヲ強要セラレサルヘシ強制及拷問若ハ脅迫ノ下ニ又ハ長期ノ逮捕若ハ拘禁ノ後ニ為シタル自白ハ之ヲ証拠ト為スヲ得ス
    何人ト雖モ自己ニ不利益ナル唯一ノ証拠カ本人ノ自白ナル場合ニ於テハ有罪トセラレ又ハ処罰セラレサルヘシ
  • 第二十六条
    臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権利ヲ奪ハルルコトナシ
  • 第二十七条
    臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ犯サルルコトナシ
  • 第二十八条
    臣民ノ財産ヲ所有スル権利ハ侵サルルコトナシ但シ必要ナル処分ハ公共ノ福祉ニ従ヒ法律ニ依ル
    財産ノ押収ヲ受ケサル権利ハ相当ノ理由ニ基キ令状ヲ発スルニ非サレハ侵サルルコトナシ
  • 第二十九条
    臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及捜索セラルルコトナシ
  • 第三十条
    臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケサル限ニ於テ思想良心信教ノ自由ヲ有ス
  • 第三十一条
    集会結社及言論出版其ノ他一切ノ表現ノ自由ハ之ヲ保障シ通信ノ秘密ハ之ヲ侵スヘカラス
  • 第三十二条
    検閲ハ学校令ノ定ムル教本ノ検査ヲ除ク外之ヲ禁ス
  • 第三十三条
    臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ法令ノ規定ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得
  • 第三十四条
    本章ニ揭ケタル条規ハ官軍ノ紀律ニ抵触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス

第三章 帝国議会

  • 第三十五条
    帝国議会ハ元老院及公議院ノ両院ヲ以テ構成ス
  • 第三十六条
    元老院ハ元老院令ノ定ムル所ニ依ル選挙又ハ勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
    元老院ノ議員ノ員数ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  • 第三十七条
    公議院ハ選挙法ノ定ムル所󠄁ニ依リ公選󠄁セラレタル議員ヲ以テ組織ス
    公議院ノ議員ノ員数ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
  • 第三十八条
    両議院ノ議員及其ノ選挙人タルノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム但シ人種信条社会的身分門地教育財産又ハ収入ニ依リテ差別ヲ附スルコトヲ得ス
  • 第三十九条
    凡テ法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
  • 第三十九条イ
    法律ヲ以テ定ムルヲ要スル事項ニ関ル条約若ハ国家ニ重大ナル義務ヲ負ハシムル条約ヲ締結スルニハ議院法ノ定ムル所ニ依リ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
  • 第四十条
    両議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及󠄁各々法律案ヲ提出スルコトヲ得
  • 第四十一条
    両議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付各々其ノ意見ヲ政府ニ建󠄁議スルコトヲ得
  • 第四十二条
    何人ト雖モ同時ニ両議院ノ議員タルヲ得ス
  • 第四十三条
    帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス
    停会期間ハ勅命ヲ以テ之ヲ定ム
  • 第四十四条
    臨時緊急ノ必要アル場合ニ於テ常会ノ外臨時会ヲ召集スヘシ
    何レカノ議院ノ総議員四分ノ一以上ニ当ル者ノ要求アリタルトキハ其ノ召集ヲ決定スルヲ要ス
  • 第四十五条
    帝国議会ノ開会閉会休会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ
    公議院解散ヲ命セラレタルトキハ元老院ハ同時ニ停会セラルヘシ
  • 第四十六条
    公議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅命ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ三箇月以内ニ召集スヘシ
  • 第四十七条
    両議院ハ各々其ノ総員三分ノ一以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為スコトヲ得ス
  • 第四十八条
    両議院ノ議事ハ此ノ憲法ニ特例ヲ定メタル場合ヲ除クノ外出席議員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決シ可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
  • 第四十九条
    両議院ノ会議ハ公開ス但シ出席議員ノ三分ノ二以上ノ要求アルトキハ秘密会ヲ為スコトヲ得
    両議院ハ其ノ議事ノ記録ヲ保存シ且之ヲ公刊シテ一般ニ頒布スヘシ
    出席議員ノ五分ノ一以上ノ要求アルトキハ各議員ノ表決ハ之ヲ議事録ニ記載スヘシ
  • 第五十条
    両議院ハ各々大祝ニ上奏スルコトヲ得
  • 第五十一条
    両議院ハ臣民ヨリ呈󠄁出スル請願書ヲ受クルコトヲ得
  • 第五十一条イ
    両議院ハ各々国務ニ関スル調査ヲ為シ之ニ関スル証人ノ出頭証言ノ供述及記録ノ提出ヲ要求スルコトヲ得
  • 第五十二条
    両議院ハ各々議長其ノ他ノ役員ヲ選任シ此憲󠄁法及󠄁議院法ニ揭クルモノノ外內部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得
    議員ニシテ紀律ヲ乱ルモノアルトキハ之ヲ処罰スルコトヲ得但シ議員ヲ除名スルニハ出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ議決ヲ為スルコトヲ要ス
  • 第五十三条
    両議院ノ議員ハ議院ニ於テ為シタル演説、討論又ハ表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ
  • 第五十四条
    両議院ノ議員ハ法律ノ定ムル場合ヲ除クノ外帝国議会ノ会期中逮捕セラルルコトナク会期前ニ逮捕セラレタル議員ハ其ノ院ノ要求アルトキハ会期中之ヲ釈放スヘシ
  • 第五十五条
    国務大臣及政府委員ハ両議院ノ一ニ議席ヲ有スルト否トヲ問ハズ何時ニテモ議案ニ付討論ヲ為ス為出席スルコトヲ得又答弁又ハ説明ノ為出席ヲ求メラレタルトキハ出席スルコトヲ要ス

第四章 国務大臣及顧問

  • 第五十六条
    国務各大臣ハ大祝ヲ輔弼シ帝国議会ニ対シテ其ノ責ニ任ス
    凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署󠄀ヲ要ス
  • 第五十七条
    枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ大祝ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ審議ス
  • 第五十八条
    五官祝ハ五官会議官制ノ定ムル所ニ依リ神宮及神位ニ関ル大祝ノ諮詢ニ応ヘ之ヲ審議ス
    此ノ憲法及神室軌範其ノ他法令ノ定ムル事項ニハ五官祝ノ副署ヲ要ス

第五章 司法

  • 第五十九条 *1
    司法権ハ大祝ノ名ニ於テ独立シタル大審院及法律ヲ以テ定ムル下級裁判所之ヲ行フ
  • 第五十九条イ
    裁判官ハ凡テ其ノ良心ニ従ヒ独立シテ其ノ職権ヲ行ヒ此ノ憲法及法律ニ依ルノ外其ノ職務ノ執行ニ付他ノ干渉ヲ受クルコトナシ
  • 第六十条
    裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス
    裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルルコトナシ
    懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
  • 第六十条イ
    大審院ハ終審裁判所トシ一切ノ法律命令規則又ハ処分ノ憲法ニ適合スルヤ否ヲ決定スルノ権限ヲ有ス
  • 第六十条ロ
    大審院ハ訴訟手続弁護士ニ関スル事項裁判所ノ内部規律司法事務処理及司法権ノ自由ナル行使ニ関スル事項ニ付規則ヲ定ムルノ権限ヲ有ス
  • 第六十条ハ
    検察官ハ大審院ノ定ムル規則ニ従フコトヲ要シ大審院ハ下級裁判所ニ関スル規則ヲ定ムルノ権限ヲ之ニ委任スルコトヲ得
  • 第六十一条
    裁判ノ対審及判決ハ公開法廷ニ於テ之ヲ行フ但シ裁判所カ全員一致ヲ以テ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ヲ害スルノ虞アリト決シタル場合ニ於テハ対審ハ公開セスシテ之ヲ行フコトヲ得
  • 第六十一条イ
    政治ニ関スル犯罪出版物ニ関スル犯罪及此ノ憲法第二章ノ保障スル臣民ノ権利ニ係ル事件ノ対審ハ常ニ之ヲ公開スヘシ
  • 第六十二条
    行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害󠄂セラレタリトスルノ訴訟󠄁ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判󠄁所󠄁ノ裁判󠄁ニ屬スヘキモノハ司法裁判󠄁所󠄁ニ於󠄁テ受理スルノ限ニ在ラス
  • 第六十三条
    特別裁判󠄁所󠄁ノ管轄󠄁ニ属スヘキモノハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第六章 会計

  • 第六十四条
    新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
    但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ收納金ハ前項ノ限ニ在ラス
    国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
  • 第六十五条
    此ノ憲法施行ノ際現行ノ租税ハ更ニ法令ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ現行ノ法令ニ従ヒ之ヲ徴収ス
  • 第六十六条
    国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
    予算ノ款項ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
  • 第六十七条
    憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス
  • 第六十八条
    予算ハ前ニ公議院ニ提出スヘシ
  • 第六十九条
    予算ニ関シ元老院ニ於テ公議院ト異リタル議決ヲ為シタル場合ニ於テ法律ノ定ムル所ニ依リ両議院ノ協議会ヲ開クモ仍意見一致セサルトキハ公議院ノ決議ヲ以テ帝国議会ノ決議トスヘシ
  • 第七十条
    神室経費中其ノ内廷ノ経費ニ限リ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス
  • 第七十一条
    特別ノ須要󠄁ニ因リ政府ハ予メ年限ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコトヲ得
  • 第七十二条
    予見シ難キ予算ノ不足ニ充ツル為ニ又ハ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ帝国議会ノ協賛ヲ経テ予備費ヲ設クヘシ
    予備費ノ支出ニ付テハ凡テ政府ニ於テ帝国議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
  • 第七十三条
    国家ノ危難ヲ避クル為緊急ノ需用アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為シ国債ヲ起シ又ハ臨時ニ新税ヲ課スルコトヲ得
    前項ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出シ其ノ将来ニ法律ノ効力ヲ要スルモノハ帝国議会ノ承認ヲ求ムヘシ
  • 第七十四条
    帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ会計法ノ定ムル所ニ依リ暫定予算ヲ作成シ予算成立ニ至ルマテノ間之ヲ施行スヘシ
  • 第七十五条
    国家ノ歳出歳入ノ決算ハ監察院之ヲ検査シ政府ハ次年度ニ於テ其ノ検査報告ト俱ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ
    監察院ノ組織及権限ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第七章 補則

  • 第七十五条イ
    瑞穂国ニ於テ制定セラレタル法律命令詔勅及万国公法ハ凡テ此ノ憲法ニ矛盾セサル限ニ於テ遵由ノ効力ヲ有ス
  • 第七十五条ロ
    大祝又ハ摂政及国務大臣両議院ノ議員裁判官其ノ他ノ文武官ハ此ノ憲法ヲ尊重擁護スルノ義務ヲ有ス
  • 第七十六条
    将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
    此ノ場合ニ於󠄁テ両議院ハ各々其ノ総員三分󠄁ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分󠄁ノ二以上ノ同意ヲ得ルニ非サレハ何等ノ変更モ之ヲ決議スルコトヲ得ス
  • 第七十六条イ
    両議院ノ議員ハ各々其ノ院ノ総員二分ノ一以上ノ賛成ヲ得テ憲法改正ノ議案ヲ発議スルコトヲ得
    此ノ場合ニ於󠄁テノ手続ハ前項ノ規定ニ倣フ
  • 第七十七条
    大祝ハ帝国議会ノ議決シタル憲法改正ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
  • 第七十八条
    此ノ憲法ハ正規ノ改正手続ヲ除ク外如何ナル変更破棄及無効化ヲモスルコトヲ得ス
  • 第七十九条
    神室軌範ノ改正ハ神族会議及枢密院ノ決定ヲ以テシ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス
    神室軌範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス
  • 第八十条
    憲󠄁法及󠄁神室軌範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルヲ得ス
  • 第八十一条
    法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用イタルニ拘ラス此憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス

口語版

より多くの国民に憲法教育を広めるため、天正21年(1950年)に内務省が第一版を作成し内閣がこれを正式な口語版として閣議決定した。それ以降改正の度に追加、変更が加えられた条文について内務省が口語版を作成している。学校教育においては文語体である原文とともに載せられる。文礼28年(2019年)現在の最新版は19xx年に作成された第x版である。

御告文

大祝である朕は、申し上げるのも恐ろしいことではございますが、神祖神宗の御前において謹み畏まって申し上げます。朕は天壌無窮の神勅に従い、大祝の位を継ぎ、瑞穂国の興隆を、神の御心のままにお守り致しまして、神州(瑞穂国)に荒ぶる者は無く、平らかに、安らかになるようにいたしております。
朕は、神祖神宗の輝かしい威光に頼りまして、新たに国の典範を定めまして、この祭壇の大前に誓い申し上げることには、天下の人々の力を合わせ心を一つにして、朕の政治をお助け申しあげますよう、御祈り申し上げます。御祈願の捧げ物は横山の如く連なり置かれ、山のように高く盛り上がる様子をご覧あそばし、天下の万民をお治め頂き、お育て頂き、地上はヒキガエルの歩いているようなところから、天の白雲の向こうの果てまで全て、背き、仇なす者はございません。
遠き祖先より恩徳を受けて、永久に仕え奉る人々を、安らかであるようお護り頂き幸福を頂いて、今日のお誓いに外れようとする者は、天神地祇のもと、ただちにその罰を頂く物であると、皇神らの前に誓の吉詞を恐れ多くも申しあげるのもでございます。

上諭

朕は祖宗の遺した功績を承けて、万世一系の神位を継承し、朕が親愛する所である臣民は、すなわち朕の祖が恵み、滋養なされた所の臣民であることを思い、その幸福と安寧を保護し、その徳と智能を自由に発達させることを願い、また世界情勢の変化の世運に当たって昔から現在までの大局を読み取って、私の臣民とともに文明に進行する必要を認める。そこで、公議の府を設け、臣民に諮詢するための便宜を広めることを欲し、仁政二十九年の命令を踏まえて、ここに国の憲法を宣布し、はじめに統治大権の大義を明らかにして、次に臣民の権利と義務を掲げ、また帝国議会の組織と権限を定め、また行政と司法の諸部の制度を各条項に定め、それぞれが超えるべきでない範囲を明らかにし、これを以て朕が意見を聞き、それに従い拠ることを示して、朕が後嗣と臣民、臣民の子孫である者がこれを誤らず、遺れず、永遠に遵守するべきであることを知らしめる。

 

国の大権は、朕がこれを祖宗に承けてこれを子孫に伝える所である。朕及び朕が子孫は、将来この憲法の条章に従い、これを施行し、またこれを施行させるものである。

 

朕は我が臣民の身体財産について、国家の安寧及び公益の為に必要な制限を除いて、これを貴重し、保護し、また一般に臣民の公権及び私権の享有を完全なものとし、その幸福を増進させることを希望する。

 

帝国議会は仁政三十六年の冬期にこれを召集し、仁政三十七年度の予算を議論するために適当な時間を誤るべきではない開会以後に制定するべきである諸般の法律及び租税の徴収、国債は朕が自ら発議の権利によって議案をしたため、これを議会に提出する。

 

将来にもしこの憲法のある条章を改正する必要があるときは、朕及び朕の系統の子孫によって発議の権利を執り行い、起案を議会に付し、議会はこれを憲法に定める要件によって議決する。この他の方法で、朕の子孫及び臣民が憲法の改正をすることはできない。

 

朕は、国家の興隆と、臣民の幸福とを朕の中心である欣栄であるとして、上には祖宗に対して勤めて誓い申し上げ、下へは朕の現在及び将来の忠実な臣民の為に不磨の宝典を宣布する。今朕が朝廷にある大臣は、朕の現在及び将来の臣民が、この憲法に対して朕の系統がその子孫に在するのと同じように、永遠に遵守する義務を負うべきである。

 

惟うに、我が祖、我が宗、我が臣民の祖先は共に心を叶えて、力を合わせ、我が国を造り、これをもって今日に至って国の光栄は永久に失墜することはない。これは独り我が国体の美であるからでらなく、我が臣民の天性が情に厚く、国を愛する為に専ら私を捨てて公に従い、合同一致の力をもってこの光輝ある歴史の事跡を世界に残すからである。朕は、朕の臣民はすなわち祖宗の忠実勇武な臣民の子孫であることを回想して、朕の意思を実現し、朕の事業を助け従い、互いに心をひとつにして和衷叶同の方向をとり、文明安富の軌道について互いに議論し、互いに計画し、ますます我が国の繁栄を内外に宣揚し、祖宗の遺業を永遠に確固たるものにすることを希望することを、臣民と同じく願い、この大業の負担を分担することに臣民が耐えることを信じるものである。

御 名 御 璽

仁政三十五年ニ月十四日

神長官 : 守矢実睦
禰宜太夫 : 守屋好文
権祝 : 矢島正守
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂頼純

太政大臣 : 臣守屋成清
枢密院議長 : 臣宮河院禮胤
神祇大臣 : 臣卜部嵩宏
治部大臣 : 臣大塚宗久
民部大臣 : 臣小林総二郎
文部大臣 : 臣科埜武夫
刑部大臣 : 臣御建社博康
工部大臣 : 臣熊澤徳内
兵部大臣 : 臣近衛基彦
逓信大臣 : 臣粱公也

天正十七年改正の上諭

朕は、枢密顧問の諮󠄁詢及び󠄁帝国憲󠄁法第七十六条による帝国議会の議決を経た帝国憲󠄁法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。


御 名 御 璽

天正十七年十一月二十日

神長官 : 守矢憲実
禰宜太夫 : 守屋実清
権祝 : 矢島正守
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣兼建設院総裁 : 鄭尚太郎

(以下各国務大臣署名)

天正三十七年改正の上諭

朕は、枢密顧問の諮󠄁詢及び󠄁帝国憲󠄁法第七十六条による帝国議会の議決を経た帝国憲󠄁法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。


御 名 御 璽

天正三十七年九月五日

神長官 : 守矢実靖
禰宜太夫 : 守屋寬実
権祝 : 矢島正義
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣 : 金子昭

(以下各国務大臣署名)

天正五十六年改正の上諭

朕は、枢密顧問の諮󠄁詢及び󠄁帝国憲󠄁法第七十六条による帝国議会の議決を経た帝国憲󠄁法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。


御 名 御 璽

天正三十七年六月十九日

神長官 : 守矢実靖
禰宜太夫 : 守屋寬実
権祝 : 矢島正義
擬祝 : 伊藤定行
副祝 : 長坂延純

太政大臣 : 国分寺達吉

(以下各国務大臣署名)

題名

大瑞穂国憲法

第一章 大祝

  • 第一条
    大瑞穂国は、万世一系の大祝がこれを統治する。
  • 第二条
    神位は、神室軌範が定めるところによって、男子孫がこれを継承する。
  • 第三条
    大祝は至尊であり、侵してはならない。
  • 第四条
    大祝は、国の元首であり、一切の国権を総覧し、この憲法によって国権を行使する。
  • 第五条
    大祝は、帝国議会の協賛によって立法権を行使する。
  • 第六条
    大祝は、法律を裁可し、その発布及び執行を命じる。
  • 第七条
    大祝は、帝国議会を召集し、これを開会、閉会、停会する。また、公議院の解散を命じる。
  • 第八条
    大祝は、国家の危機、困難、または国民の災厄を避けるための必要に応じて、帝国議会が閉会している場合に限り、法律に代わる勅令を発する。
    この勅令は、次の会期に帝国議会に提出し、もし議会か承認しなかったときは、将来に向かってその法律としての効力を失う。
  • 第九条
    大祝は、法律を施行するため、または公共の安寧秩序を維持し、回復し、及び臣民の幸福を増進するために、必要な命令を発し、または命令を発するよう命じる。ただし、命令によって法律を変更することはできない。
  • 第十条
    大祝は、官制を定め、文武官を任命、解任する。ただし、この憲法または他の法律に特別に掲げるものについてはそれぞれの条項による。
  • 第十一条
    大祝は、文武官の俸給及び恩給、年金を定める。
  • 第十二条
    大祝は、官軍の司令官を任命、解任し、これをもって官軍を統帥する。
  • 第十三条
    大祝は、官軍の編制及び常備兵額を定める。
  • 第十四条
    大祝は、宣戦と講和の権利を有し、諸般の条約を締結する。
  • 第十五条
    大祝は、戒厳を宣告する。
  • 第十六条
    大祝は、勲章及びその他の栄典を授与する。
  • 第十七条
    大祝は、大赦、特赦、減刑、及び復権を命じる。
  • 第十八条
    摂政を置くことについては、神室軌範の定めるところによる。
    摂政は、大祝の名をもって大権を施行する。

第二章 臣民の権利と義務

  • 第十九条
    瑞穂臣民たる要件は、法律でこれを定める。
  • 第十九条イ
    臣民の基本的人権は、現在及び将来の臣民に対して永久にこれを保障する。
  • 第十九条ロ
    この憲法の保障する臣民の自由及び基本的人権は臣民によって保持されるものであって、その濫用を自制し、常に公共の福祉のためにこれを利用する責務を有する。
  • 第十九条ハ
    臣民は、他人の権利を侵害せず、安寧秩序及び道徳に反しない限り、生命身体の自由を有する。
  • 第十九条ニ
    臣民は、法律の前に平等であって、人種、信条、性別、門地、故郷、宗教的及び政治的見解によって、不利益や特権を受けることはない。
  • 第二十条
    臣民は、法律命令の定める資格に照らして、等しく文武官に任命され、その公務につくことができる。
    一切の文武官は、国家及び臣民の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
  • 第二十条イ
    選挙は、成年者臣民の普通、平等、自由及び秘密による。ただしこの憲法又は他の法律に特別に掲げる元老院議員及び神官はそれぞれの条項による。
  • 第二十一条
    《削除》(臣民は、法律の定めるところにより兵役の義務を有する。)
  • 第二十二条
    臣民は、法律の定めるところにより納税の義務を有する。
  • 第二十三条
    臣民は、勤労の権利及び義務を有し、また勤労者の権利を有する。
    賃金、就業時間、その他の勤労条件に関する基準は、法律をもってこれを定める。ただし、児童の不当使用はこれを禁止する。
  • 第二十三条イ
    勤労者は、法律の範囲内で団結及び団体交渉、その他の争議を行う権利を有する。
  • 第二十四条
    臣民は、公共の福祉に抵触しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
  • 第二十四条イ
    臣民は、学問の自由を有する。
  • 第二十四条ロ
    法律は、臣民の生存権を保障し、あらゆる生活分野において社会の福祉及び安寧並びに公衆衛生の向上、増進のために立案されなければならない。
  • 第二十四条ハ
    臣民は、法律の定めるところによりその能力に応じ、等しく教育を受ける権利を有する。
    臣民は、その保護する児童に初等教育を受けさせる義務を有する。普通教育は、これを無償とする。
  • 第二十五条
    臣民は、法律によることなく逮捕、監禁、審問及び処罰を受けない。
  • 第二十五条イ
    何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲の発する令状のうち訴追の理由となる犯罪を明示するものによらなければ、逮捕されない。
  • 第二十五条ロ
    遡及処罰及び二重処罰は、これを禁ずる。
  • 第二十五条ハ
    臣民に対する拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。また、死刑は絞首刑に限る。
  • 第二十五条ニ
    何人も、自己に不利益な証言を強要されない。強制及び拷問もしくは脅迫の下に、または長期の逮捕もしくは監禁の後になされた自白は、これを証拠とすることができない。
  • 第二十六条
    臣民は、法律に定める裁判官の裁判を受ける権利を奪われない。
  • 第二十七条
    臣民は、法律に定める場合を除いては、信書の秘密を侵されない。
  • 第二十八条
    臣民の財産を所有する権利は、侵されない。ただし、必要な処分は公共の福祉に従って法律による。
    財産の押収を受けない権利は、相当の理由に基づく令状を除いては、侵されない。
  • 第二十九条
    臣民は、法律に定める場合を除いては、その許諾なく住所に侵入され、捜査されない。
  • 第三十条
    臣民は、安寧秩序を妨げない限り思想、良心及び信教の自由を有する。
  • 第三十一条
    集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。また通信の秘密は、これを侵してはならない。
  • 第三十二条
    検閲は、学校令の定める教科書の検査を除いては、これを禁ずる。
  • 第三十三条
    臣民は、相当の敬礼を守り、法令の規定に従って請願をすることができる。
  • 第三十四条
    本章に掲げられた条規は、官軍の紀律に抵触しないものに限り、軍人に順行する。

第三章 帝国議会

  • 第三十五条
    帝国議会は、元老院及び公議院の両院をもって構成する。
  • 第三十六条
    元老院は、元老院令の定めるところにより選挙又は勅任された議員をもって組織する。
    元老院の議員の員数は、勅令をもってこれを定める。
  • 第三十七条
    公議院は、選挙法の定めるところにより公選された議員をもって組織する。
    公議院の議員の員数は、法律をもってこれを定める。
  • 第三十八条
    両議院の議員及びその選挙人たる資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、社会的身分、門地、教育、財産または収入によって差別してはならない。
  • 第三十九条
    すべての法律は、帝国議会の協賛を経る必要がある。
  • 第三十九条イ
    法律をもって定める必要のある事項に関する条約もしくは国家に重大な義務を負わせる条約を締結するには、議院法の定めるところにより帝国議会の協賛を経る必要がある。
  • 第四十条
    両議院は、政府の提出する法律案を議決し、及びそれぞれ法律案を提出することができる。
  • 第四十一条
    両議院は、法律またはその他の事件について、各々その意見を政府に建議することができる。
  • 第四十二条
    何人も、同時に両議院の議員となることはできない。
  • 第四十三条
    帝国議会は、毎年これを召集する。
    停会期間は、勅命をもってこれを定める。
  • 第四十四条
    臨時緊急の必要がある場合は、常会のほかに臨時会を召集する。
    いずれかの議員の総議員の四分の一以上の要求があれば、その召集を決定しなければならない。
  • 第四十五条
    帝国議会の開会、閉会、休会、会期の延長及び停会は、両議院同時にこれを行う。
    公議院の解散を命じられたときは、元老院は同時に停会する。
  • 第四十六条
    公議院の解散を命じられたときは、勅命をもって新たに議員を選挙し、解散の日より三ヶ月以内に召集しなければならない。
  • 第四十七条
    両議院は、それぞれその総議員の三分の一以上の出席がなければ議事を開き議決することができない。
  • 第四十八条
    両議院の議事は、この憲法に特例を定める場合を除いては、出席議員の過半数をもってこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
  • 第四十九条
    両議院の会議は、公開する。ただし、出席議員の三分の二以上の要求があるとき、秘密会とすることができる。
    両議院は、その議事の記録を保存し、かつこれを公刊して一般に頒布しなければならない。
    出席議員の五分の一以上の要求があったときは、各議員の表決は、これを議事録に記載しなくてはならない。
  • 第五十条
    両議院は、各々大祝に上奏することができる。
  • 第五十一条
    両議院は、臣民より提出された請願書を受けることができる。
  • 第五十一条イ
    両議院は、各々国務に関する調査をし、これに関する証人の出頭、証言の供述及び記録の提出を要求することができる。
  • 第五十二条
    両議院は、各々議長その他の役員を選任し、この憲法及び議院法に掲げるものを除いては、内部の整理に必要な諸規則を定めることができる。
    議員で紀律を乱すものがあるときは、これを処罰することができる。ただし議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数をもって議決を必要とする。
  • 第五十三条
    両議院の議員は、議員において行った演説、討論または表決について、院外で責任を負わない。
  • 第五十四条
    両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、帝国議会の会期中に逮捕させられることがなく、会期前に逮捕された議員は、その院の要求があったとき、会期中にこれを釈放しなければならない。
  • 第五十五条
    国務大臣及び政府委員は、両議院の一に議席を有すると有しないとに関わらず、何時でも議案について討論をするために出席することができる。また、答弁または説明のために出席を求められたときは、出席しなければならない。

第四章 国務大臣及び顧問

  • 第五十六条
    国務各大臣は、大祝を輔弼し、帝国議会に対してその責任を有する。
    すべて法律、勅令、その他国務に関わる詔勅は、国務大臣の副署を必要とする。
  • 第五十七条
    枢密顧問は、枢密院官制の定めるところにより、大祝の諮詢に応え、重要な国務を審議する。
  • 第五十八条
    五官祝は、五官会議官制の定めるところにより神宮及び神位に関わる大祝の諮詢に応え、これを審議する。この憲法及び神室軌範並びにその他の法令に定める事項には、五官祝の副署を必要とする。

第五章 司法

  • 第五十九条 *2
    司法権は、大祝の名において独立した大審院及び法律をもって定める下級裁判所がこれを行う。
  • 第五十九条イ
    裁判官は、すべてその良心に従い、独立してその職権を行い、この憲法及び法律によるものを除いては、その職務の執行について他の干渉を受けない。
  • 第六十条
    裁判官は、法律に定める資格を具える者をもってこれに任ずる。
    裁判官は、刑法の宣告または懲戒の処分によるものを除いては、その職を罷免されない。
    懲戒の条規は、法律をもってこれを定める。
  • 第六十条イ
    大審院は、終審裁判所とし、一切の法律、命令、規則または処分の憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。
  • 第六十条ロ
    大審院は、訴訟手続、弁護士に関する事項、裁判所の内部規律、司法事務処理及び司法権の自由な行使に関する事項について、規則を定める権限を有する。
  • 第六十条ハ
    検察官は、大審院の定める規則に従うことを必要とし、大審院は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、これに委任することができる。
  • 第六十一条
    裁判の対審及び判決は、公開法廷においてこれを行う。ただし裁判所が全員一致をもって公の秩序または善良な風俗を害するおそれがあると決定した場合には、対審は公開せずにこれを行うことができる。
  • 第六十一条イ
    政治に関する犯罪、出版物に関する犯罪及びこの憲法の第二章に保障する臣民の権利に係る事件の対審は、これを公開しなければならない。
  • 第六十二条
    行政官庁の違法な処分により権利を侵害されたとする訴訟であって、別に法律をもって定められた行政裁判所の裁判に属すべきものは、司法裁判所において受理する限りではない。
  • 第六十三条
    特別裁判所の管轄に属すべきものは、別に法律をもってこれを定める。

第六章 会計

  • 第六十四条
    新たに租税を課し、及び税率を変更するときは、法律をもってこれを定めなければならない。
    ただし報償に属する行政上の手数料及びその他の収納金は、前項の限りではない。
    国債を発行し、及び予算に定められたものを除いて、国庫の負担となるべき契約をするには、帝国議会の協賛を経なけれなならない。
  • 第六十五条
    この憲法施行の際、現行の租税は、更に法令をもって改めない限りは、現行の法令に従いこれを徴収する。
  • 第六十六条
    国家の歳出歳入は、毎年予算をもって帝国議会の協賛を経なければならない。
    予算の款項を超過し、または予算のほかに生じた支出があるときは、後日帝国議会の承諾を求める必要がある。
  • 第六十七条
    憲法上の大権に基づいた既定の歳出は、政府の同意なく帝国議会がこれを排除し、または削減することができない。
  • 第六十八条
    予算は、先に公議院に提出しなければならない。
  • 第六十九条
    予算に関して、元老院において公議院と異なる議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、公議院の決議をもって帝国議会の決議とする。
  • 第七十条
    神室経費中、その内廷の経費に限っては、定額によって毎年国庫よりこれを支出し、増額を必要とする場合を除いては、帝国議会の協賛を必要としない。
  • 第七十一条
    特別の必要がある場合には、政府は、あらかじめ年限を定め、継続費として帝国議会の協賛を求めることができる。
  • 第七十二条
    予見しがたい予算の不足に充てるために、または予算のほかに生じた必要の費用に充てるために、帝国議会の協賛を経て予備費を設けることができる。
    予備費の支出についてはすべて、政府が帝国議会に提出し、その承諾を求める必要がある。
  • 第七十三条
    国家の危難を避けるため、緊急の必要がある場合において、内外の状況により政府が帝国議会を召集することができないときは、勅令によって財政上必要な処分を行い、国債を発行し、または臨時に新たな税を課することができる。
    前項の場合においては、次の会期において、帝国議会に提出し、将来に法律の効力を要するものについては、帝国議会の承認を求めなければならない。
  • 第七十四条
    帝国議会において、予算を議定せず、または予算成立に至らなかったときは、政府は会計法の定めるところにより暫定予算を作成し、予算成立に至るまでの間、これを施行する。
  • 第七十五条
    国家の歳出、歳入の決算は、監察院がこれを検査し、政府は次年度においてその検査報告とともに、これを帝国議会に提出しなければならない。
    監察院の組織及び権限は、法律をもってこれを定める。

第七章 補則

  • 第七十五条イ
    瑞穂国において制定された法律、命令、詔勅及び万国公法は、すべてこの憲法に矛盾しない限りにおいて、遵守すべき効力を有する。
  • 第七十五条ロ
    大祝または摂政及び国務大臣、両議院の議員、裁判官、その他の文武官は、この憲法を尊重し、擁護する義務を有する。
  • 第七十六条
    将来、この憲法の条項を改正する必要があるときは、勅命をもって議案を帝国議会の議に付す。
    この場合においては、両議院は、各々その総議員の三分の二以上の出席がなければ議事を開くことができず、出席議員の三分の二以上の同意を得なければ何らの変更もこれを決議することができない。
  • 第七十六条イ
    両議院の議員は、各々その院の総議員の二分の一の賛成を得て、憲法改正の議案を発議することができる。
    この場合においての手続きは、前項の規定にならう。
  • 第七十七条
    大祝は、帝国議会の議決した憲法改正を裁可し、その公布及び執行を命ずる。
  • 第七十八条
    この憲法は、正規の改正手続きを除いては、いかなる変更、破棄及び無効化もすることができない。
  • 第七十九条
    神室軌範の改正は、神族会議及び枢密院の決定をもってし、帝国議会の議を経る必要がない。
    神室軌範をもって、この憲法の条規を変更することはできない。
  • 第八十条
    憲法及び神室軌範は、摂政を置く間、これを変更することができない。
  • 第八十一条
    法律、規則及び命令または何らの名称を用いるにこだわらず、この憲法に矛盾しない現行の法令は、すべて遵守すべき効力を有する。

補足説明

  • 御告文
    おつげぶみ。ごこうもん。大祝が祖宗の神霊に告げる文。告文。御告文も憲法の一部を構成するものとさるている。海外においては掲載しない場合もある。また原文では平出を用いており、「神祖、神宗」が現れたときは改行する。その後、公文書で闕画、平出などの表現が廃止されたことに伴い、口語訳では平出を用いない。
  • 上諭
    大祝が法令を裁可し公布することを述べる言葉。帝国憲法では、他国憲法における前文としての性質を持ち、憲法典の一部を構成する。また、上諭は改正される度に付すこととなっており、それぞれに御名御璽、五官祝及び国務大臣の副署が付く。発布時の「上諭」では、国務大臣の署名には氏名の前に「臣*3」を付けていたが、改正の上諭では付けなくなった。五官祝に関しては、発布時の上諭においても「臣」を付けていない。天正十七年の上諭では、鄭宰相が「五官祝と国務大臣は、臣を付けるか付けないか、どちらかに統一しよう」と提案し、全員が臣を付さないことで合意した。
  • 臣民
    「大祝の国の人民」を指し、国民の意味。大祝が国民に対して呼びかける際は臣民を用い、その他の人物が呼びかける時には国民、人民等を使う。
  • 御名御璽
    尋常小学校教本には、「御名御璽」の解説として、「ギョメイギョジ。陛下の御署名と御押印。」と補足がある。
  • 第五十九条の解釈
    この条文は、19xx年に改正され、旧条項では「司法権ハ大祝ノ名ニ於󠄁テ法律ニ依リ裁判󠄁所󠄁之ヲ行フ 裁判󠄁所󠄁ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム(司法権は、大祝の名において法律により裁判所がこれを行う。裁判所の構成は法律をもってこれを定める。)」とされていた。現条項と大きな差異は無いものの、改正後の条項では司法権が大祝の名のもとに大審院が行使するものであると明確にした。ここで初めて「大審院」という機関が憲法上言及され、第六十条イ、ロ、ハでこれについて仔細に規定した。
  • 第七十八条の解釈
    ここで謳われている「無効化」は、「無効化」を用いて神位を侵し国体を根本より改変しようとする行為のことを定めているとされ、戒厳や緊急勅令による一時的なものは含まれないものと解釈されている。

奉答文

憲法発布式では、大祝が読み上げた憲法発布勅語に対し、太政大臣守屋成清(この時既に内閣官制は制定されている)が奉答文を読み上げた。これは憲法の一部として扱わないが、紹介する教本もある。

原文
畏ミ畏ミ主上ニ(もう)サク
恭シク惟ルニ大瑞穂ニ大典定リ 聖詔ヲ賜フ臣等感激ノ至リニ堪ヘス臣等大典之ヲ以テ万邦無比ノ神国ヲ興シ以テ天下ノ大同ヲ為ス
陛下ノ叡旨ヲ奉戴シ下国民ノ委託ニ酬ムコトヲ期ス太政大臣臣守屋成清誠恐誠惶謹テ奏ス

 

仁政三十五年二月十四日

口語訳
私は畏み畏み主上に申し上げます。
恭みて惟うに、大瑞穂に大典が定まり、聖詔を賜りましたことは、臣民我ら感激の至に堪えず、臣民我らは大典これをもって万邦無比の神国を興し、もって天下の大同を為します。
陛下のお考えを奉戴し、下の国民の委託にむくいることをお誓い申し上げます。太政大臣、臣守屋成清は、誠に惶れ誠に恐り、謹んで奏上申し上げます。

 

仁政三十五年二月十四日

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*1 旧五十九条:司法権ハ大祝ノ名ニ於󠄁テ法律ニ依リ裁判󠄁所󠄁之ヲ行フ 裁判󠄁所󠄁ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
*2 旧五十九条:司法権は、大祝の名において法律により裁判所がこれを行う。裁判所の構成は法律をもってこれを定める。
*3 臣下であるところのーという意味。