:【SS】人間兵器2台、若き研究者2人

Last-modified: 2018-11-28 (水) 02:52:20

序章

研究者U(以下U)「もうすこしだ……」
カチッ がこんっ
U「もう少しで私の理想が叶う…」
機械「サンプルXY、AI接続完了」
U「なぁ、サンプルXXとXYはあとどのくらいで完成するのか…?」
機械「サンプルXYはあと12.84%、サンプルXXはあと51.46%です」
U「そうか…じゃも少し待とう」
ヴゥーーン………………

一章

数日後
機械「サンプルXY、データ移植、ダウンロード完全終了、サンプルXYが完成しました」
XY「………????」
U「おはよう。いきなり起こしてすまない」
XY「……」
U「突然だが、私は君に名前を付けたいと思う。いいかな?」
XY「………」コクッ
U「……うん。では君の名前を教えよう。君はAdamだ。
Adam「あ………だむ………」
U「君に似合う名前をいくつも考えたが、私にはネーミングセンスというものが無くてね。これでもちゃんと考えたんだぞ?」
Adam「あだむ…」
U「そう。君はAdamだ。そしてあの水槽が見えるだろう?」
Adam「……」コクッ
U「この水槽の中の女の子は後に君の妹にするコだ。名前はEveだ」
Adam「い……ぶ…………」
U「彼女はもう少しで君に会える。そうだな…大体あと3ヶ月だろうか?とりあえず楽しみにしてくれ。それはそうと…」
Adam「??」
U「私は何故君を作ったと思う?」
Adam「…しらない」
U「私は昔、母国で君たちのような人工知能を身につけた人間の開発論文を幾度も出してきた。するとどうだろう。あちら側は人工知能を搭載した人間など現段階の技術力では無理だと言った。それにあの国は何とも神に妄信的な連中で、『科学が人間を産むなんぞ我々の神の理りに逆らっている』と言い、私を異教徒としてあの国から追放した」
Adam「いきょーと……」
U「私は人間と言う存在しないものを崇め、自らの弱みを神と言う幻想で誤魔化す生物が憎いのだ。尤も、側から見たらそれは同族嫌悪と言うものだと思われるかもしれないが」
Adam「…」
U「私はずっと同じ目的を持つ様な人物を探し求めていた。そしてその結果、リバと言う王に出会った。彼の目的はわからないが、双方の意見の一致で私を専属研究者として雇ってくれた」
U「つまりだ。君にはその機会が訪れた時に、リバ達の兵き…いや、仲間として加勢してほしい」
Adam「…わかった」

二章

霜肩「Uさん、最近地下での研究が長引いていらっしゃいますが、一体何を…」
U「特に何も。適当な虫とかの細胞を弄ってるだけだ」
霜肩「それなら私も手伝わせてください!Uさんの為に力になりたいです!」
U「犬いるけど大丈夫?」
霜肩「え…じゃあやめます…」
U「だろうな。ふふふっ。では私は下に行く」
霜肩「あっはい、失礼しましたっ!」



地下…



U「…やぁAdam。元気にしてたか?」
Adam「はい」
U「この前渡した資料、全部読んだか?」
Adam「はい。459枚全て記憶しました」
U「…では、資料204枚目の3行目には何が書いてあった?」
Adam「相対性理論について書かれていました」
U「どれ…おぉ、合っている。流石は新人類だ」
Adam「ありがとうございます」
U「それはそうと、あれを見てごらん。君の妹がもうすぐ生まれる」
Adam「妹…」
U「妹が生まれたら、その時こそ私達が世界を掴むようになるぞ」
機械「サンプルXX、起動まであと4.76%…」

三章

機械「サンプルXX、データ移植、ダウンロード完了。30秒後に起動します」



U「Adam、もうすぐ君の妹が生まれるぞ」
Adam「XX…」
機械「サンプルXX、起動」
プシュウゥゥゥゥ…
U「おぉ、完成し…」
XX「おにいさん、ここどこ?」
U「…!?まさか!!」
カチッ カタカタカタカタ…
U「クソッ!感情強制制御システムがオンになっていない!!!」
XX「なんでおこってるの?」
U「うるさいっっ!!!」
パリンッ 机の上にあったマグカップを遠くの壁に投げつけた。
XX「ひいっ…」
U「……すまない。いきなり驚かせて」
XX「わたしも…ごめんね」
U「さて、話を変えよう。今から私は君に名前を与える」
XX「おなまえ!」
U「君の名前はEveだ。私はU。そしてこの人はAdamだ」
Eve「いぶ!ゆう!あだむ!!おなまえ!わたしうれしい!!」
U「ははは、気に入ってもらえて嬉しいよ。次に、私が君を生み出した理由だが…」
UはEveにAdamと同じことを伝えた。



Eve「それわたしやりたくない!だってほかのひとかなしむもん!」
U「はぁ…」
Adam「一度彼女の機能を全てシャットダウンして感情強制制御システムをオンにすればよいのでは」
U「ああ、ありがとうAdam。そうする」

四章

霜肩「(うう…Uさん今日も地下に閉じこもってる…このままじゃUさんをサポートできない!そろそろ犬嫌いを直さなきゃ!)」



その頃地下では
U「(さてと、最下層でAdanにGenosideパッチを埋め込んでる途中で時間も空いた。そろそろEveを完全体にせねばな)」
Eve「ゆうさん!あそぼ!」
U「すまないEve、来てくれ」
Eve「?」
U「ここで寝てくれ」
Eve「なにすr…」ばたり
U「…よし」

 

霜肩「Uさーん!手伝いに来まし…」
その時霜肩は戦慄した。Uが彼女の目の前で見知らぬ女の子を寝かせていた光景、いや、詳しく言うなれば、その女の子の頭に無数のコードが付けられ、その少し奥でUが機械を使っていた光景にだった。
霜肩「U…さん…?」
U「霜肩か。聞いてくれ。この子は私が作った半人工人間だ」
霜肩「それよりなにを…」
U「実はこの子、兵器として作ったのだが感情強制制御システムをオンにし忘れててな。感情が剥き出しだったんだ。だから今こうして感情を潰しているんだ」
霜肩「……!!」
U「どうだ?いいだろう?そうだ、君も私達の仲間にならないか?リバと言う者が私を専属の研究者として雇ってくれてね」
霜肩「リバ…ってあの魔王リバ…ですか?」
U「ああ、そう呼ばれていた気もするな。だから…___」
霜肩「やめてください!!」
U「…?」
霜肩「どんな理由があったかは知りませんが私はそんな非人道的な計画には参加しません!!私はそんな戦争なんかに科学の力をつかいたくないんです!」
U「愚かな。科学というものはこうやって進歩するものだ。その私の考えを否定した上、これを見てしまったなら仕方ない…科学の犠牲になってもらう」
Uは高圧電流を流す殺傷用のスタンガンを出した。
U「…死ね
霜肩「!?」スッ
霜肩「危なっ…!!ッ!!」
U「!?」
Uが持っていたスタンガンは、Uの手から滑り、自分に当たってしまい、気絶した。
霜肩「(…まだ息はある。早く記憶改ざん装置で…)」
U「…今までありがとう…この子は…Eveだ…」
霜肩「……イブ…」
U「これからは君が彼女の世話をする番だ。よろしく頼む…それと…アダ……」がくっ
霜肩「……Eveか」
U「」
霜肩「…Uさん、今までありがとうございました」
そう言った後、霜肩は彼の頭に弧の形をした記憶改ざん装置を押し付け……

 

ばちばちぃっっ!!

 

エピローグ

Uの記憶は消えた。その後、霜肩はEveの記憶からUと言う存在を消した。今はEveの世話をしている。
たまにEveはアダムと呟くことがあるが、霜肩はアダムのことを聞いていないので特に疑問に思ったりはしていないそう。
Adamは未だにスリープ状態だ。
しかし彼もいつかは長い眠りから覚めるだろう。いつか、Uの記憶が戻る日に。
霜肩はUは行方不明になったと全研究員に伝えた。
Uは今も存在しているも、昔の記憶は改ざんされ、ほぼ別人となっていた。
髪の色は黒から紫に変わり、ピアスをつけている。彼は今自由気ままに魔物を観察しているとか。
たまに昔のことを思い出しかけるが、U本人はただのデジャブと思ってるとか。
霜肩が彼がUとわからないように、今は別人のような姿になっている。
魔王リバは彼の名前を消した。ここにまで行方不明になったと言う情報が届いたかららしい。
さて、これからどうなることやら。

コメント

  • あの時の一連のやり取りを私傍観者が綴らせていただきました。 -- 傍観者? 2018-11-28 (水) 01:37:46