【SS】魔王軍の構築

Last-modified: 2021-09-23 (木) 10:31:03

Chapter1.『ガダル・カリナ』

魔王リヴァが、この地に根付いてより数年経ったある日。
とある小さな魔物が最果ての大地に迷い込んだ。

 

カリナ「……ここはどこ?」

 

カリナは元々は魔界で生まれた魔物だった。
ところがある日カリナはうっかり、魔界の外の入り口に入ってしまった。
そして、気がついたら最果ての大地に立っていたのである。

 

カリナ「…お母さんはどこだろう」

 

カリナ「おかあさ~ん!!お兄ちゃーん!!……」

 

カリナ「うぅ…一人で遠くまで散歩したのがいけなかったかな…」

 
 

カリナ「……ここはお母さんが言ってた現世なのかな?…でも魔界に雰囲気は似てるよね…」

 

「おい、そこのオマエ!」

 

カリナ「うわぁっ!?」

 

「……見ない顔だな、誰だ?」

 

カリナ「僕はガダル・カリナ。ねぇ、ここはどこ?」

 

「ここは魔王様の拠点がある最果ての大地ってとこだ」

 

カリナ「…ここは現世なの?」

 

「現世?なんの話だ?」




「……へえ、アンタ魔界出身なのか、カッカッカッ!」

 

バリアッチ「ああ…申し遅れたな。俺はバリアッチ!魔王軍所属だ!!」

 

カリナ「さっきから魔王って…一体誰のことなの?」

 

バリアッチ「魔王リヴァ様だ!魔族の中のカリスマ的存在なんだぞ!!」

 

バリアッチ「お前、行く当てがないなら魔王様に会ったらどうだ?」

 

カリナ「……魔王様か」

 
 

リヴァ「君がガダル・カリナって子かな?」

 

カリナ「は、はい。(なんかすごい威圧感だ…)

 

リヴァ「残念だけど、魔界に帰るにはとある海域を渡らないといけない。そしてここはあらゆる所よりも遠い最果ての地だ。君を元の世界へ送り返すには時間がかかるよ」

 

カリナ「……そうですか」

 

リヴァ「……しばらくの間、僕の下で働かないか? 衣食住はさせられることができる」

 

カリナ「えっ、いいんですか?」

 

リヴァ「魔王城の建設もそろそろ視野に入れないといけないからね…働き出が欲しいのさ」

 

カリナ「が、頑張らせていただきます!!」

 

…こうして、ガダル・カリナは魔王軍となった。
それから数十年。リヴァの下で働く内に故郷に帰りたいという気持ちはなくなり
リヴァの下で闇占い師として名を馳せる事となる……

Chapter2.『トリッカル・マジーナ』

…ここは闇の海に浮かぶとある島。
ここには強い魔物達の村があった。

 

魔物「………」

 

マジーナ「………」

 

魔物「……何か言うことはあるんじゃないか?」

 

マジーナ「………落とし穴をあたり一帯に仕掛けて、皆様に多大なご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」

 

魔物2「全く…お前のいたずらはもはやテロ行為みたいなものだぞ」

 

ダチ「だけど、そこまでやるなんてやっぱすげーよなーwww」

 

マジーナ「だろー!?www」

 

魔物「おい!!そんなこと言ったらまたこいつやらかすぞ!!」

 

魔物2「お前も真面目にやれ!!」

 

マジーナ「ごめんなさい」

 

ダチ「すんません…でもこいつの悪戯好きは死んでも治んない気がするけど」

 

魔物3「……とにかく今回は超厳重注意で許してやる。…いたずらするならもっと被害を抑えるように」

 

マジーナ「ういっす」




数日後…

 

魔物「魔王リヴァ様が来られたぞ!!」

 

魔物2「ああ、リヴァ様!!ようこそ、こんなちっぽけな島によくお越しになられて!!」

 

マジーナ「……誰だアイツ?」

 

ダチ「お前知らないのかよ、俺らの魔王のリヴァ様だよ。毎年各地の魔物の村を巡られてるんだ。人間に攻められた村がないか確認するためにな」

 

マジーナ「へぇー…毎年来てるのに今日初めて見たぞ」

 

ダチ「…そういやお前毎年毎年いたずらの罰で牢屋に入れられてたから偶然目にする機会が無かったんじゃないか?」

 

マジーナ「そうかもなー。よし、俺も挨拶してくる!」

 

ダチ「お、おい待てよ!!」




リヴァ「……食料もしっかり採れてるようだな」

 

村長「ええ。リヴァ様が手を回してくださったおかげでございます」

 

マジーナ「あんたがリヴァだな!!」

 

魔物「」

 

村長「」

 

リヴァ「ああ、そうだよ。君は初めて見るね…」

 

マジーナ「俺はこの村に住むトリッカル・マジーナ!!一回会話してみたかったんだアンタと!」

 

リヴァ「そうか、よろしく。マジーナ君」

 

リヴァ「ん?手を差し出してどうしたんだ」

 

マジーナ「どうしたって、握手だよ握手!!魔王なのにこれぐらいわかんないのか?」

 

魔物「お、おい!!」

 

リヴァ「…そうだね。よろし

 

リヴァ「くぁあああああああ!!!」

 

マジーナ「ギャハハッ!!引っかかったー!!ビリビリッと来たろ?」

 

リヴァ「あ……は、はは…」

 

魔物「マジーナ!!やっていい事と悪いことがあるぞこんにゃろー!!」

 

ゴンッ!!

 

マジーナ「はりゃほりゃふりぇ……ごべんらさい……」

 

リヴァ「フハハハ!!君、面白い奴だね。魔王に向かってこんな事するのは君ぐらいだよ」

 

村長「す、すみません魔王さま。し、死罪だけはどうか見逃してやってください…!!」

 

魔物「こいつも反逆の意図があってやったわけじゃないのです!!どうか…」

 

リヴァ「うるさい。黙ってろ」

 

魔物「ヒェッ」

 

リヴァ「……マジーナ君、だっけ?君…忠誠心は全くなさそうだけど面白いね。気に入ったよ。僕の下に来ないか?」

 

魔物達「んなっ!?」

 

マジーナ「え?魔王のところに?」

 

リヴァ「君さえよければ、ね」

 

ダチ「ま、魔王軍に入れてもらえるなんで滅多にないチャンスだぞ!!入れてもらえよ!!」

 

マジーナ「うーん…。イタズラはできるのか?」

 

リヴァ「ああ。僕の部下が相手をしてくれる」

 

マジーナ「イシシッ!そうか!!なら入る!!」

 

ダチ「…俺らもお別れだな。」

 

マジーナ「そうか、ここから離れるんだよな…やっぱりダチと離れると寂しいからやめようかな。」

 

リヴァ「…それじゃあ君も来るといい。仲間の要望なら最大限叶えてやるよ」

 

ダチ「マジですか!?」

 

マジーナ「おーやったなー!!」

 

マジーナ「サンキュー、魔王!」

 

魔物「お前はとりあえず魔王様に対する態度をなんとかしろ!怖くてかなわんわ!!」

 

こうしてトリッカル・マジーナは魔王軍に所属する事となった。
この後、言葉遣いを矯正されたのは言うまでもない…。

Chapter3.『キュランケン・ウルフ』

シャドーマター「……リヴァ様。客人が来ております。」

 

リヴァ「ほう、この最果ての地に客人なんて珍しいね。入れてくれ」

 

キュランケン・ウルフ「フンガー。貴方が魔王リヴァ様でザンスか?」

 

リヴァ「そうだよ。意外そうだね」

 

キュランケン・ウルフ「これは失礼。魔王と聞いてもっと化け物かと思ってたでガンス。綺麗な顔をしてたからちょっと意外だったザンス」

 

リヴァ「まあそれはどうでもいい…魔王軍ではない君がはるばるここに来た理由を教えてくれるかな」

 

キュランケン・ウルフ「フンガー!ミーを魔王軍に入れて欲しいんでガンス!!」

 

リヴァ「……この大陸まで来るのは魔物でもそうそうない。外から僕に会いに来るとはなにやら事情がありそうだね」

 

キュランケン・ウルフ「じ、実は…ミーのお袋が病に侵されて実家の経営がままならなくなったんでザンス。それまで店を支えてたのはほとんどお袋。一緒に働いてたミーにはできないことが多過ぎて借金まみれになったんでガンス。そこでお金を稼いで母を治療すべく、魔王さまの元で働かせていただきたく…」

 

リヴァ「……よし、魔王軍に入ることを許可する」

 

キュランケン・ウルフ「ありがたき幸せザンス!!」

 

リヴァ「……ただし条件がある。それは…」

 

リヴァ「…先に君の母を治療する。マギシーの治癒魔法ならおそらくだが治せるであろう。」

 

キュランケン・ウルフ「えぇっ!!し、しかしミーにお金は…」

 

リヴァ「魔王軍に入ってくれるなら金なんて取らないつもりだが。…悪くない話だろう?」

 

キュランケン・ウルフ「い…一生、ついていくでガンス。魔王様!フンガーッ!!」

Chapter4.『アスター・ラネット』

…今から数年前のこと

 

ラネット「おとーさん、なにをしてるの?」

 

父「…望遠鏡で星を見ているんだ。覗くか?」

 

ラネット「うん!」

 

ラネット「わぁあ…!!」

 

あたり一面に広がる綺麗な星。
その景色は、幼い私の心を掴み、離さなかった。
……この時、私の夢は決まっていたのである。

 

父「…『こうして、みんなの協力の末、異星の宇宙人は自分の故郷へ帰れましたとさ。めでたしめでたし』」

 

父「どうだ、面白かっただろう。この本はお爺ちゃんが父さんにくれた本なんだ。」

 

ラネット「…宇宙人ってホントにいるのかな?」

 

父「…宇宙は広い。きっといるはずだよ」

 

ラネット「宇宙人…会ってみたいなぁ」

 

父「…実は噂によるとね、宇宙人はこの星に既に住んでいるとも言われているんだ」

 

ラネット「本当?」

 

父「確かな証拠はないが、宇宙から何かが飛来してきたという話がいくつもあるんだ。…いつの日か、宇宙人に会う日もくるかもしれないぞ。」

 

ラネット「…宇宙船に乗って宇宙に行けば会えるかなー?宇宙船…乗ってみたいなー!!」

 

父「宇宙船か…。実はとある国では既に宇宙へ行ける乗り物が開発されているんだ。お前が大きくなったらきっと。お父さんが連れてってやろう」

 

ラネット「えっホント!?」

 

父「…ああ。約束だ。」

 



そして、その約束が果たされることは無かった…

 

~6年後~

 

ラネット「ただいまー。あれ、お父さんまだ帰ってないの?」

 

そしてそのまま二時間後が経過した。

 

ラネット「あっ電話。もしもし、お父さんですか!?…」

 

ラネット「…えっ…病院に…?」


医師「…頭を強く打って植物状態です。このまま意識が戻ることはおそらく…」

 

ラネット「…お、お父さん…なんで……?」

 

…これは後で分かったことだが
お父さんは5年前から宇宙船を開発するプロジェクトに参加していた。
開発が難航していた宇宙船は、父の力によって作業が進み…
いよいよ完成間近まで差し掛かっていたという…。
そして、最後の部品を取り付けるという名誉のある役目は
開発に深く携わってきた父に決まったのだが
作業の最中、足場が崩れ、頭から落下してしまったのだ…。

 

お父さんが私に黙って宇宙船を作っていたのはおそらく
私を驚かせようと思っていたのだろうか。
そして、宇宙船を開発する仕事を始めたのは
宇宙船を早く完成させて私に乗せたいためだったというのか。
そんな思いが私の中で交錯する。

 

ラネット「お…お父さん…私のため、だったんだね…」

 

ラネット「…優しい…お父さん…。大好きな、お父さん…。目を覚まして…、また声を聞かせて……」

 

ラネット「私…私……わぁぁあああん!」

 
 

ラネット「…私、宇宙人を必ず見つけてみせる。……そして、きっと。お父さんにも合わせてあげる!!」

 

ラネット「それが…お父さんにしてあげられる事で…私の夢だから…!!」

 

それから私は宇宙人がまずこの星に存在しているのかを聞き込むことにした。
思えばこの星にもいろんな種族がいる…。その中に、宇宙人が紛れてても
おかしくはない筈。大丈夫。必ず、宇宙人は見つかるんだ…!

 

しかし…。

 

「…宇宙人?そんなもん信じてるのかよ、アンタ」

 

「宇宙人だなんているわけないわよ~。よくそんな無駄なこと続けられるわね~」

 

「この星にいるならとっくに世間に知れ渡ってるだろ。探すだけ無駄だぜ」

 

…だんだんとこのようなやり取りをしているうちに。
本当は地球外生命体など存在しないのではないかという考えが
浮かんで来るようになってしまった…。

 

ラネット「…はぁー。宇宙人なんて…やっぱりいないのかしら…。諦めて…そうね、お父さんが勤めていたプロジェクトに…参加でもしようかしら」

 

ラネット「宇宙船に乗れるかはわからないけど…もし、乗れるようになったら宇宙で…探し回れば見つかるかも…」

 

ラネット「…とりあえずこの先にある村で休んで考えましょう…」




~温厚な魔族の村~
ラネット「…えっ!?今、なんと仰いましたか!?」

 

歳をとった魔族「ああ…宇宙人、かはわからぬが…今から何百年前か…空から変わったものが降り立ったと聞いたのを覚えている…。確かその場所は…」

 
 

ラネット「最果ての…大地…。聞いたことがあるけど、どうやって辿り着くのかすらわからない情報の少なすぎる大陸ね…こんなの調査にいけないわ…」

 

…その時だった

 

青年魔族「最果ての大地…魔王様に何か用でもあるのか…?」

 

ラネット「うわあぁっ!?誰!?」

 

青年魔族「…失礼。人間からその名を聞くのは珍しいもので。俺はラクシーっつうんだ」

 

ラネット「私はアスター・ラネット。…もしかして、行き方を知っているの?」

 

ラクシー「おっと、やめときな。行ってもあそこは人間にゃ厳しい環境だ。ロクな目に合わないぞ」

 

ラネット「…そういえば魔王って今言ったけど…。もしかして魔王がいるの、そこ?」

 

ラクシー「……ああ、そうさ。あの魔王様は我々にはよくしてくれるが人間はどうだろうな…。少なくとも我々のような魔族と同じとは思わないほうがいいだろう…」

 

ラネット「魔王…そうよ、その魔王に会えばきっと宇宙船の事もわかるかも…!!ねえ、最果ての大地への行き方教えてよ!!」

 

ラクシー「……俺は知らない。それに知ってる奴がいても教えてくれないだろうよ。なぜなら人間が行く場所じゃないからな…」

 

ラネット「そ、そんなっ…どうしても…知りたいのに……!!」

 

ラクシー「なぁ、嬢ちゃん。どうしてそんなにあの大地に…魔王さまに会いたいんだ?」

 

ラネット「……話せば、長くなるけど…」

 



ラクシー「………そうか。…父との約束を果たすために今まで宇宙人に関する情報を探って来たのか…」

 

ラネット「…笑いたかったら笑ってもいいのよ…。私だって…こんなの馬鹿げてる事だと思う!でも…」

 

ラクシー「別に笑いやしねえさ。生きとし生けるものが何を追い求めるかなんて自由さ。ましてや大切な人との約束を果たすためなら尚更な」

 

ラクシー「…実はな、嬢ちゃん。一つだけ…希望があるぜ?」

 

ラネット「えっ…?それってどういう事?」

 

ラクシー「実はよぉ、さっき言った魔王様は年に一度最果ての大地から抜け出してある場所を訪ねるんだ」

 

ラネット「本当なの!?…その場所を、教えてはくれる?」

 

ラクシー「あぁ、上げて落とすようなこたあしねえよ。その場所はな…」

 

ラクシー「何を隠そう、この村さ。」

 

ラネット「えっ…?」

 

ラクシー「…言い方が悪かったな。そう都合よくここにだけ来てくれるってわけじゃねえ。魔王様はな、全国の魔族の村に年に一度訪問してくださるんだ。人間に襲われたものはいないか、伝染病がはやってないか、その他諸々の理由でな」

 

ラネット「…そのうちの一つが、ここだというの?」

 

ラクシー「ああ…。ここには…そうだな、あと4ヶ月ぐらいすりゃ前回から一年ってとこかね。……さて、どうする?」

 

ラネット「私…村長さんにこの村で住まわせてくれないか確認してくるわ!」

 

ラクシー「決意が早いな…ま、そりゃそうか」

 

こうして魔族の村で過ごす事、実に4ヶ月半…

 

ラクシー「ラネット!!おい、ラネット…真昼間なのにまた寝てるのか…」

 

ラネット「うーん…騒々しいわラクシー。なにがあったの?」

 

ラクシー「とうとう来たんだ、魔王様が!!」

 

ラネット「えっ!?」

 
 

ラクシー「これはご無沙汰しております魔王様」

 

リヴァ「…やあ、ラクシー。相変わらず元気そうだね。おや、隣にいるのは…人間だな?」

 

ラクシー「す、すみません。彼女は数ヶ月前からこの村に住んでいるのです。危害は一切与えられてませんので…」

 

リヴァ「…別にただ人間だからって怒ったりしないさ。それに訳ありで人間が住んでいる魔族の村も少なくはないからね。…だが、魔王であると知っていて僕の前にわざわざ出てきたという事は…何か用でもあるのかい?」

 

ラネット「魔王…様。初めまして、私はアスター・ラネットと申します」

 

リヴァ「僕はリヴァという名前だ。よろしく。」

 

ラネット「…リヴァ様は、ご存知でしょうか。…今より数百年前、最果ての大地に飛来した謎の物体について」

 

リヴァ「…知っているさ」

 

ラネット「…では、是非ともその事を教えてください!!」

 

リヴァ「……だが。なぜそれを知りたい?」

 

ラクシー「…!(魔王様がプレッシャーを放っておられる…!!)

 

ラネット「私…どうしても、果たさなくてはならない事があるのです!」

 

リヴァ「…魔王の力を借りてでもか?」

 

ラネット「…はい!!」

 

リヴァ「フフ。フハハハ!!我を前にして肝が座ってる人間だ。その果たさなくてはならない事とはなんなのか、僕に話すがいい。」

 



リヴァ「…………」

 

ラネット「これは、冗談で言ってるわけではありません。私は本気で宇宙人を探しています。見つけるために魔王様が知ってる情報が今何よりの頼りなのです!!」

 

リヴァ「…そうだね、どこから話そうか…。実はその降って来たものは…おそらく宇宙船さ」

 

ラネット「…!!やっぱり…宇宙人は存在していた…!」

 

リヴァ「そして…その宇宙船に乗っていたのは…僕だ」

 

ラネット「へ?」

 

ラクシー「なっ…」

 

リヴァ「実を言うとここだけの話僕はこの星で生まれた身じゃない。遥か遠くからこの星へ降り立った魔族なのさ」

 

ラネット・ラクシー「えええええええー!!?」

 

ラネット「と、とう、という事は、ま、ま、ま、まさか…魔王さまは」

 

リヴァ「うーん…宇宙人になるんだろうね」

 

ラネット「…今の話は、本当なのですか?」

 

リヴァ「…実物の宇宙船が残ってる。一緒に見に行くか?」

 

ラネット「は、はい!!是非とも!」

 

ラクシー「…魔王様、俺も見せていただきたいです」

 

リヴァ「…よし。ついてきな。シャドー!」

 

シャドーマター「はい」

 

ラネット「うわぁっ!?」

 

そしてしばらくの間…私は闇に包まれた。

 

リヴァ「着いたぞ」

 

ラネット「はぁっ!!ここは?」

 

リヴァ「最果ての大地の…僕の城を建設予定の広い土地さ。」

 

ラクシー「…やはり此処は素晴らしい禍々しさです」

 

ラネット「ここが…最果ての大地…!」

 

リヴァ「…そしてあそこにあるのが宇宙船さ」

 

ラネット「!!あれが…」


リヴァ「ここが入り口だ」

 

ラネット「すごい、広い…!!」

 

ラネット「あっ、ここから外を眺めるのですね!?あっこれは!?これもなにかしら!?こっちはキッチン?お風呂もあるの!?」

 

リヴァ「…大興奮だね」

 

ラネット「こ、この船動くのですか!?」

 

リヴァ「ああ、少しだけ動かしてみるか?」

 

ラネット「是非!!お願いします!!」

 

リヴァ「えーっと確かこことここを…ポチッと」

 

フワァッ…

 

ラネット「動いた!!本当に空を飛んでる!!」

 

リヴァ「…急上昇につき、揺れる。一旦掴まるんだ」

 

ラネット「うおっとと……!!!!」

 

そこには…私達の星と…広大な星々が広がっていた…。
望遠鏡で見たのとは違う…特別な景色。
それに私は…感動して泣き出してしまった。

 

ラネット「…うぅっ、うっ、お父さん…」

 

ラネット「私…素敵な宇宙人に出会えた…私、今宇宙にいるよぉ…!」

 

リヴァ「……さぁ、そろそろ戻ろうか」

 

ギュウゥン…
宇宙船は、地上へと戻って行った。

 

ラネット「…魔王様…いや、宇宙人様。」

 

リヴァ「…それなら名前で呼んでくれ」

 

ラネット「リヴァ様ッ…!!本当に、本当に…ありがとうございます…!!」

 

ラネット「おかげで…私の父との約束は…果たせましたッ…!!」

 

リヴァ「…いや、まだ果たせてないことがあるんじゃないか?」

 

ラネット「えっ…?」

 

~病院~

 

ラネット「…お父さん、久しぶり。…ちょっと、前より痩せたかな…?」

 

ラネット「えへへ、お父さん、今日はね…合わせたい方がいるの…」

 

リヴァ「…君が彼女の父親か。…僕はリヴァ…異星人だ」

 

リヴァ「あなたの娘さんは見事、あなたとの約束を果たしてくれたみたいだよ」

 

ラネット「お父さんが…生きているうちに、約束が果たせて本当によかった…!!」

 

ラネット「……!」

 

そこに寝ている父の顔は…
僅かだったがとても嬉しそうに…微笑んでいた。

 
 

ラネット「…リヴァ様。」

 

リヴァ「……なんだ?」

 

ラネット「リヴァ様は、魔王なんですよね…?」

 

リヴァ「ああ…いずれこの世界を支配するつもりさ。」

 

ラネット「…私にも、手伝わせていただけませんか」

 

リヴァ「なに…?人間であるお前が、僕に手を貸すというのか?」

 

ラネット「私…魔族にも優しい人がいるって事がわかったんです。もちろんリヴァ様も。…見ず知らずの私に、ここまでしてくれるような方が支配する世界が…悪くなるはずありません!!」

 

リヴァ「……フハハハハ!!面白い考えをする人間だな」

 

リヴァ「よかろう、我が魔王軍へ来るがいい。人間だからといって悪いようにはしない。」

 

ラネット「よろしくお願いします、リヴァ様…!!」


…これが私とリヴァ様が出会うまでの経緯。
今、私はこんな偉大な魔王さま(宇宙人)の元にいられてこの上なき幸せです。
お父さん、どうか…夢の中で見守っていてください…

コメント

  • トリッカル・マジーナの自由すぎるスタンスすこ -- (´・ω・`) 2018-12-27 (木) 05:55:34
  • Chapter2.『トリッカル・マジーナ』にある、魔物「お、おい!!」のセリフのしたのリヴァのセリフが変なんですけど、勝手にいじっちゃダメかなって思ったので報告だけしときます。 -- ぽよ 2019-01-27 (日) 02:10:36
  • ↑報告サンクス。自分で直しといた -- 2019-01-27 (日) 04:52:21

来訪者数

今日?
昨日?
合計?

Tag: SS